JP6368457B2 - プレキャスト接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、プレキャスト接合構造に関する。
鉄筋コンクリート造建造物の施工においては、建設作業員の省人化や施工効率の向上を図るために、プレキャスト化されたプレキャストコンクリート部材が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
ここで、圧縮強度が高強度(例えば150N/mm以上)のプレキャストコンクリート部材において、柱・梁などの断面寸法の大きい部材は、セメントの水和反応による発熱の蓄積によって高温になることや、加熱養生をすることにより高温になることで、強度の増進が図られ、工場や現場の製造ヤード等で製造される。
しかし、プレキャストコンクリート部材同士の接合部分のグラウト材は、断面寸法が小さい為、水和熱反応による温度上昇がなく、結果として強度発現は小さく、また、施工現場で充填する為、加熱養生による高温履歴を受けない。施工現場で、前記接合部分に相当する建物階の周囲をシート等で覆いジェットヒータで間接的に周辺を加温し、接合部分のグラウト材強度が得られるようにしなければならないが、施工に手間を要するばかりか、水和反応の反応速度が遅く、所定の強度を得る為に、長期に亘る養生期間が必要となる。
あるいは、高い強度を必要としない場合でも、寒冷地や冬季の施工においては、プレキャストコンクリート部材の接合部のグラウト材は、水和反応の反応速度が遅く、所定の強度を得る為に、長期に亘る養生期間が必要な場合がある。
よって、プレキャストコンクリート部材同士の接合部分のグラウト材の水和反応を促進させることが望まれている。
なお、その他、関連する技術が特許文献1〜特許文献4に開示されている。
特開2000−319985号公報 特開2006−144344号公報 特許4712690号公報 特許4189300号公報
本発明は上記事実を鑑み、プレキャストコンクリート部材同士の接合部のグラウト材の水和反応を促進させることが課題である。
請求項1の発明は、端部同士が接合されたプレキャストコンクリート部材と、前記プレキャストコンクリート部材間に形成され、グラウト材で構成された目地部と、前記プレキャストコンクリート部材の端部又は前記目地部に埋設され、外部から通電することで発熱し、前記目地部のグラウト材の温度を上昇させる目地部側電熱線と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、プレキャストコンクリート部材の端部又は目地部に埋設された目地部側電熱線が外部から通電することで発熱し、目地部のグラウト材を加熱し温度を上昇させる。そして、目地部のグラウト材の温度が上昇することで、水和反応が促進する。また、目地部のグラウト材の水和反応が促進することで、例えば、目地部のグラウト材の強度の向上や養生期間の短縮がなされる。
請求項2の発明は、前記目地部側電熱線、面上で折り返され一定の間隔で配置されている。
請求項2に記載の発明では、目地部側電熱線を折り返して一定の間隔で配置することで、目地部のグラウト材の温度のばらつきや温度勾配が小さくなる。そして、目地部の温度ばらつきや温度勾配が小さくなることで、目地部の強度が均一に向上する。また、温度ばらつきや温度勾配が大きいことによる、グラウト材のひび割れが抑制又は防止される。
請求項3の発明は、前記目地部の外縁部に埋設又は前記外縁部の外側に設けられ、通電することで発熱し、前記外縁部を加熱する外縁部側電熱線を有している。
請求項3に記載の発明では、外縁部側電熱線によって目地部の外縁部を加熱することで、目地部のグラウト材の温度のばらつきや温度勾配が小さくなる。そして、目地部の温度ばらつきや温度勾配がさらに小さくなることで、目地部の強度が均一に向上する。また、温度ばらつきや温度勾配が大きいことによる、グラウト材のひび割れが抑制又は防止される。
請求項4の発明は、一方の前記プレキャストコンクリート部材の端部から突出する鉄筋と、他方の前記プレキャストコンクリート部材に埋設され、前記鉄筋が挿入されると共にグラウト材が充填される継手部と、前記他方のプレキャストコンクリート部材における前記継手部内又は前記継手部の近傍に埋設され、外部から通電することで発熱し、前記継手部のグラウト材の温度を上昇させる継手部側電熱線と、を備える。
