JP6370201B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電動機、コンバータおよびインバータ等の制御対象を制御する制御装置に関するものである。
電源をチョッピングして電動機へ出力する制御装置では、ノイズを低減させるために、出力段には、しばしばインダクタ(L)とコンデンサ(C)によるLCフィルタを用いる。このLCフィルタを通過する電流が振動すると、フィルタ電流が共振し、開閉器およびコイルに耐電流値を超える大電流が流れて破損したり、正確な電流測定ができず制御装置が誤動作したりする。
例えば特許文献1の電圧変換器は、トランスの一次側を開閉器(電界効果トランジスタ;FET)でチョッピング制御している。トランスの一次側にはLCフィルタが配置され、このLCフィルタで平滑した後の電流を過電流検出用抵抗で検出する。過電流保護器は、過電流検出用抵抗で検出する電流が過大になると、開閉器のチョッピング動作を停止させて装置を保護する。このLCフィルタは、トランス電流のリップルにより共振することがある。このときに大きな共振電流が流れると、過電流保護器が誤動作する。このため、帯域阻止ろ波器(LC直列回路)を過電流検出用抵抗と並列に接続して、共振時に発生する大電流の検出を回避している。
電動機の制御装置は、電動機の通電電流の変化が大きいという特徴がある。通電電流が大きくなると、内部の磁気回路が飽和して、インダクタのインダクタンス値が低下する。LCフィルタの調和振動による共振周波数は、2π√LC(Hz)で表されるため、Lが変化すると共振周波数も変化する。そのため、特許文献1のように固定値インダクタンスと静電容量を持つインダクタとコンデンサからなるLC直列回路を過電流検出用抵抗と並列に接続しても、共振電流の検出を回避できない。
また、電流増加によるインダクタンス低下により、発振回路または誘導発電機の等価回路で称される負性抵抗が発生し、分数調波共振(SSR)を招く。この共振は、電力系統分野では鉄共振として知られている。特許文献2では、送電線に発生する分数調波直列共振を減衰回路で軽減させる構成が提案されている。
また、機械振動の分野でも、分数調波共振がトラブルの原因になることがある。油を潤滑させたすべり軸受けで発生するオイルホイップがよく知られている。特許文献3では、軸受部と軸受ハウジングとの隙間に形成した液体膜ダンパにより分数調波共振を軽減させる構成が提案されている。
上記特許文献1〜3はいずれも、負荷に投入する電力、周波数またはエネルギを自由に変更できないので、減衰を大きくしたり、位相を操作したりして振動の発生を抑制していた。これに対し、電動機の制御装置では、開閉器のチョッピング周波数および駆動Duty比を変えることが可能である。チョッピング周波数は、開閉器の開と閉を繰り返す周波数である。駆動Duty比は、開閉器の開閉1周期に閉める閉時間の割合である。
特開平11−111249号公報 特開2010−246366号公報 特開2005−321035号公報
ここで、図32に、一般的な電動機2の制御装置1の回路図を示す。この制御装置1は、電源3から電動機2へ電力を供給する。電動機2は、例えば直流電動機である。開閉器9は、MOS−FETなどのスイッチング素子で構成される。開閉器9は、制御部4が出力する開閉信号(例えば、FETのゲート信号に相当する)により開閉する。制御部4は、開閉信号を出力して開閉器9の駆動Duty比を操作することによって、電源3から電動機2に通電する平均電流または電圧を操作して電動機2の制御量を制御する。インダクタ5とコンデンサ6は、LC回路を構成し、開閉器9でチョッピング制御された電動機2への通電電流を平滑する。開閉器9の下流には、開閉器9と直列に電流検出用の抵抗器7が接続されている。電流検出回路8は、抵抗器7の両端の電位差を検出し、制御部4へ電流値を通知する。
制御部4は、電流検出回路8から通知された電流値が閾値を超えた場合に過電流と判定し、開閉器9を開の状態で停止させ、過電流による素子の破壊を防ぐ。つまり、図32の構成例では、過電流保護器が制御部4に内蔵されている。
この制御装置1におけるLC回路の共振について説明する。
図33は、インダクタに流れる電流値に対するインダクタ内部の磁束量の特性を示すグラフである。ここでは二種類のインダクタの特性(Ψ1,Ψ2)を示しており、一方のインダクタでは磁束量Ψ1が電流に対して直線的に増加している。もう一方のインダクタではある電流値までは磁束量Ψ2が電流に対して直線的に増加するが、磁気回路が飽和した後は磁束量Ψ2の増加率が減少している。
以下、磁束量Ψ1の特性を有するインダクタを線形特性のインダクタと称する。磁束量Ψ2の特性を有するインダクタを非線形特性のインダクタと称する。
図33に示した線形および非線形の特性をもつ二種類のインダクタを、図32のLC回路に使用すると、図34および図35の波形が得られる。図34(a)と図35(a)は、電動機2に流れる電流(電動機電流i)、図34(b)は線形特性のインダクタ5に流れる電流(インダクタ電流i)、図35(b)は非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、図34(c)と図35(c)は電動機2のマイナス端子の電圧であり、コンデンサ6の電圧でもある(コンデンサ電圧v)。
また、図34(b)の線形特性のインダクタ5について、0.006s〜0.008sの時間範囲T1におけるインダクタ電流iを、図36に拡大して示す。図35(b)の非線形特性のインダクタ5について、0.006s〜0.008sの時間範囲T2におけるインダクタ電流iを、図37に拡大して示す。
時間範囲T1においては、線形特性のインダクタ5のインダクタ電流iは穏やかな波形である。これに対し、時間範囲T2において、非線形特性のインダクタ5のインダクタ電流iおよびコンデンサ電圧vは、振幅が大きくなっている。
さらに、線形特性のインダクタ5は、図36の拡大図に示すようにインダクタ電流iの振幅がほぼ一定であるのに対し、非線形特性のインダクタ5は、図37の拡大図に示すようにインダクタ電流iの振幅が矢印A1,A2のように急激に大きくなっている。また、非線形特性のインダクタ5のインダクタ電流iの平均電流が大きくなるにつれ電流振動の周波数は高くなっていて、0.007s付近では共振状態に入る。この時の振動周波数は、開閉器の開閉周波数に同期している0.006s付近の振動周波数の二倍になっている。これが1/2分数調波共振である。分数調波共振は、1/3、1/4、1/5・・・においても発生するが、特に1/2分数調波での共振は振幅が大きく、その振幅電流は通常流れる電動機電流iの数倍の大きさになる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、1/2分数調波共振による過大な電流の発生を防止することを目的とする。
この発明に係る制御装置は、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部が、前記回路に通電する電流を開閉器によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された制御対象に通電する平均電流または電圧を操作して当該制御対象の制御量を制御する制御装置であって、制御部は、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう開閉器をチョッピング制御するものである。
この発明に係る制御装置は、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部が、前記回路に通電する電流を開閉器によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された制御対象に通電する平均電流または電圧を操作して当該制御対象の制御量を制御する制御装置であって、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分のうちの少なくとも1つは、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう設定されているものである。
