JP6370651B2 - 薬液調製方法及び薬液調製装置、並びに化学洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、火力発電システム中のボイラの火炉壁管内面などに形成されるヘマタイトのスケール及びマグネタイトのスケールを除去するための化学洗浄方法と、それに用いる洗浄用薬液を調整する方法及び洗浄用薬液を調整する装置に関する。
ボイラ給水系統に酸素処理が適用される火力発電システムでは、貫流ボイラの火炉壁管のメタル温度が上昇する事象が発生し、火炉壁管破損によるボイラ給水の漏洩の発生が問題となっている。火炉壁管のメタル温度上昇は、低圧給水加熱器ドレン系統または給水系統の配管から鉄が溶出してヘマタイト(Fe)が生成し、ヘマタイトが火炉壁管内面に付着・堆積して熱伝導が悪くなることが原因である。
上述の火炉壁管の漏洩不適合を予防するために、定期的に火炉壁管の化学洗浄を実施し、管内面に堆積したヘマタイト等の鉄系酸化物からなるスケールを除去することが行われている。
従来、化学洗浄には、酸性の洗浄液(塩酸など)が用いられる。特許文献1は、ガスタービン及び蒸気タービンの複合発電プラントにおいて、蒸気ドラムにアルカリ性の洗浄薬品(例えば水酸化ナトリウム)を入れガスタービンを無負荷以上の負荷運転を行うことによって排熱回収ボイラの管内を洗浄する方法を開示している。特許文献2は、排熱回収ボイラの排ガス供給口および排ガス出口を閉塞した状態で、伝熱管内に加熱された洗浄液を流通させる洗浄方法を開示している。
また、特許文献3は、ボイラ運転中にボイラ水系にアルドン酸またはアルドン酸塩と、キレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸)とを添加することにより、スケールを除去する方法を開示している。
特開平9−79504号公報(段落[0009]及び段落[0014]) 特開平11−37405号公報(請求項1) 特開2011−212591号公報(請求項1)
従来のように酸性の洗浄液を使用する場合、洗浄中に水素ガスが発生するので、化学洗浄は火気を用いる機械・電気工事と並行して作業することができない。このように、化学洗浄を実施している間は、洗浄液に浸漬されている機器だけでなく他の機器でもメンテナンス作業を行うことができず、メンテナンスを効率良く行うことができないという問題がある。
また、塩酸や水酸化ナトリウムなどの洗浄液は所望の洗浄力を得るために加熱して使用される。そのため洗浄液を加熱する昇温設備を別途設置する必要がありコストが高くなる。また、洗浄液および洗浄液に浸漬された機器内を洗浄後に中和しなければならず、多量の中和水や別途中和設備も必要となる。また、塩酸や水酸化ナトリウムなどの洗浄液は、取扱いが難しい。
ヘマタイトは難溶性酸化物であり、従来の酸性の洗浄液(例えば塩酸系やクエン酸系)では、洗浄液中に溶解しにくい。特許文献3に記載のようなキレート剤を主成分とした中性の洗浄薬液は、そのままではスケールの溶解が難しく、洗浄に時間がかかり、母材の腐食量が大きくなってしまうため、実機には適用できない。10年以上稼働させた火炉壁管では、スケールが基準値まで厚く成長しており、そのような部材を洗浄するためには特に洗浄力の強い薬液が必要とされる。洗浄力の低い薬液で洗浄すると、ヘマタイトは完全に溶解されずに剥離してスラッジとなる。火炉壁管内面には、ヘマタイトの下に自己酸化スケールであるマグネタイトが形成されているため、マグネタイトだけ溶解してヘマタイトが火炉壁管内面から剥離した場合にも、スラッジが発生する。
火力発電システム中の貫流ボイラの火炉壁管などは配管形状が長く複雑なために、スラッジが発生すると配管の途中の一部に集積して配管内を閉塞する場合がある。
このため、従来の化学洗浄では洗浄液からスラッジを除去する必要があった。スラッジを除去する方法としては、洗浄液が通過する部分の途中にフィルタを設けて洗浄液中に浮遊するスラッジを捕集する方法や、化学洗浄後に洗浄対象機器の配管等の一部を切断して管内部を点検して、吸引清掃など物理的方法により除去してから再度配管を溶接する方法などがある。
ヘマタイトを溶解させるには、ヘマタイトの洗浄に用いる薬液をマグネタイトの洗浄に用いる薬液と異なる液組成に調整する必要があるが、液組成の異なる薬液を使用すると、廃液の処理などに手間がかかる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ヘマタイトおよびマグネタイトのスケールを、低コストで短時間に化学洗浄するための薬液を調製する方法およびその薬液を調製する装置、並びに化学洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明は、母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが形成された部材を洗浄するための薬液を調製する薬液調製方法であって、中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイトを溶解可能な電位を有するヘマタイト洗浄用薬液を薬液タンクで調製する工程と、前記中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイト洗浄用薬液の前記電位とは異なる前記マグネタイトを溶解可能な電位を有するマグネタイト洗浄用薬液を前記薬液タンクで調製する工程と、を含む薬液調製方法を提供する。
また、本発明は母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが形成された部材を洗浄するための化学洗浄方法であって、中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイトを溶解可能な電位を有するヘマタイト洗浄用薬液を薬液タンクで調製する工程と、前記ヘマタイト洗浄用薬液を、前記部材を有する洗浄対象機器に供給して前記ヘマタイトを溶解させる工程と、前記中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイト洗浄用薬液の前記電位とは異なる前記マグネタイトを溶解可能な電位を有するマグネタイト洗浄用薬液を前記薬液タンクで調製する工程と、前記マグネタイト洗浄用薬液を、前記洗浄対象機器に供給して前記マグネタイトを溶解させる工程と、を含む化学洗浄方法を提供する。
上記発明によれば、中性の除錆剤を用いるため、洗浄用薬液の取り扱い及び廃液処理が容易である。また、中性の除錆剤を用いるため、水素ガスの発生を抑制できる。それにより、その他の工程を同時に進めることも可能となるため、メンテナンス工期を短縮できる。
上記発明によれば、洗浄用薬液の組成を変えなくても、洗浄用薬液の電位を変化させるだけで洗浄対象物質毎に溶解させられる。また、洗浄対象の物質に適した電位とすることで、洗浄用薬液の洗浄力を高めて効率よく洗浄できるため、洗浄用薬液を昇温させる必要性が低下し、大掛かりな加温設備が不要となる。それにより、仮設配管等の工事が減少し、コストを抑えることができる。また、キレート剤を用いた中性の除錆剤であってもヘマタイトのスケールの溶解が可能となり、洗浄時間も短縮できる。
上記発明によれば、ヘマタイト洗浄用薬液とマグネタイト洗浄用薬液の基本成分は同じであるため、廃液処理を一括して行うことができる。
上記発明の一態様において、前記部材において、前記母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが順に形成されており、前記部材の洗浄に用いた前記ヘマタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収した後、前記薬液タンクで前記マグネタイト洗浄用薬液を調製することが好ましい。
ヘマタイト洗浄用薬液とマグネタイト洗浄用薬液とは、基本成分が共通しているため、共通の薬液タンクに回収できる。回収したヘマタイト洗浄用薬液は電位などを調整しなおすことで、マグネタイト洗浄用薬液として再利用できる。それにより洗浄にかかるコストを低減できる。
