JP6369749B2 - 磁心およびそれを用いたコイル部品 - Google Patents

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Description

本発明は、Fe基軟磁性合金粉を用いて構成された磁心および磁心にコイルを巻装して構成されたコイル部品に関する。
従来から、家電機器、産業機器、車両など多種多様な用途において、インダクタ、トランス、チョーク等のコイル部品が用いられている。コイル部品は、磁心と、その磁心の周囲に巻回されたコイルで構成される。近年、電子機器等の電源装置の小型化が進んだ結果、小型・低背で、かつ大電流に対しても使用可能なコイル部品の要求が強くなり、飽和磁束密度が高い金属系磁性粉末を使用した圧粉磁心の採用が進んでいる。金属系磁性粉末としては、例えばFe−Si系などの軟磁性合金粉末が用いられている。コイル部品には、加圧成形して得られた圧粉磁心の周囲にコイルを巻回した一般的な構造の他、小型・低背の要求を満たすために、コイルと磁性粉末が一体的に成形された構造(コイル封入構造)も採用されている。
Fe−Si系などの軟磁性合金粉末を圧密化して得られる圧粉磁心は、飽和磁束密度が高い反面、合金粉末であるため電気抵抗率が低い。そのため、軟磁性合金粉末表面に絶縁性被覆を形成した後に成形するなど、軟磁性合金粉末間の絶縁性を高める方法が適用されている。例えば、特許文献1には、絶縁性被覆となる高電気抵抗物質の自己生成が可能な磁性粉末としてFe−Cr−Al系の磁性粉末を用いた例が開示されている。特許文献1では、磁性粉末を酸化処理することで、高電気抵抗の酸化皮膜を磁性粉末の表面に生成し、かかる磁性粉末を放電プラズマ焼結によって固化成形することで圧粉磁心を得ている。
一方、特許文献2には、FeおよびSiと、Feよりも酸化しやすい金属元素であるCr又はAlを含有する軟磁性合金の粒子群で構成された成形体を400℃から900℃で熱処理する方法と、前記熱処理によって形成された酸化層を介して粒子同士を結合させた磁心が開示されている。成形時に高い圧力を必要とすることなく、高透磁率・高飽和磁束密度の磁心を得ることがその目的である。
特開2005−220438号公報 特開2011−249836号公報
特許文献1に記載の構成は、成形時に高圧は必要としないものの、複雑な設備と多くの時間を必要とする製法である。しかも磁性粉末の酸化処理後に凝集した粉末を粉砕するための工程が必要になるため、工程が煩雑なものとなってしまう。また、酸化皮膜によって電気抵抗が2.5倍程度向上することが示されているが、抵抗値そのものは、酸化皮膜の有無にかかわらず数mΩ程度にすぎず、高周波用途で使用する場合や、磁心の表面に電極を直接形成する場合には満足できるものではない。
また、特許文献2に記載の磁心は、実施例に記載された熱処理条件によれば、1×10Ω・mを超える比抵抗が得られるものの、破断応力は100MPaにも至らず、フェライト磁心と同程度の強度であった。熱処理温度を上げて1000℃とすることで、破断応力は20kgf/mm(196MPa)と向上するが、比抵抗は2×10Ω・cm(2Ω・m)と著しく低下している。すなわち、高比抵抗と高強度を両立するには至っていない。
そこで、上記問題点に鑑み、本発明は、簡易な方法でも製造が可能であるとともに、高強度および高比抵抗を兼ね備えた磁心およびそれを用いたコイル部品を提供することを目的とする。
本発明の磁心は、Fe基軟磁性合金粒が分散した組織を有する磁心であって、前記Fe基軟磁性合金粒がAlおよびCrを含み、前記Fe基軟磁性合金粒同士が、該粒の表面に形成された酸化物層を介して結合されており、磁心断面組織における粒界相の面積率が10〜15%であることを特徴とする。
また、前記磁心において、前記面積率が、磁心表面側よりも磁心内部側の方が大きいことが好ましい、さらに、前記面積率が14〜15%であることが好ましい。
本発明のコイル部品は、前記磁心と、前記磁心に巻装されたコイルとを有することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な方法でも製造が可能であるとともに、高強度および高比抵抗を兼ね備えた磁心と、それを用いたコイル部品を提供することができる。