この発明によれば、LCR直列回路と等価な回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう、開閉器をチョッピング制御するようにしたので、1/2分数調波共振による過大な電流の発生を防止することができる。
この発明によれば、LCR直列回路と等価な回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分のうちの少なくとも1つを設定したので、1/2分数調波共振による過大な電流の発生を防止することができる。
この発明の実施の形態1に係る電動機の制御装置が有するLCR直列回路の振動を説明する図である。 非線形特性のインダクタを使用した制御装置において、電動機起動時に1/2分数調波共振が成長しその後に減衰している波形のグラフである。 図2の共振前の時間範囲T11の波形を拡大したグラフである。 図2の共振中の時間範囲T12の波形を拡大したグラフである。 図2の共振後の時間範囲T13の波形を拡大したグラフである。 非線形特性のインダクタのインダクタンスを示すグラフである。 電流が自由振動するLCR直列回路を示す回路図である。 図7のLCR直列回路で発生する電流の自由振動の様子を示すグラフである。 1/2分数調波共振時の電流と電圧の波形を拡大したグラフである。 実施の形態1に係る電動機の制御装置における電流振幅の最大値を記録したグラフである。 この発明の実施の形態2に係る電動機の制御装置を説明するための参考図であり、電動機起動時に開閉器の閉時間を急激に長くした場合のグラフである。 実施の形態2に係る電動機の制御装置において、開閉器の閉時間の変化速度を小さくした場合のグラフである。 この発明の実施の形態3において、非線形特性のインダクタの磁束量を変化させるための関数を例示したグラフである。 インダクタ電流に対する磁束量特性およびインダクタンス特性を示すグラフである。 図14のインダクタ電流20A付近の各波形を拡大したグラフである。 実施の形態3に係る電動機の制御装置において、インダクタンス変化率を小さくした場合のグラフである。 実施の形態3に係る電動機の制御装置を説明するための参考図であり、インダクタンス変化率を大きくした場合のグラフである。 この発明の実施の形態4に係る電動機の制御装置において、電動機起動時の駆動Duty比を0.01ずつ変えながら100回起動したときの測定結果を示すグラフである。 実施の形態4の制御部の内部構成例を示すブロック図である。 実施の形態4の指令値制限器の内部構成例を示すロジック図である。 実施の形態4に係る電動機の制御装置において、駆動Duty比を制限した場合のグラフである。 この発明の実施の形態5に係る電動機の制御装置において制御部の内部構成例を示すブロック図である。 実施の形態5の指令値制限器の内部構成例を示すロジック図である。 実施の形態5に係る電動機の制御装置において、駆動Duty比を制限した場合のグラフである。 実施の形態5の変形例であり、指令値制限器の内部構成例を示すロジック図である。 実施の形態5の変形例において、駆動Duty比を制限した場合のグラフである。 この発明の実施の形態6に係る電動機の制御装置において制御部の内部構成例を示すブロック図である。 実施の形態6の三角波発生器の内部構成例を示すロジック図である。 実施の形態6に係る電動機の制御装置において、チョッピング周波数を変更した場合のグラフである。 この発明の実施の形態7に係る電動機の制御装置を説明するための参考例であり、LCR直列回路における自由振動の結果を示すグラフである。 実施の形態7に係る電動機の制御装置の構成例を示す回路図である。 直流電動機の制御装置の構成例を示す回路図である。 特性が異なる二種類のインダクタの電流に対する磁束量の関係を示すグラフである。 図33のインダクタ105aを制御装置のLC回路に使用した場合の、(a)直流電動機に流れる電流、(b)インダクタに流れる電流、(c)直流電動機のマイナス端子とコンデンサとの接続点の電圧を示すグラフである。 図33のインダクタ105bを制御装置のLC回路に使用した場合の、(a)直流電動機に流れる電流、(b)インダクタに流れる電流、(c)直流電動機のマイナス端子とコンデンサとの接続点の電圧を示すグラフである。 図34(b)の時間範囲T1の波形を拡大したグラフであり、インダクタ105aに流れる電流を示す。 図35(b)の時間範囲T2の波形を拡大したグラフであり、インダクタ105bに流れる電流を示す。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る電動機の制御装置を説明する前に、分数調波共振の原理を説明する。なお、電動機の制御装置の主立った構成は、図32で示した通りであるので、以下では図32を援用する。詳細は後述するが、従来と実施の形態1とで異なるのは制御部4の制御方法である。
図1は、LCR直列回路の振動を説明する図である。図1(b)に示すLCR直列回路の振動について、よりイメージしやすいブランコの振れ(図1(a)に示す)と比較しながら説明する。
図1(a)は、ブランコにおける振動系の構成図である。図において、θはブランコの振れ角度、lは支点からブランコまでの腕の長さ、mはブランコに乗っている人の質量、foは質量mに作用する外力である。また、Dを粘性抵抗による減衰とする。
ブランコの運動方程式を以下に示す。
Figure 0006370201
図1(b)は、LCR直列回路の回路図である。LCR直列回路は、図32と同様のインダクタ5、コンデンサ6および抵抗器7から構成され、iはインダクタ電流、vはコンデンサ電圧、vinは矩形波状の印加電圧である。また、Lをインダクタ5のインダクタンス、Cをコンデンサ6の容量、Rを抵抗器7の抵抗値とする。
LCR直列回路の電圧電流方程式を以下に示す。
Figure 0006370201
上記の式(1)の運動方程式と式(2)の電圧電流方程式において、θとvを入れ替えると共に、ω=dθ/dtとiを入れ替えると、それぞれ全く同じ形の微分方程式になる。
振動は、2つのエネルギ状態を行き来することで発生する。
ブランコの場合、位置エネルギと運動エネルギとの間を往復することで、ブランコの振動が継続する。
LCR直列回路の場合、インダクタ5内部の磁束によるエネルギとコンデンサ6に溜まる電荷によるエネルギの間を往復することで、電流の振動が継続する。
平衡状態からの2つの状態のエネルギの和を用いると、振動の大きさを表せるので、これを振動エネルギと呼ぶことにする。ブランコの振動エネルギEθを式(3)に表し、LCR直列回路の振動エネルギEを式(4)に表す。
Figure 0006370201
ここで、運動エネルギは式(3a)であり、ブランコの速度に依存する。位置エネルギは式(3b)であり、ブランコの高さに依存する。
式(3)において、ブランコはθ=0およびdθ/dt=0で平衡になり、このときブランコは最も低い位置になる。この位置のとき、位置エネルギが0になる。
Figure 0006370201
ここで、インダクタ5に蓄えられるエネルギは式(4a)であり、電流に依存する。コンデンサ6に蓄えられるエネルギは式(4b)であり、電圧に依存する。
式(4)において、LCR直列回路はv=0およびi=0で平衡になり、この状態を0としたときのインダクタ5のエネルギとコンデンサ6のエネルギの和が振動エネルギになる。
ブランコの振動エネルギをEθ、LCR直列回路の振動エネルギをEとすると、それぞれの時間変化は式(5)、(6)になる。
Figure 0006370201

Figure 0006370201
ブランコでは、式(5)の−Dl(dθ/dt)の項が必ず負になるので、減衰Dを大きくすると、振動エネルギが小さくなり、振動は減衰する。物理現象としては、減衰Dが摩擦力などで生じる場合は発熱し、その発熱量は振動エネルギの減衰量と同じになる。
LCR直列回路の場合、式(6)の−Riの項は必ず負になり、抵抗Rによる電力損失分の振動エネルギが減少し、抵抗器7は発熱する。
式(5)、(6)から励振条件と制振条件を考えると、以下のようになる。
<励振条件>
ブランコの場合、dEθ/dt>0において、ブランコが運動している方向と同じ方向に外力foを加える。すると、(dθ/dt)fo>0になり、振動エネルギは増加する。
