JP6340550B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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本発明は、誘導加熱装置に関し、特に、トッププレート上に載置された金属製の調理用鍋などの被加熱物を誘導加熱する誘導加熱装置に関する。
誘導加熱装置の1つである誘導加熱装置において、例えば被加熱物である鍋を載置するトッププレートの下方に複数の加熱コイルをマトリクス状に配置し、鍋が載置された領域の下方に位置する複数の加熱コイルに高周波電流を供給することにより1つの鍋を誘導加熱するものがある。
この種の誘導加熱装置は、加熱コイルが下方に配置されているトッププレートのどこに鍋を載置しても鍋を加熱することが可能なため、鍋を載置する位置を制約することがなく使い勝手を向上させることができる。
しかし、この種の誘導加熱装置は、加熱コイルが下方に存在する場所の鍋の温度と加熱コイルが下方に存在しない場所の鍋の温度の差、つまり鍋の加熱ムラを抑制するために複数の加熱コイルは近接して配置されるため、それぞれの加熱コイルから発生する磁界の干渉レベルは大きい。このとき、隣接する加熱コイルから発生する高周波磁界に周波数差が存在すると、その周波数差に起因した干渉音が発生し、使用者にとって耳障りで不快感を与えてしまうという課題を有していた。
この課題を解決する手段として、例えば複数の加熱コイルを1つのインバータ回路に接続した回路構成を有する誘導加熱装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この回路構成では、1つのインバータ回路を動作することによって複数の加熱コイルに電力を供給するため、複数の加熱コイルに流れる電流の周波数はインバータ回路の動作周波数と同一となり、インバータ回路の動作周波数を変化してもそれぞれの加熱コイルから発生する高周波磁界に周波数差がなく、干渉音が発生しないようにすることができる。
独国特許出願公開第9054582号明細書
しかしながら、特許文献1で開示された回路構成では、特に電力を供給している加熱コイルと電力を供給していない加熱コイルが混在する状態となったとき、電力を供給していない加熱コイルの上方に鍋が載置されたか否かを検知することが困難になるという課題を有していた。
1つのインバータ回路に接続された複数の加熱コイルのうち、一部の加熱コイルに電力を供給しているとき、インバータ回路を構成する直列に接続された2つのスイッチング素子は、所望の電力供給が可能な動作周波数やデューティーで動作する必要がある。このとき、電力を供給していない加熱コイルの上方に被加熱物が載置されているか否かを判別するために当該加熱コイルに接続されたスイッチング素子をオン状態にすると、当該加熱コイルにも大電流が流れてしまう。もし電力を供給していない加熱コイルの上方に鍋が載置されているのであれば、不必要な鍋まで加熱を行うこととなり、空焚きを発生して危険で
ある。また電力を供給していない加熱コイルの上方に鍋が載置されていなければ、加熱コイルに流れる電流が大きくなることで回路部品が破壊したり漏洩磁界が大きくなったりという課題が発生する。
また、加熱コイル毎にインバータ回路を接続し、それぞれのインバータ回路を同一周波数で動作することで干渉音が発生しない構成を実現できるが、鍋に電力を供給する場合に比べて被加熱物の検知時は電流を小さくするためにデューティーを小さくすると、スイッチング素子に流れている電流がスイッチング素子と並列に接続した逆導通ダイオードに流れ、その期間に導通するスイッチング素子を切替えるとスイッチング素子に流れる電流や印加される電圧の変化量が急峻になるため、ノイズの発生やスイッチング動作による損失が大きくなるという課題を有していた。
本発明は、従来の課題を解決するもので、被加熱物の判別時のインバータ回路の動作周波数と被加熱物への電力供給時のインバータ回路の動作周波数を同一としても、インバータ回路を構成するスイッチング素子と並列に接続された逆導通ダイオードに電流が流れている期間に、排他的に動作するスイッチング素子がオン状態となって電流の変化量が急峻になることなく、スイッチング時に発生する損失を抑制する誘導加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、被加熱物を載置するためのトッププレートと、前記トッププレートの下方に配置された複数の加熱コイルと、前記複数の加熱コイルとそれぞれ共振回路を形成する複数の共振コンデンサと、前記加熱コイルに高周波電流を供給する少なくとも2つの主スイッチング素子を直列に接続した構成を有するインバータ回路と、前記インバータ回路と前記共振回路との間に直列に接続した副スイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子のオンオフ制御を行う制御手段と、前記トッププレートの上方の前記被加熱物の状態を判別する被加熱物判別手段と、を備え、前記複数の主スイッチング素子のうち、電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子のオン状態の期間と前記副スイッチング素子のオン状態の期間との重なり期間を制御することにより前記加熱コイルに流れる電流を制御し、
前記被加熱物判別手段は、少なくとも前記共振回路に流れる電流値または前記共振回路に発生する電圧値に基づいて前記共振回路を形成する前記加熱コイルの領域に対応する前記トッププレートの上方の前記被加熱物の状態を判別するものであって、
前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を一定期間有する不連続動作となるように前記副スイッチング素子がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングを制御する状態で前記被加熱物の状態を判別を行うものである。
本発明の誘導加熱装置は、インバータ回路と加熱コイルの間に接続した副スイッチング素子がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングを制御して加熱コイルに流れる電流を調節するものであり、加熱コイルに流れる電流が小さくなるように調節しても、インバータ回路の主スイッチング素子がスイッチング動作を行う時に主スイッチング素子と並列に接続された逆導通ダイオードの電流値は零または殆ど電流が流れていない状態になるため、主スイッチング素子のスイッチング動作時に主スイッチング素子に流れる電流の変化量を小さくしてスイッチング損失を小さくすることができる。
