以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下に説明する実施の形態及び実施例において、同一部分または同様の機能を有する部分には、同一の符号または同一のハッチパターンを異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
また、本明細書にて用いる第1、第2、第3などの用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。ただし、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
本明細書において、フォトリソグラフィ工程を行った後にエッチング工程を行う場合は、フォトリソグラフィ工程で形成したマスクは除去するものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、開口率が高く、且つ電荷容量を増大させることが可能な容量素子を有する半導体装置において、コストを削減することが可能な作製方法を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、消費電力を低減する可能な半導体装置において、コストを削減することが可能な作製方法を提供することを課題の一とする。
なお、金属酸化物において、半導体特性を有する金属酸化物である酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、トランジスタの電気特性の不良に繋がる欠陥の一例として酸素欠損がある。例えば、膜中に酸素欠損が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナス方向に変動しやすく、ノーマリーオン特性となりやすい。これは、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損に起因して電荷が生じ、低抵抗化するためである。トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作時に動作不良が発生しやすくなる、または非動作時の消費電力が高くなるなどの、様々な問題が生じる。また、経時変化やストレス試験により、トランジスタの電気特性、代表的にはしきい値電圧の変動量が増大するという問題がある。
また、酸素欠損に限らず、絶縁膜の構成元素であるシリコンや炭素等の不純物も、トランジスタの電気特性の不良の原因となる。このため、該不純物が、酸化物半導体膜に混入することにより、当該酸化物半導体膜が低抵抗化してしまい、経時変化やストレス試験により、トランジスタの電気特性、代表的にはしきい値電圧の変動量が増大するという問題がある。
そこで、本実施の形態では、発明が解決しようとする課題の他に、酸化物半導体膜を有するトランジスタを備える半導体装置において、チャネル領域である酸化物半導体膜への酸素欠損、及び酸化物半導体膜の不純物濃度を低減することを課題の一とする。
本実施の形態では、上記課題の一を解決する方法として、半導体装置の作製方法について図面を参照して説明する。本実施の形態では、多階調フォトマスクを用いた工程により、チャネル領域を有する金属酸化物膜と、ソース電極及びドレイン電極とを形成することを特徴とする。
図1(A)に、半導体装置の一例を示す。図1(A)に示す半導体装置は、画素部11と、走査線駆動回路14と、信号線駆動回路16と、各々が平行または略平行に配設され、且つ走査線駆動回路14によって電位が制御されるm本の走査線17と、各々が平行または略平行に配設され、且つ信号線駆動回路16によって電位が制御されるn本の信号線19と、を有する。さらに、画素部11はマトリクス状に配設された複数の画素13を有する。また、信号線19に沿って、各々が平行または略平行に配設された容量線15を有する。なお、容量線15は、走査線17に沿って、各々が平行または略平行に配設されていてもよい。また、走査線駆動回路14及び信号線駆動回路16をまとめて駆動回路部という場合がある。
各走査線17は、画素部11においてm行n列に配設された画素13のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素13と電気的に接続される。また、各信号線19は、m行n列に配設された画素13のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素13に電気的と接続される。m、nは、ともに1以上の整数である。また、各容量線15は、m行n列に配設された画素13のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素13と電気的に接続される。なお、容量線15が、信号線19に沿って、各々が平行または略平行に配設されている場合は、m行n列に配設された画素13のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素13に電気的と接続される。
図1(B)、(C)は、図1(A)に示す表示装置の画素13に用いることができる回路構成の一例を示している。
図1(B)に示す画素13は、液晶素子21と、トランジスタ22と、容量素子25と、を有する。
液晶素子21の一対の電極の一方の電位は、画素13の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子21は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。また、複数の画素13のそれぞれが有する液晶素子21の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素13毎の液晶素子21の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
なお、液晶素子21は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子21としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、サーモトロピック液晶、ライオトロピック液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶等が挙げられる。
液晶素子21を有する表示装置の駆動方法としては、例えば、TNモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
また、ブルー相(Blue Phase)を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物により液晶素子を構成してもよい。ブルー相を示す液晶は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため、配向処理が不要であり、且つ視野角依存性が小さい。
図1(B)に示す画素13の構成において、トランジスタ22のソース電極及びドレイン電極の一方は、信号線19に電気的に接続され、他方は液晶素子21の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ22のゲート電極は、走査線17に電気的に接続される。トランジスタ22は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。なお、トランジスタ22は、実施の形態1乃至実施の形態7のいずれかに示すトランジスタを用いることができる。
図1(B)に示す画素13の構成において、容量素子25の一対の電極の一方は、電位が供給される容量線15に電気的に接続され、他方は、液晶素子21の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、容量線15の電位の値は、画素13の仕様に応じて適宜設定される。容量素子25は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図1(B)の画素13を有する表示装置では、走査線駆動回路14により各行の画素13を順次選択し、トランジスタ22をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素13は、トランジスタ22がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図1(C)に示す画素13は、表示素子のスイッチングを行うトランジスタ33と、画素の駆動を制御するトランジスタ22と、トランジスタ35と、容量素子25と、発光素子31と、を有する。
発光素子31の一例としては、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に挟まれたEL層と、を有する素子などがある。EL層の一例としては、1重項励起子からの発光(蛍光)が可能な材料を有する層、3重項励起子からの発光(燐光)が可能な材料を有する層、1重項励起子からの発光(蛍光)が可能な材料及び3重項励起子からの発光(燐光)が可能な材料を有する層などがある。
トランジスタ33のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる信号線19に電気的に接続される。さらに、トランジスタ33のゲート電極は、ゲート信号が与えられる走査線17に電気的に接続される。
トランジスタ33は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
トランジスタ22のソース電極及びドレイン電極の一方は、アノード線として機能する配線37と電気的に接続され、トランジスタ22のソース電極及びドレイン電極の他方は、発光素子31の一方の電極に電気的に接続される。さらに、トランジスタ22のゲート電極は、トランジスタ33のソース電極及びドレイン電極の他方、及び容量素子25の一方の電極に電気的に接続される。
トランジスタ22は、オン状態またはオフ状態になることにより、発光素子31に流れる電流を制御する機能を有する。
トランジスタ35のソース電極及びドレイン電極の一方はデータの基準電位が与えられる配線39と接続され、トランジスタ35のソース電極及びドレイン電極の他方は、発光素子31の一方の電極、及び容量素子25の他方の電極に電気的に接続される。さらに、トランジスタ35のゲート電極は、ゲート信号が与えられる走査線17に電気的に接続される。
トランジスタ35は、発光素子31に流れる電流を調整する機能を有する。例えば、発光素子31が劣化等により、発光素子31の内部抵抗が上昇した場合、トランジスタ35のソース電極及びドレイン電極の一方が接続された配線39に流れる電流をモニタリングすることで、発光素子31に流れる電流を補正することができる。配線39に与えられる電位としては、例えば、0Vとすることができる。
容量素子25の一対の電極の一方は、トランジスタ33のソース電極及びドレイン電極の他方、及びトランジスタ22のゲート電極と電気的に接続され、容量素子25の一対の電極の他方は、トランジスタ35のソース電極及びドレイン電極の他方、及び発光素子31の一方の電極に電気的に接続される。
図1(C)に示す画素13の構成において、容量素子25は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
発光素子31の一対の電極の一方は、トランジスタ35のソース電極及びドレイン電極の他方、容量素子25の他方、及びトランジスタ22のソース電極及びドレイン電極の他方と電気的に接続される。また、発光素子31の一対の電極の他方は、カソードとして機能する配線41に電気的に接続される。
発光素子31としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子31としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、配線37及び配線41の一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。図1(C)に示す構成においては、配線37に高電源電位VDDを、配線41に低電源電位VSSを、それぞれ与える構成としている。
図1(C)の画素13を有する表示装置では、走査線駆動回路14により各行の画素13を順次選択し、トランジスタ22をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素13は、トランジスタ22がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、トランジスタ22は、容量素子25と接続しているため、書き込まれたデータを長時間保持することが可能となる。また、トランジスタ33により、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子31は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