請求項4に記載の発明では、他方のプレキャストコンクリート部材の継手部内又は継手部の近傍に埋設された継手部側電熱線が外部から通電することで発熱し、継手部のグラウト材の加熱し温度を上昇させる。そして、継手部のグラウト材の温度が上昇することで、水和反応が促進する。また、継手部のグラウト材の水和反応が促進することで、例えば、継手部のグラウト材の強度の向上や養生期間の短縮がなされる。
本発明によれば、プレキャストコンクリート部材同士の接合部のグラウト材の水和反応を促進させることができる。
図2に示す鉄筋コンクリート造の柱を構成するプレキャスト製の柱部材の端部同士を接合する前の状態を示す分解斜視図である。 プレキャスト製の柱部材の端部同士を接合して構成された鉄筋コンクリート造の柱を示す斜視図である。 図2に示す鉄筋コンクリート造の柱における柱部材の端部同士の接合部(要部)を示す縦断面図である。 目地部に埋設されたヒータ線の配線パターンを示す水平断面図である。 中空管に巻き付けられた状態でプレキャスト製の柱部材の下端部に埋設されたヒータ線を示す正面図である。 プレキャスト製の柱部材の端部同士を接合する施工方法を説明する説明図である。 第一変形例の接合構造の要部を示す図5に対応する正面図である。 図3に示す鉄筋コンクリート造の柱における柱部材の端部同士の接合部(要部)のヒータ線の配置を説明する縦断面図である。 第二変形例の接合構造の要部を示す図8に対応する縦断面図である。 第三変形例の接合構造の要部を示す図8に対応する縦断面図である。 第四変形例の接合構造の要部を示す図4に対応する水平断面図である。 試験体の温度測定箇所を説明する図4に対応する水平断面図である。 試験体内(目地部)の平均温度と電気量との関係を示すグラフである。 試験体内(目地部)の最大温度勾配と試験体内(目地部)の平均温度との関係を示すグラフである。 試験体内(目地部)の温度ばらつき指数と配線ピッチLとの関係を示すグラフである。 外ヒータ線が無い場合の目地部における外縁部及びヒータ線間の温度と経過時間との関係を示すグラフである。 外ヒータ線が無い場合の目地部におけるヒータ線上の温度と経過時間との関係を示すグラフである。 外ヒータ線が有る場合の目地部における外縁部及びヒータ線間の温度と経過時間との関係を示すグラフである。 外ヒータ線が有る場合の目地部におけるヒータ線上の温度と経過時間との関係を示すグラフである。 グラウト材の養生条件と各養生条件における2週間後のグラウト材の発現強度とを示す(A)が表であり、(B)はグラフである。
<実施形態>
本発明の一実施形態に係るプレキャスト接合構造について説明する。
(構造)
図1〜図3に示すように、鉄筋コンクリート造の柱10は、上側に配置されたプレキャスト製の柱部材20Uの下端部22Uと下側に配置されたプレキャスト製の柱部材20Lの上端部24Lとが接合されることで一体されている(詳細は後述する)。
なお、上側の柱部材20Uと下側の柱部材20Lとは、配置されている位置が異なるだけで同一の構造のプレキャストコンクリート部材である。よって、上下を区別して説明する場合は、上側の柱部材20U及びこれを構成する各部材等には符号の後にUを付し、下側の柱部材20L及びこれを構成する各部材等には符号の後にLを付す。また、上下を区別する必要がない場合は、U及びLを省略する場合がある。
図1〜図4に示すように、柱部材20には、外周に沿って複数の柱主筋30が埋設されている。各柱主筋30の上部34は、柱部材20の上端部24から突出している(図1参照)。また、柱部材20の下部には、外周に沿って複数の中空管40が埋設されている。中空管40は、柱主筋30をねじ込まずに挿入可能な差し込み式の機械式継手である。そして、各中空管40には、柱部材20に埋設された柱主筋30の下部32と、上端部24から突出している上部34と、が挿入されている(図3を参照)。
また、図3に示すように、中空管40は、下端42が柱部材20の下端部22の下面22Aと面一となるように配置されている。