また、インバータ回路が如何なる周波数で動作していても加熱コイルに流れる電流値は零電圧スイッチング動作状態または零電流スイッチング動作状態で零から制御することができるため、被加熱物の判別時の動作周波数と被加熱物への電力供給時の動作周波数を同一としてもスイッチング損失が少なく、またノイズが発生しにくい動作が可能なため、隣
接して配設された複数の加熱コイルに同時に電力を供給してもうなり干渉音が発生せず不快感を与えない誘導加熱装置を実現することが可能となる。
本発明の実施の形態1にかかる誘導加熱装置の概略平面図 本発明の実施の形態1にかかる誘導加熱装置の回路構成を示す回路図 本発明の実施の形態1にかかる複数のスイッチング素子に供給する電圧信号シーケンスと加熱コイルに流れる電流を示す波形図 本発明の実施の形態2にかかる被加熱物の判別基準を示す特性図 本発明の実施の形態3にかかる複数のスイッチング素子に供給する電圧信号シーケンスと加熱コイルに流れる電流を示す波形図 本発明の実施の形態4にかかる高抵抗被加熱物に対する複数のスイッチング素子に供給する電圧信号シーケンスと加熱コイルに流れる電流を示す波形図 本発明の実施の形態4にかかる低抵抗被加熱物に対する複数のスイッチング素子に供給する電圧信号シーケンスと加熱コイルに流れる電流を示す波形図 本発明の実施の形態3にかかる誘導加熱装置の回路構成を示す回路図
第1の発明は、被加熱物を載置するためのトッププレートと、前記トッププレートの下方に配置された複数の加熱コイルと、前記複数の加熱コイルとそれぞれ共振回路を形成する複数の共振コンデンサと、前記加熱コイルに高周波電流を供給する少なくとも2つの主スイッチング素子を直列に接続した構成を有するインバータ回路と、前記インバータ回路と前記共振回路との間に直列に接続した副スイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子のオンオフ制御を行う制御手段と、前記トッププレートの上方の前記被加熱物の状態を判別する被加熱物判別手段と、を備え、
前記複数の主スイッチング素子のうち、電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子のオン状態の期間と前記副スイッチング素子のオン状態の期間との重なり期間を制御することにより前記加熱コイルに流れる電流を制御し、
前記被加熱物判別手段は、少なくとも前記共振回路に流れる電流値または前記共振回路に発生する電圧値に基づいて前記共振回路を形成する前記加熱コイルの領域に対応する前記トッププレートの上方の前記被加熱物の状態を判別するものであって、
前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を一定期間有する不連続動作となるように前記副スイッチング素子がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングを制御する状態で前記被加熱物の状態を判別するものである。
これによって、被加熱物に供給される電流を小さくすることができるため、被加熱物の判別時に必要な電力を小さくして、電力損失の少なくして被加熱物を判別することができる。
また、被加熱物が載置されていた場合には被加熱物に供給される電力を最小限にすることができるため、不必要な加熱を抑制することができる。
また、被加熱物が載置されていない場合には、加熱コイルに流れる電流を小さくすることで漏洩磁界を低減し、例えば周辺に存在する機器にノイズを与えたりしないようにすることができる。
さらに、多大な電流が供給されて回路部品などが破壊することのないようにすることができる。
また、被加熱物を検知するために新たなセンサなどを付加する必要がないため、誘導加
熱装置を安価に構成することが可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記被加熱物判別手段は、オンオフ制御を行う前記副スイッチング素子を接続した加熱コイルの領域に対応する前記トッププレートの上方に前記被加熱物が載置されているか否かを判別するものである。
これによって、被加熱物が載置されているか否かを判別することができるため、例えば被加熱物が載置されている領域を操作手段に表示するなどして、加熱操作をしやすくすることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記被加熱物判別手段は、オンオフ制御を行う前記副スイッチング素子を接続した加熱コイルの領域に対応する前記トッププレートの上方に載置された前記被加熱物の材質を判別するものである。
これによって、載置された被加熱物の材質によって、例えば加熱動作するときの動作方法を選択したり、あるいは被加熱物に供給する電力の上限値を判断したりして、誘導加熱装置に適した状態で動作することができる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記主スイッチング素子と前記副スイッチング素子は同一の周波数で動作するものである。
これによって、動作周期毎に同一の出力値が得られるため、回路の電力制御を行いやすくすることができる。
また、加熱コイルに流れる電流の基本周波数は動作周波数に一致するため、例えば複数の加熱コイルを近接して同時にどうさしてもうなり干渉音が発生しないようにすることができる。
第5の発明は、特に、第4の発明において、前記加熱コイルに電流が流れている状態と前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を前記インバータ回路の動作周期毎に有するものである。
これによって、共振周波数が異なる負荷のばらつきを加熱コイルに電流が流れていない期間で調節することができ、次の加熱コイルへの通電開始時には如何なる負荷においても電流がゼロの値から増加することができるため、被加熱物の検知を精度高く行うことができる。
また、電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子のオン状態の期間と前記副スイッチング素子のオン状態の期間との重なり期間の開始のタイミングでの電流値を零とすることができるため、被加熱物の判別時に加熱コイルに流す電流を小さくでき、且つ精度高く制御することができるため、被加熱物の判別の精度も高くすることができる。
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記複数の主スイッチング素子のうち電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子がオン状態からオフ状態へと遷移するタイミングの前後の期間にまたがって前記副スイッチング素子に電流が流れるように前記副スイッチングのオンオフ制御を行うものである。
これによって、主スイッチング素子がオン期間からオフ期間へと遷移するときに発生す