なお、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または様々な素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置の一例としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、など、電気磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものがある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)またはSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インクまたは電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパなどがある。
次いで、画素13に液晶素子を用いた液晶表示装置の素子基板の具体的な例について説明する。ここでは、図1(B)に示す画素13の上面図を図2に示す。
図2において、走査線として機能する導電膜103は、信号線に略直交する方向(図中左右方向)に延伸して設けられている。信号線として機能する導電膜114は、走査線に略直交する方向(図中上下方向)に延伸して設けられている。容量線として機能する導電膜116は、信号線と平行方向に延伸して設けられている。なお、導電膜116は、画素ごとに分離されている。このため、導電膜124が隣接する画素の導電膜116と接続することで、隣接する画素の導電膜116は電気的に接続されている。なお、走査線として機能する導電膜103は、走査線駆動回路14(図1(A)を参照。)と電気的に接続されており、信号線として機能する導電膜114と、容量線として機能する導電膜116及び導電膜124は、信号線駆動回路16(図1(A)を参照。)に電気的に接続されている。
トランジスタ22は、走査線及び信号線が交差する領域に設けられている。トランジスタ22は、ゲート電極として機能する導電膜103、ゲート絶縁膜(図2に図示せず。)、ゲート絶縁膜上に形成されたチャネル領域が形成される金属酸化物膜109a、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜114、115により構成される。なお、導電膜103は、走査線としても機能し、金属酸化物膜109aと重畳する領域がトランジスタ22のゲート電極として機能する。また、導電膜114は、信号線としても機能し、金属酸化物膜109aと重畳する領域がトランジスタ22のソース電極またはドレイン電極として機能する。
本実施の形態において、平面形状において、導電膜114、115の端部の外側に金属酸化物膜109aの端部が位置することを特徴とする。また、容量線として機能する導電膜116の端部の外側に金属酸化物膜109cの端部が位置することを特徴とする。
金属酸化物膜109aは半導体特性を有する金属酸化物を用いて形成されているため、導電膜114及び導電膜115の間の金属酸化物膜109aにおいて、チャネル領域が形成される。
また、導電膜115は、画素電極として機能する透光性を有する導電膜123と電気的に接続されている。
金属酸化物膜109cは、金属酸化物膜109aと同時に形成された膜であり、且つプラズマダメージ等により酸素欠損が形成され、導電性が高められた膜である。または、金属酸化物膜109cは、金属酸化物膜109aと同時に形成された膜であり、且つ不純物を含むことにより導電性が高められた膜である。または、金属酸化物膜109cは、金属酸化物膜109aと同時に形成された膜であり、且つ不純物を含むと共に、プラズマダメージ等により酸素欠損が形成され、導電性が高められた膜である。
容量素子25は、ゲート絶縁膜上に形成される金属酸化物膜109cと、画素電極として機能する透光性を有する導電膜123と、トランジスタ22上に設けられる窒化物絶縁膜で形成される誘電体膜とで構成されている。金属酸化物膜109cは透光性を有するため、容量素子25は透光性を有する。また、容量素子25一対の電極の一方として機能する金属酸化物膜109cが、容量線として機能する導電膜116と接続されている。
このように容量素子25は透光性を有するため、画素13内に容量素子25を大きく(大面積に)形成することができる。従って、開口率を高めつつ、50%以上、好ましくは55%以上、好ましくは60%以上とすることが可能であると共に、電荷容量を増大させた半導体装置を得ることができる。例えば、解像度の高い半導体装置、例えば液晶表示装置においては、画素の面積が小さくなり、容量素子の面積も小さくなる。このため、解像度の高い半導体装置において、容量素子に蓄積される電荷容量が小さくなる。しかしながら、本実施の形態に示す容量素子25は透光性を有するため、当該容量素子を画素に設けることで、各画素において十分な電荷容量を得つつ、開口率を高めることができる。代表的には、画素密度が200ppi以上、さらには300ppi以上、さらには500ppi以上である高解像度の半導体装置に好適に用いることができる。
また、図2に示す画素13は、走査線として機能する導電膜103と平行な辺と比較して、信号線として機能する導電膜114と平行な辺の方が短い形状であり、且つ容量線として機能する導電膜116、及び隣接する画素に形成される導電膜116を電気的に接続する導電膜124が、信号線として機能する導電膜114と平行な方向に延伸して設けられている。この結果、画素13に占める導電膜114、116の面積を低減することが可能であるため、開口率を高めることができる。
また、本発明の一態様は、高解像度の表示装置においても、開口率を高めることができるため、バックライトなどの光源の光を効率よく利用することができ、表示装置の消費電力を低減することができる。
次に、図2に示す一点破線A−Bの断面図、一点破線C−Dの断面図を用いて、表示装置の素子基板の作製方法について、説明する。
図3(A)に示すように、基板101上に導電膜102を形成する。次に、第1のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、導電膜102上にマスク131を形成する。
基板101の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板101として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどを用いて形成される単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板101として用いてもよい。なお、基板101として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板101として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、導電膜102を形成してもよい。または、基板101と導電膜102の間に剥離層を設け、剥離層上にトランジスタを有する素子部を作製した後、剥離層において基板101から素子部を剥離し、別の基板に転載してもよい。この結果、耐熱性の低い基板や可撓性を有する基板上に素子部を設けることができる。
導電膜102は、のちにゲート電極として機能する導電膜103となる。このため、導電膜102は、ゲート電極として用いることが可能な導電材料を適宜用いる。導電膜102は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、導電膜102は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、導電膜102は、インジウム錫酸化物膜、酸化タングステンを含むインジウム酸化物膜、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物膜、酸化チタンを含むインジウム酸化物膜、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物膜、インジウム亜鉛酸化物膜、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物膜等の透光性を有する導電性材料で形成される膜を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料で形成される膜と、上記金属元素で形成される膜の積層構造とすることもできる。
ここでは、導電膜102として、厚さ100nmのタングステン膜をスパッタリング法により形成する。次に、フォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。
次に、マスク131を用いて導電膜102の一部をエッチングして、ゲート電極として機能する導電膜103を形成する。ドライエッチング法または/及びウェットエッチング法を用いて、導電膜102をエッチングすることができる。こののち、マスク131を除去する(図3(B)を参照。)。
ここでは、マスクを用いて、導電膜102として形成したタングステン膜をドライエッチングして、ゲート電極として機能する導電膜103を形成する。
次に、図3(C)に示すように、絶縁膜105、絶縁膜106、金属酸化物膜108、導電膜110を順に形成する。次に、第2のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、導電膜110上にマスク133、134を形成する。ここでは、第2のフォトマスクとして、多諧調マスクを用いることを特徴とする。
多階調フォトマスクとは、多段階の光量で露光を行うことが可能なマスクであり、代表的には、グレートーンマスク、ハーフトーンマスク等がある。グレートーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部及び回折格子が形成される。回折格子はスリット、ドット、メッシュ等の光透過領域の間隔が、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔であり、当該構成により、光の透過率を制御する。ハーフトーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部及び半透過部が形成される。半透過部により露光に用いる光の透過率を制御する。
多諧調マスクを用いることで、露光領域、半露光領域、及び未露光領域の3段階の光量で露光を行うことができる。この結果、多階調フォトマスクを用いることで、一度の露光及び現像工程によって、複数(代表的には二種類)の厚さを有するレジストマスクを形成することが可能であり、フォトマスクの枚数を削減することができる。ここでは、金属酸化物膜及び導電膜114、115、116の形成工程において、多階調フォトマスクを用いることで、フォトマスクを1枚削減することができる。
絶縁膜105及び絶縁膜106は、のちに、ゲート絶縁膜となる。また、絶縁膜105は、基板101及びゲート電極として機能する導電膜103から金属酸化物膜108に不純物が拡散するのを防ぐため、窒化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。また、絶縁膜106は、金属酸化物膜108と接する。絶縁膜106及び金属酸化物膜108の界面準位を低減するため、絶縁膜106は酸化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。
絶縁膜105は、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどを用いて形成すればよく、積層または単層で設ける。
絶縁膜106は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物などを用いて形成すればよく、積層または単層で設ける。
また、絶縁膜106として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いて形成することでトランジスタのゲートリークを低減できる。
絶縁膜105及び絶縁膜106の合計の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とするとよい。
絶縁膜105及び絶縁膜106は、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、塗布法等を適宜用いることができる。
窒化物絶縁膜で形成される絶縁膜105をゲート絶縁膜の一部として設けることで、ゲート電極として機能する導電膜103からの不純物、代表的には、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等が、金属酸化物膜109aに移動することを防ぐことができる。
また、ゲート絶縁膜として、金属酸化物膜109a側に酸化物絶縁膜で形成される絶縁膜106を設けることで、ゲート絶縁膜及び金属酸化物膜109a界面における欠陥準位を低減することが可能である。この結果、電気特性の劣化の少ないトランジスタを得ることができる。
金属酸化物膜108は、代表的には、In−Ga酸化物膜、In−Zn酸化物膜、In−M−Zn酸化物膜(Mは、Al、Ga、Ti、Y、Zr、La、Ce、またはNd)等の金属酸化物膜がある。なお、該金属酸化物膜は半導体特性を有するため、酸化物半導体ということもできる。