上記発明の一態様において、前記部材の洗浄に用いた前記ヘマタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収し、前記回収したヘマタイト洗浄用薬液の電位を前記ヘマタイトが溶解可能な電位に再調整してもよい。
上記発明の一態様において、前記部材の洗浄に用いた前記マグネタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収し、前記回収したマグネタイト洗浄用薬液の電位を前記マグネタイトが溶解可能な電位に再調整してもよい。
洗浄用薬液を回収して洗浄対象物質を溶解するのに適した電位に調整しなおすことで、洗浄用薬液の洗浄力を維持できる。
上記発明の一態様において、前記ヘマタイト洗浄用薬液に還元剤を添加して、前記ヘマタイト洗浄用薬液の電位を調整することができる。
上記発明の一態様において、前記マグネタイト洗浄用薬液に還元剤を添加して、前記マグネタイト洗浄用薬液の電位を調整することができる。
上記発明の一態様において、前記中性の除錆剤を含む洗浄用薬液に前記還元剤を添加した場合の、前記還元剤の添加量と前記洗浄用薬液の電位の変化との相関データを予め取得しておき、前記相関データに基づいて、前記還元剤の添加量を算出してもよい。
還元剤を用いることで、洗浄用薬液の電位を微調整できる。また、予め相関データを取得しておくことで、洗浄用薬液を所望の電位に調整したい場合に、還元剤添加量の目安がわかるため、電位の調整をスムーズに行うことができる。
上記発明の一態様において、前記調製したヘマタイト洗浄用薬液の一部を前記薬液タンクから抜き取り、該抜き取ったヘマタイト洗浄用薬液及びヘマタイト試薬を用いて溶解試験をして、前記ヘマタイト試薬が溶解することを確認してもよい。
上記発明の一態様において、前記調製したマグネタイト洗浄用薬液の一部を前記薬液タンクから抜き取り、該抜き取ったマグネタイト洗浄用薬液及びマグネタイト試薬を用いて溶解試験をして、前記マグネタイト試薬が溶解することを確認してもよい。
溶解試験をすることで、洗浄用薬液の洗浄力を簡易的にチェックできる。それにより、洗浄時間や洗浄の繰り返しの有無を決定しやすくなる。
上記発明の一態様において、円筒型の前記薬液タンクに、前記薬液タンクの壁面に沿って流れるよう薬液タンクに収容された液体を供給し、前記薬液タンクの底部中央から前記液体を排出させるとよい。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクに収容された液体の液面に接触する酸素量を低減させる酸素接触低減工程を備えているとよい。
前記酸素接触低減工程において、前記薬液タンクに収容された液体の液面に浮遊部材を浮遊させて前記液面を覆ってもよい。
前記酸素接触低減工程において、蓋部材で前記薬液タンクの開口を塞ぎ、前記薬液タンク内に還元雰囲気ガスを供給するとともに、前記薬液タンク内から脱気してもよい。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクの底部にスラッジ堆積領域を画定し、前記スラッジ堆積領域を外した領域から前記薬液タンクに収容された液体を排出した後、該排出した液体を前記薬液タンク内へと循環させることができる。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクの底部を水平面に対して傾斜させてもよい。
上記発明の一態様において、前記スラッジ堆積領域からスラッジを排出させる工程を含んでもよい。
また、本発明は母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが形成された部材を洗浄するための薬液を調製するための薬液調製装置であって、開口部を有し、中性の除錆剤を含む洗浄用薬液を収容できる薬液タンクと、前記薬液タンクに収容された液体を前記薬液タンクから排出する排出ラインと、前記排出ラインに設置されたポンプと、前記ポンプから送出された液体を前記薬液タンクに循環させる循環ラインと、前記薬液タンクに収容された液体の電位を計測し、ヘマタイトを溶解可能な電位及びマグネタイトを溶解可能な電位を出力する電位計測部と、を備えている薬液調製装置を提供する。
上記発明の一態様において、前記ポンプから送出された洗浄用薬液を洗浄対象機器に供給する供給ラインと、前記洗浄対象機器に供給された前記洗浄用薬液を前記薬液タンクに回収する回収ラインと、を備えていることが好ましい。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクに前記洗浄用薬液の原料を供給できる原料供給部と、前記電位計測部および前記原料供給部に接続され、前記原料供給部からの前記原料の供給量を調整し、前記薬液タンク内に収容されている液体の電位が洗浄対象物質を溶解可能な電位になるよう制御する電位制御部と、を備えていてもよい。
上記発明の一態様において、前記電位制御部が、予め取得された前記中性の除錆剤を含む洗浄用薬液に還元剤を添加した場合の前記還元剤の添加量と前記洗浄用薬液の電位の変化との相関データに基づいて、前記還元剤の添加量を算出してもよい。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクに収容された液体を抜き取り、該抜き取った液体を用いて洗浄対象物質の溶解予備試験を実施する予備試験部を備えていてもよい。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクは円筒型であり、前記循環ラインの一端は、前記循環ラインから前記薬液タンクに循環される液体が、前記薬液タンク内に流れ込んだ後、前記薬液タンクの壁面に沿って流れるよう、前記薬液タンクの壁面に接続され、前記排出ラインの一端は、前記薬液タンクの底部中央に接続されているとよい。
上記構成とすることで、薬液タンク内に渦流を形成できるため、洗浄用薬液の原料をよく撹拌混合できる。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクに収容された液体の液面に接触する酸素量を低減させる酸素接触低減部を備えていることが好ましい。
前記酸素接触低減部が、前記薬液タンクに収容された液体の液面に浮遊し、前記液面を覆う浮遊部材であってよい。
上記発明の一態様において、前記酸素接触低減部が、前記薬液タンクの前記開口部を塞ぐ蓋部材と、前記蓋部材に設けられた脱気部と、前記薬液タンク内に還元雰囲気ガスを供給するガス供給部と、から構成されていてもよい。
薬液タンクに収容された液体に酸素を接触させないようにすることで、薬液調製の段階から還元力が低下するのを防止できる。還元力を維持させることで、洗浄力の高い洗浄用薬液を調製できる。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクは底部にスラッジ堆積領域が画定され、前記排出ラインが前記薬液タンクを貫通し、前記排出ラインの一端が前記薬液タンク内に前記スラッジ堆積領域を外して配置されていてもよい。
上記発明の一態様において、前記排出ラインの一端部が、前記薬液タンクに収容された液体の液面を貫通し、前記液面の上下移動に追従できるフロート構造を有してもよい。
上記態様によれば、回収した洗浄用薬液を再調製して洗浄対象機器へと再供給する際に、スラッジを持ち込むことを防止できる。
上記発明の一態様において、前記薬液タンクの底部が水平面に対して傾斜した傾斜部を有していてもよい。
スラッジを一か所に集約できるため、回収した洗浄用薬液を再調製して洗浄対象機器へと再供給する際に、スラッジの持ち込みを防止できる。
上記発明の一態様において、前記スラッジ堆積領域からスラッジを排出できるよう前記薬液タンクに接続されたスラッジ排出ラインを備えていてもよい。