図3及び図5に示すように、中空管40における下端部には、後述するクラウド材を注入する注入口46が形成され、上端部にはクラウド材を排出する排出口48が形成されている。そして、注入口46には注入ノズル47が接続され柱部材20の外周面20Aに開口している。また、同様に、排出口48には排出ノズル49が接続され柱部材20の外周面20Aに開口している。
柱部材20には、柱主筋30又は中空管40を囲むように、図示していないせん断補強筋が複数埋設されている。そして、柱主筋30、中空官40及びせん断補強筋は、柱部材20を形成するコンクリートによって一体化されプレキャスト製の柱部材20となっている。なお、本実施形態の柱部材20は、150N/mmを超える圧縮強度を有する高強度のプレキャストコンクリート部材である。
前述したように、図3に示されている上側に配置された柱部材20Uの下部の中空管40には、柱部材20Uに埋設された柱主筋30Uの下部32Uが挿入されていると共に、下側に配置された柱部材20Lの上端部24Lから突出する柱主筋30Lの上部34Lが挿入されている。そして、中空管40に充填されたグラウト材Gと、柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lとの間に形成された目地部50のグラウト材Gと、が固化することで、柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lとが接合されている。
なお、グラウト材Gは、どのようなものを使用してもよい。一例として、日本スプライススリーブ社製のSSモルタルやSSモルタル120Nを使用することができる。なお、本実施形態では、固化後に150N/mmを超える圧縮強度を有する日本スプライススリーブ社製の超高強度モルタルを使用している。
図5に示すように、柱部材20の下部には、ヒータ線70が各中空管40にそれぞれ巻き付けられた状態で埋設されている。そして、図1及び図2に示すように、ヒータ線70の端部70Tは、柱部材20の外側に引き出されている。
図2〜図4、図8に示すように、柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lとの間に形成された目地部50には、ヒータ線60が設けられている。ヒータ線60は、目地部50に埋設されている内ヒータ線62と、目地部50の外縁部52に巻きつけられている外ヒータ線64と、で構成されている。
目地部50に埋設された内ヒータ線62の配置パターンは、面上で折り返されて蛇行し一定の間隔L(図4及び図8を参照)となるように配置されている。また、目地部50から引き出された外ヒータ線64が外縁部52の外側に巻きつけられている。
そして、図2に示すヒータ線60の端部60T及びヒータ線70の端部70Tをそれぞれ図示していない電源装置に繋いでヒータ線60、70に電気を通すことで、ヒータ線60、70が発熱し、中空管40のグラウト材Gと目地部50のグラウト材Gとが加熱されるようになっている。
なお、ヒータ線(電熱線)60、70は、通電すると発熱する構造であれば、どのような構造であってもよい。一例として、本実施形態のヒータ線60、70は、ニッケルクロム抵抗線(NCHW−2)の外周がフッソ樹脂(PTFE)で被覆された構造となっている。
(施工方法)
つぎに、プレキャスト製の柱部材20の端部同士を接合する施工方法について説明する。なお、本施工方法は、一例であって、これに限定されるものではない。
図1に示すように、柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lと対向して配置し接近させる。
図6に示すように、上側に配置される柱部材20Uの下部の中空管40に、下側に配置される柱部材20Lの上端部24Lから突出する柱主筋の上部34(図1も参照)を挿入する(図2及び図4も参照)。また、上側に配置された柱部材20Uの下端部22Uと下側に配置された柱部材20Lの上端部24Lとの間に図示しないスペーサーを挟む。なお、スペーサーによって高さ調整を行う。
なお、ヒータ線60を、予め柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lとの間に配置し、柱部材20Uと柱部材20Lとを接近させて中空管40に柱主筋30の上部34を挿入する。また、ヒータ線60は、図4に示す配置パターンとなるように配置する。