なお、金属酸化物膜108がIn−M−Zn酸化物膜であるとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、InとMの原子数比率は、好ましくは、InとMの原子数比率は好ましくはInが25atomic%より大きく、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より大きく、Mが66atomic%未満とする。
金属酸化物膜108のエネルギーギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いて形成することで、後に形成するトランジスタのオフ電流を低減することができる。
金属酸化物膜108としては、キャリア密度の低い金属酸化物膜を用いる。例えば、金属酸化物膜108は、キャリア密度が1×1017個/cm3以下、好ましくは1×1015個/cm3以下、さらに好ましくは1×1013個/cm3以下、より好ましくは1×1011個/cm3以下の金属酸化物膜を用いる。
金属酸化物膜108の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
金属酸化物膜108は、スパッタリング法、塗布法、パルスレーザー蒸着法、レーザーアブレーション法等を用いて形成することができる。
スパッタリング法で金属酸化物膜108を形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。
金属酸化物膜108がIn−M−Zn酸化物膜(Mは、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)の場合、In−M−Zn酸化物膜を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることで、金属酸化物膜108として後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=5:5:6等がある。なお、成膜される金属酸化物膜108の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
高純度である金属酸化物膜108を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパッタガスの高純度化も必要である。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下、より好ましくは−120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで金属酸化物膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
導電膜110は、後に一対の電極として機能する導電膜114、115、容量線として機能する導電膜116となる。このため、導電膜110は、電極として用いることが可能な導電材料を適宜用いる。導電膜110は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いて形成してもよい。
導電膜110は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等を用いて形成する。
ここでは、絶縁膜105として、CVD法により、厚さ400nmの窒化シリコン膜を形成する。また、絶縁膜106として、CVD法により、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。また、金属酸化物膜108として、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1)を用いたスパッタリング法により、厚さ35nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成する。また、導電膜110として、スパッタリング法により厚さ50nmのタングステン膜及び厚さ300nmの銅膜を形成する。
次に、マスク133、134を用いて、導電膜110の一部をエッチングして、導電膜111、113を形成する。ドライエッチング法または/及びウェットエッチング法を用いて、導電膜110をエッチングすることができる。次に、マスク133、134を用いて、金属酸化物膜108の一部をエッチングして、金属酸化物膜109a、109bを形成する。ドライエッチング法または/及びウェットエッチング法を用いて、金属酸化物膜108をエッチングすることができる。
ここでは、ドライエッチング法により、導電膜110及び金属酸化物膜108のそれぞれ一部をエッチングする。
次に、マスク133、134を加工する。ここでは、マスク133の大きさが小さくなると共に、マスク134を除去するように加工する。ここでは、酸素を有する雰囲気で発生させたプラズマにマスク133、134を曝すプラズマ処理により、マスク133、134を加工する。酸素を有する雰囲気としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等の酸化性気体を有する雰囲気がある。なお、基板101側にバイアスを印加した状態で発生したプラズマにマスク133、134を曝してもよい。このようなプラズマ処理を行う装置の一例として、アッシング装置がある。
この結果、図3(D)に示すように、マスク133が後退されたマスク135、136を形成することができる。また、マスク134が後退されたマスク137を形成することができる。なお、図3(D)において、破線はそれぞれ図3(C)に示すマスク133、134に相当する。
次に、マスク135、136、137を用いて、導電膜111、113のそれぞれ一部をエッチングして、導電膜114、115、116を形成すると共に、金属酸化物膜109a、109bのそれぞれ一部を露出させる。ドライエッチング法または/及びウェットエッチング法を用いて、導電膜111、112、113をエッチングすることができる。なお、導電膜111、113をエッチングし、金属酸化物膜109a、109bをエッチングしない、または導電膜111、113より金属酸化物膜109a、109bのエッチングレートが小さい条件を用いることが好ましい。
ここでは、ドライエッチング法により、導電膜111、113の一部をエッチングする。
この結果、図3(E)に示すように、トランジスタの一対の電極として機能する導電膜114、115と、容量線として機能する導電膜116を形成することができる。また、金属酸化物膜109a、109bのそれぞれ一部が露出する。
以上の工程により、一つのフォトマスクで、トランジスタのチャネル領域を含む金属酸化物膜109aと、トランジスタの一対の電極として機能する導電膜114、115と、のちに容量素子の一方の電極となる金属酸化物膜109bと、容量線として機能する導電膜116とを形成することができる。
なお、トランジスタの一対の電極として機能する導電膜114、115を形成するためのエッチング工程において、金属酸化物膜109a、109bのプラズマに曝された領域はダメージを受け、酸素欠損が形成される。このため、金属酸化物膜109a及び金属酸化物膜109bにおいて露出している領域の導電性が高まる。
次に、加熱処理を行うことが好ましい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは300℃以上500℃以下、好ましくは320℃以上470℃以下とする。
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
ここでは、窒素雰囲気で、450℃、1時間の加熱処理を行った後、窒素及び酸素雰囲気で、450℃、1時間の加熱処理を行う。
また、導電膜114、115、116において、金属酸化物膜109a、109bと接する領域に、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、モリブデン、クロム、またはタンタル単体若しくは合金等の酸素と結合しやすい導電材料を用いることで、金属酸化物膜109a、109b中の酸素が酸素と結合しやすい導電材料に引き抜かれる。また、金属酸化物膜109a、109bにタングステン、チタン、アルミニウム、銅、モリブデン、クロム、またはタンタル単体の若しくは合金の構成元素の一部が混入する場合もある。これらの結果、金属酸化物膜109a、109bにおいて、導電膜114、115,116と接する領域近傍に、低抵抗領域が形成される。低抵抗領域は、導電性が高いため、金属酸化物膜109aと、導電膜114、115との接触抵抗を低減することが可能であり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能である。また、金属酸化物膜109bと、導電膜116との接触抵抗を低減することが可能であり、信号線及び容量線の抵抗を低減することができる。
次に、図4(A)に示すように、絶縁膜118を形成する。次に、第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、絶縁膜118上にマスク138を形成する。
絶縁膜118は、金属酸化物膜108との界面における界面準位を低減するため、酸化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。絶縁膜118は、代表的には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物などを用いて形成すればよく、積層または単層で設ける。
また、絶縁膜118の一部または全部として、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。
また、絶縁膜118は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm3未満、更には1×1018spins/cm3以下、1×1017spins/cm3以下、さらには検出下限以下であることが好ましい。
絶縁膜118の厚さは、30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下とする。
絶縁膜118として、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成することで、加熱処理により、絶縁膜118から脱離する酸素を、金属酸化物膜109aに移動させることができる。この結果、金属酸化物膜109aに含まれる酸素欠損を低減することができる。
絶縁膜118は、スパッタリング法、CVD法等を用いて形成することができる。
CVD法を用いて絶縁膜118を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
絶縁膜118として化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する場合は、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を20Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
絶縁膜118の成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜118中における酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。一方、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜118を形成することができる。
なお、絶縁膜118を第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の多層構造とし、第1の絶縁膜として酸素を透過させることが可能な酸化物絶縁膜を用いて形成し、第2の絶縁膜として化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成してもよい。該積層構造とすることで、第2の絶縁膜の成膜工程において、第1の絶縁膜が金属酸化物膜の保護膜となる。この結果、金属酸化物膜へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて第2の絶縁膜を形成することができる。
または、スパッタリング法、CVD法等を用いて絶縁膜を形成した後、該絶縁膜に酸素を添加することにより、絶縁膜118を形成することができる。なお、絶縁膜に酸素を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法等がある。または、酸化性気体雰囲気で発生させた酸素を含むプラズマを絶縁膜に曝すことで、絶縁膜に酸素を添加することができる。
ここでは、絶縁膜118として、流量200sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1500Wの高周波電力を平行平板電極に供給したプラズマCVD法により、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。なお、プラズマCVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のプラズマCVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると0.25W/cm2である。また、ハーフトーンマスクを用いてマスク133、135を形成する。
