以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る電極積層装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線断面図である。図1及び図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、図示はしないが、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されている。当該絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。なお、電極組立体3とケース2との間にスペーサを配置することにより、電極組立体3とケース2との間に隙間を形成してもよい。
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まずセパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
[第1実施形態]
図3は、第1実施形態に係る電極積層装置を示す側面図(一部断面を含む)である。図4は、図3に示された電極積層装置の平面図である。本実施形態の電極積層装置20は、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層する装置である。
電極積層装置20は、正極搬送ユニット21と、負極搬送ユニット22と、正極供給用コンベア23と、負極供給用コンベア24と、積層ユニット25とを備えている。
正極搬送ユニット21は、セパレータ付き正極11を貯めながら順次搬送する第1搬送ユニットである。正極搬送ユニット21は、上下方向に延びるループ状の循環部材26(第1循環部材)と、この循環部材26の外周面に取り付けられ、セパレータ付き正極11を支持する複数のプレート状の支持部27(第1支持部)と、循環部材26を駆動する駆動部28(第1駆動部)とを有している。
循環部材26は、例えば無端状のベルトで構成されている。循環部材26は、上下方向に離間して配置された2つのローラ26aに架け渡され、各ローラ26aの回転に伴って連れ回る。このように循環部材26が回転(周回)することで、各支持部27が循環移動する。また、循環部材26は、2つのローラ26aと共に上下方向に移動可能である。ここで、正極供給用コンベア23から供給されるセパレータ付き正極11は、上述のように循環移動する各支持部27に分配される。すなわち、循環部材26は、正極供給用コンベア23により供給されるセパレータ付き正極11を複数の支持部27の各々に分配する分配部として機能する。
駆動部28は、循環部材26を回転させると共に、循環部材26を上下方向に移動させる。例えば、駆動部28は、特に図示はしないが、ローラ26aを回転させることで循環部材26を回転(周回)させる回転用モータと、昇降機構(図示せず)を介して循環部材26を上下方向に移動させる昇降用モータとを有している。このとき、駆動部28は、循環部材26を電極積層装置20の前側(図3の紙面表側)から見て時計回り(図示矢印A方向)に回転させる。従って、正極供給用コンベア23側の支持部27は循環部材26に対して上昇し、積層ユニット25側の支持部27は循環部材26に対して下降する。
負極搬送ユニット22は、負極9を貯めながら順次搬送する第2搬送ユニットである。負極搬送ユニット22は、上下方向に延びるループ状の循環部材29(第2循環部材)と、この循環部材29の外周面に取り付けられ、負極9を支持する複数のプレート状の支持部30(第2支持部)と、循環部材29を駆動する駆動部31(第2駆動部)とを有している。
循環部材29は、上記の循環部材26と同様に、例えば無端状のベルトで構成されている。循環部材29は、上下方向に離間して配置された2つのローラ29aに架け渡され、各ローラ29aの回転に伴って連れ回る。このように循環部材29が回転(周回)することで、各支持部30が循環移動する。また、循環部材29は、2つのローラ29aと共に上下方向に移動可能である。ここで、負極供給用コンベア24から供給される負極9は、上述のように循環移動する各支持部30に分配される。すなわち、循環部材29は、負極供給用コンベア24により供給される負極9を複数の支持部30の各々に分配する分配部として機能する。
駆動部31は、循環部材29を回転させると共に、循環部材29を上下方向に移動させる。例えば、駆動部31は、特に図示はしないが、ローラ29aを回転させることで循環部材29を回転(周回)させる回転用モータと、昇降機構(図示せず)を介して循環部材29を上下方向に移動させる昇降用モータとを有している。このとき、駆動部31は、循環部材29を電極積層装置20の前側(図3の紙面表側)から見て反時計回り(図示矢印B方向)に回転させる。従って、負極供給用コンベア24側の支持部30は循環部材29に対して上昇し、積層ユニット25側の支持部30は循環部材29に対して下降する。
正極供給用コンベア23は、セパレータ付き正極11を正極搬送ユニット21に向けて水平方向に搬送し、正極搬送ユニット21の支持部27にセパレータ付き正極11を供給する。負極供給用コンベア24は、負極9を負極搬送ユニット22に向けて水平方向に搬送し、負極搬送ユニット22の支持部30に負極9を供給する。
正極供給用コンベア23から正極搬送ユニット21の支持部27に移載されたセパレータ付き正極11は、循環部材26の回転によって一旦上昇してから下降するように循環移動する。このとき、循環部材26の上部においてセパレータ付き正極11の表裏が反転する。負極供給用コンベア24から負極搬送ユニット22の支持部30に移載された負極9は、循環部材29の回転によって一旦上昇してから下降するように循環移動する。このとき、循環部材29の上部において負極9の表裏が反転する。
積層ユニット25は、正極搬送ユニット21と負極搬送ユニット22との間に配置されている。積層ユニット25は、図5にも示されるように、上下方向に延びるループ状の循環部材32と、この循環部材32の外周面に取り付けられ、セパレータ付き正極11及び負極9が交互に積層される複数のプレート状の積層部33と、循環部材32を駆動する駆動部34(第3駆動部)とを有している。
循環部材32は、上記の循環部材26,29と同様に、例えば無端状のベルトで構成されている。循環部材32は、上下方向に離間して配置された2つのローラ32aに架け渡され、各ローラ32aの回転に伴って連れ回る。このように循環部材32が回転(周回)することで、各積層部33が循環移動する。また、循環部材32は、上下方向に移動可能である。積層部33には、積層体取出用コンベア72(後述)の一部が入り込む2つのスリット35が設けられている。
駆動部34は、循環部材32を回転させると共に、循環部材32を上下方向に移動させる。具体的には、駆動部34は、特に図示はしないが、ローラ32aを回転させることで循環部材32を回転(周回)させる回転用モータを有している。このとき、駆動部34は、循環部材29を双方向(図示矢印C方向)に回転させる。
積層ユニット25と正極搬送ユニット21との間には、上下方向に延びる壁部36(第1壁部)が配置されている。壁部36には、後述する押出ユニット41により押し出されたセパレータ付き正極11が通過する複数(ここでは4つ)のスリット37(第1スリット)が設けられている。各スリット37は、上下方向に等間隔で配置されている。
積層ユニット25と負極搬送ユニット22との間には、上下方向に延びる壁部38(第2壁部)が配置されている。壁部38には、後述する押出ユニット42により押し出された負極9が通過する複数(ここでは4つ)のスリット39(第2スリット)が設けられている。各スリット39の高さ位置は、各スリット37の高さ位置と同じである。
図6に示されるように、壁部36の内側面36aにおける各スリット37の下側部分及び壁部38の内側面38aにおける各スリット39の下側部分には、壁部36,38間の距離を上方に向かって長くするようなテーパ40がそれぞれ設けられている。
また、電極積層装置20は、押出ユニット41(第1押出ユニット)と、押出ユニット42(第2押出ユニット)とを備えている。
押出ユニット41は、セパレータ付き正極11を積層する積層エリアにおいて、複数(ここでは4つ)のセパレータ付き正極11を上下複数段(ここでは上下4段)の積層部33に向けて同時に押し出すことにより、4つのセパレータ付き正極11を4段の積層部33に同時に積層する。押出ユニット41は、4つのセパレータ付き正極11を一緒に押す1対の押し部材43と、この押し部材43を4段の積層部33側に移動させる駆動部44とを有している。駆動部44は、モータ及びリンク機構から構成されている。
押出ユニット42は、負極9を積層する積層エリアにおいて、複数(ここでは4つ)の負極9を複数段(ここでは上下4段)の積層部33に向けて同時に押し出すことにより、4つの負極9を4段の積層部33に同時に積層する。押出ユニット42は、4つの負極9を一緒に押す1対の押し部材45と、この押し部材45を4段の積層部33側に移動させる駆動部46とを有している。駆動部46の構成は、駆動部44と同様である。なお、駆動部44,46は、シリンダ等を有していてもよい。
また、電極積層装置20は、セパレータ付き正極11の底縁11cの位置を揃える位置決めユニット47と、負極9の底縁9cの位置を揃える位置決めユニット48とを備えている。位置決めユニット47,48は、セパレータ付き正極11及び負極9を積層する積層エリアに配置されている。セパレータ付き正極11の底縁11cは、セパレータ付き正極11におけるタブ14b側とは反対側の縁である。負極9の底縁9cは、負極9におけるタブ16b側とは反対側の縁である。
位置決めユニット47は、正極搬送ユニット21の前側(図3の紙面表側)に配置され、セパレータ付き正極11の底縁11cと当接する受け部49と、正極搬送ユニット21の後側に配置され、セパレータ付き正極11を受け部49に対して押圧する押圧部50とを有している。受け部49には、複数のフリーローラが並んで設けられている。なお、受け部49は、表面が滑りやすい樹脂で形成されていてもよい。
押圧部50は、セパレータ付き正極11を押す押し板51と、この押し板51を受け部49側に移動させる駆動部52とを有している。駆動部52は、例えばシリンダを有している。押し板51は、シリンダのピストンロッドの先端に固定されている。押し板51には、セパレータ付き正極11のタブ14bを逃がすためのスリット51aが設けられている。
位置決めユニット48は、負極搬送ユニット22の前側(図3の紙面表側)に配置され、負極9の底縁9cと当接する受け部53と、負極搬送ユニット22の後側に配置され、負極9を受け部53に対して押圧する押圧部54とを有している。受け部53の構造は、受け部49と同様である。押圧部54は、負極9を押す押し板55と、この押し板55を受け部53側に移動させる駆動部56とを有している。押し板55には、負極9のタブ16bを逃がすためのスリット55aが設けられている。駆動部56の構成は、駆動部52と同様である。
また、電極積層装置20は、図7に示されるように、コントローラ60を備えている。コントローラ60は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等から構成されている。コントローラ60は、正極搬送ユニット21の駆動部28及び負極搬送ユニット22の駆動部31を制御する搬送制御部61と、積層ユニット25の駆動部34を制御する積層制御部62と、押出ユニット41の駆動部44及び押出ユニット42の駆動部46を制御する押出制御部63と、位置決めユニット47の駆動部52及び位置決めユニット48の駆動部56を制御する位置決め制御部64とを有している。
図8は、セパレータ付き正極11及び負極9を積層ユニット25の積層部33に積層する際に、コントローラ60により実行される制御処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、初期動作時には、正極搬送ユニット21の循環部材26は所定の間隔による間欠駆動により回転していると共に、負極搬送ユニット22の循環部材29は循環部材26と同じ間欠駆動により循環部材26の反対方向に回転している。
図8において、コントローラ60は、まず電極積層タイミングになったかどうかを判断する(ステップS101)。電極積層タイミングの条件は、例えば負極9を支持した4つの支持部30が、各スリット37の下端位置に対応する位置に至ったかどうかである。
コントローラ60は、電極積層タイミングになったと判断したときは、正極搬送ユニット21において、循環部材26の回転速度を初期動作時の半分に落とすと共に、循環部材26の回転速度と同じ速度で循環部材26を上昇させるように、駆動部28を制御する(ステップS102)。ここで、図9に示されるように、初期動作時における支持部27の移動量を1とした場合、循環部材26の回転による支持部27の移動量は0.5であり、循環部材26の上昇による支持部27の移動量は0.5である。このため、正極搬送ユニット21側(以下、正極供給側という)の支持部27の移動量は1となり、積層ユニット25側(以下、正極積層側という)の支持部27の移動量は0となる。従って、正極供給側の支持部27の上昇量は、初期動作時と同じである。また、正極積層側の支持部27の高さ位置は、変わらず一定となる。
このとき、コントローラ60は、正極搬送ユニット21により搬送された4つのセパレータ付き正極11を上下4段の積層部33に対応する高さ位置に保持するように駆動部28を制御する。具体的には、コントローラ60は、4つのセパレータ付き正極11を壁部36の各スリット37の高さ位置に保持するように駆動部28を制御する。これにより、4つのセパレータ付き正極11を4段の積層部33に積層することが可能となる。
また、コントローラ60は、負極搬送ユニット22において、循環部材29の回転速度を初期動作時の半分に落とすと共に、循環部材29の回転速度と同じ速度で循環部材29を上昇させるように、駆動部31を制御する(ステップS103)。なお、ステップS103は、実際にはステップS102と並行して実行される。ここで、図9に示されるように、初期動作時における支持部30の移動量を1とした場合、循環部材29の回転による支持部30の移動量は0.5であり、循環部材29の上昇による支持部30の移動量は0.5である。このため、負極搬送ユニット22側(以下、負極供給側という)の支持部30の移動量は1となり、積層ユニット25側(以下、負極積層側という)の支持部30の移動量は0となる。従って、負極供給側の支持部30の上昇量は、初期動作時と同じである。また、負極積層側の支持部30の高さ位置は、変わらず一定となる。
このとき、コントローラ60は、負極搬送ユニット22により搬送された4つの負極9を上下4段の積層部33に対応する高さ位置に保持するように駆動部31を制御する。具体的には、コントローラ60は、4つの負極9を壁部38の各スリット39の高さ位置に保持するように駆動部31を制御する。これにより、4つの負極9を4段の積層部33に積層することが可能となる。
続いて、コントローラ60は、位置決めユニット48において、押し板55により4つの負極9を受け部53に対して押圧するように駆動部56を制御する(ステップS104)。これにより、負極9の底縁9cが位置合わせされる。
そして、コントローラ60は、押出ユニット42において、押し部材45により4つの負極9を上下4段の積層部33に向けて同時に押し出すように駆動部46を制御する(ステップS105)。これにより、4つの負極9が4段の積層部33に同時に積層される(図10参照)。
続いて、コントローラ60は、所定枚数の電極が4段の積層部33にそれぞれ積層されていないかどうかを判断する(ステップS106)。コントローラ60は、所定枚数の電極が4段の積層部33にそれぞれ積層されていないと判断したときは、図9に示されるように、積層ユニット25において、4段の積層部33をスリット37,39に対して電極1枚分だけ下降させる(図11参照)ように駆動部34を制御する(ステップS107)。つまり、コントローラ60は、セパレータ付き正極11の積層高さ位置がスリット37に対して一定になるように駆動部34を制御する。
