JP6365383B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、正極と、負極と、正極と負極との間に設けられたセパレータと、少なくともセパレータに保持された非水電解質とを備えた非水電解質二次電池に関する。
特許文献1(特開2002−319386号公報)には、微多孔を有する多孔質材料からなる層が複数積層されてなるセパレータを非水電解質二次電池において用いることが記載されている。特許文献1に記載のセパレータでは、多孔質材料からなる層のうちの少なくとも2層の空隙率が異なり、空隙率の異なる層のうちの最も空隙率の高い層の微多孔平均孔径は最も空隙率の低い層の微多孔平均孔径よりも大きい。特許文献1には、かかるセパレータを用いれば非水電解質二次電池において良好な低温特性と過充電安全性とを両立できることが記載されている。
特開2002−319386号公報
非水電解質二次電池では、セパレータは正極と負極との間に設けられており、セパレータに形成されている多数の空孔の内部には非水電解質が存在している。これにより、正極と負極との間において、イオン(非水電解質に含まれるイオン(例えばリチウムイオン))の移動又は電流が確保されている。
ところで、非水電解質二次電池の温度がその非水電解質二次電池のセパレータを構成する材料の融点以上にまで上昇すると、そのセパレータを構成する材料が溶融する。これにより、セパレータに形成されている空孔が塞がれるので、上記イオンの移動又は電流が遮断される(セパレータのシャットダウン)。セパレータがシャットダウンすると、正極と負極との間の抵抗が高くなるので、正極と負極との間に大電流が流れることを防止できる。したがって、非水電解質二次電池の動作を安全に停止させることができる。
しかし、セパレータのシャットダウン後に非水電解質二次電池の温度が更に上昇する場合がある。セパレータのシャットダウン後に非水電解質二次電池の温度が大幅に上昇すると、セパレータの熱収縮などを招くことがある。「セパレータの熱収縮」とは、セパレータの温度上昇に起因してセパレータが収縮又は消失することを意味する。そのため、セパレータのシャットダウン後における非水電解質二次電池の温度の大幅な上昇を防止することが好ましく、より一層安全な非水電解質二次電池が要求されている。本発明では、より一層安全な非水電解質二次電池を提供する。
セパレータのシャットダウン後に非水電解質二次電池の温度が更に上昇する理由として、次に示すことが考えられる。
セパレータがシャットダウンすると非水電解質二次電池の温度が低下する傾向にあるが、セパレータのシャットダウン直後においては非水電解質二次電池の温度が十分に低下していない場合がある。そして、非水電解質二次電池の温度が高い状態では、正極活物質又は負極活物質と非水電解質との反応(発熱反応)が起こり易いと考えられている。
ところで、セパレータがシャットダウンしていない状態では、セパレータに形成されている多数の空孔の内部には非水電解質が存在している。セパレータは正極と負極との間に配置されているので、上記発熱反応が生じ得る箇所の近傍には非水電解質が存在することとなる。ここで、非水電解質は熱容量を有する。そのため、セパレータがシャットダウンしていない状態では、上記発熱反応が起こったとしても、その発熱反応により生じた熱を非水電解質へ逃がすことができる。
しかし、セパレータがシャットダウンしている状態では、セパレータに形成されていた空孔が塞がれているので、その空孔の内部に存在していた非水電解質がセパレータの外へ排出されている。そのため、上記発熱反応が生じ得る箇所の近傍に存在する非水電解質の量が減少する。よって、セパレータがシャットダウンしている状態で上記発熱反応が起こると、その発熱反応により生じた熱を非水電解質へ逃がすことが困難となる。したがって、非水電解質二次電池の温度の更なる上昇を引き起こす。つまり、セパレータのシャットダウン後に非水電解質二次電池の温度が更に上昇することとなる。
また、上記発熱反応では、正極活物質と非水電解質との反応による発熱量の方が、負極活物質と非水電解質との反応による発熱量よりも大きい、と言われている。以上をふまえ、本発明の非水電解質二次電池が完成した。
