本実施例の給湯システム10を、図1、図2を参照して説明する。図1は給湯システム10の系統図であり、水及び熱媒の流れを矢印で示している。図1に示すように、給湯システム10は、タンクユニット20と、ヒートポンプユニット40と、ガス熱源ユニット50を備えている。給湯システム10は、給湯栓80と浴槽72に給湯する。本明細書では、浴槽72に給湯することを湯はりという。また、給湯システム10は、浴槽72に貯められた浴槽水を追い焚きする。
ヒートポンプユニット40では、圧縮機41の吐出側Aと四方弁42と第1熱交換器43の熱媒流路43aと膨張弁44と第2熱交換器45と四方弁42と圧縮機41の戻り側Bが、熱媒配管46によって順に接続されており、熱媒がこの順に循環する。第1熱交換器43は、熱媒流路43aと循環水流路43bとを備えている。第2熱交換器45の近傍にはファン45aが設置されている。第2熱交換器45は、ファン45aによって送られる外気と熱媒の間で熱交換を行う。圧縮機41の吐出側Aと四方弁42との間の熱媒配管46と、膨張弁44と第2熱交換器45との間の熱媒配管46の間に、除霜経路47が接続されている。除霜経路47には、除霜弁47aが設けられている。
第1熱交換器43の循環水流路43bの入口側には循環往路接続経路48が接続されており、出口側には循環復路接続経路49が接続されている。循環往路接続経路48には、入口側サーミスタ48aが設けられており、循環復路接続経路49には出口側サーミスタ49aが設けられている。入口側サーミスタ48aは、循環水流路43bに流入する循環水の温度を検出し、出口側サーミスタ49aは、循環水流路43bから流出する循環水の温度を検出する。また、循環往路接続経路48には、循環ポンプ48bが設けられている。
ヒートポンプユニット40は、コントローラ40aを備えている。コントローラ40aは、CPU、ROM、RAM等を備えている。コントローラ40aには、入口側サーミスタ48a及び出口側サーミスタ49aから、検出信号が入力される。また、コントローラ40aは、圧縮機41、四方弁42、膨張弁44、ファン45a、循環ポンプ48bの動作を制御する。
タンクユニット20は、貯湯槽21と混合器24とを備えている。貯湯槽21の底部には、貯湯槽21に水道水を給水する給水経路22が接続されている。給水経路22の水道水入口22aの近傍には、減圧弁23が設けられている。給水経路22には、減圧弁23の下流側に混合器24の混合用給水経路26が接続されている。減圧弁23は、貯湯槽21と混合器24への給水圧力を調整する。貯湯槽21内の温水が減少すると、減圧弁23の下流側圧力が低下する。減圧弁23は、下流側圧力が低下すると開き、その圧力を所定の調圧値に維持しようとする。このため、貯湯槽21内の温水が減少したり、混合器24の混合弁24aが開いたりすると、これらに水道水が給水される。
給水経路22において、混合用給水経路26の接続部よりも下流側には、排水経路31が接続されている。排水経路31の途中には、排水弁32が設けられている。排水弁32は手動で開閉することができる。排水弁32を開くと、貯湯槽21内の水が排水経路31を通じて外部に排水される。
貯湯槽21の底部には、循環往路33の一端が接続されており、貯湯槽21の上部には、循環復路34の一端が接続されている。循環往路33の他端は、ヒートポンプユニット40の循環往路接続経路48に接続されており、循環復路34の他端は、循環復路接続経路49に接続されている。循環往路33には、往路サーミスタ36が設けられている。往路サーミスタ36は、貯湯槽21から循環往路33に流出した水の温度を検出する。
ヒートポンプユニット40の循環ポンプ48bが駆動すると、貯湯槽21の下部から循環往路33に水が吸出され、この水が循環往路接続経路48、循環水流路43b及び循環復路接続経路49を流れて、循環復路34を通じて貯湯槽21の上部に戻される。このようにして、貯湯槽21とヒートポンプユニット40との間の循環経路が構成されている。