本発明に係る磁心の組織の一例を示す走査電子顕微鏡(SEM)による反射電子像である。 磁心の断面の元素分布を示す図である。 磁心の断面の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。 本発明に係る磁心の一例を示す斜視図である。 粒界相の面積比率と比抵抗との関係を示すグラフである。 粒界相の面積比率と圧環強度との関係を示すグラフである。 粒界相の面積比率と初透磁率との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る磁心およびコイル部品の実施形態を、具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、本発明に係る磁心の一実施形態の断面組織を示す走査電子顕微鏡による反射電子像である。本発明に係る磁心は、Fe基軟磁性合金粒1が分散した組織を有する。Fe基軟磁性合金粒(以下、単に合金粒ともいう)が分散した組織は、Fe基軟磁性合金粒の集合体がなす組織である。Fe基軟磁性合金粒1はAlおよびCrを含み、Fe基軟磁性合金粒1同士が、該粒の表面に形成された酸化物層を介して結合されている。より具体的には、かかる酸化物層は、質量比で内部の合金相よりもFe、AlおよびCrの和に対するAlの比率が高い酸化物層である。該酸化物層は、Fe基軟磁性合金粉の成形体を熱処理し、Fe基軟磁性合金粉を酸化させることで形成される。熱処理によって形成される酸化物は、合金粒の粒界に層状に形成される他、図1に示す粒界相2のように、三重点の形状にならった塊状にも形成される。本発明に係る磁心では、合金粒の粒間に形成される、これらの層状および塊状の粒界相2の面積率が10〜15%である。
図2は、本発明に係る磁心の構成を説明するための、走査電子顕微鏡(SEM/EDX)を用いた磁心断面の元素マッピングの観察例である。図2(a)はSEM像である。明るいグレーの色調を有するFe基軟磁性合金粒2の表面に黒の色調を有する相が形成されている。磁心におけるFe基軟磁性合金粒は、原料粉であるFe基軟磁性合金粉に対応する。図2(b)〜(d)はそれぞれ、Fe(鉄)、Al(アルミニウム)、O(酸素)の分布を示すマッピングである。明るい色調ほど対象元素が多いことを示す。Crについては明確な濃度分布が確認されないため、Crについての図示は省略している。図2に示すように、Fe基軟磁性合金粒の表面(粒界)には酸素が多く、酸化物が形成されており、各Fe軟磁性合金粒同士がこの酸化物を介して結合している。また、Fe基軟磁性合金粒の表面では内部に比べてFeの濃度が低く、Crは明確な濃度分布を示していない。一方、AlはFe基軟磁性合金粒の表面での濃度が顕著に高くなっている。すなわち、Fe基軟磁性合金粒の表面の酸化物層は、質量比で内部の合金相よりもFe、CrおよびAlの和に対するAlの比率が高い酸化物層である。
図3は、磁心の断面をより高倍率で観察したTEM(透過電子顕微鏡)写真である。TEM写真において、上下方向に横断する帯状部が粒界の酸化物層3であり、粒界を介して隣り合うように位置し、その粒界よりも明度が低い部分がFe基軟磁性合金粒1である。
上記構成によって得られる効果について、以下に説明する。
磁心を作製する際に用いるFe基軟磁性合金粉(磁心におけるFe基軟磁性合金粒)は、AlおよびCrを含むFe−Al−Cr系軟磁性合金粉である。かかるFe−Al−Cr系軟磁性合金粉は、Fe−Si系の合金粉に比べて耐食性に優れる。さらにFe−Al−Cr系の合金粉は、Fe−Si系やFe−Si−Cr系の合金粉に比べて塑性変形しやすい。したがって、Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉によれば、低い成形圧力でも高占積率と高強度を備えた磁心を得ることができる。そのため、成形機の大型化・複雑化も回避することができる。また、低圧で成形できるため、金型の破損も抑制され、生産性が向上する。なお、Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉(Fe−Al−Cr系軟磁性合金粒)に由来する構成および効果を備える限りにおいて、Fe−Si−Cr系合金粉等、Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉(Fe−Al−Cr系軟磁性合金粒)以外の合金粉を含むことも可能である。但し、Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉(Fe−Al−Cr系軟磁性合金粒)に係る効果を最大限に発揮するためには、Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉(Fe−Al−Cr系軟磁性合金粒)のみで磁心を構成することが好ましい。
