JP6370745B2 - 粒子線治療装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、照射ポートを通じて治療台へ向けて粒子線を照射する粒子線治療装置に関する。
粒子線治療装置では、患者の患部へ向けて粒子線を照射する照射ポートは、治療台上の患者の精神的負担軽減や安全確保のため、または技師や作業員の安全確保のため、更にはデザイン性を考慮してカバーで覆われている。
ところが、このカバーは、粒子線治療時における粒子線の品質を保証するために粒子線治療に先立って行なう粒子線特性の計測時には、計測機器を照射ポートに装着する必要から取り外される(特許文献1参照)。
特開平11−64530号公報
しかしながら、照射ポートからカバーを取り外した状態で、この照射ポートから照射される粒子線を計測機器により計測すると、実際の粒子線治療中に照射ポートからカバーを通過して照射台へ向けて照射される場合に比べて、カバーが存在しない分だけ粒子線特性が微妙に変化してしまう。このため、粒子線治療に先立って実施される上述の粒子線特性の計測は、粒子線治療中の粒子線特性の計測とは異なってしまうという課題が発生する。
本発明における実施形態の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、粒子線治療に先立って行なう粒子線特性の計測を、粒子線治療中の粒子線特性と同一の状態で正確に計測できる粒子線治療装置を提供することにある。
本発明の実施形態における粒子線治療装置は、照射ポートを通じて粒子線を照射する粒子線治療装置において、前記照射ポートは、粒子線が透過する透過部とフレームとを有すると共に、粒子線治療時に装着されて前記フレームを覆うカバーを備え、前記カバーは、前記透過部を覆う第1カバー部と、前記照射ポートにおける前記透過部を除く領域を覆う第2カバー部とに分割され、前記第1カバー部を通過した粒子線の粒子線特性を計測する計測機器を使用する際に前記第2カバー部が独立して取り外されるよう構成されたことを特徴とするものである。
本発明の実施形態によれば、粒子線治療に先立って行なう粒子線特性の計測を、粒子線治療中の粒子線特性と同一の状態で正確に計測できる。
本実施形態に係る粒子線治療装置を、粒子線発生・加速装置と共に示す概略平面図。 図1の照射ポートを示す縦断面図。 図2のIII矢視図。 図2の照射ポートから第2カバー部を取り外して計測機器を装着した状態を示す縦断面図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る粒子線治療装置を、粒子線発生・加速装置と共に示す概略平面図である。この図1に示す粒子線治療装置10は、治療室11内に配置される治療台12上の患者1の患部(つまり図2の照射対象2)へ、治療室11に設置された照射ポート14から粒子線3を照射して治療するものであり、照射ポート14へは粒子線発生・加速装置15から粒子線3が輸送される。ここで、粒子線3は、例えば陽子線(H)や重粒子線(C6+)などである。
粒子線発生・加速装置15は、陽子や重粒子を発生するイオン源を備えた入射器16と、この入射器16からの粒子を加速して粒子線3とするサブ加速器系17と、このサブ加速器系17にて加速された粒子線3を治療に必要なエネルギーレベルまで更に加速するシンクロトロンと称されるメイン加速器系18と、このメイン加速器系18にて加速された粒子線3を、照射野形成電磁石20を経て照射ポート14へ輸送するビーム輸送系19と、を有して構成される。
サブ加速器系17及びメイン加速器系18は、電磁石群21の作用で粒子線3を加速し、ビーム輸送系19は、電磁石群21の作用で粒子線3のエネルギーを維持する。ここでの電磁石群21は、偏向電磁石、四極電磁石、六極電磁石、ステアリング電磁石などの種々の電磁石から、それぞれ適切な電磁石の組合せで構成されている。また、照射野形成電磁石20は、ビーム輸送系19から輸送された粒子線3のビーム位置等を調整して、照射ポート14から照射される粒子線3が患者1の照射対象2(患部)の形状に適合するように照射野を形成する。
照射ポート14は、治療室11の壁または天井に設置される固定式の場合と、治療台12の周囲を360度回転する回転ガントリ(不図示)に設置される回転式の場合とがある。いずれの場合にも、照射ポート14は、治療台12上の患者1の照射対象2へ向かって粒子線3を照射するものであり、図2及び図3に示すように、真空ダクト23、モニタ類24、第1フレーム25及び第2フレーム26、並びに第1カバー部27、第2カバー部28及び第3カバー部29を備えてなるカバー30を有して構成される。照射ポート14の近傍または内部(図2では近傍)には、患者1の位置決め時に使用するFPD41などのX線画像撮像装置も配置される。
真空ダクト23は、筒形状(例えば円筒形状)に形成されて端部に真空窓31を備え、内側が真空状態に保持される。真空ダクト23内及び真空窓31を、照射野形成電磁石20を経て導かれた粒子線3が透過する。また、この真空ダクト23は、第1フレーム25よりも外側に配置された第2フレーム26に、取付ステー32を用いて支持される。この第2フレーム26は、照射ポート14が固定式の場合には治療室11の壁または天井に、照射ポート14が回転式の場合には回転ガントリ(不図示)にそれぞれ設置される。