本発明の非水電解質二次電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に設けられたセパレータと、少なくともセパレータに保持された非水電解質とを備える。セパレータは、正極に対向し且つポリプロピレンからなる第1セパレータ層と、負極に対向し且つポリプロピレンからなる第2セパレータ層と、第1セパレータ層と第2セパレータ層との間に設けられ且つポリエチレンからなる第3セパレータ層とを少なくとも有する。第1セパレータ層の空孔率(%)をαと表し、第2セパレータ層の空孔率(%)をβと表し、第3セパレータ層の空孔率(%)をγと表し、正極に含まれる正極活物質の比表面積(m2/g)をδと表した場合、下記式1〜式4が満たされている。
20%<α≦25%・・・式1
80%≦β<85%・・・式2
15%<γ≦20%・・・式3
δ≧3.0m2/g・・・式4。
一般に、ポリエチレンの方がポリプロピレンよりも融点が低い。そのため、本発明の非水電解質二次電池の温度が上昇すると、第3セパレータ層を構成する材料が溶融し、第3セパレータ層に形成されている空孔が塞がれる。これにより、第3セパレータ層においては上記イオンの移動又は電流が遮断される(第3セパレータ層のシャットダウン)。
第3セパレータ層に形成されている空孔が塞がれると、その空孔の内部に存在していた非水電解質が第3セパレータ層の外へ排出される。本発明の非水電解質二次電池では、上記式1と上記式2とが満たされている。そのため、第3セパレータ層の外へ排出された非水電解質は、第1セパレータ層側よりも第2セパレータ層側へ染み出し易くなり、つまり正極側よりも負極側へ染み出し易くなる。これにより、正極活物質と非水電解質との接触面積の増加を抑制できるので、正極活物質と非水電解質との反応を防止できる。
正極活物質と非水電解質との接触面積の増加を抑制するという観点では、正極活物質の比表面積は小さい方が好ましいと考えられる。しかし、今般、上記式4が満たされていれば、上記式4が満たされていない場合に比べ、上述の効果が顕著となることが分かった。
以上より、上記式1〜式4が満たされていれば、第3セパレータ層において空孔が塞がれた後における正極活物質と非水電解質との反応を防止できる。よって、第3セパレータ層のシャットダウン後に非水電解質二次電池の温度が更に上昇することを防止できる。
本明細書では、「第1セパレータ層の空孔率」とは、例えば水銀ポロシメータによる空孔容積測定により求められた値を意味する。「第2セパレータ層の空孔率」および「第3セパレータ層の空孔率」についても同様のことが言える。「比表面積」とは、BET比表面積を意味する。
本発明では、第3セパレータ層のシャットダウン後に非水電解質二次電池の温度が更に上昇することを防止できるので、非水電解質二次電池の安全性をより一層高めることができる。
本発明の一実施形態の非水電解質二次電池の斜視図である。 本発明の一実施形態の電極体の断面図である。
以下、本発明について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[非水電解質二次電池の構成]
図1は、本発明の実施形態の非水電解質二次電池の斜視図である。本実施形態の非水電解質二次電池では、電極体11と非水電解質(不図示)とが電池ケース1の内部に設けられている。そのため、図1においては、本実施形態の非水電解質二次電池の内部構造の一部を示している。電池ケース1には、正極端子3と負極端子7とが設けられている。
<電極体>
図2は、本実施形態の電極体11の断面図である。電極体11は、正極13と、負極17と、正極13と負極17との間に設けられたセパレータ15とを有する。電極体11では、正極13と負極17とがセパレータ15を挟んで巻回されている。
正極13は、正極集電体13Aと、正極合剤層13Bと、正極露出部13Dとを含む。正極合剤層13Bは、正極13の幅方向一端(図2の左端)を除く正極集電体13Aの両面に設けられている。正極露出部13Dは、正極13の幅方向一端に位置し、正極合剤層13Bが正極集電体13Aに設けられることなく構成されている。
負極17は、負極集電体17Aと、負極合剤層17Bと、負極露出部17Dとを含む。負極合剤層17Bは、負極17の幅方向一端(図2の右端)を除く負極集電体17Aの両面に設けられている。負極露出部17Dは、負極17の幅方向一端に位置し、負極合剤層17Bが負極集電体17Aに設けられることなく構成されている。