次に、マスク138を用いて絶縁膜118の一部をエッチングして、図4(B)に示すように、開口部151を有する絶縁膜119を形成する。開口部151においては、金属酸化物膜109bの一部が露出する。ドライエッチング法または/及びウェットエッチング法を用いて、絶縁膜118をエッチングすることができる。次に、マスク138を除去する。
なお、絶縁膜119を形成するためのエッチング工程において、金属酸化物膜109bにおいてプラズマに曝された領域はダメージを受け、酸素欠損が形成される。このため、金属酸化物膜109bにおいて、絶縁膜119に覆われていない領域の導電性が高まる。
ここでは、ドライエッチング法により、絶縁膜118の一部をエッチングする。
次に、図4(C)に示すように、金属酸化物膜109b及び絶縁膜119上に、絶縁膜120を形成する。次に、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、絶縁膜120上にマスク139を形成する。
絶縁膜120として、窒化物絶縁膜を設ける。窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。窒化物絶縁膜として、水素を含む窒化物絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜120の厚さは、10nm以上400nm以下、より好ましくは50nm以上300nm以下とする。
絶縁膜120は、スパッタリング法、CVD法等を用いて形成することができる。または、スパッタリング法、CVD法等を用いて絶縁膜を形成した後、該絶縁膜に水素を添加してもよい。なお、絶縁膜に水素を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法等がある。または、水素を含む気体雰囲気で発生させたプラズマを絶縁膜に曝すことで、絶縁膜に水素を添加することができる。
ここでは、絶縁膜120として、シラン、アンモニア、及び窒素を原料ガスとしたプラズマCVD法により、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜119上に絶縁膜120を形成する際に生じるプラズマダメージにより、金属酸化物膜109bには、酸素欠損が形成される。このため、金属酸化物膜109bにおいて絶縁膜119に覆われていない領域の導電性が高くなる。また、絶縁膜120として、水素を含む窒化物絶縁膜を用いることで、絶縁膜120から金属酸化物膜109bに水素が移動する。酸素欠損に水素が移動することで、キャリアである電子が生成される。この結果、金属酸化物膜109bは、導電性が高くなり、導電性を有する金属酸化物膜109cとなる。金属酸化物膜109cは、容量素子25の一方の電極として機能する。
なお、窒化物絶縁膜は、水、水素等のブロッキング膜としても機能するため、絶縁膜120として、窒化物絶縁膜を設けることで、外部から金属酸化物膜109aへの水素、水等の侵入を防ぐことができる。
金属酸化物膜109a、及び金属酸化物膜109cは共に、絶縁膜106上に形成されるが、不純物濃度が異なる。具体的には、金属酸化物膜109aと比較して、金属酸化物膜109cの不純物濃度が高い。例えば、金属酸化物膜109aに含まれる水素濃度は、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下であり、金属酸化物膜109cに含まれる水素濃度は、8×1019以上、好ましくは1×1020atoms/cm3以上、より好ましくは5×1020以上である。また、金属酸化物膜109aと比較して、金属酸化物膜109cに含まれる水素濃度は2倍、好ましくは10倍以上である。
また、金属酸化物膜109cは、金属酸化物膜109aより抵抗率が低い。金属酸化物膜109cの抵抗率が、金属酸化物膜109aの抵抗率の1×10−8倍以上1×10−1倍未満であることが好ましく、代表的には1×10−3Ωcm以上1×104Ωcm未満、さらに好ましくは、抵抗率が1×10−3Ωcm以上1×10−1Ωcm未満であるとよい。
次に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。
窒化物絶縁膜は、水素、水、及び酸素の拡散係数が小さく、水素、水、及び酸素のブロッキング性が高い。また、絶縁膜119として、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成することで、当該加熱処理において、金属酸化物膜109aに含まれる酸素の外部への拡散を抑制することができる。また、金属酸化物膜109aに含まれる酸素の外部への拡散を抑制することができる。この結果、金属酸化物膜109aの酸素欠損量を低減することができる。さらには、外部からの金属酸化物膜109aへの水素、水等の拡散を抑制することができる。このため、金属酸化物膜109aの水素、水等を低減することができる。この結果、信頼性の高いトランジスタを作製することができる。
ここでは、窒素及び酸素雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行う。
次に、マスク139を用いて、絶縁膜119、120の一部をエッチングして、図4(D)に示すように、開口部152を形成するとともに、絶縁膜120をエッチングして、開口部153、154を形成する。また、当該エッチングにより絶縁膜120は、絶縁膜121となる。開口部152においては、導電膜115の一部が露出される。開口部153、154においては、導電膜116の一部が露出される。ドライエッチング法または/及びウェットエッチング法を用いて、絶縁膜120をエッチングすることができる。次に、マスク139を除去する。
ここでは、ドライエッチング法により、絶縁膜120の一部をエッチングする。
次に、図5(A)に示すように、絶縁膜121、導電膜115、116上に、透光性を有する導電膜122を形成する。次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、導電膜122上にマスク140、141を形成する。
導電膜122は、後に、画素電極として機能する導電膜123となる。このため、導電膜122は、画素電極として用いることが可能な導電材料を適宜用いる。導電膜122は、インジウム錫酸化物膜、酸化タングステンを含むインジウム酸化物膜、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物膜、酸化チタンを含むインジウム酸化物膜、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物膜、インジウム亜鉛酸化物膜、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物膜等の透光性を有する導電性材料で形成される膜を適用することができる。
導電膜122は、スパッタリング法、蒸着法、塗布法等を用いて形成する。
ここでは、スパッタリング法により、導電膜122として厚さ100nmのITO膜を形成する。
次に、マスク140、141を用いて導電膜122の一部をエッチングして、導電膜123、124を形成する。導電膜123は画素電極として機能する。導電膜124は、隣り合う画素に形成された導電膜116を電気的に接続する機能を有する。なお、導電膜124は導電膜116と同様に容量線として機能する。
導電膜123は、一対の電極として機能する導電膜115と接すると共に、絶縁膜121を介して、金属酸化物膜109cと重なるように形成される。ドライエッチング法または/及びウェットエッチング法を用いて、導電膜122をエッチングすることができる。こののち、マスク140、141を除去する(図5(B)を参照。)。
ここでは、ウェットエッチング法により、導電膜122の一部をエッチングする。
以上の工程により、ゲート電極として機能する導電膜103、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜105、106、金属酸化物膜109a、金属酸化物膜109aと接し、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜114、115を有するトランジスタ22を作製することができる。また、トランジスタ22に含まれる導電膜115と接し、画素電極として機能する導電膜123を形成することができる。また、絶縁膜106上に形成された金属酸化物膜109c、絶縁膜121、及び導電膜123を有する容量素子25を作製することができる。即ち、トランジスタ22、画素電極として機能する導電膜123、及び容量素子25を有する素子基板を、5枚のフォトマスクで作製することができる。本実施の形態では、金属酸化物膜及びソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜を1枚のフォトマスクを用いて形成するため、素子基板を作製するために必要なフォトマスクを削減することができる。
また、本実施の形態に示す半導体装置は、トランジスタのチャネル領域を含む金属酸化物膜と同時に、容量素子の一方の電極となる金属酸化物膜を形成する。このため、トランジスタのチャネル領域を含む金属酸化物膜と、容量素子の一方の電極となる金属酸化物膜とは、同じ金属元素で構成される。また、画素電極として機能する導電膜を容量素子の他方の電極として用いる。これらのため、容量素子を形成するために、新たに導電膜を形成する工程が不要であり、表示装置の作製工程を削減できる。また、容量素子は、一対の電極である金属酸化物膜109c及び導電膜123が共に、透光性を有するため、容量素子25が透光性を有する。この結果、容量素子の占有面積を大きくしつつ、画素の開口率を高めることができる。さらには、消費電力を低減した表示装置を作製することができる。
なお、図4(B)では、開口部151を設けたが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。図13(A)に示すように、場合によっては、または、状況に応じて、開口部151を設けないことも可能である。
なお、図4(B)では、導電膜124が隣接する画素の導電膜116と接続する構成としたが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。図13(B)(C)に示すように、場合によっては、または、状況に応じて、導電膜116を延ばして接続することも可能である。
<変形例1、下地絶縁膜について>
本実施の形態に示すトランジスタにおいて、必要に応じて、基板101及びゲート電極として機能する導電膜103の間に下地絶縁膜を設けることができる。下地絶縁膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等を用いて形成することができる。なお、下地絶縁膜として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム等を用いて形成することで、基板101から不純物、代表的にはアルカリ金属、水、水素等の金属酸化物膜109aへの拡散を抑制することができる。
下地絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法等により形成することができる。
<変形例2、ゲート絶縁膜について>
窒化物絶縁膜で形成される絶縁膜105を、欠陥の少ない第1の窒化物絶縁膜、及び水素ブロッキング性の高い第2の窒化物絶縁膜の積層構造とすることができる。ゲート絶縁膜として、欠陥の少ない窒化物絶縁膜を設けることで、ゲート絶縁膜の絶縁耐圧を向上させることができる。また、ゲート絶縁膜として、水素ブロッキング性の高い窒化物絶縁膜を設けることで、ゲート電極として機能する導電膜103及び絶縁膜105からの水素が金属酸化物膜109aに移動することを防ぐことができる。
または、窒化物絶縁膜で形成される絶縁膜105として、不純物のブロッキング性が高い第1の窒化物絶縁膜と、欠陥の少ない第2の窒化物絶縁膜と、水素ブロッキング性の高い第2の窒化物絶縁膜が、ゲート電極として機能する導電膜103側から順に積層される積層構造とすることができる。ゲート絶縁膜として、不純物のブロッキング性が高い第1の窒化物絶縁膜を設けることで、ゲート電極として機能する導電膜103からの不純物、代表的には、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等が金属酸化物膜109aに移動することを防ぐことができる。
<変形例3、金属酸化物膜について>
<金属酸化物膜について>
酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、酸素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、酸化物半導体は、導電性が高くなり、導電体化する。導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体ということができる。一般に、酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対して透光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する酸化物半導体である。したがって、該ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して酸化物半導体と同程度の透光性を有する。
