JP6365257B2 - 位相差フィルム積層体、偏光板及び位相差フィルム積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の位相差フィルム積層体は、位相差フィルムと、この位相差フィルムの一方の面に積層される易接着層とを備える。
上記位相差フィルムは、脂環式構造を有する重合体を主成分として含む。この脂環式構造を有する重合体としては、脂環式構造を有するものであれば特に限定されないが、環状ポリオレフィンが好ましい。脂環式構造を有する重合体として環状ポリオレフィンを用いることで、光学的に均一な複屈折性を発現させることができる上、透明性、耐熱性、耐薬品性等を向上させることができる。なお、脂環式構造を有する重合体は1種又は2種以上を用いることができる。
上記環状ポリオレフィンは、環状オレフィン(シクロオレフィン)系単量体に由来する構造単位を有する樹脂であれば特に限定されず、その他の単量体に由来する構造単位を有してもよい。
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセン、ノルボルネン等の二重結合を1つ有する環状オレフィン又はその置換体;
1,4−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエン等の複数の二重結合を有する環状オレフィン又はその置換体などが挙げられる。
エチレン、プロピレン等の鎖状オレフィン;
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系単量体などが挙げられる。
GPCカラム:例えば東ソー社のGPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
上記位相差フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。
ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等のその他の樹脂成分;
二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム等の滑剤;
オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物等の紫外線吸収剤;
層状結晶化合物、無機微粒子、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、可塑剤、染料、顔料、帯電防止剤などが挙げられる。
上記易接着層は、上記位相差フィルムの一方の面に積層される層であり、当該位相差フィルム積層体と偏光子等とを積層する際、接着に寄与する層である。
(ヘーズ値)
当該位相差フィルム積層体のヘーズ値の下限としては、0.05%が好ましく、0.08%がより好ましく、0.1%がさらに好ましい。また、上記ヘーズ値の上限としては、1%が好ましく、0.8%がより好ましく、0.5%がさらに好ましい。上記ヘーズ値が上記下限未満の場合、製造コストが増大するおそれがある。一方、上記ヘーズ値が上記上限を超えると、光学的特性が低下するおそれがある。なお、「ヘーズ値」は、JIS−K−7136(2000年)に準拠し、易接着層側から光を入射して測定される値である。
当該位相差フィルム積層体の平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、上記平均厚みの上限としては、20μmが好ましく、15μmがより好ましく、14μmがさらに好ましい。上記平均厚みが上記下限未満の場合、機械的強度が低下するおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超えると、光学的特性が低下するおそれがある。
易接着層形成前後の面内位相差値の変化率の上限としては、5%が好ましく、4%がより好ましく、3%がさらに好ましい。上記変化率が上記上限を超えると、位相差補償機能を有効に発揮させることができなくなるおそれがある。なお、面内位相差値は、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚みをdとして、(nx−ny)×dで算出される値である。また、「易接着層形成前後の面内位相差値の変化率」とは、易接着層形成前の位相差フィルム及び易接着層形成後の位相差フィルム積層体について、位相差測定装置により面内位相差値を測定し、以下の式により算出される値である。
易接着層形成前後の面内位相差値の変化率={(易接着層形成後の面内位相差値−易接着層形成前の面内位相差値)/易接着層形成前の面内位相差値}×100
本発明の位相差フィルム積層体の製造方法は、脂環式構造を有する重合体を主成分として含む位相差フィルムと、この位相差フィルムの一方の面に積層される易接着層とを備える位相差フィルム積層体の製造方法であって、樹脂成分及び溶媒を含む塗液により上記位相差フィルムの一方の面に塗膜を形成する工程(以下、「塗膜形成工程」ともいう。)と、上記塗膜の乾燥により上記易接着層を形成する工程(以下、「易接着層形成工程」ともいう。)とを備え、上記易接着層の濡れ指数が50mN/m以上69mN/m以下、85℃における貯蔵弾性率が1MPa以上である。当該位相差フィルム積層体の製造方法によれば、上述した常温下及び高温下において偏光子等との接着強度に優れる位相差フィルム積層体を簡便かつ確実に製造できる。
