以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。なお、いずれの図面も説明のために要部を強調して示したものであり、実際の寸法とは異なる場合がある。
図1は、本発明に係る内視鏡用外科手術装置の概略構成図である。図1に示すように内視鏡用外科手術装置10は、体腔内に挿入される第1挿入部を有する第1医療器具の一形態であって患者の体腔内を観察する内視鏡100と、体腔内に挿入される第2挿入部を有する第2医療器具の一形態であって患者の体腔内の患部を検査又は処置するための処置具200と、体壁を貫通して体腔内に挿入されて第1挿入部である内視鏡100の挿入部102及び第2挿入部である処置具200の挿入部202を体腔内に案内する外套管300と、外套管300に被嵌される外装管500と、を備える。
内視鏡100は、例えば腹腔鏡などの硬性内視鏡であり、体腔内に挿入され、細長い硬性の筒状体により外周部が囲まれた挿入部102(以下、「内視鏡挿入部102」という。)と、内視鏡挿入部102の基端側に連設され、細長い軟性の筒状体により外周部が囲まれたケーブル部104とを備える。
ケーブル部104は、内視鏡挿入部102の基端から延在するケーブルやライトガイドなどの線材を、例えばポリ塩化ビニルなどの軟性の絶縁性部材により被覆して内部に収容した軟性のケーブルの部分を示す。
このケーブル部104の延在先の端部には、不図示のコネクタが設けられており、そのコネクタを介して制御装置であるプロセッサ装置108と光源装置110の各々が着脱自在に接続される。また、プロセッサ装置108は、ケーブルを介してモニタ112に接続される。
図2に示すように、内視鏡挿入部102の先端面114には、観察窓116及び照明窓118及び118が設けられる。
内視鏡挿入部102の先端には観察部が設けられており、その観察部の構成要素として観察窓116が設けられる。また、観察部の構成要素として、その観察窓116の後方には観察光学系の対物レンズや、この対物レンズの結像位置に配置されたCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子が配設されている。
この固体撮像素子に接続された信号ケーブル(不図示)は図1の内視鏡挿入部102及びケーブル部104を挿通してコネクタ(不図示)まで延設され、プロセッサ装置108に接続される。観察窓116から取り込まれた観察像は、撮像素子の受光面に結像されて電気信号(撮像信号)に変換され、この電気信号が信号ケーブルを介してプロセッサ装置108に出力されて映像信号に変換される。そして、この映像信号はプロセッサ装置108に接続されたモニタ112に出力され、モニタ112の画面上に観察画像(内視鏡画像)が表示される。
図2の照明窓118及び118の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されて照明部が構成される。このライトガイドは、図1の内視鏡挿入部102及びケーブル部104を挿通してコネクタ(不図示)内に入射端が配設される。したがって、このコネクタを光源装置110に連結することによって、光源装置110から照射された照明光がライトガイドを介して照明窓118及び118に伝送され、照明窓118及び118から前方に照射される。なお、図2では、内視鏡挿入部102の先端面114には2つの照明窓118及び118が配設されているが、照明窓118の数には限定はなく、その数は1つでもよいし3つ以上であってもよい。また、内視鏡100は照明部を備えていないものであってもよい。
図1に示すように、処置具200は、例えば鉗子からなり、体腔内に挿入される細長い挿入部202(以下、「処置具挿入部202」という。)と、処置具挿入部202の基端側に設けられ、術者に把持される操作部204と、処置具挿入部202の先端に設けられ、操作部204の操作によって動作可能な処置部206と、を備える。
処置具挿入部202は、筒状のシース208と、このシース208内に軸心方向に移動自在に挿通された操作軸(不図示)とが設けられている。さらに操作部204は、固定ハンドル210とこの固定ハンドル210に対して回動ピンを介して回動可能に連結された可動ハンドル214が設けられている。そして、可動ハンドル214に操作軸の基端部が連結されている。
処置部206には、開閉可能な一対の把持部材が設けられている。これらの把持部材は操作軸の先端部に図示しない駆動機構を介して連結されている。そして、操作部204の可動ハンドル214の回動操作に伴い操作軸及び駆動機構を介して処置部206の把持部材が開閉されるようになっている。
なお、処置具200としては、鉗子に限らず、例えば、レーザープローブ、縫合器、電気メス、持針器、超音波デバイス、吸引器などの他の処置具であってもよい。
図1に示すように、外套管300は、基端側から内部に挿入された内視鏡挿入部102と処置具挿入部202とを挿通させて先端側から繰り出す。この外套管300を体壁に刺入し、基端側を体外に、先端側を体腔内に配置することにより、1つの外套管300で内視鏡挿入部102と処置具挿入部202とを体腔内に案内する。また、外套管300は、詳細を後述するように内視鏡挿入部102と処置具挿入部202とを連動させて進退移動させる連動機能を備えており、例えば、処置具挿入部202のみの進退操作によって内視鏡挿入部102も進退移動させることができ、内視鏡挿入部102の進退操作を行うことなく適切な内視鏡画像を得ることを可能にしている。外套管300の構成、作用の詳細については後述する。
図1に示す外装管500は、筒状に形成されており、図3に示すように外套管300(後述の外套管長筒部320)の外周面に被嵌(外装)されて固定される。詳細な説明は省略するが、外装管500の外周部には、周方向に沿った横溝520が多数設けられ、かつ、軸方向に沿った縦溝504が周方向の例えば4箇所に設けられる。
これにより、外套管300を外装管500と共に体壁に刺入した状態において、外装管500の多数の横溝520が体壁に対する外装管500の進退移動を規制し、外装管500の4箇所の縦溝が体壁に対する外装管500の周方向(基準軸300a周り)の回転を規制する。したがって、外装管500に固定された外套管300の体壁に対する意図しない回転や進退移動が防止される。
即ち、外套管300(外套管長筒部320)を体壁に刺入した後に、内視鏡挿入部102と処置具挿入部202とを外套管300に挿通させて処置具200の操作などを行っている際に、外套管300が体壁に対して意図せずに外套管300の中心軸(長手軸)となる基準軸300aに対する軸周り方向に回転したり、基準軸300a方向(軸方向)に進退移動してしまうと、内視鏡挿入部102の先端の位置が変動して観察視野が意図せずに変動してしまうという問題がある。外装管500は、このような観察視野の意図しない変動を防止する。
図4は、外套管300を示した外観斜視図である。
同図に示すように、外套管300は、全体が長細い円筒状の形状を有し、その長手軸を示す基準軸300aに沿って、内視鏡100の内視鏡挿入部102が進退自在に挿通される内視鏡挿通路306と処置具200の処置具挿入部202が進退自在に挿通される処置具挿通路308とを有する。内視鏡挿通路306は、第1医療器具の第1挿入部が進退自在に挿通される第1挿通路の一形態であり、処置具挿通路308は、第2医療器具の第2挿入部が進退自在に挿通される第2挿通路の一形態である。