正極露出部13Dと負極露出部17Dとは、セパレータ15から突出しており、電極体11の軸方向に沿って互いに反対側に突出している。正極露出部13Dは正極端子3に接続されており、負極露出部17Dは負極端子7に接続されている。
正極合剤層13Bは正極活物質と導電剤と結着剤とを含み、正極合剤層13Bには多数の空孔が形成されている。負極合剤層17Bは負極活物質と結着剤とを含み、負極合剤層17Bには多数の空孔が形成されている。セパレータ15は正極合剤層13Bと負極合剤層17Bとの間に位置し、セパレータ15には多数の空孔が形成されている。正極合剤層13B、負極合剤層17B及びセパレータ15に形成されている多数の空孔には非水電解質が存在している。
<セパレータ>
セパレータ15は、正極13に対向する第1セパレータ層15Aと、負極17に対向する第2セパレータ層15Bと、第1セパレータ層15Aと第2セパレータ層15Bとの間に設けられた第3セパレータ層15Cとを有する。第1セパレータ層15Aと第2セパレータ層15Bとはポリプロピレン(polypropylene,以下では「PP」と記す)からなる。一方、第3セパレータ層15Cはポリエチレン(polyethylene,以下では「PE」と記す)からなる。
第1セパレータ層15Aの空孔率(%)をαと表し、第2セパレータ層15Bの空孔率(%)をβと表し、第3セパレータ層15Cの空孔率(%)をγと表し、正極13に含まれる正極活物質の比表面積(m2/g)をδと表した場合、下記式1〜式4が満たされている。
20%<α≦25%・・・式1
80%≦β<85%・・・式2
15%<γ≦20%・・・式3
δ≧3.0m2/g・・・式4。
PEの方がPPよりも融点が低い。そのため、本実施形態の非水電解質二次電池の温度が上昇すると、まず、PEが溶融する。これにより、第3セパレータ層15Cにおいて、空孔が塞がれ、よって、上記イオンの移動又は電流が遮断される(第3セパレータ層15Cのシャットダウン)。したがって、第3セパレータ層15Cにおいて空孔が塞がれていれば、第1セパレータ層15Aおよび第2セパレータ層15Bにおいて空孔の少なくとも一部が塞がれることなく残存していても、正極13と負極17との間の抵抗が高くなる。その結果、正極13と負極17との間に大電流が流れることを防止できるので、本実施形態の非水電解質二次電池の動作を安全に停止させることができる。
第3セパレータ層15Cのシャットダウンによって非水電解質二次電池の温度が低下する傾向となるが、第3セパレータ層15Cのシャットダウン直後においては非水電解質二次電池の高温状態が維持されている場合がある。そのため、正極活物質又は負極活物質と非水電解質との反応(発熱反応)が起こることがある。特に、第3セパレータ層15Cにおいて空孔が塞がれると、その空孔の内部に存在していた非水電解質が第3セパレータ層15Cの外へ排出されることとなるので、非水電解質が正極活物質又は負極活物質に接触し易くなる。上述したように正極活物質と非水電解質との反応による発熱量の方が負極活物質と非水電解質との反応による発熱量よりも大きいので、正極活物質と非水電解質との反応が起こると第3セパレータ層15Cのシャットダウン後における非水電解質二次電池の温度の更なる上昇が顕著となる。
しかし、本実施形態の非水電解質二次電池では、上記式1と上記式2とが満たされている。そのため、第3セパレータ層15Cの外へ排出された非水電解質は、第1セパレータ層15A側よりも第2セパレータ層15B側へ染み出し易くなる。ここで、第1セパレータ層15Aは正極13に対向しており、第2セパレータ層15Bは負極17に対向している。よって、第3セパレータ層15Cの外へ排出された非水電解質は、正極13側よりも負極17側へ染み出し易くなる。したがって、第3セパレータ層15Cの外へ排出された非水電解質と正極活物質との接触を防止できるので、正極活物質と非水電解質との接触面積の増加を抑制でき、その結果、正極活物質と非水電解質との反応を防止できる。