ここで、金属酸化物膜109aに用いられるような、酸化物半導体で形成される膜(以下、酸化物半導体膜(OS)という。)と、金属酸化物膜109cに用いられるような、酸化物導電体で形成される膜(以下、酸化物導電体膜(OC)という。)における、抵抗率の温度依存性について、図17を用いて説明する。図17において、横軸に測定温度を示し、縦軸に抵抗率を示す。また、酸化物半導体膜(OS)の測定結果を丸印で示し、酸化物導電体膜(OC)の測定結果を四角印で示す。
なお、酸化物半導体膜(OS)を含む試料は、ガラス基板上に、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1.2のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により厚さ35nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成し、原子数比がIn:Ga:Zn=1:4:5のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成し、450℃の窒素雰囲気で加熱処理した後、450℃の窒素及び酸素の混合ガス雰囲気で加熱処理し、さらにプラズマCVD法で酸化窒化シリコン膜を形成して、作製された。
また、酸化物導電体膜(OC)を含む試料は、ガラス基板上に、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により厚さ100nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成し、450℃の窒素雰囲気で加熱処理した後、450℃の窒素及び酸素の混合ガス雰囲気で加熱処理し、プラズマCVD法で窒化シリコン膜を形成して、作製された。
図13からわかるように、酸化物導電体膜(OC)における抵抗率の温度依存性は、酸化物半導体膜(OS)における抵抗率の温度依存性より小さい。代表的には、80K以上290K以下における酸化物導電体膜(OC)の抵抗率の変化率は、±20%未満である。または、150K以上250K以下における抵抗率の変化率は、±10%未満である。即ち、酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。このため、酸化物導電体膜を、抵抗素子、配線、容量素子の電極、画素電極、コモン電極等に用いることが可能である。
<酸化物半導体膜及び金属酸化物膜について>
次に、半導体特性を有する金属酸化物膜及び酸化物半導体膜に適用可能な一態様について説明する。ここでは、代表例として、酸化物半導体膜を用いて説明するが、適宜酸化物半導体膜の構成を金属酸化物膜に適用することができる。
酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜で構成されていることが好ましい。CAAC−OS膜は、c軸配向性を有し、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。この結果、チャネルエッチ型のトランジスタにおいて、一対の電極を形成する際の酸化物半導体膜のオーバーエッチング量が少ない。この結果、酸化物半導体膜をCAAC−OS膜で構成することで、チャネルエッチ型のトランジスタを作製することができる。なお、チャネルエッチ型のトランジスタは、一対の電極の間隔、即ちチャネル長を、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満と小さくすることが可能である。
また、酸化物半導体膜は、単結晶構造の酸化物半導体(以下、単結晶酸化物半導体という。)、多結晶構造の酸化物半導体(以下、多結晶酸化物半導体という。)、及び微結晶構造の酸化物半導体(以下、微結晶酸化物半導体という。)の一以上で構成されてもよい。以下に、CAAC−OS、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体について説明する。
<CAAC−OS>
CAAC−OS膜は、複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。また、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸配向性を有する。平面TEM像において、CAAC−OS膜に含まれる結晶部の面積が2500nm2以上、さらに好ましくは5μm2以上、さらに好ましくは1000μm2以上である。また、断面TEM像において、該結晶部を50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上有することで、単結晶に近い物性の薄膜となる。
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の明確な境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
なお、CAAC−OS膜に対し、電子線回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、CAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZn酸化物の結晶の(00x)面(xは整数)に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZn酸化物の結晶の(110)面に帰属される。InGaZn酸化物の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のa−b面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶部のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAAC−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
なお、CAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶部が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
<単結晶酸化物半導体>
単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体膜である。そのため、キャリア密度を低くすることができる。従って、単結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になることが少ない。また、単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、キャリアトラップが少なくなる場合がある。従って、単結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
なお、酸化物半導体膜は、欠陥が少ないと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、結晶性が高いと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、水素などの不純物濃度が低いと密度が高くなる。単結晶酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜よりも密度が高い。また、CAAC−OS膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、多結晶酸化物半導体膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも密度が高い。
<多結晶酸化物半導体>
多結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEMによる観察において、結晶粒を確認することができる。多結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶粒は、例えば、高分解能TEMによる観察像で、2nm以上300nm以下、3nm以上100nm以下または5nm以上50nm以下の粒径であることが多い。また、多結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEMによる観察像で、結晶粒界を確認できる場合がある。
多結晶酸化物半導体膜は、複数の結晶粒を有し、当該複数の結晶粒間において結晶の方位が異なっている場合がある。また、多結晶酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有する多結晶酸化物半導体膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピーク、2θが36°近傍のピーク、またはそのほかのピークが現れる場合がある。
多結晶酸化物半導体膜は、高い結晶性を有するため、高い電子移動度を有する場合がある。従って、多結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する。ただし、多結晶酸化物半導体膜は、結晶粒界に不純物が偏析する場合がある。また、多結晶酸化物半導体膜の結晶粒界は欠陥準位となる。多結晶酸化物半導体膜は、結晶粒界がキャリアトラップやキャリア発生源となる場合があるため、多結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、CAAC−OS膜を用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
<微結晶酸化物半導体>
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1と異なる表示装置の素子基板の作製方法について、図面を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態1と同様に、チャネル領域を有する金属酸化物膜と、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜を1枚のフォトマスクを用いて形成する。一方、本実施の形態は、容量線として機能する導電膜の構成が実施の形態1と異なる。
画素13に液晶素子を用いた液晶表示装置の素子基板の具体的な例について説明する。ここでは、図1(B)に示す画素13の上面図を図6に示す。
図6に示す画素13は、金属酸化物膜109cの一部が容量線として機能する。また、隣り合う画素に設けられた、金属酸化物膜109cが導電膜173で接続されている。
図6に示す画素13において、絶縁膜119(図7(A)参照。)に設けられた開口部171、172において、金属酸化物膜109cと、画素電極として機能する導電膜123と同時に形成された導電膜173が接続する。金属酸化物膜109cは、開口部151(図4(B)参照。)において窒化物絶縁膜を用いて形成される絶縁膜と接するため、導電性を有する。この結果、金属酸化物膜109cは、容量線として機能するとともに、容量素子の一方の電極として機能する。
容量素子25は、導電性を有する金属酸化物膜109c、絶縁膜121(図7(B)参照。)、及び画素電極として機能する導電膜123で構成される。すなわち、金属酸化物膜109cが、導電膜173と接続することで、各画素における容量素子の一方の電極(ここでは、導電性を有する金属酸化物膜109c)を同電位とすることができる。
本実施の形態に示す画素13は、容量線として、導電膜114、115と同時に形成した導電膜を用いていない。導電膜114、115は遮光性を有するため、画素の開口率を高めることができる。
次に、図6に示す一点破線A−Bの断面図、一点破線C−Dの断面図を用いて、表示装置の素子基板の作製方法について、説明する。
実施の形態1と同様の工程を経て、第1のフォトマスク乃至第3のフォトマスクを用いた工程により、図7(A)に示すように、基板101上にゲート電極として機能する導電膜103、絶縁膜105、106、金属酸化物膜109a、109c、導電膜114、115、絶縁膜119、及び絶縁膜120を形成する。なお、本実施の形態においては、導電膜116は形成していない。また、第2のフォトマスクにより、金属酸化物膜109a、109c及び導電膜114、115を形成することができるため、素子基板の作製工程におけるフォトマスク枚数を削減できる。
次に、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、絶縁膜120上にマスクを形成した後、該マスクを用いて、絶縁膜119、120をエッチングして、導電膜115を露出する開口部152を形成するとともに、絶縁膜120をエッチングして、導電性を有する金属酸化物膜を露出する開口部171、172を形成する(図7(B)参照。)。また、当該エッチングにより絶縁膜121を形成することができる。