Fe基軟磁性合金粒2の表面に形成された酸化物層3は、該合金粒を結合するだけでなく、Fe基軟磁性合金粒の粒界の絶縁層としての機能や耐食性向上の効果も発揮しうる。磁心断面組織における粒界相の面積率が10〜15%であることによって、高い比抵抗を備えた磁心が得られる。粒界相の面積率が10%未満であると、各合金粒を分離、絶縁するのに十分な量の粒界相が確保できず、比抵抗が低下する。一方、粒界相の面積率が15%を超える場合も比抵抗が低下する。その理由は必ずしも明らかではないが、粒界相の量が極端に多い場合は、その存在形態や構成相が変化しているためであると推察される。粒界相の面積率は14〜15%であることがより好ましい。粒界相の面積率がかかる範囲であれば、特に透磁率が高い磁心が得られる。
また、磁心断面組織における粒界相の面積率が、磁心表面側よりも磁心内部側の方で大きい構成が好ましい。かかる構成によって、高比抵抗を維持しつつ、特に高強度の磁心が得られる。粒界相は酸化処理によって形成されるにもかかわらず、表面側よりも内部側の方が粒界相が多い点がかかる好ましい形態の特徴である。
粒界相の面積率は以下のようにして算出する。磁心断面を鏡面研磨し、走査電子顕微鏡によって反射電子像を得る。粒界相の面積率は、磁心表面付近と内部とで差が生じるため、反射電子像は、磁心表面から0.2mm以上内部に入った部分で撮る。得られた反射電子像を画像解析ソフトを用いて解析する。合金粒とそれ以外の部分(粒界相および空孔)はコントラストが明確であるため、合金粒の面積率Rは画像解析ソフトによる解析から算出する。画像解析ソフトとしては、例えば、Olympus Soft-Imaging Solutions社製Scandiumを用いることができる。一方、酸化物で構成される粒界相と空孔はコントラストがつきにくいため、空孔の面積率は磁心の密度測定値から便宜的に次式で算出する。
式1:空孔の面積率R[%]=100×(1−r 2/3
(r:合金の真密度に対する磁心の密度の比)
なお、合金の真密度に対する磁心の密度の比rに対して、式中でr 2/3を用いるのは、密度測定値から得られる体積率を簡易的に面積率に換算するためである。合金の真密度は、溶解によって作製された同組成の合金インゴットの密度測定値を用いる。画像解析による合金粒の面積率Rと、密度測定による空孔の面積率Rから、粒界相の面積率は以下の式で算出する。
式2:粒界相の面積率R[%]=100−R−R
次に、粒界相の面積率に係る構成以外の磁心の構成について、好ましい形態を以下に説明する。磁心を構成する合金粒が細かいことで、強度に加えて高周波特性が改善される。かかる観点から、磁心の断面観察像において、最大径が40μmを超える合金粒の個数比率が1.0%未満であることが好ましい。最大径が40μmを超える合金粒の個数比率は、少なくとも0.04mm以上の視野範囲で評価する。
熱処理後における酸化物層の平均厚みは、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。この酸化物層の平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)にて60万倍以上で磁心の断面を観察し、Fe基軟磁性合金粒の断面の輪郭が確認される観察視野で、Fe基軟磁性合金粒間が最も近接する部分の厚み(最小厚み)と最も離間する部分の厚み(最大厚み)とを計測し、その算術平均として算出される厚みを指す。なお、粒界の三重点間の中間部付近を前記観察視野に選ぶ。酸化物層の厚みが大きいと、Fe基軟磁性合金粒間の間隔が広くなり、透磁率の低下やヒステリシス損失の増加を招来し、また非磁性酸化物を含む酸化物層が占める割合が増加して、飽和磁束密度が低下する場合がある。一方、酸化物層の厚みが小さいと、酸化物層を流れるトンネル電流によって渦電流損失が増加する場合があるため、酸化物層の平均厚みは10nm以上であることが好ましい。より好ましい酸化物層の平均厚みは30〜80nmである。
コイル部品を構成するために必要な磁心の透磁率は用途に応じて決めることができる。インダクタ用途であれば、例えば100kHzの初透磁率で30以上であることが好ましい。より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。本発明に係る磁心は、高比抵抗と高強度を両立する上で好適な構成である。したがって、かかる磁心の構成を適用して1.0×10Ω・m以上の比抵抗を得ることが好ましい。5.0×10Ω・mを超える比抵抗、さらには1.0×10Ω・m以上の比抵抗を得ることもできる。また、圧環強度も120MPa以上にすることが好ましく、150MPa以上の圧環強度を得ることもできる。
磁心の形状はトロイダル、U型、E型、ドラム型等、各種形状を適用することができる。高強度の特徴を活かす観点からは、本発明に係る構成は、図4に示すような、導線を巻回するための柱状部4、該柱状部の一端側または両端側に鍔部5を有するドラム型磁心に適用することが好ましい。