LCR直列回路の場合、dE/dt>0において、i>0のときvin>0にする、またはi<0のときvin<0にすると、振動エネルギは増加する。
<制振条件>
ブランコの場合、dEθ/dt>0において、ブランコが運動している方向とは逆の方向に外力foを加えると、振動エネルギは小さくなる。
LCR直列回路の場合、dE/dt<0において、i>0のときvin<0にする、またはi<0のときvin>0にすると、振動エネルギは小さくなる。
ここで、振動している周波数の2倍の周波数で励振した場合を考える。
l,m,D,L,C,Rなどの値は定数であって変化しないものとする。また、飽和およびヒステリシスなどの非線形な要素の発生がなく、振動波形はきれいな正弦波になっているものとする。
ブランコが1周期に2回右方向に押された場合、左に運動中と右に運動中に同じ力が加わるので、励振と制振が同じ大きさになり、振動は大きくならない。
LCR直列回路において振動の1周期に対し印加電圧vinが2周期になった場合、i>0とi<0でvinが同じ大きさなので、振動は大きくならない。
このように、正弦波状の線形振動においては、振動波形が半周期ごとに上下対称になるため、2倍の周波数で加振しても同じ大きさの励振と制振が繰り返され、振動が大きくなることはない。
続いて、振動の大きさによりmおよびLが変化するような、非線形の振動を考える。このときの振動波形は、正弦波のような対称性はない。
ブランコが1周期に2回押される場合、右に運動中には強く押され、左に運動中には弱く押されると、振動が大きくなる。
LCR直列回路において振動1周期に対しvinが2周期の場合、|vin|の大きさがi>0の間では大きく、i<0の間では小さくなると、振動は大きくなる。
このように、振動と同期しつつ1周期に2回加振すると、振動波形に対称性がないので、振動エネルギが大きくなり、励振される。つまり、分数調波共振の発生には、非線形な要素が必要である。
共振の発生には、加振力と振動が同期すること、および加振により励振されることが必要である。
まず、加振力と振動が同期することについて説明する。図37に示した1/2分数調波共振において、どのように振動と開閉器9の動作とが同期しているのかを観察してみる。
図2(a)は、非線形特性のインダクタ5を使用した制御装置1において、電動機2の起動時に、1/2分数調波共振が成長しその後に減衰している波形のグラフである。図2(a)では、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、抵抗器7と開閉器9に流れる電流iFET、および電動機電流iの各波形を示し、開閉器9から電動機2に流れる方向、およびコンデンサ6に充電する方向を正にしている。また、図2(b)には、開閉器9の開閉信号の波形を示しており、例えばFETのゲート信号に相当する。
この図2のうち、共振前の時間範囲T11の波形を拡大して図3に示し、共振中の時間範囲T12の波形を拡大して図4に示し、共振後の時間範囲T13の波形を拡大して図5に示す。
図3によると、共振前の時間範囲T11において、開閉信号とインダクタ電流iとは、まだ同期していない。インダクタ電流iの振動振幅は、増減を繰り返している。
図4に示す時間範囲T12は共振している状態であり、開閉信号とインダクタ電流iとが同期している。また、インダクタ電流iの高い部分と低い部分とで交互に開閉器9が通電している。これにより、インダクタ電流iの振動振幅はしだいに大きくなってゆく。
図5に示す時間範囲T13は共振後の状態であり、開閉信号とインダクタ電流iの同期がしだいに外れ、インダクタ電流iの振動振幅は小さくなってゆき、やがて一定の幅で増減を繰り返す状態に戻る。
続いて、共振が起こる周波数について考えてみる。
図33の磁束量Ψ1のような線形特性のインダクタ5を用いたLC回路の場合、共振周波数frは、fr=1/(2π√LC)になる。この式は、線形微分方程式の解より求めたものであり、磁束量Ψ2のような非線形特性のインダクタ5を用いたLC回路には適用できない。
インダクタ5のインダクタンスをL、インダクタ5に流れる電流をi、磁束量をΨとすると、Ψ=L・iとなる。よって、Lはiの関数L(i)である。L(i)の定義は他の方法も考えられるが、ここでは、L(i)=Ψ(i)/iとする。
非線形特性のインダクタ5についてそのインダクタンスを計算すると、図6のようになる。図6によると、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流iが大きくなると、インダクタンスL2が小さくなる。図32より、非線形特性のインダクタ5を流れる電流は、非線形特性のインダクタ5とコンデンサ6による電流の振動と、電動機2の電流の合計になる。このうち、電動機2の電流は直流成分であり、電流振動は交流成分になる。ここで、再び図2のグラフを見ると、時間範囲T11〜T13の間で、電動機電流iがしだいに増加している。インダクタ電流iの平均値は、電動機電流iになるので、電流振動が小さいときは電動機電流iによりしだいにインダクタンスが小さくなる。
ここで、図7に、電流が自由振動するLCR直列回路を示す。図7のコンデンサ6および抵抗器7は、図32と同じである。また、図7のインダクタ5は、図33に示したような、電流に対する磁束量Ψ2の非線形特性を有する。定電流源10は、電動機電流iを想定した模擬電動機電流を流す。インダクタ電流iは、インダクタ5のコイルを充電する方向を正にしている。コンデンサ6の電圧はvである。
図8は、図7のLCR直列回路で発生する電流の自由振動の様子を示すグラフである。定電流源10の電流値を5A(実線)、10A(一点鎖線)、15A(破線)に設定した場合に、非線形特性のインダクタ5を流れるインダクタ電流iを図8(a)に示し、コンデンサ電圧vを図8(b)に示す。これらの波形は、コンデンサ電圧vを20V、インダクタ電流iを0Aにした後に、自由振動させたものである。インダクタ電流iおよびコンデンサ電圧vについて、定電流源5A、10A、15Aのときの周期を比較すると、定電流源10の電流値が小さいと周期は長く、定電流源10の電流値が大きいと周期は短くなっている。
定電流源10は電動機電流を模擬したものであることから、電動機の制御装置1では、電動機の起動時に発生する突入電流によって共振周波数が連続的に高くなり、ある電動機電流において共振が発生する。
次に、1/2分数調波共振の発生条件である、同期状態での励振について調べる。インダクタンス値が電流の関数L(i)になる場合の、LCR直列回路における電流と電圧の関係について考えてみる。図1(b)のLCR直列回路の電流方程式は、下式(7)になる。式(7)では、L,C,Rが定数であり、R>0であれば電流は振動しても、振幅は大きくならずに必ず減衰する。
Figure 0006370201
次に、インダクタンス値が経時変化する場合を考える。この場合、インダクタに発生する電圧vは、下式(8)になる。
Figure 0006370201
式(8)を式(7)のL・di/dtの部分に代入すると、式(9)になる。
Figure 0006370201
式(9)は非線形微分方程式であり、任意のL(i)に対する解を求めることは難しいので、式の形から解の特徴を予想する。式(7)と式(9)の第二項の係数を比較し、等価抵抗Reを式(10)とする。
Figure 0006370201
−(dL(i)/di・di/dt)>Rのとき、Reは負性抵抗になる。
図9に、1/2分数調波共振時の波形を拡大したグラフを示し、式(9)からどのように励振されているのか見る。図9(a)において、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流iを実線で示し、電動機電流iを破線で示し、開閉器9の開閉信号sFETを一点鎖線で示す。図9(b)において、コンデンサ電圧vを実線で示す。
タイミングT21で、開閉器9が閉になり、タイミングT22で電動機電流iとインダクタ電流iが一致する。タイミングT23で、開閉器9が開になり、タイミングT24で再び電動機電流iとインダクタ電流iが一致する。タイミングT25で、再び開閉器9が閉になり、タイミングT26で、開閉器9が再び開になる。