循環復路34の途中には、空気抜き経路37と圧力開放経路38が接続されている。空気抜き経路37には、空気抜き弁37aが設けられている。圧力開放経路38には、リリーフ弁38aが設けられている。減圧弁23の調圧が不能になった場合には、リリーフ弁38aが開き、貯湯槽21内の圧力が耐圧可能な圧力を超えるのを防止する。貯湯槽21では、その上端から所定量(例えば30リットル)の箇所に上部サーミスタ39が取り付けられている。上部サーミスタ39は、貯湯槽21上部の水温を検出する。循環復路34の途中には、循環復路34内での逆流、即ち、循環復路34内の水がタンクユニット20側からヒートポンプユニット40側に向かう流れを防止する逆止弁34aが配置されている。空気抜き経路37と圧力開放経路38とは、逆止弁34aよりもヒートポンプユニット40側に配置されている。
混合器24は、温水経路25と混合用給水経路26と第1混合経路27と混合弁24aを備えている。温水経路25は、貯湯槽21の上部に接続されている。温水経路25には、温水流量センサ25bと温水サーミスタ25cが設けられている。温水流量センサ25b及び温水サーミスタ25cは、温水経路25を流れる水の毎分の流量と温度を検出する。混合用給水経路26は、上記したように給水経路22に接続されている。混合用給水経路26には、給水流量センサ26bと給水サーミスタ26cとが設けられている。給水流量センサ26bと給水サーミスタ26cは、混合用給水経路26を流れる水道水の毎分の流量と温度を検出する。
温水経路25と混合用給水経路26とは、混合弁24aにおいて合流し、第1混合経路27に接続されている。混合弁24aは、弁開度を調整することによって、温水経路25及び混合用給水経路26から第1混合経路27に流入する水や気体の流量を調整する。混合弁24aは、全開状態と半開状態と全閉状態とに切替可能である。混合弁24aが全開状態では、混合用給水経路26が全開で第1混合経路27に連通されるとともに、温水経路25は閉鎖され、第1混合経路27から遮断される。一方、混合弁24aが全閉状態では、混合用給水経路26は閉鎖され、第1混合経路27から遮断されるとともに、温水経路25が全開で第1混合経路27と連通される。混合弁24aが半開状態では、混合用給水経路26が半開で第1混合経路27に連通されるとともに、温水経路25が半開で第1混合経路27と連通される。そして、混合弁24aが半開状態では、混合弁24aによって、温水経路25の流路面積と混合用給水経路26の流路面積との和に対する混合用給水経路26の流路面積の割合(以下では「混合弁24aの開度」と呼ぶ)が0.5となるように調整される。なお、変形例では、混合弁24aは、温水経路25の流路面積と混合用給水経路26の流路面積との和に対する温水経路25の流路面積の割合が0から1の間の任意の値に変化するように調整可能であってもよい。第1混合経路27には、第1混合経路27を流れる混合水の温度を検出する混合サーミスタ27aを備えている。
タンクユニット20は、さらに第1給湯経路29を備えている。第1給湯経路29には、給湯サーミスタ29aが設けられている。第1給湯経路29の先端には、給湯栓80が接続されている。給湯栓80は、浴室、洗面所、台所等に配置されている(図1では、これら複数の給湯栓80を1つで代表して示している)。第1混合経路27の途中と第1給湯経路29の途中は、給湯バイパス経路28によって接続されている。給湯バイパス経路28には、バイパス制御弁28aが設けられている。バイパス制御弁28aを開いた状態では、第1混合経路27を流れた混合水が給湯バイパス経路28から第1給湯経路29へ流れ、バイパス制御弁28aを閉じた状態では、第1混合経路27を流れた混合水が、後記するガス熱源ユニット50の第2混合経路52へ流れる。
タンクユニット20は、コントローラ20aを備えている。コントローラ20aは、CPU、ROM、RAM等を備えている。コントローラ20aには、温水サーミスタ25c、給水サーミスタ26c、混合サーミスタ27a、給湯サーミスタ29a、往路サーミスタ36、上部サーミスタ39、温水流量センサ25b、給水流量センサ26bから、検出信号が入力される。また、コントローラ20aは、混合弁24a、バイパス制御弁28a、排水弁32、空気抜き弁37aの動作を制御する。