また、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308とは互いに平行に、かつ、基準軸300aに平行に配置される。即ち、内視鏡挿通路306の中心軸を内視鏡挿通軸306aというものとし、処置具挿通路308の中心軸を処置具挿通軸308aというものとすると、内視鏡挿通軸306a及び処置具挿通軸308aは、互いに平行であり、基準軸300aとも平行である。これらの内視鏡挿通軸306aと処置具挿通軸308aは、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308の各々に挿通された内視鏡挿入部102と処置具挿入部202の中心軸の位置に相当する。また、本実施の形態では、基準軸300a、内視鏡挿通軸306a、及び処置具挿通軸308aは同一平面上に配置される。ただし、基準軸300a、内視鏡挿通軸306a、及び処置具挿通軸308aが同一平面上に配置された構成でなくてもよい。
なお、外套管300が配置された空間の位置や向きに関して、基準軸300aに沿った方向の基端面302から先端面304への向きを前、基準軸300aから処置具挿通軸308aへの向きを右として、前、後、左、右、上及び下という用語を用いる。
外套管300の基端面302には、内視鏡挿入部102を内視鏡挿通路306に挿入する基端開口である第1基端開口310と、処置具挿入部202を処置具挿通路308に挿入する基端開口である第2基端開口314が設けられる。
外套管300の先端面304には、内視鏡挿通路306に挿入された内視鏡挿入部102を外部に繰り出す先端開口である第1先端開口312と、処置具挿通路308に挿入された処置具挿入部202を外部に繰り出す先端開口である第2先端開口316とが設けられる。
即ち、第1挿通路の一形態である内視鏡挿通路306は、第1先端開口312と第1基端開口310とを連通し、第2挿通路の一形態である処置具挿通路308は、第2先端開口316と第2基端開口314とを連通するように設けられる。
図5は、外套管300の内部構造を示した断面図であり、基準軸300aを含み、かつ、上下方向に直交する平面(水平面)で外套管300を切断した断面を示す。
同図に示すように、外套管300は、基端部分と先端部分以外の部分を占める外套管長筒部320と、外套管300の後端(基端)に取り付けられる基端キャップ340と、先端部に取り付けられる先端キャップ360と、から構成される。
また、外套管長筒部320は、硬質樹脂や金属等により基準軸300aを中心軸(長手軸)とする長細い円筒状に形成された長筒体322と、長筒体322の内部に収容配置され、基準軸300aに沿って延在する円柱状の隔壁部材324であって内視鏡挿通路306と処置具挿通路308の各々の一部を形成する内視鏡ガイド溝326と処置具ガイド溝328とを有する隔壁部材324と、隔壁部材324に案内されて前後方向に進退移動可能に支持される連動部材であるスライダ400とから構成される。隔壁部材324及びスライダ400についての詳細は後述する。
基端キャップ340は、硬質樹脂や金属等により外套管長筒部320(円筒体)の外径よりも拡径された円柱状に形成され、その後側の端面が外套管300の基端面302を構成する。この基端キャップ340には、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308の各々の一部を形成する貫通孔342と貫通孔344とが設けられ、貫通孔342及び344は、各々、外套管長筒部320の内視鏡ガイド溝326及び処置具ガイド溝328に連通する。基端面302において、貫通孔342の開口が上述の第1基端開口310に相当し、貫通孔344の開口が上述の第2基端開口314に相当する。
また、貫通孔342及び344には、弁部材346及び348が設けられる。これらの弁部材346及び348は、例えば、内視鏡挿入部102や処置具挿入部202を挿通する場合にだけ開口して内視鏡挿入部102や処置具挿入部202の外周面(側面)にほぼ隙間なく密接する。これにより弁部材346及び348よりも先端側の空間の気密性が確保され、体腔内に注入した気腹ガスの体外への漏れ等が軽減される。
先端キャップ360は、硬質樹脂や金属等により形成されており、その前側の端面が外套管300の先端面304を構成する。この先端キャップ360には、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308の各々の一部を形成する貫通孔362と貫通孔364とが設けられ、貫通孔362及び364は、各々、外套管長筒部320の内視鏡ガイド溝326及び処置具ガイド溝328に連通する。先端面304において、貫通孔362の開口が上述の第1先端開口312に相当し、貫通孔364の開口が第2先端開口316に相当する。
なお、以上の外套管長筒部320、基端キャップ340、及び先端キャップ360は、外套管300の外套管本体を構成する構成部材の一形態を示し、外套管本体は、以上の構成に限らない。例えば、外套管長筒部320と基端キャップ340、又は、外套管長筒部320と先端キャップ360とは、一体形成されたものでもよく、また、全体が一体形成されたものでもよい。
また、図5等において先端面304は平坦な形状で簡易に示すが、詳細な形状については後述する。
上述の外套管長筒部320におけるスライダ400は、第1挿通路に挿通された第1医療器具の第1挿入部に連結される第1連結部と、第2挿通路に挿通された第2医療器具の第2挿入部に連結される第2連結部とを有する連動部材であり、隔壁部材324とスライダ400とは第1連結部と第2連結部とを有する連結機構を構成する。
図6は、図5においてスライダ400が配置された部分を抽出して示した部分拡大図であり、図7及び図8は、外套管長筒部320における長筒体322を省略して外套管300を基端側の左右の異なる方向から示した斜視図である。これらの図に示すように、スライダ400は、筒状の長筒体322の内部において内視鏡ガイド溝326と処置具ガイド溝328とを有する円柱状の隔壁部材324に支持される。
隔壁部材324は、中実の絶縁体であり、図9のような構造を有し、長筒体322の内部において基端キャップ340から先端キャップ360まで延在する。
隔壁部材324の左側には内視鏡挿通路306の一部を形成する溝であって、隔壁部材324の基端から先端まで基準軸300aに平行に延びる内視鏡ガイド溝326が形成される。隔壁部材324の右側には処置具挿通路308の一部を形成する溝であって、隔壁部材324の基端から先端まで基準軸300aに平行に延びる処置具ガイド溝328が形成される。
即ち、隔壁部材324は、第1挿通路の一部を構成する第1ガイド溝の一形態として内視鏡ガイド溝326を有し、第2挿通路の一部を構成する第2ガイド溝の一形態として処置具ガイド溝328を有する。また、隔壁部材324は、第1挿通路と第2挿通路との間の仕切り壁を形成する。
この隔壁部材324により、外套管300に挿入された内視鏡挿入部102及び処置具挿入部202が各々に対応する内視鏡挿通路306及び処置具挿通路308の領域から外れることなく、それらの挿通路を確実に進行するようになり、外套管300に対する内視鏡挿入部102及び処置具挿入部202の挿入作業が容易となる。
また、内視鏡挿通路306に挿通された内視鏡挿入部102と処置具挿通路308に挿通された処置具挿入部202とが外套管300の内部で接触することが防止されると共に電気的に絶縁される。そのため、処置具200が電気を使用するものである場合であっても処置具200から内視鏡100への漏電(高周波電気等)や電気ノイズなどの発生を防止することができ、内視鏡100の損傷等を未然に防止することができる。
スライダ400は、図6、図7、及び図8に示すように、隔壁部材324の外周部に外嵌され、隔壁部材324に対して基準軸300aに沿って進退自在に移動するリング状の駆動部材であって、スライダ400の構成部品を一体的に連動させる連結リング402と、図6に示すように隔壁部材324の内視鏡ガイド溝326の内部に第1固定具として配置される内視鏡固定具430と、隔壁部材324の処置具ガイド溝328の内部に第2固定具として配置される処置具固定具450とを有する。