正極活物質と非水電解質との接触面積の増加を抑制するという観点では、正極活物質の比表面積は小さい方が好ましいと考えられる。しかし、今般、δ≧3.0m2/gであれば(上記式4が満たされていれば)、上記式4が満たされていない場合(δ<3.0m2/gである場合)に比べ、上述の効果が顕著となることが分かった。このような結果が得られた理由として、本発明者は、正極活物質の比表面積が3.0m2/gとなると、正極活物質と非水電解質との反応による発熱量が大幅に増加するからではないかと考えた。そこで、本発明者は、示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))によって下記測定条件で正極活物質と非水電解液との反応により生じる熱量を測定した。結果を表1に示す。
(測定条件)
測定温度の範囲:100℃〜250℃
測定用サンプル:正極活物質が非水電解液に分散されたもの。
Figure 0006365383
表1に示すように、正極活物質の比表面積が3.0m2/gであれば、正極活物質の比表面積が2.5m2/gである場合に比べ、DSCにより測定された熱量(100℃〜250℃での発熱量)が大幅に増加した。このことから、正極活物質の比表面積が3.0m2/gとなると、正極活物質と非水電解質との反応による発熱量が大幅に増加することが確認された。
なお、正極活物質の比表面積が3.0m2/gとなると正極活物質と非水電解質との反応による発熱量が大幅に増加する理由として、本発明者は、次に示すことを考えている。比表面積が3.0m2/g以上である正極活物質では、その温度が上昇すると、リチウム原子が正極活物質の結晶構造から抜け出し易くなる。これにより、正極活物質の熱安定性が低下するので、正極活物質と非水電解質との反応による発熱量が大幅に増加する。
以上をまとめると、本実施形態の非水電解質二次電池では、上記式1〜式4が満たされているので、第3セパレータ層15Cにおいて空孔が塞がれた後における正極活物質と非水電解質との反応を防止できる。これにより、第3セパレータ層15Cのシャットダウン後に非水電解質二次電池の温度が更に上昇することを防止できる。このように、本実施形態では、非水電解質二次電池の安全性をより一層高めることができる。したがって、本実施形態の非水電解質二次電池を例えばハイブリッド自動車若しくは電気自動車等の自動車用電源、工場用電源又は家庭用電源等に使用される大型電池として使用すれば、かかる大型電池の安全性をより一層高めることができる。
第1セパレータ層15Aに形成されている空孔を大きくすれば、又は、第1セパレータ層15Aにおける空孔の個数を多くすれば、第1セパレータ層15Aの空孔率が高くなる。第2セパレータ層15Bの空孔率及び第3セパレータ層15Cの空孔率に対しても同様のことが言える。そのため、上記式1〜式3が満たされるように、第1セパレータ層15Aにおける空孔の大きさ及び空孔の個数、第2セパレータ層15Bにおける空孔の大きさ及び空孔の個数、及び、第3セパレータ層15Cにおける空孔の大きさ及び空孔の個数のうちの少なくとも1つを決定することが好ましい。
第1セパレータ層15Aは、3μm以上15μm以下の厚さを有することが好ましい。第2セパレータ層15Bは、3μm以上15μm以下の厚さを有することが好ましい。第3セパレータ層15Cは、3μm以上15μm以下の厚さを有することが好ましい。
正極活物質の比表面積は、より好ましくは3.0m2/g以上3.25m2/g以下であり、さらに好ましくは3.0m2/g以上3.08m2/g以下である。
正極活物質を除く正極13の構成としては、非水電解質二次電池の正極の構成として従来公知の構成を特に限定されることなく使用できる。負極17の構成及び非水電解質の構成についても同様のことが言える。
以下では、非水電解質二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池を例に挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
(1) α/βの最適化
[実施例1]
<リチウムイオン二次電池の製造>
(正極の作製)
正極活物質として、Liと3種の遷移金属元素(Co、NiおよびMn)とを含む複合酸化物からなる粉末(比表面積が3.0m2/g)を準備した。質量比で90:8:2となるように正極活物質とアセチレンブラック(導電剤)とPVDF(結着剤)とを混ぜ、NMP(N-methylpyrrolidone)で希釈して、正極合剤ペーストを得た。