続いて、コントローラ60は、負極搬送ユニット22において、負極積層側の支持部30を4段分だけ下降させるために、循環部材29の回転速度を5倍速くすると共に循環部材29を3倍の速度で下降させるように駆動部31を制御する(ステップS108)。すると、図9に示されるように、循環部材29の回転による支持部30の移動量は2.5となり、循環部材29の下降による支持部30の移動量は−1.5(−は下降)となる。このため、負極供給側の支持部30の移動量は1となり、負極積層側の支持部30の移動量は−4となる。これにより、負極供給側の支持部30の上昇量が初期動作時と同じになると共に、負極積層側の支持部30が4段分だけ下降することとなる(図12参照)。
そして、コントローラ60は、循環部材29を元の動作状態(ステップS103の状態)に戻すように駆動部31を制御する(ステップS109)。
また、コントローラ60は、位置決めユニット47において、押し板51により4つのセパレータ付き正極11を受け部49に対して押圧するように駆動部52を制御する(ステップS110)。これにより、セパレータ付き正極11の底縁11cが位置決めされる。
そして、コントローラ60は、押出ユニット41において、押し部材43により4つのセパレータ付き正極11を4段の積層部33に向けて同時に押し出すように駆動部28を制御する(ステップS111)。これにより、4つのセパレータ付き正極11が4段の積層部33に同時に積層される(図12参照)。なお、ステップS110及びステップS111は、図9に示されるように、実際にはステップS108と並行して実行される。
続いて、コントローラ60は、積層ユニット25において、4段の積層部33をスリット37,39に対して電極1枚分だけ下降させるように駆動部34を制御する(ステップS112)。つまり、コントローラ60は、負極9の積層高さ位置がスリット39に対して一定になるように駆動部34を制御する。
続いて、コントローラ60は、正極搬送ユニット21において、正極積層側の支持部27を4段分だけ下降させるために、循環部材26の回転速度を5倍速くすると共に循環部材26を3倍の速度で下降させるように駆動部28を制御する(ステップS113)。すると、図9に示されるように、循環部材26の回転による支持部27の移動量は2.5となり、循環部材26の下降による支持部27の移動量は−1.5(−は下降)となる。このため、正極供給側の支持部27の移動量は1となり、正極積層側の支持部27の移動量は−4となる。これにより、正極供給側の支持部27の上昇量が初期動作時と同じになると共に、正極積層側の支持部27が4段分だけ下降することとなる。
そして、コントローラ60は、循環部材26を元の動作状態(ステップS102の状態)に戻すように駆動部28を制御する(ステップS114)。そして、コントローラ60は、ステップS104及びステップS105を実行する。なお、ステップS104及びステップS105は、図9に示されるように、実際にはステップS113と並行して実行される。
コントローラ60は、ステップS106において所定枚数の電極が4段の積層部33にそれぞれ積層されたと判断したときは、本処理を終了する。
図10〜図12は、電極積層装置20の動作状態を示す側面図(一部断面を含む)である。図10は、正極搬送ユニット21の正極積層側の支持部27が4段分だけ下降すると共に、押出ユニット42によって4つの負極9が4段の積層部33に向けて同時に押し出されることにより、4つの負極9が4段の積層部33に積層される状態を示している。このとき、押出ユニット42により負極9が押し出されると、図6の(a)に示されるように、壁部38のスリット39を通過した負極9が落下して積層部33に積層される。
図11は、4段の積層部33が電極1枚分だけ下降した状態で、押出ユニット41によって4つのセパレータ付き正極11が4段の積層部33に向けて同時に押し出される状態を示している。このとき、4つのセパレータ付き正極11は、一定の高さ位置に保持されている。
図12は、押出ユニット41によって4つのセパレータ付き正極11が4段の積層部33に向けて同時に押し出されることにより、4つのセパレータ付き正極11が負極9上に積層されると共に、負極搬送ユニット22の負極積層側の支持部30が4段分だけ下降した状態を示している。このとき、正極供給用コンベア23から供給されたセパレータ付き正極11が、正極搬送ユニット21の支持部27に順次溜められている。
さらに、電極積層装置20は、図13及び図14に示されるように、セパレータ付き正極11と負極9とが複数積層されてなる積層体70(図6の(b)参照)を取り出す積層体取出ユニット71を備えている。積層体取出ユニット71は、図6にも示されるように、積層体70を取り出すための2つの積層体取出用コンベア72と、これらの積層体取出用コンベア72を上下動可能に支持する支持体73と、積層体取出用コンベア72を昇降させる駆動部74とを有している。
積層体取出ユニット71により積層体70を取り出すときは、図6の(b)に示されるように、各積層体取出用コンベア72を上昇させることにより、各積層体取出用コンベア72を積層部33のスリット35を通して積層体70の底面に接触させる。すると、各積層体取出用コンベア72上に積層体70が載置され、各積層体取出用コンベア72により積層体70が搬送される。このようにして上下4段の積層部33に積層された積層体70が下段側から順次取り出される。
以上のような本実施形態においては、正極搬送ユニット21により搬送された複数のセパレータ付き正極11を複数段の積層部33に対応する高さ位置に保持した状態で、押出ユニット41により複数のセパレータ付き正極11を複数段の積層部33に向けて同時に押し出すことにより、複数段の積層部33には複数のセパレータ付き正極11が同時に積層される。また、負極搬送ユニット22により搬送された複数の負極9を複数段の積層部33に対応する高さ位置に保持した状態で、押出ユニット42により複数の負極9を複数段の積層部33に対して同時に押し出すことにより、複数段の積層部33には複数の負極9が同時に積層される。このように複数のセパレータ付き正極11及び複数の負極9をそれぞれ複数段の積層部33に同時に積層するので、積層部33へのセパレータ付き正極11及び負極9の供給速度を下げても、セパレータ付き正極11及び負極9の積層の高速化を確保することができる。積層部33へのセパレータ付き正極11及び負極9の供給速度を下げることにより、セパレータ付き正極11及び負極9を積層部33に積層する際に、セパレータ付き正極11が壁部38に当たり、負極9が壁部36に当たっても、セパレータ付き正極11の正極活物質層15及び負極9の負極活物質層17の剥離が生じにくい。これにより、正極活物質層15及び負極活物質層17の剥離を抑制することができる。
また、複数のセパレータ付き正極11は、壁部36に設けられた複数のスリット37の高さ位置に保持され、複数の負極9は、壁部38に設けられた複数のスリット39の高さ位置に保持される。従って、押出ユニット41により複数のセパレータ付き正極11が複数段の積層部33に向けて同時に押し出されると、複数のセパレータ付き正極11が各スリット37を通過して各積層部33に確実に積層されると共に、押出ユニット42により複数の負極9が複数段の積層部33に向けて同時に押し出されると、複数の負極9が各スリット39を通過して各積層部33に確実に積層される。
さらに、壁部36の内側面36aにおける各スリット37の下側部分及び壁部38の内側面38aにおける各スリット39の下側部分には、壁部36,38間の距離を上方に向かって長くするようなテーパ40がそれぞれ設けられているので、スリット37を通過したセパレータ付き正極11及びスリット39を通過した負極9が積層部33に落下しやすくなる。その結果、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部33に積層されやすくなる。
また、セパレータ付き正極11及び負極9の積層高さ位置が壁部36のスリット37及び壁部38のスリット39に対して一定になるので、セパレータ付き正極11及び負極9の積層数に関わらず、セパレータ付き正極11及び負極9の落下距離が均等になる。
さらに、セパレータ付き正極11の底縁11c及び負極9の底縁9cの位置が揃えられた状態で、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部33に向けて押し出されるため、積層部33においてセパレータ付き正極11及び負極9を位置決め精度良く積層することができる。
このとき、押圧部50,54によりセパレータ付き正極11及び負極9が受け部49,53に対して押圧されると、セパレータ付き正極11の底縁11c及び負極9の底縁9cが受け部49,53に当接するため、セパレータ付き正極11の底縁11c及び負極9の底縁9cの位置を正確に揃えることができる。
また、位置決めユニット47,48が押出ユニット41,42と同じ積層エリアに配置されているので、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部33に向けて押し出されたときに、セパレータ付き正極11及び負極9の位置ずれが生じにくい。
なお、本実施形態では、位置決めユニット47,48が押出ユニット41,42と同じ積層エリアに配置されているが、位置決めユニット47,48の配置位置としては、押出ユニット41,42が配置された積層エリアの上方であってもよい。この場合には、セパレータ付き正極11及び負極9の位置決めと積層部33に対するセパレータ付き正極11及び負極9の押し出しとを同時に行うことができるため、両者の動作速度を遅くすることが可能となる。また、本実施形態では、ループ状の循環部材26,29を用いて支持部27,30による電極(セパレータ付き正極11または負極9)の受け取りと積層ユニット25への電極の積層とを行うことにより、効率の良い連続作業が実現される。具体的には、循環部材26,29がループ状をなしていることにより、支持部27,30を元の位置に復帰させるための戻り動作等が不要となり、それによって効率的な連続動作が実現される。
図15は、上記第1実施形態における積層部の変形例にセパレータ付き正極11及び負極9が積層された状態を示す拡大断面図であり、図6の(b)に対応する図である。図16は、図15に示された積層部の斜視図である。
図15及び図16において、本変形例の積層部77は、セパレータ付き正極11及び負極9が載置されるプレート状の基台78と、この基台78に立設され、セパレータ付き正極11の底縁11c及び側縁11d(図4参照)と負極9の底縁9c及び側縁9d(図4参照)とを位置決めする断面U字状の側壁79とを有している。基台78には、上記のスリット35が設けられている。側壁79の両側面は、壁部36,38にそれぞれ固定されている。
本変形例では、セパレータ付き正極11及び負極9を複数段の積層部77に積層する際に、複数段の積層部77を上下方向に移動させることがない。従って、コントローラ60による制御処理が容易になる。
なお、積層部77は、図17に示されるように、基台78の前側(図3の紙面表側)が基台78の後側よりも低くなるように傾斜した状態で、壁部36,38に支持されていてもよい。このような構成では、積層部77に向けて押し出されたセパレータ付き正極11及び負極9は、積層部77内において側壁79の後側の内壁面に当接して位置決めされる。この場合には、積層部77の傾斜によってセパレータ付き正極11及び負極9の前後方向の位置決めがなされるため、位置決めユニット47,48を省略することができる。
図18は、上記第1実施形態における積層部の他の変形例にセパレータ付き正極11及び負極9が積層された状態を示す拡大断面図であり、図15に対応する図である。
図18において、本変形例の積層部95は、壁部36,38にそれぞれ固定された積層支持部96と、この積層支持部96上に分離可能に支持された積層治具97とを有している。積層支持部96には、積層体取出用コンベア72の一部が入り込む2つのスリット98が設けられている。積層治具97は、セパレータ付き正極11及び負極9が載置されるプレート状の基台97aと、この基台97aに立設され、セパレータ付き正極11の底縁11c及び側縁11d(図4参照)と負極9の底縁9c及び側縁9d(図4参照)とを位置決めする断面U字状の側壁97bとを有している。特に図示はしないが、積層支持部96の上面には凸部が突設され、積層治具97の底面には凹部が設けられており、凸部と凹部とが嵌合することで、積層治具97が積層支持部96に対して位置決めされている。
セパレータ付き正極11及び負極9の積層が完了した後、積層治具97が各積層体取出用コンベア72に乗り上げることで、凸部と凹部との嵌合が外れ、積層体70が積層治具97と一緒に各積層体取出用コンベア72により搬送される。このように積層体70の搬送時には、積層体70は積層治具97内に収容されているため、積層体70の搬送ずれ等を抑制することができる。
[第2実施形態]
図19は、第2実施形態に係る電極積層装置を示す側面図(一部断面を含む)である。図20は、図19に示された電極積層装置の平面図である。図19及び図20において、本実施形態の電極積層装置80は、上記第1実施形態における位置決めユニット47,48に代えて、位置決めユニット81,82を備えている。
位置決めユニット81は、押出ユニット41の上方に配置され、位置決めユニット82は、押出ユニット42の上方に配置されている。位置決めユニット81,82は、セパレータ付き正極11及び負極9をそれぞれ下方に案内する1対のガイド板83A,83Bからなっている。ガイド板83A,83Bは、正極搬送ユニット21及び負極搬送ユニット22における電極積層側の複数の支持部27,30をそれぞれ両側から挟んで対向するように配置されている。ガイド板83Bには、セパレータ付き正極11のタブ14b及び負極9のタブ16bを逃がすためのスリット84が設けられている。
ガイド板83A,83Bは、図21に示されるように、セパレータ付き正極11の底縁11c及び負極9の底縁9cの位置を揃える位置決め部85と、この位置決め部85の上側に配置され、ガイド板83A,83Bの間隔を下方に向けて狭くするようなテーパ部86とを有している。
このような位置決めユニット81,82では、正極搬送ユニット21及び負極搬送ユニット22における電極積層側の複数の支持部27,30の下降に伴ってセパレータ付き正極11及び負極9が下降するに従い、セパレータ付き正極11及び負極9がガイド板83A,83Bに沿って位置決めされることで、セパレータ付き正極11の底縁11c及び負極9の底縁9cの位置が揃うようになる。
本実施形態においては、アクチュエータ等を使用することなく、簡単な構成でセパレータ付き正極11の底縁11c及び負極9の底縁9cの位置を揃えることができる。
[第3実施形態]
図22は、第3実施形態に係る電極積層装置を示す側面図(一部断面を含む)である。図23は、図22に示された電極積層装置の平面図である。図22及び図23において、本実施形態の電極積層装置90では、壁部36の各スリット37の高さ位置と壁部38の各スリット39の高さ位置とが交互にずれている。具体的には、各スリット37の高さ位置は、各スリット39の高さ位置よりも高くなっている。また、押出ユニット41の駆動部44及び押出ユニット42の駆動部46は、1対のシリンダから構成されている。
積層制御部62(図7参照)は、セパレータ付き正極11及び負極9の積層高さ位置がスリット37及びスリット39に対して一定になるように駆動部34(図5参照)を制御する。具体的には、積層制御部62は、押出ユニット41によりセパレータ付き正極11を4段の積層部33に積層するときは、4段の積層部33を上昇させるように駆動部34を制御し、押出ユニット42により負極9を4段の積層部33に積層するときは、4段の積層部33を下降させるように駆動部34を制御する。
上記第1〜第3実施形態においては、セパレータ付き正極11及び負極9を積層部33に積層する際に、スリット37を通過したセパレータ付き正極11が壁部38の内側面38aに当たって位置決めされ、スリット39を通過した負極9が壁部36の内側面36aに当たって位置決めされる。
なお、上記第1〜第3実施形態では、各スリット37の高さ位置が各スリット39の高さ位置よりも高くなっているが、各スリット39の高さ位置が各スリット37の高さ位置よりも高くなっていてもよい。この場合には、セパレータ付き正極11を4段の積層部33に積層するときは、4段の積層部33を下降させ、負極9を4段の積層部33に積層するときは、4段の積層部33を上昇させる。
