JP5906179B2 - 線量分布測定装置 - Google Patents

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本発明は、線量分布測定装置に関するものである。
がん等の治療装置として、陽子または炭素イオン等の荷電粒子ビーム(以下、適宜ビームと称する)を患部に照射する治療方法が知られている。この治療に用いる荷電粒子照射システムは、荷電粒子ビーム発生装置,ビーム輸送系及び回転ガントリーに搭載された照射野形成装置を備える。荷電粒子ビーム発生装置により発生したビームはビーム輸送系を経て、照射野形成装置にて患部形状に形成される。回転ガントリーにより、患部標的に対して360°どの方向からでもビームを照射可能となっている。以下、ビーム軸方向を深部方向、ビーム軸方向に垂直な方向を横方向と呼ぶ。
荷電粒子ビームが物質に入射すると、ビームのエネルギーによって決まる特定の深さにピークを有する線量分布が形成される。この線量分布をブラッグカーブと呼び、そのピークをブラッグピークと呼ぶ。ブラッグピークの広がりは深さ方向に数mmと狭い。また、大概ビームの太さも患部の大きさに比べ小さい。そこで、患部標的に満遍なくビームを照射するためには、横方向にも深部方向にも線量分布を拡大する必要がある。
荷電粒子ビームの線量分布を横方向および深部方向に拡大する方法として、スキャニング照射法や散乱体照射法が知られている。スキャニング照射法とは、照射野形成装置内に走査電磁石を備え、走査電磁石によりビームを走査して標的全体を塗りつぶすように照射する方法である。散乱体照射法とは、照射野形成装置に荷電粒子ビーム散乱体を備え、散乱体によりビームを拡大し、標的の横方向形状に合致するコリメータを用いて荷電粒子ビームを照射する方法である。
スキャニング照射法において深部方向に標的大に線量分布を形成するためには、複数のエネルギーの荷電粒子ビームを照射する方法がある。すなわち、荷電粒子ビーム発生装置で所望エネルギーまで加速したビームを標的に照射しては、別のエネルギーまで加速したビームを再度標的に照射し、深さの異なるブラッグピークを形成する。それらを適切な比率で重ね合わせてSOBP(Spread Out Bragg Peak)を形成し、所望の深部線量分布を形成する。散乱体照射法では、一定エネルギーの荷電粒子ビームを、リッジフィルターやRMW(Range Modulation Wheel)に入射させ、物質内を透過させることで、複数のエネルギー成分を持つ荷電粒子ビームを生成し、SOBPを形成することもできる。
粒子線治療システムでは、定期的に深部方向の線量分布(ブラッグカーブ及び深部線量分布)を測定し、照射野形成装置から出射されるビームのエネルギー変動やSOBPの形状、幅等が変化していないか、検証する必要がある。
この線量分布の検証のための測定には、一般的に水が充填された密閉水槽内に小型の放射線計測器を内部に搭載した水ファントム型線量分布測定装置(以下、水ファントムと表す)が用いられている(特許文献1参照)。
また、特許文献2では、深部方向の線量分布の測定に、複数の電離箱を積層した構造を持った積層型検出器が開示されている。
特開平11−64530号公報 特開2011−153833号公報
ここで、上述の特許文献1に示すように、深部方向の線量分布の測定に水ファントムを使用した場合、小型の放射線検出器をモーター駆動によって水ファントム内部で移動させながら線量分布を測定するため、一回の測定に多くの時間を要していた。
また、実際の治療では、回転ガントリーを用いて様々な照射角度からビームを照射するため、様々な照射角度における深部方向の線量分布を測定することが望まれている。
しかしながら、上述の特許文献2の積層型検出器では、積層型検出器をカウチ上に固定して深部方向の線量分布を測定する必要があるため、任意の照射角度における深部方向の線量分布を測定する場合、ビーム軸が正確に積層型検出器の中心を通るよう積層型検出器を傾けた状態でカウチ上に固定する必要がある。その固定のための作業に時間がかかるため、特許文献2に記載の積層型検出器でも測定角度の変更に対応することが非常に難しいとの問題があった。
本発明は、粒子線治療システムにおいて、定期的に線量分布を測定する際に、任意の照射角度における深部方向の線量分布を、高い精度で短時間で容易に測定することができる線量分布測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、荷電粒子ビームの深部方向線量分布を測定する線量分布測定装置であって、前記荷電粒子ビームの進行方向に対して積層配置され、前記荷電粒子ビームに反応する複数のセンサー要素を有するセンサー部と、前記センサー部を前記照射野形成装置に対して着脱可能にした取り付け機構と、前記荷電粒子ビームを照射する回転ガントリーに搭載された照射野形成装置に対する前記センサー部の取り付け角度を調整する角度調整機構と、前記照射野形成装置に対する前記センサー部の水平方向位置を調整する水平方向位置調整機構とを備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、任意の照射角度における深部方向の線量分布を、積層型検出器を用いて容易に測定することが出来、これによって短時間で高精度の線量分布を測定することが可能となる。