Al箔(正極集電体、厚さが15μm)の幅方向一端が露出するように正極合剤ペーストをAl箔の両面に塗布した後、正極合剤ペーストを乾燥させた。これにより、Al箔の幅方向一端を除くAl箔の両面に正極合剤層が形成された。その後、ロール圧延機を用いて正極合剤層及びAl箔を圧延した。このようにして正極露出部を幅方向一端に有する正極が得られた。
(負極の作製)
負極活物質として、天然黒鉛を核材とする炭素材料を準備した。質量比で98:1:1となるように負極活物質とCMC(carboxymethylcellulose)(増粘剤)とポリフッ化ビニリデン(結着剤)とを混ぜ、水で希釈して、負極合剤ペーストを得た。
Cu箔(負極集電体、厚さが10μm)の幅方向一端が露出するように負極合剤ペーストをCu箔の両面に塗布した後、負極合剤ペーストを乾燥させた。これにより、Cu箔の幅方向一端を除くCu箔の両面に負極合剤層が形成された。その後、ロール圧延機を用いて負極合剤層及びCu箔を圧延した。このようにして負極露出部を幅方向一端に有する負極が得られた。
(セパレータの作製)
PP製の第1セパレータ層(厚さが10μm、空孔率が25%)とPP製の第2セパレータ層(厚さが10μm、空孔率が80%)とPE製の第3セパレータ層(厚さが10μm、空孔率が20%)とを準備した。第1セパレータ層、第2セパレータ層及び第3セパレータ層の各空孔率はいずれも前述の方法にしたがって測定された。第1セパレータ層と第2セパレータ層との間に第3セパレータ層を配置してセパレータを得た。
(電極体の作製及び挿入)
第1セパレータ層が正極合剤層に対向するとともに第2セパレータ層が負極合剤層に対向するように、正極合剤層と負極合剤層との間にセパレータを配置した。また、正極露出部と負極露出部とがセパレータから逆向きに突出するように、正極と負極とセパレータとを配置した。
次に、Al箔の幅方向(正極の幅方向に相当する)およびCu箔の幅方向(負極の幅方向に相当する)に対して平行となるように巻回軸(不図示)を配置し、その巻回軸を用いて正極、セパレータおよび負極を巻回させた。得られた円筒型の電極体に対して4kN/cm2の圧力を常温で2分間与え、扁平状の電極体を得た。
続いて、正極端子と負極端子とが設けられた電池ケースの蓋体を準備した。正極露出部と正極端子とを接続し、負極露出部と負極端子とを接続した。蓋体が接続された電極体を電池ケースのケース本体に入れ、蓋体でケース本体の開口を塞いだ。
(非水電解液の調製及び注入)
体積比で30:40:30となるようにEC(ethylene carbonate)とDMC(dimethyl carbonate)とEMC(ethyl methyl carbonate)とを混合して、混合溶媒を得た。この混合溶媒に、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を入れた。調製された非水電解液を蓋体の注液用孔から注入した後、電池ケース内を減圧した。これにより、非水電解液は、正極合剤層、負極合剤層及びセパレータに含浸された。その後、注液用孔を封止した。このようにして実施例1のリチウムイオン二次電池が得られた。
<評価>
(温度の上昇量)
製造されたリチウムイオン二次電池に対して、−10℃において10Cの電流で電池電圧が4Vになるまで充電した。その後、電池電圧を4Vよりも更に上昇させてリチウムイオン二次電池の充電を継続させた(過充電)。
正極と負極との間を流れる電流が急激に低下した時点でリチウムイオン二次電池の充電を停止し、その直後から熱電対を用いて電池ケースの温度を測定した。電池ケースの温度の下降が確認されたら、電池ケースの温度の測定を停止した。得られたデータを下記式5に代入して温度の上昇量を算出した。なお、下記式5における「最高温度」とは、電池ケースの温度の最高値を意味する(以下においても同様である)。結果を表2に示す。温度の上昇量が10℃以下であれば、第2セパレータ層のシャットダウン後におけるリチウムイオン二次電池の温度の更なる上昇が防止されていると考えられる。
(温度の上昇量)=(最高温度)−(充電停止直後の電池ケースの温度)・・・式5。
Figure 0006365383
(最高温度の差)
実施例1のリチウムイオン二次電池の製造方法にしたがって参照用リチウムイオン二次電池(第1セパレータ層の空孔率:50%、第2セパレータ層の空孔率:50%)を製造し、参照用リチウムイオン二次電池に対して上記評価と同様の評価を行った。下記式6を用いて最高温度の差を算出した。結果を表2に示す。