図10には連結リング402のみが示されている。連結リング402は、隔壁部材324の外周を周方向に囲む筒状のリング部404であって、内視鏡ガイド溝326及び処置具ガイド溝328以外の部分の隔壁部材324の外周面に接触又は近接する筒状のリング部404と、リング部404の処置具ガイド溝328に対向する部分及び処置具ガイド溝328に対向する位置に沿ってリング部404から前後方向に延設された部分とからなるアーム部406とを有する。
アーム部406は第2固定具である処置具固定具450(図6参照)に係合する第2係合部として作用し、その基端と先端の各々には、処置具固定具450の進退移動を規制する第2規制部であって、処置具ガイド溝328の内部に挿入配置される後規制端408と前規制端410とが設けられる。そして、後規制端408と前規制端410の各々には処置具挿入部202が挿通する開口408A及び410Aが設けられる。
また、リング部404において内視鏡ガイド溝326に対向して配置される部分には、第1固定具である内視鏡固定具430に係合する第1係合部404Aであって、左右方向に直交する平面に沿って前後方向に延びる平坦な第1係合部404Aが形成される。
この第1係合部404Aと処置具ガイド溝328の内部に挿入配置される後規制端408及び前規制端410とにより、隔壁部材324に対する連結リング402の軸周り方向(基準軸300a周り方向)の回転が規制される。
そして、連結リング402は、外套管長筒部320内において隔壁部材324により前後方向に進退移動可能に支持され、かつ、上下左右方向への移動や全方向(前後、左右、上下の3軸周り方向)への回転が規制された状態(少なくとも基準軸300a周りの回転が不能な状態)で支持される。また、連結リング402は、連結リング402(後規制端408)が基端キャップ340に当接する位置を後端、連結リング402(前規制端410)が先端キャップ360に当接する位置を前端とする移動可能範囲内で進退移動する。
図11は、図6におけるA−A矢視断面図であり、図12は、図7の状態において、連結リング402のリング部404よりも基端側のアーム部406と交差する位置で基準軸300aに垂直な平面で外套管300を切断したものを示した斜視図である。また、図13は、図12の連結リング402を省略して示した斜視図であり、図14は、図13の外套管300を右側から示した斜視図である。
図6及び図11に示すように、スライダ400は、連結リング402の内側において、内視鏡挿入部102と連結(係合)される左側の内視鏡連結部420と、処置具挿入部202と連結(係合)される右側の処置具連結部422とを有する。
即ち、スライダ400は、第1挿通路に挿通された第1医療器具の第1挿入部に連結される第1連結部として内視鏡連結部420を有し、第2挿通路に挿通された第2医療器具の第2挿入部に連結される第2連結部として処置具連結部422を有する。
スライダ400の左側に設けられる内視鏡連結部420は、具体的には、図6、図11、及び図13に示すように、内視鏡ガイド溝326の内部に配置され、内視鏡挿通路306に沿って前後方向に進退自在に移動する第1固定具の一形態である内視鏡固定具430を具備する。
内視鏡固定具430は、内視鏡ガイド溝326の内壁面に近接又は接触する筒状の枠体432と、枠体432の内側に固定され、弾性ゴムなどの弾性材により形成された筒状の圧接部材434とから構成される。
枠体432の外周部には、内視鏡ガイド溝326の開口に対向する位置において周方向に沿った位置から径方向に突出する突部436が設けられる。その突部436は、図6、図10及び図12に示すように連結リング402のリング部404における第1係合部404Aに形成された第1規制部の一形態である係合孔412に挿通され、前後方向に係止される。
これによれば、内視鏡固定具430の突部436と連結リング402の係合孔412との係合により、内視鏡固定具430と第1係合部404Aとが係合し、連結リング402に対する内視鏡固定具430の前後方向の相対的な進退移動が規制される。したがって、連結リング402と内視鏡固定具430とが一体的に前後方向に進退移動する。
また、内視鏡挿通路306に内視鏡挿入部102を挿通させたときには、内視鏡挿入部102が圧接部材434の内側を挿通し、かつ、内視鏡挿入部102の外周面に圧接部材434が圧接(係合)して内視鏡固定具430が内視鏡挿入部102に固定される。そして、内視鏡挿入部102の中心軸が内視鏡挿通軸306aと略同軸上に配置される。
したがって、内視鏡挿入部102とスライダ400(連結リング402)とが内視鏡固定具430を介して連動可能に連結(係合)され、内視鏡挿入部102の前後方向(軸方向)への進退移動に連動してスライダ400(連結リング402)も一体的に進退移動する状態となる。
なお、ここでの連結は、圧接部材434の弾性力によるものなので、スライダ400(連結リング402)に対して連結される内視鏡挿入部102の係合位置(内視鏡挿入部102においてスライダ400が係合される位置)を任意に調整することができる。
また、内視鏡固定具430の枠体432は、内視鏡ガイド溝326の内部において軸周り方向の移動(回転)が不能な形状を有しており、内視鏡固定具430は内視鏡ガイド溝326内において前後方向への進退移動のみが許容される。
スライダ400の右側に設けられる処置具連結部422は、具体的には、図6、図11、及び図14に示すように、処置具ガイド溝328の内部であって連結リング402のアーム部406の後規制端408と前規制端410(図10等参照)との間の範囲に配置された処置具固定具450であって、処置具ガイド溝328に沿って前後方向に進退自在に移動する第2固定具である処置具固定具450を具備する。
処置具固定具450は、処置具ガイド溝328の内壁面に近接又は接触する筒状の枠体452と、枠体452の内側に固定され、弾性ゴムなどの弾性材により形成された筒状の圧接部材454とから構成される。なお、圧接部材454の内周面は、処置具挿入部202の直径が比較的大きく異なる複数種のものに対しても適切に係合可能なように周方向に対して凹凸が繰り返される形状に形成される。
これによれば、処置具挿通路308に処置具挿入部202を挿通させたときには、処置具挿入部202が圧接部材454の内側を挿通し、かつ、処置具挿入部202の外周面に圧接部材454が圧接(係合)して処置具固定具450が処置具挿入部202に固定される。そして、処置具挿入部202の中心軸が処置具挿通軸308aと略同軸上に配置される。
したがって、処置具挿入部202の前後方向(軸方向)への進退移動に連動して処置具固定具450も一体的に進退移動する状態となる。また、処置具挿入部202の軸周りの回転に連動して処置具固定具450も処置具ガイド溝328の内部で回転する。
なお、ここでの処置具挿入部202と処置具固定具450との連結は、圧接部材454の弾性力によるものなので、処置具固定具450に対して連結される処置具挿入部202の係合位置(処置具挿入部202において処置具固定具450が係合される位置)を任意に調整することができる。
また、処置具固定具450の後側には、連結リング402のアーム部406における後規制端408が配置され、処置具固定具450の前側には、アーム部406における前規制端410が配置される。
したがって、アーム部406は、連結リング402に対する処置具固定具450の前後方向の進退移動を、処置具固定具450が後規制端408に当接する位置から前規制端410に当接する位置までの範囲で許容すると共に、その範囲で規制する。
これにより、連結リング402は、内視鏡固定具430と処置具固定具450のいずれか一方の進退移動に対して内視鏡固定具430と処置具固定具450の他方を進退移動させない不感帯領域を有する。