スラッジを排出することで、回収した洗浄用薬液を再調製して洗浄対象機器へと再供給する際に、スラッジを持ち込むことを防止できる。
本発明は、洗浄対象物質に応じて洗浄用薬液の電位を調整することでヘマタイトおよびマグネタイトのスケールを、低コストで短時間に化学洗浄できる洗浄用薬液を調製できる。そのような洗浄用薬液を調製するための薬液調製装置は、昇温設備や中和槽を必須の構成としないため、装置構成を簡略化でき、化学洗浄に要するコストを大幅に削減できる。本発明で調整される中性の除錆剤を含む洗浄用薬液は、洗浄時に水素を発生しないため、化学洗浄と同時に他の作業を行うことが可能である。このため本発明は、従来技術と比較してメンテナンス工期を短縮できるという有利な効果を奏する。
第1実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略図である。 第1実施形態に係る薬液調製装置の一例を説明する概略図である。 第1実施形態に係る化学洗浄方法の手順を説明するフロー図である。 ヘマタイトを洗浄する前後の被洗浄部材の部分断面図である。 第1実施形態における溶解試験の結果をまとめた図である。 還元剤(NaSO)濃度と水溶液の電位との関係を示すグラフである。 第2実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略構成図である。 第4実施形態に係る溶解試験を説明する概略図である。 第5実施形態の薬液タンクの上面図である。 第1実施形態の薬液タンクの上面図である。 第6実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略構成図である。 第7実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略構成図である。 第8実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略構成図である。 第9実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略構成図である。 第10実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略構成図である。 第11実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略構成図である。
以下では火力発電システムを例に挙げて本発明の薬液調製方法及び薬液調製装置、並びに化学洗浄方法の実施形態を説明する。但し、本発明は火力発電システムに限定されず、ヘマタイトのスケールおよびマグネタイトのスケールが形成される他の機器に対しても適用可能である。
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて各構成要素の位置関係を特定する。
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る薬液調製装置を説明する概略図である。図1は、メンテナンス時において火力発電システム1に薬液調製装置100が設置された場合を示す。火力発電システム1は貫流ボイラ10を備えている。ボイラの給水系統として復水器20、復水脱塩装置21、グランド蒸気復水器22、低圧給水加熱器23、脱気器24、高圧給水加熱器25、及び、節炭器26が設置されている。ボイラの蒸気系統として気水分離器30、過熱器31、タービン32、及び、再熱器33が設置されている。タービン32としては、高圧タービン、中圧タービンと低圧タービンとが設置されていても良い。火力発電システム1では、貫流ボイラ10の火炉壁管などの伝熱配管内部に粉状スケールであるヘマタイトおよびマグネタイトが形成されて伝熱配管の熱伝導率が低下している。従って、伝熱性能の回復のために、貫流ボイラ10が洗浄対象機器となっている。
第1実施形態の薬液調製装置100は、薬液タンク101、薬液タンク101から液体を排出する排出ライン102、排出ライン102に設置されたポンプ103、ポンプ103から送出された液体を薬液タンク101に循環させる循環ライン104、薬液タンク101に収容された液体の電位を測定する電位計測部105、洗浄用薬液を貫流ボイラ10に供給する供給ライン106、および貫流ボイラ10から薬液タンク101に洗浄用薬液を回収する回収ライン107を有する。薬液調製装置100は、洗浄用薬液の濃度を調整する、洗浄廃液を回収する、洗浄用薬液の液温を上昇させることができる。
図2は、薬液調製装置100の一例を説明する概略図である。
薬液タンク101は中性の除錆剤を含む洗浄用薬液を収容できる。薬液タンク101は、上部に開口部を有している。該開口部から薬液タンク101内に洗浄用薬液の原料が供給され得る。図2は、外部からローリー車108(原料供給装置)を用いて原料が供給されるものである。循環ライン104にエジェクタを接続して原料を供給してもよい。
薬液タンク101は、従来から火力発電システム1に本設されている給水タンクに代わる構成であってよい。給水タンクは、単純に純水を補給するためだけのものである。通常、給水タンクは開放型単胴構造であり、タンク底部よりポンプを介して補給水をボイラへと供給できる。
排出ライン102は、薬液タンク101に収容された液体Lを薬液タンク101外へと排出できる。「薬液タンクに収容された液体」は、洗浄用薬液の原料となる液体(例えば純水)および原料が混合された後の洗浄用薬液、または電位が調整された後の洗浄用薬液であってよい。排出ライン102の一端は、薬液タンク101の壁面に接続されている。
ポンプ103は、排出ライン102に設置されている。ポンプ103は、薬液タンク101に収容されている液体Lを排出ライン102へと導いた後、循環ライン104へ向けて送出できる。また、ポンプ103は、電位が調整された後の洗浄用薬液を供給ライン106へ向けて送出できる。
循環ライン104は、ポンプ103から送出された液体を薬液タンク101に戻すことができる。循環ライン104は、薬液タンク101と排出ライン102のポンプ下流側とを連結している。循環ライン104は、排出ライン102の上側に位置することが好ましい。循環ラインの途中にはバルブV1が設けられている。
電位計測部105は、薬液タンク101に収容された液体Lの電位を計測できる。「電位」とは、酸化還元電位(ORP)および腐食電位を含む。電位は、銀−塩化銀電極基準電極を用いて計測する。電位計測部105は、ヘマタイトを溶解可能な電位およびマグネタイトを溶解可能な電位を出力する。
供給ライン106は、ポンプ103から送出された洗浄用薬液を貫流ボイラ10に供給できる。供給ライン106は、排出ライン102と貫流ボイラ10とを連結している。供給ライン106の途中にはバルブ2が設けられている。
回収ライン107は、貫流ボイラ10に供給された洗浄用薬液を薬液タンク101に回収できる。図2には示していないが、回収ライン107は、貫流ボイラ10と薬液タンク101とを連結している。回収ライン107の途中には、バルブ3が設けられている。
第1実施形態の薬液調製装置100を用いて洗浄用薬液を調製する方法及び調製した洗浄用薬液を用いた化学洗浄法を以下で説明する。本実施形態では、母材上にヘマタイトのスケールとマグネタイトのスケールが順に形成された部材を洗浄する場合の手順を例示する。
本実施形態の化学洗浄方法は例えば、火力発電システムの定期点検時において、炉内足場を架設する工程や洗浄対象機器(貫流ボイラ10)以外の機器を工事する工程の期間中に実施される。本実施形態の化学洗浄方法を実施するに当たり、貫流ボイラ10と節炭器26とを連結する配管に設置されるバルブは閉鎖される。
図3は、本実施形態に係る化学洗浄方法の手順を説明するフロー図である。化学洗浄方法は、薬液調整方法を包含している。図4は、ヘマタイトを洗浄する前後の被洗浄部材の部分断面図である。同図において(A)はヘマタイトを洗浄する前、(B)はヘマタイトを洗浄した後(マグネタイトを溶解させる前)の被洗浄部材を示す。
