JPH0239446Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は内視鏡や、組織片を採取する生検鉗子
等の処置具を体腔内に挿入するための穿刺孔を作
るトラカール内針の改良に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 一般に、硬性内視鏡や生検鉗子等の処置具を体
腔内に挿入する場合、メス等で切開することを避
け、これら処置具を体腔内へ案内するための穿刺
孔を体腔表面から形成する方法がとられる。この
場合に必要な器具としてトラカール内針およびト
ラカール外套管が用いられる。

従来のトラカール内針は、実開昭59−26601号
公報に記載されているように、刺入し易いように
中央先端が鋭くなつた形状に針先が形成されてい
る。このため、穿刺する部位の体腔内空間が、例
えば顎の関節腔、中手指関節、中足趾関節等のよ
うに非常に狭い場合には、トラカール内針の穿刺
時、針先が適正腔に達したかどうかの判断がむず
かしく、術者の経験にたよつており、体腔内組織
を傷つける可能性があり、安全性が欠けるもので
あつた。

又、先端角を大きくしたトラカール内針では穿
刺性が悪く、刺入する機能が不充分になり、簡単
に刺入できなくなるという問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は上記した点に鑑みてなされたもので、
穿刺時に筋や腱、靭帯などの組織を損傷する虞れ
がなく、安全性の高いトラカール内針を提供する
ことを目的とする。

［考案の概要］ 上記目的を達成するため、本考案はトラカール
内針の刃先を線状に広げた刃部を構成する事で、
穿刺性を損うことなく組織への損傷事故を防止す
るようにしたものである。

［考案の実施例］ 以下本考案を図示の実施例について説明する。

第１図は本考案にかかるトラカール内針の一実
施例を示す平面図であり、第２図は同上装置の先
端部を示す側面図である。また、第３図及び第４
図は使用状態を説明する説明図である。

第１図及び第２図において、符号１は本考案に
かかるトラカール内針を示し、体腔内に刺入され
る挿入部２と手元側把持部３とから構成され、挿
入部２の先端部に本考案の特徴とする刃部４が形
成されている。刃部４は、例えば円柱状をなす挿
入部２の先端よりやや把持部側の対向側面より先
端方向に緩かに先細り状に傾斜する２つの刃面４
ａ，４ａが形成され、これら刃面４ａ，４ａが交
わる交線がトラカール内針１の刃先４ｂを構成し
ている。この刃先４ｂは挿入部２の軸芯に垂直な
方向に線状をなし、且つ軸芯を含むように挿入部
２の直径と一致する先端位置に形成されている。
したがつて刃面４ａ，４ａは挿入部２の軸芯を含
む面に対称となる。ここで刃面４ａと挿入部２の
軸芯との成す角Ａは例えば20゜〜25゜に設定される
ことが望ましい。また、刃先４ｂの両端部４ｃ，
４ｃは曲面状に面取りされている。

上記構成に基づく作用を次に説明する。

本考案は上記のごとく刃先４ｂを線状に形成し
たことで、生体の表面から本トラカール内針１を
刺入する際、第３図に示すように筋、腱等の組織
５を損傷することなく目的とする部位に挿入部２
を刺入する事が可能となる。即ち、本考案による
刃先４ｂ及び刃面４ａ，４ａは組織５をより分け
て前進するので、従来のように先端が角錐状又
は、円錐状に鋭利な刃先に比べ組織５を刺傷して
しまうことがないのである。

第４図は本考案に係るトラカール内針１の使用
例の一例を示すもので、膝関節に刺入する場合の
例示である。

同図に示すように、膝関節は大腿骨６、脛骨７
の対向する部分表面等に軟骨８が形成された関節
で、関節腔９の前面（図示では左部側）に大腿四
頭筋の終腱が関与し、その中に膝蓋骨１０が位置
している。又、膝蓋骨１０の外側部位に膝蓋靭帯
１１がある。

このような関節腔９に、外套管１２に挿通され
た上記実施例のトラカール内針１を、例えば矢符
ＢあるいはＣに示す方向から刺入すれば、刃部４
の先端角（2XA）が適切な値に選定されている
ので、円滑に刺入できると共に、刺入した刃部４
の刃先４ｂが関節腔９に届くまでに靭帯１１が存
するが、本考案では、刃先４ｂが線状に形成され
ているため、靭帯１１に突き刺さる虞れがない
上、刃先４ｂで損傷を与えられる率が極めて少な
く組織の損壊が軽減される。そして、刃部４が関
節腔９に到達した後は、トラカール内針１を抜去
すれば、硬性内視鏡あるいは鉗子等の処置具を外
套管１２を介して挿入可能となり、目的部位を観
察あるいは診断したり、処置具を挿入して治療処
置等をすることができる。この場合、処置具径が
外套管１２の内径より大きい場合は、穿刺孔を拡
開することのできる外套管を用いる。

こうして本考案は、安全性の高いトラカール内
針を実現するものである。

尚、刃部４は第１図に示す実施例のように刃先
４ｂの両端部４ｃ，４ｃを面取りすることなく、
第５図に示すように直角状にしてもよく、更に第
６図に図示の如く刃部４の基端部側から先端に掛
けて細くなるようにしても良い。前者の場合に
は、刺入開始時、直角状の両端部４ｃ，４ｃのう
ちいずれか一方を先に刺入してから全体を刺入す
ようにすれば、刺入性が損われることはない。ま
た、後者の場合には、体腔内での前進性能が前者
よりも優れている。また、各図において刃面４
ａ，４ａはやや内側に湾曲した形状で示している
が、平端面あるいは外側に脹らんだ形状としても
よい。また、刃先４ｂは、挿入部２の軸芯位置を
通る線に一致させる必要はない。この場合には、
刃面４ａ，４ａは、挿入部２の軸芯を含む面の左
右で非対称となるが、刺入性に方向性を持たせる
ことができる利点がある。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、トラカー
ル内針の刃先を線状に構成したので、体腔内へ内
針を挿入するとき、筋、腱、靭帯等の組織を傷付
けることなく穿刺孔を形成する事が出来、極めて
安全性の高い処置を行うことができるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るトラカール内針の一実施
例を示す平面図、第２図は同上装置の挿入部を示
す側面図、第３図は本考案による刺入状態を示す
説明図、第４図は本考案の内針の一使用例を示す
説明図、第５図および第６図は本考案によるトラ
カール内針の刃部の他の形状を示す説明図であ
る。 １……トラカール内針、２……挿入部、３……
把持部、４……刃部、４ａ……刃面、４ｂ……刃
先。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 挿入部先端において、刃先が該挿入部の軸に
   略垂直な方向に線状に形成され、この刃先から
   挿入部側面にかけて斜面をなす刃面を形成して
   成るトラカール内針。 (2) 前記線状の刃先は、挿入部の軸芯を含むよう
   に形成されることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項に記載のトラカール内針。 (3) 前記刃面は、挿入部の軸方向に対し20度乃至
   25度の傾斜角をなして形成されることを特徴と
   する実用新案請求の範囲第１項および第２項の
   いずれかに記載のトラカール内針。