一方、処置具固定具450が前後方向に進退移動した際、又は、内視鏡固定具430とともに連結リング402が前後方向に進退移動した際に、処置具固定具450は後規制端408又は前規制端410に当接する。この状態において、連結リング402は、内視鏡固定具430と処置具固定具450のうちのいずれか一方の進退移動(処置具固定具450と後規制端408又は前規制端410とが離間しない方向への進退移動)に対して内視鏡固定具430と処置具固定具450のうちの他方を進退移動させる感帯領域を有する。
以上のスライダ400の構成により、スライダ400は、外套管300の内視鏡挿通路306に挿通されて内視鏡固定具430と連結された内視鏡挿入部102と、処置具挿通路308に挿通されて処置具固定具450と連結された処置具挿入部202とのうち、いずれか一方の前後方向(軸方向)への進退移動に対して他方が連動せずに進退移動しない不感帯領域と、いずれか一方の進退移動に対して他方が連動して進退移動する感帯領域とを有する。即ち、内視鏡挿入部102は、スライダ400によって、処置具挿入部202の軸方向の進退移動に対して遊びを持って連動するようになっている。
以上のように構成された外套管300の作用について、内視鏡用外科手術装置10を使用して患者の体腔内の患部の処置を行う際の操作と共に説明する。
まず、図15の(A)部に示すように、外套管300を患者の体壁に刺入し、体腔内に気腹ガスを注入した後、外套管300の内視鏡挿通路306と処置具挿通路308の各々に内視鏡100(内視鏡挿入部102)と、処置具200(処置具挿入部202)とを挿通させて外套管300に内視鏡挿入部102と処置具挿入部202とを装着する。
このとき、内視鏡挿入部102は、隔壁部材324の内視鏡ガイド溝326によりスライダ400の内視鏡固定具430を挿通する位置に確実に案内されて内視鏡固定具430に連結される。
同様に、処置具挿入部202は、隔壁部材324の処置具ガイド溝328によりスライダ400の処置具固定具450を挿通する位置に確実に案内されて処置具固定具450に連結される。
なお、図15及び以下で示す図16では外装管500を図示していないが、外套管300には図3に示したように外装管500が被嵌される。ただし、外装管500を被嵌しないで外套管300を使用することも可能である。
そして、図15の(A)部の状態が、図17に示す状態であるとする。図17は、内視鏡挿入部102と処置具挿入部202と連結したスライダ400の状態を示した断面図であり、処置具固定具450が連結リング402(アーム部406)に対する移動可能範囲の前端及び後端のいずれにも到達していない状態を示す。即ち、処置具固定具450が後規制端408及び前規制端410のいずれにも到達していない状態を示す。
このとき、術者が処置具200の操作部204を把持している手で、処置具挿入部202を微小に前進させると、処置具固定具450のみが連結リング402に対する移動可能範囲内で前進移動し、外套管300(外套管長筒部320)に対して連結リング402が移動しない。
そのため、処置具固定具450が連結リング402に対する移動可能範囲の前端(前規制端410)に到達するまでの処置具挿入部202の前進移動に対しては、図15の(B)部に示すように内視鏡挿入部102が静止した状態で処置具挿入部202のみが前進する。即ち、スライダ400は、処置具挿入部202の進退移動に対して内視鏡挿入部102が連動しない不感帯領域を有し、このときの処置具200の前進操作はスライダ400の不感帯領域での進退操作となる。
同様に、図17に示す状態であるとしたとき、術者が処置具200の操作部204を把持している手で、処置具挿入部202を微小に後退させると、処置具固定具450のみが連結リング402に対する移動可能範囲内で後退移動し、外套管300(外套管長筒部320)に対して連結リング402が移動しない。
そのため、処置具固定具450が連結リング402に対する移動可能範囲の後端(後規制端408)に到達するまでの処置具挿入部202の後退移動に対しては、図15の(C)部に示すように内視鏡挿入部102が静止した状態で処置具挿入部202のみが後退する。即ち、このときの処置具200の後退操作はスライダ400の不感帯領域での後退操作となる。
したがって、これらの処置具200の微小な進退操作、即ち、不感帯領域での進退操作に対しては、内視鏡100が進退移動しないので、モニタ112に内視鏡画像として表示される処置具200の先端部位や体腔内部位等の観察部位の範囲は変化せず、処置具200の微小変位に応じて観察部位の画像の大きさが変動してしまうことを防止することができる。これによって、遠近感を適切に保つことができ、安定した内視鏡画像を得ることができる。
一方、図17に示した状態において、術者が処置具200の操作部204を把持している手で、処置具挿入部202を大きく前進させると、スライダ400の処置具固定具450が移動可能範囲の前端(前規制端410)に当接するまでの不感帯領域での前進移動の後、図18に示すように処置具固定具450が連結リング402に対する移動可能範囲の前端(前規制端410)に到達した状態となる。そして、更に、処置具挿入部202が前進移動すると、処置具挿入部202とともに処置具固定具450及び連結リング402が外套管長筒部320に対して前進移動する。そして、連結リング402とともに内視鏡固定具430が前進移動し、内視鏡挿入部102が内視鏡固定具430とともに前進移動する。したがって、内視鏡挿入部102が処置具挿入部202と連動して前進移動する。
そのため、処置具固定具450が連結リング402に対する移動可能範囲の前端(前規制端410)に到達した後の処置具挿入部202の前進移動については、図15の(A)部と同じ状態を示した図16の(A)部の状態に対して図16の(B)部に示すように処置具挿入部202と連動して内視鏡挿入部102が前進する。即ち、スライダ400は、処置具挿入部202の進退移動に対して内視鏡挿入部102が連動する感帯領域を有し、このときの処置具200の前進操作はスライダ400の感帯領域での前進操作となる。
同様に、図17に示した状態において、術者が処置具200の操作部204を把持している手で、処置具挿入部202を大きく後退させると、スライダ400の処置具固定具450が移動可能範囲の後端(後規制端408)に当接するまでの不感帯領域での後退移動の後、図19に示すように処置具固定具450が連結リング402に対する移動可能範囲の後端(後規制端408)に到達した状態となる。そして、更に、処置具挿入部202が後退移動すると、処置具挿入部202とともに処置具固定具450及び連結リング402が外套管長筒部320に対して後退移動する。そして、連結リング402とともに内視鏡固定具430が後退移動し、内視鏡挿入部102が内視鏡固定具430とともに後退移動する。したがって、内視鏡挿入部102が処置具挿入部202と連動して後退移動する。
そのため、処置具固定具450が連結リング402に対する移動可能範囲の後端(後規制端408)に到達した後の処置具挿入部202の後退移動に対しては、図16の(C)部に示すように処置具挿入部202と連動して内視鏡挿入部102が後退する。即ち、このときの処置具200の後退操作はスライダ400の感帯領域での後退操作となる。
したがって、これらの処置具200の大きな進退操作、即ち、感帯領域での進退操作に対しては、内視鏡100が進退移動するので、モニタ112に表示される内視鏡画像に写り込む観察部位の範囲が処置具200の進退移動に追従するように連続的に変更される。これにより、処置具200の操作に応じて内視鏡画像に写り込む処置具200の先端部位以外の観察部位の画像の大きさ及び観察部位の範囲の大きさが変化するので、術者が望む画像を簡単に得ることができる。