ガス熱源ユニット50は、給湯器51で構成されている。給湯器51は、給湯用熱交換器53と、給湯用バーナ54と、追い焚き用熱交換器76と、追い焚き用バーナ78等を備えている。給湯用熱交換器53の入口側は第2混合経路52を介して第1混合経路27に接続されている。給湯用熱交換器53には、第2混合経路52を通じて混合水が流入する。第2混合経路52には、入水サーミスタ52aと、給湯水量センサ52bと、水量サーボ52cとが設けられている。入水サーミスタ52aと給湯水量センサ52bは、それぞれ第2混合経路52を流れる水の温度及び毎分の流量を検出する。水量サーボ52cは、第2混合経路52を流れる水の流量を調整する。給湯用バーナ54はガス燃焼式であって、給湯用熱交換器53を加熱する。給湯用熱交換器53の出口側は第2給湯経路55を介して第1給湯経路29に接続されている。給湯用熱交換器53を流れた温水は、第2給湯経路55及び第1給湯経路29を通じて給湯栓80から給湯される。第2給湯経路55には、給湯用熱交換器53の出口近傍に、缶体サーミスタ56が設けられており、その下流側に出湯サーミスタ57が設けられている。出湯サーミスタ57は、給湯用熱交換器53の近傍に配置されている。
第2混合経路52における水量サーボ52cの下流側と、第2給湯経路55の缶体サーミスタ56と出湯サーミスタ57の間には、熱源機バイパス経路58が接続されている。第2混合経路52と熱源機バイパス経路58との接続部には、熱源機バイパス制御弁59が設けられている。熱源機バイパス制御弁59の開度を調整することによって、第2混合経路52を流れる水の一部が熱源機バイパス経路58に流れ、その流量が調整される。
第2給湯経路55の出湯サーミスタ57の下流側には、湯はり経路70の一端が接続されている。湯はり経路70の他端は、風呂循環経路71に接続されている。湯はり経路70には、湯はり弁70aと湯はり量センサ70bと逆止弁70cとが設けられている。風呂循環経路71は、浴槽72から湯はり経路70との合流点まで伸びている第1流路76aと、湯はり経路70との合流点から追い焚き用熱交換器76を経て浴槽72にまで伸びている第2流路76bを備えている。風呂循環経路71は、浴槽72と追い焚き用熱交換器76との間で浴槽水を循環させるものである。風呂循環経路71には、水圧センサ79と、風呂ポンプ73と、水流スイッチ74と、風呂往きサーミスタ75と、追い焚き用熱交換器76と、風呂戻りサーミスタ77とが順に設けられている。
湯はり弁70aを開くと、第2給湯経路55を流れる温水が、破線矢印に示すように、第1流路76aと第2流路76bの両者から、浴槽72に供給される。風呂ポンプ73は、運転していないと、温水が逆流するのを許容する。逆止弁70cは、湯はり経路70内で逆流、即ち、湯はり経路70内の水が第2給湯経路55に向かって流れることを防止する。
風呂ポンプ73を駆動すると、浴槽72内の湯が実線矢印に示すように、風呂循環経路71を流れ、追い焚き用熱交換器76を流れる際に、ガス燃焼式の追い焚き用バーナ78によって加熱される。風呂往きサーミスタ75は、浴槽72から風呂循環経路71に流入した浴槽水の温度を検出するものであり、風呂戻りサーミスタ77は、追い焚き用熱交換器76で加熱された後の浴槽水の温度を検出するものである。
ガス熱源ユニット50は、コントローラ50aを備えている。コントローラ50aは、CPU、ROM、RAM等を備えている。コントローラ50aには、入水サーミスタ52a、缶体サーミスタ56、出湯サーミスタ57、風呂往きサーミスタ75、風呂戻りサーミスタ77、給湯水量センサ52b、湯はり量センサ70b、水流スイッチ74、水圧センサ79から、検出信号が入力される。また、コントローラ50aは、水量サーボ52c、熱源機バイパス制御弁59、湯はり弁70a、風呂ポンプ73、給湯用バーナ54、追い焚き用バーナ78の動作を制御する。