本実施形態に係る化学洗浄法は、以下の工程を含んでいる。
(S1)ヘマタイト洗浄用薬液を調製する工程
(S2)被洗浄部材に形成されたヘマタイトを溶解させる工程
(S3)洗浄に使用したヘマタイト洗浄用薬液を回収する工程
(S4)マグネタイト洗浄用薬液を調製する工程
(S5)被洗浄部材に形成されたマグネタイトを溶解させる工程
(S6)洗浄に使用したマグネタイト洗浄用薬液を回収する工程
<ヘマタイト洗浄用薬液の調製(S1)>
薬液調製装置100を用いて、ヘマタイト洗浄用薬液を調製する。
ヘマタイト洗浄用薬液に用いられる原料は、純水および中性の除錆剤を含む。
中性の除錆剤は、キレート剤と還元剤の混合剤である。キレート剤は、例えばEDTA、BAPTA、DOTA、EDDS、INN、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、DPTA−OH、HIDA、DHEG、GEDTA、CMGA、EDDSなどのアミノカルボン酸やこれらの塩などのアミノカルボン酸系キレート剤、クエン酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸などのオキシカルボン酸やこれらの塩などのオキシカルボン酸系キレート剤、ATMP、HEDP、NTMP、PBTC、EDTMP等の有機リン酸やこれらの塩などの有機リン系キレート剤である。還元剤は、例えば、Fe2+、Sn2+などの各種金属イオン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩、亜ジチオン酸及び亜ジチオン酸塩、チオン酸及びチオン酸塩、三チオン酸、四チオン酸などのポリチオン酸及びポリチオン酸塩、シュウ酸、蟻酸、アスコルビン酸、ピロガロールなどの有機化合物、ヒドラジン、水素などである。中性の除錆剤には腐食抑制剤が添加されていても良い。
ヘマタイト洗浄用薬液の原料には、発泡を防止するための消泡剤を含んでいても良いし、含まなくても良い。本実施形態では公知の消泡剤を使用することができる。
ヘマタイト洗浄用薬液を調製(S1)する工程では、まず、バルブV1、バルブV2およびバルブV3は閉鎖する。次に、薬液タンク101にヘマタイト洗浄用薬液の原料を供給する。ヘマタイト洗浄用薬液の原料の供給は、例えば、純水を薬液タンク101に満たした後、該純水に他の成分を添加することで行われる。他の成分は混合された混合原液として添加されてよく、それぞれ単独で添加されてもよい。ヘマタイト洗浄用薬液の原料の供給は、ローリー車108などを用いて実施できる。ヘマタイト洗浄用薬液は、所望の洗浄力及び洗浄時間が得られるように、キレート剤、還元剤及び腐食抑制剤の濃度が適切に調整されている。例えば、キレート剤の濃度は1重量%〜10重量%、還元剤の濃度は0.05重量%〜7.5重量%とされ得る。ヘマタイト洗浄用薬液は、pHが4〜8であり、好ましくはpHが5〜7である。
続いて、バルブV1を開放し、ポンプ103を起動させる。それにより、薬液タンク101に収容された液体Lは、薬液タンク101、排出ライン102、ポンプ103および循環ライン104の間で循環される。液体Lを流動させることで、ヘマタイト洗浄用薬液の原料の各成分を混合できる。液体Lはポンプ103を経由する際に、ポンプ103を起動させたことで生じた熱を吸収し、昇温される。
薬液タンク101では、電位計測部105により薬液タンク101に収容された液体Lの電位を計測する。該計測した電位を見ながら、薬液タンク101に収容された液体Lの電位を、ヘマタイトを溶解できる電位に調整し、ヘマタイト洗浄用薬液とする。電位は窒素と空気の量を調整することでも調整できるが、本実施形態において電位の調整は、還元剤の添加量を調整することで行う。ヘマタイト洗浄用薬液の初期電位は、−0.8V[V vs SSE]以上であり、マグネタイト洗浄用薬液の初期電位よりも低い範囲にある。電位が−0.8V未満になるとFeが生じ、スラッジが沈殿したり火炉壁管に鉄が付着する。
<ヘマタイトの洗浄(S2)>
バルブV1を閉鎖し、バルブV2を開放して、S1で調製したヘマタイト洗浄用薬液を貫流ボイラ10に供給する。その後、ポンプ103を停止し、バルブV2を閉鎖して、静置してヘマタイトを洗浄する。ヘマタイト洗浄用薬液の供給量は、貫流ボイラ10内でヘマタイトのスケールが形成された領域がヘマタイト洗浄用薬液に浸漬される量であるとよい。漬け置き時間(洗浄時間)はヘマタイトの発生量にもよるが、例えば24時間〜60時間である。
<ヘマタイト洗浄用薬液の回収(S3)>
S2で所定時間洗浄した後、バルブV3を開放し、洗浄に用いたヘマタイト洗浄用薬液を薬液タンク101に回収する。洗浄対象機器でスラッジが発生していた場合には、このスラッジも薬液タンク101に回収される。
<マグネタイト洗浄用薬液の調製(S4)>
バルブV3を閉鎖し、薬液調製装置100を用いてマグネタイト洗浄用薬液を調製する。マグネタイト洗浄用薬液の原料成分は、ヘマタイト洗浄用薬液と同様とする。回収したヘマタイト洗浄用薬液は廃棄してもよいが、本実施形態では回収したヘマタイト洗浄用薬液を用いて、マグネタイト洗浄用薬液を調製する。
薬液タンク101にマグネタイト洗浄用薬液の原料を供給する。原料の供給は、ヘマタイト洗浄用薬液を調製する工程と同様に実施できる。ただし、薬液タンク101には回収したヘマタイト洗浄用薬液が収容されているため、原料の供給量は補充程度となる。
マグネタイト洗浄用薬液は、所望の洗浄力及び洗浄時間が得られるように、キレート剤、還元剤及び腐食抑制剤の濃度が適切に調整されている。マグネタイト洗浄用薬液は、pHが4〜8であり、好ましくはpHが5〜7である。
続いて、バルブV1を開放し、ポンプ103を起動させる。それにより、薬液タンク101に収容された液体Lは、薬液タンク101、排出ライン102、ポンプ103および循環ライン104の間で循環される。液体Lを流動させることで、マグネタイト洗浄用薬液の原料の各成分を混合できる。液体Lはポンプ103を経由する際に、ポンプ103を起動させたことで生じた熱を吸収し、昇温される。
薬液タンク101では、収容された液体Lの電位を計測する。薬液タンク101に収容された液体Lの電位を、マグネタイトを溶解できる電位に調整し、マグネタイト洗浄用薬液とする。本実施形態において電位の調整は、還元剤の添加量を調整することで行う。マグネタイト洗浄用薬液の初期電位は、ヘマタイト洗浄用薬液の初期電位よりも高く、−0.36V[V vs SSE]以下の範囲にある。
<マグネタイトの洗浄(S5)>
バルブV1を閉鎖し、バルブV2を開放して、S4で調製したマグネタイト洗浄用薬液を貫流ボイラ10に供給する。その後、ポンプ103を停止し、バルブV2を閉鎖して、静置してマグネタイトを溶解させる。マグネタイト洗浄用薬液の供給量は、貫流ボイラ10内でマグネタイトのスケールが形成された領域がマグネタイト洗浄用薬液に浸漬される量であるとよい。漬け置き時間(洗浄時間)はヘマタイトの発生量にもよるが、例えば24時間〜60時間である。
<マグネタイト洗浄用薬液の回収(S6)>
S5で所定時間洗浄した後、バルブV3を開放し、洗浄に用いたマグネタイト洗浄用薬液を薬液タンク101に回収する。回収したマグネタイト洗浄用薬液は適宜廃棄する。
上記S1〜S3およびS4〜S6は、それぞれ必要に応じて繰り返す。それにより、より確実に洗浄対象物質を溶解(洗浄)させることができる。S1〜S3またはS4〜S6を繰り返す際、回収した洗浄用薬液は廃棄してもよいが、電位を調整しなおすことで再利用できる。S1〜S3またはS4〜S6を繰り返す場合には、S2及びS5における漬け置き時間を短縮する。例えば、ヘマタイトを溶解させる工程を通して24時間以上となるように適宜調整する。繰り返し回数は、S3またはS6で回収した洗浄用薬液中の鉄濃度値に基づき決定されうる。鉄濃度値により繰り返し回数を決定する場合は、基礎試験またはシミュレーションにより被洗浄部材に付着した洗浄対象物質(ヘマタイトまたはマグネタイト)が十分に溶出したことを示す鉄濃度値を予め取得しておくとよい。また、繰り返し回数は、S3またはS6で洗浄用薬液を回収した後、洗浄対象部材の表面を観察して決定されてもよい。観察は、目視またはCCDカメラなどで実施できる。ヘマタイトは凡そ赤色、マグネタイトは凡そ黒色、母材は例えば銀色であり、それぞれ目視でも識別可能な色調である。CCDの場合は、R成分強度が所定の基準未満になったかどうかで判断できる。