本発明に係る磁心の製造方法の実施形態と、それに関連した磁心の特徴ついて以下説明する。かかる製造方法は、Fe基軟磁性合金粉が分散した組織を有する磁心の製造方法であって、Fe基軟磁性合金粉とバインダを混合する第1の工程と、前記第1の工程を経て得られた混合物を成形する第2の工程と、前記第2の工程を経て得られた成形体を熱処理する第3の工程とを有する。
Fe基軟磁性合金粉としてFe−Al−Cr系の合金粉を用いる場合、第3の工程の熱処理によってFe基軟磁性合金粉の表面に絶縁性の酸化物層を形成することができる。したがって、成形前に絶縁性酸化物を形成する工程を省略することが可能であるうえ、絶縁性被覆の形成方法も簡易になるため、かかる点においても生産性が向上する。また、上記酸化物層の形成に伴い、Fe基軟磁性合金粉同士が該酸化物層を介して結合され、高強度の磁心が得られる。
磁心の製造方法の実施形態のうち、まず、第1の工程に供するFe基軟磁性合金粉ついて説明する。なお、以下、特に断りのない限り、含有量や百分率は質量比によるものである。Fe基軟磁性合金は、軟磁性合金を構成する各成分の中でFeを最も含有率の高い主成分とし、副成分としてAlおよびCrを含む。すなわち、Fe、AlおよびCrが含有比率の高い三つの主要元素である。磁心を構成できるのであれば、Fe、AlおよびCrの含有量は、これを特に限定するものではないが、以下好ましい構成について説明する。また、圧環強度等に大きな影響を与えない範囲で他の元素を含むこともできる。但し、主要元素以外に他の元素を含むと飽和磁束密度等が低下するため、かかる他の元素の含有量は1.0質量%以下であることが好ましい。
Feは、Fe基軟磁性合金粉を構成する主要な磁性元素である。磁心が構成できるのであれば、その含有量を特に限定するものではないが、高飽和磁束密度を確保する観点からはFeの含有量は80質量%以上であることが好ましい。
CrおよびAlは耐食性等を高める元素である。CrおよびAlの含有量も磁心が構成できるのであれば、特に限定されるものではない。耐食性向上等の観点からは、Crの含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上である。一方、非磁性のCrが多くなると飽和磁束密度が低下する傾向を示すため、Crの含有量は、好ましくは9.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、さらに好ましくは4.5質量%以下である。
また、上述のようにAlも耐食性を高める元素であり、特にFe基軟磁性合金粉の表面酸化物の形成に寄与する。かかる観点から、Alの含有量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上である。一方、非磁性のAlが多くなると飽和磁束密度が低下する傾向を示すため、Alの含有量は、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、さらに好ましくは6.0質量%以下である。また、Alは占積率の向上にも寄与するため、CrよりもAlの含有量が高いFe基軟磁性合金粉を用いることがより好ましい。第3の工程の熱処理によって、Alが合金粒の表面に濃化するため、Alの含有量は、成形・熱処理前の合金粉よりも、熱処理後の合金粒の粒内の方が小さくなる。粒内のArとCrの含有量の大小関係を熱処理の前後で逆転させることもできる。
Fe基軟磁性合金粉は、Co、Ni等の磁性元素やAl、Cr以外の非磁性元素を含むことができる。また、Fe基軟磁性合金粉は、不可避不純物として、Si、Mn、C、P、S、O、N等を含み得る。即ち、Fe基軟磁性合金粉は、AlおよびCrを含み、残部がFeおよび不可避不純物よりなるものでもよい。かかる不可避不純物の含有量は、それぞれ、Si≦1.0質量%、Mn≦1.0質量%、C≦0.05質量%、O≦0.3質量%、N≦0.1質量%、P≦0.02質量%、S≦0.02質量%であることが好ましい。このうち、Siは圧環強度向上には不利であるため、Si<0.5質量%に規制することがより好ましい。Si量はさらに好ましくは0.4質量%以下である。但し、不純物元素を通常の製造工程を経て含まれる水準よりも大幅に低減することには量産性の観点から現実的ではないため、例えば0.02質量%以上のSi量は許容することが好ましい。