また、例えば上記第1〜第3実施形態では、積層ユニット25は、上下方向に延びるループ状の循環部材32と、この循環部材32の外周面に取り付けられ、セパレータ付き正極11及び負極9が交互に積層される複数のプレート状の積層部33とを有している。ただし、積層ユニットの構造としては、特にそれには限られず、セパレータ付き正極11及び負極9が交互に積層される複数段の積層部があればよい。
なお、上記第1〜第3実施形態に係る電極積層装置20,80,90の各構成要素については、以下のようにも説明できる。電極積層装置20,80,90は、正極供給用コンベア23(搬送装置)及び負極供給用コンベア24(搬送装置)により供給される電極(セパレータ付き正極11及び負極9)を積層し、積層体70(電極積層体)を形成する装置である。電極積層装置20,80,90は、支持部27,30(電極支持部)と、循環部材26,29と、積層ユニット25と、押出ユニット41,42と、コントローラ60(制御部)と、を備える。支持部27,30は、正極供給用コンベア23及び負極供給用コンベア24により供給されるセパレータ付き正極11及び負極9を受け取り、セパレータ付き正極11及び負極9を支持する。循環部材26,29は、上下方向に延びるループ状をなし、その外周面に支持部27,30が取り付けられる。積層ユニット25は、循環部材26を挟んで正極供給用コンベア23の反対側に配置されるとともに、循環部材29を挟んで負極供給用コンベア24の反対側に配置され、セパレータ付き正極11及び負極9が積層される複数段の積層部33を有する。押出ユニット41は、複数の支持部27に支持されたセパレータ付き正極11を複数段の積層部33に向けて同時に押し出す。押出ユニット42は、複数の支持部30に支持された負極9を複数段の積層部33に向けて同時に押し出す。コントローラ60は、循環部材26,29の循環及び昇降、並びに押出ユニット41,42の動作を制御する。コントローラ60は、正極供給用コンベア23によるセパレータ付き正極11の搬送速度よりも遅い速度で、積層部33に向けてセパレータ付き正極11を押し出すように、押出ユニット41の動作を制御する。また、コントローラ60は、負極供給用コンベア24による負極9の搬送速度よりも遅い速度で、積層部33に向けて負極9を押し出すように、押出ユニット42の動作を制御する。
以上のような電極積層装置20,80,90では、支持部27,30に対して順次供給される電極(セパレータ付き正極11又は負極9)は、それぞれ異なる積層部33に同時に押し出されて積層される。このように、順次供給される電極の数よりも多くの電極を同時に押し出して積層することにより、電極を積層部33に押し出す際の排出速度を、搬送装置(正極供給用コンベア23又は負極供給用コンベア24)による電極の搬送速度(供給速度)よりも遅くすることができる。これにより、電極が積層されるペースの低下を防ぎつつ、電極積層時における電極の位置ずれを抑制できる。従って、電極積層装置20,80,90によれば、装置の大型化を抑えながら、積層速度の高速化を達成できる。
また、正極搬送ユニット21は、プレート状の支持部27の代わりに、図24の(a)に示される支持部99Aを有してもよい。支持部99Aは、底壁99aと、一対の側壁99b,99cとを有する断面U字状の部材である。底壁99aは、循環部材26の外周面に取り付けられる矩形板状部材である。一対の側壁99b,99cは、循環部材26が循環する方向における底壁99aの両縁部に立設された矩形板状部材である。一対の側壁99b,99cは、互いに対向しており、セパレータ付き正極11を収容可能な程度に離間している。底壁99a及び側壁99b,99cは、例えばステンレス鋼等の金属により一体的に形成されている。
ここで、支持部99Aが循環部材26に対して上昇する区間において、側壁99bが側壁99cよりも下側に位置するように支持部99Aが循環部材26に取り付けられている場合について考える。この場合、支持部99Aがセパレータ付き正極11を正極供給用コンベア23から受け取った直後には、セパレータ付き正極11は、側壁99bによって支持される。その後、当該支持部99Aが循環部材26に対して下降に転じると、セパレータ付き正極11は、重力によって側壁99bから離れ、側壁99cによって支持される状態へと変化する。
側壁99bの表面は、側壁99cと比較して滑りにくい材質(例えばゴム等)によって形成されていてもよい。或いは、側壁99bは、側壁99bの表面に対してセパレータ付き正極11を吸着する吸着機能を有してもよい。これによれば、正極供給用コンベア23から供給され、側壁99b上を滑走するセパレータ付き正極11の速度を減速させることができ、セパレータ付き正極11が底壁99aに衝突する際の衝撃を緩和することができる。すなわち、側壁99bは、支持部99Aがセパレータ付き正極11を受け取る際におけるセパレータ付き正極11への衝撃を緩和する衝撃緩和部として機能する。その結果、セパレータ付き正極11が支持部99Aに供給される際において、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。
また、正極搬送ユニット21は、プレート状の支持部27の代わりに、図24の(b)に示される支持部99Bを有してもよい。支持部99Bは、底壁99aの内側表面にスポンジ等の緩衝材99dが設けられている点で支持部99Aと相違し、その他の構成は支持部99Aと同様である。支持部99Bを用いた場合、正極供給用コンベア23から供給されるセパレータ付き正極11は、緩衝材99dに衝突することになるが、緩衝材99dによって衝突の衝撃が緩和される。すなわち、緩衝材99dは、支持部99Bがセパレータ付き正極11を受け取る際におけるセパレータ付き正極11への衝撃を緩和する衝撃緩和部として機能する。その結果、セパレータ付き正極11が支持部99Bに供給される際において、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。
なお、負極搬送ユニット22についても同様に、プレート状の支持部30の代わりに、上述した支持部99A又は支持部99Bが用いられてもよい。その場合に得られる効果は、上述した効果と同様である。すなわち、負極搬送ユニット22において支持部99A又は支持部99Bを用いた場合、負極9が支持部99A又は支持部99Bに供給される際において、負極9の負極活物質層17の剥離を抑制することができる。
また、電極積層装置20,80,90において、押出ユニット41は、押し部材43の代わりに、壁部36のスリット37内に進入可能な寸法とされた押し部材を有してもよい。このような押し部材によれば、セパレータ付き正極11の全体がスリット37を通過する位置までセパレータ付き正極11を押し込むことができ、セパレータ付き正極11を積層部33まで適切に誘導することができる。また、セパレータ付き正極11をスリット37内に勢い良く押し込む必要がなくなるため、セパレータ付き正極11が壁部38の内側面38aに衝突して正極活物質層15が剥離する可能性を低減することができる。同様に、押出ユニット42は、押し部材45の代わりに、壁部38のスリット39内に進入可能な寸法とされた押し部材を有してもよい。このような押し部材によれば、負極9の全体がスリット39を通過する位置まで負極9を押し込むことができ、負極9を積層部33まで適切に誘導することができる。また、負極9をスリット39内に勢い良く押し込む必要がなくなるため、負極9が壁部36の内側面36aに衝突して負極活物質層17が剥離する可能性を低減することができる。
[第4実施形態]
図25〜図30を参照して、第4実施形態に係る電極積層装置100について説明する。図25は、電極積層装置100を示す側面図(一部断面を含む)である。図26は、電極積層装置100の平面図である。図27は図25のA−A線断面図であり、図28は図25のB−B線断面図であり、図29は図25のC−C線断面図である。図30は、電極積層装置100の制御系の構成を示す図である。
電極積層装置100は、正極供給用コンベア110(搬送装置)と、負極供給用コンベア120(搬送装置)と、正極受取部130と、負極受取部140と、回動プレート150,160(電極分配部)と、押し部材170,180(押出部)と、積層ユニット190とを備えている。また、電極積層装置100は、第1実施形態に係る電極積層装置20と同様に、電極積層装置20が備える各機構を動作させるための駆動部、及び当該駆動部を制御するコントローラ101(制御部)を備えている。
正極供給用コンベア110は、セパレータ付き正極11を正極受取部130に向けて水平方向に搬送し、回動プレート150を介して正極受取部130(後述する支持部132)にセパレータ付き正極11を供給する。負極供給用コンベア120は、負極9を負極受取部140に向けて水平方向に搬送し、回動プレート160を介して負極受取部140(後述する支持部142)に負極9を供給する。
正極受取部130は、上下方向に延びる壁部131と、壁部131に設けられた複数の支持部132(電極支持部)と、シャッター133とを有している。
支持部132は、正極供給用コンベア110から供給されるセパレータ付き正極11を一旦停止させて支持する部材であり、壁部131の外壁面131aに立設されている。図25及び図27に示されるように、本実施形態では一例として、壁部131の上側部分において、4つの支持部132Aが上下方向に等間隔で配置されている。同様に、壁部131の下側部分において、4つの支持部132Bが上下方向に等間隔で配置されている。
支持部132は、セパレータ付き正極11が載置されるプレート状の基台132aと、基台132aの前側(図25の紙面表側)の縁部に沿って立設され、セパレータ付き正極11の底縁11cを位置決めする側壁132bとを有している。図27に示されるように、支持部132は、基台132aの前側が後側よりも低くなるように傾斜した状態で、壁部131に支持されている。この構成により、支持部132に供給されたセパレータ付き正極11は、基台132a上において側壁132bの内壁面に当接して位置決めされる。ここで、図26に示されるように、平面視において、支持部132の前端部は、回動プレート150の前端部よりも前側に配置されている。この理由は、以下の通りである。すなわち、後述する押し部材170と後述する回動動作を行う回動プレート150との干渉を防ぐために、平面視において、押し部材170と回動プレート150とを互いに重ならないように配置する必要がある。このような配置でも、支持部132に支持されているセパレータ付き正極11を押し部材170によって押し出せるようにするために、支持部132の前端部は、回動プレート150の前端部よりも前側に配置されている。なお、このように支持部132の前後方向の位置が回動プレート150の位置からずれていても、上述のように支持部132の基台132aの前側が後側よりも低くなるように傾斜していることにより、前後方向におけるセパレータ付き正極11の位置決めが適切になされる。すなわち、回動プレート150から支持部132の基台132a上に受け渡されたセパレータ付き正極11は、基台132a上において重力によって側壁132b側に滑り落ち、セパレータ付き正極11の底縁11cが側壁132bに当接する。
壁部131には、セパレータ付き正極11が通過するための複数(ここでは上側4つと下側4つの計8つ)のスリット131bが設けられている。上側4つのスリット131b及び下側4つのスリット131bは、それぞれ上下方向に等間隔で配置されている。各スリット131bは、各支持部132に対応して設けられている。本実施形態では一例として、図25に示されるように、スリット131bの底面は、当該スリット131bに対応する支持部132の基台132aの上面と面一となるように設けられている。これにより、基台132a上に載置されたセパレータ付き正極11は、後述する押し部材170によって押し出された際に、スリット131bを円滑に通過することができる。
シャッター133は、壁部131に設けられたスリット131bの入口(外壁面131a側の入口)を開閉する。本実施形態では一例として、正極受取部130は、上側4つのスリット131bの入口を開閉するためのシャッター133Aと、下側4つのスリット131bの入口を開閉するためのシャッター133Bとを有している。図27に示されるように、本実施形態では一例として、各シャッター133は、上下方向に等間隔に配置された4つのスリット131bの入口を開閉可能なように、櫛状に設けられている。シャッター133は、外壁面131aに対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。シャッター133A,133Bは、それぞれ駆動部134A,134Bによって、上下方向にスライド移動させられる。図27に示される状態において、シャッター133A,133Bは、それぞれ上下移動可能な範囲における最も低い位置にあり、4つのスリット131bの入口を遮蔽している。この状態から、駆動部134A,134Bによってシャッター133A,133Bが上方に移動させられると、各スリット131bの入口が開放された状態となる。
シャッター133は、スリット131bの入口を閉じた状態において、正極供給用コンベア110から回動プレート150を介して支持部132に供給されるセパレータ付き正極11を停止させる機能も有する。具体的には、支持部132にセパレータ付き正極11が供給される際に、シャッター133によってスリット131bの入口を遮蔽した状態とすることで、セパレータ付き正極11をシャッター133に衝突させて停止させることができる。ここで、シャッター133は、例えばスポンジ等の柔軟な材料によって形成されている。このように、柔軟な材料でシャッター133が形成されていることにより、セパレータ付き正極11がシャッター133に衝突する際の衝撃を緩和することができる。すなわち、シャッター133は、支持部132がセパレータ付き正極11を受け取る際におけるセパレータ付き正極11への衝撃を緩和する衝撃緩和部として機能する。
負極受取部140は、積層ユニット190を挟んで正極受取部130に対向して配置される。負極受取部140は、上下方向に延びる壁部141と、壁部141に設けられた複数の支持部142(電極支持部)と、シャッター143とを有している。
支持部142は、負極供給用コンベア120から供給される負極9を一旦停止させて支持する部材であり、壁部141の外壁面141aに立設されている。図25及び図28に示されるように、本実施形態では一例として、壁部141の上側部分において、4つの支持部142Aが上下方向に等間隔で配置されている。同様に、壁部141の下側部分において、4つの支持部142Bが上下方向に等間隔で配置されている。本実施形態では一例として、4つの支持部142A及び4つの支持部142Bの高さ位置は、4つの支持部132A及び4つの支持部132Bの高さ位置と等しくされている。
支持部142は、負極9が載置されるプレート状の基台142aと、基台142aの前側(図25の紙面表側)の縁部に沿って立設され、負極9の底縁9cを位置決めする側壁142bとを有している。図28に示されるように、支持部142は、基台142aの前側が後側よりも低くなるように傾斜した状態で、壁部141に支持されている。この構成により、支持部142に供給された負極9は、基台142a上において側壁142bの内壁面に当接して位置決めされる。ここで、図26に示されるように、平面視において、支持部142の前端部は、回動プレート160の前端部よりも前側に配置されている。この理由は、以下の通りである。すなわち、後述する押し部材180と後述する回動動作を行う回動プレート160との干渉を防ぐために、平面視において、押し部材180と回動プレート160とを互いに重ならないように配置する必要がある。このような配置でも、支持部142に支持されている負極9を押し部材180によって押し出せるようにするために、支持部142の前端部は、回動プレート160の前端部よりも前側に配置されている。なお、このように支持部142の前後方向の位置が回動プレート160の位置からずれていても、上述のように支持部142の基台142aの前側が後側よりも低くなるように傾斜していることにより、前後方向における負極9の位置決めが適切になされる。すなわち、回動プレート160から支持部142の基台142a上に受け渡された負極9は、基台142a上において重力によって側壁142b側に滑り落ち、負極9の底縁9cが側壁142bに当接する。