本実施形態によれば、中性の除錆剤を用いることで、洗浄用薬液の取り扱いおよび廃液処理が容易となる。また、中性の除錆剤を用いることで、水素ガスの発生を抑制できるため、その他の工程を同時に進めることも可能となり、化学洗浄に要する工期を短縮できる。
本実施形態によれば、薬液タンク101に収容された液体Lを、ポンプ103を介して循環させることで、調製後のヘマタイト洗浄用薬液およびマグネタイト洗浄用薬液の液温を10℃〜50℃上昇させ、各洗浄用薬液の洗浄力を向上できる。
マグネタイト洗浄用薬液の初期電位はヘマタイト洗浄用薬液の初期電位よりも高い。本実施形態によれば、洗浄対象物質(ヘマタイト、マグネタイト)に応じて洗浄用薬液の電位を調整することで、還元剤の過剰使用を回避できる。また、本実施形態によれば、電位を調整するだけで洗浄対象物質に適した洗浄用薬液にできる。本実施形態によれば、ヘマタイト洗浄用薬液およびマグネタイト洗浄用薬液の基本成分は共通しているため、洗浄対象物質が2種類であっても、廃液処理を一括して行える。
(ヘマタイトおよびマグネタイトを溶解できる電位)
ヘマタイト粉末(キシダ化学社製、粒径45μm)およびマグネタイト粉末(キシダ化学社製、粒径45μm)を用いて溶解試験を行った。還元剤として硫黄系還元剤Aを用いた。還元剤濃度1.8重量%のとき、pH6、温度25℃、溶解時間24時間以内で、約7700ppmのヘマタイト試薬の溶解が確認された。また、還元剤濃度0.05%のとき、pH6、温度10℃、溶解時間10時間で、約7500ppmのマグネタイト試薬の溶解が確認された。還元剤濃度0.05%のとき、同様の条件ではヘマタイト試薬は溶解されなかった。溶解試験の結果を図5にまとめた。図5によれば、ヘマタイトは還元剤濃度が1.8重量%以上で溶解でき、マグネタイトは還元剤濃度が0.05重量%以上で溶解でき、ヘマタイトとマグネタイトとは溶解可能な還元剤濃度が異なるという知見が得られた。
図6に、還元剤(NaSO)濃度と水溶液の電位との関係を示す。同図において、横軸が還元剤濃度、縦軸が電位(銀−塩化銀電極基準、計算値)である。水溶液の溶質は還元剤のみと仮定した。水溶液の電位はNaSOの添加量に応じて低下した。NaSOを0.05重量%添加すると、水溶液の電位は−0.53Vとなった。NaSOを1.8重量%添加すると、水溶液の電位は−0.58Vとなった。
上記結果によれば、ヘマタイトとマグネタイトにはそれぞれ洗浄に適した電位があり、還元剤の添加量を調整することで、洗浄用薬液を所望の電位に調整できることが確認された。
マグネタイト(物質量232)とヘマタイト(物質量160)とは、Feの価数・結晶構造・誘電率・透磁率・格子定数などで異なる物性を有している。上記のようにマグネタイトとヘマタイトとで溶解できる濃度範囲が異なる結果となったのは、Feの価数が関係している可能性がある。中性の除錆剤に含まれるキレート剤がFe2+を溶解でき、Fe3+の酸化鉄がFe2+に還元された後キレート剤によって溶解されると仮定すると、Fe3+が溶解されるためには一旦Fe2+に還元されなくてはならない。ヘマタイト1g中に含まれるFe3+は、マグネタイトのそれよりも1.45倍多く、ヘマタイトを溶解するためにはマグネタイトを溶解させるよりも強い還元力が必要であると考えられる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る薬液調製装置は、原料供給部及び電位制御部を備えている点が第1実施形態と異なる。図7は本実施形態に係る薬液調製装置200を説明する概略構成図である。薬液調製装置200は、薬液タンク201、排出ライン202、ポンプ203、循環ライン204、電位計測部205、供給ライン206、回収ライン(図示せず)、原料供給部207及び電位制御部208を備えている。薬液調製装置100と同様の構成については説明を省略する。
原料供給部207は、薬液タンク201に洗浄用薬液(ヘマタイト洗浄用薬液、マグネタイト洗浄用薬液)の原料を供給できる。図7において原料供給部207は薬液タンク201の底部に接続されているが、接続位置はこれに限定されるものではない。原料供給部207は、原料タンク209、原料供給ポンプ210及びバルブV4から構成されている。原料タンク209には、洗浄用薬液の原料が収容されている。原料供給ポンプ210(210a、210b、210c)は原料タンク209(209a、209b、209c)に接続されており、バルブV4(V4a、V4b、V4c)を介して原料タンク209に収容されている原料を薬液タンク201へと供給できる。
原料供給部207は、1つであってよいが、原料成分の種類に応じて複数設けられてもよい。図7では純水を供給する原料供給部207a、還元剤を供給する原料供給部207b、およびキレート剤を供給する原料供給部207cとそれに対応する構成だけを図示するが、その他の原料成分を収容する原料タンクがあってもよい。
電位制御部208は、情報処理装置である。情報処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
電位制御部208は、電位計測部205および原料供給部207の原料供給ポンプ210に接続されている。電位制御部208は、キレート剤、還元剤及び腐食抑制剤の濃度が適切に調整されるよう洗浄用薬液の各原料成分の供給量を制御できる。詳細には、電位制御部208は、電位計測部205で計測された液体Lの電位が目標電位となるよう原料の供給量をフィードバック制御する。また、電位制御部208は、薬液タンク内に収容されている液体Lの電位が洗浄対象物質を溶解可能な電位になるよう制御できる。
ヘマタイト洗浄用薬液を調製する場合には、目標電位をヘマタイトが溶解可能な電位に設定する。
マグネタイト洗浄用薬液を調製する場合には、目標電位をマグネタイトが溶解可能な電位に設定する。
本実施形態によれば、原料供給部207及び電位制御部208を設けることで、自動的に洗浄用薬液の電位を調整できる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、洗浄用薬液(ヘマタイト洗浄用薬液、マグネタイト洗浄用薬液)を調製する工程において、中性の除錆剤を含む洗浄用薬液に還元剤を添加した場合の還元剤添加量と洗浄用薬液の電位変化との相関データを予め取得し、その相関データに基づいて各洗浄用薬液への還元剤の添加量を算出することを特徴とする。本実施形態は、第1実施形態または第2実施形態と組み合わせて実施される。第2実施形態と組み合わせる場合は、予め取得された相関データは、電位制御部208に格納されている。電位制御部208は、電位計測部205で計測された電位と目標電位との差分を該相関データに照らし合わせ、差分を埋めるための還元剤供給量を算出し、原料の供給量を制御する。
本実施形態によれば、予め相関データは還元剤の供給量の目安となるため、電位の調整をスムーズに行うことができる。
[第4実施形態]
第4実施形態は、洗浄用薬液(ヘマタイト洗浄用薬液、マグネタイト洗浄用薬液)を調製する工程(S1またはS4)において、溶解試験を行うことを特徴とする。本実施形態は、第1実施形態〜第3実施形態のいずれかと組み合わせて実施される。
図8に溶解試験を説明する概略図を示す。
溶解試験では、まず、電位を調整した後の液体Lの一部を抜き取り、該液体Lをヘマタイト試薬(またはマグネタイト試薬)40が入った容器41に入れ、液面の上方を窒素パージしてから密封する(A)。一定時間経過後、液体Lの色の変化を観察して溶解したか否かを確認する。液体L’に色が残っていた場合(B)には、再度電位を調整しなおしてもよい。液体L”が透明である場合(C)は、洗浄力が十分である。