図6に示すように、注入ノズル47及び排出ノズル49にストッパー付きのゴム栓90を挿入し、目地部50の外縁部52にモルタル枠55を形成する。そして、ポンプ等で構成された充填装置92から送られたグラウト材Gを注入ノズル47から注入することで中空管40と目地部50とにグラウト材Gが充填される。また余分なグラウト材Gは排出ノズル49から排出される。
グラウト材Gの充填が完了すると、ヒータ線60、70の端部60T、70T(図2参照)を、図示していない電源装置に繋いで通電することでヒータ線60、70を発熱させ、これにより中空管40及び目地部50のグラウト材Gを加熱する。そして、グラウト材Gが加熱され、グラウト材Gの温度が上昇することで、水和反応(固化)が促進する。
グラウト材Gが固化したのち、目地部50の外縁部52の外側に巻かれた外ヒータ線64は切断して取り除く。また、中空管40に巻き付けられたヒータ線70の外側に引き出された端部70Tも切断して取り除く。
なお、目地部50に埋設さているヒータ線60の内ヒータ線62及び中空管40に巻きつけられた状態で埋設されているヒータ線70は、施工後も埋設されたままである(埋め殺しとなる)が、強度上は問題ない。
(作用及び効果)
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
目地部50のグラウト材Gを固化させる際に、ヒータ線60(目地部50に埋設された内ヒータ線62及び目地部50の外縁部52の外側に巻かれた外ヒータ線64)が発熱し、目地部50のグラウト材Gの温度を上昇させる。目地部50のグラウト材Gの温度が上昇することで、グラウト材Gの水和反応が促進する。
同様に中空管40のグラウト材Gを固化させる際に、中空管40に巻きつけられて埋設されているヒータ線70が発熱し、中空管40のグラウト材Gの温度を上昇させる。中空管40のグラウト材Gの温度が上昇することで、グラウト材Gの水和反応が促進する。
そして、このようにグラウト材Gの水和反応が促進することで、グラウト材Gの強度の向上や養生期間の短縮がなされる。
ここで、本実施形態では、圧縮強度が高強度(例えば150N/mm以上)のプレキャストコンクリート製の柱部材20と同程度の高い強度を得られる高強度のグラウト材Gを用いている。柱部材20は、セメントの水和反応による発熱の蓄積によって高温になることや、加熱養生をすることにより高温になることで、強度の増進が図られ、製造される。しかし、目地部50及び中空管40のグラウト材Gは、断面寸法が小さい為、水和熱反応による温度上昇がなく、結果として強度発現は小さく、また、施工現場で充填する為、加熱養生による高温履歴を受けない。よって、何も行わない場合は、グラウト材Gの水和反応が充分に進行せずに、柱部材20と同程度の高い強度が得られないことがある。したがって、施工現場では、対応する建物階の周囲をシート等で覆いジェットヒータで間接的に周辺を加温し、目地部50及び中空管40のグラウト材Gに所定の強度が得られるようにしている。しかし、このような方法は、施工に手間を要するばかりか、水和反応の反応速度が遅く、所定の強度を得る為に、長期に亘る養生期間が必要となる。
しかし、本実施形態では、前述したように、ヒータ線60、70を発熱させることで、目地部50及び中空管40のグラウト材Gの温度を上昇させ、水和反応を促進させている。よって、グラウト材Gは、柱部材20と同程度の高い強度を得ることができる。
また、グラウト材Gが高い強度を必要としない場合でも、寒冷地や冬季の施工においては、水和反応の反応速度が遅く、所定の強度を得る為に、長期に亘る養生期間が必要な場合がある。しかし、同様にグラウト材Gを加熱して水和反応を促進させることで、養生期間を短縮することができる。
また、目地部50に埋設されているヒータ線60の内ヒータ線62は、折り返して一定の間隔Lで配置されている。よって、目地部50全体のグラウト材Gの温度のばらつきや温度勾配が小さくなる。更に、本実形態では、目地部50の外縁部52の外側に設けられた外ヒータ線64が、外縁部52を直接的に加熱する。このように目地部50の外縁部52を加熱することで、目地部50全体のグラウト材Gの温度のばらつきや温度勾配が更に小さくなる。