本発明の実施例の線量分布測定装置を陽子線照射装置へ適用した例を示す図である。 本発明の実施例の線量分布測定装置が照射野形成部の先端に取り付けられた状態を示す正面図である。 図2に示す本実施例の線量分布測定装置の取り付け部の詳細を示す正面図である。 図2に示す本実施例の線量分布測定装置の構成図である。 図2に示す本実施例の線量分布測定装置の角度調整機構の構成図である。 図2に示す本実施例の線量分布測定装置のセンサー部の構成図である。 図6に示す本実施例の線量分布測定装置のセンサー部における電荷収集用プリント基板の構成図である。 図6に示す本実施例の線量分布測定装置のセンサー部における高電圧印加用プリント基板の構成図である。 ビームのエネルギーが70MeVの場合において、モンテカルロシミュレーションを用いて計算した、本実施例の線量分布測定装置の空気層によるビームのエネルギー減衰の補正前のブラッグカーブの比較を示す図である。 ビームのエネルギーが70MeVの場合において、モンテカルロシミュレーションを用いて計算した、本実施例の線量分布測定装置の空気層によるビームのエネルギー減衰の補正後のブラッグカーブの比較を示す図である。 立体角の補正係数の導出に関する、線量分布測定装置と仮想線源との位置関係を示した図である。 立体角の補正係数の導出に関する、線量分布測定装置のセンサー部表面がアイソセンタにあると仮定した場合の仮想線源との位置関係を示した図である。
本発明の線量分布測定装置の実施例を、図1乃至図12を用いて説明する。
本発明の実施例における線量分布測定装置は、荷電粒子ビーム照射システム中の、回転ガントリーを備えた回転式照射装置105を有する陽子線照射装置102の調整及び性能評価を行うために用いるものである。
本発明の線量分布測定装置101は、陽子線照射装置102から任意の回転角度で照射されたビームが水中に形成するブラッグカーブを計測する。以下の実施例ではスキャニング照射法を例として説明するが、散乱体照射法を用いた場合にも実施可能である。
図1を用いて、陽子線照射装置102の構成について説明する。
図1に示すように、陽子線照射装置102は陽子線発生装置103,陽子線輸送装置104及び回転式照射装置105を有する。
陽子線発生装置103は、イオン源106,前段加速器107(例えば、直線加速器)及びシンクロトロン108を有する。
陽子線発生装置103では、まず、イオン源106から発生した陽子イオンを前段加速器107で加速する。前段加速器107から出射した陽子線(以下、ビーム)は、シンクロトロン108で所定のエネルギーまで加速された後、出射デフレクタ109から陽子線輸送装置104に出射され、回転式照射装置105を経て線量分布測定装置101に照射される。
回転式照射装置105は、回転ガントリー及び照射野形成装置110を有する。回転ガントリーに設置された照射野形成装置110は、回転ガントリーと共に回転する。陽子線輸送装置104の一部は回転ガントリーに取り付けられている。本実施例では陽子線の加速装置としてシンクロトロン108を採用したが、サイクロトロンや直線加速器であってもよい。
本実施例の照射野形成装置110において実現されるスキャニング照射法の概略を説明する。
まず、スポットスキャニング照射法では、照射範囲を微少領域(スポット)に分割し、スポット毎にビームを照射する。スポットに既定線量が付与されると、照射を停止して次の既定スポットに向けてビームを走査する。照射スポットを横方向に変更する場合は照射野形成装置110に搭載した2対の走査電磁石(図示せず)を用いてビームの照射位置を変更する。ある深さについてすべてのスポットに既定線量が付与されると、ビームのエネルギーをシンクロトロン108もしくは照射野形成装置110等に搭載した複数枚のレンジシフタ209からなるレンジシフタ部204(図2,図3参照)で変更して照射スポットを深部方向に変更する。このような手順を繰り返して最終的に全てのスポットに一様な線量が付与される。
また、ラスタースキャニング照射法では、照射範囲を複数の層に分割し、各層に設定した照射ラインに沿って、2対の走査電磁石を用いてビームを走査しながら連続照射し、照射範囲に線量を付与する。ある層の照射範囲に対して所定の線量の付与を完了すると、スポットスキャニング照射法と同様の手法を用いて、ビームのエネルギーを変更して深部方向に照射層を変更する。このような手順を繰り返すことにより、照射範囲に一様な線量を付与する。
本実施例においては、走査電磁石を励磁しない状態でビームの中心が通る直線をビーム軸と呼ぶ。また、回転式照射装置105の回転軸とガントリー角度0°の場合のビーム軸との交点をアイソセンタ208と呼ぶ。
図2乃至図5を用いて線量分布測定装置101の構成を説明する。図2は本実施例の線量分布測定装置101を照射野形成装置110の先端に取り付けた状態を示す。また、図3は、線量分布測定装置101の構成とその制御システムを示す。図4は本実施例の線量分布測定装置101を照射野形成装置110に取り付ける取り付け部の構成と水平方向位置調整機構の概略を示す。図5は、線量分布測定装置101における角度調整機構203の構成を示す。
本実施例の線量分布測定装置101は、照射野形成装置110の先端に着脱可能な構成である。この線量分布測定装置101は、図2乃至図4に示すように、X軸位置調整機構201、Y軸位置調整機構202、角度調整機構203、レンジシフタ部204、センサー部205、筐体A206、筐体B207及び制御部300を有する。
制御部300は、図3に示すように、レンジシフタ駆動制御装置301、高電圧電源302、信号処理装置303及び主制御装置304を概略有している。
放射線測定装置101は、図4に示すように、取り付け用冶具401及び取り付け用ねじ402を用いて照射野形成部110の先端に取り付けられている。
取り付け用冶具401は、ねじ部401aを有し、ねじ部401aはX軸位置調整機構201の移動面に固定されている。X軸位置調整機構201の移動面は2本の送りねじ201bによりX軸位置調整機構201の筐体201aに対してX軸方向に移動可能である。X軸位置調整機構201の移動面はボルト等により所望の位置に固定可能である。