壁部141には、負極9が通過するための複数(ここでは上側4つと下側4つの計8つ)のスリット141bが設けられている。上側4つのスリット141b及び下側4つのスリット141bは、それぞれ上下方向に等間隔で配置されている。各スリット141bは、各支持部142に対応して設けられている。本実施形態では一例として、図25に示されるように、スリット141bの底面は、当該スリット141bに対応する支持部142の基台142aの上面と面一となるように設けられている。これにより、基台142a上に載置された負極9は、後述する押し部材180によって押し出された際に、スリット141bを円滑に通過することができる。
シャッター143は、壁部141に設けられたスリット141bの入口(外壁面141a側の入口)を開閉する。本実施形態では一例として、負極受取部140は、上側4つのスリット141bの入口を開閉するためのシャッター143Aと、下側4つのスリット141bの入口を開閉するためのシャッター143Bとを有している。図28に示されるように、本実施形態では一例として、各シャッター143は、上下方向に等間隔に配置された4つのスリット141bの入口を開閉可能なように、櫛状に設けられている。シャッター143は、外壁面141aに対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。シャッター143A,143Bは、それぞれ駆動部144A,144Bによって、上下方向にスライド移動させられる。図28に示される状態において、下側のシャッター143Bは、上下移動可能な範囲における最も低い位置にあり、4つのスリット141bの入口を遮蔽している。一方、上側のシャッター143Aは、上下移動可能な範囲における最も高い位置にあり、4つのスリット141bの入口を開放している。
シャッター143は、スリット141bの入口を閉じた状態において、負極供給用コンベア120から回動プレート160を介して支持部142に供給される負極9を停止させる機能も有する。具体的には、支持部142に負極9が供給される際に、シャッター143によってスリット141bの入口を遮蔽した状態とすることで、負極9をシャッター143に衝突させて停止させることができる。ここで、シャッター143は、例えばスポンジ等の柔軟な材料によって形成されている。このように、柔軟な材料でシャッター143が形成されていることにより、負極9がシャッター143に衝突する際の衝撃を緩和することができる。すなわち、シャッター143は、支持部142が負極9を受け取る際における負極9への衝撃を緩和する衝撃緩和部として機能する。
回動プレート150は、正極供給用コンベア110と正極受取部130との間に配置され、正極供給用コンベア110から順次供給されるセパレータ付き正極11を複数の支持部132の各々に分配する。図25に示されるように、回動プレート150は、セパレータ付き正極11の搬送方向における上流側(正極供給用コンベア110側)の端部を回動軸として回動可能に設けられている。回動プレート150は、駆動部151によって回動させられる。本実施形態では一例として、回動プレート150の傾斜角度は、8つの支持部132の各々にセパレータ付き正極11を供給可能な傾斜角度として予め設定された8段階の傾斜角度のいずれかに設定される。駆動部151によって回動プレート150の傾斜角度が変更されることにより、当該傾斜角度に応じた支持部132へとセパレータ付き正極11が供給される。なお、本実施形態では一例として、下側4つの支持部132Bについては、回動プレート150から排出されるセパレータ付き正極11を各支持部132Bに誘導するためのスロープ部材155が設けられている。
図26に示されるように、回動プレート150は、セパレータ付き正極11が載置されるプレート状の基台150aと、基台150aの前側の縁部に沿って立設され、セパレータ付き正極11の底縁11cを位置決めする側壁150bとを有している。回動プレート150は、支持部132と同様に、基台150aの前側が後側よりも低くなるように傾斜していてもよい。この構成によれば、回動プレート150に供給されたセパレータ付き正極11は、基台150a上において側壁150bの内壁面に当接して位置決めされる。
回動プレート160は、負極供給用コンベア120と負極受取部140との間に配置され、負極供給用コンベア120から順次供給される負極9を複数の支持部142の各々に分配する。図25に示されるように、回動プレート160は、負極9の搬送方向における上流側(負極供給用コンベア120側)の端部を回動軸として回動可能に設けられている。回動プレート160は、駆動部161によって回動させられる。本実施形態では一例として、回動プレート160の傾斜角度は、8つの支持部142の各々に負極9を供給可能な傾斜角度として予め設定された8段階の傾斜角度のいずれかに設定される。駆動部161によって回動プレート160の傾斜角度が変更されることにより、当該傾斜角度に応じた支持部142へと負極9が供給される。なお、本実施形態では一例として、下側4つの支持部142Bについては、回動プレート160から排出される負極9を各支持部142Bに誘導するためのスロープ部材165が設けられている。
図26に示されるように、回動プレート160は、負極9が載置されるプレート状の基台160aと、基台160aの前側の縁部に沿って立設され、負極9の底縁9cを位置決めする側壁160bとを有している。回動プレート160は、支持部142と同様に、基台160aの前側が後側よりも低くなるように傾斜していてもよい。この構成によれば、回動プレート160に供給された負極9は、基台160a上において側壁160bの内壁面に当接して位置決めされる。
押し部材170は、複数の支持部132の各々に支持されている複数のセパレータ付き正極11の各々を、スリット131bを介して積層ユニット190へ排出する。図25に示されるように、本実施形態では一例として、複数(ここでは8つ)の押し部材170が、複数の支持部132の各々に対応して設けられている。各押し部材170は、それぞれ対応するスリット131bと同じ高さ位置に設けられている。
また、各押し部材170においてセパレータ付き正極11に当接して当該セパレータ付き正極11を押し込む部分の寸法は、スリット131b内を通過可能な寸法に形成されている。これにより、各押し部材170は、スリット131b内を通過し、セパレータ付き正極11を後述する積層部191において予め定められた積層位置まで押し出すことができる。その結果、積層部191に積層されるセパレータ付き正極11の左右方向(図25の紙面表側から見た左右方向)における位置決めを適切に行うことができる。すなわち、セパレータ付き正極11を例えば壁部141等に衝突させて位置決めを行うのではなく、押し部材170による押し出し動作のみによって積層部191に積層されるセパレータ付き正極11の左右方向の位置決めを行うことができる。これにより、積層時におけるセパレータ付き正極11に対する衝撃を抑制し、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。各押し部材170は、例えばモータ、リンク機構、及びシリンダ等によって構成される駆動部171により、左右方向にピストン運動可能に設けられている。
ここで、各押し部材170は、独立して動作してもよいが、例えば上側4つの支持部132Aに対応して設けられる4つの押し部材170Aに対して共通の駆動部171Aを用いることで、上側4つの押し部材170Aの押し出し動作を同時に行うようにしてもよい。同様に、下側4つの支持部132Bに対応して設けられる4つの押し部材170Bに対して共通の駆動部171Bを用いることで、下側4つの押し部材170Bの押し出し動作を同時に行うようにしてもよい。このように、複数(ここでは4つ)の支持部132の各々に載置されたセパレータ付き正極11を排出するための押し部材170の駆動機構を共通化することで、セパレータ付き正極11を排出する機構を単純化でき、電極積層装置100の構成を簡単化することができる。
押し部材180は、複数の支持部142の各々に支持されている複数の負極9の各々を、スリット141bを介して積層ユニット190へ排出する。図25及び図28に示されるように、本実施形態では一例として、複数(ここでは8つ)の押し部材180が、複数の支持部142の各々に対応して設けられている。各押し部材180は、それぞれ対応するスリット141bと同じ高さ位置に設けられている。
また、各押し部材180において負極9に当接して当該負極9を押し込む部分の寸法は、スリット141b内を通過可能な寸法に形成されている。これにより、各押し部材180は、スリット141b内を通過し、負極9を後述する積層部191において予め定められた積層位置まで押し出すことができる。その結果、積層部191に積層される負極9の左右方向における位置決めを適切に行うことができる。すなわち、負極9を例えば壁部131等に衝突させて位置決めを行うのではなく、押し部材180による押し出し動作のみによって積層部191に積層される負極9の左右方向の位置決めを行うことができる。これにより、積層時における負極9に対する衝撃を抑制し、負極9の負極活物質層17の剥離を抑制することができる。各押し部材180は、例えばモータ、リンク機構、及びシリンダ等によって構成される駆動部181により、左右方向にピストン運動可能に設けられている。
ここで、各押し部材180は、独立して動作してもよいが、例えば上側4つの支持部142Aに対応して設けられる4つの押し部材180Aに対して共通の駆動部181Aを用いることで、上側4つの押し部材180Aの押し出し動作を同時に行うようにしてもよい。同様に、下側4つの支持部142Bに対応して設けられる4つの押し部材180Bに対して共通の駆動部181Bを用いることで、下側4つの押し部材180Bの押し出し動作を同時に行うようにしてもよい。このように、複数(ここでは4つ)の支持部142の各々に載置された負極9を排出するための押し部材180の駆動機構を共通化することで、負極9を排出する機構を単純化でき、電極積層装置100の構成を簡単化することができる。
積層ユニット190は、正極受取部130の壁部131と負極受取部140の壁部141との間に配置されている。積層ユニット190は、壁部131に設けられた各スリット131bを介して供給されるセパレータ付き正極11及び壁部141に設けられた各スリット141bを介して供給される負極9を積層するための複数(ここでは8つ)の積層部191を有する。また、積層ユニット190は、積層部191の高さ位置を変更するための駆動部192を有する。なお、本実施形態では積層ユニット190の詳細な構成の図示を省略しているが、積層ユニット190は、例えば、第1実施形態に係る積層ユニット25と同様に上下方向に延びるループ状の循環部材の外周面に複数の積層部191が取り付けられた構成とされてもよい。このような構成によれば、複数の積層部191は、循環部材の駆動により、上下方向に移動自在となる。また、積層ユニット190は、各積層部191の高さを独立して設定可能なように構成されてもよい。積層ユニット190がこのような構成である場合には、例えば上側4つの積層部191の高さ位置を変更するタイミングと下側4つの積層部191の高さ位置を変更するタイミングとを異ならせることができる。これにより、後述する積層部191の下降動作を上側及び下側の各々について適切なタイミングで実行することが可能となる。
図26及び図29に示されるように、積層部191は、セパレータ付き正極11及び負極9が交互に積層されるプレート状の基台191aと、基台191aの前側の縁部に沿って立設され、セパレータ付き正極11の底縁11c及び負極9の底縁9cを位置決めする側壁191bとを有している。積層部191は、基台191aの前側が後側よりも低くなるように傾斜していてもよい。この構成によれば、積層部191に供給されたセパレータ付き正極11及び負極9は、基台191a上において側壁191bの内壁面に当接して位置決めされる。
初期状態(電極が1枚も積層されていない状態)においては、積層部191の高さ位置は、基台191aの上面がスリット131bの上面及びスリット141bの上面と面一になる位置(或いは、当該高さ位置よりも少しだけ低い位置)に設定される。これにより、支持部132の基台132aに載置されたセパレータ付き正極11は、押し部材170によって押し出されることにより、基台132aからスリット131bを介して積層部191の基台191a上へと円滑に移動可能となっている。同様に、支持部142の基台142aに載置された負極9は、押し部材180によって押し出されることにより、基台142aからスリット141bを介して積層部191の基台191a上へと円滑に移動可能となっている。
積層部191に電極(セパレータ付き正極11又は負極9)が積層されると、積層部191は、コントローラ101による駆動部192に対する制御により、電極1枚分だけ下降させられる。このような動作により、スリット131bの上面及びスリット141bの上面に対する、積層部191の基台191a上に形成された電極積層体の上面の相対的な高さ位置を一定に保つことができる。これにより、積層部191におけるセパレータ付き正極11及び負極9の積層枚数に関わらず、セパレータ付き正極11及び負極9の積層条件(落下距離等)を均等にすることができる。その結果、セパレータ付き正極11及び負極9の積層動作を安定化させることができる。
電極積層装置100のコントローラ101は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等から構成されている。図30に示されるように、コントローラ101は、回動プレート150,160を回動させる駆動部151,161を制御する分配制御部102と、シャッター133A,133B,143A,143Bをスライド動作させる駆動部134A,134B,144A,144Bを制御するシャッター制御部103と、押し部材170A,170B,180A,180Bの押出動作を実行させる駆動部171A,171B,181A,181Bを制御する押出制御部104と、積層部191の高さ位置を変更する駆動部192を制御する積層制御部105とを有している。以下、コントローラ101の制御により実現される電極積層装置100の積層動作の一例について説明する。
まず、正極供給用コンベア110から順次供給されるセパレータ付き正極11が個々の積層部191に積層されるまでの動作について説明する。ここで、セパレータ付き正極11は、所定の時間間隔で正極供給用コンベア110から連続的に供給される。コントローラ101は、正極供給用コンベア110から回動プレート150に向かってセパレータ付き正極11が1枚供給される毎に、駆動部151を制御し、回動プレート150の傾斜角度を変更する。このような制御により以下の動作が実現できる。すなわち、回動プレート150の傾斜角度が図25に示される状態の場合には、1番上の支持部132にセパレータ付き正極11が供給される。その後、コントローラ101が駆動部151を制御し、回動プレート150をセパレータ付き正極11の搬送方向(図25の紙面表側から見た場合の右方向)に向かって1段階下方に傾斜させることで、次に供給されるセパレータ付き正極11は、上から2番目の支持部132に供給されることになる。このように回動プレート150の傾斜角度が順次変更されることで、8つの支持部132に対して順番にセパレータ付き正極11が分配される(分配工程)。
コントローラ101は、セパレータ付き正極11が上側4つの支持部132Aのいずれかに供給される際には、駆動部134Aを制御することにより、上側のシャッター133Aを下降させ、壁部131のスリット131bを遮蔽した状態とする。これにより、正極供給用コンベア110から回動プレート150を介して支持部132Aに供給されるセパレータ付き正極11は、シャッター133Aに衝突し、支持部132Aの基台132a上に一旦停止させられる。同様に、コントローラ101は、セパレータ付き正極11が下側4つの支持部132Bのいずれかに供給される際には、駆動部134Bを制御することにより、下側のシャッター133Bを下降させ、壁部131のスリット131bを遮蔽した状態とする。これにより、正極供給用コンベア110から回動プレート150を介して支持部132Bに供給されるセパレータ付き正極11は、シャッター133Bに衝突し、支持部132Bの基台132a上に一旦停止させられる。上述した通り、シャッター133A,133Bがスポンジ等の柔軟な材料で形成されていることにより、セパレータ付き正極11への衝撃が緩和され、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離が生じにくくなっている。