まず、タイミングT21で開閉器9が閉じる。このとき、コンデンサ電圧vは高く、インダクタ電流iの変化はほぼ0であり、iは上昇に転じる。そして、タイミングT22で、矢印A21で示すようにiは電動機電流iを追い越し、コンデンサ6は充電から放電に転じる。ここから、vは降下を始める。
タイミングT22の後では、vが低下するにもかかわらずiは負の値側に突であり、さらなる上昇を続ける。この大電流は、磁束量Ψ2が非線形特性(図33)になるインダクタ5の磁束量の飽和による現象であり、磁束量Ψ1が線形特性(図33)になるインダクタ5を使用した場合には起こらない。
式(9)の第二項L(i)・di/dtは、iの変化を抑える方向に電圧を発生し、iの変化を鈍化させるが、L(i)が小さくなるとその作用が弱くなる。加えて、上述の負性抵抗が発生すると、iの上昇に伴いさらなる電流を流すように電圧降下が発生する。この作用により、タイミングT22でvが低下に転じた後も激しくiが上昇する。
続いて、タイミングT23で開閉器9が開く。このとき、iは、上昇しきったあとで、矢印A22で示すように急激に降下する。これは、矢印A21の部分とは逆の作用で、L(i)が大きくなり、負性抵抗が正の抵抗に変化することによる。タイミングT24では、iと電動機電流iが再び一致し、この後、コンデンサ6は放電から充電に転じる。
続いて、タイミングT25で開閉器9が閉じる。このときは、vが低く、iも小さいので、インダクタンス値が大きい。このため、iは増加に転じるものの、矢印A23のように変化は小さい。iが小さいままタイミングT26で開閉器9が開き、矢印A24のようにiは低下する。タイミングT24から後は、コンデンサ6の充電状態が続き、vはゆるやかに上昇する。
以上のように、開閉器9を閉にすることで、タイミングT21〜T23の間は励振され、タイミングT25〜ST26の間は制振される。その際、励振されるときの電流が制振されるときの電流よりも大きいので、上述したように振動波形に対称性がない、つまり非線形の振動状態になり、1/2分数調波共振が励振される。
次に、非線形の磁束量特性をもつインダクタ5を用いた電動機2の制御装置1において、共振を回避する方法を説明する。上述したように、共振を回避するためには、電動機2の起動時に発生する突入電流を抑制する必要がある。
そこで、実施の形態1では、開閉器9のチョッピング周波数として、LCR直列回路の自由振動の周波数(固有振動数)を避け、1/2分数調波共振が発生しない周波数を使用する。
先述の図32を援用して、実施の形態1に係る電動機2の制御装置1を説明する。インダクタ成分である非線形特性のインダクタ5と、コンデンサ成分であるコンデンサ6と、抵抗成分である抵抗器7とにより、LCR直列回路と等価な回路が構成されている。
図10は、非線形特性のインダクタ5を用いた制御装置1において、制御部4から出力する開閉信号のチョッピング周波数を掃引して、電動機2の起動時における電流振幅の最大値を記録したグラフである。周波数f1において1/1分数調波(基本波)共振のピークが記録され、周波数f2において1/2分数調波共振のピークが記録され、周波数f3において1/3分数調波共振の始まりが記録されている。図10より、周波数f3の22000Hz以上の周波数で開閉器9を開閉すれば、大きな振動は発生しない。図10の例を始めとする多くの場合、1/3以下の分数調波では、電流が平均化され、1/2分数調波のような大きな共振は発生しない。従って、制御部4が出力する開閉信号のチョッピング周波数を、22000Hz以上の周波数に設定する。その際、チョッピング周波数は、上記のように実測により決定してもよいし、上式(9)の計算(シミュレーションを含む)により決定してもよい。
なお、固有振動数は、図8で示したように、負荷電流で変化する。そこで、計算または実測により、固有振動周波数の最大値を求め、その2倍以上の周波数をチョッピング周波数に設定してもよい。これにより、大きな分数調波共振は回避できる。
図10のグラフの場合、固有振動周波数の最大値が15000Hzであるので、その2倍以上の周波数として30000Hz以上の周波数をチョッピング周波数に設定する。
以上より、実施の形態1によれば、制御装置1は、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部4が、前記回路に通電する電流を開閉器9によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された電動機2に通電する平均電流または電圧を操作して電動機2の制御量を制御する構成である。そして、制御部4は、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう開閉器9をチョッピング制御する構成である。具体的には、制御部4が開閉器9をチョッピング制御する周波数を、実測または計算により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始める周波数と同値またはそれ以上にする。これにより、制御装置1のハードウエア構成を変更することなく、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できる。
実施の形態2.
先述の図32を援用して、実施の形態2に係る電動機2の制御装置1を説明する。実施の形態1と同様、制御装置1は、非線形特性のインダクタ5を用いる。
電動機2の起動時に開閉器9の閉時間を急激に長くすると、電動機2には低回転で高い電圧が印加されるので、定常運転では流れないような大きな電流が流れる。この例を、図11に示す。
図11(a)は、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、および電動機電流iの波形を示すグラフである。図11(b)は、開閉器9の駆動Duty比を示すグラフである。図11の例では、電動機2を起動した直後の1msの間に、駆動Duty比を0から0.7まで変化させている。
このように、駆動Duty比を急激に大きくした場合、つまり開閉器9の閉時間を急激に長くした場合、電動機電流iが大きくなり、時間範囲T31において分数調波共振が発生する。
実施の形態2では、分数調波共振の発生を防止するために、開閉器9の閉時間の変化速度を小さくする。この例を、図12に示す。図12(a)は、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、および電動機電流iの波形を示すグラフであり、図12(b)は、開閉器9の駆動Duty比を示すグラフである。図12の例では、開閉器9を起動した直後の10msの間に、駆動Duty比を0から0.7まで変化させている。
このように、駆動Duty比をゆっくり大きくしていった場合、つまり開閉器9の閉時間をゆっくり長くしていった場合、電動機電流iは分数調波共振が起きる大きさに達しないので、インダクタ電流iは安定している。
図12の例では、開閉器9の閉時間の変化速度を、10msで0から0.7になるように設定したが、変化速度の値はこれに限定されるものではない。例えば、上式(9)を解いて、1/2分数調波共振が発生しないことが確認できる変化速度を求めてもよい。あるいは、図32の制御装置1において、駆動Duty比の変化速度を変更した場合の電動機電流を測定して、1/2分数調波共振が発生しないことが確認できる変化速度を決定してもよい。
1/2分数調波共振が発生しないことが確認できる駆動Duty比の変化速度とは、例えば、上式(9)の計算または実測により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始める変化速度と同値またはそれ以下である。
以上より、実施の形態2によれば、制御部4が開閉器9をチョッピング制御する駆動Duty比の変化速度を、実測または計算により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始める変化速度と同値またはそれ以下にするようにした。これにより、制御装置1のハードウエア構成を変更することなく、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できる。
実施の形態3.