次に、導電性を有する金属酸化物膜109c及び導電膜115の露出部、並びに絶縁膜121上に、透光性を有する導電膜を形成する。次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、透光性を有する導電膜上にマスクを形成し、マスクを用いて透光性を有する導電膜をエッチングすることで、画素電極として機能する導電膜123、及び容量線として機能する導電膜173を形成する。導電膜173は、隣り合う画素に形成された、導電性を有する金属酸化物膜109cを電気的に接続する機能を有する。こののち、マスクを除去する(図7(C)を参照。)。
以上の工程により、トランジスタ22及び容量素子25を作製することができる。また、以上の工程により、開口率をより高めた画素を有する素子基板を作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態は、横電界方式の一例であるFFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置の画素構造を用いて説明する。
本実施の形態に示すFFSモードの液晶表示装置は、コモン電極が縞状であり、電極の間において画素電極及びコモン電極で生じる電界を液晶に印加することで、液晶の配向を制御する。FFSモードの液晶表示装置は、高開口率であり、広い視野角を得ることができる。
ここでは、図1(B)に示す画素13の上面図を図8に示す。
図8に示す画素13は、各画素に一つの金属酸化物膜183を有する。金属酸化物膜183上には、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜181、182を有する。導電膜181は、信号線としても機能する。なお、導電膜181は、各画素ごとに分離されている。また、隣接する画素に設けられた導電膜181を電気的に接続する導電膜187が絶縁膜(図示しない。)を介して導電膜181上に設けられる。導電膜187は、開口部184、185において、導電膜181と接続する。また、複数の画素に渡って、縞状のコモン電極として機能する導電膜186が設けられる。導電膜187及び導電膜186は同時に形成される。
本実施の形態に示す表示装置において、コモン電極として機能する導電膜186は、基板全面に形成されず、縞状であるため、信号線として機能する導電膜181、187、及び走査線として機能する導電膜103と重なる面積が縮小される。この結果、導電膜103及び導電膜186の間、並びに導電膜181、187及び導電膜186の間で発生する寄生容量を低減することができる。
次に、図8に示す一点破線A−Bの断面図、一点破線E−Fの断面図を用いて、表示装置の素子基板の作製方法について、説明する。
実施の形態1と同様の工程を経て、第1のフォトマスクを用いた工程により、図9(A)に示すように、基板101上にゲート電極として機能する導電膜103を形成する。次に、基板101及び導電膜103上に、実施の形態1と同様に、絶縁膜105、106、金属酸化物膜108、及び導電膜110を形成する。
次に、実施の形態1に示す第2のフォトマスクを用いた工程により、図9(B)に示すように、金属酸化物膜183、導電膜181、182を形成する。導電膜181は、実施の形態1に示す導電膜114と同様に、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方として機能するとともに、信号線として機能する。導電膜182は、実施の形態1に示す導電膜115と同様に、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。ここでは、第2のフォトマスクにより、金属酸化物膜183及び導電膜181、182を形成することができるため、素子基板の作製工程におけるフォトマスク枚数を削減できる。
次に、実施の形態1に示す第3のフォトマスクを用いた工程により、開口部151を有する絶縁膜119を形成した後、金属酸化物膜183及び絶縁膜119上に絶縁膜120を形成する(図9(C)参照。)。
金属酸化物膜183において、絶縁膜120と接する領域191は、金属酸化物膜109cと同様に、導電性が高まる。この結果、画素電極として機能する。一方、絶縁膜119は酸化物絶縁膜を用いて形成される。このため、金属酸化物膜183において、絶縁膜119と接する領域は、絶縁膜119との界面準位密度が低い。さらに、絶縁膜119が、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成されると、絶縁膜119に含まれる酸素が金属酸化物膜183に移動するため、領域192における酸素欠損含有量を低減することが可能となる。この結果、金属酸化物膜183において、絶縁膜119と接する領域192はチャネル領域として機能する。さらに、金属酸化物膜183において、導電膜181、182と接する領域は低抵抗領域となる。
なお、開口部151を有する絶縁膜119を形成するとき、開口部151の端部と走査線として機能する導電膜との距離、及び開口部151の端部と信号線として機能する導電膜181との距離を、それぞれ1.5μmより大きい、さらには2μmより大きいとすることが好ましい。金属酸化物膜183において、絶縁膜120と接する領域は、酸素欠損または不純物を含むことにより導電性が高まるが、該領域と隣接する領域においても、導電性が上昇する。これは、不純物が横方向に拡散することで、金属酸化物膜183において絶縁膜121と接していない領域にも不純物が含まれ、低抵抗化してしまうため、と考えられる。そこで、開口部151の端部と走査線として機能する導電膜との距離を1.5μmより大きい、さらには2μmより大きいとすることで、トランジスタ22のチャネル領域の低抵抗化を防ぐことが可能であり、ノーマリーオフ特性を有するトランジスタを作製することができる。また、開口部151の端部と信号線として機能する導電膜181との距離を1.5μmより大きい、さらには2μmより大きいとすることで、信号線として機能する導電膜181と、金属酸化物膜183において画素電極として機能する領域191との電圧が、互いに影響せず、表示不良を防ぐことができる。
次に、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、絶縁膜121上にマスクを形成した後、該マスクを用いて、絶縁膜119、120をエッチングして、導電膜181を露出する開口部184、185を形成するとともに、絶縁膜121を形成する(図10(A)参照。)
次に、導電膜181の露出部、及び絶縁膜121上に、透光性を有する導電膜を形成する。次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により、透光性を有する導電膜上にマスクを形成し、マスクを用いて透光性を有する導電膜をエッチングすることで、コモン電極として機能する導電膜186を形成するとともに、信号線として機能する導電膜187を形成する。導電膜187は、隣り合う画素に設けられた導電膜181を電気的に接続する。こののち、マスクを除去する(図10(B)を参照。)。
以上の工程により、トランジスタ22及び容量素子25を作製することができる。また、以上の工程により、開口率をより高めた画素を有する素子基板を作製することができる。また、FFSモードの液晶表示装置を作製することができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態3と比較して、金属酸化物膜の欠陥量をさらに低減することが可能なトランジスタを有する半導体装置について図面を参照して説明する。本実施の形態で説明するトランジスタは、実施の形態1及び実施の形態2と比較して、金属酸化物膜の代わりに、複数の金属酸化物膜を有する多層膜が設けられている点が異なる。
図11に、半導体装置が有するトランジスタ図2に示す一点破線A−B、C−Dの一点鎖線A−B、C−D間の断面図である。
図11(A)に示すトランジスタ22bは、絶縁膜106上に多層膜250a、250bを有する。多層膜250aは、絶縁膜106に接する第1の金属酸化物膜251a、並びに第1の金属酸化物膜251a及び絶縁膜119に接する第2の金属酸化物膜252aを有する。
図11(A)に示す、絶縁膜106上に設けられた多層膜250bは容量電極として機能する。多層膜250bは、絶縁膜107bに接する第1の金属酸化物膜251b、及び第1の金属酸化物膜251b及び絶縁膜119に接する第2の金属酸化物膜252bを有する。
第2の金属酸化物膜252a、252bは、第1の金属酸化物膜251a、251bを構成する元素の一種以上から構成される金属酸化物膜である。このため、第1の金属酸化物膜251a、251bと第2の金属酸化物膜252a、252bとの界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bは、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ga、Ti、Y、Zr、La、Ce、またはNd)である。
また、第2の金属酸化物膜252a、252bは、第1の金属酸化物膜251a、251bよりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近く、代表的には、第2の金属酸化物膜252a、252bの伝導帯の下端のエネルギーと、第1の金属酸化物膜251a、251bの伝導帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。即ち、第2の金属酸化物膜252a、252bの電子親和力と、第1の金属酸化物膜251a、251bの電子親和力との差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。
第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bは、Inを含むことで、キャリア移動度(電子移動度)が高くなるため好ましい。
第2の金属酸化物膜252a、252bとして、Al、Ga、Ti、Y、Zr、La、Ce、またはNdをInより高い原子数比で有することで、以下の効果を有する場合がある。(1)第2の金属酸化物膜252a、252bのエネルギーギャップを大きくする。(2)第2の金属酸化物膜252a、252bの電子親和力を小さくする。(3)外部からの不純物の拡散を抑制する。(4)第1の金属酸化物膜251a、251bと比較して、絶縁性が高くなる。(5)Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdは、酸素との結合力が強い金属元素であるため、酸素欠損が生じにくくなる。
第1の金属酸化物膜251a、251bがIn−M−Zn酸化物であるとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、InとMの原子数比率は、好ましくは、InとMの原子数比率は好ましくはInが25atomic%より大きく、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より大きく、Mが66atomic%未満とする。
第2の金属酸化物膜252a、252bがIn−M−Zn酸化物であるとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、InとMの原子数比率は、好ましくは、Inが50atomic%未満、Mが50atomic%より大きい、さらに好ましくは、Inが25atomic%未満、Mが75atomic%より大きいとする。
また、第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bが、In−M−Zn酸化物M(Mは、Al、Ga、Ti、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、第1の金属酸化物膜251a、251bと比較して、第2の金属酸化物膜252a、252bに含まれるM(Al、Ga、Ti、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の原子数比が大きく、代表的には、第1の金属酸化物膜251a、251bに含まれる上記原子と比較して、1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原子数比である。
また、第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bが、In−M−Zn酸化物(Mは、Al、Ga、Ti、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、第2の金属酸化物膜252a、252bをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、第1の金属酸化物膜251a、251bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y1/x1がy2/x2よりも大きく、好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも1.5倍以上である。さらに好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも2倍以上大きく、より好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも3倍以上大きい。