以上のように、術者が処置具挿入部202を軸方向に進退操作したとき、処置具挿入部202の軸方向への変位が大きい場合(大振幅の進退動作が行われた場合)には、前後上下左右に内視鏡挿入部102も連動して進退移動するので、術者の意図通りに内視鏡100の視野や向き等を変えることができる。また、視野は常に処置具200の先端部位を撮像することになり、処置するために最適な画像が自動で提供される。処置する箇所以外の部分を確認したい場合は、処置具挿入部202を動かすことにより確認ができ、術者が思い通りに操作できる。したがって、術者とは別に内視鏡100の操作を行う助手(スコピスト)を不要にすることができ、術者が助手に対して内視鏡100の視野や向き等を逐次指示しなければならないという煩わしさも無くすことができる。
また、処置具挿入部202の軸方向への変位が小さい場合(小振幅の進退動作が行われた場合)には、内視鏡挿入部102が連動しないため、内視鏡画像が不要に変動してしまうことを防止することができ、遠近感を適切に保ち、安定した内視鏡画像を提供することができる。
以上、上記実施の形態の外套管300は、内視鏡100(内視鏡挿入部102)が挿通される挿通路を第1挿通路とし、処置具200(処置具挿入部202)が挿通される挿通路を第2挿通路としたが、本発明は、任意の種類の2つの医療器具である第1医療器具と第2医療器具のうちの第1医療器具の第1挿入部が挿通される第1挿通路と、第2医療器具の第2挿入部が挿通される第2挿通路を備えた外套管に適用できる。
また、上記実施の形態において、外套管300の内部において進退自在に移動し、且つ第1挿通路に挿通された第1医療器具の第1挿入部に連結される第1連結部と、第2挿通路に挿通された第2医療器具の第2挿入部に連結される第2連結部とを有する連動部材であるスライダ400の構成や隔壁部材324とスライダ400とからなる連結機構の構成は一例であって、他の構成を有するものであってもよい。
また、上記実施の形態のスライダ400は不感帯領域を有するものであったが、本発明は、スライダ400が不感帯領域を有していない感帯領域のみを有する場合でも適用できる。さらに、本発明は、外套管300がスライダ400のような連動部材(連結機構)を有さず、単に2つの医療器具を挿通する第1挿通路と第2挿通路を有するものであってもよい。
また、上記実施の形態の外套管300では、第1挿通路である内視鏡挿通路306と第2挿通路である処置具挿通路308とが互いに平行に配置されたものとしたが、本発明はこれに限らず、第1挿通路と第2挿通路とが互いに斜交した外套管であっても適用できる。
即ち、上記実施の形態では、基準軸300aに対して内視鏡挿通路306の中心軸である内視鏡挿通軸306aと処置具挿通路308の中心軸である処置具挿通軸308aとが平行であり、内視鏡挿通軸306aと処置具挿通軸308aとが平行であるが、これらは必ずしも平行でなくてもよい。
例えば、第2挿通路である処置具挿通路308が上記実施の形態と同様に基準軸300aに対して平行に配置され、第1挿通路である内視鏡挿通路306が基準軸300aに対して斜交して配置される形態であっても本発明を適用できる。この形態の外套管について上記実施の形態の外套管300の変形例として具体的に説明する。変形例として示す以下の実施の形態において、上記実施の形態の構成要素と同一又は類似作用の構成要素には同一符号を付す。
図20は、その変形例である外套管300の外観斜視図である。
同図において、外套管300の基準軸300aに対して、処置具挿通路308の処置具挿通軸308aが平行に配置され、内視鏡挿通路306の内視鏡挿通軸306aが斜交する。
即ち、基準軸300aを含む上下方向に沿った平面を鉛直基準面とし、基準軸300aを含む左右方向に沿った平面を水平基準面とすると、処置具挿通軸308aは水平基準面と鉛直基準面の両方に対して平行である。
一方、内視鏡挿通軸306aは鉛直基準面に対して平行であり、水平基準面に対しては非平行であり、水平基準面に対して斜めに傾斜する。そして、内視鏡挿通軸306aは後方下側から前方上側に向けて傾斜し、例えば、外套管300の前後方向の略中間位置において水平基準面と交差する。
この図20に示す外套管300を構成する場合、外套管長筒部320における内視鏡ガイド溝326、基端キャップ340における貫通孔342及び先端キャップ360における貫通孔362は、内視鏡挿通軸306aに沿って水平基準面に対して斜めに形成される。
図21及び図22は、図20の外套管300を構成する場合の外套管長筒部320における隔壁部材324及びスライダ400を示した斜視図である。図22に示すように、隔壁部材324の処置具ガイド溝328は、上記実施の形態と同様に基準軸300aに平行な処置具挿通軸308aに沿って形成される。
一方、図21に示すように隔壁部材324の内視鏡ガイド溝326は、基準軸300aと非平行であって水平基準面に対して斜めの内視鏡挿通軸306aに沿って形成される。
また、内視鏡ガイド溝326の内部に配置される内視鏡固定具430は、前後方向への進退移動とともに隔壁部材324及び連結リング402に対して上下方向にも移動するため、内視鏡固定具430の外周部に形成された突部436も内視鏡固定具430の前後方向の位置に応じて連結リング402に対して上下方向に移動する。
そこで、連結リング402の平坦な第1係合部404Aに形成される係合孔412は、突部436の上下方向の移動範囲のうちの任意の位置で係合するように、図23の拡大図に示すように第1係合部404Aの範囲を超えて周方向(上下方向)に延びる長孔として形成される。
また、連結リング402の第1係合部404Aが左右方向に直交する平面であるため、連結リング402に対する内視鏡固定具430の上下方向に移動にかかわらず内視鏡固定具430(不図示)の外周面と第1係合部404Aとの距離が一定に維持される。そのため、突部436の突出量を少なくすることができ、外套管長筒部320の細径化が図られる。
一方、内視鏡ガイド溝326が斜めに形成される場合には、内視鏡ガイド溝326の開口が第1係合部404Aに対向する位置からずれるため、連結リング402の前後方向の移動によって第1係合部404Aが通過する隔壁部材324の範囲は、第1係合部404Aと干渉しないように平坦な面に沿って切り欠かれている。
このような外套管300によれば、細径化のため外套管300における内視鏡挿通路306と処置具挿通路308との間隔を狭くした場合でも外套管300を挿通した内視鏡挿入部102の先端と処置具挿入部202の先端とを離間させることができるため、処置具200の先端(処置部206)の状態を内視鏡100で観察し易くなるという利点がある。
次に、外套管300を体壁に穿刺する際に外套管300に装着して使用する内針600について説明する。なお、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308とが平行に配置される図1〜図19の外套管300に使用される内針と、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308とが斜交して配置された図20〜図23に示した外套管300に使用される内針とは特徴部分において構成上の大きな差異はないため、前者の内針について詳細な構成を説明する。
図24は、外套管300に装着される内針600を左上前側から示した斜視図であり、図25は、内針600が装着された外套管300を左下側から示した斜視図である。
なお、図1等に示した外装管500については省略する。
また、上記の外套管300の説明では、図面上においても外套管300の先端面304(先端キャップ360における先端面304)については平坦なものとして詳細な形状を省略したが、以下においては図25のように実施の形態に対応した形状を示す。
また、図25のように内針600が外套管300に装着された状態において外套管300の基準軸300aと同軸上に配置される内針600の軸を基準軸600aとする。
また、内針600の前後、左右及び上下の関係については、図25のように外套管300に装着された状態における外套管300の前後、左右及び上下の関係に従うものとする。