先述の図32を援用して、実施の形態3に係る電動機2の制御装置1を説明する。実施の形態1と同様、制御装置1は、非線形特性のインダクタ5を用いる。
図9(a)に矢印A21で示したような、急激に電流が上昇する一因に、上式(9)の
第二項Riから発生する負性抵抗がある。この負性抵抗の大きさは、(dL(i)/di・di/dt+R)dΨ/diになる。よって、負性抵抗の発生を抑えることは、抵抗Rを大きくする、または磁束量の変化率dΨ/diを大きくすることになる。
上式(6)でも示したように、振動エネルギはRiで減衰することからも、抵抗Rを大きくすると振動を減衰できることが予測できる。
ここで、dΨ/diの大きさと振動の大きさを比較してみる。
式(11)、(12)は、非線形特性のインダクタ5の磁束量Ψ2を変化させるための関数である。図13において、曲線11は式(11)をグラフ化したものであり、曲線12は式(12)をグラフ化したものである。
Figure 0006370201

Figure 0006370201
図14は、インダクタ電流iに対する磁束量Ψの特性、およびインダクタンスLの特性を示すグラフである。図15は、図14のインダクタ電流20A付近の各波形を拡大したグラフである。
Ψ2は、図33と同様、非線形特性のインダクタ5の磁束量特性である。
Ψ2−11は、インダクタ電流iが20Aになる付近で、インダクタ電流に対するインダクタンス値の変化率が小さくなるように、Ψ2に式(11)を乗じた磁束量特性である。
Ψ2−12は、インダクタ電流iが20Aになる付近で、インダクタ電流に対するインダクタンス値の変化率が大きくなるように、Ψ2に式(12)を乗じた磁束量特性である。
磁束量特性がΨ2,Ψ2−11,Ψ2−12のときのインダクタンス特性は、それぞれ、L2,L2−11,L2−12である。L2,L2−11,L2−12を比べると、20A付近でのインダクタンス値は同じであるが、20A付近以外での傾きが変更されている。L2,L2−11,L2−12を比べると、20A前後でのインダクタンス値の変化率は、L2−11が最も小さく、L2−12が最も大きい。
図11は、磁束量Ψ2が非線形特性になるインダクタ5を用いて測定したインダクタ電流iおよび電動機電流iの波形を示したグラフであった。これに対し、図16では、磁束量特性をΨ2−11に変更し、iに対するインダクタンス変化率を小さくしたインダクタ5を用いて、図11と同じ測定を行った場合を示す。図16の場合、図11の場合に比べて負性抵抗が大きくなるので、図11の時間範囲T31のような急激なインダクタ電流iの上昇はない。
図17では、磁束量特性をΨ2−12に変更して、図11と同じ測定を行った場合を示す。図17の場合、インダクタ電流iに、図11の時間範囲T31よりも大きな振動が発生している。
インダクタ5の磁束量特性の調整は、コイルの巻き数、コアの材質、コアの形状およびコアのスリット幅などの変更により実現する。インダクタ電流に対するインダクタンス値の変化率を小さくすることで、分数調波共振の発生をある程度抑制できる。また、分数調波共振が発生した場合でも、電流振幅を小さくできる。
なお、実用上は、インダクタンス値の変化率が大きいインダクタは比較的安価であるため、可能な限り変化率の大きいインダクタを使用して安価にすることが望ましい。しかし、インダクタンス値の変化率が大きいインダクタは、分数調波共振が発生しやすい。そのため、1/2分数調波共振しないような、インダクタンス値の変化率の最大値を見積もることは重要である。なお、見積もりは、電動機2が使用される全ての条件において、上式(9)を計算するか実測することにより行う。
以上より、実施の形態3によれば、制御装置1は、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部4が、前記回路に通電する電流を開閉器9によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された電動機2に通電する平均電流または電圧を操作して電動機2の制御量を制御する構成である。そして、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分のうちの少なくとも1つは、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう設定されている構成である。具体的には、インダクタ成分の通電電流に対するインダクタンス変化率を、実測または計算により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始めるインダクタンス変化率と同値またはそれ以下にする。これにより、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できる。また、インダクタを小型化できる。
実施の形態4.
先述の図32を援用して、実施の形態4に係る電動機2の制御装置1を説明する。実施の形態1と同様、制御装置1は、非線形特性のインダクタ5を用いる。
図18は、図32の制御装置1において非線形特性のインダクタ5を使用し、起動時の駆動Duty比を0.01ずつ変えながら100回起動したときの、インダクタ電流iの最大値imaxと、電動機電流iの最大値iMmaxの測定結果を示すグラフである。グラフの縦軸は電流、横軸は起動時の駆動Duty比である。また、Bは、1/2分数調波共振が発生している区間である。以下、Bを1/2分数調波発生区間と呼ぶ。
起動時の駆動Duty比が1/2分数調波発生区間Bより小さい場合は、電動機電流iが小さく、励振作用を持つインダクタ電流iの交流成分も小さいので、1/2分数調波共振には至らない。
また、起動時の駆動Duty比が1/2分数調波発生区間Bより大きい場合は、電動機電流iが大きくなるのでインダクタンス値は小さくなるが、インダクタ電流iの交流成分が小さくなるので、1/2分数調波共振は起こらない。
従って、1/2分数調波共振が起こる駆動Duty比は、1/2分数調波発生区間Bの区間に限定されている。よって、制御装置1の制御部4は、電動機2の起動時に、1/2分数調波発生区間Bを避けて開閉器9の駆動Duty比を制御することにより、1/2分数調波共振の発生を防止できる。
なお、1/2分数調波発生区間Bは、上式(9)の計算により決定してもよいし実測により決定してもよい。
ここで、図19に、実施の形態4における制御部4の内部構成例を示す。制御部4は、指令値生成器41、指令値制限器42、三角波発生器43および比較器44を備えている。指令値生成器41は、駆動Duty比の指令値を生成する。指令値制限器42は、指令値生成器41により生成された駆動Duty比指令値が1/2分数調波発生区間B以外の値であれば、そのまま比較器44へ出力する。一方、駆動Duty比指令値が1/2分数調波発生区間Bに含まれる値であれば、1/2分数調波発生区間B以外の値に制限して比較器44へ出力する。
三角波発生器43は、チョッピング周波数の三角波を発生させる。比較器44は、指令値制限器42が出力する制限後の駆動Duty比指令値と、三角波発生器43で発生した三角波とを比較して、開閉器9の開閉信号を生成する。
図20は、指令値制限器42の内部構成例である。この例では、1/2分数調波発生区間Bの駆動Duty比として、0.5〜0.9を用いる。つまり、指令値制限器42は、電動機2の起動時、駆動Duty比の指令値が0.5より大きく0.9より小さい場合、0.5以下または0.9以上の値に制限する。
また、この例では、駆動Duty比の指令値が0.3より小さい場合、電動機2が停止しているとみなす。電動機2の起動時は、0.3以上の状態が10msを超えるまでの期間とする。
指令値生成器41から指令値制限器42へ入力した駆動Duty比の指令値は、比較部4201において0.3と比較される。比較部4201は、駆動Duty比の指令値が0.3より小さいとき、電動機2が停止していると判断し、タイマ4202をリセットする。一方、駆動Duty比の指令値が0.3以上のとき、比較部4201はタイマ4202をリセットせず、タイマ4202はリセット時点から所定時間(例えば、10ms)が経過するまでの時間を計る。
タイマ4202は、電動機2が起動を開始した時点から10msが経過するまでの時間を計る。駆動Duty比が0.3以上になり、0.3以上の状態が10msを超えると、タイマ4202がスイッチ4203の出力を偽値Fから真値Tに切り替える。スイッチ4203は、真値Tの場合、入力された駆動Duty比の指令値をそのまま比較器44へ出力する。
一方、スイッチ4203が偽値Fの場合の出力、つまり電動機2の起動時の出力は、以下のようになる。
駆動Duty比の指令値は、比較部4204において0.9と比較され、比較部4205において0.5と比較される。比較の結果、駆動Duty比の指令値が0.9より大きい、または0.5より小さい場合、ORゲート4206からスイッチ4207へ通知が行き、スイッチ4207の出力が真値Tに切り替わる。スイッチ4207の出力が真値Tの場合、駆動Duty比指令値がそのままスイッチ4203へ出力される。
それ以外の場合、スイッチ4207の出力は偽値Fである。その際、比較部4208は、駆動Duty比指令値を0.7と比較し、スイッチ4209を切り替える。駆動Duty比の指令値が0.7より大きい場合、スイッチ4209はスイッチ4207へ0.9を出力し、0.7以下の場合は0.5を出力する。
従って、電動機2の起動後10msの期間において、駆動Duty比の指令値が0.9より大きい、または0.5より小さい場合、駆動Duty比指令値そのままの値がスイッチ4203から出力される。駆動Duty比の指令値が0.5以上0.7以下の場合、指令値が0.5に制限されてスイッチ4203から出力される。駆動Duty比の指令値が0.7より大きく0.9以下の場合、指令値が0.9に制限されてスイッチ4023から出力される。
電動機2の起動後10msを経過した後は、駆動Duty比指令値そのままの値がスイッチ4203から出力される。
このように、駆動Duty比の指令値を制限することで、起動後10msの期間は、駆動Duty比が0.5〜0.9になることを回避できる。
ここで、上記のように駆動Duty比の指令値を制限した結果を、図21のグラフに示す。図21(a)は、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、および電動機電流iの波形を示し、図21(b)は、指令値制限器42による制限前の駆動Duty比指令値、つまり指令値生成器41が出力した駆動Duty比指令値と、指令値制限器42による制限後の駆動Duty比指令値の波形を示す。
電動機2の起動後10msの間、駆動Duty比の指令値を制限したので、図11で発生していたような1/2分数調波共振は回避されている。
以上より、実施の形態4によれば、制御部4が開閉器9をチョッピング制御する駆動Duty比を、実測または計算により予め確認された基本波と1/2分数調波の共振が発生する駆動Duty比を除外した値にした。これにより、制御装置1のハードウエア構成を変更することなく、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できる。
実施の形態5.