そして、目地部50の温度ばらつきや温度勾配が小さくなることで、目地部50の強度が均一に向上する。また、温度ばらつきや温度勾配が大きいことによる、グラウト材Gのひび割れが抑制又は防止される。
なお、目地部50の外縁部52の外側に外ヒータ線64を設けると目地部50の温度ばらつきや温度勾配が小さくなることを確認する外ヒータ線確認実験と、本実施形態で用いた高強度のグラウト材Gの養生条件の違いによる発現強度の違いを確認する養生条件確認実験と、を行った。これら確認実験の詳細については後述する。
<変形例>
つぎに本実施形態の変形例について説明する。
(第一変形例)
図7に示す第一変形例の接合構造では、中空管40の中にヒータ線70が挿通している。そして、ヒータ線70が発熱することで、中空管40のグラウト材Gの温度が上昇し、グラウト材Gの水和反応が促進する。
なお、一つの柱部材20において、図5に示すヒータ線70が外側に巻き付いた中空管40と、図7に示すヒータ線70が挿通した中空管40と、の両方が混在していてもよい。或いは、一つの中空管40に対して、ヒータ線70を外側に巻き付け、更に別のヒータ線70を挿通させてもよい。
(第二変形例)
図9に示す第二変形例の接合構造では、柱部材20の端部間に形成された目地部50の外縁部52に、ヒータ線60の外ヒータ線64が埋設されている(図8と図9とを比較参照)。なお、ヒータ線60の配線パターンは、図2及び図4に示す配線パターンと同様である。
本変形例でも、目地部50の外縁部52に埋設した外ヒータ線64が、目地部50の外縁部52を効果的に加熱することで、目地部50全体のグラウト材Gの温度のばらつきや温度勾配が小さくなる。
(第三変形例)
図10に示す第三変形例の接合構造では、柱部材20Uの下端部22Uにヒータ線60Uが埋設され、柱部材20Lの上端部24Lにヒータ線60Lが埋設されている。なお、ヒータ線60U、60Lの配線パターンは、図2及び図4の配線パターンと同様のパターンである。
柱部材20Uの下端部22Uに埋設されたヒータ線60Uと柱部材20Lの上端部24Lに埋設されたヒータ線60Lとが発熱することで、目地部50のグラウト材Gの温度が上昇し、水和反応が促進する。
なお、図10では、ヒータ線60は、柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lとにそれぞれ埋設されていたが、これに限定されるものではない。柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lとのいずれか一方にのみ埋設されていてもよい。
また、柱部材20Uの下端部22Uと柱部材20Lの上端部24Lとのいずれか又は両方にヒータ線60を埋設し、更に、図9に示すように目地部50にヒータ線60を埋設してもよい。
また、目地部50の外縁部52を加熱する外ヒータ線64を下端部22U及び上端部24Lの外側に巻いた構成であってもよい。更に、図8に示すように目地部50の外縁部52の外側にヒータ線60を巻いてもよい。
(第四変形例)
上記実施形態及び各変形例では、ヒータ線60の配線パターンは、図2及び図4に示すように、折り返され一定の間隔Lで配置されたパターンとなっている。しかし、図2及び図4に示す配線パターンに限定されるものではない。
例えば、図11に示す第四変形例の接合構造のように、渦巻き状の配線パターンであってもよい。なお、この場合も、配線間隔Lは一定である方が好ましい。
<外ヒータ線確認実験>
つぎに、前述した目地部50の外縁部52の外側に外ヒータ線64を設けることによって、目地部50の温度ばらつきや温度勾配が小さくなることを確認する実験について説明する。
なお、上記実施形態で説明した目地部50と同様の構造の試験体300で実験を行った。また、実験結果を図13〜図19のグラフに示している。
実験結果を示す図13〜図19の各グラフにおける「外周あり」は外ヒータ線64がある場合であり、「外周なし」は外ヒータ線64がない場合である。また「@90、@70、@60、@50」は、内ヒータ線62の間隔L(図4、図8参照)のことである。つまり、@90とは間隔Lが90mmであり、@70は間隔Lが70mmであり、@60は間隔Lが60mmであり、@50は間隔Lが50mmである。