これらの図に示すように、内針600は、前後方向に平行に延びる左右に並設された2本の針部602及び610であって、外套管300の処置具挿通路308に挿入される右側の長針部602と、外套管300の内視鏡挿通路306に挿入され、長針部602よりも短い左側の短針部610とを有する。また、内針600は、長針部602と短針部610の基端側に、それらを一体的に固持する頭部620を有する。
ここで、外套管300の第1挿通路に挿通される内針600の針部を第1針部、外套管300の第2挿通路に挿通される内針600の針部を第2針部とすると、長針部602が第2針部に相当し、短針部610が第1針部に相当する。
また、頭部620は、図25のように内針600が外套管300に装着された状態(以下、「外套管300と内針600との装着状態」という)のとき、即ち、外套管300と内針600とが組み合わされた状態のときに、第1先端開口312に対する第1針部の先端部の位置と、第2先端開口316に対する第2針部の先端部の位置とを規定する位置決め部に相当する。
長針部602は、図24のように頭部620から先端側に基準軸600aと平行に棒状(筒状)に延在する軸部604を有する。
軸部604は、図25のように外套管300と内針600との装着状態のときに、軸部604の中心軸が外套管300の処置具挿通軸308aと略同軸上となる位置に配置される。
また、軸部604は、処置具挿通路308に挿通可能の太さを有する。そして、軸部604は、外套管300と内針600との装着状態であって長針部602が規定の位置まで処置具挿通路308に挿入された状態のときに、軸部604の先端が外套管300の先端面304(先端キャップ360)における第2先端開口316の開口面と略一致する長さを有する。
軸部604の先端には、先端に向かって先細となる傾斜面を有する先細り形状(円錐状)の先端部606が第2先端部として設けられる。そして、図25のように外套管300と内針600との装着状態のときに、その先端部606が第2先端開口316から突出した位置に位置決めされる。
なお、長針部602において、軸部604を中空の円筒部材としてその先端開口を透明部材で形成された先端部606により閉塞し、基端開口から軸部604の内部に内視鏡等の観察装置を挿入して長針部602の先端部606から先方の様子を観察できるようにしてもよい。
長針部602の先端部606の形状等についての詳細は後述する。
短針部610は、図24のように頭部620から先端側に基準軸600aと平行に棒状に延在する軸部612を有する。
軸部612は、図25のように外套管300と内針600との装着状態のときに、軸部612の中心軸が外套管300の内視鏡挿通軸306aと略同軸上となる位置に配置される。
また、軸部612は、内視鏡挿通路306に挿通可能な太さを有する。そして、軸部612は、外套管300と内針600との装着状態であって短針部610が規定の位置まで内視鏡挿通路306に挿入された状態のときに、軸部612の先端が外套管300の先端面304(先端キャップ360)における第1先端開口312の開口面と略一致する長さを有する。
なお、本実施の形態では、内視鏡挿通路306の内径の方が処置具挿通路308の内径よりも細いため(第2挿入部の内径が第1挿通路の内径よりも大きいため)、短針部610は長針部602よりも細い(長針部602の外径の方が短針部610の外径よりも大きい)。
軸部612の先端には、切刃部650を有する先端部614が第1先端部として設けられ、図25のように外套管300と内針600との装着状態のときに、その先端部614が第1先端開口312から突出した位置に位置決めされる。
なお、軸部612の先端の先端面304も第1先端部の構成要素とすることができる。
短針部610の先端部614の形状等についての詳細は後述する。
頭部620は、図24のように基準軸600aを中心軸とする円筒面の略下側半分の範囲に沿った側壁部622Aと側壁部622Aの基端における略半円板状の底部622Bとからなる頭部本体622を有する。
底部622Bには、長針部602の基端と短針部610の基端が固設される。
側壁部622Aには、基準軸600aの下側となる位置において前後方向に延びる長板状のロックレバー624が設けられる。ロックレバー624は前後方向の中央付近を支点にして先端部と基端部とが上下方向(基準軸600aに対して径方向)に揺動可能に支持される。なお、ロックレバー624は付勢手段により先端部が上向き(基準軸600aに対して径方向内向き)、基端部が下向きに付勢される。
ロックレバー624の先端部の上面側(基準軸600a側)には係止爪624Aが突設されており、この係止爪624Aは、外套管300の基端キャップ340に設けられた係止孔350(図25参照)に嵌合する形状を有する。
以上のごとく構成された内針600によれば、外套管300の第2基端開口314と第1基端開口310の各々から処置具挿通路308と内視鏡挿通路306とに内針600の長針部602と短針部610の各々を挿入していくと、図26のように内針600の頭部620が、外套管300の基端キャップ340に近づいていく。
そして、さらに内針600を挿入していくと、図25のように頭部本体622の側壁部622Aの前端が外套管300の基端キャップ340の基端面302に当接するとともに、ロックレバー624の係止爪624Aが基端キャップ340の係止孔350に嵌合する。これにより、内針600が外套管300に装着された状態、即ち、外套管300と内針600とが組み合わされた状態となる。
このとき、内針600の長針部602の先端部606と、短針部610の先端部614が外套管300の先端面304から突出した位置に位置決めされる。
内視鏡下外科手術を行う際には、外套管300と内針600との装着状態において、最も先端側に突出した長針部602の先端部606を体壁に形成した皮切部(切開創)等から体壁に穿刺して、外套管300を体腔内に挿入する。
一方、外套管300と内針600との装着状態において、ロックレバー624の基端部を押圧すれば、係止爪624Aを基端キャップ340の係止孔350から外すことができ、その状態で内針600を手元側に引き抜けば、内針600を外套管300から取り外すことができる。
続いて、外套管300の先端面304(先端キャップ360)と、内針600の長針部602の先端部606と、短針部610の先端部614の形状について説明する。
図27は、内針600が外套管300に装着されていない状態(以下、「内針600の非装着状態」という)において、外套管300の先端部分(先端キャップ360の周辺部)を示した斜視図であり、図28は、内針600の非装着状態において、外套管300の先端部分を上側から示した平面図であり、図29は、内針600の非装着状態において、外套管300の先端部分を先端側から示した正面図である。
これらの図に示すように外套管300の先端キャップ360は、処置具挿通路308の一部を形成する円柱状の貫通孔364であって外套管300と内針600との装着状態のときには長針部602が挿通される貫通孔364と、内視鏡挿通路306の一部を形成する円柱状の貫通孔362であって外套管300と内針600との装着状態のときには短針部610が挿通される貫通孔362とを有する。
また、先端キャップ360は、外套管長筒部320の先端の外周縁の各点から、それよりも先端側で基準軸300aよりも右側の位置(処置具挿通軸308a上の点)に向かって突出する先細り形状を基調とする先端面304、即ち、先端に向かって先細となる先細部を有し、その先端面304には、貫通孔364の先端開口である第2先端開口316と、貫通孔362の先端開口である第1先端開口312とが形成される。