塗膜形成工程に使用する位相差フィルムとしては、上述した当該位相差フィルム積層体における位相差フィルムと同様のものを採用できる。
第1溶媒種は、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒又はこれらの組み合わせである。
n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のジ脂肪族エーテル;
アニソール、フェニルエチルエーテル等の芳香族−脂肪族エーテル;
ジフェニルエーテル等のジ芳香族エーテル;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテルなどが挙げられる。
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、酢酸メトキシトリグリコール等の酢酸エステル;
酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルアセテート;
プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル等のプロピオン酸エステル;
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル;
シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル等のシュウ酸エステル;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等の乳酸エステル;
マロン酸ジエチル等のマロン酸エステル;
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のフタル酸エステルなどが挙げられる。
第2溶媒種は、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒又はこれらの組み合わせである。
アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−ペンチルケトン、エチルn−ブチルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、ジi−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状脂肪族ケトン;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状脂肪族ケトン;
アセトフェノン、フェニルエチルケトン等の芳香族ケトン;
アセトニルアセトン等のγ−ジケトンなどが挙げられる。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテルなどが挙げられる。
上記溶媒が含有してもよいその他の成分としては、例えば水等の無機溶媒、アミド系溶媒などが挙げられる。上記塗液が上記その他の成分を含有する場合、その含有量の上限は、例えば2質量%である。
上記塗液の塗工法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等が挙げられる。なお、塗工前に、位相差フィルムの塗膜が形成される面にコロナ処理等の改質処理を施してもよい。これにより、位相差フィルムと易接着層との接着強度がより向上する。
上記位相差フィルムの一方の面に塗液を塗工することで塗膜を形成した後、この塗膜を乾燥し、必要に応じて塗膜を焼成することで易接着層を形成し、位相差フィルム積層体が得られる。
次に、本発明の一実施形態の偏光板について、適宜図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態の偏光板の模式的断面図である。
偏光子4としては、例えば入射する自然光から直線偏光を取り出す機能を有する偏光フィルム等が挙げられる。この偏光フィルムとしては、例えば二色性色素が吸着配向された樹脂フィルム等が挙げられる。
上記接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等が挙げられる。これらの中では、ポリビニルアルコール系接着剤及びエポキシ系接着剤が好ましい。接着剤は1種又は2種以上を用いることができる。
(接着強度)
易接着層2と偏光子4との間の接着強度の下限としては、2.5N/25mmが好ましく、2.6N/25mmがより好ましく、2.7N/25mmがさらに好ましく、2.8N/25mmが特に好ましい。また、上記接着強度の上限としては、5N/25mmが好ましく、4.5N/25mmがより好ましい。上記接着強度を上記下限以上とすることにより、常温下において易接着層2と偏光子4との間の剥離を効果的に抑制できる。一方、上記接着強度が上記上限を超える場合、製造コストが増大するおそれがある。ここで「接着強度」とは、偏光板10を幅25mm、長さ100mmに裁断して得られた試験片について、JIS−K−6854−1(1999年)に準拠して測定される接着強度である。