第1の金属酸化物膜251a、251bがIn−M−Zn酸化物(Mは、Al、Ga、Ti、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、第1の金属酸化物膜251a、251bを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることで、第1の金属酸化物膜251a、251bとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2等がある。
第2の金属酸化物膜252a、252bがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、第2の金属酸化物膜252a、252bを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x2:y2:z2とすると、x2/y2<x1/y1であって、z2/y2は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z2/y2を1以上6以下とすることで、第2の金属酸化物膜252a、252bとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8等がある。
なお、第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
第2の金属酸化物膜252a、252bは、絶縁膜119となる膜を形成する際の、第1の金属酸化物膜251aへのダメージ緩和膜としても機能する。
第1の金属酸化物膜251a、251bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。第2の金属酸化物膜252a、252bの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nmとする。
第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bは、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned−Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造を含む。
なお、第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bにおいて、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜を構成してもよい。混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する単層構造の場合がある。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
ここでは、第1の金属酸化物膜251a及び絶縁膜119の間に、第2の金属酸化物膜252aが設けられている。このため、第2の金属酸化物膜252aと絶縁膜119の間において、不純物及び欠陥によりキャリアトラップが形成されても、当該キャリアトラップが形成される領域と第1の金属酸化物膜251aとの間には隔たりがある。この結果、第1の金属酸化物膜251aを流れる電子がキャリアトラップに捕獲されにくく、トランジスタ22bのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。また、キャリアトラップに電子が捕獲されると、該電子が負の固定電荷となってしまう。この結果、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかしながら、第1の金属酸化物膜251aとキャリアトラップが形成される領域との間に隔たりがあるため、キャリアトラップにおける電子の捕獲を抑制することが可能であり、しきい値電圧の変動を低減することができる。
また、第2の金属酸化物膜252aは、外部からの不純物を遮蔽することが可能であるため、外部から第1の金属酸化物膜251aへ移動する不純物量を低減することが可能である。また、第2の金属酸化物膜252aは、酸素欠損を形成しにくい。これらのため、第1の金属酸化物膜251aにおける不純物濃度及び酸素欠損量を低減することが可能である。
なお、第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bは、各膜を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯の下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化する構造)が形成されるように作製する。すなわち、各膜の界面において、第1の金属酸化物膜251a、251bにとってトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位、あるいはキャリアの流れを阻害するバリアを形成するような不純物が存在しないような積層構造とする。仮に、積層された第1の金属酸化物膜251a、251b及び第2の金属酸化物膜252a、252bの間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップされ、あるいは再結合して、消滅してしまう。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、金属酸化物膜にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
また、図11(B)に示すように、トランジスタ22cは、多層膜255aを有してもよい。または、多層膜255bを容量電極として設けてもよい。
多層膜255aは、第3の金属酸化物膜253a、第1の金属酸化物膜251a、及び第2の金属酸化物膜252aが順に積層されている。また、第3の金属酸化物膜253aは絶縁膜106と接し、第2の金属酸化物膜252aは絶縁膜119と接し、第1の金属酸化物膜251aがチャネル領域として機能する。
多層膜255bは、第3の金属酸化物膜253b、第1の金属酸化物膜251b、及び第2の金属酸化物膜252bが順に積層されている。また、第3の金属酸化物膜253bは絶縁膜106と接し、第2の金属酸化物膜252bは絶縁膜119と接する。
第3の金属酸化物膜253a、153bは、第2の金属酸化物膜252a、252bと同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。
第3の金属酸化物膜253a、153bは、第1の金属酸化物膜251a、251bより膜厚が小さいと好ましい。第3の金属酸化物膜253a、153bの厚さを1nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上3nm以下とすることで、トランジスタのしきい値電圧の変動量を低減することが可能である。
本実施の形態に示すトランジスタは、絶縁膜106及び第1の金属酸化物膜251aの間に、第3の金属酸化物膜253aが設けられている。また、第1の金属酸化物膜251a及び絶縁膜119の間に、第2の金属酸化物膜252aが設けられている。これらのため、絶縁膜106及び第1の金属酸化物膜251aの間、並びに第1の金属酸化物膜251a及び絶縁膜119の間において、不純物及び欠陥によりキャリアトラップが形成されても、当該キャリアトラップが形成される領域と第1の金属酸化物膜251aとの間には隔たりがある。この結果、第1の金属酸化物膜251aを流れる電子がキャリアトラップに捕獲されにくく、トランジスタ22cのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。また、キャリアトラップに電子が捕獲されると、該電子がマイナスの固定電荷となってしまう。この結果、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかしながら、第1の金属酸化物膜251aとキャリアトラップが形成される領域との間に隔たりがあるため、キャリアトラップにおける電子の捕獲を低減することが可能であり、トランジスタ22cのしきい値電圧の変動を低減することができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、オン電流が大きく、電界効果易動度が高く、電気特性のばらつきの少ないトランジスタと、容量素子とを、フォトマスクを削減して作製する方法について、図14及び図15を用いて説明する。なお、本実施の形態では、実施の形態2に示すトランジスタ及びその作製方法を用いて説明するが、適宜他の実施の形態に本実施の形態を適用することができる。また、実施の形態2と重複する構成は説明を省略する。
図14は画素13の上面図であり、図15(A)は、図14の一点鎖線A−B、C−D間の断面図であり、図15(B)は、図14の一点鎖線E−F間の断面図である。
トランジスタ22dは、走査線及び信号線が交差する領域に設けられている。トランジスタ22dは、ゲート電極として機能する導電膜103、ゲート絶縁膜(図15に図示せず。)、ゲート絶縁膜上に形成されたチャネル領域が形成される金属酸化物膜109a、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜114、115、金属酸化物膜109a、導電膜114、115を覆う絶縁膜(図15に図示せず。)、及びゲート電極として機能する導電膜243により構成される。トランジスタ22dは、開口部241において、ゲート電極として機能する導電膜103及び導電膜243が接続していることを特徴とする。
次に、トランジスタ22dの断面構造について、図15を用いて説明する。図15(A)はトランジスタ22dのチャネル長方向の断面図であり、図15(B)はトランジスタ22dのチャネル方向の断面図である。
図15(A)及び図15(B)に示すトランジスタ22dは、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板101に設けられるゲート電極として機能する導電膜103と、基板101及び導電膜103と接する絶縁膜105と、絶縁膜105と接する絶縁膜106と、絶縁膜105、106を介して、導電膜103と重なる金属酸化物膜109aと、金属酸化物膜109aと接する導電膜114、115とを有する。また、絶縁膜105、絶縁膜106、金属酸化物膜109a、及び導電膜114、115と接する絶縁膜119と、絶縁膜119と接する絶縁膜121と、絶縁膜121と接するゲート電極として機能する導電膜243とを有する。絶縁膜105及び絶縁膜106はゲート絶縁膜として機能する。また、絶縁膜119及び絶縁膜121はゲート絶縁膜として機能する。
図15(B)に示すように、導電膜103及び導電膜243は、絶縁膜105、絶縁膜106、絶縁膜119、及び絶縁膜121に設けられる開口部241において、接続する。また、トランジスタのチャネル幅方向において、導電膜243の端部は、金属酸化物膜109aの端部の外側に位置する。また、絶縁膜119及び絶縁膜121を介して金属酸化物膜109aの側面が導電膜243と対向する。また、導電膜243は、開口部241において、金属酸化物膜109aの側面と対向する。
導電膜243は、導電膜123及び導電膜124と同様の材料及び作製方法を用いて形成することができる。また、開口部241は、開口部152を形成する際に同時に形成することができる。この結果、フォトマスク数を増やすくことなく、5枚のフォトマスクを用いてトランジスタ22dを作製することができる。
図15(B)において、トランジスタのチャネル幅方向において、金属酸化物膜109aの側面がゲート電極として機能する導電膜243と対向する。このため、導電膜103及び導電膜243の電界が、金属酸化物膜109aの平面だけでなく、側面へも影響する。この結果、金属酸化物膜109aにおいてキャリアの流れる領域が、絶縁膜106と金属酸化物膜109aとの界面、及び金属酸化物膜109aと絶縁膜119との界面のみでなく、金属酸化物膜109aの内部を含む広い範囲となるため、トランジスタにおけるキャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタのオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が10cm2/V・s以上、さらには20cm2/V・s以上となる。なお、トランジスタのL長を0.5μm以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満とすることで、電界効果移動度の増加が顕著である。