ヒートポンプユニット40のコントローラ40aは、タンクユニット20のコントローラ20aと通信可能である。タンクユニット20のコントローラ20aは、ガス熱源ユニット50のコントローラ50aと通信可能である。ガス熱源ユニット50のコントローラ50aは、リモコン50bと通信可能である。リモコン50bには、給湯システム10を操作するためのスイッチやボタン、給湯システム10の動作状態を表示する液晶表示器等が設けられており、リモコン50bで設定された情報がガス熱源ユニット50に入力される。利用者は、リモコン50bを利用して、給湯設定温度、湯はり設定温度、湯はり設定水位等を設定することができる。また、リモコン50bにはタイマが内蔵されており、現在時刻の情報を保持することができる。リモコン50bに現在時刻が設定されると、沸き上げ運転を深夜の時間帯に行ったり、湯はり運転を所望の時刻に行ったりする、タイマ運転を行うことができる。
給湯システム10では、以下に説明するように、沸き上げ運転、除霜運転、給湯運転、湯はり運転、追い焚き運転等を行うことができる。
(沸き上げ運転)
沸き上げ運転では、貯湯槽21に貯えられた水をヒートポンプユニット40により加熱する。ヒートポンプユニット40では、圧縮機41で圧縮されて昇温した熱媒が、第1熱交換器43の熱媒流路43aを流れる際に循環水流路43bを流れる循環水を加熱する。熱媒流路43aから流出した熱媒は、膨張弁44で膨張して冷却され、第2熱交換器45を流れる際に外気から吸熱して昇温する。昇温した熱媒が圧縮機41に流入して再び圧縮されることによってさらに昇温する。さらに、ヒートポンプユニット40では、循環ポンプ48bを駆動する。
循環ポンプ48bの駆動により、タンクユニット20では、貯湯槽21内の水が貯湯槽21の底部から循環往路33に吸出される。循環往路33に吸出された水は、ヒートポンプユニット40の第1熱交換器43の循環水流路43bを通過する際に加熱されて温度上昇する。温度上昇した温水は、循環復路34を流れて貯湯槽21の上部に戻される。この循環が行われることによって、貯湯槽21では、冷水層の上部に高温層が積層した温度成層が形成される。貯湯槽21に高温の温水が戻され続けると、高温層の厚さ(深さ)は次第に大きくなり、完全に蓄熱された状態では、貯湯槽21の全体に高温の温水が貯まった状態になる。貯湯槽21に完全に蓄熱が行われていなくても、温度成層が形成されることにより、貯湯槽21の上部に接続されている温水経路25には、高温の温水が送り出される。
(除霜運転)
除霜運転では、ヒートポンプユニット40の第2熱交換器45を除霜する。破線矢印に示すように、一時的に除霜弁47aが開いて圧縮機41から吐出した高温の熱媒が、除霜経路47を通じて第2熱交換器45に流れるようにする。第2熱交換器45に高温の熱媒が流れることで、第2熱交換器45が除霜される。
(給湯運転)
温水流量センサ25bの検出流量及び給水流量センサ26bの検出流量の合計が所定値を超えると、給湯栓80または浴槽72への給湯が開始されたと判断して、給湯システム10は蓄熱給湯運転または加熱給湯運転を行う。貯湯槽21の上部サーミスタ39の検出水温が、リモコン50bで設定されている給湯設定温度よりも一定温度だけ高い基準温度以上である場合には、蓄熱給湯運転が行われる。蓄熱給湯運転では、バイパス制御弁28aを開状態とし、水量サーボ52cを全閉状態とする。また、混合サーミスタ27aで検出される水温が給湯設定温度となるように、混合弁24aの開度を調整する。給湯設定温度に調整された混合水は、第1混合経路27を流れた後に、給湯バイパス経路28及び第1給湯経路29を通じて給湯栓80から給湯される。
一方、上部サーミスタ39の検出水温が基準温度未満である場合には、加熱給湯運転が行われる。加熱給湯運転では、バイパス制御弁28aを全閉状態とし、水量サーボ52cを所定開度に設定する。また、混合サーミスタ27aで検出される水温が給湯設定温度よりも給湯用熱交換器53による温度上昇幅だけ低い温度となるように、混合弁24aの開度を調整する。給湯設定温度よりも低い温度に調整された混合水は、第1混合経路27を流れ、ガス熱源ユニット50の第2混合経路52を流れて給湯用熱交換器53に流入し、給湯用バーナ54により加熱される。給湯用熱交換器53では、給湯用熱交換器53の出口に設けられている缶体サーミスタ56で検出される水温が60℃以上となるように制御される。これにより、配管に結露水が発生することを抑制することができる。