X軸位置調整機構201は、Y軸位置調整機構202の移動面にボルト403とナット404とによって接続されている。Y軸位置調整機構202の移動面は2本の送りねじ202b(1本のみ図示)によりY軸位置調整機構202の筐体202aに対してY軸方向に移動可能である。Y軸位置調整機構202の移動面はボルト等により所望の位置に固定可能である。
なお、放射線測定装置の取り付け部の構成は着脱可能な取付け手段であれば、本機構によらない。
角度調整機構203は、照射野形成装置110に対するセンサー部205の取り付け角度を調整するものであり、図5に示すように、回転リング501と固定用冶具502とヒンジ機構503とを有しており、筐体A206に取り付け可能な構成となっている。
回転リング501は、Y軸位置調整機構202の筐体202aにボルト等により固定される内径部501aと、この内径部501aに対して回転可能に取り付けられた外径部501bとを有している。外径部501bはボルト等により内径部501aに対して所望の回転角度で固定可能である。ヒンジ機構503は、回転リング501の外径部501bに固定用冶具502を介して固定される支持部A503aと、筐体A206がボルト等により固定される支持部B503bと、支持部A503aに対する支持部B503bの角度を変更可能とする回転支持部503cとで構成される。支持部B503bは、ボルト等により支持部A503aに対して所望の角度で固定可能である。
レンジシフタ駆動制御装置301は、センサー部205の上流に所望の厚みのエネルギー吸収体が配置されるよう、レンジシフタ部204のレンジシフタ204を駆動・制御する。
主制御装置304は、線量分布測定装置101の計測制御、陽子線照射装置102のビーム照射制御を行う。また、線量分布測定装置101の計測結果から深部線量分布を演算する。この演算の際に、荷電粒子ビームの空気層によるエネルギーの減衰を考慮すべき場合は、空気層によるエネルギー減衰の補正を行う。
高電圧電源302及び信号処理装置303については後述する。
図2に示すように、センサー部205は、筐体A206の下流に設置されている筐体B207内に格納されている。また、図6に示すように、電荷収集用プリント基板(以下、基板A:センサー要素)601と高電圧印加用プリント基板(以下、基板B:センサー要素)603を深部方向へ交互に積層した構造である。基板A601と基板B603の間にはスペーサ602を挿入して電離層、即ち放射線の有感領域を形成する。スペーサ602は絶縁体である。電離層は電離ガスで満たされる。本実施例では電離層を大気開放し、空気を電離ガスとして用いる。電離層を密封し、外部のガスポンプを用いてアルゴン等の電離ガスを循環させる構成でも同様の効果が得られる。積層した基板A601,基板B603及びスペーサ602はボルト604を用いて固定する。ただし、基板A601,基板B603及びスペーサ602を安定して積層,固定できる方法であれば、本発明はボルト604を用いた固定方法に限らない。
図7に示すように、本実施例の基板A601は、電極が3つの領域へ電気的に分割される。基板A601の中心を含む領域(中心領域)が小電極(第1電極)701、小電極701を取り囲む領域が大電極(第2電極)702、最も外側の領域がガード電極(第3電極)703である。小電極701は導線704に接続し、大電極702は導線705に接続し、ガード電極703は導線706に接続する。
このように、電極の各領域は、導線704,705,706とそれぞれ独立に接続する。小電極701に接続する導線704と大電極702に接続する導線705のもう一端は、基板の内層を通って信号処理装置303の入力側に接続する。つまり、導線704が小電極701と信号処理装置303を接続し、導線705が大電極702と信号処理装置303を接続する。
信号処理装置303は、既定時間中に基板A601の小電極701で発生した電荷と、大電極702で発生した電荷を、導線704,705を介して入力し、それぞれ独立に積算し、積算値を主制御装置304に送信する。
ガード電極703に接続する導線706の一端は接地する。ガード電極703は、基板B603から小電極701及び大電極702へのリーク電流を防止する。
本実施例では、基板A601の電極を二重同心円状に分割(小電極701と大電極702)したが、電離層で発生した電荷の収集電極の形状が中心領域とその領域を取り囲む領域へ電気的に分割されており、各領域から独立して電荷を収集できる構成であれば、本実施例と同様の効果が得られる。
基板A601の電極は、両面対称構造であり、表面と同様に裏面に面した電離層からも電荷を収集する。小電極701と大電極702を足し合わせたものは、線量分布測定装置101中の散乱とドリフトによって横方向へ2次元ガウス分布状に広がったスキャニング照射法のビーム(分散3〜20mm)を十分捕獲可能な面積及び形状を有する。
図8に示すように、基板B603の電極は、2つの領域へ電気的に分割される。中心領域が高電圧印加電極801、外側がガード電極802である。
高電圧印加電極801は導線803に接続し、ガード電極802は導線804に接続する。このように、電極の各領域は導線803,804とそれぞれ独立に接続する。導線803は高電圧印加電極801と高電圧電源302を接続し、高電圧電源302からの高電圧(数千V以下)を高電圧印加電極801に印加する。
高電圧電源302は、この導線803を介して、センサー部205内の基板Bの高電圧印加電極801に高電圧を印可する。
ガード電極802と接続する導線804の一端は接地する。ガード電極802は基板B603から基板A601の小電極701及び大電極702へのリーク電流を防止する。