Fe基軟磁性合金粉の平均粒径(ここでは、体積累積粒度分布におけるメジアン径d50を用いる)は特に限定されるものではないが、例えば、1μm以上、100μm以下の平均粒径を有するFe基軟磁性合金粉を用いることができる。平均粒径を小さくすることで、コアロス、高周波特性が改善されるので、メジアン径d50はより好ましくは30μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。一方、平均粒径が小さい場合は透磁率が低くなる傾向があるため、メジアン径d50はより好ましくは5μm以上である。また、篩等を用いてFe基軟磁性合金粉から粗い粒子を除くことがより好ましい。この場合、少なくとも32μmアンダーの(すなわち、目開き32μmの篩を通過した)Fe基軟磁性合金粉を用いることが好ましい。
Fe基軟磁性合金粉の形態は、特に限定されるものではないが、流動性等の観点からアトマイズ粉に代表される粒状粉を用いることが好ましい。展性や延性が高く、粉砕しにくい合金の粉末作製には、ガスアトマイズ、水アトマイズ等のアトマイズ法が好適である。また、アトマイズ法は略球状のFe基軟磁性合金粉を得る上でも好適である。
次に、第1の工程において用いるバインダについて説明する。バインダは、成形する際、粉体同士を結着させ、成形後のハンドリングに耐える強度を成形体に付与する。バインダの種類は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等の各種有機バインダを用いることができる。有機バインダは成形後の熱処理により、熱分解する。そのため、熱処理後においても固化、残存して粉末同士を結着する、シリコーン樹脂などの無機系バインダを併用してもよい。但し、本発明に係る磁心の製造方法においては、第3の工程で形成される酸化物層がFe基軟磁性合金粉同士を結着する作用を奏するため、上記の無機系バインダの使用を省略して、工程を簡略化することが好ましい。
バインダの添加量は、Fe基軟磁性合金粉間に行きわたり、十分な成形体強度を確保できる量にすればよい。一方、これが多すぎると密度や強度が低下するようになる。かかる観点から、バインダの添加量は、例えば、Fe基軟磁性合金粉100重量部に対して、0.25〜3.0重量部にすることが好ましい。
第1の工程における、Fe基軟磁性合金粉とバインダとの混合方法は、特に限定されるものではなく、従来から知られている混合方法、混合機を用いることができる。バインダが混合された状態では、その結着作用により、混合粉は広い粒度分布をもった凝集粉となっている。かかる混合粉を、例えば振動篩等を用いて篩に通すことによって、成形に適した所望の二次粒子径の造粒粉を得ることができる。造粒方法としては、噴霧乾燥造粒等の湿式造粒方法を採用することもできる。中でもスプレードライヤを用いた噴霧乾燥造粒が好ましく、これによれば、略球形の顆粒が得ることができ、また加熱空気に曝される時間が短く、大量の顆粒を得ることができる。また、加圧成形の場合の粉末と金型との摩擦を低減させるために、ステアリン酸、ステアリン酸塩等の潤滑材を添加することが好ましい。潤滑材の添加量は、Fe基軟磁性合金粉100重量部に対して0.1〜2.0重量部とすることが好ましい。潤滑剤は、金型に塗布することも可能である。
次に、第1の工程を経て得られた混合物を成形する第2の工程について説明する。第1の工程で得られた混合物は、好適には上述のように造粒されて、第2の工程に供される。造粒された混合物は、例えば、成形金型を用いて、トロイダル形状、直方体形状等の所定形状に加圧成形される。Fe基軟磁性合金粉としてFe−Al−Cr系軟磁性合金粉を用いると、低い圧力で圧粉磁心の占積率(相対密度)を高めることができ、圧粉磁心の強度も向上する。かかる作用を利用して、熱処理を経た圧粉磁心における軟磁性材料粉の占積率を80〜90%の範囲内にすることが好ましい。かかる範囲が好ましい理由は、占積率を高めることで磁気特性が向上する一方、過度に占積率を高めようとすると、設備的、コスト的な負荷が大きくなるからである。占積率は、より好ましくは82〜90%、さらに好ましくは83〜88%である。
第2の工程における成形は、室温成形でもよいし、バインダが消失しない程度に加熱して行う温間成形でもよい。また、混合物の調整方法および成形方法も上記のものに限定されるものではない。例えば、金型を用いた加圧成形の代わりに、シート成形を行い、得られたシートを積層して積層型磁心用の成形体を得ることもできる。この場合には、混合物はスラリ状態に調整され、ドクターブレード等のシート成形機に供される。