るノイズがインバータ回路と共振回路との間に接続したスイッチング素子に印加されないため、スイッチング素子の破壊を抑制することができる。
第7の発明は、特に、第6の発明において、前記複数の主スイッチング素子のうち電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子がオン状態からオフ状態へと遷移するタイミングに前記副スイッチング素子に流れる電流の値は、前記加熱コイルに流れる電流値の最大値となるように前記副スイッチング素子のオンオフ制御を行うものである。
これによって、電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子のオン状態の期間と前記副スイッチング素子のオン状態の期間との重なり期間と被加熱物の判別時に用いる電流検出手段の出力値が略線形的に変化するため、重なり期間と電流値との関係を簡素化して被加熱物の判別基準を設けやすくして精度高く被加熱物を検出することができる。
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、被加熱物の状態の判別時に前記加熱コイルに流す電流よりも大きな電流を流して被加熱物に電力を供給するように前記主スイッチング素子および前記副スイッチング素子をオンオフ制御する状態を更に備え、前記被加熱物の状態の判別時と前記被加熱物への電力供給時での前記主スイッチング素子の動作周波数および/またはオン期間は同一とするものである。
これによって、前記被加熱物の状態の判別と前記被加熱物への電力供給とを隣接して配設された加熱コイルで行ってもうなり干渉音が発生しないようにすることができる。
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、前記被加熱物への電力供給時は、前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を一定期間有する不連続動作と、前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を有さない連続動作とを用いて被加熱物に供給する電力の制御を行うものである。
これによって、高抵抗の特性を有する被加熱物と低抵抗の特性を有する被加熱物のいずれにも定格電力または定格電力に近い電力を不具合なく供給することができる。
また、特に高抵抗の被加熱物に対しては、本発明の誘導加熱装置に適用した回路が供給可能な最大電力を供給することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、以下の全ての図において、同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の上面の平面図である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の上面に載置された被加熱物を加熱するために用いる回路の回路図である。図1および図2は、本実施の形態において主要な構成要素を概略的に示している。
図1で示すように、実施の形態1の誘導加熱装置10の上面は、被加熱物を載置するためのトッププレート13と、トッププレート13の下方にマトリクス状に配置された45個の加熱コイル11aa〜11eiと、トッププレート13に載置した被加熱物の加熱の開始や停止、電力の調節などを操作する操作手段12とから成る。なお、操作手段12は、トッププレート13に複数の被加熱物が載置された時に、どの被加熱物に対して加熱の
開始や停止、電力の調節などの操作を行うのかを明確にするために、例えば被加熱物が載置された位置を視覚的に示す表示手段を備えていてもよい。
この誘導加熱装置10は、加熱コイル11の上方であればトッププレート13のどの位置に被加熱物を載置しても被加熱物を誘導加熱することができる構成のものであり、被加熱物を載置する位置の自由度を高めて使い勝手を向上させることができる。
また、この誘導加熱装置10は、被加熱物の下方に位置する複数の加熱コイルに通電して1つの被加熱物を誘導加熱するため、被加熱物の加熱ムラを抑制するためにそれぞれの加熱コイルは近接して配置される。
誘導加熱装置10は、図2に示す構成の回路を加熱コイル11と同数の45個有し、45個の加熱コイルにそれぞれ接続されている。この回路は、加熱コイル11の上方に載置された被加熱物を誘導加熱するために必要な高周波電流を加熱コイル11に供給するための回路であるとともに、加熱コイル11の上方に被加熱物が載置されているか否かを判別するために必要な高周波電流を加熱コイル11に供給するための回路でもある。
まず、図2に示した回路の構成を説明する。図2において、直流化手段42は、交流電源41を直流電源に変換する手段であり、ダイオードブリッジなどにより構成される。なお、直流化手段42は、インダクタやコンデンサで構成されるLCフィルタなどを内包してもよい。
直流化手段42の出力側には、第1の逆導通ダイオード43dが並列接続された第1の主スイッチング素子である第1のスイッチング素子43と、第2の逆導通ダイオード44dが並列接続された第2の主スイッチング素子である第2のスイッチング素子44が直列に接続されており、第1のスイッチング素子43と第2のスイッチング素子44を排他的にオンオフ制御することにより、直流化手段42から出力される直流電源を高周波電源に変換することができる。なお、本実施の形態では、第2のスイッチング素子44と並列に接続され、第1のスイッチング素子43や第2のスイッチング素子44をオン状態からオフ状態に遷移(ターンオフ動作)する際にスイッチング素子の内部で発生するスイッチング損失を抑制するためのスナバコンデンサ48を含めてインバータ回路61とする。
インバータ回路61の出力側には、加熱コイル11と、加熱コイル11と共振回路62を形成する共振コンデンサ46と、第3の逆導通ダイオード45dが並列接続された副スイッチング素子である第3のスイッチング素子45が直列に接続されている。また、インバータ回路61の出力側と加熱コイル11を内包する共振回路62の接続経路には、加熱コイル11に流れる電流を検出するための電流検出手段47が接続されている。
電流検出手段47からの出力値は、共振回路62を形成する加熱コイル11の領域に対応するトッププレート13の上方の被加熱物の状態である被加熱物が載置されているか否かを判別する被加熱物判別手段50に入力される。また、第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45のそれぞれのオンオフ制御を行う信号を出力する制御手段49は、第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45それぞれと接続されているとともに、電流検出手段47とも接続される。なお、被加熱物判別手段50や制御手段49の機能を1つのマイコンの中で構成してもよい。