(最高温度の差)=(実施例1のリチウムイオン二次電池の最高温度)−(参照用リチウムイオン二次電池の最高温度)・・・式6。
表2において、最高温度の差(式6参照)が10℃以下であった場合には「A1」と記し、最高温度の差(式6参照)が10℃よりも大きかった場合には「C1」と記す。最高温度の差が10℃以下であれば、リチウムイオン二次電池が過充電状態となった場合であってもその温度上昇が抑制されていると考えられる。温度の上昇量が10℃以下であり、且つ、最高温度の差が10℃以下であれば、そのリチウムイオン二次電池は安全性により一層優れると言える。
[実施例2〜3及び比較例1〜9]
第1セパレータ層の空孔率、第2セパレータ層の空孔率又は第3セパレータ層の空孔率が異なることを除いては実施例1に記載の方法にしたがってリチウムイオン二次電池を製造し、実施例1に記載の方法にしたがってリチウムイオン二次電池を評価した。結果を表2に示す。なお、表2の「最高温度の差」における「−」は、大電流入出力特性が10%低下したために最高温度の差を測定しなかったことを意味する(比較例1、6及び7)。
<考察>
表2に示すように、実施例1〜3では、温度の上昇量が10℃以下であり、最高温度の差が10℃以下であった。一方、比較例1、6及び7では、大電流入出力特性が10%低下した。また、比較例2〜5、8及び9では、温度の上昇量が10℃を超え、最高温度の差が10℃を超えた。この結果から、上記式1〜式3が満たされていればリチウムイオン二次電池の安全性がより一層高まることが分かった。
(2) 正極活物質の比表面積の最適化
[実施例1,4と比較例10]
正極活物質の比表面積が異なることを除いては実施例1に記載の方法にしたがってリチウムイオン二次電池を製造し、実施例1に記載の方法にしたがってリチウムイオン二次電池を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006365383
表3に示すように、実施例1及び4では、最高温度の差が10℃以下であった。一方、比較例10では、最高温度の差が10℃を超えた。この結果から、上記式1〜式3に加え上記式4が満たされていればリチウムイオン二次電池の安全性がより一層高まることが分かった。
なお、本発明者は、実施例1において第3セパレータ層の厚さを5μmに変更した場合であっても実施例1と同様の結果が得られたことを確認している。また、本発明者は、実施例1において第3セパレータ層の厚さを15μmに変更した場合であっても実施例1と同様の結果が得られたことを確認している。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電池ケース、3 正極端子、7 負極端子、11 電極体、13 正極、13A 正極集電体、13B 正極合剤層、13D 正極露出部、15,25 セパレータ、15A,25A 第1セパレータ層、15B,25B 第2セパレータ層、15C,25C 中間層、17 負極、17A 負極集電体、17B 負極合剤層、17D 負極露出部、25D 第3セパレータ層。

Claims (1)

  1. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に設けられたセパレータと、少なくとも前記セパレータに保持された非水電解質とを備え、
    前記セパレータは、前記正極に対向し且つポリプロピレンからなる第1セパレータ層と、前記負極に対向し且つポリプロピレンからなる第2セパレータ層と、前記第1セパレータ層と前記第2セパレータ層との間に設けられ且つポリエチレンからなる第3セパレータ層とを少なくとも有し、
    前記第1セパレータ層の空孔率(%)をαと表し、前記第2セパレータ層の空孔率(%)をβと表し、前記第3セパレータ層の空孔率(%)をγと表し、前記正極に含まれる正極活物質の比表面積(m2/g)をδと表した場合、下記式1〜式4が満たされている非水電解質二次電池。
    20%<α≦25%・・・式1
    80%≦β<85%・・・式2
    15%<γ≦20%・・・式3
    δ≧3.0m2/g・・・式4
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