基板B603の電極は両面対称構造であり、表面と同様に裏面の高電圧印加電極801にも高電圧が印加される。基板Aの小電極701及び大電極702はほぼ0Vであり、電圧印可電極801に高電圧が印可されている間は、小電極701,大電極702と高電圧印可電極801との間に電離層が形成され、この電離層には電場が生じる。
本実施例のように、電離層と、電離層を挟んで配置した2枚の電極で構成される放射線検出用センサーのことを電離箱という。本実施例では基板A601を電気的に二重同心円状に3つの領域に分割しているが、電気的に2つ以上の領域に分割されていれば、基板A601の構成は本実施例の構成によらない。本実施例のセンサー部205は電離箱をビーム照射方向に積層した構造といえる。
線量分布測定装置101のセンサー部205を構成する電離箱は、放射線照射によって電荷を発生する半導体検出器やシンチレーションカウンタに置き換えることが可能である。即ち、センサー部205が、ビーム照射方向に半導体検出器やシンチレーションカウンタをビームの通過方向に対して複数積層した構造であれば、本実施例と同様の効果が得られる。
本実施例の線量分布測定装置101では、センサー部205内の基板間隔よりも細かくブラッグカーブを計測するために、厚さの異なる複数枚のレンジシフタ209が筐体A206に格納され、センサー部205の上流側に配置されている。陽子線照射装置102の調整及び性能評価の項目に応じて、レンジシフタ209をビーム通過位置に1枚または複数枚配置してビームのエネルギーを減衰させ、線量分布測定装置101の計測位置を深部方向に変更する。本実施例では、厚さが0.1mm,0.2mm,0.4mm,0.8mm,1.6mm,3.2mm,6.4mmである計7枚のレンジシフタ209を使用する。但し、本実施例のレンジシフタ209の材質は、放射線に対する水との阻止能の比が1であるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂)とする。この構成により、0.1mm間隔で深部方向に計測位置を変更できる。変更範囲は0.1mmから12.7mmである。レンジシフタ209の素材と厚みの種類は陽子線照射装置102の調整及び性能評価の項目に応じて任意である。
ここで、正しい線量分布の測定結果を得るためには、ビームが小電極701の中心を垂直に入射するよう、照射野形成装置110に対してセンサー部205を適切な位置・角度に取り付けなければならない。ビームの軌道はアイソセンタ208を通過するよう陽子線輸送装置104及び回転式照射装置105内の電磁石により補正される。このビームの軌道補正等の影響により、照射野形成装置110にセンサー部205をただ取り付け固定しただけでは、ガントリー角度によってはビームが小電極701の中心に垂直に入射しないため、センサー部205の位置を調整する機構が必要となる。
そこで、本実施例の線量分布測定装置101では、送りねじ式の位置調整機構であるX軸位置調整機構201およびY軸位置調整機構202と、角度調整機構203とを利用して、ビームが小電極701の中心を垂直に入射するよう、センサー部205の照射野形成装置110に対する取り付け位置・角度を適切な位置・角度になるよう調整する。
例えば、照射野形成装置110に対するセンサー部205の水平方向位置をX軸位置調整機構201、Y軸位置調整機構202を用いて調整する。
具体的には、X軸位置調整機構201の送りねじ201bを緩めるもしくは締めることで、照射野形成装置110の先端が取り付けられているX軸位置調整機構201の移動面を動かし、照射ノズル110に対してX軸位置調整機構201の筐体201aをX軸方向に相対移動させる。
同様に、Y軸位置調整機構202の送りねじ202bを緩めるもしくは締めることで、X軸位置調整機構201の筐体201aが固定されているY軸位置調整機構202の移動面を動かし、照射野形成装置110に対してY軸位置調整機構202の筐体202aをY軸方向に相対移動させる。
このようにX軸位置調整機構201およびY軸位置調整機構202を用いることで、センサー部205を所定の位置に設定することが可能となる。
また、照射野形成装置110に対するセンサー部205の取り付け角度を角度調整機構203により調整する。
センサー部205の照射野形成装置110に対する設置角度を所定の角度へ調整するときは、まず、角度調整機構203は回転リング501を用いてセンサー部205の傾斜方向を設定する。また、ヒンジ機構503により傾斜角度を調整することで、センサー部205の設置角度を調整する。
なお、照射野形成装置110に対するセンサー部205の水平方向位置及び取り付け角度を調整する構成は、上記構成に限定されない。
本実施例の線量分布測定装置101を用いてブラッグカーブを計測する手順について以下説明する。
まず、操作者は、陽子線照射装置102の照射室(図示せず)に入り、線量分布測定装置101を照射野形成装置110の先端に固定する。その後、操作者は放射線感応フィルムをセンサー部205の上流に取り付ける。
操作者は、放射線感応フィルムの取り付け後は、任意のエネルギーのビームを出射し、フィルムを用いてビーム軸を測定するために、照射室から制御室(図示せず)に移動する。その後、操作者は、主制御装置304を設定してビーム開始信号を指示することで、陽子線照射装置102から、任意のエネルギーを有するビームを出射させる。
ビーム出射終了後、操作者は、制御室から照射室へ移動する。移動後、操作者は、センサー部205の上流に取り付けた放射線感応フィルムを確認してビーム軸の位置を確認し、ビーム軸と小電極701の中心が一致するようX軸位置調整機構201およびY軸位置調整機構202を調整してセンサー部205の水平方向位置を調整する。