また、図12に示す「□(白抜き四角)」が温度測定箇所Tである。温度測定箇所Tは、外縁部52及び内ヒータ線64の間と、内ヒータ線64上と、に設けてある。なお、温度測定箇所Tの数は、間隔Lによって異なる。そして、間隔Lに応じて全体としてm箇所あるとし、任意の測定箇所をTとする。更に外縁部52における内ヒータ線64の折返部分64Aの外側及びその間に、Tm+1、Tm+2,Tm+3の三つの温度測定箇所Tが加えられている。
つぎに、実験結果を示す図13〜図19のグラフについて詳しく説明する。
図13は、試験体内(目地部)の測定箇所T〜Tの平均温度と電力量(W/m(単位長さ(m)当たりの電力(W))との関係を示すグラフである。
図14は、試験体内(目地部)の最大温度勾配(℃/cm)と試験体内(目地部)の平均温度(℃)との関係を示すグラフである。なお、「最大温度勾配」とは、隣接する測定箇所間の温度勾配α=(T−Tn−1)/Lのうち、最大の温度勾配(最大温度勾配=α:α)のことである。
図15は、試験体内(目地部)の温度ばらつき指数(1/cm)と配線ピッチL(mm)との関係を示すグラフである。なお、「温度ばらつき指数」とは、前述した最大温度勾配を試験体内(目地部)の平均温度(℃)で除した指数である。
図16〜図19は、間隔Lが70mmで目標とする平均温度が180℃である場合においける各温度測定箇所の温度上昇の実測値を示している。
そして、図16は、外ヒータ線64が無い場合(内ヒータ線62のみを設けた場合)の目地部50の外縁部52及び内ヒータ線62間の温度と経過時間との関係を示すグラフである。つまり、Tのnが奇数である温度測定箇所とTm+1、Tm+2,Tm+3の温度測定箇所との温度上昇を示すグラフである
図17は、外ヒータ線64が無い場合(内ヒータ線62のみを設けた場合)の目地部50における内ヒータ線62上の温度と経過時間との関係を示すグラフである。つまり、Tのnが偶数である温度測定箇所の温度上昇を示すグラフである。
図18は、外ヒータ線64が有る場合の目地部50の外縁部52及び内ヒータ線62間の温度と経過時間との関係を示すグラフである。つまり、Tnのnが奇数である温度測定箇所とTm+1、Tm+2,Tm+3の温度測定箇所の温度上昇を示すグラフである
図19は、外ヒータ線64が有る場合の目地部50における内ヒータ線62上の温度と経過時間との関係を示すグラフである。つまり、Tのnが偶数である温度測定箇所の温度上昇を示すグラフである。
(実験結果の説明)
図13に示すように、いずれの間隔Lにおいても、外ヒータ線64がある場合(外周あり)のほうが、外ヒータ線64がない場合(外周なし)よりも、電力量(W/m(単位長さ(m)当たりの電力(W))に対する平均温度が高くなっている。つまり、外ヒータ線64がある場合(外周あり)のほうが、効率的に目地部の温度を上昇させることが判る。
図14に示すように、いずれの間隔Lにおいても、外ヒータ線64がある場合(外周あり)のほうが、外ヒータ線64がない場合(外周なし)よりも、最大温度勾配(℃/cm)が小さくなっている。なお、50℃程度の低温で加熱するときは、外ヒータ線64があることによる顕著な効果はみられない。しかし、高温での加熱では、外ヒータ線64があることのよる顕著な効果みられた。また、試験体内部の平均温度と試験体内部の最大温度勾配が、ほぼ線形の関係が得られた。
図15に示すように、いずれの間隔Lにおいても、外ヒータ線64がある場合(外周あり)のほうが、外ヒータ線64がない場合(外周なし)よりも、温度ばらつき指数(1/cm)が大きくなっている。
つまり、図14及び図15に示される結果から、外ヒータ線64がある場合(外周ありの)ほうが、目地部50全体のグラウト材Gの温度のばらつきや温度勾配が小さいことが判る。
また、図16と図18とを比較、及び図17と図19とを比較すると判るように、外ヒータ線64がある場合(外周あり)のほうが、外ヒータ線64がない場合(外周なし)よりも、測定箇所間の温度差が小さくなっている。つまり、図16〜図18に示される結果からも、外ヒータ線64がある場合(外周あり)のほうが、目地部50全体のグラウト材Gの温度のばらつきや温度勾配が小さいことが判る。
