JP2010175309A - 放射線計測装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のイオンチェンバー210を積層した放射線計測装置であって、イオンチェンバー210は、放射線の入射により発生した信号を取り出す信号取り出し電極と、信号取り出し電極と対向して配置される電圧印加電極と、イオンチェンバー及び他の前記イオンチェンバーの間に配置され、イオンチェンバーの放射線阻止能に関する水等価厚と放射線拡散量に関する水等価厚を一致させる調整体を備える。
【選択図】図2
Description
この積層型計測器は、炭素線の照射方向(以下、縦方向)に対してイオンチェンバーを多数積層した計測器で構成される。積層型計測器に放射線を照射すると、積層型計測器内における線量分布を一度に計測できる。積層型計測器による、線量計測時間の短縮が期待されている。
SPM201によれば、スキャニング照射法等によって照射された陽子線の重心位置と、横方向に対する陽子線の広がりを、線量計測部204と比較して精度良く計測できる。また、SPM201は、図1に示す陽子線照射装置102の調整項目及び性能評価項目に応じて、脱着可能な構成である。SPM201は、ビーム進行方向に対して線量計測部204よりも上流側に配置される。
.4mmの7つのエネルギー吸収体)を有する。一つのエネルギー吸収体、又は複数のエネルギー吸収体を組み合わせてビーム通過位置に配置することで、ビーム進行方向の計測位置(通過する陽子線のエネルギー)を変えることができる。本実施例のレンジシフタ202の場合、0.1mm間隔で縦方向の計測範囲を変更でき、変更範囲は0.1mmから12.7mmである。ただし、使用されるレンジシフタ202の素材と厚みの種類は、陽子線照射装置102の調整及び性能評価の項目に応じて任意である。本実施例では、レンジシフタの素材としてABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂)製の板を使用する。レンジシフタ202は、ビーム進行方向に対して
線量計測部204よりも上流側に配置される。
イオンチェンバー210は1枚ずつ脱着可能であり、ある層のイオンチェンバーが故障した場合、ただちに交換できる。ただし、イオンチェンバー210の積層数は、陽子線照射装置102の調整及び性能評価の項目に応じて任意である。イオンチェンバー210は、陽子線の線量に感度を持つセンサー部211と、信号処理装置212を有する。
、導体で形成された信号線310が電気的に接続されている。十字状に分割されていない信号電極四隅の大型素子(第2素子)311も、それぞれ信号線310が電気的に接続されている。信号線310は、信号電極基板304の裏側を通って信号電極基板304の外側まで延長される。電場が一様である領域を使うため、電極の端から数mmの範囲312は
使用せず、信号電極306の外部で接地される。また信号電極の素子309,大型素子311は、信号線310と抵抗を介して接地される。高電圧電極307には、高電圧線313が電気的に接続されている。高電圧線313は、高電圧電極基板305の裏側を通って高電圧電極基板305の外側まで延長される。高電圧電極307には、高電圧線313を介して数百ボルト程度の電圧がかけられている。ただし、信号電極306及び高電圧電極307のパターンや信号線310の配線方法については、図1に示す陽子線照射装置102の調整及び性能評価の項目に応じて任意である。
具体的には、まずセンサー部211と、厚みがセンサー部211と同じである水に対して初期条件が等しい陽子線を照射し、陽子線のエネルギー損失に関する比較と拡散量に関する比較をそれぞれ行う。これを調整体302,スペーサ303,信号電極基板304の厚み、高電圧電極基板305の厚み、及び調整体302の素材に関して異なる組み合わせで繰り返し試行し、エネルギー損失と拡散量がそれぞれ同時に近い値となる組み合わせをセンサー部211の構造として採用する。即ち、本実施例におけるセンサー部211は、巨視的には陽子線に対して水と同じ性質である。従って本実施例において、図2に示すイオンチェンバー210を積層した線量計測部204内で形成される陽子線の線量分布は、水中における陽子線の線量分布と等価である。ここで、阻止能とは、ある物質・物体において、通過した放射線にエネルギー損失を与える能力を示す。例えば、阻止能の高い物質・物体では、通過した陽子線は大きくエネルギー損失することになる。また、拡散量とは、ある物質・物体を通過した放射線における、位相空間(X[mm],X′[rad])分布の変化量(特に増加量)を示す。Xはある1陽子に関するビーム軸からの距離で陽子線の実空間上の広がりを示し、ビーム軸上に存在する陽子はX=0mmである。X′はある1陽子
の進行方向とビーム進行方向がなす角度でXの変化量を示し、ビーム進行方向と順平行に進行する陽子はX′=0radである。なお、調整体302,スペーサ303,信号電極基板304の厚み、高電圧電極基板305の厚み、及び調整体302の素材に関して、センサー部211に関する陽子線阻止能の水等価厚と、陽子線拡散量の水等価厚が一致する組み合わせでセンサー部211を構成しても、同様の効果が得られる。ただし、図2に示す線量計測部204で得られた線量分布を水中の線量分布に換算する場合、線量計測部204で得られた線量分布をセンサー部211の水等価厚に従って補正する必要がある。ここで、阻止能の水等価厚とは、ある阻止能の物質・物体と同等のエネルギー損失を水で発生させようとした場合に、必要とされる水の厚みを示す。また、拡散量の水等価厚とは、ある物質・物体を通過した放射線と同等の拡散量を水で与えようとした場合に、必要とされる水の厚みを示す。