次に、操作者は、アイソセンタ208上に金属球を設置し、線量分布測定装置101の下流中央部にレーザーマーカを固定する。レーザーマーカからのレーザーがアイソセンタ208上に設置した金属球に当たるよう、角度調整機構203を調整してセンサー部205の設置角度を調整し、位置決めする。
次に、操作者は、放射線感応フィルムをセンサー部205の上流に取り付ける。その後、再度ビーム軸を測定するために、操作者は、照射室から制御室(図示せず)に移動し、主制御装置304を設定してビーム開始信号を指示することで、陽子線照射装置102から、任意のエネルギーを有するビームを出射させる。
ビーム出射終了後、操作者は、制御室から照射室へ移動し、センサー部205の上流に取り付けた放射線感応フィルムを用いてビーム軸の位置を確認し、位置決めが適切であるか確認する。位置決めが不適切な場合、適切と判断できるまでセンサー部205の位置決め作業と、放射線感応フィルムによるビーム軸の測定を繰り返す。
なお、ビームが小電極701の中心を垂直に入射するようにセンサー部205を位置決めすることが可能な手順は上述の手順に限定されない。
位置決め完了後、操作者は、照射室から制御室(図示せず)に移動する。制御室では、操作者は、主制御装置304を用いて線量分布測定装置101の計測制御と陽子線照射装置102のビーム照射制御を行う。まず、操作者は、主制御装置304を通してレンジシフタ駆動制御装置301,高電圧電源302,信号処理装置303の電源を投入する。基板B603の高電圧印加電極801に高電圧が印加され、基板A601と基板B602との間の電離層に電場が発生する。本実施例では接地0Vに対して負極の高電圧を高電圧印加電極801に印加する。全てのレンジシフタ209はビーム通過位置から外れた状態で待機する。
その後、操作者は、主制御装置304に所望の計測間隔を設定する。本実施例では、ビームエネルギーが低い条件でのブラッグカーブ計測を想定して0.2mmに設定する。線量分布測定装置101本来の計測間隔、即ち1層分の水等価厚は1.0mmとする。空気のエネルギー損失量は無視できるので、基板A601または基板B603の1枚分の水等価厚が1.0mmである。ただし、本実施例では基板A601と基板B603は同じ水等価厚とする。
次に、操作者は、主制御装置304を通じて、陽子線照射装置102の照射条件(ビームエネルギー,照射スポット位置,照射スポット数等)を設定する。ブラッグカーブ計測ではビーム軸上のスポットに対してビーム照射するため、走査電磁石は励磁されない。その後、操作者がビーム照射開始の指示を行うと、陽子線照射装置102は主制御装置304に対して照射開始信号を送信する。照射開始信号を受信すると、主制御装置304は信号処理装置303へ計測開始信号を送信する。計測開始信号を受信すると、信号処理装置303は入力電荷の積算を開始する。直後、シンクロトロン108で加速されたビームは、陽子線輸送装置104を経て回転式照射装置105に出射される。最終的に、操作者が主制御装置304に設定した条件に従って線量分布測定装置101にビームが照射される。
操作者の設定した条件に従ってビーム照射を完了すると、陽子線照射装置102は主制御装置304に照射完了信号を送信する。照射完了信号を受信すると、主制御装置304は信号処理装置303に計測完了信号を送信する。計測完了信号を受信すると、信号処理装置303は電荷の積算を停止し、積算値をチャンネル毎に主制御装置304へ記録する。記録完了後、信号処理装置303は全チャンネルの積算値をリセットする。
積算値を記録すると、主制御装置304はレンジシフタ駆動制御装置301にレンジシフタ209の挿入を指示する。本実施例では、まず厚さ0.2mmのレンジシフタ209を挿入する。レンジシフタ209の挿入が完了すると、主制御装置304は最初に操作者が設定した照射条件で陽子線照射装置102に再度ビーム照射開始を指示する。ビーム通過位置からレンジシフタ209を全て外した最初の計測と同様に、線量分布測定装置101は電離層で発生した電荷を信号処理装置303で積算する。ビーム照射完了後に信号処理装置303が計測完了信号を受信すると、電荷の積算を停止して積算値をチャンネル毎に主制御装置304へ新たに記録する。記録完了後、信号処理装置303は全チャンネルの積算値をリセットする。積算値を記録すると主制御装置304は厚さ0.4mmのレンジシフタ209の挿入を指示する。厚さ0.2mmのレンジシフタ209はビーム通過位置から外される。レンジシフタ209の挿入が完了すると、主制御装置304は最初に操作者が設定した照射条件で陽子線照射装置102に再度ビーム照射開始を指示する。計測間隔0.2mmでブラッグカーブを計測するためには、このようにレンジシフタ209の厚みを0.0mm(ビーム通過位置からレンジシフタ209を全て外した状態),0.2mm,0.4mm,0.6mm(0.2mmと0.4mmのレンジシフタ209を1枚ずつ挿入した状態),0.8mmと5回変更して計測を繰り返す。
その後、主制御装置304は、ブラッグカーブを演算する。
具体的には、挿入したレンジシフタ209の厚みがrのとき、センサー部205の表面から数えてi番目の電離層(以下、電離層i)に面する小電極701で得られた積算電荷をQs(i,r)、大電極702で得られた積算電荷をQl(i,r)とする。レンジシフタ209の厚みを変更した全計測が完了すると、主制御装置304は、Qs(i,r)とQl(i,r)を加算してQ(i,r)を得る。事前に計測されている基板A601,基板、電離層及びレンジシフタ部204の水等価厚に基づいて、主制御装置304は、得られたQ(i,r)を深さ方向の積算電荷Q(z)に変換する。zは水面からの深さである。さらに、主制御装置304は、較正係数を乗じてQ(z)を単位深さあたりの水中でのエネルギー付与量D(z)へ変換する。主制御装置304は、先に得られたzについてのD(z)の分布、即ちブラッグカーブをディスプレイ(図示せず)に表示する。ディスプレイに表示されたブラッグカーブを確認して、操作者は、陽子線照射装置102の調整結果及び性能を評価する。操作者は、主制御装置304内のユーザーインターフェース(図示せず)を用いて、主制御装置304内の記憶装置(図示せず)に測定結果を保存し、次の角度の測定に移る。