モニタ類24は、位置モニタ及び線量モニタなどを有して構成され、真空ダクト23内及び真空窓31を透過した粒子線3が透過する。そして、このモニタ類24は、照射野形成電磁石20にて形成された照射野における粒子線3のビーム位置やビーム線量(エネルギー強度)などの粒子線特性を計測する。また、モニタ類24は、第2フレーム26に取付ステー34を介して固定された第1フレーム25に支持される。ここで、照射ポート14においては、真空ダクト23内、真空窓31及びモニタ類24を粒子線3が透過する領域を透過部33と称する。
ところで、上述の照射ポート14は、患者1の心理的負担軽減や安全確保のために、または技師や作業員の安全確保のために、更にはデザイン性を重視する観点から、真空ダクト23、モニタ類24、第1フレーム25及び第2フレーム26の周囲がカバー30にて覆われている。このカバー30は、例えば第1カバー部27、第2カバー部28、第3カバー部29に分割されて構成される。
第1カバー部27は、照射ポート14の透過部33を覆うものであり、第1フレーム25に固定して取り付けられる。また、第2カバー部28は、照射ポート14における透過部33を除く領域の一部を覆うものであり、第2フレーム26に独立して着脱可能に取り付けられる。第3カバー部29は、照射ポート14における透過部33を除く領域であって、第2カバー部28によっても覆われていない領域を覆うものであり、第2フレーム26に固定して取り付けられる。ここで、第1カバー部27と第2カバー部28との境界は、特に図3の左右方向について、可能な限り透過部33に近づけて設けられる。また、第2カバー部28と第3カバー部29との境界は、照射ポート下面には設けられない。
第2カバー部28は、第1カバー部27と接する接合部28Aが、第1カバー部27の裏面側へ延びる鉤形状に形成されて、第1カバー部27と第2カバー部28との隙間を通して照射ポート14の内部が目視され得ないよう考慮されている。また、この第2カバー部28は、例えばマグネット35の磁力などによって第2フレーム26に離脱可能に磁着される。
従って、第2カバー部28の取り外しに際しては、まず、第2カバー部28を第1カバー部27に対して照射ポート14の内側(図2の上方)へ持ち上げて、マグネット35と第2フレーム26とを離脱させる。次に、この状態で、第2カバー部28を第1カバー部27に対して図3の矢印P方向にスライドさせる。このようにして第2カバー部28を照射ポート14から独立して取り外す。
なお、第2カバー部28は、第2フレーム26にマグネット35を用いて取り付けられる場合に限らず、第2カバー部28の外側から操作可能な取付ボルトやクランプ等を用いて第2フレーム26に離脱可能に取り付けられてもよい。
更に、第2カバー部28は、例えば長さに余裕のある紐やチェーンなどで第2フレーム26に連結されていたり、フックなどの係合手段を備えて第2フレーム26に係合可能に設けられたりすることで、照射ポート14から取り外された際にも照射ポート14から完全に分離されないように考慮されている。
上述のように第2カバー部28が照射ポート14から独立して取り外されたときには、第2フレーム26における先端部分が露出する。この第2フレーム26の先端部分には取付穴36が形成されている。この取付穴36は、図4に示す計測機器37を照射ポート14に装着可能とするために設けられたものであり、計測機器37の取付フレーム38の先端部が、取付穴36に係脱可能に係合される。
計測機器37は、粒子線治療装置10による患者1の治療に先立って、照射ポート14の透過部33を透過し且つ第1カバー部27を通過した粒子線3の粒子線特性(ビーム線量及びビーム位置など)を計測するために使用される。この計測機器37による計測によって、照射ポート14に第1カバー部27、第2カバー部28及び第3カバー部29の全てが装着された実際の粒子線治療において、照射ポート14の透過部33を透過し且つ第1カバー部27を通過した粒子線3が所望の粒子線特性(ビーム線量及びビーム位置など)を備えているか否かを確認する粒子線の品質保証が可能になる。
上述の計測機器37は、人体による吸収を模擬するよう水で満たされた水槽中に配置されて粒子線3のビーム線量を計測する線量モニタや、粒子線3のビーム位置を計測する位置モニタとしてのスクリーンモニタなどである。
これらの計測機器37は、特に照射ポート14が回転式である場合には、照射ポート14内に収容された電源ケーブル39に接続されて給電可能に構成される。つまり、計測機器37が照射ポート14に装着されたとき、この計測機器37の電源ケーブル40のコネクタ40Aが、照射ポート14内の電源ケーブル39のコネクタ39Aに連結されて計測機器37に給電がなされる。
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)から(3)を奏する。