上述の分配工程において、上側4つの支持部132Aに対するセパレータ付き正極11の供給が完了し、下側4つの支持部132Bに対するセパレータ付き正極11の供給が開始されると、コントローラ101は、上側4つの支持部132Aに支持されているセパレータ付き正極11をそれぞれに対応する積層部191に対して排出するように、シャッター133A及び押し部材170Aの動作を制御する(排出工程)。具体的には、コントローラ101は、駆動部134Aを制御することにより、上側のシャッター133Aを上昇させ、壁部131のスリット131bが開放された状態とする。そして、コントローラ101は、駆動部171Aを制御することにより、上側4つの支持部132Aに対応して設けられた4つの押し部材170Aに押し出し動作を実行させる。これにより、支持部132Aに支持されているセパレータ付き正極11は、スリット131bを介して積層部191へと押し出される。その結果、積層部191の基台191a上(或いは、既に積層済みの電極からなる積層体上)に、セパレータ付き正極11が新たに積層される。このように積層部191に新たな電極(この場合、セパレータ付き正極11)が積層されると、コントローラ101は、駆動部192を制御することにより、積層部191を電極1枚分だけ下降させる。
ここで、上側4つの支持部132Aに対するセパレータ付き正極11の供給が完了してから、再度上側4つの支持部132Aに対するセパレータ付き正極11の供給が開始されるまでには、4枚のセパレータ付き正極11が下側4つの支持部132Bに供給されるのにかかる時間だけ猶予がある。従って、電極積層装置100では、セパレータ付き正極11が正極供給用コンベア110から支持部132Aへと供給される際のセパレータ付き正極11の速度(すなわち、正極供給用コンベア110の搬送速度)よりも小さい排出速度で、押し部材170Aの押し出し動作を実行することができる。このため、押し部材170Aがセパレータ付き正極11に当たる際におけるセパレータ付き正極11への衝撃を抑制することができる。また、セパレータ付き正極11が押し部材170Aの高速な押し出し動作によって勢い良く押し出され、壁部141等に衝突するといった事態の発生を防止することができる。その結果、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。なお、一の支持部132にセパレータ付き正極11が供給されてから、再度当該支持部132にセパレータ付き正極11が供給されるまでには、7枚のセパレータ付き正極11が他の支持部132に供給される時間だけ猶予がある。このため、各押し部材170の押し出し動作をそれぞれ独立して行うように構成した場合、各押し部材170の押し出し動作を一層低速にすることができる。
上述の分配工程において、下側4つの支持部132Bに対するセパレータ付き正極11の供給が完了し、上側4つの支持部132Aに対するセパレータ付き正極11の供給が開始された際には、上述したコントローラ101の制御と同様の制御により、下側4つの支持部132Bに支持されているセパレータ付き正極11に対して、上述した排出工程の動作が実行される。すなわち、本実施形態では、下側4つの支持部132Bにセパレータ付き正極11が分配されている間に、上側4つの支持部132Aに支持されているセパレータ付き正極11が積層部191に対して排出される。一方、上側4つの支持部132Aにセパレータ付き正極11が分配されている間に、下側4つの支持部132Bに支持されているセパレータ付き正極11が積層部191に対して排出される。このように、分配工程及び排出工程のサイクルは、正極受取部130の上側部分と下側部分とで互い違いに実行される。
次に、負極供給用コンベア120から順次供給される負極9が個々の積層部191に積層されるまでの動作について説明する。ここで、負極9は、所定の時間間隔で負極供給用コンベア120から連続的に供給される。コントローラ101は、負極供給用コンベア120から回動プレート160に向かって負極9が1枚供給される毎に、駆動部161を制御し、回動プレート160の傾斜角度を変更する。このような制御により以下の動作が実現できる。すなわち、回動プレート160の傾斜角度が図25に示される状態の場合には、1番上の支持部142に負極9が供給される。その後、コントローラ101が駆動部161を制御し、回動プレート160を負極9の搬送方向(図25の紙面表側から見た場合の左方向)に向かって1段階下方に傾斜させることで、次に供給される負極9は、上から2番目の支持部142に供給されることになる。このように回動プレート160の傾斜角度が順次変更されることで、8つの支持部142に対して順番に負極9が分配される(分配工程)。
コントローラ101は、負極9が上側4つの支持部142Aのいずれかに供給される際には、駆動部144Aを制御することにより、上側のシャッター143Aを下降させ、壁部141のスリット141bを遮蔽した状態とする。これにより、負極供給用コンベア120から回動プレート160を介して支持部142Aに供給される負極9は、シャッター143Aに衝突し、支持部142Aの基台142a上に一旦停止させられる。同様に、コントローラ101は、負極9が下側4つの支持部142Bのいずれかに供給される際には、駆動部144Bを制御することにより、下側のシャッター143Bを下降させ、壁部141のスリット141bを遮蔽した状態とする。これにより、負極供給用コンベア120から回動プレート160を介して支持部142Bに供給される負極9は、シャッター143Bに衝突し、支持部142Bの基台142a上に一旦停止させられる。上述した通り、シャッター143A,143Bがスポンジ等の柔軟な材料で形成されていることにより、負極9への衝撃が緩和され、負極9の負極活物質層17の剥離が生じにくくなっている。
上述の分配工程において、上側4つの支持部142Aに対する負極9の供給が完了し、下側4つの支持部142Bに対する負極9の供給が開始されると、コントローラ101は、上側4つの支持部142Aに支持されている負極9をそれぞれに対応する積層部191に対して排出するように、シャッター143A及び押し部材180Aの動作を制御する(排出工程)。具体的には、コントローラ101は、駆動部144Aを制御することにより、上側のシャッター143Aを上昇させ、壁部141のスリット141bが開放された状態とする。そして、コントローラ101は、駆動部181Aを制御することにより、上側4つの支持部142Aに対応して設けられた4つの押し部材180Aに押し出し動作を実行させる。これにより、支持部142Aに支持されている負極9は、スリット141bを介して積層部191へと押し出される。その結果、積層部191の基台191a上(或いは、既に積層済みの電極からなる積層体上)に、負極9が新たに積層される。このように積層部191に新たな電極(この場合、負極9)が積層されると、コントローラ101は、駆動部192を制御することにより、積層部191を電極1枚分だけ下降させる。
ここで、上側4つの支持部142Aに対する負極9の供給が完了してから、再度上側4つの支持部142Aに対する負極9の供給が開始されるまでには、4枚の負極9が下側4つの支持部142Bに供給されるのにかかる時間だけ猶予がある。従って、電極積層装置100では、負極9が負極供給用コンベア120から支持部142Aへと供給される際の負極9の速度(すなわち、負極供給用コンベア120の搬送速度)よりも小さい排出速度で、押し部材180Aの押し出し動作を実行することができる。このため、押し部材180Aが負極9に当たる際における負極9への衝撃を抑制することができる。また、負極9が押し部材180Aの高速な押し出し動作によって勢い良く押し出され、壁部131等に衝突するといった事態の発生を防止することができる。その結果、負極9の負極活物質層17の剥離を抑制することができる。なお、一の支持部142に負極9が供給されてから、再度当該支持部142に負極9が供給されるまでには、7枚の負極9が他の支持部142に供給される時間だけ猶予がある。このため、各押し部材180の押し出し動作をそれぞれ独立して行うように構成した場合、各押し部材180の押し出し動作を一層低速にすることができる。
上述の分配工程において、下側4つの支持部142Bに対する負極9の供給が完了し、上側4つの支持部142Aに対する負極9の供給が開始された際には、上述したコントローラ101の制御と同様の制御により、下側4つの支持部142Bに支持されている負極9に対して、上述した排出工程の動作が実行される。すなわち、本実施形態では、下側4つの支持部142Bに負極9が分配されている間に、上側4つの支持部142Aに支持されている負極9が積層部191に対して排出される。一方、上側4つの支持部142Aに負極9が分配されている間に、下側4つの支持部142Bに支持されている負極9が積層部191に対して排出される。このように、分配工程及び排出工程のサイクルは、負極受取部140の上側部分と下側部分とで互い違いに実行される。
また、コントローラ101は、上述した正極受取部130と負極受取部140とに対して実行される工程(分配工程又は排出工程)が、対応する部分(上側部分又は下側部分)において互いに逆になるように、回動プレート150,160、シャッター133,143、押し部材170,180の動作を制御する。具体的には、コントローラ101は、正極受取部130の上側部分(又は下側部分)において支持部132Aに支持されているセパレータ付き正極11を積層部191に排出する処理(排出工程)が実行されている間には、負極受取部140の上側部分(又は下側部分)において支持部142Aに対して負極9を供給する処理(分配工程)が実行されるように、各機構の動作を制御する。このような制御により、各積層部191に対して、セパレータ付き正極11と負極9とが交互に積層されることになる。
以上述べた電極積層装置100は、搬送装置(正極供給用コンベア110及び負極供給用コンベア120)により供給される電極(セパレータ付き正極11及び負極9)を積層し、電極積層体を形成する装置である。電極積層装置100は、セパレータ付き正極11を支持する複数の支持部132と、負極9を支持する複数の支持部142と、正極供給用コンベア110により供給されるセパレータ付き正極11を複数の支持部132の各々に分配する回動プレート150と、負極供給用コンベア120により供給される負極9を複数の支持部142の各々に分配する回動プレート160と、複数の支持部132,142の側方に配置され、電極が積層される複数段の積層部191を有する積層ユニット190と、複数の支持部132に支持されたセパレータ付き正極11を複数段の積層部191に向けて押し出す押し部材170と、複数の支持部142に支持された負極9を複数段の積層部191に向けて押し出す押し部材180と、回動プレート150,160及び押し部材170,180の動作を制御するコントローラ101と、を備える。コントローラ101は、正極供給用コンベア110によるセパレータ付き正極11の搬送速度よりも遅い速度で、積層部191に向けてセパレータ付き正極11を押し出すように、押し部材170の動作を制御する。また、コントローラ101は、負極供給用コンベア120による負極9の搬送速度よりも遅い速度で、積層部191に向けて負極9を押し出すように、押し部材180の動作を制御する。
このような電極積層装置100では、複数の電極(セパレータ付き正極11又は負極9)が複数の支持部132,142に分配される。このように、複数の支持部132,142に分配された電極を押し出して積層することにより、電極を積層部191に押し出す際の排出速度を、搬送装置(正極供給用コンベア110又は負極供給用コンベア120)による電極の搬送速度(供給速度)よりも遅くすることができる。これにより、電極が積層されるペースの低下を防ぎつつ、電極積層時における電極の位置ずれを抑制できる。従って、電極積層装置100によれば、装置の大型化を抑えながら、積層速度の高速化を達成できる。
また、正極受取部130に対して順次供給されるセパレータ付き正極11は、複数の支持部132の各々に分配された後に、それぞれ異なる積層部191に排出されて積層される。このように、供給されるセパレータ付き正極11を複数の支持部132に分配して積層することにより、各支持部132に支持されているセパレータ付き正極11を排出する際のセパレータ付き正極11の排出速度(すなわち、積層部191へのセパレータ付き正極11の供給速度)を、正極受取部130に対して順次供給されるセパレータ付き正極11の供給速度(本実施形態では、正極供給用コンベア110の搬送速度)よりも下げることができる。このように積層部191へのセパレータ付き正極11の供給速度を下げることにより、セパレータ付き正極11を積層部191に積層する際に、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。
同様に、電極積層装置100では、負極受取部140に対して順次供給される負極9は、複数の支持部142の各々に分配された後に、それぞれ異なる積層部191に排出されて積層される。このように、供給される負極9を複数の支持部142に分配して積層することにより、各支持部142に支持されている負極9を排出する際の負極9の排出速度(すなわち、積層部191への負極9の供給速度)を、負極受取部140に対して順次供給される負極9の供給速度(本実施形態では、負極供給用コンベア120の搬送速度)よりも下げることができる。このように積層部191への負極9の供給速度を下げることにより、負極9を積層部191に積層する際に、負極9の負極活物質層17の剥離を抑制することができる。
また、正極受取部130は、正極受取部130がセパレータ付き正極11を受け取る際におけるセパレータ付き正極11への衝撃を緩和する衝撃緩和部として、シャッター133を有している。これにより、セパレータ付き正極11を正極受取部130に供給する際においても、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。すなわち、正極受取部130へのセパレータ付き正極11の供給速度を高速にしたとしても、支持部132がセパレータ付き正極11を受け取る際におけるセパレータ付き正極11への衝撃がシャッター133によって緩和されることにより、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。
同様に、負極受取部140は、負極受取部140が負極9を受け取る際における負極9への衝撃を緩和する衝撃緩和部として、シャッター143を有している。これにより、負極9を負極受取部140に供給する際においても、負極9の負極活物質層17の剥離を抑制することができる。すなわち、負極受取部140への負極9の供給速度を高速にしたとしても、支持部142が負極9を受け取る際における負極9への衝撃がシャッター143によって緩和されることにより、負極9の負極活物質層17の剥離を抑制することができる。
また、上述したコントローラ101により実現される電極積層方法は、順次供給される電極(セパレータ付き正極11又は負極9)を、複数の支持部132,142の各々に分配する分配工程を含む。また、上記電極積層方法は、分配工程における電極の支持部132,142への供給速度(本実施形態では、正極供給用コンベア110及び負極供給用コンベア120の搬送速度)よりも小さい排出速度(すなわち、押し部材170,180の押出動作の速度)で、複数の支持部132,142の各々に支持されている複数の電極の各々を、複数段の積層部191の各々に対して排出する排出工程を含む。このような電極積層方法では、順次供給される電極は、複数の支持部132,142の各々に分配された後に、それぞれ異なる積層部191に排出されて積層される。このように、供給される電極を複数の支持部132,142に分配して積層することにより、各支持部132,142に支持されている電極を排出する際の電極の排出速度(すなわち、積層部191への電極の供給速度)を、支持部132,142に対して順次供給される電極の供給速度よりも下げることができる。このように積層部191への電極の供給速度を下げることにより、電極を積層部191に積層する際に、電極の活物質(正極活物質層15又は負極活物質層17)の剥離を抑制することができる。
なお、電極積層装置100においては、正極供給用コンベア110によってセパレータ付き正極11を供給する構成の代わりに、複数のセパレータ付き正極11を予め積層して収容したマガジンから所定の時間間隔で連続的にセパレータ付き正極11を回動プレート150に供給する構成を採用してもよい。同様に、負極供給用コンベア120によって負極9を供給する構成の代わりに、複数の負極9を予め積層して収容したマガジンから所定の時間間隔で連続的に負極9を回動プレート160に供給する構成を採用してもよい。