次に、前記第2の工程を経て得られた成形体を熱処理する第3の工程について説明する。成形等で導入された応力歪を緩和して良好な磁気特性を得るために、第2の工程を経た成形体に対して熱処理が施される。かかる熱処理によって、さらにFe基軟磁性合金粉の表面に酸化物層を形成する。酸化物層の具体例は、質量比で内部の合金相よりもFe、AlおよびCrの和に対するAlの比率が高い酸化物層である。この酸化物層は、熱処理によりFe基軟磁性合金粉と酸素とを反応させ成長させたものであり、Fe基軟磁性合金粉の自然酸化を超える酸化反応により形成される。かかる熱処理は、大気中、酸素と不活性ガスの混合気体中など、酸素が存在する雰囲気中で行うことができる。また、水蒸気と不活性ガスの混合気体中など、水蒸気が存在する雰囲気中で熱処理を行うこともできる。これらのうち大気中の熱処理が簡便であり好ましい。
上記の熱処理によってFe基軟磁性合金粉が酸化されて、その表面に酸化物層が形成される。このとき、Fe基軟磁性合金粉中のAlが表層に濃化し、前記酸化物層は内部の合金相よりもFe、AlおよびCrの和に対するAlの比率が高くなる。典型的には、内部の合金相に比べて、構成金属元素のうち特にAlの比率が高く、Feの比率が低い。さらに、より微視的には、Fe基軟磁性合金粉間の粒界の酸化物層において、合金相近傍よりもFeの比率が高い領域が層中央側に形成される。かかる酸化物層が形成されることによって、Fe基軟磁性合金粉の絶縁性および耐食性が向上する。酸化物は粒界に層状に形成されるだけでなく、三重点に塊状にも形成される。また、これらの酸化物層は、成形体を構成した後に形成されるため、該酸化物層を介したFe基軟磁性合金粉同士の結合にも寄与する。Fe基軟磁性合金粉同士が前記酸化物層を介して結合されることで、高強度の磁心が得られる。なお、合金粒間の粒界相は、上述のAlに富む酸化物層が主体であるが、酸化物層の中には微小なCr酸化物粒や純Fe粒が含まれる場合もある。
第3の工程の熱処理は、上記酸化物層が形成される温度で行えばよい。かかる熱処理によって強度に優れた磁心が得られる。さらに、第3の工程の熱処理は、Fe基軟磁性合金粉が著しく焼結しない温度で行うことが好ましい。Fe基軟磁性合金粉が著しく焼結すると、Alの比率が高い酸化物層の一部が合金相に取り囲まれてアイランド状に孤立化するようになる。そのため、Fe基軟磁性合金粉の母体の合金相同士を隔てる酸化物層としての機能が低下し、コアロスが増加する場合がある。具体的な熱処理温度は、強度や磁気特性を確保する観点からは600〜900℃の範囲が好ましい。磁心断面組織における粒界相の面積率は、造粒条件や熱処理条件に依存する。磁心断面組織における粒界相の面積率を適正な範囲にする観点からは、熱処理温度は、より好ましくは700〜750℃の範囲である。上記温度範囲での保持時間は、圧粉磁心の大きさ、処理量、特性ばらつきの許容範囲などによって適宜設定されるが、例えば0.5〜4時間が好ましい。
第1〜第3の各工程の前後に他の工程を追加することも可能である。例えば、第1の工程の前に、熱処理やゾルゲル法等によって軟磁性材料粉に絶縁被膜を形成する予備工程を付加してもよい。但し、第3の工程によってFe基軟磁性合金粉の表面に酸化物層を形成することができるため、上記のような予備工程を省略して製造工程を簡略化することがより好ましい。また、酸化物層自体は塑性変形しにくい。そのため、成形後に上述のAlに富む酸化物層を形成するプロセスを採用することで、第2の工程の成形において、Fe基軟磁性合金粉(Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉)が持つ高い成形性を有効に利用することができる。
上記の磁心と、該磁心に巻装されたコイルとを用いてコイル部品が提供される。コイルは、導線を磁心に巻回して構成してもよいし、ボビンに巻回して構成してもよい。このような磁心とコイルとを有するコイル部品は、例えばチョーク、インダクタ、リアクトル、トランス等として用いられる。なお、本発明に係る磁心以外の磁心にコイルを巻装し、該磁心と本発明に係る磁心を用いて磁気回路を形成したコイル部品を構成することもできる。
Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉を用いた磁心は特に強度に優れるので、強い衝撃や振動が加わる可能性が大きいモバイル機器、輸送機器等の用途に好適である。またFe−Al−Cr系軟磁性合金粉を用いることで、コアロスの温度計数は負、すなわち、コアロスが温度の上昇とともに低下する傾向を示す磁心を得ることができる。したがって、かかる磁心を用いたコイル部品は、使用温度域が広い(例えば、−20℃〜100℃)用途や、使用中に高温(例えば100℃以上)になる用途にも好適である。
磁心は、上述のようにバインダ等を混合したFe基軟磁性合金粉だけを加圧成形した圧粉磁心単体の形態で製造してもよいし、内部にコイルが配置された形態で製造してもよい。後者の構成は、特に限定されるものではなく、例えばFe基軟磁性合金粉とコイルとを一体で加圧成形してコイル封入構造の圧粉磁心を製造することができる。また、積層型の磁心の場合であれば、コイルは磁心内部に巻装される。