全ての角度のブラッグカーブの測定完了後、操作者は、主制御装置304内のユーザーインターフェースを用いて、記憶装置に記憶した各ガントリー角度の測定結果をディスプレイに表示し、ガントリー角度ごとの変化を評価する。また、ユーザーインターフェースを用いて過去の測定結果をディスプレイに表示することにより、ブラッグカーブの計時変化を確認、評価する。
続いて、本実施例の線量分布測定装置101を用いた、アイソセンタ208付近における線量分布の導出方法について説明する。
アイソセンタ208付近における線量分布の測定方法には、水ファントムの水面やブラッグピーク位置をアイソセンタ208位置に合わせた測定方法など様々な測定方法がある。ここでは、水ファントムの水面をアイソセンタ208とした場合に水ファントムで測定されるブラッグカーブ(以下、アイソセンタ位置での分布)と同等のブラッグカーブを本実施例の線量分布測定装置101を用いて導出する方法について説明する。
まず、本発明の線量分布測定装置101では、センサー部205がアイソセンタ208の上流側に設置されるため、アイソセンタ208と照射野形成装置110先端の間に生じる空気層の影響によりセンサー部205に入射するビームのエネルギーが減衰する。このエネルギー減衰の影響により、線量分布測定装置101により測定されたブラッグカーブ(以下、測定結果)とアイソセンタ位置での分布において、ブラッグピークの位置が異なる(図9)。従ってエネルギーの減衰を考慮し、測定結果を補正することによりアイソセンタ位置での分布を導出する必要がある。
ここで、空気層におけるビームのエネルギー減衰量ΔE(単位[MeV])は、空気中の阻止能S(単位[MeV/(g/cm)])、空気層厚さl(単位[cm])、空気の密度d(単位[g/cm])とすると、ΔE=S×l×dの関係より計算される。主制御装置304は、操作者が設定したビームのエネルギーから計算した阻止能S及び照射野形成装置110の位置とアイソセンタ208の位置から計算した空気層厚さlを用いて、上述のΔE=S×l×dの関係よりエネルギー減衰量ΔEを計算する。
主制御装置304は、主制御装置304内の記憶装置(図示せず)に記憶されている参照用飛程データテーブルを用いて、入射ビームのエネルギー減衰量ΔEに伴う水中での飛程変動量Δlを計算する。主制御装置304は、測定結果をz軸(ビーム入射方向)負の向きに飛程変動量Δlだけずらすことにより、アイソセンタ位置での分布を得る。補正後の結果を図10に示すように、アイソセンタ位置での分布と、本実施例の線量分布測定装置101で測定した線量分布のブラッグカーブの位置を一致させることができる。
本実施例では、空気層厚さ、空気中の阻止能、空気の密度を用いた簡易計算によりエネルギーの減衰量を計算し、飛程変動量を計算したが、モンテカルロ計算コードから得た計算結果を用いて飛程変動量を補正してもよい。
本実施例の線量分布測定装置101を用いれば体積照射時の深部線量分布を計測できる。体積照射とは、スキャニング照射法の手順に従って被照射体の任意の領域へ一様線量を付与することである。
この体積照射時の深部線量分布を本実施例の線量分布測定装置101によって計測する方法について、以下説明する。
まず、操作者は照射室に線量分布測定装置101を照射野形成装置110の先端に固定した後、ブラッグカーブ計測の場合と同様の方法でセンサー部205の位置決めを行う。
位置決め完了後、操作者は照射室から制御室に移動し、体積照射時の深部線量分布を計測する。ビーム軸と平行な異なる軸上の深部線量分布を計測するため、位置決め完了後にX軸位置調整機構201,Y軸位置調整機構202を用いて平行移動させる。制御室では、主制御装置304を用いて線量分布測定装置101の計測制御と陽子線照射装置102のビーム照射制御を行う。まず、操作者は、主制御装置304を通してレンジシフタ駆動制御装置301,高電圧電源302,信号処理装置303の電源を投入する。操作者は、主制御装置304に所望の計測間隔を設定する。本実施例では0.2mmに設定する。
ブラッグカーブ計測と同様の手順で計測を開始する。操作者は、まず、主制御装置304から体積照射用の陽子線照射装置102の照射条件(ビームエネルギー,照射スポット位置,照射スポット数等)を設定し、ビーム照射開始を指示する。ここでは、体積照射時の横方向の照射範囲は小電極701に対して十分大きいものとする。ビーム照射開始の指示を受けると、陽子線照射装置102は主制御装置304に対して照射開始信号を送信する。照射開始信号を受信すると、主制御装置304は信号処理装置303へ計測開始信号を送信する。計測開始信号を受信すると信号処理装置303は入力側で発生する電荷を積算し始める。直後、シンクロトロン108で加速されたビームは陽子線輸送装置104を経て、回転式照射装置105に出射される。最終的に、操作者が主制御装置304に設定した条件に従って線量分布測定装置101へビームが照射される。あるスポットに既定線量が付与されると、照射を停止して次の既定スポットに向けてビームを走査する。照射スポットを横方向に変更する場合は走査電磁石でビームの照射位置を変更する。ある深さについてすべてのスポットに既定線量が付与されると、照射スポットを深部方向に変更する。照射スポットを深部方向に変更する場合はビームのエネルギーを加速器もしくはレンジシフタで変更する。最終的に全てのスポットに一様な線量が付与される。