色の変化の観察は、オペレータの目視またはCCDカメラを用いて行われる。いずれの場合も、透明の基準を用意し、それと比較することで透明であるか否かを判断できる。
溶解試験に用いるヘマタイト試薬(またはマグネタイト試薬)40は、市販のものを用いることができる。試薬は粉末状のものとし、粉末の粒径は小さいほど溶解試験の時間を短縮できる。例えば、粒径が100μmの試薬を使用できる。使用する試薬の量は、例えば液体L1000mLに対して1〜5mg程度である。
溶解試験は、オペレータまたは溶解試験部により実施され得る。溶解試験部を設ける場合には、溶解試験部は情報処理装置を備え、上記溶解試験を自動的に実施可能な構成にするとよい。
本実施形態によれば、洗浄開始前に洗浄用薬液の洗浄力を簡易的にチェックできるため、より確実に洗浄力の高い洗浄用薬液で洗浄を行うことができる。また、洗浄時間や洗浄の繰り返しの有無を判断する目安となるため、化学洗浄をスムーズに進めることができる。
[第5実施形態]
第5実施形態は、薬液タンクに対する排出ラインおよび循環ラインの配置に特徴がある。本実施形態は、第1実施形態〜第4実施形態のいずれかと組み合わせて実施される。図9は本実施形態に係る薬液タンクの上面図である。図10は第1実施形態の薬液タンク101の上面図である。薬液タンク101では、排出ライン102は薬液タンクの壁面に直角に配置されている。
本実施形態において、薬液タンク501は円筒型である。
排出ライン502は、薬液タンク501の底部中央に接続されている。「底部中央」は、底面の中央付近であればよく、必ずしも円筒の中心軸と完全に一致していなくてもよい。
循環ライン502は、循環ライン502を経由して薬液タンク501に循環された液体Lが、薬液タンク501に流れ込んだ後、薬液タンク502の壁面に沿った流れFを形成するよう薬液タンク501の壁面に接続されている。図9において循環ライン502は、薬液タンク502の壁面に内接するように接続されている。
本実施形態によれば、循環ラインを上記のように配置することで、循環される液体Lは薬液タンク501内に渦流を形成する。それにより撹拌性を向上できる。S3またはS6で洗浄用薬液(ヘマタイト洗浄用薬液、マグネタイト洗浄用薬液)を回収した場合、薬液タンク501内にスラッジが持ち込まれることになるが、液体Lを旋回させることで遠心力によりスラッジが薬液タンク501の壁面側に溜まる。スラッジは、洗浄工程(S2またはS5)における溶け残りやヘマタイトが黒く析出したものである。排出ライン502は、薬液タンク501の底部中央から液体Lを排出するため、洗浄対象機器に供給される洗浄用薬液へのスラッジの混入が抑えられる。
[第6実施形態]
第6実施形態は、薬液タンクに収容された液体Lの液面に接触する酸素量を低減させることを特徴とする。本実施形態は、第1実施形態〜第5実施形態のいずれかと組み合わせて実施される。図11は第1実施形態の薬液調製装置100に本実施形態を組み合わせた薬液調製装置100’の概略構成図である。
本実施形態では、薬液タンク101に収容された液体Lの液面上に、酸素接触低減部を配置する。酸素接触低減部は、該液面を覆うよう液体Lの液面に浮遊する浮遊部材60である。浮遊部材60は、シートまたはフロート、具体的にはピンポン玉や発泡スチロールの板などである。空気と液体Lとの接触面積を減らすため、浮遊部材60は液面全体を覆うよう配置するとよい。浮遊部材60は、薬液タンク101に洗浄用薬液の原料を供給した後、速やかに液面上に配置される。
薬液タンク101は上部が開放されており、薬液タンク101に収容された液体Lの液面は空気と接触する。中性の除錆剤を含む洗浄用薬液は、空気との接触により還元力が弱くなる傾向がある。これは、洗浄力の低下につながる。本実施形態によれば、浮遊部材を液体Lの液面に浮かべることで、洗浄用薬液を調製する段階から液体Lへの酸素の接触を低減できる。それにより、洗浄用薬液の還元力を維持できる。
[第7実施形態]
第7実施形態は、薬液タンクに収容された液体Lの液面に接触する酸素量を低減させることを特徴とするが、接触する酸素量を低減させる手段が第6実施形態とは異なる。本実施形態は、第1実施形態〜第5実施形態のいずれかと組み合わせて実施される。図12は第1実施形態の薬液調製装置100に本実施形態を組み合わせた薬液調製装置100”の概略構成図である。
本実施形態において、酸素接触低減部は薬液タンク101の開口部を塞ぐ蓋部材70と、蓋部材70に設けられた脱気部71と、薬液タンク101内に還元雰囲気ガスを供給するガス供給部72と、から構成されている。脱気部71は、薬液タンク101内が大気圧よりも高くなった場合に開放されるエアベントである。ガス供給部72は、気相ではなく薬液タンク101に収容された液体Lに還元雰囲気ガスを吹き込む構造とするとよい。還元雰囲気ガスは、薬液タンク101の底部付近に吹き込まれることが好ましい。還元雰囲気ガスは、窒素またはアルゴンなどである。
薬液タンク101内に洗浄用薬液の原料を供給した後、薬液タンク101の開口を蓋部材70で塞ぐ。ガス供給部72から薬液タンク101に収容された液体Lに還元雰囲気ガスを吹き込む。薬液タンク101内の圧力が大気圧よりも高くなると、脱気部71から気体が抜けるため、薬液タンク101内は大気圧を維持できる。
本実施形態によれば、薬液タンク内を還元雰囲気にするため、調製段階から洗浄用薬液の還元力を維持できる。
[第8実施形態]
第8実施形態に係る薬液調製装置は、排出ラインの配置が第1実施形態と異なる。本実施形態は、第2実施形態〜第7実施形態と組み合わせることもできる。図13は本実施形態に係る薬液調製装置800を説明する概略構成図である。薬液調製装置800は、薬液タンク801、排出ライン802、ポンプ803、循環ライン804、電位計測部805、供給ライン806、および回収ライン(図示せず)を備えている。薬液調製装置100と同様の構成については説明を省略する。
薬液タンク801では、予想されるスラッジ量に基づいて、底部にスラッジ堆積領域Sが画定されている。排出ライン802は、薬液タンク801を貫通しており、一端が薬液タンク801内にスラッジ堆積領域を外して配置されている。図13において排出ライン802の一端はスラッジ堆積領域よりも上に位置し、液面の方を向いて開口している。
薬液調製装置800では、一旦回収した洗浄用薬液を用いて洗浄用薬液を再調製した後、薬液タンク801に収容された液体L(再調整後の洗浄用薬液)を所定時間静置してから、洗浄対象機器へと再供給する。所定時間静置している間に、スラッジが薬液タンク801の底部に沈降する。静置時間は30分から120分程度である。薬液調製装置800では、排出ライン802の一端(吸い込み口)がスラッジ堆積領域から外れた位置にあるため、スラッジ沈降後の上澄みが排出ライン802へと導かれる。すなわち、洗浄用薬液を洗浄対象機器へと供給する際に薬液タンク801内にあるスラッジの持ち出しを防止できる。
[第9実施形態]
第9実施形態に係る薬液調製装置は、排出ラインの配置が第1実施形態と異なる。本実施形態は、第2実施形態〜第7実施形態と組み合わせることもできる。図14は本実施形態に係る薬液調製装置900を説明する概略構成図である。薬液調製装置900は、薬液タンク901、排出ライン902、ポンプ903、循環ライン904、電位計測部905、供給ライン906、および回収ライン(図示せず)を備えている。薬液調製装置100と同様の構成については説明を省略する。
薬液タンク901では、予想されるスラッジ量に基づいて、底部にスラッジ堆積領域Sが画定されている。排出ライン902は、一端部が薬液タンク901に収容された液体Lの液面を貫通し、該液面Lの上下移動に追従できるフロート構造を有している。図14では、排出ライン902の一端は、第1の管状部材902aに第2の管状部材902bが挿入された構成になっている。第1の管状部材902aは、液体Lに浮遊できるとともに、液面の上下移動に追従して上下にスライドできる。ポンプ903を起動させた際に第1の管状部材902aを介して第2の管状部材902bへと液体Lを吸い上げることができる。