また、磁心の表面に、コイルの端部を接続するための電極を、メッキや焼き付け等の手法によって形成し、コイルの巻端を前記電極に接続してコイル部品を構成することもできる。なお、本発明に係る磁心は高い比抵抗を有するため、磁心表面に直接電極を形成することができるが、小型化等も目的からよりいっそうの絶縁性を確保するために、電極と磁心表面の間に、Fe基軟磁性合金粉を酸化させて形成する酸化物層とは別の絶縁層をさらに配置することもできる。
Fe基軟磁性合金粉として、Fe−Al−Cr系軟磁性合金粉を用い、以下のようにして圧粉磁心を作製した。合金粉は粒状のアトマイズ粉であり、質量百分率でFe−4.9%Al−3.9%Crの組成のもの(合金組成A)と、Fe−5.0%Al−3.9%Crの組成のもの(合金組成B)の二種類のものを使用した。合金組成AおよびBは、前記主要三元素の他、Siをそれぞれ0.20%、0.47%含有していた。アトマイズ粉は、440メッシュ(目開き32μm)の篩で分級し、篩を通過したFe基軟磁性合金粉を混合に供した。篩を通過したFe基軟磁性合金粉の平均粒径(メジアン径d50)をレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)で測定した。合金組成AおよびBのアトマイズ粉の平均粒径(メジアン径d50)は、それぞれ9.8μmおよび11.8μmであった。
Fe基軟磁性合金粒100重量部に対して、バインダとしてPVA(株式会社クラレ製ポバールPVA−205;固形分10%)を2.5重量部添加し、これをらいかい機にて混合した。混合後、120℃で10時間乾燥し、乾燥後の混合粉をふるいに通して顆粒を得た。ふるい通し後の顆粒の平均粒径d50を60〜80μmの範囲内とした。この顆粒に、軟磁性合金粉末100重量部に対して0.4重量部の割合でステアリン酸亜鉛を添加、混合して成形用の混合物を得た。
得られた混合粉は、プレス機を使用して、0.74GPaの成形圧で室温にて加圧成形した。得られた成形体は、内径φ7.8mm、外径φ13.5mm、高さ4.3mmのトロイダル形状である。得られた成形体を、大気中で、保持温度500℃〜800℃、保持時間1.0時間の条件で熱処理した(No1〜6)。なお、昇温は2℃/分、所定温度でのキープ後は炉冷とした。
また、比較のためにFe−Cr−Si系軟磁性合金粉(質量百分率でFe−4.0Cr−3.5%Si:合金組成C)を用いて、混合、加圧成形を行い、トロイダル形状の成形体を得た(No7)。
なお、No7の圧粉磁心の作製の際、バインダはエマルジョンのアクリル樹脂系のバインダ(昭和高分子株式会社製ポリゾールAP−604 固形分40%)を用い、軟磁性合金粉100重量部に対して2.0重量部の割合で混合した。また、成形は0.91GPaの成形圧で行い、熱処理は800℃で行った。
以上の工程により作製した圧粉磁心の密度をその寸法および質量から算出し、圧粉磁心の密度をFe基軟磁性合金の真密度で除して占積率(相対密度)を算出した。また、トロイダル形状の圧粉磁心の径方向に荷重をかけ、破壊時の最大加重P(N)を測定し、次式から圧環強度σr(MPa)を求めた。
σr=P(D−d)/(Id
(ここで、D:磁心の外径(mm)、d:磁心の径方向の肉厚(mm)、I:磁心の高さ(mm)である。)
さらに、一次側と二次側のそれぞれに巻線を15ターン巻回し、岩通計測株式会社製B−HアナライザーSY−8232により、最大磁束密度30mT、周波数300kHzの条件でコアロスPcvを測定した。また、初透磁率μiは、前記トロイダル形状の圧粉磁心に導線を30ターン巻回し、ヒューレット・パッカード社製4284Aにより、周波数100kHzで測定した。
また、磁心の対向する二平面に導電性接着剤を塗り、乾燥・固化の後、以下のようにして比抵抗(抵抗率)の評価を行った。電気抵抗測定装置(株式会社エーディーシー製8340A)を用いて、50Vの直流電圧を印加し、抵抗値R(Ω)を測定した。磁心試料の平面の面積A(m)と厚みt(m)とを測定し、次式により比抵抗ρ(Ω・m)を算出した。
比抵抗ρ(Ω・m)=R×(A/t)
磁気特性等の評価結果を表1に示す。
また、以下のようにして熱処理の際の酸化による磁心(成形体)の質量の増加率を求めた。熱処理前の成形体の質量Mgを測定し、バインダとステアリン酸亜鉛の質量分を差し引き、Fe基軟磁性合金粉末純分の成形体質量Mgcalを算出した。熱処理後の磁心の質量Msを測定し、(Ms−Mgcal)×100/Msから質量増加率を算出した。