また、主制御装置206を使って、陽子線照射装置102の制御も行われる。まず操作者は、主制御装置206に備わるユーザーインターフェース(図示せず)を使ってSPM201と線量計測部204の電源を投入する。線量計測部204への電源投入により、イオンチェンバー210のセンサー部211に高電圧がかかり、さらに信号処理装置212が動作可能になる。
1では、線量計測部204上流へのレンジシフタ202挿入によって、注目する計測位置を縦方向に平行移動できる。移動可能な間隔は、挿入可能なレンジシフタ202における最小の厚みで決まり、0.1mmである。最大の平行移動量は、挿入可能なレンジシフタ202の合計で、12.7mmである。従って、イオンチェンバー210の厚みよりも細かい0.1mmの間隔で線量分布を計測できる。レンジシフタ202の挿入によって計測位置を縦方向に平行移動させる場合、計測の前に操作者は、所望の平行移動量を主制御装置206に入力する。入力が完了すると、まず、入力された平行移動量の分だけ縦方向に可動天板B208が走査される。可動天板B208の走査が完了すると、可動天板B208の走査によって形成された空間に、平行移動量分の厚みであるレンジシフタ202がレンジシフタ挿入機構203によって挿入される。この状態で陽子の線量分布を計測すると、平行移動の分だけ深い位置での線量分布が放射線計測器で計測される。また、可動天板B208を横方向に走査することで、横方向の計測点も細かく計測できる。任意の位置への可動天板B208の走査は、レンジシフタ202の挿入と同様に、制御室の主制御装置206から実行できる。照射野形成装置110に備わる線量モニター(図示せず)等で計測した陽子線のビーム強度が主制御装置206に記録されるので、レンジシフタ202の厚みを変更して繰り返し計測しても、操作者は各計測毎に得られた線量の相対値を把握できる。
した結果である。図8(b)は、図8(a)と同様の方法で示した、本実施例の放射線計測器で計測される250MeVの陽子線の縦方向線量分布である。なお、図8(a)(b)には、70MeVと250MeVの陽子線が水中で形成する縦方向線量分布をそれぞれ重ねて示した。本実施例の放射線計測器によって計測される線量分布は、±5%以内で水中での線量分布と一致している。また図8(c)には、250MeV陽子線の形成するブラッグピーク近傍における横方向の線量分布を示した。図8(c)に示す横方向線量分布の分散も、水中での結果と±5%以内で一致している。
102 陽子線照射装置
103 陽子線発生装置
104 陽子線輸送装置
105 回転式照射装置
106 イオン源
107 前段加速器
108 シンクロトロン
109 出射デフレクタ
110 照射野形成装置
201 スポットポジションモニター
202 レンジシフタ
203 レンジシフタ挿入機構
204 線量計測部
205 可動装置
206 主制御装置
207 可動天板A
208 可動天板B
209 車輪
210 イオンチェンバー
211 センサー部
212 信号処理装置
302 調整体
303 スペーサ
304 信号電極基板
305 高電圧電極基板
306 信号電極
307 高電圧電極
308 ネジ
309 素子
310 信号線
311 大素子
312 不使用領域
313 高電圧線
Claims (7)
- 複数のイオンチェンバーを積層した放射線計測装置であって、
前記イオンチェンバーは、
放射線の入射により発生した信号を取り出す信号取り出し電極と、
前記信号取り出し電極と対向して配置される電圧印加電極と、
前記イオンチェンバー及び他の前記イオンチェンバーの間に配置され、前記イオンチェンバーの放射線阻止能に関する水等価厚と放射線拡散量に関する水等価厚を一致させる調整体を備えることを特徴とする放射線計測装置。 - 請求項1に記載の放射線計測装置であって、
前記調整体は、前記イオンチェンバーでの放射線阻止能及び放射線拡散量が、前記放射線の進行方向における前記イオンチェンバーの厚みと同じ長さの水を通過したときの放射線阻止能及び放射線拡散量と同じになるように調整することを特徴とする放射線計測装置。 - 請求項1に記載の放射線計測装置であって、
前記調整体は、2.0g/cm3以下の密度を有する合成樹脂で構成されることを特徴とする放射線計測装置。 - 請求項2に記載の放射線計測装置であって、
前記調整体は、前記イオンチェンバーを通過した放射線のエネルギー損失量と、前記イオンチェンバーを通過した放射線の空間分散と、前記イオンチェンバーを通過した放射線の散乱角分散が、それぞれ前記イオンチェンバーと同じ厚みの水を通過した放射線のエネルギー損失量と、前記イオンチェンバーと同じ厚みの水を通過した放射線の空間分散と、前記イオンチェンバーと同じ厚みの水を通過した放射線の散乱角分散と、±5%以内で一致するように調整することを特徴とする放射線計測装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線計測装置であって、
前記信号取り出し電極から出力される信号に基づいて、前記放射線が形成する線量分布を求める制御装置を備えることを特徴とする放射線計測装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線計測装置であって、
前記放射線の進行方向に対して前記イオンチェンバーより上流側に配置され、通過した前記放射線のエネルギーを変更するレンジシフタを備えることを特徴とする放射線計測装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線計測装置であって、
前記放射線の進行方向に対して前記レンジシフタより上流側に配置され、前記放射線の通過位置を測定する位置モニターを備えることを特徴とする放射線計測装置。
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