[第5実施形態]
図31を参照して、第5実施形態に係る電極積層装置200について説明する。図31は、電極積層装置200を示す側面図(一部断面を含む)である。電極積層装置200は、以下の点で第1実施形態に係る電極積層装置20と相違する。すなわち、電極積層装置200では、正極搬送ユニット21がセパレータ付き正極11とともに負極9を搬送する構成とすることで、負極搬送ユニット22が省略されている。また、電極積層装置200は、負極供給用コンベア24の代わりに、正極搬送ユニット21に負極9を供給するための負極供給用コンベア24Aを備えている。また、電極積層装置200は、壁部38の代わりにスリット39が形成されていない壁部38Aを備えている。その他の構成については、電極積層装置200は、電極積層装置20と同様である。電極積層装置200においては、循環部材26が、正極供給用コンベア23により供給されるセパレータ付き正極11及び負極供給用コンベア24Aにより供給される負極9を複数の支持部27の各々に分配する分配部として機能する。
負極供給用コンベア24Aは、正極供給用コンベア23の上方に配置されている。すなわち、負極供給用コンベア24Aは、セパレータ付き正極11が正極供給用コンベア23によって供給される供給位置よりも、循環部材26の循環により形成される循環経路における下流側に配置されている。このような配置により、負極供給用コンベア24Aは、正極供給用コンベア23から供給されたセパレータ付き正極11を支持する支持部27に負極9を供給する。具体的には、負極供給用コンベア24Aは、支持部27に支持されているセパレータ付き正極11の上に重なるように、負極9を供給する。
このように、電極積層装置200では、1枚のセパレータ付き正極11と1枚の負極9との組(以下「電極組」という。)が各支持部27によって支持されて搬送される。このような構成において、コントローラ60(図7参照)は、正極搬送ユニット21により搬送された4つの電極組を上下4段の積層部33に対応する高さ位置に保持するように駆動部28を制御する。これにより、4つの電極組を4段の積層部33に積層することができる。具体的には、4つの電極組を押出ユニット42によって4段の積層部33に向けて同時に押し出すことにより、4つの電極組を4段の積層部33に同時に積層することができる。
以上説明した電極積層装置200は、正極供給用コンベア23(搬送装置)及び負極供給用コンベア24A(搬送装置)により供給される電極(セパレータ付き正極11及び負極9)を積層し、電極積層体を形成する装置である。電極積層装置200は、支持部27(電極支持部)と、循環部材26と、積層ユニット25と、押出ユニット41と、コントローラ60(制御部)と、を備える。支持部27は、正極供給用コンベア23及び負極供給用コンベア24Aにより供給されるセパレータ付き正極11及び負極9を受け取り、セパレータ付き正極11及び負極9を支持する。循環部材26は、上下方向に延びるループ状をなし、その外周面に支持部27が取り付けられる。積層ユニット25は、循環部材26を挟んで正極供給用コンベア23及び負極供給用コンベア24Aの反対側に配置され、セパレータ付き正極11及び負極9が積層される複数段の積層部33を有する。押出ユニット41は、複数の支持部27に支持されたセパレータ付き正極11及び負極9を複数段の積層部33に向けて同時に押し出す。コントローラ60は、循環部材26の循環及び昇降、並びに押出ユニット41の動作を制御する。コントローラ60は、正極供給用コンベア23によるセパレータ付き正極11の搬送速度及び負極供給用コンベア24Aによる負極9の搬送速度よりも遅い速度で、積層部33に向けてセパレータ付き正極11及び負極9を押し出すように、押出ユニット41の動作を制御する。
以上のような電極積層装置200では、支持部27に対して順次供給される電極(セパレータ付き正極11及び負極9)は、それぞれ異なる積層部33に同時に押し出されて積層される。このように、順次供給される電極の数よりも多くの電極を同時に押し出して積層することにより、電極を積層部33に押し出す際の排出速度を、搬送装置(正極供給用コンベア23又は負極供給用コンベア24A)による電極の搬送速度(供給速度)よりも遅くすることができる。これにより、電極が積層されるペースの低下を防ぎつつ、電極積層時における電極の位置ずれを抑制できる。従って、電極積層装置200によれば、装置の大型化を抑えながら、積層速度の高速化を達成できる。
なお、電極積層装置200において、支持部27の代わりに上述した断面U字状の支持部99A又は支持部99B(図24参照)が用いられてもよい。
[第6実施形態]
図32〜図50を参照して、第6実施形態に係る電極積層装置300について説明する。図32は、電極積層装置300を示す側面図(一部断面を含む)である。図33は、電極積層装置300の支持部の構成を示す図である。
電極積層装置300は、正極搬送ユニット301と、負極搬送ユニット302と、正極供給用コンベア303と、負極供給用コンベア304と、積層ユニット305とを備えている。また、電極積層装置300は、電極供給センサ306,307と、積層位置センサ308,309とを備えている。
正極搬送ユニット301は、第1実施形態の正極搬送ユニット21と同様に、セパレータ付き正極11を貯めながら順次搬送するユニットである。正極搬送ユニット301は、上下方向に延びるループ状の循環部材310と、この循環部材310の外周面に取り付けられ、セパレータ付き正極11を支持する複数の支持部311と、循環部材310を駆動する駆動部312とを有している。ここで、循環部材310及び駆動部312の構成は、例えば正極搬送ユニット21の循環部材26及び駆動部28と同様である。ここで、循環部材310は、正極供給用コンベア303により供給されるセパレータ付き正極11を複数の支持部311の各々に分配する分配部として機能する。
図33の(a)は、セパレータ付き正極11が支持された状態の支持部311の側面図であり、図33の(b)は、図33の(a)のb−b線に沿った断面図である。図33に示されるように、支持部311は、底壁311aと、一対の側壁311bとを有する断面U字状の部材である。底壁311aは、循環部材310の外周面に取り付けられる矩形板状部材である。一対の側壁311bは、循環部材310が循環する方向における底壁311aの両縁部に立設された矩形板状部材である。図33の(b)に示されるように、本実施形態では一例として、側壁311bは、二股状に形成されている。ただし、側壁311bの形状は、セパレータ付き正極11を支持可能な形状であれば何でもよい。一対の側壁311bは、互いに対向しており、セパレータ付き正極11を収容可能な程度に離間している。底壁311a及び側壁311bは、例えばステンレス鋼等の金属により一体的に形成されている。
底壁311aの内側表面には、スポンジ等の緩衝材311dが設けられている。正極供給用コンベア303から支持部311に供給されるセパレータ付き正極11は、緩衝材311dに衝突することになるが、緩衝材311dによって衝突の衝撃が緩和される。すなわち、緩衝材311dは、支持部311がセパレータ付き正極11を受け取る際におけるセパレータ付き正極11への衝撃を緩和する衝撃緩和部として機能する。その結果、セパレータ付き正極11が支持部311に供給される際において、セパレータ付き正極11の正極活物質層15の剥離を抑制することができる。
負極搬送ユニット302は、第1実施形態の負極搬送ユニット22と同様に、負極9を貯めながら順次搬送するユニットである。負極搬送ユニット302は、上下方向に延びるループ状の循環部材313と、この循環部材313の外周面に取り付けられ、負極9を支持する複数の支持部314と、循環部材313を駆動する駆動部315とを有している。ここで、循環部材313及び駆動部315の構成は、例えば負極搬送ユニット22の循環部材29及び駆動部31と同様である。また、支持部314の構成は、支持部311と同様である。ここで、循環部材313は、負極供給用コンベア304により供給される負極9を複数の支持部314の各々に分配する分配部として機能する。
正極供給用コンベア303は、第1実施形態の正極供給用コンベア23と同様に、セパレータ付き正極11を正極搬送ユニット301に向けて水平方向に搬送し、正極搬送ユニット301の支持部311にセパレータ付き正極11を供給する。正極供給用コンベア303は、正極供給用コンベア303の循環方向に沿って等間隔に設けられた複数の爪部303aを有する点で、正極供給用コンベア23と相違する。爪部303aは、上記循環方向に直交する方向に延び、セパレータ付き正極11の搬送方向後方の端部に当接する。これにより、セパレータ付き正極11は、正極搬送ユニット301に対して一定の間隔で供給されるようになっている。
負極供給用コンベア304は、第1実施形態の負極供給用コンベア24と同様に、負極9を負極搬送ユニット302に向けて水平方向に搬送し、負極搬送ユニット302の支持部314に負極9を供給する。負極供給用コンベア304は、負極供給用コンベア304の循環方向に沿って等間隔に設けられた複数の爪部304aを有する点で、負極供給用コンベア24と相違する。爪部304aは、上記循環方向に直交する方向に延び、負極9の搬送方向後方の端部に当接する。これにより、負極9は、負極搬送ユニット302に対して一定の間隔で供給されるようになっている。
正極供給用コンベア303から正極搬送ユニット301の支持部311に移載されたセパレータ付き正極11は、循環部材310の回転によって一旦上昇してから下降するように循環移動する。このとき、循環部材310の上部においてセパレータ付き正極11の表裏が反転する。負極供給用コンベア304から負極搬送ユニット302の支持部314に移載された負極9は、循環部材313の回転によって一旦上昇してから下降するように循環移動する。このとき、循環部材313の上部において負極9の表裏が反転する。
積層ユニット305は、正極搬送ユニット301と負極搬送ユニット302との間に配置されている。積層ユニット305の構成は、第1実施形態の積層ユニット25と同様である。すなわち、積層ユニット305は、一例として、上下方向に延びるループ状の循環部材(不図示)と、この循環部材の外周面に取り付けられ、セパレータ付き正極11及び負極9が交互に積層される複数の積層部316と、循環部材を駆動する駆動部(不図示)とを有している。積層ユニット305の基本構成は、積層ユニット25と同様であるため、詳しい説明を省略する。
本実施形態では一例として、積層部316は、積層部77(図16参照)と同様の構成をなしている。すなわち、積層部316は、セパレータ付き正極11及び負極9が載置されるプレート状の基台316aと、基台316aに立設され、セパレータ付き正極11の底縁11c及び側縁11d(図4参照)と負極9の底縁9c及び側縁9d(図4参照)とを位置決めする断面U字状の側壁316bとを有している。また、ここでは一例として、図32に示されるように、正極搬送ユニット301側の側壁316bの上面は、基台316aに向かって下方に傾斜する傾斜面とされている。同様に、負極搬送ユニット302側の側壁316bの上面も、基台316aに向かって下方に傾斜する傾斜面とされている。以上の構成により、セパレータ付き正極11及び負極9が基台316aへと滑らかに移動可能となっている。
積層ユニット305と正極搬送ユニット301との間には、上下方向に延びる壁部317が配置されている。壁部317には、後述する押出ユニット321により押し出されたセパレータ付き正極11が通過する複数(ここでは4つ)のスリット318が設けられている。各スリット318は、上下方向に等間隔で配置されている。なお、本実施形態では一例として、スリット318の上側部分は、正極搬送ユニット301側から積層部316側に向かって下方に傾斜する傾斜面となっている。また、スリット318の下側部分は、正極搬送ユニット301側から積層部316側に向かって上方に傾斜する傾斜面となっている。これにより、セパレータ付き正極11を積層部316へと適切に案内するとともに、スリット318における入口側(正極搬送ユニット301側)の開口部分を大きくすることができる。その結果、押出ユニット321により押し出されるセパレータ付き正極11の高さ位置に多少のずれが生じても、スリット318にセパレータ付き正極11を通過させることが可能となる。
積層ユニット305と負極搬送ユニット302との間には、上下方向に延びる壁部319が配置されている。壁部319には、後述する押出ユニット322により押し出された負極9が通過する複数(ここでは4つ)のスリット320が設けられている。各スリット320の高さ位置は、各スリット318の高さ位置と同じである。なお、本実施形態では一例として、スリット320の上側部分は、負極搬送ユニット302側から積層部316側に向かって下方に傾斜する傾斜面となっている。また、スリット320の下側部分は、負極搬送ユニット302側から積層部316側に向かって上方に傾斜する傾斜面となっている。これにより、負極9を積層部316へと適切に案内するとともに、スリット320における入口側(負極搬送ユニット302側)の開口部分を大きくすることができる。その結果、押出ユニット322により押し出される負極9の高さ位置に多少のずれが生じても、スリット320に負極9を通過させることが可能となる。
また、電極積層装置20は、押出ユニット321と、押出ユニット322とを備えている。
押出ユニット321は、一例として、第1実施形態の押出ユニット41と同様の構成をなしている。すなわち、押出ユニット321は、セパレータ付き正極11を積層する積層エリアにおいて、複数(ここでは4つ)のセパレータ付き正極11を上下複数段(ここでは上下4段)の積層部316に向けて同時に押し出すことにより、4つのセパレータ付き正極11を4段の積層部316に同時に積層する。押出ユニット321は、4つのセパレータ付き正極11を一緒に押す1対の押し部材321a(押出部)と、この押し部材321aを4段の積層部316側に移動させる駆動部(不図示)とを有している。この駆動部は、例えばモータ及びリンク機構から構成されている。
押出ユニット322は、一例として、第1実施形態の押出ユニット42と同様の構成をなしている。負極9を積層する積層エリアにおいて、複数(ここでは4つ)の負極9を複数段(ここでは上下4段)の積層部316に向けて同時に押し出すことにより、4つの負極9を4段の積層部316に同時に積層する。押出ユニット322は、4つの負極9を一緒に押す1対の押し部材322a(押出部)と、この押し部材322aを4段の積層部316側に移動させる駆動部(不図示)とを有している。この駆動部の構成は、押出ユニット321の駆動部と同様である。なお、押出ユニット321,322の駆動部は、シリンダ等を有していてもよい。
また、電極積層装置300は、電極積層装置20と同様に、セパレータ付き正極11の底縁11cの位置を揃える位置決めユニット47(図4参照)と、負極9の底縁9cの位置を揃える位置決めユニット48(図4参照)とを備えている。
また、電極積層装置300は、コントローラ350を備えている。コントローラ350は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等から構成されている。コントローラ350は、第1実施形態のコントローラ60と同様に、上述した駆動部312,315を制御する搬送制御部と、積層ユニット305の駆動部を制御する積層制御部と、押出ユニット321,322の駆動部を制御する押出制御部と、位置決めユニット47,48の駆動部を制御する位置決め制御部とを有している。また、コントローラ350は、電極供給センサ306,307及び積層位置センサ308,309と接続されており、これらのセンサからの検知信号を受信可能となっている。
電極供給センサ306は、正極供給用コンベア303の正極搬送ユニット301側の端部付近に配置され、爪部303a又はセパレータ付き正極11の有無を検知する。電極供給センサ306は、爪部303a又はセパレータ付き正極11の有無を示す検知信号を定期的にコントローラ350に送信する。
電極供給センサ307は、負極供給用コンベア304の負極搬送ユニット302側の端部付近に配置され、爪部304a又は負極9の有無を検知する。電極供給センサ307は、爪部304a又は負極9の有無を示す検知信号を定期的にコントローラ350に送信する。