操作者の設定した条件に従って体積照射が完了すると、陽子線照射装置102は主制御装置304に照射完了信号を送信する。照射完了信号を受信すると、主制御装置304は信号処理装置303に計測完了信号を送信する。計測完了信号を受信すると、信号処理装置303は電荷の積算を停止し、積算値をチャンネル毎に主制御装置304へ記録する。記録完了後、信号処理装置303は全チャンネルの積算値をリセットする。
積算値を記録すると、主制御装置304は、レンジシフタ駆動制御装置301にレンジシフタ209の挿入を指示する。本実施例では、まず厚さ0.2mmのレンジシフタ209を挿入する。レンジシフタ209の挿入が完了すると、主制御装置304は最初に操作者が設定した照射条件で陽子線照射装置102に再度体積照射開始を指示する。ビーム通過位置からレンジシフタ209を全て外した最初の計測と同様に、線量分布測定装置101は電離層で発生した電荷を信号処理装置303で積算する。ビーム照射完了後に信号処理装置303が計測完了信号を受信すると、電荷の積算を停止して積算値をチャンネル毎に主制御装置304へ新たに記録する。記録完了後、信号処理装置303は全チャンネルの積算値をリセットする。積算値を記録すると主制御装置304は厚さ0.4mmのレンジシフタ209の挿入を指示する。厚さ0.2mmのレンジシフタ209はビーム通過位置から外される。レンジシフタ209の挿入が完了すると、主制御装置304は、最初に操作者が設定した照射条件で陽子線照射装置102に再度体積照射開始を指示する。計測間隔0.2mmで深部線量分布を計測するため、レンジシフタ209の厚みを0.0mm(ビーム通過位置からレンジシフタ209を全て外した状態),0.2mm,0.4mm,0.6mm(0.2mmと0.4mmのレンジシフタ209を1枚ずつ挿入した状態),0.8mmと5回変更して計測を繰り返す。
小電極701の面積は体積照射時の横方向の照射範囲と比べて十分小さく、計測で得られた線量は線量分布測定装置101中における小電極701中心の局所的な線量と等価である。挿入したレンジシフタ209の厚みがrのとき、センサー部205の表面から数えてj番目の電離層(以下、電離層j)に面する小電極701で得られた積算電荷をQs(j,r)とする。レンジシフタ209の厚みを変更した全計測が完了すると、ブラッグカーブ計測の場合と同様の方法で、主制御装置304はQs(j,r)を深さ方向の積算電荷量Qs(z)に変換する。その後、主制御装置304は得られたQs(z)を水中線量Ds(z)に換算し、zについてディスプレイへ表示する。ディスプレイに表示された深部線量分布を確認して、操作者は陽子線照射装置102の調整結果及び性能を評価する。操作者は主制御装置304内のユーザーインターフェース(図示せず)を用いて、主制御装置304内の記憶装置(図示せず)に測定結果を保存し、次の角度の測定に移る。
全ての角度のブラッグカーブの測定完了後、操作者は主制御装置304内のユーザーインターフェースを用いて、記憶装置に記憶した各ガントリー角度の測定結果をディスプレイに表示し、ガントリー角度ごとの変化を評価する。また、ユーザーインターフェースを用いて過去の測定結果をディスプレイに表示することにより、深部線量分布の計時変化を確認、評価する。
ここで、体積照射を行った際に、アイソセンタ208付近での深部線量分布を得るための補正方法について説明する。ブラッグカーブ測定と同様に、水ファントムの水面をアイソセンタ208とした場合に水ファントムで測定される深部線量分布(以下、アイソセンタ位置での分布)を例にして、補正方法を説明する。
本実施例の線量分布測定装置101による深部線量分布の測定では、線量分布測定装置101を照射野形成装置110に取り付けるため、センサー部205がアイソセンタ208から離れた位置にある。また、検出面が照射野に比べて小さい小電極701で測定する。このため、立体角の補正をセンサー部205内の各電離層に対して行う必要がある。図11および図12を用いて立体角の補正係数の導出について説明する。
図11に示すように、照射野形成装置110に搭載されている2対の走査電磁石の中点を仮想線源位置901とし、仮想線源位置901からセンサー部205表面までの距離をLf、図12に示すように、仮想線源位置901とセンサー部205の表面がアイソセンタ208にあると仮定した場合のセンサー部の位置903との間の距離をLi、センサー部の表面から数えてj番目の電離層902までの距離をL(j)とすると、電離層jに関する立体角の補正係数は(Lf+L(j))/(Li+L(j))で表わされる。
そこで、主制御装置304を用いて、電離層jに面する小電極701で得られる積算電荷Qs(j,r)に、この補正係数(Lf+L(j))/(Li+L(j))を乗じた後、水中線量Ds(z)に変換することにより立体角の補正を行うことができる。
続いて、空気層の影響による飛程変動の補正を行う。飛程変動量Δlはビームの入射エネルギーによって大きく変化しないため、体積照射に使用するビームの最低ビームエネルギーELを用いて、空気層の影響による飛程変動量Δlを導出する。
まず、主制御装置304は、操作者が設定した照射条件から最低ビームエネルギーELを選択し、最低ビームエネルギーELから計算した阻止能S及び照射野形成装置110位置から計算した空気層厚さlを用いて、最低ビームエネルギーELにおけるエネルギー減衰量ΔEを計算する。