磁心断面組織における、粒界相の面積率は以下のようにして算出した。磁心断面を鏡面研磨し、走査電子顕微鏡によって1000倍で観察し、反射電子像を得た。反射電子像は、磁心表面側の位置として表面から0.1mmの位置、磁心内部側の位置として表面から1.5mmの位置で撮った。得られた反射電子像から、画像解析ソフト(Olympus Soft-Imaging Solutions社製Scandium)を用いて合金粒の面積率R[%]を算出した。また、質量と体積から磁心の密度を算出し、合金の真密度(7.27×10kg/m)に対する磁心の密度の比rから空孔の面積率R[%](=100×(1−r 2/3))を算出した。前記合金粒の面積率Rと空孔の面積率Rから、粒界相の面積率R[%](=100−R−R)を算出した。粒界相の面積率の評価結果を表2に示す。また、磁心内部側の粒界相の面積率と比抵抗との関係を図5に、磁心内部側の粒界相の面積率と圧環強度との関係を図6に、磁心内部側の粒界相の面積率と透磁率との関係を図7に示す。
走査電子顕微鏡(SEM/EDX)による観察において、No2〜6の磁心では、図1および図2に示したような、Fe基軟磁性合金粒の表面にAlが濃化した酸化物層が形成され、各Fe基軟磁性合金粒同士がこの酸化物を介して結合している組織が確認された。一方、500℃の熱処理を行ったNo1の磁心ではAlが明確に濃化した層は確認されなかった。上記組織を有し、粒界相面積率Rが10%以上であるNo2〜6の磁心は、表1および表2並びに図5〜図7に示すように、150MPa以上の高い圧環強度および40以上の高い透磁率が得られた。かかる特性は、Fe−Cr−Si系軟磁性合金粉を用いた比較例のNo7の磁心に比べても、大幅に高いものである。特に、No2〜6の磁心の圧環強度は、高い成形圧で作製されたNo7の圧粉磁心に比べても1.4倍以上の値を示した。すなわち、Fe−Al−Cr系Fe基軟磁性合金粉を用いた構成が、簡易な加圧成形を適用する場合において、優れた圧環強度および磁気特性を得るうえで極めて有利であることがわかった。なお、No1〜6の磁心の断面観察において、最大径が40μm以上の合金粒の個数存在比率は0%であった。
一方、粒界相の面積率Rが15%を超えるNo5の磁心の比抵抗は0(導通状態)であった。これに対して、粒界相の面積率Rが15%以下のNo2〜4、6の磁心は、5kΩ・mを超える高い比抵抗を示した。すなわち、磁心の比抵抗を高い水準に維持するためには粒界相の面積率Rが重要であり、かかる粒界相の面積率Rを10〜15%の範囲にすることで、高圧環強度、高比抵抗および高初透磁率を兼ね備えた磁心が実現できることが明らかとなった。また、Si量を0.4質量%以下にすることで10kΩ・m以上の特に高い比抵抗が得られることもわかった。
また、No4および6の磁心の初透磁率は50以上であり、粒界相の面積率Rを14〜15%の範囲にすることが高い初透磁率を得る上で特に有効であることがわかった。
また、熱処理前後の磁心の質量増加率は、No1、2、3,4および5の磁心でそれぞれ、0.97%、1.13%、1.82%、2.99%および3.86%であった。これらの増加分は、酸化に伴う酸素の増加によるものであり、粒界相の増加傾向と対応している。熱処理による質量増加率が1.1〜3.5%の範囲で上述の高圧環強度、高比抵抗および高初透磁率が得られることがわかった。
表2には、磁心内部側での粒界相の面積率と併せて磁心表面側の粒界相の面積率を示した。表1および表2からも明らかなように、磁心表面側よりも磁心内部側の方が粒界相の面積率が大きいNo3、4および6の磁心は、200MPa以上の特に高い圧環強度を示した。
1:Fe基軟磁性合金粒 2:粒界相 3:酸化物層 4:柱状部 5:鍔部

Claims (4)

  1. Fe基軟磁性合金粒が分散した組織を有する磁心であって、
    前記Fe基軟磁性合金粒がAlおよびCrを含み、
    前記Fe基軟磁性合金粒同士が、該粒の表面に形成された酸化物層を介して結合されており、
    磁心断面組織における粒界相の面積率が10〜15%であることを特徴とする磁心。
  2. 前記面積率は、磁心表面側よりも磁心内部側の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の磁心。
  3. 前記面積率が14〜15%であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁心。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁心と、前記磁心に巻装されたコイルとを有することを特徴とするコイル部品。
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