積層位置センサ308は、セパレータ付き正極11を支持した支持部311が予め定められた積層位置(例えば、積層ユニット305の最下段の積層部316に対応するスリット318の下端位置)に到達したことを検知する。積層位置センサ308は、循環部材310の上下動とは独立しており、積層位置センサ308の高さ位置は、スリット318に対して固定されている。積層位置センサ308は、セパレータ付き正極11を支持した支持部311が積層位置に到達したことを検知すると、その旨を示す検知信号をコントローラ350に送信する。
積層位置センサ309は、負極9を支持した支持部314が予め定められた積層位置(例えば、積層ユニット305の最下段の積層部316に対応するスリット320の下端位置)に到達したことを検知する。積層位置センサ309は、循環部材313の上下動とは独立しており、積層位置センサ309の高さ位置は、スリット320に対して固定されている。積層位置センサ309は、負極9を支持した支持部314が積層位置に到達したことを検知すると、その旨を示す検知信号をコントローラ350に送信する。
続いて、図34〜図40を参照して、コントローラ350による循環部材310,313、位置決めユニット47,48(図4参照)、及び押出ユニット321,322の動作制御について説明する。
まず、図34〜図37を参照して、循環部材(ここでは一例として循環部材310)の制御フローについて説明する。図34は、循環部材310及び循環部材313に共通の制御フローを示すフローチャートである。図35は、準備運転時(図34のステップS201)における循環部材310の動作を説明する一部側面図である。図36は、積層運転時(図34のステップS203)における循環部材310の動作を説明する一部側面図である。図37は、復帰運転時(図34のステップS206)における循環部材310の動作を説明する一部側面図である。なお、負極搬送ユニット302の循環部材313の制御フローは、循環部材310の制御フローと同様であるため、説明を省略する。
図34において、コントローラ350は、電極積層装置300を含む製造ラインの稼働開始のトリガ(例えばオペレータ等による入力)を受けて、循環部材310の準備運転を開始する(ステップS201)。
準備運転は、いずれの支持部311にもセパレータ付き正極11が支持されていない初期状態から、セパレータ付き正極11の受取位置から積層位置までの間にある各支持部311がセパレータ付き正極11を支持する状態にするための動作である。具体的には、準備運転は、循環部材310の回転(循環)のみによって、支持部311を循環させる動作である(図35参照)。より具体的には、循環部材310において互いに隣接する支持部311間の距離の移動量を1とした場合、コントローラ350は、循環部材310におけるセパレータ付き正極11の受取位置にある支持部311にセパレータ付き正極11が供給されたことを確認する毎に、循環部材310を移動量1だけ図32の紙面表側から見て時計回り(以下単に「時計回り」という。)に循環させる。なお、以下の説明においては、循環部材310の循環については、時計回り方向の移動を正方向とし、循環部材310の上下移動については、上方向を正方向として、移動量を表現する。
コントローラ350は、準備運転中において、随時、積層位置センサ308からの検知信号の受信の有無(すなわち、セパレータ付き正極11を支持した支持部311が積層位置に到達したか否か)を判定する(ステップS202)。コントローラ350は、積層位置センサ308から検知信号を受信するまで、循環部材310の準備運転を継続する(ステップS202:NO)。一方、コントローラ350は、積層位置センサ308から検知信号を受信すると(すなわち、セパレータ付き正極11を支持した支持部311が積層位置に到達したことを検知すると)、循環部材310を積層運転に切り替える(ステップS202:YES、ステップS203)。
積層運転は、セパレータ付き正極11を積層部316に積層するための動作である。具体的には、積層運転は、積層ユニット305側の支持部311の高さ位置を積層部316に対して相対的に停止させるとともに、セパレータ付き正極11が正極供給用コンベア303から一枚供給される毎に、正極供給用コンベア303側の支持部311を正極供給用コンベア303に対して移動量1だけ上昇させる動作である。より具体的には、コントローラ350は、正極供給用コンベア303から1枚のセパレータ付き正極11が供給されてから次のセパレータ付き正極11が供給されるまでの間の時間(以下「単位時間」という)に、循環部材310を移動量0.5で時計回りに循環させるとともに、移動量0.5で上昇させる(図36参照)。
コントローラ350は、積層運転中において、随時、4段の積層部316に対する4枚のセパレータ付き正極11の同時供給が完了したか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、後述する押出ユニット321による押出動作が完了したか否かが判定される。例えば、押し部材321aが元の位置(セパレータ付き正極11を押し出す前の位置)に戻ったことを検知することで、押出動作が完了したことを検知することができる。コントローラ350は、押出ユニット321による押出動作が完了したことを検知するまで、循環部材310の積層運転を継続する(ステップS204:NO)。一方、コントローラ350は、押出ユニット321による押出動作が完了したことを検知すると(ステップS204:YES)、積層ユニット305へのセパレータ付き正極11の積層を完了するか否かを判定する(ステップS205)。
具体的には、コントローラ350は、例えば各積層部316に積層された電極の枚数をセンサ等により検知し、電極の積層枚数が予め定められた枚数に達したか否かを判定することで、積層を完了するか否かを判定することができる。すなわち、コントローラ350は、電極の積層枚数が予め定められた枚数に達した場合に積層を完了し、電極の積層枚数が予め定められた枚数に達していない場合に積層を完了しないと判定することができる。
積層を完了すると判定された場合(ステップS205:YES)、コントローラ350は、循環部材310の制御を終了する。一方、積層を完了すると判定されなかった場合(ステップS205:NO)、コントローラ350は、循環部材310を復帰運転に切り替える(ステップS206)。なお、積層を完了すると判定された場合(ステップS205:YES)、コントローラ350は、循環部材310の制御を一旦終了した後、さらに積層部316の交換が完了してオペレータ等からの制御開始の指示を受けた後に、循環部材310の制御を再開してもよい。この場合、復帰運転(ステップS206)が開始されることになる。
復帰運転は、積層運転において元の位置(積層運転開始前の位置)よりも上昇した位置に移動した循環部材310を元の位置に復帰(下降)させる動作である。具体的には、復帰運転は、積層ユニット305側においてセパレータ付き正極11を支持する先頭の支持部311の高さ位置を積層位置までスライドさせるとともに、正極供給用コンベア303側の支持部311を移動量1だけ上昇させる動作である。より具体的には、コントローラ350は、上述した単位時間に、循環部材310を移動量2.5で時計回りに循環させるとともに、移動量−1.5で下降させる(図37参照)。
これにより、単位時間において、正極供給用コンベア303側では、支持部311が、正極供給用コンベア303に対して、1つ分だけ上昇することになる。一方、積層ユニット305側では、支持部311が、積層ユニット305に対して、4つ分だけ下降することになる。これにより、正極供給用コンベア303から供給されるセパレータ付き正極11を受け取りつつ、4つのセパレータ付き正極11を押出ユニット321によって同時に押し出す押出動作を実行可能な状態となる。従って、コントローラ350は、循環部材310の復帰運転完了後、循環部材310を積層運転に切り替える(ステップS206→S203)。
次に、図38を参照して、位置決めユニット47,48の制御フローについて説明する。図38は、正極搬送ユニット301の位置決めユニット47(図4参照)及び負極搬送ユニット302の位置決めユニット48(図4参照)に共通の制御フローを示すフローチャートである。ここでは一例として、位置決めユニット47の制御について説明を行う。なお、位置決めユニット48の制御フローは、位置決めユニット47の制御フローと同様であるため、説明を省略する。
図38において、コントローラ350は、積層位置センサ308からの検知信号の受信の有無を定期的にチェックすることで、位置決めユニット47による位置決めが可能な位置に電極(ここではセパレータ付き正極11)があるか否かを確認する(ステップS301)。コントローラ350は、積層位置センサ308からの検知信号を受信するまで、上記チェックを継続する(ステップS301:NO)。コントローラ350は、積層位置センサ308からの検知信号を受信し、セパレータ付き正極11を支持する支持部311が積層位置に到達したことを検知すると(ステップS301:YES)、位置決めユニット47に位置決め動作を実行させる(ステップS302)。具体的には、コントローラ350は、第1実施形態で説明した通り、位置決めユニット47の押圧部54による押圧動作を実行するように制御する。このような位置決め動作は、既に第1実施形態で説明した通りであるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
続いて、コントローラ350は、上述した図34のステップS205と同様の判定により、積層を完了するか否かを判定する(ステップS303)。積層を完了すると判定された場合(ステップS303:YES)、コントローラ350は、位置決めユニット47の制御を終了する。一方、積層を完了すると判定されなかった場合(ステップS303:NO)、コントローラ350は、積層ユニット305側の支持部311の高さ位置が積層ユニット305に対して相対的に変化する循環動作(すなわち、上述した循環部材310の復帰運転)が発生するまで、位置決めユニット47の動作を停止する(ステップS304:NO)。コントローラ350は、上記循環動作が発生したことを確認すると(すなわち、コントローラ350が循環部材310を復帰運転に切り替えると)、ステップS301に戻り、位置決めユニット47の制御を継続する(ステップS304:YES)。
なお、位置決めユニット47に位置決め動作を実行させる判定には、上述した判定で用いた判定基準以外の判定基準が用いられてもよい。例えば、押出ユニット321が停止していることが、ステップS302の位置決め動作を実行する判定条件として加えられてもよい。
次に、図39を参照して、押出ユニット321の制御フローについて説明する。図39は、押出ユニット321の制御フローを示すフローチャートである。
図39において、コントローラ350は、積層位置センサ308から受信した検知信号に基づいて、セパレータ付き正極11を支持する支持部311が積層位置に存在するか否かを確認する(ステップS401)。また、コントローラ350は、位置決めユニット47による位置決め動作(図38のステップS302)が完了しているか否かを確認する(ステップS402)。コントローラ350は、例えば位置決めユニット47の押圧部54が元の位置(押圧を行う前の位置)に戻っていることを確認することにより、位置決めユニット47の位置決め動作が完了していることを確認することができる。また、コントローラ350は、他極側(ここでは負極9側)の負極搬送ユニット302において、負極9の積層(積層部316への排出)が完了しているか否かを確認する(ステップS403)。コントローラ350は、例えば負極搬送ユニット302の押出ユニット322の押出動作が完了し、押し部材322aが元の位置(押出動作を行う前の位置)に戻っていることを確認することにより、負極9の積層が完了していることを確認することができる。
コントローラ350は、上述したステップS401〜S403の確認結果に基づいて、積層可能か否か(すなわち、押出ユニット321の押し部材321aによる押出動作を実行可能か否か)を判定する(ステップS404)。具体的には、セパレータ付き正極11を支持する支持部311が積層位置に存在し、位置決めユニット47による位置決め動作が完了しており、負極9の積層が完了していることが確認できた場合に、コントローラ350は、積層可能であると判定する(ステップS404:YES)。一方、コントローラ350は、上記の確認項目のうち少なくとも一つの状態が確認できなかった場合には、積層可能でないと判定し(ステップS404:NO)、ステップS401に戻る。
続いて、コントローラ350は、積層可能であると判定した場合(ステップS404:YES)、押出ユニット321による押出動作を実行する(ステップS405)。具体的には、コントローラ350は、押出ユニット321において、押し部材321aにより4つのセパレータ付き正極11を上下4段の積層部316に向けて同時に押し出すように駆動部を制御する。
続いて、コントローラ350は、上述した図34のステップS205と同様の判定により、積層を完了するか否かを判定する(ステップS406)。積層を完了すると判定された場合(ステップS406:YES)、コントローラ350は、押出ユニット321の制御を終了する。一方、積層を完了すると判定されなかった場合(ステップS406:NO)、コントローラ350は、積層ユニット305側の支持部311の高さ位置が積層ユニット305に対して相対的に変化する循環動作(すなわち、上述した循環部材310の復帰運転)が発生するまで、押出ユニット321の動作を停止する(ステップS407:NO)。コントローラ350は、上記循環動作が発生したことを確認すると(すなわち、コントローラ350が循環部材310を復帰運転に切り替えると)、ステップS401に戻り、押出ユニット321の制御を継続する(ステップS407:YES)。
次に、図40を参照して、押出ユニット322の制御フローについて説明する。図40は、押出ユニット322の制御フローを示すフローチャートである。本実施形態では一例として、負極9が積層部316に最初に積層されるものと定められている。このため、負極9の押出ユニット322の制御フローにおいては、1枚目の負極9を積層部316に積層する場合の制御フロー(ステップS501〜S505)は、2枚目以降の負極9を積層部316に積層する場合の制御フロー(ステップS506〜S512)と一部異なる。
具体的には、負極9が積層部316に最初に積層されるため、1枚目の負極9を積層部316に積層する場合には、セパレータ付き正極11側の動作確認をする必要がない。このため、1枚目の負極9を積層部316に積層する場合の制御フロー(ステップS501〜S505)においては、他極側の動作確認(図39のステップS403に対応するステップ)が省略される。また、負極9が1枚だけ積層された状態では積層完了しないため、積層完了か否かの判定(図39のステップS406に対応するステップ)も省略される。
一方、2枚目以降の負極9を積層部316に積層する場合の制御フロー(ステップS506〜S512)は、上述した押出ユニット321の制御フロー(図39のステップS401〜407)と同様である。
次に、図41〜図45を参照して、上述したコントローラ350による制御により実現される循環部材、位置決めユニット、及び押出ユニットの動作のタイムチャートについて説明する。図41は、正極供給用コンベア303及び負極供給用コンベア304から供給されるセパレータ付き正極11及び負極9に欠品がない正常時の動作を示すタイムチャートである。図42は、負極供給用コンベア304から供給される負極9に欠品が生じた場合(異常時)の動作を示すタイムチャートである。図43〜図45はそれぞれ、図41の時点A〜Cにおける正極搬送ユニットの状態を示す図である。