薬液調製装置900では、一旦回収した洗浄用薬液を用いて洗浄用薬液を再調製した後、薬液タンク901に収容された液体L(再調整後の洗浄用薬液)を所定時間静置してから、洗浄対象機器へと再供給する。所定時間静置している間に、スラッジが薬液タンク901の底部に沈降する。静置時間は30分から120分程度である。薬液調製装置900では、排出ライン902の一端(吸い込み口)がスラッジ堆積領域から外れた位置にあるため、スラッジ沈降後の上澄みが排出ライン902へと導かれる。すなわち、洗浄用薬液を洗浄対象機器へと供給する際に薬液タンク901内にあるスラッジの持ち出しを防止できる。
[第10実施形態]
第10実施形態に係る薬液調製装置は、薬液タンクの構造が第1実施形態と異なる。本実施形態は、第2実施形態〜第9実施形態と組み合わせることもできる。図15は本実施形態に係る薬液調製装置110を説明する概略構成図である。薬液調製装置110は、薬液タンク111、排出ライン112、ポンプ113、循環ライン114、電位計測部115、供給ライン116、および回収ライン(図示せず)を備えている。薬液調製装置100と同様の構成については説明を省略する。
薬液タンク111では、予想されるスラッジ量に基づいて、底部にスラッジ堆積領域Sが画定されている。薬液タンク111の底部(底面)は、水平面に対して一方向に傾斜している。薬液タンク111の底面は、排出ライン112が接続されている方が最も高く、反対方向に向けて下がるように傾斜させるとよい。傾斜角度は、スラッジ堆積領域Sの大きさなどに応じて適宜設定される。
傾斜部を設けることで、スラッジを一か所に集約できる。また、傾斜部の一番低い箇所を排出ライン112の接続部分と離すことで、洗浄用薬液を洗浄対象機器へと供給する際に薬液タンク111内にあるスラッジの持ち出しを防止できる。
[第11実施形態]
第11実施形態に係る薬液調製装置は、薬液タンクがスラッジ排出ラインを備えている点が第10実施形態と異なる。図16は本実施形態に係る薬液調製装置120を説明する概略構成図である。薬液調製装置120は、薬液タンク121、排出ライン122、ポンプ123、循環ライン124、電位計測部125、供給ライン126、および回収ライン(図示せず)を備えている。薬液調製装置110と同様の構成については説明を省略する。
スラッジ排出ライン127は、スラッジ堆積領域Sからスラッジを排出できるよう薬液タンク121に接続されている。スラッジ排出ライン127にはバルブV5が設置されている。スラッジを沈降させた後、定期的にバルブV5を開放してスラッジを薬液タンク外へ排出する。それにより、洗浄用薬液を洗浄対象機器へと供給する際に薬液タンク111内にあるスラッジの持ち出しを防止できる。
1 火力発電システム
10 貫流ボイラ
20 復水器
21 復水脱塩装置
22 グランド蒸気復水器
23 低圧給水加熱器
24 脱気器
25 高圧給水加熱器
26 節炭器
30 気水分離器
31 過熱器
32 タービン
33 再熱器
40 洗浄用薬液(ヘマタイト洗浄用薬液、マグネタイト洗浄用薬液)
41 容器
60 浮遊部材
70 蓋部材
71 脱気部
72 ガス供給部
100,100’,100”,110,120,200,800,900 薬液調製装置
101,111,121,201,501,801,901 薬液タンク
102,112,122,202,502,802,902 排出ライン
103,113,123,203,803,903 ポンプ
104,114,124,204,804,904 循環ライン
105,115,125,205,805 電位計測部
106,116,126,206,806 供給ライン
107 回収ライン
108 ローリー車
127 スラッジ排出ライン
207 原料供給部
208 電位制御部
209 原料タンク
210 原料供給ポンプ
902a 第1の管状部材
902b 第2の管状部材

Claims (38)

  1. 母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが形成された部材を洗浄するための薬液を調製する薬液調製方法であって、
    中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイトを溶解可能な電位を有するヘマタイト洗浄用薬液を薬液タンクで調製する工程と、
    前記中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイト洗浄用薬液の前記電位とは異なる前記マグネタイトを溶解可能な電位を有するマグネタイト洗浄用薬液を前記薬液タンクで調製する工程と、
    を含む薬液調製方法。
  2. 前記部材において、前記母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが順に形成されており、
    前記部材の洗浄に用いた前記ヘマタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収した後、前記薬液タンクで前記マグネタイト洗浄用薬液を調製する請求項1に記載の薬液調製方法。
  3. 前記部材の洗浄に用いた前記ヘマタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収し、前記回収したヘマタイト洗浄用薬液の電位を前記ヘマタイトが溶解可能な電位に再調整する請求項1または請求項2に記載の薬液調製方法。
  4. 前記部材の洗浄に用いた前記マグネタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収し、前記回収したマグネタイト洗浄用薬液の電位を前記マグネタイトが溶解可能な電位に再調整する請求項1から請求項3のいずれかに記載の薬液調製方法。
  5. 前記ヘマタイト洗浄用薬液に還元剤を添加して、前記ヘマタイト洗浄用薬液の電位を調整する請求項1から請求項4のいずれかに記載の薬液調製方法。
  6. 前記マグネタイト洗浄用薬液に還元剤を添加して、前記マグネタイト洗浄用薬液の電位を調整する請求項1から請求項5のいずれかに記載の薬液調製方法。
  7. 前記中性の除錆剤を含む洗浄用薬液に前記還元剤を添加した場合の、前記還元剤の添加量と前記洗浄用薬液の電位の変化との相関データを予め取得しておき、
    前記相関データに基づいて、前記還元剤の添加量を算出する請求項5または請求項6に記載の薬液調製方法。
  8. 前記調製したヘマタイト洗浄用薬液の一部を前記薬液タンクから抜き取り、該抜き取ったヘマタイト洗浄用薬液及びヘマタイト試薬を用いて溶解試験をして、前記ヘマタイト試薬が溶解することを確認する請求項1から請求項7のいずれかに記載の薬液調製方法。
  9. 前記調製したマグネタイト洗浄用薬液の一部を前記薬液タンクから抜き取り、該抜き取ったマグネタイト洗浄用薬液及びマグネタイト試薬を用いて溶解試験をして、前記マグネタイト試薬が溶解することを確認する請求項1から請求項8のいずれかに記載の薬液調製方法。
  10. 円筒型の前記薬液タンクに、前記薬液タンクの壁面に沿って流れるよう前記薬液タンクに収容された液体を供給し、前記薬液タンクの底部中央から前記液体を排出させる請求項1から請求項9のいずれかに記載の薬液調製方法。
  11. 前記薬液タンクに収容された液体の液面に接触する酸素量を低減させる酸素接触低減工程を備えている請求項1から請求項10のいずれかに記載の薬液調製方法。
  12. 前記酸素接触低減工程において、前記薬液タンクに収容された液体の液面に浮遊部材を浮遊させて前記液面を覆う請求項11に記載の薬液調製方法。
  13. 前記酸素接触低減工程において、蓋部材で前記薬液タンクの開口を塞ぎ、前記薬液タンク内に還元雰囲気ガスを供給するとともに、前記薬液タンク内から脱気する請求項11に記載の薬液調製方法。