先述の図32を援用して、実施の形態5に係る電動機2の制御装置1を説明する。実施の形態1と同様、制御装置1は、非線形特性のインダクタ5を用いる。
図22に、実施の形態5における制御部4の内部構成例を示す。図22において、図19と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。実施の形態5の制御部4は過電流検知器45を備え、それにより指令値制限器42aの働きが実施の形態4の指令値制限器42とは一部異なる。
過電流検知器45は、電流検出回路8において検出された電流検出値を、予め設定された閾値と比較し、電流検出値が閾値より高い場合に指令値制限器42aへ過電流検知信号を出力する。
過電流検知器45の閾値は、1/2分数調波共振の発生有無を判定可能な電流値とする。ここでは、閾値として、上式(9)の計算または実測により決定した20Aを用いる。
指令値制限器42aは、過電流検知器45から過電流検知信号が通知されている間、指令値生成器41により生成された駆動Duty比の指令値を、1/2分数調波発生区間B以外の値に制限して比較器44へ出力する。指令値制限器42aは、過電流検知器45から過電流検知信号が通知されていない場合は、指令値生成器41により生成された駆動Duty比の指令値をそのまま比較器44へ出力する。
図23は、指令値制限器42aの内部構成例である。図23において、図20と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
タイマ4202aは、過電流検知器45の過電流検知信号によりリセットされる。タイマ4202aは、リセット時点から所定時間(例えば、10ms)が経過すると、スイッチ4203の出力を偽値Fから真値Tに切り替える。従って、指令値制限器42aは、過電流検知器45において過電流が検知された時点から検知終了後10msが経過するまでの期間、駆動Duty比指令値が0.5〜0.9になることを回避する。
ここで、指令値制限器42aにより駆動Duty比の指令値を制限した結果を、図24のグラフに示す。図24(a)は、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、および電動機電流iの波形を示し、図24(b)は、指令値制限器42aによる制限前の駆動Duty比指令値、つまり指令値生成器41が出力した駆動Duty比指令値と、指令値制限器42aによる制限後の駆動Duty比指令値の波形を示す。
電流検出回路8の検出するインダクタ電流iが閾値20Aより高くなったタイミングT41で、駆動Duty比指令値の制限が開始され、0.7から0.5へ制限される。そして、その制限は、インダクタ電流iが閾値20A以下になったタイミングT42から10msを経過するまでの期間、継続される。これにより、1/2分数調波共振の成長が抑制される。
この方法では、図24(a)に示したように、電動機2の起動時の突入電流により、インダクタ電流iが閾値20Aを超える状態がしばらく続く。そこで、閾値20Aを超える電流の発生を少なくするために、指令値制限器42aを変形して、図25に示すような構成の指令値制限器42bを構成してもよい。
ここで、図25に、実施の形態5の変形例として指令値制限器42bの内部構成例を示す。図25において、図23と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
タイマ4202bは、過電流検知器45の過電流検知信号によりリセットされる点はタイマ4202aと同じであるが、リセット時点から所定時間(例えば、10ms)の経過を計る機能に加えて、当該所定時間よりも短い時間(例えば、1ms)の経過を計る機能も有する。
タイマ4202bは、リセット時点から10msが経過すると、スイッチ4302の出力を偽値Fから真値Tに切り替える。また、タイマ4202bは、リセット時点から1msが経過すると、スイッチ4210の出力を偽値Fから真値Tに切り替える。スイッチ4210の出力が偽値Fの場合、制限後の駆動Duty比の指令値として0が出力される。なお、駆動Duty比を低くするほど過電流の抑制効果が高いので指令値を0に制限しているが、0より大きい値であっても構わない。
一方、スイッチ4210の出力が真値Tの場合、スイッチ4203の出力が制限後の駆動Duty比の指令値となる。
この構成により、指令値制限器42bは、過電流検知器45において過電流が検知された時点から検知終了後10msが経過するまでの期間、駆動Duty比指令値が0.5〜0.9になることを回避する。加えて、指令値制限器42bは、過電流検知器45において過電流が検知された時点から1msが経過するまでの期間、駆動Duty比指令値を0に制限する。
ここで、指令値制限器42bによりに駆動Duty比の指令値を制限した結果を、図26のグラフに示す。図26(a)は、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、および電動機電流iの波形を示し、図26(b)は、指令値制限器42bによる制限前の駆動Duty比指令値、つまり指令値生成器41が出力した駆動Duty比指令値と、指令値制限器42bによる制限後の駆動Duty比指令値の波形を示す。
電流検出回路8の検出するインダクタ電流iが閾値20Aより高くなるたび(タイミングT51,T52,T53,T54)、1ms間、駆動Duty比の指令値が0に制限される。また、インダクタ電流iが閾値20Aより高くなったタイミングT51,T52,T53,T54から10msが経過するまでの間は、駆動Duty比の指令値が0.7から0.5へ制限される。
以上より、実施の形態5によれば、制御部4は、LCR直列回路と等価な回路に通電する電流が予め設定された閾値を超えた場合、開閉器9をチョッピング制御する駆動Duty比を、基本波と1/2分数調波の共振が発生する駆動Duty比を除外した値に制限するようにした。これにより、制御装置1のハードウエア構成を変更することなく、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できる。また、LCR直列回路と等価な回路の電流が閾値を超えた場合のみ駆動Duty比を制限するので、電動機2の出力を低下させることなく、分数調波共振の発生を抑制できる。
実施の形態6.