また、被加熱物判別手段50は、共振回路62を形成する加熱コイル11の領域に対応するトッププレート13の上方に被加熱物の状態である被加熱物が載置されているか否かを判別することが可能であり、共振回路62を形成する加熱コイル11の領域に対応する
トッププレート13の上方に被加熱物の状態である載置された被加熱物の材質を判別することも可能である。
なお、電流検出手段47は、共振回路62に流れる電流値以外にも、共振回路62に流れる電流と第1のスイッチング素子43や第2のスイッチング素子44、あるいは第3のスイッチング素子45のオンオフ制御との位相差を判断するための値を検出するものであってもよい。また、例えば共振コンデンサ46に発生する電圧を検出するものに代替してもよい。
次に、本実施の形態における誘導加熱装置の動作を説明する。図3は、第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45をオンオフ制御するためにそれぞれのスイッチング素子に与える電圧信号のシーケンスおよび加熱コイル11に流れる電流を示している。図3において、第1のスイッチング素子43に与える電圧信号をVm1、第2のスイッチング素子44に与える電圧信号をVm2、第3のスイッチング素子45に与える電圧信号をVs、加熱コイル11に流れる電流をIcとする。なお、それぞれのスイッチング素子は電圧信号が高くなっている時にオン状態となり、第1のスイッチング素子43では期間Tm1に、第2のスイッチング素子44では期間Tm2にそれぞれオン状態となっている。
インバータ回路61の出力側に高周波の電圧を発生するために、第1のスイッチング素子43と第2のスイッチング素子44は排他的にオン制御を行う。そのときのインバータ回路61の動作周期はTfとなる(動作周波数は1/Tf)。また、スイッチング素子に電圧信号が与えられてからスイッチング素子が実際にオン状態からオフ状態に、またはオフ状態からオン状態に遷移するのに遅れが発生した際に直流化手段42の出力側が電源短絡することのないように、第1のスイッチング素子43と第2のスイッチング素子44が共にオフ状態となるデットタイム期間Tdを有している。
直流化手段42が直流電圧を出力しているとき、高電位側のスイッチング素子である第1のスイッチング素子43をオン状態とすると、インバータ回路61の出力側に電圧が発生する。このとき、第3のスイッチング素子45がオフ状態であると、電圧が印加されても電流が流れる経路が形成されないため、加熱コイル11には電流が流れない。一方、第3のスイッチング素子45がオン状態であると、第3のスイッチング素子45を介して電流経路が形成されて加熱コイル11に電流が流れる。従って、本実施の形態における誘導加熱装置の回路では、第1のスイッチング素子43をオン状態にしている期間Tm1内に第3のスイッチング素子45をオフ状態からオン状態に遷移し、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1を制御することによって、加熱コイル11に流れる電流を制御して、被加熱物に供給する電力を調節することができる。なお、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1が長いほど加熱コイル11に印加される電圧の期間が長くなり多くの電流が流れるため、加熱コイル11の上方に載置された被加熱物への供給可能な電力は大きくなる。
第1のスイッチング素子43をオン状態からオフ状態へと遷移し、デットタイム期間Tdが経過すると、今度は第1のスイッチング素子43と排他的に動作する第2のスイッチング素子44がオフ状態からオン状態へと遷移する。これにより、共振回路62に流れていた電流Icが共振動作によって電流Icの流れる方向が反転すると、第2のスイッチング素子44を電流経路として電流Icが連続して流れる。
第2のスイッチング素子44に電流Icが流れている期間Tc1は第3の逆導通ダイオード45dに電流Icが流れており、第3のスイッチング素子45には電流が流れていな
いため、第2のスイッチング素子44に電流Icが流れている期間Tc1に第3のスイッチング素子45をオン状態からオフ状態へと遷移させることにより、第3のスイッチング素子45から発生するスイッチング動作による損失を零とすることができる。
第2のスイッチング素子44に電流Icが流れている期間Tc1に第3のスイッチング素子45をオフ状態しておくと、共振回路62に流れている電流Icが共振動作によって再び反転しようとしても電流の流れる経路が遮断(オフ状態)されているため、共振回路62に流れる電流Icは停止Tg1する。
被加熱物の判別時において、第1のスイッチング素子43がオン状態のときに第3のスイッチング素子45をオフ状態からオン状態に遷移するとともに、第1のスイッチング素子43がオン状態からオフ状態へと遷移するまでの期間Ta1は少なくとも第3のスイッチング素子45をオン状態に維持することにより、第1のスイッチング素子43がオン状態からオフ状態へと遷移するタイミングで共振回路62に流れる電流Icが最大値Ip1となるようにすることができる。そのため、例えば第1のスイッチング素子43がオン状態からオフ状態へと遷移するタイミングで共振回路62に流れる電流値を電流検出手段47で検出することにより、電流最大値を維持する回路なしで電流最大値Ip1を検出することが可能となる。
また、第1のスイッチング素子43がオフ状態となり第2のスイッチング素子44がオン状態となるタイミングをまたがって第3のスイッチング素子45に電流が流れるようにすることにより、第1のスイッチング素子43および第2のスイッチング素子44の遷移時の電流および電圧の振る舞いを第3のスイッチング素子45が接続されていない従来の回路構成の場合と同様として、第1のスイッチング素子43および第2のスイッチング素子44に発生するノイズおよびスイッチング損失を小さくすることができる。
本実施の形態における誘導加熱装置10では、加熱コイル11の上方に被加熱物が存在するか否かの判別や、また被加熱物が存在する場合では被加熱物の材質の判別を操作手段12から加熱の開始の操作が行われる前に行うことで、例えば被加熱物が載置された位置を操作手段12に視覚的に示すための情報を得ることができる。
しかし、誘導加熱装置10を安価に構成するためには、被加熱物を判別するための情報を得るためのセンサなどを増加しないことが望まれる。かといって、誘導加熱を行うための回路を、被加熱物を判別するための情報を得る目的で秩序なく動作すると、例えば加熱コイル11の上方に被加熱物が載置されている場合では、被加熱物を不用意に加熱して安全性を欠いたり、被加熱物の判別時に必要となる電力が大きくなって電力を浪費したりしてしまう。また、例えば加熱コイル11の上方に被加熱物が載置されていない場合では、無負荷状態となるため加熱コイル11に多大な電流が流れ、回路部品の破壊を引き起こしたり、被加熱物の判別時の漏洩磁界が大きくなったりしてしまう。