第2先端開口316は、その中心位置が処置具挿通軸308aの通過位置であることから基準軸300aよりも右寄りの位置に形成されるとともに、第1先端開口312よりも前側(先端側)に突出した位置に形成される。
また、第2先端開口316は、基準軸300aに対して垂直方向に開口する。即ち、基準軸300a及び処置具挿通軸308aに略垂直な平面と貫通孔364との交差部分の円形の面を開口面として有する。したがって、第2先端開口316の開口面は、基準軸300a及び処置具挿通軸308aに略直交する。
第1先端開口312は、その中心位置が内視鏡挿通軸306aの通過位置であることから基準軸300aよりも左寄りの位置に形成されるとともに、第2先端開口316よりも後側(基端側)に形成される。
また、第1先端開口312は、基準軸300aに対して斜め方向に開口する。即ち、先端面304の傾斜に沿って基準軸300a及び内視鏡挿通軸306aに対して斜めに交差する平面と貫通孔362との交差部分の楕円形の面を開口面として有する。例えば、開口面は、基準軸300aを含む左右方向に沿った水平基準面に対して垂直で、かつ、基準軸300aを含む上下方向に沿った鉛直基準面に対して右側前方から左側後方に向かって斜めに交差する平面に沿う。したがって、第1先端開口312の開口面は、基準軸300a及び処置具挿通軸308aに近い側を前側にして傾斜する。
図30、図31及び図32は、各々、図27、図28及び図29の外套管300に対して内針600が装着された状態における外套管300の先端部分を示した斜視図、平面図及び正面図である。
これらの図に示すように外套管300と内針600との装着状態のときには、外套管300の先端キャップ360における第2先端開口316から先端側に内針600の長針部602の先端部606が突出配置され、第1先端開口312から先端側に内針600の短針部610の先端部614が突出配置される。
ここで、図33は、長針部602の先端部606周辺を上側から示した平面図であり、図34は、先端部606周辺を先端側から示した正面図である。
これらの図に示すように長針部602の先端部606は、軸部604の先端の円形の外周縁の位置から先端側に連設され、先端に向かって先細となる傾斜面630Sからなる先細り形状(円錐状)の針先部630であって先端が丸められた針先部630を有する。
また、針先部630の傾斜面630Sには、先端よりもわずかに基端側となる位置から傾斜面630Sに沿って後側(基端側)に直線状に延在する一対の切刃部632、634が第2切刃部として設けられる。
切刃部632及び634は、長針部602(軸部604)の中心軸に対して互いに対称となる位置に配置される。
また、切刃部632及び634は、基準軸300a(600a)に平行な平面であって、外套管300の先端部分において長針部602の中心軸の位置と短針部610の中心軸の位置とを通る平面に沿った位置に薄板状に突出して配置される。なお、本実施の形態では長針部602の中心軸と短針部610の中心軸は基準軸300aに平行であるため、切刃部632及び634は、長針部602の中心軸と短針部610の中心軸とを含む平面に沿った位置に薄板状に突出して配置される。
これによって、切刃部632及び634は長針部602の中心軸と直交する長さ成分を有する。
そして、外套管300と内針600との装着状態において、図30〜図32のように軸部604の先端が第2先端開口316の開口面に略一致する位置に配置され、針先部630と切刃部632及び634からなる先端部606が第2先端開口316の開口面から先端側に突出配置される。このとき、切刃部632及び634は外套管300の基準軸300aと直交する長さ成分を有する。
また、図35は、短針部610の先端部614周辺を上側から示した平面図であり、図36は、先端部614周辺を先端側から示した正面図である。
これらの図に示すように短針部610の軸部612の先端には、軸部612の中心軸に対して斜めに傾斜した平坦な先端面612Sが設けられる。
先端面612Sには、先端面612Sに沿って直線状に延在する切刃部650が第1切刃部として設けられる。
切刃部650は、長針部602の切刃部632及び634と共に同一平面に沿った位置に配置され、基準軸300a(600a)に平行な平面であって、外套管300の先端部分において長針部602の中心軸の位置と短針部610の中心軸の位置とを通る平面に沿った位置に薄板状に突出して配置される。本実施の形態では長針部602の中心軸と短針部610の中心軸は基準軸300aに平行であるため、切刃部650は、長針部602の中心軸と短針部610の中心軸とを含む平面に沿った位置に薄板状に突出して配置される。
これによって、切刃部650は、短針部610の中心軸と直交する長さ成分を有する。
また、切刃部650は、図35のように上側からみると三角形状に突出し、先端面612Sから突出した頂点が先端面612S上の他の2つの頂点のうちの先端側の頂点と前後方向に関して略同一位置となるように形成される。
そして、外套管300と内針600との装着状態において、軸部612の先端面612Sが第1先端開口312の開口面に沿って配置され、短針部610の先端部614(切刃部650)が第1先端開口312の開口面から先端側に突出配置される。このとき、切刃部650は長針部602の切刃部632及び634と同様に外套管300の基準軸300aと直交する長さ成分を有する。
また、長針部602の切刃部632及び634と短針部610の切刃部650とは、長針部602の中心軸と短針部610の中心軸とを含む同一平面に沿った位置に形成されることから、切刃部632及び634と切刃部650とを基準軸300aに垂直な面に投影したときに切刃部632及び634と切刃部650とが互いに同一直線に沿って、より具体的には同一直線上に、配置される。
なお、軸部612の先端面612Sが第1先端開口312の開口面に沿って配置されるとは、先端面612Sと第1先端開口312の開口面とが互いに平行であって面一となる場合はもちろんのこと、先端面612Sが第1先端開口312の開口面よりも基端側もしくは先端側の近傍位置に配置される場合や、さらには互いに略平行(実質的に平行)である場合も含む。
以上の外套管300の先端部分及び内針600の構成によれば、内針600が装着状態のときの外套管300(及び内針600)の先端部分は、外套管300の先端面304(先端キャップ360)と、長針部602の先端部606の針先部630(傾斜面630S)と、短針部610の軸部612の先端面612Sとにより、全体が先細り形状(円錐形)となる。
また、外套管300の先端部分を基準軸300aに垂直な面に投影すると、即ち、外套管300の先端部分を先端側から正面視すると、図32のように長針部602の先端部606の切刃部632及び634と、短針部610の先端部614の切刃部650とが互いに同一直線に沿った位置に配置される。
これによって、内針600が装着状態のときの外套管300(及び内針600)の先端部分の形状は、1つの挿通路を有する外套管に1本の針部を有する内針を装着した状態の外套管の先端部分と類似した形状となる。
そのため、外套管300を体壁に穿刺する際に要する挿入力量や外套管300を体壁に貫通させる際に要する貫通力に関して、外套管300の挿通路が2つであることの影響が少なく、必要な挿入力量及び貫通力を小さくすることができ、外套管300の穿刺を行い易くすることができる。
また、切刃部632、634及び650が一直線状に配置されることにより体壁に対する切り裂き作業が大きく損なわれることなく、外套管300を体壁に穿刺する際の体壁、内針600及び外套管300の挿入負荷を低減することができる。
図37Aから図37Cには、外套管300と内針600との装着状態において、外套管300の先端部分の形状が互いに異なる3つの形態が示されている。図37Aは本実施の形態を示す。図37Bは、本実施の形態と比較して、外套管300の先端面304が平坦である点、及び、内針600の短針部610が先端部614(切刃部650)を有していない点で相違する第1比較形態を示す。図37Cは、本実施の形態と比較して、内針600の短針部610が先端部614(切刃部650)を有していない点で相違する第2比較形態を示す。