また、エッチング等で加工された金属酸化物膜109aの端部においては、加工におけるダメージにより欠陥が形成される共に、不純物付着などにより汚染される。このため、トランジスタにおいてゲート電極として機能する導電膜103または導電膜243の一方のみ形成される場合、金属酸化物膜109aが真性または実質的に真性であっても、電界などのストレスが与えられることによって金属酸化物膜109aの端部は活性化され、n型の領域(低抵抗領域)となりやすい。また、当該n型の領域が、導電膜114、115の間に直線的に設けられると、n型の領域がキャリアのパスとなってしまい、寄生チャネルが形成される。この結果、しきい値電圧におけるドレイン電流の上昇が段階的であり、且つしきい値電圧がマイナスシフトしたトランジスタとなってしまう。しかしながら、図15(B)に示すように、同電位である導電膜103及び導電膜243を有し、チャネル幅方向において、導電膜243が、金属酸化物膜109aの側面と対向することで、導電膜243の電界が金属酸化物膜109aの側面へも影響する。この結果、金属酸化物膜109aの側面、または側面及びその近傍を含む端部における寄生チャネルの発生が抑制される。この結果、しきい値電圧におけるドレイン電流の上昇が急峻である、電気特性の優れたトランジスタとなる。
また、導電膜103及び導電膜243を有することで、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有するため、基板101及び導電膜243の間、導電膜243上に設けられる固定電荷が金属酸化物膜109aに影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲート電極にマイナスの電位を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制されると共に、異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(即ち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
また、図15(B)において、チャネル幅方向において、金属酸化物膜109aの一方の側面側に開口部が設けれ、該開口部において導電膜103及び導電膜243が電気的に接続しているが、他方の側面側にも開口部を設け、該開口部において導電膜103及び導電膜243を電気的に接続してもよい。この結果、導電膜243の抵抗値の増加を防ぐことができるとともに、金属酸化物膜109aの両側面から導電膜243の電界を金属酸化物膜109aに影響させることが可能であり、トランジスタのオン電流を増大させるとともに、電界効果移動度を高めることができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
実施の形態1乃至実施の形態5に示すトランジスタ及び容量素子を用いて、駆動回路を作製することができる。
また、実施の形態4に示すトランジスタ22dは、オン電流が大きく、且つ移動度が高い。このため、大電流を流す必要のあるトランジスタで構成される回路、例えばバッファにトランジスタ22dを用いることで、チャネル長及びチャネル幅を小さくすることが可能であり、トランジスタの面積を縮小することが可能である。この結果、駆動回路の面積が縮小される。周辺部に駆動回路を有する半導体装置、代表的には表示装置において、駆動回路の面積を縮小することで、表示装置における画素部の面積を増大させることができる。すなわち、表示装置の狭額縁化が可能である。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を適用した表示モジュールについて、図16を用いて説明を行う。
図16に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、バックライトユニット8007、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリー8011を有する。なお、バックライトユニット8007、バッテリー8011、タッチパネル8004などは、設けられない場合もある。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。または、表示パネル8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。または、表示パネル8006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、静電容量方式のタッチパネルとすることも可能である。
バックライトユニット8007は、光源8008を有する。光源8008をバックライトユニット8007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリー8011による電源であってもよい。バッテリー8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000には、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、半導体装置の一例として、上記実施の形態で説明した半導体装置を搭載することのできる電子機器について説明する。
電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図12に示す。
図12(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、上記実施の形態で説明した表示装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモートコントローラ7110により行うことができる。リモートコントローラ7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモートコントローラ7110に、当該リモートコントローラから出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図12(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、上記実施の形態で説明した表示装置を表示部7203に用いることができる。
図12(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図12(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、または一方に上記実施の形態で説明した表示装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図12(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図12(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図12(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、上記実施の形態で説明した表示装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図12(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、または筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図12(E)は、折りたたみ式のコンピュータの一例を示している。折りたたみ式のコンピュータ7450は、ヒンジ7454で接続された筐体7451Lと筐体7451Rを備えている。また、操作ボタン7453、左側スピーカ7455Lおよび右側スピーカ7455Rの他、コンピュータ7450の側面には図示されていない外部接続ポート7456を備える。なお、筐体7451Lに設けられた表示部7452Lと、筐体7451Rに設けられた表示部7452Rが互いに対峙するようにヒンジ7454を折り畳むと、表示部を筐体で保護することができる。
表示部7452Lと表示部7452Rは、画像を表示する他、指などで触れると情報を入力できる。例えば、インストール済みのプログラムを示すアイコンを指でふれて選択し、プログラムを起動できる。または、表示された画像の二箇所に触れた指の間隔を変えて、画像を拡大または縮小できる。または、表示された画像の一箇所に触れた指を移動して画像を移動できる。また、キーボードの画像を表示して、表示された文字や記号を指で触れて選択し、情報を入力することもできる。
また、コンピュータ7450に、ジャイロ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)受信機、指紋センサ、ビデオカメラを搭載することもできる。例えば、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、コンピュータ7450の向き(縦か横か)を判断して、表示する画面の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。
また、コンピュータ7450はネットワークに接続できる。コンピュータ7450はインターネット上の情報を表示できる他、ネットワークに接続された他の電子機器を遠隔から操作する端末として用いることができる。
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、金属酸化物膜において、導電性を有する領域の横方向への拡散長を調べた。
はじめに、試料の構造について、説明する。
図18(A)に、試料の上面図を示し、図18(A)のA−Bに対応する断面図を図18(B)に示す。
試料は、基板301と、基板301上の絶縁膜303と、絶縁膜303上の金属酸化物膜305と、金属酸化物膜305の一部と接する一対の導電膜307、308と、金属酸化物膜305及び一対の導電膜307、308のそれぞれ一部に接する絶縁膜309と、絶縁膜303、金属酸化物膜305、一対の導電膜307、308、及び絶縁膜309と接する絶縁膜311を有する。なお、絶縁膜309は、開口部310a、310bを有する。また、絶縁膜311は、開口部310a、310bにおいて、金属酸化物膜305に接する。
ここでは、基板301として、ガラス基板を用いた。
また、絶縁膜303として、厚さ50nmの第1の窒化シリコン膜と、厚さ300nmの第2の窒化シリコン膜と、厚さ50nmの第3の窒化シリコン膜と、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜が順に積層された積層膜を用いた。
また、金属酸化物膜305として、厚さ35nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を用いた。なお、In−Ga−Zn酸化物膜は、In:Ga:Zn=1:1:1のIn−Ga−Zn酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成した。
また、一対の導電膜307、308として、厚さ50nmの第1のチタン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmの第2のチタン膜が順に積層された積層膜を用いた。
また、絶縁膜309として、厚さ450nmの酸化窒化シリコン膜を用いた。
また、絶縁膜311として、厚さ100nmの窒化シリコン膜を用いた。
金属酸化物膜305は、絶縁膜309の開口部310a、310bにおいて、絶縁膜311と接する。このため、金属酸化物膜305は、絶縁膜309と接する領域305aと、絶縁膜311と接する領域305b、305cとを有する。なお、絶縁膜311は、窒化シリコン膜で形成されているため、領域305b、305cは、領域305aと比較して、導電性が高い。
絶縁膜311に含まれる水素は、金属酸化物膜305において横方向に拡散する。水素が拡散した領域は導電性が高くなる。このため、絶縁膜309の幅、即ち開口部310a、310bの間隔dが狭くなると、領域305aにおいても導電性が高くなってしまい、絶縁膜309と接していても、トランジスタのチャネル領域として機能しなくなる。
そこで、絶縁膜309の幅、即ち開口部310a、310bの間隔dを様々な値とした試料を作製した。次に、一対の導電膜307、308の電位差が0.99Vとなるように電圧を印加して、金属酸化物膜305全体の抵抗値を測定した。
表1及び図19に、開口部310a、310bの間隔dと、金属酸化物膜305の抵抗値を示す。なお、比較例として、2つの試料を作製した。比較例1は、絶縁膜309に開口部310a、310bを有さない試料、即ち、金属酸化物膜305全てが酸化窒化シリコン膜で形成される絶縁膜309と接する試料である。比較例2は、絶縁膜309を有さない試料、即ち、金属酸化物膜305全てが窒化シリコン膜で形成される絶縁膜311と接する試料である。
表1及び図19より、開口部310a、310bの間隔dが3μmを超えると金属酸化物膜305の抵抗値が上昇することから、金属酸化物膜305における、導電性の高い領域305b、305cの横方向への拡散長は、片側あたり1.5乃至2um程度と推測される。
よって、トランジスタのチャネル領域と、容量素子の電極を、一つの金属酸化物膜に形成する場合、トランジスタのチャネル領域と、容量素子の電極との間隔を、1.5μmより大きい、さらには2μmより大きい、さらには3μm以上とすることで、優れたスイッチング特性を有するトランジスタと、導電性の高い容量素子の電極とを、一つの金属酸化物膜で形成することができる。