上記課題を解決するためには、被加熱物の判別時に加熱コイル11に流れる電流は少ないことが望ましい。その方法として、本実施の形態における誘導加熱装置の回路では、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1が短くなるように、第3のスイッチング素子45がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングを制御することによって、例えばインバータ回路61から加熱コイル11や被加熱物に大きな電力を供給しないようにすることができ、損失を小さくして被加熱物を判別することができる。なお、被加熱物の判別時に被加熱物に供給される電力を小さくするために、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1は第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1の半分以下が望ましい。
第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1が一定であっても、トッププレート13の上方に載置された被加熱物の有無または材質または載置状態によって例えば共振回路62に流れる電流の最大値Ip1は異なることから、被加熱物判別手段50がトッププレート13の上方に載置された被加熱物の有無または材質または載置状態を、例えば第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1を一定または可変して電源41からインバータ回路61に流れる電流と共振回路62に流れる電流の最大値Ip1との関係から判別することができる。
なお、被加熱物判別手段50が被加熱物を判別するために少なくとも必要な情報値として、共振回路62に流れる電流値の他、共振回路62に発生する電圧値でもよい。
本実施の形態における誘導加熱装置の回路は、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1を零にすると加熱コイル11に流れる電流を零にできる。つまり、加熱コイル11に流れる電流は零から制御することができるため、加熱コイル11に少ない電流を供給することができるため、被加熱物の判別時に供給する電力を小さくして電力の消費を小さくすることができる。
図3に示したように、少なくとも被加熱物の判別動作時は、加熱コイル11に電流が流れている期間(Tb1+Tc1)と、加熱コイル11に電流が流れていない期間Tg1が存在する電流不連続モードとなるように動作する。これによって、共振動作による電流の増加が抑制され、加熱コイル11に電流が流れにくくなる。そのため、加熱コイル11や回路に流れる電流を少なくすることができるため、被加熱物の判別動作時での消費電力を小さくすることができる。
誘導加熱装置10は、被加熱物の有無や載置される被加熱物の材質によって共振周波数が異なる。しかし、本実施の形態における誘導加熱装置でのインバータ回路61の動作では、共振動作により加熱コイル11に電流が1周期流れた後は加熱コイル11に電流が流れない状態となり電流の初期値が零にリセットされるとともに、インバータ回路61の動作周期に基づいて再度重なり期間Ta1が経過すると被加熱物の状態に応じた電流検出値を得ることができるため、被加熱物の有無や材質違いによる共振特性に左右されることなく被加熱物の検知を精度高く行うことができる。
また、第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45のいずれのスイッチング素子も同一の周波数で動作することにより、加熱コイル11に流れる電流が不連続動作であったとしても、加熱コイル11に流れる電流の基本周波数は動作周波数となる。例えば複数の加熱コイル11や回路を近接して配置し、それぞれの回路の動作周波数を一致させることにより、仮に異なる被加熱物の鍋を判別したり加熱しようとしても、うなり干渉音が発生せず、不快感を与えることのない誘導加熱装置を実現することが可能となる。
また、電力の供給が少ない時は、加熱コイル11に電流が流れない期間Tg1が存在することによって、被加熱物の載置の有無や載置された材質の違いによって共振回路62の共振周波数が異なっても期間Tg1の長さが変化することによって第3のスイッチング素子45の短絡モードが発生せず、効率高く回路を動作させることができる。
また、第1のスイッチング素子43がオン状態からオフ状態へと遷移するときに流れる電流が第3のスイッチング素子45に流れる電流の最大値となるタイミングで被加熱物を
検知することにより、電流検出手段47の出力値の最大値と重なり期間Ta1の関係から被加熱物が載置の有無や載置された被加熱物の材質の判別を行うことができるため、ピークホールド回路を付加することによって、被加熱物判別手段50の検知タイミングを厳密に設定することなく、安価で且つ精度高く被加熱物の検知を行うことができる。
図3において、第1のスイッチング素子43に与える電圧信号Vm1、第2のスイッチング素子44に与える電圧信号Vm2、第3のスイッチング素子45に与える電圧信号Vsは全て同じ周波数で動作している。これによって、加熱コイル11に流れる電流Icを分散させ、流れる電流の最大値を抑制することができるため、電流検出手段47の最大値のスペックや直流化手段42の出力電圧のリップルを下げることができる。
また、加熱コイル11に流れる電流の基本周波数は、第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45の全てのスイッチング素子の動作周波数と同じとなることから、複数の加熱コイルや回路を近接して同時に動作させてもうなり干渉音が発生しないようにトッププレート13上に載置された被加熱物の判別をすることができる。
第1のスイッチング素子43がオフ状態からオン状態に遷移する(Vm1の立ち上がり)ときは、第1のスイッチング素子43と並列に接続された第1の逆導通ダイオード43dに電流が流れており第1のスイッチング素子43には電流が流れていないため、零電圧スイッチングかつ零電流スイッチングとしてスイッチング損失が発生しないように遷移することができる。第1のスイッチング素子43がオン状態からオフ状態に遷移する(Vm1の立ち下がり)ときは、スナバコンデンサ48により第1のスイッチング素子43の両端に発生する電圧が緩やかに上昇するため、零電圧スイッチングとしてスイッチング損失を少なく遷移することができる。