その後、主制御装置304は、主制御装置304内の記憶装置(図示せず)に記憶されている参照用飛程データテーブルを用いて、エネルギー減衰量ΔEに伴う水中での飛程変動量Δlを計算し、立体角補正を行った深部線量分布Ds(z)をz軸(ビーム入射方向)負の向きに飛程変動量Δlだけずらすことにより、アイソセンタ位置での分布を得る。
例えば、任意の照射角度で飛程5cmのビームのブラッグカーブを0.2mm間隔で測定する場合、線量分布の計測部として水ファントムを用いた場合は水ファントム内の放射線計測装置を0.2mmずつ移動させて線量分布を測定するため、計250回の測定が必要だった。これに対し、本実施例の線量分布測定装置101であれば、電離箱を積層した構造であるセンサー部205を計測部として用いるため、レンジシフタ209の厚みを変更し5回の測定を行うだけで良く、測定回数は1/50と大幅に短縮される。
本実施例の線量分布測定装置101では、線量分布の計測部として水が充填されている密閉水槽を使用する水ファントムを用いないため、ガントリー回転中などにおける水漏れが生じず、故障の危険性を低減することができる。また、密閉水槽を使用しないため、低エネルギーのビームのブラッグカーブ及び深部線量分布を測定することが可能となる。更に、本実施例の線量分布測定装置ではアイソセンタ208の上流にセンサー部205を配置することによってコンパクトな構成とすることができる。
なお、本発明は上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。
例えば、本実施例では、放射線照射装置として陽子線照射装置102を例に説明したが、陽子より質量の重い粒子(炭素線等)を用いた重粒子線照射装置にも適用することが可能である。この場合、線量分布測定装置は、重粒子線照射装置から照射された重粒子ビームが水中に形成するブラッグカーブ、深部線量分布を計測する。
更に、本発明の線量分布測定装置であれば、照射装置の線種が光子線,電子線,ミュオン線,パイ中間子線であっても、深部線量分布を計測することができ、上記実施例と同様の効果が得られる。
101…線量分布測定装置、
102…陽子線照射装置、
103…陽子線発生装置、
104…陽子線輸送装置、
105…回転式照射装置、
106…イオン源、
107…前段加速器、
108…シンクロトロン、
109…出射デフレクタ、
110…照射野形成装置、
201…X軸位置調整機構、
202…Y軸位置調整機構、
203…角度調整機構、
204…レンジシフタ部、
205…センサー部、
206…筐体A、
207…筐体B、
208…アイソセンタ、
209…レンジシフタ、
300…制御部、
301…レンジシフタ駆動制御装置、
302…高電圧電源、
303…信号処理装置、
304…主制御装置、
401…取り付け用冶具、
402…取り付け用ねじ、
403…ボルトA、
404…ナット、
501…回転リング、
502…固定用冶具、
503…ヒンジ機構、
601…電荷収集用プリント基板(基板A)、
602…スペーサ、
603…高電圧印加用プリント基板(基板B)、
604…ボルト、
701…小電極(第1電極)、
702…大電極(第2電極)、
703…ガード電極(第3電極)、
704,705,706,803,804…導線、
801…高電圧印加電極、
802…ガード電極、
901…仮想線源位置、
902…センサー部の表面から数えてj番目の電離層、
903…センサー部の表面がアイソセンタにあると仮定した場合のセンサー部。

Claims (5)

  1. 荷電粒子ビームの深部方向線量分布を測定する線量分布測定装置であって、
    前記荷電粒子ビームの進行方向に対して積層配置され、前記荷電粒子ビームに反応する複数のセンサー要素を有するセンサー部と、
    前記センサー部を前記照射野形成装置に対して着脱可能にした取り付け機構と、
    前記荷電粒子ビームを照射する回転ガントリーに搭載された照射野形成装置に対する前記センサー部の取り付け角度を調整する角度調整機構と、
    前記照射野形成装置に対する前記センサー部の水平方向位置を調整する水平方向位置調整機構とを備えた
    ことを特徴とする線量分布測定装置。
  2. 請求項1に記載の線量分布測定装置において、
    前記複数のセンサー要素のそれぞれが検出した積算電荷に基づいて得られた深部方向の線量分布に対して、前記複数のセンサー要素とアイソセンタとの間の空気量による前記荷電粒子ビームの減衰の補正を行い、前記アイソセンタ位置での深部方向の線量分布を導出する制御装置を更に備える
    ことを特徴とする線量分布測定装置。
  3. 請求項2に記載の線量分布測定装置において、
    前記制御装置は、更に、前記センサー要素と前記アイソセンタ位置との間の距離に応じた立体角の補正を行い、前記アイソセンタ位置での深部方向の線量分布を導出する
    ことを特徴とする線量分布測定装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の線量分布測定装置において、
    前記センサー要素は、このセンサー要素の中心部に位置する中心領域と、この中心領域を取り囲む他の領域とに分割され、前記中心領域および前記他の領域からの出力を独立して計測するよう構成された
    ことを特徴とする線量分布測定装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の線量分布測定装置において、
    前記センサー要素は、電離箱、放射線照射によって電流を発生させる半導体検出器、シンチレーションカウンタのうちいずれかである
    ことを特徴とする線量分布測定装置。
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