給湯設定温度が60℃よりも低い場合には、出湯サーミスタ57で検出される水温が給湯設定温度となるように、熱源機バイパス制御弁59の開度が制御される。第2混合経路52を流れる混合水の一部が熱源機バイパス経路58を通じて第2給湯経路55に流入し、給湯用熱交換器53を流れた60℃以上の水と給湯用熱交換器53を流れていない低温の水とが混合されて給湯設定温度の温水となる。このようにして、給湯設定温度に調温された温水が、第2給湯経路55と第1給湯経路29を通じて給湯栓80から給湯される。これにより、蓄熱給湯運転中に貯湯槽21に貯湯しておいた温水を消費しつくした場合にも、給湯設定温度に調温された温水を給湯し続けることができる。
(湯はり運転)
浴槽72に湯はり運転する場合は、給湯設定温度を湯はり設定温度に読み代えて、上記の加熱給湯運転を実施する。リモコン50bに浴槽72の湯はり要求が入力されると、湯はり弁70aを開いて浴槽72に給湯する。第2給湯経路55から湯はり経路70を流れた湯は、破線矢印に示すように、第1流路76aと第2流路76bを通じて浴槽72に給湯される。リモコン50bで設定されている湯はり設定温度に応じた湯が浴槽72に給湯される。
(追い焚き運転)
浴槽72に貯められている浴槽水の温度が低下すれば、風呂ポンプ73を運転し、追い焚き用バーナ78を点火する。この追い焚き運転によって、浴槽72の浴槽水が追い焚きされて、湯はり設定温度に復帰する。
(試運転)
給湯システム10を家屋へ設置する際には、ヒートポンプユニット40、タンクユニット20及びガス熱源ユニット50を家屋のレイアウトに応じた適切な設置場所へ据え付けた後、ユニット間の配管を接続し、各ユニットへの電力供給線の接続と、ガス熱源ユニット50へのガス供給線の接続を行う。そして、以下に説明するような、貯水運転、ヒートポンプ試運転、給湯試運転、風呂試運転等の試運転を行って、異常がないことが確認されると、利用者は給湯システム10を通常通りに使用することができる。以下では、給湯システム10で実施する試運転について説明する。なお、試運転は、リモコン50bの試運転開始スイッチが操作されると開始される。
(貯水運転)
試運転では、まず、貯水運転が実行される。貯水運転では、水道から供給される水を用いて、貯湯槽21に水を満たす。貯水運転時に実行されるタンクユニット20のコントローラ20aの処理を、図2を参照して説明する。
試運転開始スイッチが操作されると、ステップS2において、コントローラ20aは、混合弁24aを半開状態とする。これにより、混合用給水経路26が第1混合経路27に連通されるとともに、温水経路25が第1混合経路27と連通される。また、コントローラ20aは、バイパス制御弁28a、排水弁32及び空気抜き弁37aを閉じる。また、コントローラ50aは、水量サーボ52cを全開状態にし、熱源機バイパス制御弁59を全閉状態にする。これにより、給湯システム10では、水道から貯湯槽21への経路、水道から混合弁24aへの経路、貯湯槽21からガス熱源ユニット50への経路が連通されている。なお、コントローラ40aは、循環ポンプ48bを停止させる。これにより、ヒートポンプユニット40には、水が循環しない。
次いで、ステップS4では、コントローラ20aは、コントローラ50aに湯はり弁70aを開かせるための信号を送信する。これにより、コントローラ50aは、湯はり弁70aを開き、ガス熱源ユニット50から浴槽72への経路が連通される。この結果、水道から貯湯槽21に水が供給され、貯湯槽21内の気体は、温水経路25、第1混合経路27、第2混合経路52、給湯用熱交換器53、第2給湯経路55、湯はり経路70を通過して、浴槽72に排気される。なお、コントローラ20aは、給水流量センサ25bによって水が検出されると、計時を開始する。また、コントローラ20aは、給水流量センサ25bの検出流量に応じた計時処理を実行する。さらに、コントローラ20aは、温水流量センサ26bの検出流量に応じた計時処理を実行する。以下では、貯湯槽21内の気体が通過する経路を「排気経路」と呼ぶ。混合弁24aは、半開状態に維持されているため、排気経路には、水道から混合用給水経路26を介して水が導入される。なお、混合弁24aの半開状態は、混合弁24aの開度が0.5となるように調整されている。