また、第2のスイッチング素子44においては第1のスイッチング素子43と同様、オフ状態からオン状態に遷移する(Vm2の立ち上がり)ときは零電圧スイッチングかつ零電流スイッチングとしてスイッチング損失が発生しないように遷移することができ、オン状態からオフ状態に遷移する(Vm1の立ち下がり)ときは零電圧スイッチングとしてスイッチング損失を少なく遷移することができる。
つまり、加熱コイル11に流れる電流が小さくなるように第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1を短く調節しても、第1のスイッチング素子43および第2のスイッチング素子44および第3のスイッチング素子45は少なくとも零電圧スイッチングまたは零電流スイッチングとなり、第1のスイッチング素子43および第2のスイッチング素子44および第3のスイッチング素子45のスイッチング動作時に発生するスイッチング損失を小さくまたは零にすることができる。
さらに、第3のスイッチング素子45がオフ状態からオン状態に遷移する(Vsの立ち上がり)ときは、第3のスイッチング素子45に流れる電流が零から一定の傾きで緩やかに上昇するため、零電流スイッチングとしてスイッチング損失を少なく遷移することができる。第3のスイッチング素子45がオン状態からオフ状態に遷移する(Vsの立ち下がり)ときは、第3のスイッチング素子45と並列に接続された第3の逆導通ダイオード45dに電流が流れており第3のスイッチング素子45には電流が流れていないため、零電圧スイッチングかつ零電流スイッチングとしてスイッチング損失が発生しないように遷移することができる。
また、加熱コイル11に電流が流れていない期間Tg1を有することにより、共振回路
62の共振周波数やインバータ回路61の動作周波数に関わらず加熱コイル11に流れる電流値は零電圧スイッチングまたは零電流スイッチングで動作することができるため、例えば被加熱物の判別時のインバータ回路61の動作周波数と被加熱物への電力供給時のインバータ回路61の動作周波数を同一としてもスイッチング損失を少なくできるとともに、ノイズが発生しにくいインバータ回路61の動作が可能となる。
また、隣接して配設された複数の加熱コイル11に同時に電力を供給してもうなり干渉音が発生せず不快感を与えない誘導加熱装置を実現することが可能となる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態におけるトッププレート13の上への被加熱物の載置の有無および被加熱物の材質の判別を行うための関係の一例を示した図である。
図2に示した回路図および図3に示した電圧信号シーケンスを示す図において、第1のスイッチング素子43のオン時間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン時間との重なり期間Ta1は、第3のスイッチング素子45がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングから第1のスイッチング素子43がオン状態からオフ状態に遷移するタイミングまでの期間を示す。第1のスイッチング素子43を基準に考えると、期間Ta1を増加するためには、第3のスイッチング素子45のオフ状態からオン状態に遷移するタイミングを早め、また期間Ta1を減少するためには、第3のスイッチング素子45のオフ状態からオン状態に遷移するタイミングを遅めることで可能となる。
第1のスイッチング素子43のオン時間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン時間との重なり期間Ta1を増減することによって、加熱コイル11に流れる電流Icも増減する。被加熱物が加熱コイル11の上方に存在するときと存在しない時では、インバータ回路61からみた加熱コイル11の抵抗やインダクタンスは異なる。また、被加熱物の材質が異なっていても同様にインバータ回路61からみた加熱コイル11の抵抗やインダクタンスは変化する。これらの特性が変化すると、同じ重なり期間Taであっても加熱コイル11に流れる電流値は変化する。この2つの値の関係から被加熱物の状態を判別することが可能となる。
例えば、重なり期間Ta1を値X1に設定したとき、加熱コイル11の電流値Icが値Y1未満である場合、値Y1以上で値Y2未満である場合、値Y2以上である場合の3つに分ける。重なり期間Taを変化すると加熱コイル11の電流値Icの値も変化し、それらを連続すると線L1、線L2が描ける。そして、これらの線によって分けられた領域を領域A1、領域A2、領域A3とする。
重なり期間Ta1をある値に設定したとき、加熱コイル11に流れる電流Icの値との関係がどの領域になるか、例えば期間Ta1に対して加熱コイル11に流れる電流が少ない領域A1であれば磁性体の被加熱物が載置されたと被加熱物判別手段50が判別し、期間Ta1に対して加熱コイル11に流れる電流が多くもなく少なくもない領域A2であれば非磁性体の被加熱物が載置されたと被加熱物判別手段50が判別し、期間Ta1に対して加熱コイル11に流れる電流が多い領域A3であれば被加熱物が載置されていないと被加熱物判別手段50が判別する。
この方式を用いることにより、被加熱物を検出するために必要なセンサや回路を最小限にして被加熱物の載置の有無や材質の判別を行うことができる。
なお、本実施の形態において被加熱物判別手段50が被加熱物の判別のために用いる情報値や領域の設定方法は一例であり、少なくとも共振回路62に流れる電流値または共振
回路62に発生する電圧値に起因する情報値に基づいて被加熱物の判別が行えるのであれば領域のこれ以外の設定方法でもよい。
(実施の形態3)
図5は、本発明の第3の実施の形態における第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45をオンオフ制御するためにそれぞれのスイッチング素子に与える電圧信号のシーケンスVm1、Vm2、Vsおよび加熱コイル11に流れる電流Icを示している。
図5は、第1のスイッチング素子43のオン期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン時間の重なり期間Ta2が実施の形態1の図3の重なり期間Ta1よりも長い点で異なる。
例えば、実施の形態1に示した方法により、被加熱物が載置されたことを確認されている状態であって、操作手段12から加熱開始の操作が行われると、加熱を行う被加熱物が上方に載置されている加熱コイル11が接続されたインバータ回路61および第3のスイッチング素子45をオンオフ制御して被加熱物の誘導加熱を開始する。
被加熱物への電力供給時のインバータ回路61の動作周波数は、被加熱物の判別時のインバータ回路61の動作周波数と同一とする。また、被加熱物への電力供給時における第1のスイッチング素子43のオン期間と被加熱物の判別時における第1のスイッチング素子43のオン期間を同一としてもよい。