一方、図38には、それらの3つの形態の各々を体壁に穿刺する際に要する貫通力の大きさが棒グラフとして示されている。図38の(A)部で示すグラフが本実施の形態の貫通力を示し、図38の(B)部で示すグラフが第1比較形態の貫通力を示し、図38の(C)部で示すグラフが第2比較形態の貫通力を示す。また、図38の(A)部から(C)部の各々には、各形態の貫通力として、外套管300の軸(基準軸300a)方向への前進(並進)のみによる穿刺を条件とした第1条件の場合と、外套管300の軸方向への前進(並進)とともに軸周りの回転による穿刺を条件とした第2条件の場合と、外套管300の軸方向への前進(並進)とともに軸と直交する左右方向への首振りによる穿刺を条件とした第3条件の場合とが左から順に示されている。
図38の(A)部から(C)部の各々が示すように、いずれの形態においても、第1条件での穿刺が最も大きな貫通力を要し、本実施の形態及び第2比較形態では、第3条件での穿刺が最も小さな貫通力を要する。第1比較形態では、第2条件と第3条件での穿刺が略同程度の貫通力を要する。
一方、穿刺の条件を固定した場合に第1条件から第3条件のいずれにおいても貫通力は、第1比較形態、第2比較形態、本実施の形態の順に小さくなる。また、本実施の形態は、全ての条件における貫通力が、第1比較形態及び第2比較形態におけるいずれの条件での貫通力よりも小さい。
このような比較から分かるように、外套管300の装着状態における外套管300の先端部分の形状を先細り形状(円錐形)としたことで、第1比較形態に対する第2比較形態及び本実施の形態のように貫通力が低減される。
また、長針部602の先端部606と短針部610の先端部614とに同一直線に沿って切刃部632、634及び650を形成したことで、第2比較形態に対する本実施の形態のように貫通力が低減される。
なお、図37Bの第1比較形態に対して短針部610の切刃部650を設けた場合のように短針部610が切刃部650を有するか否かの違いだけでも貫通力に相違が生じ、短針部610が切刃部650を有することで貫通力を低減する効果がある。
続いて、内針600の短針部610の先端部614の他の形態について説明する。
図39Aから図39Eは、外套管300と内針600との装着状態のときの外套管300の先端部分の形状を簡易化して上側又は左側から示した平面図又は側面図であって、短針部610の先端部614に形成される第1切刃部の複数の異なる形態を例示した図である。
図39Aは、短針部610の先端部614に形成される第1切刃部が上記実施の形態の切刃部650に相当する場合を示す。第1切刃部と長針部602の先端部606に形成される第2切刃部(切刃部632及び634)とを基準軸300aに垂直な面に投影したときに、第1切刃部である切刃部650と第2切刃部である切刃部632及び634とは同一直線に沿って配置される。また、切刃部650は、外套管300の先端面304に対して三角形状に突出し、先端面304から突出する頂点は他の2つの頂点のうちの先端側の頂点の位置と前後方向の位置に関して略一致する。
これに対して、短針部610の先端部614に形成される第1切刃部は、基準軸300aに垂直な面に投影したときに長針部602の先端部606に形成される第2切刃部(切刃部632及び634)と同一直線に沿って配置されるものであれば、図39Bから図39Eのような形態を採用してもよい。図39Bから図39Eのような形態であっても体壁に対する切り裂き作用が大きく損なわれることなく、挿入負荷を低減することが可能となるという作用効果を得ることができる。
なお、第1切刃部と第2切刃部とが同一直線に沿って配置されるとは、第1切刃部と第2切刃部とが同一直線上である場合はもちろんのこと、同一直線上ではないが互いに平行である場合も含み、さらには同一直線上ではなく互いに平行でないが略平行(実質的に平行)である場合も含む。
図39Bの形態は、図39Aの形態と比較して、短針部610の先端部614に形成される第1切刃部651の突出形状が相違する。この第1切刃部651は、図39Aと同様に軸部612の先端面612S(第1先端開口312の開口面)に対して三角形状に突出するが、先端面612Sから突出した第1切刃部651の頂点が先端面612S上の他の2つの頂点よりも先端側に突出する。
図39Cの形態は、図39Aの形態と比較して、短針部610の先端部614に形成される第1切刃部652の突出形状が相違する。この第1切刃部652は、先端面612S(第1先端開口312の開口面)に対して円弧状に突出する。
図39Dの形態は、図39Aの形態と比較して、短針部610の先端部614に形成される第1切刃部653の刃数が相違する。この第1切刃部653には、図39Aと同様の突出形状を有する2つの切刃が直列に配置される。ただし、各切刃の突出形状は図39B又は図39Cと同様のものであってもよいし、3つ以上の切刃を直列に配置してもよい。
図39Eは、外套管300の先端部分を左側から示した側面図であり、図39Eの形態は、図39Aの形態と比較して、短針部610の先端部614に形成される第1切刃部654の刃数が相違する。この第1切刃部654には、図39Aと同様の突出形状を有する2つの切刃が並列に配置される。ただし、各切刃の突出形状は図39B又は図39Cと同様のものであってもよいし、3つ以上の切刃を並列に配置してもよい。
以上、上記実施の形態の内針600は、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308とが平行に配置される図1〜図19の外套管300(以下、図4の外套管300という)に使用されるものであるが、内視鏡挿通路306と処置具挿通路308とが斜交して配置された図20〜図23に示した外套管300(以下、図20の外套管300という)に対しても略同様の構成の内針を用いることができる。
図40は、図20の外套管300に用いられる内針600を示す。図40の内針600において、図24に示した上記の内針600と同一又は類似の作用の構成要素には同一符号を付しているが、部材として相違するものは存在しない。
一方、図40の内針600は、図20の外套管300の内視鏡挿通路306と処置具挿通路308とが斜交していることに対応して、基準軸600aに対して長針部602が平行であるのに対して、基準軸600aに対して短針部610が斜交する。そして、それらの長針部602及び短針部610は、図20の外套管300と図40の内針600との装着状態において、長針部602の中心軸が処置具挿通軸308aと略同軸上となるように、かつ、短針部610の中心軸が内視鏡挿通軸306aと略同軸上となるように配置される。
また、図41は、図20の外套管300と図40の内針600との装着状態のときの外套管300の先端部分を先端側から示した正面図である。同図に示すように図20の外套管300においては、図4の外套管300と比較して第1先端開口312の位置が上側に変位している(図32参照)ため、短針部610の軸部612の先端面612Sの位置も長針部602の先端部606に対して上側となる。
これに対して、長針部602の先端部606における切刃部632及び634と、短針部610の先端部614における切刃部650とは、図24の内針600と同様に、基準軸300a(600a)に平行な平面であって、外套管300の先端部分において長針部602の中心軸の位置と短針部610の中心軸の位置とを通る平面に沿った位置に薄板状に突出して配置される。
これによって、切刃部632及び634と切刃部650とを基準軸300aに垂直な面に投影したときに切刃部632及び634と切刃部650が同一直線に沿って配置されたものとなる。