先述の図32を援用して、実施の形態6に係る電動機2の制御装置1を説明する。実施の形態1と同様、制御装置1は、非線形特性のインダクタ5を用いる。
上記実施の形態5では、過電流検知時に駆動Duty比の指令値を制限して、分数調波共振を回避した。これに対し、実施の形態6では、過電流検知時に開閉器9のチョッピング周波数を変更することで、分数調波共振を回避する。
通常、開閉器9を開閉動作するチョッピング周波数は、開閉器の発熱、電磁音、電流の連続性などから最適に決定されるのが通常である。しかし、分数調波共振の周波数はインダクタ電流により変化するので、予め共振が予想される周波数を、チョッピング周波数に選ぶことはできない。また、共振しないチョッピング周波数が定常運転時の最適チョッピング周波数と異なる場合、常に共振しないチョッピング周波数で開閉器9を開閉動作させると、発熱、電磁音、電流の連続性などの悪化を招く。
そこで、実施の形態6では、定常運転時の最適チョッピング周波数で開閉器9を開閉動作させつつ、分数調波共振の発生を検知したときだけチョッピング周波数を変更する。
図27に、実施の形態6における制御部4の内部構成例を示す。図27において、図19と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。実施の形態6の制御部4は過電流検知器45を備え、それにより三角波発生器43cの働きが実施の形態4,5の三角波発生器43とは一部異なる。
過電流検知器45は、電流検出回路8において検出された電流検出値を、予め設定された閾値と比較し、電流検出値が閾値より高い場合に三角波発生器43cへ過電流検知信号を出力する。
過電流検知器45の閾値は、1/2分数調波共振の発生有無を判定可能な電流値とする。ここでは、閾値として、上式(9)の計算または実測により決定した20Aを用いる。
三角波発生器43cは、過電流検知器45から過電流検知信号が通知されている間、三角波の周波数を変更する。三角波の周波数は、開閉器9を開閉動作する開閉信号のチョッピング周波数と等しい。
図28は、三角波発生器43cの内部構成例である。この例では、定常運転時の最適チョッピング周波数として、19000Hzを用いる。また、1/2分数調波共振の発生時に変更するチョッピング周波数として、25000Hzを用いる。なお、共振発生時に変更するチョッピング周波数は、少なくとも定常運転時とは異なる周波数であればよく、より好ましくは予め計算または実測しておいた共振が発生しないチョッピング周波数がよい。
図28の場合、三角波発生器43cから比較器44へ出力される三角波は、下限値0.01から上限値1の範囲で振幅する三角波になる。三角波の下限値を0にすると、後段の比較器44で駆動Duty比の指令値「0」と三角波「0」とを正しく比較できない。そこで、この例では三角波の下限値を0.01にすることにより、駆動Duty比の指令値が0のときに開閉器9が完全に開になるようにしてある。
タイマ4301は、過電流検知器45の過電流検知信号によりリセットされる。タイマ4301は、リセット時点から所定時間(例えば、10ms)が経過すると、スイッチ4302の出力を偽値Fから真値Tに切り替える。スイッチ4302は、真値Tの場合、定常運転時の最適チョッピング周波数19000Hz×2を出力し、偽値Fの場合、共振が発生しないチョッピング周波数25000Hz×2を出力する。
比較部4303は、三角波の前回値が下限値0.01以下の場合に、フリップフロップ4305に通知する。フリップフロップ4305は、比較部4303の通知を受け、三角波の前回値が下限値0.01以下の場合にスイッチ4306の出力を偽値Fから真値Tに切り替える。スイッチ4306の出力が真値Tの場合、乗算部4307においてスイッチ4302の出力に「1」を乗じた値が出力され、積算部4309において前回値に積算される。スイッチ4306の出力が真値Tの期間は、正の傾きの三角波が出力される。
比較部4304は、三角波の前回値が上限値1以上の場合に、フリップフロップ4305に通知する。フリップフロップ4305は、比較部4304の通知を受け、三角波の前回値が上限値1以上の場合にスイッチ4306の出力を真値Tから偽値Fに切り替える。スイッチ4306の出力が偽値Fの場合、乗算部4308においてスイッチ4302の出力に「−1」を乗じた値が出力され、積算部4309において前回値に積算される。スイッチ4306の出力が偽値Fの期間は、負の傾きの三角波が出力される。
比較部4303,4304から積算部4309までの工程において、スイッチ4302の出力が19000Hz×2に切り替わっている間は19000Hz周波数の三角波が生成され、スイッチ4302の出力が25000Hz×2に切り替わっている間は25000Hz周波数の三角波が生成される。
ここで、上記のように三角波の周波数、つまりチョッピング周波数を変更した結果を、図29のグラフに示す。図29(a)は、非線形特性のインダクタ5に流れるインダクタ電流i、および電動機電流iの波形を示し、図29(b)は、指令値生成器41が出力した駆動Duty比指令値の波形を示し、図29(c)は、スイッチ4302の出力状態(真値Tまたは偽値F)を示す。
電流検出回路8の検出するインダクタ電流iが閾値20Aより高くなったタイミングT61で、スイッチ4302の出力が真値T(19000Hz×2)から偽値F(25000Hz×2)へ切り替わるので三角波の周波数が25000Hzに変更される。三角波の周波数変更は、インダクタ電流iが閾値20A以下になったタイミングT62から10msを経過するまでの期間、継続される。これにより、1/2分数調波共振の成長が抑制される。また、過電流が検知されなくなると、三角波の周波数は定常運転時の最適チョッピング周波数である19000Hzに戻る。また、電動機2が起動した後は過電流が発生しないので、定常運転時には最適チョッピング周波数に切り替わり、開閉器9の発熱を防止できる。
以上より、実施の形態6によれば、制御部4は、LCR直列回路と等価な回路に通電する電流が予め設定された閾値を超えた場合、開閉器9をチョッピング制御する周波数を変更するようにした。これにより、制御装置1のハードウエア構成を変更することなく、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できる。また、LCR直列回路と等価な回路の電流が閾値を超えた場合のみチョッピング周波数を変更するので、電動機2の出力を低下させることなく、分数調波共振の発生を抑制できる。
また、実施の形態6によれば、制御部4は、LCR直列回路と等価な回路に通電する電流が予め設定された閾値を超えた場合、開閉器9をチョッピング制御する周波数を、実測または計算により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始める周波数と同値またはそれ以上に制限するようにしてもよい。この場合も上記同様の効果がある。
実施の形態7.