(1)図2及び図4に示すように、照射ポート14では、透過部33が第1カバー部27により覆われた状態で、この透過部33を除く領域を覆う第2カバー部28が独立して着脱可能に構成されている。従って、粒子線治療時における粒子線3の品質を保証するために、第2カバー部28を独立して取り外して計測機器37を照射ポート14に装着し、この計測機器37によって、照射ポート14の透過部33から第1カバー部27を通過した粒子線3の粒子線特性(ビーム線量及びビーム位置など)を計測できる。
このように、計測機器37による粒子線特性の計測時に照射ポート14の透過部33を覆う第1カバー部27が取り外されることがないので、この計測機器37により計測される粒子線3の粒子線特性(ビーム線量及びビーム位置など)は、照射ポート14に第1カバー部27、第2カバー部28及び第3カバー部29の全てが装着される実際の粒子線治療時において照射ポート14から治療台12へ向けて照射される粒子線3の粒子線特性と同一になる。従って、粒子線治療に先立って行なう粒子線特性の計測を、粒子線治療中の粒子線特性と同一の状態で正確に計測できる。この結果、粒子線治療時における粒子線3の品質保証を容易且つ確実に実施できる。
(2)図3に示すように、第1カバー部27と第2カバー部28との境界は、特に図3の左右方向について、可能な限り透過部33に近づけて設けられる。また、第2カバー部28と第3カバー部29との境界は、照射ポート下面には設けられない。従って、患者1の位置決め時に使用するFPD41などのX線画像撮像装置を照射ポート14の近傍または内部に配置しても、各カバー部の境界(第1カバー部27と第2カバー部28との境界、第2カバー部28と第3カバー部29との境界)が、X線画像撮像装置の視野から外れた位置に設けられることで、X線画像撮像装置のX線領域42に各カバー部の境界が干渉しない。この結果、X線画像撮像装置が撮影した画像に各カバー部の境界が映りこむことがないので、良好な画像を取得できる。
(3)照射ポート14の第2フレーム26に計測機器37が装着された状態で、この計測機器37の電源ケーブル40が、照射ポート14内に収容された電源ケーブル39に接続されて計測機器37に給電が行われる。この結果、照射ポート14が特に回転式である場合にも、計測機器37への給電を確実に実施できる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
3 粒子線
10 粒子線治療装置
12 治療台
14 照射ポート
15 粒子線発生・加速装置
25 第1フレーム
26 第2フレーム
27 第1カバー部
28 第2カバー部
29 第3カバー部
30 カバー
33 透過部
36 取付穴
37 計測機器
39、40 電源ケーブル

Claims (6)

  1. 照射ポートを通じて粒子線を照射する粒子線治療装置において、
    前記照射ポートは、粒子線が透過する透過部とフレームとを有すると共に、粒子線治療時に装着されて前記フレームを覆うカバーを備え、
    前記カバーは、前記透過部を覆う第1カバー部と、前記照射ポートにおける前記透過部を除く領域を覆う第2カバー部とに分割され、前記第1カバー部を通過した粒子線の粒子線特性を計測する計測機器を使用する際に前記第2カバー部が独立して取り外されるよう構成されたことを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 照射ポートを通じて粒子線を照射する粒子線治療装置において、
    前記照射ポートは、粒子線が透過する透過部とフレームとを有すると共に、粒子線治療時に装着されて前記フレームを覆うカバーを備え、
    前記カバーは、前記透過部を覆う第1カバー部と、前記照射ポートにおける前記透過部を除く領域を覆う第2カバー部と、前記照射ポートにおける前記透過部を除く領域であって前記第2カバー部によっても覆われていない領域を覆う第3カバー部に分割され、前記第1カバー部を通過した粒子線の粒子線特性を計測する計測機器を使用する際に前記第2カバー部が独立して取り外されるよう構成されたことを特徴とする粒子線治療装置。
  3. 前記第1カバー部は、前記照射ポートにおける第1フレームに取り付けられ、前記第2カバー部は、前記照射ポートにおける前記第1フレームの外側に配置された第2フレームに取り付けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の粒子線治療装置。
  4. 前記第2フレームは、前記第2カバー部の取り外しにより露出され、前記第2フレームに、治療に先立ち実施する粒子線特性計測に使用する計測機器が設置可能に構成されたことを特徴とする請求項3に記載の粒子線治療装置。
  5. 前記計測機器は、前記照射ポート内に収容された電源ケーブルに接続されて給電可能に構成されたされたことを特徴とする請求項4に記載の粒子線治療装置。
  6. 前記第1カバー部と前記第2カバー部との境界が、前記照射ポート近傍または内部に配置する撮像装置の視野から外れた位置に設けられるよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
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