第1のスイッチング素子43のオン時間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン時間との重なり期間Ta2が長いと加熱コイル11を含む共振回路62に電流Icが流れる期間が長く(Tb2+Tc2>Tb1+Tc1)かつ電流値が大きくなるため、被加熱物に給電する電力は、第1のスイッチング素子43のオン時間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン時間との重なり期間Ta2の長さが長いほど大きな電力を供給することができる。つまり、被加熱物に供給される電力は、重なり期間が零だと被加熱物に供給される電力は零となり、重なり期間がTm1となるときに最大になり、このときは加熱コイル11に流れる電流は連続となる。従って、第3のスイッチング素子45のオン時間とオンタイミングを制御することによって、被加熱物に供給する電力を零からインバータ回路61が供給可能な電力の最大値まで連続して変更することができるため、加熱コイルに流れる電流が零の状態を一定期間有する不連続動作と、加熱コイルに流れる電流が零の状態を有さない連続動作とを用いて所望の電力に合わせて電力を制御することが可能となる。
また、特に複数の加熱コイルを近傍に配設した誘導加熱装置では、被加熱物の判別時のインバータ回路61の動作周波数と、被加熱物の電力供給時のインバータ回路61の動作周波数を同一とすることにより、一方の加熱コイルで判別動作を、他方の加熱コイルで電力供給動作を同時に行っても、それぞれの加熱コイルに流れる電流から発生する高周波磁界の周波数差による鍋や回路部品などからのうなり干渉音が発生せず、利用者にとって不快感を与えない誘導加熱装置の実現が可能となる。
また、被加熱物の判別時のインバータ回路61の動作周波数と被加熱物の電力供給時のインバータ回路61の動作周波数を同一とすることが可能なため、複数の加熱コイルを通電制御するために、例えば図8に示したようにインバータ回路61を共通として、複数の共振回路62nおよび第3のスイッチング素子45nをインバータ回路61に並列に接続することで、複数の加熱コイルの通電制御に必要なスイッチング素子の数を減少して誘導加熱装置を安価に構成することが可能となる。
なお、少なくとも加熱コイル11から被加熱物に定格電力を供給する時の第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta2は、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1の半分以上とすることにより、インバータ回路61が加熱コイル11から被加熱物に供給可能な最大電力に対する余裕を小さくした構成として、例えば高インダクタンス値の加熱コイル11を用いて加熱コイル11に流れる電流を小さくすることで共振コンデンサ46などの回路構成部品の電流定格が小さい部品を利用可能にして、誘導加熱装置を安価に構成することができる。
(実施の形態4)
図6は、被加熱物の電気的な抵抗値が大きい被加熱物を定格電力または定格電力に近い電力で加熱する場合における第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45をオンオフ制御するためにそれぞれのスイッチング素子に与える電圧信号のシーケンスVm1、Vm2、Vsおよび加熱コイル11に流れる電流Icを示している。
また、図7は、被加熱物の電気的な抵抗値が小さい被加熱物を定格電力で加熱する場合における第1のスイッチング素子43、第2のスイッチング素子44、第3のスイッチング素子45をオンオフ制御するためにそれぞれのスイッチング素子に与える電圧信号のシーケンスおよび加熱コイル11に流れる電流を示している。
被加熱物の抵抗値が大きいと、共振回路62内の加熱コイル11に電流が流れにくいため、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間が同じであっても被加熱物に供給できる電力は小さくなる。従って、抵抗値の大きな被加熱物に所望の電力を供給するためには、抵抗値が小さい被加熱物と比較して重なり期間を長くする必要がある。例えば抵抗値が大きい被加熱物を誘導加熱する場合では、図6に示すように、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間を第1のスイッチング素子43のオン時間と同じTm1とすることによって供給できる電力が最大となることから、重なり期間Tを第1のスイッチング素子43のオン時間と同じTm1または略Tm1として共振回路62内の加熱コイル11に流れる電流Icが連続状態(Tb3+Tc3=Tf)となるように制御することにより、抵抗値の大きい被加熱物を定格電力または定格電力に近い電力で加熱することが可能となる。
なお、図6において、第3のスイッチング素子45に与える電圧信号Vsは連続してオン状態としたシーケンスになっているが、加熱コイルに流れる電流が連続状態とすることが可能であればこれに限定するものではない。
一方、抵抗値が小さい被加熱物を加熱するとき、抵抗値が大きな被加熱物が載置された時と比較して共振回路62内の加熱コイル11に電流が流れやすいため(例えば、Ip4>Ip3)、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間を第1のスイッチング素子43のオン時間Tm1とすると被加熱物に供給される電力が定格値を超えてしまう。
そこで、抵抗値の小さい被加熱物に電力を供給する時は、定格値を供給する場合であっても加熱コイル11に流れる電流が不連続(Tb4+Tc4<Tf)で流れるような動作状態となるように、第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta4をTm1未満とし電流Icが流れない期間Tg4を設けてインバータ回路61が供給する平均電力を制御することにより、被加熱物に供給される電力が定格値を超えない範囲で所望の電力を供給制御することがで
きるとともに、定格値を超えて例えば回路の破壊などを発生することのないようにできる。
なお、抵抗値の小さい被加熱物に電力を供給する時の第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1と第3のスイッチング素子45のオン状態の期間との重なり期間Ta1は第1のスイッチング素子43のオン状態の期間Tm1の半分以下が望ましい。
また、被加熱物と特性が変化しても、インバータ回路61に内包される第1のスイッチング素子43と第2のスイッチング素子44の動作周波数は変化しないため、複数の加熱コイル11や回路が隣接して配置されて同時に動作しても、うなり干渉音が発生せず使用者に不快感を与えない誘導加熱装置を実現することが可能となる。