次いで、ステップS6では、コントローラ20aは、温水流量センサ25bの検出流量が第1所定量以上であり、かつ、給水流量センサ26bの検出流量が第2所定量以上であるか否かを判断する。このとき、コントローラ20aは、温水流量センサ25bの検出流量を、コントローラ50aから取得する。なお、第1所定量は、第2所定量よりも大きい。第1所定量及び第2所定量は、センサ25b、26bの性能によって変化する値であり、例えば、第1所定量は毎分3リットルであり、第2所定量は毎分2リットルである。
温水流量センサ25bの検出流量が第1所定量以上であり、かつ、給水流量センサ26bの検出流量が第2所定量以上である場合(S6でYES)、ステップS16に進む。一方、温水流量センサ25bの検出流量が第1所定量未満であるか、あるいは、給水流量センサ26bの検出流量が第2所定量未満である場合(S6でNO)、ステップS8に進む。なお、S6でYESの場合、貯湯槽21に、ある程度水が貯留されている。
ステップS8では、コントローラ20aは、給水流量センサ26bの検出流量が、第3所定量未満である状態が、第2所定期間継続されているか否かを判断する。第3所定量は、第2所定量以下であり、例えば、毎分1リットルである。第2所定期間は、後述するステップS14が実行されたか否か、即ち、混合弁24aが半開状態から全閉状態に移行されたか否かによって変化する。ステップS14が実行される前のステップS8では、第1所定期間は、例えば60分であり、ステップS14、即ち、混合弁24aを全閉状態にするステップが実行された後のステップS8では、第2所定期間は、ステップS14が実行される前のステップS8の第2所定期間よりも短く、例えば10分である。
給水流量センサ26bの検出流量が、第3所定量未満である状態が、第2所定期間継続されていると判断される場合(ステップS8でYES)とは、貯水運転が長期間に亘って実行されているにも関わらず、貯湯槽21が水で満たされない場合である。ステップS8でYESの場合、ステップS10において、コントローラ20aは、リモコン50bの液晶表示器に、試運転が正常に実行されないことを示すエラーを報知させて、試運転を終了する。この構成によれば、試運転を実行する作業者は、試運転が正常に実行されていないことを知ることができる。
一方、給水流量センサ26bの検出流量が、第3所定量未満である状態が、第2所定期間継続されていないと判断される場合(ステップS8でNO)、ステップS12において、コントローラ20aは、給水流量センサ26bの検出流量が、第3所定量以上である状態が、第1所定期間継続されているか否かを判断する。第1所定期間は、例えば10分であり、貯湯槽21の容量に応じて変化してもよい。給水流量センサ26bが、第3所定量以上である状態が、第1所定期間継続されている場合(ステップS12でYES)とは、例えば水道からの貯湯槽21に流れる水量が少ないために、混合弁24aを半開状態にして、水道からの水の一部が貯湯槽21に供給されない状態では、貯湯槽21に十分に貯水できない場合である。ステップS12でYESの場合、ステップS14において、混合弁24aを、全閉状態にして、ステップS15に進む。一方、給水流量センサ26bの検出流量が、第3所定量以上である状態が、第1所定期間継続されていない場合(ステップS12でNO)、ステップS14をスキップして、ステップS6に戻る。
ステップS15では、コントローラ20aは、温水流量センサ25bの検出流量が第1所定量以上であるか否かを判断する。温水流量センサ25bの検出流量が第1所定量以上である場合(S15でYES)、ステップS16に進む。一方、温水流量センサ25bの検出流量が第1所定量以上でない場合(S15でNO)、ステップS8に戻る。なお、温水流量センサ25bの検出流量が第1所定量以上である場合とは、貯湯槽21に、ある程度水が貯留されている場合である。