  14. 前記薬液タンクの底部にスラッジ堆積領域を画定し、
    前記スラッジ堆積領域を外した領域から前記薬液タンクに収容された液体を排出した後、該排出した液体を前記薬液タンク内へと循環させる請求項2から請求項13のいずれかに記載の薬液調製方法。
  15. 前記薬液タンクの底部を水平面に対して傾斜させる請求項2から請求項13のいずれかに記載の薬液調製方法。
  16. 前記スラッジ堆積領域からスラッジを排出させる工程を含む請求項14または請求項15に記載の薬液調製方法。
  17. 母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが形成された部材を洗浄するための薬液を調製するための薬液調製装置であって、
    開口部を有し、中性の除錆剤を含む洗浄用薬液を収容できる薬液タンクと、
    前記薬液タンクに収容された液体を前記薬液タンクから排出する排出ラインと、
    前記排出ラインに設置されたポンプと、
    前記ポンプから送出された液体を前記薬液タンクに循環させる循環ラインと、
    前記薬液タンクに収容された液体の電位を計測し、ヘマタイトを溶解可能な電位及びマグネタイトを溶解可能な電位を出力する電位計測部と、
    を備えている薬液調製装置。
  18. 前記ポンプから送出された洗浄用薬液を洗浄対象機器に供給する供給ラインと、
    前記洗浄対象機器に供給された前記洗浄用薬液を前記薬液タンクに回収する回収ラインと、
    を備えている請求項17に記載の薬液調製装置。
  19. 前記薬液タンクに前記洗浄用薬液の原料を供給できる原料供給部と、
    前記電位計測部および前記原料供給部に接続され、前記原料供給部からの前記原料の供
    給量を調整し、前記薬液タンク内に収容されている液体の電位が洗浄対象物質を溶解可能な電位になるよう制御する電位制御部と、
    を備えている請求項17または請求項18に記載の薬液調製装置。
  20. 前記電位制御部が、予め取得された前記中性の除錆剤を含む洗浄用薬液に還元剤を添加した場合の前記還元剤の添加量と前記洗浄用薬液の電位の変化との相関データに基づいて、前記還元剤の添加量を算出する請求項19に記載の薬液調製装置。
  21. 前記薬液タンクに収容された液体を抜き取り、該抜き取った液体を用いて洗浄対象物質の溶解予備試験を実施する予備試験部を備えている請求項17から請求項20のいずれかに記載の薬液調整装置。
  22. 前記薬液タンクは円筒型であり、
    前記循環ラインの一端は、前記循環ラインから前記薬液タンクに循環される液体が、前記薬液タンク内に流れ込んだ後、前記薬液タンクの壁面に沿って流れるよう、前記薬液タンクの壁面に接続され、
    前記排出ラインの一端は、前記薬液タンクの底部中央に接続されている請求項17から請求項21のいずれかに記載の薬液調製装置。
  23. 前記薬液タンクに収容された液体の液面に接触する酸素量を低減させる酸素接触低減部を備えている請求項17から請求項22のいずれかに記載の薬液調製装置。
  24. 前記酸素接触低減部が、前記薬液タンクに収容された液体の液面に浮遊し、前記液面を覆う浮遊部材である請求項23に記載の薬液調製装置。
  25. 前記酸素接触低減部が、前記薬液タンクの前記開口部を塞ぐ蓋部材と、前記蓋部材に設けられた脱気部と、前記薬液タンク内に還元雰囲気ガスを供給するガス供給部と、から構成されている請求項23に記載の薬液調製装置。
  26. 前記薬液タンクは底部にスラッジ堆積領域が画定され、
    前記排出ラインが前記薬液タンクを貫通し、前記排出ラインの一端が前記薬液タンク内に前記スラッジ堆積領域を外して配置されている請求項18から請求項25のいずれかに記載の薬液調製装置。
  27. 前記排出ラインの一端部が、前記薬液タンクに収容された液体の液面を貫通し、前記液面の上下移動に追従できるフロート構造を有する請求項18から請求項25のいずれかに記載の薬液調製装置。
  28. 前記薬液タンクの底部が水平面に対して傾斜した傾斜部を有する請求項18から請求項27のいずれかに記載の薬液調製装置。
  29. 前記スラッジ堆積領域からスラッジを排出できるよう前記薬液タンクに接続されたスラッジ排出ラインを備えている請求項26から請求項28のいずれかに記載の薬液調製装置。
  30. 母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが形成された部材を洗浄するための化学洗浄方法であって、
    中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイトを溶解可能な電位を有するヘマタイト洗浄用薬液を薬液タンクで調製する工程と、
    前記ヘマタイト洗浄用薬液を、前記部材を有する洗浄対象機器に供給して前記ヘマタイトを溶解させる工程と、
    前記中性の除錆剤を含み、かつ、前記ヘマタイト洗浄用薬液の前記電位とは異なる前記マグネタイトを溶解可能な電位を有するマグネタイト洗浄用薬液を前記薬液タンクで調製する工程と、
    前記マグネタイト洗浄用薬液を、前記洗浄対象機器に供給して前記マグネタイトを溶解させる工程と、
    を含む化学洗浄方法。
  31. 前記部材において、前記母材上にマグネタイトのスケールとヘマタイトのスケールとが順に形成されており、
    前記部材の洗浄に用いた前記ヘマタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収した後、前記薬液タンクで前記マグネタイト洗浄用薬液を調製する請求項30に記載の化学洗浄方法。
  32. 前記部材の洗浄に用いた前記ヘマタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収し、前記回収したヘマタイト洗浄用薬液の電位を前記ヘマタイトが溶解可能な電位に再調整した後、前記再調整したヘマタイト洗浄用薬液を前記洗浄対象機器に供給する請求項30または請求項31に記載の化学洗浄方法。
  33. 前記部材の洗浄に用いた前記マグネタイト洗浄用薬液を前記薬液タンク内に回収し、前記回収したマグネタイト洗浄用薬液の電位を前記マグネタイトが溶解可能な電位に再調整した後、前記再調整したマグネタイト洗浄用薬液を前記洗浄対象機器に供給する請求項30から請求項32のいずれかに記載の化学洗浄方法。
  34. 前記ヘマタイト洗浄用薬液に還元剤を添加して、前記ヘマタイト洗浄用薬液の電位を調整する請求項30から請求項33のいずれかに記載の化学洗浄方法。
  35. 前記マグネタイト洗浄用薬液に還元剤を添加して、前記マグネタイト洗浄用薬液の電位を調整する請求項30から請求項34のいずれかに記載の化学洗浄方法。
  36. 前記中性の除錆剤を含む洗浄用薬液に前記還元剤を添加した場合の、前記還元剤の添加量と前記洗浄用薬液の電位の変化との相関データを予め取得しておき、
    前記相関データに基づいて、前記還元剤の添加量を算出する請求項34または請求項35に記載の化学洗浄方法。
  37. 前記調製したヘマタイト洗浄用薬液の一部を前記薬液タンクから抜き取り、該抜き取ったヘマタイト洗浄用薬液及びヘマタイト試薬を用いて溶解試験をして、前記ヘマタイト試薬が溶解することが確認された後、前記ヘマタイト洗浄用薬液を前記洗浄対象機器に供給する請求項30から請求項36のいずれかに記載の化学洗浄方法。
  38. 前記調製したマグネタイト洗浄用薬液の一部を前記薬液タンクから抜き取り、該抜き取ったマグネタイト洗浄用薬液及びマグネタイト試薬を用いて溶解試験をして、前記マグネタイト試薬が溶解することが確認された後、前記マグネタイト洗浄用薬液を前記洗浄対象機器に供給する請求項30から請求項37のいずれかに記載の化学洗浄方法。
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