上記全ての実施の形態では、1つの加熱コイルに1つの回路が接続された構成における動作説明を行ったが、本発明の誘導加熱装置は加熱コイルが45個配置されているため、同様の構成が45セット存在する。複数の加熱コイルに同時に給電して1つの被加熱物を加熱する際は、加熱コイルに流れる電流の周波数は一定でないとうなり干渉音が発生し使用者に不快感を与えてしまうが、本発明の誘導加熱装置でのインバータ回路は、被加熱物の判別動作と、被加熱物に電力を供給する際の小電力供給時から大電力供給時まで、全ての動作において同一の動作周波数で行うことが可能であるため、複数の加熱コイルに同時に給電して1つの被加熱物を加熱する構成では極めて有用な手段である。
また、交流電源から直流電源に変換するための回路構成やインバータ回路の構成、加熱コイルなど電子部品の接続方法を限定するものでなく、同様の効果を奏する回路構成であればいかなる構成であってもよい。
また、複数の加熱コイルを1つのインバータ回路に接続しても加熱コイルとそれぞれ接続したスイッチング素子の動作により加熱コイルに流れる電流を零から制御することが可能なため、1つのインバータ回路に複数の共振回路と副スイッチング素子の直列体を並列に接続して部品点数を削減する構成をとってもよい。
以上のように、本発明にかかる誘導加熱装置は、被加熱物の判別動作から電力供給までを同一の周波数で動作することが可能であるため、誘導加熱装置など家庭用の応用にとどまらず、特に複数の加熱コイルが近接して配置するような構成の誘導加熱装置にも有効である。
10 誘導加熱装置
11aa〜11ei 加熱コイル
12 操作手段
13 トッププレート
41 電源
42 直流化手段
43 第1のスイッチング素子
44 第2のスイッチング素子
45 第3のスイッチング素子
46 共振コンデンサ
47 電流検出手段
48 スナバコンデンサ
49 制御手段
50 被加熱物判別手段
61 インバータ回路
62 共振回路

Claims (9)

  1. 被加熱物を載置するためのトッププレートと、
    前記トッププレートの下方に配置された複数の加熱コイルと、
    前記複数の加熱コイルとそれぞれ共振回路を形成する複数の共振コンデンサと、
    前記加熱コイルに高周波電流を供給する少なくとも2つの主スイッチング素子を直列に接続した構成を有するインバータ回路と、
    前記インバータ回路と前記共振回路との間に直列に接続した副スイッチング素子と、
    前記複数のスイッチング素子のオンオフ制御を行う制御手段と、
    前記トッププレートの上方の前記被加熱物の状態を判別する被加熱物判別手段と、
    を備え、
    前記複数の主スイッチング素子のうち、電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子のオン状態の期間と前記副スイッチング素子のオン状態の期間との重なり期間を制御することにより前記加熱コイルに流れる電流を制御し、
    前記被加熱物判別手段は、少なくとも前記共振回路に流れる電流値または前記共振回路に発生する電圧値に基づいて前記共振回路を形成する前記加熱コイルの領域に対応する前記トッププレートの上方の前記被加熱物の状態を判別するものであって、
    前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を一定期間有する不連続動作となるように前記副スイッチング素子がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングを制御する状態で前記被加熱物の状態を判別する誘導加熱装置。
  2. 前記被加熱物判別手段は、オンオフ制御を行う前記副スイッチング素子を接続した加熱コイルの領域に対応する前記トッププレートの上方に前記被加熱物が載置されているか否かを判別する請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記被加熱物判別手段は、オンオフ制御を行う前記副スイッチング素子を接続した加熱コイルの領域に対応する前記トッププレートの上方に載置された前記被加熱物の材質を判別する請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
  4. 前記主スイッチング素子と前記副スイッチング素子は同一の周波数で動作する請求項1〜3のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  5. 前記加熱コイルに電流が流れている状態と前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を前記インバータ回路の動作周期毎に有する請求項4に記載の誘導加熱装置。
  6. 前記複数の主スイッチング素子のうち電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子がオン状態からオフ状態へと遷移するタイミングの前後の期間にまたがって前記副スイッチング素子に電流が流れるように前記副スイッチングのオンオフ制御を行う請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  7. 前記複数の主スイッチング素子のうち電源と前記加熱コイルの電流経路の接続状態を制御する主スイッチング素子がオン状態からオフ状態へと遷移するタイミングに前記副スイッチング素子に流れる電流の値は、前記加熱コイルに流れる電流値の最大値となるように前記副スイッチング素子のオンオフ制御を行う請求項6に記載の誘導加熱装置。
  8. 被加熱物の状態の判別時に前記加熱コイルに流す電流よりも大きな電流を流して被加熱物に電力を供給するように前記主スイッチング素子および前記副スイッチング素子をオンオフ制御する状態を更に備え、前記被加熱物の状態の判別時と前記被加熱物への電力供給時での前記主スイッチング素子の動作周波数および/またはオン期間は同一とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
  9. 前記被加熱物への電力供給時は、前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を一定期間有する不連続動作と、前記加熱コイルに流れる電流が零の状態を有さない連続動作とを用いて被加熱物に供給する電力の制御を行う請求項1〜8のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
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