ステップS6でYESの場合またはステップS15でYESの場合に実行されるステップS16では、コントローラ20aは、コントローラ40aに、循環ポンプ48bを駆動させる。即ち、貯湯槽21に水が満たされる前に、循環ポンプ48bを駆動させる。このとき、コントローラ20aは、タンクユニット20の空気抜き弁37aを開く。これにより、循環往路33、循環往路接続経路48、循環水流路43b、循環復路接続経路49、循環復路34に水が流入する。この結果、ヒートポンプユニット40に含まれる気体が空気抜き弁37aから排気される。
次いで、ステップS18では、コントローラ20aは、給湯システム10に配置されている全ての水量センサ、即ち、温水流量センサ25b、給水流量センサ26b、給湯水量センサ52b及び湯はり量センサ70bの検出流量が安定しているか否かを判断する。具体的には、コントローラ20aは、30秒間の各水量センサ25b、26b、52b、70bの検出流量の最大値と最小値の差が、所定値、例えば、毎分2リットル以下である場合、各水量センサ25b、26b、52b、70bの検出流量は安定していると判断して(ステップS18でYES)、ステップS20に進む。一方、水量センサ25b、26b、52b、70bの検出流量の最大値と最小値の差の何れかが、毎分2リットルよりも大きいである場合、各水量センサ25b、26b、52b、70bの検出流量は安定していないと判断する(ステップS18でNO)。各水量センサ25b、26b、52b、70bの検出流量の何れかが安定していない場合とは、安定してないセンサが配置されている経路中に、気体が残存する可能性が高い。ステップS18でNOの場合、ステップS8に進む。
ステップS20では、コントローラ20aは、温水流量センサ25bの検出流量が第4所定量で、第3所定期間継続されているか否かを判断する。第4所定量は、例えば毎分3リットルであり、第1所定量と等しくてもよい。第3所定期間は、例えば30秒である。温水流量センサ25bの検出流量が第4所定量で、第3所定期間継続されている場合(ステップS20でYES)とは、貯湯槽21に水が満たされ、貯湯槽21から安定的に温水経路25に水が供給されている場合である。この場合、S22に進む。一方、温水流量センサ25bの検出流量が第4所定量で、第3所定期間継続されていない場合(ステップS20でNO)、S8に進む。
ステップS22では、コントローラ20aは、温水流量センサ25bの検出流量に給水流量センサ26bの検出流量を加算し、給湯水量センサ52bの検出流量を減算した値(以下では「算出値」と呼ぶ)が、第5所定量以下で、第4所定期間継続されているか否かを判断する。第5所定量は、例えば毎分4リットルである。第4所定期間は、例えば30秒であり、第3所定期間と等しくてもよい。算出値が第5所定量以下で、第4所定期間継続されている場合とは、タンクユニット20内を流れる水量と、ガス熱源ユニット50を通過する水量と、がほぼ等しくなっている場合、即ち、タンクユニット20からガス熱源ユニット50に供給される気体がほぼ無くなった場合である。この場合、S24に進む。一方、温水流量センサ25bの検出流量が第4所定量で、第3所定期間継続されていない場合(ステップS22でNO)、S8に進む。
ステップS24では、コントローラ20aは、温水流量センサ25bの検出流量が、給水流量センサ26bの検出流量に所定割合を乗算した値(以下では「乗算値」と呼ぶ)以上で、第5所定期間継続されているか否かを判断する。所定割合は、例えば0.6である。第5所定期間は、例えば30秒であり、第4所定期間と等しくてもよい。温水流量センサ25bの検出流量が乗算値以上で、第5所定期間継続されている場合(ステップS24でYES)とは、貯湯槽21から湯水経路25に供給される水量と、水道から混合用給水経路26に供給される水量と、がほぼ等しくなる場合、即ち、貯湯槽21に水が満たされている場合である。ステップS24でYESの場合、貯水運転を終了する。この構成によれば、貯湯槽21を適切に水で満たすことができる。一方、温水流量センサ25bの検出流量が乗算値以上で、第5所定期間継続されていない場合(ステップS24でNO)、S8に進む。
(ヒートポンプ試運転)