先述の図32を援用して、実施の形態7に係る電動機2の制御装置1を説明する。実施の形態1と同様、制御装置1は、非線形特性のインダクタ5を用いる。
上記実施の形態1,2,4〜6では、開閉器9の開閉信号の駆動Duty比またはチョッピング周波数を変更することにより、電動機2の起動時の分数調波共振を抑制した。これに対し、実施の形態7では、分数調波共振が発生しないような部品を用いて、電動機2の制御装置1を製造する。
まず、上式(9)による電流の動きを詳しく見る。図30は、図7に示したLCR直列回路における自由振動の結果を示すグラフである。図30(a)はインダクタ電流i、図30(b)はインダクタ電流iの時間微分di/dt、図30(c)は等価抵抗Re=dL(i)/di・di/dt+R、図30(d)はコンデンサ電圧v=1/C・∫idtの波形を示す。iの最大値と最小値では、di/dt=0である。
上式(9)を変更してdi/dt=0を求めると、式(13)になる。
Figure 0006370201
インダクタ電流iが最大値をとるときは、印加電圧vin=0であるから、iの最大値imax=v/Rになる。通常使用される抵抗器7の抵抗Rは小さいので、コンデンサエネルギの最大値=インダクタ電流の最大値と考えると、式(14)になる。
Figure 0006370201
式(10)より、コンデンサ電圧vの最大値vmaxを制限してimaxを抑えることができる。具体的には、図31のように、制御装置1にダイオード100を追加する。または、コンデンサ6の容量Cを小さくしてもよい。
また、上記実施の形態3で説明したように、上式(10)のReが負にならないようにL(i)とRを設定することが望ましい。その際、Reを大きくすれば分数調波共振を防げるので、インダクタ5または抵抗器7の抵抗値を大きくしてもよい。
他方、制御装置1の共振電流は、インダクタ5とコンデンサ6のLCフィルタ、開閉器9、抵抗器7、プリント基板のパターン等を通過する。共振時は、これらを合計した直列抵抗値が大きいほど、振動の大きさを減衰させる効果が大きい。しかし、直列抵抗値は損失になり、効率の低下および発熱を招くので多くの場合好まれない。
発熱を防止するには抵抗値をなるべく小さくすることが好ましいため、電動機2を使用する全ての条件において上式(9)を数値計算してimaxを求め、1/2分数調波共振しない抵抗値の最小値(逆に言えば、1/2分数調波共振が発生し始める抵抗値の最大値)を特定するとよい。特定した値またはそれ以下の抵抗器7を実装することにより、共振を抑制しつつ、効率の向上および発熱の防止が可能となる。
以上より、実施の形態7によれば、制御装置1は、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部4が、前記回路に通電する電流を開閉器9によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された電動機2に通電する平均電流または電圧を操作して電動機2の制御量を制御する構成である。そして、インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分のうちの少なくとも1つは、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう設定されている構成である。具体的には、インダクタ成分または抵抗成分を、式(9)の(dL(i)/di・di/dt+R)が負にならないように設定する。これにより、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できる。また、効率の向上および発熱の防止が可能になる。
また、実施の形態7によれば、抵抗成分を、電動機2が使用される条件で上式(9)を計算し、1/2分数調波共振しないことが確認されたRの最大値と同値またはそれ以下にするようにしてもよい。この場合にも、分数調波共振による過大な電流の発生を回避できると共に、効率の向上および発熱の防止が可能になる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
また、本発明に係る制御装置の制御対象としては、例示した電動機の他、コンバータおよびインバータ等であっても構わない。
1 制御装置、2 電動機、3 電源、4 制御部、5 インダクタ、6 コンデンサ、7 抵抗器、8 電流検出回路、9 開閉器、10 定電流源、11,12 曲線、41 指令値生成器、42 指令値制限器、43 三角波発生器、44 比較器、45 過電流検知器、100 ダイオード、T1,T2,T11〜T13,T31 時間範囲、T21〜T26,T41,T42 タイミング、A1,A2,A21〜A24 矢印、B 1/2分数調波発生区間。

Claims (13)

  1. インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部が、前記回路に通電する電流を開閉器によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された制御対象に通電する平均電流または電圧を操作して当該制御対象の制御量を制御する制御装置であって、
    前記制御部は、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう前記開閉器をチョッピング制御し、
    前記制御部が前記開閉器をチョッピング制御する周波数は、実測または計算により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始める周波数と同値またはそれ以上であることを特徴とする制御装置。
  2. 1/3分数調波共振が発生し始める周波数は、下式を用いて計算されることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
    Figure 0006370201
    ここで、Cは等価コンデンサ容量、Rは等価抵抗、vinはLCR直列回路と等価な前記回路両端への等価印加電圧、L(i)は通電電流iに応じて変化する等価インダクタンスである。
  3. インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部が、前記回路に通電する電流を開閉器によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された制御対象に通電する平均電流または電圧を操作して当該制御対象の制御量を制御する制御装置であって、
    前記制御対象は電動機であり、
    前記制御部は、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう前記開閉器をチョッピング制御し、
    前記制御部が前記開閉器をチョッピング制御するDuty比の変化速度は、実測または計算により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始める変化速度と同値またはそれ以下であることを特徴とする制御装置。
  4. 1/3分数調波共振が発生し始めるDuty比の変化速度は、下式を用いて計算されることを特徴とする請求項3記載の制御装置。
    Figure 0006370201
    ここで、Cは等価コンデンサ容量、Rは等価抵抗、vinはLCR直列回路と等価な前記回路両端への等価印加電圧、L(i)は通電電流iに応じて変化する等価インダクタンスである。
  5. インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部が、前記回路に通電する電流を開閉器によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された制御対象に通電する平均電流または電圧を操作して当該制御対象の制御量を制御する制御装置であって、
    前記制御部は、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう前記開閉器をチョッピング制御し、
    前記制御部が前記開閉器をチョッピング制御するDuty比は、実測または計算により予め確認された基本波と1/2分数調波の共振が発生するDuty比を除外した値であることを特徴とする制御装置。
  6. 基本波と1/2分数調波の共振が発生するDuty比は、下式を用いて計算されることを特徴とする請求項5記載の制御装置。
    Figure 0006370201
    ここで、Cは等価コンデンサ容量、Rは等価抵抗、vinはLCR直列回路と等価な前記回路両端への等価印加電圧、L(i)は通電電流iに応じて変化する等価インダクタンスである。
  7. 前記制御部は、前記回路に通電する電流が予め設定された閾値を超えた場合、前記開閉器をチョッピング制御するDuty比を、基本波と1/2分数調波の共振が発生するDuty比を除外した値に制限することを特徴とする請求項5または請求項6記載の制御装置。
  8. 前記制御部は、前記回路に通電する電流が予め設定された閾値を超えた場合、前記開閉器をチョッピング制御する周波数を変更することを特徴とする請求項1、請求項3、または請求項5記載の制御装置。
  9. 前記制御部は、LCR直列回路と等価な前記回路に通電する電流が予め設定された閾値を超えた場合、前記開閉器をチョッピング制御する周波数を、1/3分数調波共振が発生し始める周波数と同値またはそれ以上に制限することを特徴とする請求項1または請求項2記載の制御装置。
  10. インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部が、前記回路に通電する電流を開閉器によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された制御対象に通電する平均電流または電圧を操作して当該制御対象の制御量を制御する制御装置であって、
    前記インダクタ成分または前記抵抗成分が、下式中の(dL(i)/di・di/dt+R)が負にならないよう設定されていることにより、前記回路に通電する電流が1/2分数調波共振しない範囲になるよう設定されていることを特徴とする制御装置。
    Figure 0006370201
    ここで、Cは等価コンデンサ容量、Rは等価抵抗、v in はLCR直列回路と等価な前記回路両端への等価印加電圧、L(i)は通電電流iに応じて変化する等価インダクタンスである。
  11. 前記抵抗成分は、前記制御対象が使用される条件で前記式を計算し、1/2分数調波共振が発生しないことが確認された前記式中Rの最大値と同値またはそれ以下に設定されていることを特徴とする請求項10記載の制御装置。
  12. インダクタ成分、コンデンサ成分および抵抗成分を直列に接続したLCR直列回路と等価な回路を有し、制御部が、前記回路に通電する電流を開閉器によりチョッピング制御することによって、前記回路の出力側に接続された制御対象に通電する平均電流または電圧を操作して当該制御対象の制御量を制御する制御装置であって、
    前記インダクタ成分の通電電流に対するインダクタンス変化率は、実測または計算により予め確認された1/3分数調波共振が発生し始めるインダクタンス変化率と同値またはそれ以下に設定されていることを特徴とする制御装置。
  13. 前記インダクタ成分の通電電流に対するインダクタンス変化率は、前記制御対象が使用される条件で前記式を計算し、1/2分数調波共振が発生しないことが確認された前記式中(dL(i)/di)の最大値と同値またはそれ以下に設定されていることを特徴とする請求項10記載の制御装置。
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