図41及び図42の正極側の表において、「供給」は、セパレータ付き正極11が正極供給用コンベア303から正極搬送ユニット301の支持部311へと供給される期間を示している。「循環・上下動」は、循環部材310が循環又は上下動する期間を示している。「幅位置合せ」は、位置決めユニット47によって支持部311上のセパレータ付き正極11に対する位置決め動作(押圧動作)が実行される期間を示している。幅位置合せの「戻り」は、位置決め動作の完了後、位置決めユニット47の押圧部50を元の位置に戻す動作が実行される期間を示している。「排出(積層)」は、押出ユニット321による押出動作(押し部材321aによる押出し)が実行される期間を示している。排出(積層)の「戻り」は、押出動作の完了後、押出ユニット321の押し部材321aを元の位置に戻す動作が実行される期間を示している。「サーボ移動距離」の「上下移動量」及び「循環移動量」は、それぞれ循環部材310が循環又は上下動する期間における移動量を示している。ここで、移動量の大きさは、一の支持部311が当該一の支持部311に隣接する支持部311(循環部材310の循環方向において一の支持部311の前方又は後方に位置する支持部)の位置に移動する距離を1として換算したものである。「上下移動量」は、正極搬送ユニット301の接地面(又は正極供給用コンベア303)に対する相対的な移動量であり、上方向の移動量をプラスの移動、下方向への移動をマイナスの移動として表現したものである。「循環移動量」は、セパレータ付き正極11を積層ユニット305へと搬送する方向(図32の紙面表側から見た時計回り方向)をプラスの移動として表現したものである。「供給側支持部移動量」は、正極供給用コンベア303の正極搬送ユニット301側の端部(出口)に対する支持部311の相対移動量を示している。「供給側支持部移動量=上下移動量+循環移動量」の関係が成立する。「排出側支持部移動量」は、スリット318に対する支持部311の相対移動量を示している。「排出側支持部移動量=上下移動量−循環移動量」の関係が成立する。
同様に、図41及び図42の負極側の表において、「供給」は、負極9が負極供給用コンベア304から負極搬送ユニット302の支持部314へと供給される期間を示している。「循環・上下動」は、循環部材313が循環又は上下動する期間を示している。「幅位置合せ」は、位置決めユニット48によって支持部314上の負極9に対する位置決め動作(押圧動作)が実行される期間を示している。幅位置合せの「戻り」は、位置決め動作の完了後、位置決めユニット48の押圧部54を元の位置に戻す動作が実行される期間を示している。「排出(積層)」は、押出ユニット322による押出動作(押し部材322aによる押出し)が実行される期間を示している。排出(積層)の「戻り」は、押出動作の完了後、押出ユニット322の押し部材322aを元の位置に戻す動作が実行される期間を示している。「サーボ移動距離」の「上下移動量」及び「循環移動量」は、それぞれ循環部材313が循環又は上下動する期間における移動量を示している。ここで、移動量の大きさは、一の支持部314が当該一の支持部314に隣接する支持部314(循環部材313の循環方向において一の支持部314の前方又は後方に位置する支持部)の位置に移動する距離を1として換算したものである。「上下移動量」は、負極搬送ユニット302の接地面(又は負極供給用コンベア304)に対する相対的な移動量であり、上方向の移動量をプラスの移動、下方向への移動をマイナスの移動として表現したものである。「循環移動量」は、負極9を積層ユニット305へと搬送する方向(図32の紙面表側から見た反時計回り方向)をプラスの移動として表現したものである。「供給側支持部移動量」は、負極供給用コンベア304の負極搬送ユニット302側の端部(出口)に対する支持部314の相対移動量を示している。「供給側支持部移動量=上下移動量+循環移動量」の関係が成立する。「排出側支持部移動量」は、スリット320に対する支持部314の相対移動量を示している。「排出側支持部移動量=上下移動量−循環移動量」の関係が成立する。
図41及び図42の「供給」及び「循環・上下動」に示されるように、セパレータ付き正極11又は負極9が支持部311又は支持部314に乗り移る間には、循環部材310又は循環部材313は停止する。また、積層ユニット305の積層部316へのセパレータ付き正極11の供給と負極9の供給とが交互に行われるように、電極の供給タイミングが調整される。
図41の時点Aにおいては、セパレータ付き正極11が積層位置に到着し(図43参照)、位置決めユニット47による位置決め動作が開始される。図41の時点Bにおいて、位置決めユニット47の位置決め動作が完了し、押圧部50が元の位置に戻ったことが確認された後に、押出ユニット321による押出動作が開始される(図44参照)。押出動作の間もセパレータ付き正極11が正極供給用コンベア303から正極搬送ユニット301へと供給されるが、循環部材310の循環及び上昇により、押出動作とセパレータ付き正極11の受取とを両立することができる。図41の時点Cにおいて、押出ユニット321による押出動作が完了する(図45参照)。その後、正極供給用コンベア303からのセパレータ付き正極11の受取が完了し、押出ユニット321の押し部材321aが元の位置に戻った後に、循環部材310の復帰運転が実行される。
図41の破線で囲んだ部分に示されるように、積層運転と復帰運転との組を1サイクルとした場合、正極供給用コンベア303から供給されるセパレータ付き正極11に欠品のない正常運転では、当該サイクルの前後における循環部材310の上下移動量は0(=0.5+0.5+0.5−1.5)となり、循環部材310の循環移動量は4(=0.5+0.5+0.5+2.5)となる。このようなサイクルが積層完了まで繰り返されることで、循環部材310の高さ位置は一定の高さに保たれる。すなわち、循環部材310は、積層運転時に上昇した分だけ復帰運転において下降することになる。
一方、図42に示されるように、期間T1において、負極供給用コンベア304から供給される負極9に欠品が生じた場合(すなわち、本来供給されるべき負極9が供給されなかった場合)、期間T1を含む期間Tにおいて、循環部材313は停止する。なお、コントローラ350は、電極供給センサ306,307からの検知信号に基づいて電極の欠品の有無を把握することができ、電極の欠品の有無に応じて循環部材313の動作を制御することができる。この場合、図42の破線で囲んだ部分に示されるように、上述した1サイクルの前後において、循環部材313の上下移動量は−0.5(=0.5+0.5−1.5)となり、循環部材313の循環移動量は3.5(=0.5+0.5+2.5)となる。従って、このような負極9の欠品が生じたサイクル以降のサイクルにおいては、循環部材313は、初期高さ位置(積層運転前の高さ位置)から移動量0.5だけ下降した高さ位置を新たな基準位置として、運転を継続することになる。
次に、図46〜図50を参照して、搬送部材の駆動(上下動及び循環)を実現するための機構の別例について説明する。ここでは、正極搬送ユニット301の支持構造及び駆動機構について説明する。負極搬送ユニット302についても同様の支持構造及び駆動機構を採用することができる。
図46及び図47は、正極搬送ユニット301の支持構造及び駆動機構の説明に必要な構成に着目した図であり、それ以外の構成については適宜図示を省略している。図46に示されるように、正極搬送ユニット301は、床面に設置された支持フレーム401と、支持フレーム401に対して上下方向に移動可能に支持される循環用フレーム402と、を備えている。循環用フレーム402には、上下方向に所定間隔だけ離間して配置された一対のスプロケット403,404(第1実施形態のローラ26aに対応する部材)が、回転可能に支持されている。スプロケット403,404には、外周面に複数の支持部311が配置された循環部材310が巻き掛けられている。
また、図47に示されるように、正極搬送ユニット301は、支持フレーム401又は床面に対して固定されたモータ405,406を備えている。モータ405,406の駆動軸には、駆動ギヤ405a,406aが固定されている。スプロケット403,404は、その回転軸の一端に駆動ギヤ407,408を有する。駆動ギヤ405a,406a,407,408には、タイミングベルト409が巻き掛けられている。駆動ギヤ405a,406a,407,408に加えて、支持フレーム401に支持されたガイドローラ410(図47の例では4つのガイドローラ410)により、タイミングベルト409の循環経路は、上下左右に延びる略十文字状をなす。
図48に示されるように、駆動ギヤ405a,406aを等速度で回転させた場合、循環用フレーム402及び循環部材310の全体は、支持フレーム401又は床面に対して上下に移動することなく、循環部材310及びタイミングベルト409が循環動作のみを行うことになる。
一方、図49に示されるように、駆動ギヤ405aのみを回転させた場合、正極供給用コンベア303側では循環部材310は時計回りに循環する一方で、積層部316側では循環部材310は停止している。このため、タイミングベルト409は、正極供給用コンベア303側の部分のみが上昇することになる。このようなタイミングベルト409の動作に伴い、循環用フレーム402は、支持フレーム401又は床面に対して上昇することになる。これに伴い、スプロケット403,404を介して循環用フレーム402に支持されている循環部材310の基準高さ位置(例えば、循環部材310の上下方向における中央位置)も上昇することになる。また、図50に示されるように、駆動ギヤ406aのみを回転させた場合、循環部材310の積層部316側は時計回りに循環する一方で、正極供給用コンベア303側では停止している。このため、タイミングベルト409は、積層ユニット305側(図50の右側部分)のみが下降することになる。このようなタイミングベルト409の動作に伴い、循環用フレーム402は、支持フレーム401又は床面に対して下降することになる。これに伴い、循環部材310の基準高さ位置も下降することになる。さらに、駆動ギヤ405aの回転速度と駆動ギヤ406aの回転速度を異ならせて、駆動ギヤ405a,406aの両方を回転させた場合、回転速度の差に応じて循環用フレーム402を上昇又は下降させ、循環部材310の基準高さ位置を上昇又は下降させることができる。従って、駆動ギヤ405a,406aの回転速度を調整することにより、上述した準備運転、積層運転、及び復帰運転を実現することができる。すなわち、コントローラ350(図32参照)は、実行したい循環部材310の運転形態に応じて、駆動ギヤ405a,406aの回転速度を調整することで、準備運転、積層運転、及び復帰運転を実現することができる。
以上述べた電極積層装置300は、正極供給用コンベア303(搬送装置)及び負極供給用コンベア304(搬送装置)により供給される電極(セパレータ付き正極11及び負極9)を積層し、積層体(各積層部316上に形成される電極積層体)を形成する装置である。電極積層装置300は、支持部311,314(電極支持部)と、循環部材310,313と、積層ユニット305と、押出ユニット321,322と、コントローラ350(制御部)と、を備える。支持部311,314は、正極供給用コンベア303及び負極供給用コンベア304により供給されるセパレータ付き正極11及び負極9を受け取り、セパレータ付き正極11及び負極9を支持する。循環部材310,313は、上下方向に延びるループ状をなし、その外周面に支持部311,314が取り付けられる。積層ユニット305は、循環部材310を挟んで正極供給用コンベア303の反対側に配置されるとともに、循環部材313を挟んで負極供給用コンベア304の反対側に配置され、セパレータ付き正極11及び負極9が積層される複数段の積層部316を有する。押出ユニット321は、複数の支持部311に支持されたセパレータ付き正極11を複数段の積層部316に向けて同時に押し出す。押出ユニット322は、複数の支持部314に支持された負極9を複数段の積層部316に向けて同時に押し出す。コントローラ350は、循環部材310,313の循環及び昇降、並びに押出ユニット321,322の動作(すなわち、押し部材321a,321bの動作)を制御する。コントローラ350は、正極供給用コンベア303によるセパレータ付き正極11の搬送速度よりも遅い速度で、積層部316に向けてセパレータ付き正極11を押し出すように、押出ユニット321の動作を制御する。また、コントローラ350は、負極供給用コンベア304による負極9の搬送速度よりも遅い速度で、積層部316に向けて負極9を押し出すように、押出ユニット322の動作を制御する。
以上のような電極積層装置300では、支持部311,314に対して順次供給される電極(セパレータ付き正極11又は負極9)は、それぞれ異なる積層部316に同時に押し出されて積層される。このように、順次供給される電極の数よりも多くの電極を同時に押し出して積層することにより、電極を積層部316に押し出す際の排出速度を、搬送装置(正極供給用コンベア303又は負極供給用コンベア304)による電極の搬送速度(供給速度)よりも遅くすることができる。これにより、電極が積層されるペースの低下を防ぎつつ、電極積層時における電極の位置ずれを抑制できる。従って、電極積層装置300によれば、装置の大型化を抑えながら、積層速度の高速化を達成できる。
また、電極の排出速度に対し、搬送装置(正極供給用コンベア303又は負極供給用コンベア304)による電極の搬送速度はより高速となる。このため、高速で搬送された電極は、支持部311,314上における停止時に、位置のバラツキが生じる。多数の電極が、位置のばらついた状態で積層されてしまうと、負極活物質層等の表面の摩擦により、積層後に揃え直すことは難しい。しかし、支持部311,314上での電極は、積層部316で多数の電極が積層される前の個片の状態であるので、循環部材310,313による反転、及び位置決めユニット47の作用により、容易に位置が修正される。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、正極8が袋状のセパレータ10に包まれた状態であるセパレータ付き正極11と負極9とが交互に積層部に積層されるが、特にその形態には限られず、正極と負極が袋状のセパレータに包まれた状態であるセパレータ付き負極とが交互に積層部に積層されてもよい。
さらに、上記実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池であるが、本発明は、特にリチウムイオン二次電池には限られず、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置における電極の積層にも適用可能である。
また、第1〜第3、及び第5実施形態の電極積層装置(電極積層装置20,80,90,200)及びそれらの変形例においても、第6実施形態の電極積層装置300における制御(図34、図38〜40)が採用され得る。この場合、第6実施形態の電極積層装置300における制御は、各実施形態の電極積層装置及びそれらの変形例の構成に応じて適宜変更され得る。
例えば、第2実施形態の電極積層装置80では、位置決めユニット81,82のガイド板83A,83Bによって電極の位置決めを行っているので、第6実施形態の電極積層装置300の制御のうち、位置決めに関する制御(図38、及びステップS402,S502,S507)は省略され得る。
また、第5実施形態の電極積層装置200では、1台の搬送ユニットが用いられるので、第6実施形態の電極積層装置300の制御のうち、一方の搬送ユニットの制御が用いられ得る。例えば、押出ユニットの制御としては、図39の制御が用いられ得る。この場合、ステップS403は省略される。
また、第1〜第4、及び第6実施形態では、電極(セパレータ付き正極11又は負極9)が1枚ずつ搬送される形態(すなわち、1枚の電極が搬送単位となる形態)について説明したが、複数の電極からなる電極ユニットが1つの搬送単位とされてもよい。すなわち、ベルトコンベア等の搬送装置により供給される電極は、1枚ずつ供給されてもよいし、予め複数枚まとめてユニット化された状態で供給されてもよい。例えば、第1実施形態において、正極供給用コンベア23は、2枚の負極9の間に1枚のセパレータ付き正極11が挟まれた構成の電極ユニットを1つの搬送単位として搬送するように構成されてもよい。また、負極供給用コンベア24は、2枚のセパレータ付き正極11の間に1枚の負極9が挟まれた構成の電極ユニットを1つの搬送単位として搬送するように構成されてもよい。この場合、1回の積層動作(押出ユニット41又は押出ユニット42による1回の押出動作)により、1つの積層部33に対して3枚の電極が積層されることになる。このように、複数の電極からなる電極ユニットを搬送単位とした場合、電極1枚を搬送単位とする場合と比較して、積層効率を向上させることができる。なお、この場合、位置決めユニット47,48の押し板51,55のそれぞれには、セパレータ付き正極11のタブ14b及び負極9のタブ16bの両方を逃すためのスリットが設けられればよい。