貯水運転が終了すると、ヒートポンプ試運転が実行される。貯水運転中に、ステップS16において、循環ポンプ48bが駆動され、ヒートポンプユニット40内の気体を、空気抜き弁37aから排気する排気処理が開始されている。排気処理が完了すると、通常運転における沸き上げ運転と同様に、貯湯槽21に貯えられた水を循環させて、ヒートポンプユニット40により加熱する。沸き上げ試運転では、ヒートポンプユニット40による貯湯槽21への蓄熱が正常に行われるか否かを判断する。
(給湯試運転)
給湯試運転では、通常運転における蓄熱給湯試運転と同様に、貯湯槽21に貯えられた温水を混合器24で給湯設定温度に調温して、給湯栓80に給湯する。給湯試運転では、混合器24による温度調整が正常に行われるか否かを判断する。
(風呂試運転)
風呂試運転では、通常運転における湯はり運転、及び追い焚き運転と同様の運転を行う。風呂試運転では、浴槽72への給湯設定温度での湯はりや、浴槽72の浴槽水の追い焚きが、正常に行われるか否かを判断する。また、風呂試運転においては、湯はり量センサ70bの検出流量を積算して得られる浴槽72への供給水量と、水圧センサ79の検出水圧から算出される浴槽72の水位から、浴槽72の大きさが把握される。
給湯システム10では、貯水試運転の際に、混合弁24aが半開状態に維持されている。このため、排気経路内には、気体と水とが混在する。この結果、湯はり経路70に配置されている逆止弁70cに、気体のみが通過する状況を回避することができる。仮に、気体のみが逆止弁70cを通過する構成では、逆止弁70cが十分に開かれた状態が維持されず、逆止弁70cから異音が発生する。給湯システム10の構成によれば、逆止弁70cに、気体のみが通過する状況を回避することによって、逆止弁70cから異音が発生することを抑制することができる。
また、給湯システム10では、混合弁24aが半開状態に維持されることによって、排気経路内の気体と水の割合が1:1となるようにコントロールされている。このため、逆止弁70cから異音が発生することを適切に抑制することができる。
図3には、図2のステップS2において、混合弁24aの半開状態における混合弁24aの弁開度を様々に調整することによって、排気経路内の水と気体との割合を変化させた場合に、貯水運転にかかった期間の変化を計時した実験結果を示すグラフが示されている。縦軸は貯水運転にかかった期間を示し、横軸は排気経路内の水及び気体の全流量に対する水の割合(以下では「混合割合」)を示す。本実験では、水道から給湯システム10に供給される水の給水圧を、100kPa、200kPa、900kPaに変化させて実験を行った。実験結果から、混合弁24aの弁開度を調整して、混合割合が、0.2以上1.0未満であれば、試運転で発生する音が気にならない程度の大きさとなることが分かった。特に、混合割合が0.5以上である場合、試運転で発生する音が特に小さくなった。貯水運転に要する時間を考慮すると、混合割合が0.5近傍であることが最も好ましい。
なお、変形例では、混合弁24aが配置されていなくてもよい。この場合、図4に示すように、温水経路25には、貯湯槽21から温水経路25へ流れる温水の流量、即ち、温水経路25の流路面積を調整する温水制御弁25aが設けられていてもよい。また、混合用給水経路26は、混合用給水経路26を流れる水道水の流量、即ち、混合用給水経路26の流路面積を調整する給水制御弁26aが設けられていてもよい。コントローラ20aは、温水制御弁25aと給水制御弁26aとを用いて、温水経路25の流路面積と混合用給水経路26の流路面積との和に対する混合用給水経路26の流路面積の割合を調整してもよい。
本実施例では、水道が「給水源」の一例であり、ヒートポンプユニット40が「熱源機」の一例である。貯湯槽21が「貯湯タンク」の一例であり、温水経路25、混合用給水経路26、第1混合経路27が、それぞれ、「第1の給水経路」、「第2の給水経路」、「連通経路」の一例である。浴槽72が「利用機器」の一例である。コントローラ20aが「計時装置」の一例であり、コントローラ20aと温水流量センサ25bとが、「検知器」の一例である。リモコン50bが「報知装置」の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。