したがって、目地部50の外縁部52の外側に外ヒータ線64を設けることによって、目地部50の温度ばらつきや温度勾配が小さくなることが実験によって確認された。
<養生条件確認実験>
つぎに、本実施形態で用いた高強度のグラウド材Gの養生条件の違いによる発現強度の違いを確認する養生温度実験について説明する。
図20(A)の表と図20(B)のグラフとに示すように、養生温度が5℃及び20℃の各温度で一定の場合(No1、No2)と、初期の養生温度が5℃でこの5℃から60℃に養生温度を上昇させ3日間養生したのち5℃に戻した場合(No3)と、初期の養生温度が5℃でこの5℃から60℃に養生温度を上昇させ7日間養生したのち5℃に戻した場合(No4)と、の4条件で実験を行った。なお、いずれも養生期間は2週間である。
そして、図20(A)の表と図20(B)のグラフとには、上記No1〜No4の養生条件における2週間後の強度が示されている。これら図20(A)の表と図20(B)のグラフから判るように、2週間後の強度は、
No1<No2<No3<No4
の順番になっている。つまり、養生温度が高く且つ温度の高い期間が長いほど、2週間後の強度が高くなっている。そして、No3以上の条件で150N/mmを超える高い強度が得られている。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されない。
例えば、上記実施形態及び変形例では、鉄筋コンクリート造の柱10におけるプレキャスト製の柱部材20Uの下端部22Uとプレキャスト製の柱部材20Lの上端部24Lとの接合に本発明を適用したが、これに限定されるものではない。プレキャストコンクリート部材の接合全般に本発明を適用することができる。例えば、プレキャスト製の梁部材同士の接合、プレキャスト製の梁部材と柱梁仕口部との接合などにも本発明を適用することができる。
また、例えば、上記実施形態及び変形例では、ヒータ線(電熱線)60、70でグラウト材Gを加熱したが、これに限定さない。例えば、誘導加熱(induction heating(IH))を利用してもよい。この場合、外部から供給されるエネルギーは電磁波であり、発熱する目地部加熱手段、外縁部加熱手段、継手部加熱手段は、金属体となる。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
20 柱部材(プレキャストコンクリート部材の一例)
30 柱主筋(鉄筋の一例)
40 中空管(継手部の一例)
50 目地部
62 内ヒータ線(目地部側電熱線の一例)
64 外ヒータ線(外縁側電熱線の一例)
70 ヒータ線(継手側電熱線の一例)
G グラウト材

Claims (4)

  1. 端部同士が接合されたプレキャストコンクリート部材と、
    前記プレキャストコンクリート部材間に形成され、グラウト材で構成された目地部と、
    前記プレキャストコンクリート部材の端部又は前記目地部に埋設され、外部から通電することで発熱し、前記目地部のグラウト材の温度を上昇させる目地部側電熱線と、
    を備えるプレキャスト接合構造。
  2. 前記目地部側電熱線、面上で折り返され一定の間隔で配置されている、
    請求項1に記載のプレキャスト接合構造。
  3. 前記目地部の外縁部に埋設又は前記外縁部の外側に設けられ、通電することで発熱し、前記外縁部を加熱する外縁部側電熱線を有する、
    請求項1又は請求項2に記載のプレキャスト接合構造。
  4. 一方の前記プレキャストコンクリート部材の端部から突出する鉄筋と、
    他方の前記プレキャストコンクリート部材に埋設され、前記鉄筋が挿入されると共にグラウト材が充填される継手部と、
    前記他方のプレキャストコンクリート部材における前記継手部内又は前記継手部の近傍に埋設され、外部から通電することで発熱し、前記継手部のグラウト材の温度を上昇させる継手部側電熱線と、
    を備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプレキャスト接合構造。
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