易接着層2と偏光子4との間の耐久試験後接着強度の下限としては、2.5N/25mmが好ましく、2.6N/25mmがより好ましく、2.7N/25mmがさらに好ましく、2.8N/25mmが特に好ましい。また、上記耐久試験後接着強度の上限としては、5N/25mmが好ましく、4.5N/25mmがより好ましい。上記耐久試験後接着強度を上記下限以上とすることにより、高温下において易接着層2と偏光子4との間の剥離を効果的に抑制できる。一方、上記耐久試験後接着強度が上記上限を超える場合、製造コストが増大するおそれがある。ここで「耐久試験後接着強度」とは、偏光板10を温度85℃の恒温槽に500時間暴露した後、幅25mm、長さ100mmに裁断して得られた試験片について、JIS−K−6854−1(1999年)に準拠して測定される接着強度である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば位相差フィルム積層体における易接着層は、偏光子以外の材料と接着剤を介して接着させてもよい。本発明によれば、位相差フィルム積層体と上記偏光子以外の材料との間の接着強度を向上させることもできる。
偏光板の作製に用いた化合物を以下に示す。なお、水以外の溶媒種の含水率をJIS−K−0113(2005年)に準拠するカールフィッシャー法により測定した水分量から算出したところ、いずれも1質量%以下であった。
P−1:三洋化成工業社のウレタン樹脂溶液「IB−422」、固形分30質量%、溶媒組成(SB−1)/(SB−2)=2/1(質量比)
P−2:三洋化成工業社のウレタン樹脂溶液「IB−114B」、固形分30質量%、溶媒組成(SA−2)/(SB−2)=2/1(質量比)
P−3:三洋化成工業社のウレタン樹脂溶液「IB−972」、固形分30質量%、溶媒組成(SA−4)/(SB−2)=2/1(質量比)
P−4:三洋化成工業社のウレタン樹脂溶液「IB−465」、固形分30質量%、溶媒組成(SA−2)/(SB−1)/(SB−2)=1/1/1(質量比)
P−5:DIC社のウレタン樹脂溶液「バーノック 16−416」、固形分30質量%、溶媒組成(SB−1)/(SB−2)=2/1(質量比)
P−6:DIC社の水分散系ウレタン樹脂「CP−7610」、固形分25質量%、溶媒組成(SB−3)の単独溶媒
SA−1:メチルシクロヘキサン
SA−2:トルエン
SA−3:酢酸n−ブチル
SA−4:酢酸エチル
SA−5:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
SB−1:メチルエチルケトン
SB−2:i−プロパノール
SB−3:水
(塗液の調製)
樹脂成分溶液としての(P−1)及び(P−4)、第1溶媒種としての(SA−2)及び(SA−5)並びに第2溶媒種としての(SB−1)及び(SB−2)を混合し、固形分が6質量%となるように塗液を調整した。塗液中の第1溶媒種及び第2溶媒種の配合量は、第1溶媒種を9.4質量%とし、第2溶媒種を84.6質量%とした。また、上記(P−1)と(P−4)の混合比は質量比で30:70、(SA−2)と(SA−5)の混合比は質量比で1:1、(SB−1)と(SB−2)の混合比は質量比で2:1とした。なお、第1溶媒種及び第2溶媒種には、樹脂成分溶液(P−1)及び(P−4)中の溶媒が含まれる。
平均厚み12μmの環状オレフィン樹脂製位相差フィルム(JSR社の「ARTON(登録商標)」)の一方の面にコロナ処理を施し、この面に塗工機(安田精機製作所社の「AUTOMATIC FILM APPLICATOR」)を用いて上記塗液を塗工して塗膜を形成した。次いで、乾燥機を用いて80℃、3分間乾燥処理を行うことで易接着層を形成し、実施例1の位相差フィルム積層体を得た。
ポリビニルアルコール(クラレ社の「KL−318」)を純水に溶解し、30質量%濃度の水溶液とした。この水溶液に、架橋剤としてのエポキシ樹脂(田岡化学工業社の「Srz.650」)をポリビニルアルコール100質量部に対し40質量部となるように加えた。その後、純水で希釈して、水100質量部に対しポリビニルアルコール2.5質量部を含有する接着剤組成物を調製した。次いで、上記位相差フィルム積層体の易接着層表面にコロナ処理を施し、この面に上記接着剤組成物を23℃の雰囲気下で塗布し、偏光子としての平均厚み40μmの酢酸セルロース系樹脂フィルムを貼り合わせ、乾燥機により80℃で5分間乾燥した後、真空条件下(−760mmHg)、23℃で24時間静置し、実施例1の偏光板を得た。
偏光板の製造に用いた成分の種類及び使用量を表1に記載のものとした以外は、実施例1と同様にして実施例2〜7及び比較例1〜5の偏光板を得た。また、易接着層を設けずに、コロナ処理を施した位相差フィルムの一方の面に接着剤を介して偏光子を積層した以外は、実施例1と同様にして比較例6の偏光板を得た。なお、表1中、第1溶媒種及び第2溶媒種の配合量には、樹脂成分溶液中の溶媒が含まれる。
以下の評価方法により、得られた位相差フィルム積層体及び偏光板を評価した。評価結果を表2に示す。
易接着層の濡れ指数は、JIS−K−6768(1999年)に準拠する濡れ張力試験方法により、各位相差フィルム積層体の易接着層上に表面張力が相違する複数の濡れ試薬を滴下し、綿棒にて液膜が6cm2以上になるまで広げ、液膜が破れを生じずに2秒以上保たれている濡れ試薬の表面張力の最大値とした。
易接着層の貯蔵弾性率は、まず、各位相差フィルム積層体の易接着層の形成に使用した塗液をポリテトラフルオロエチレン製基材上に流涎し、23℃にて24時間静置して溶剤を揮発させた後、真空条件下(−760mmHg)、23℃で24時間乾燥し、平均厚み200μmの樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムについて、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社の「RSAG2」)を用い、JIS−K−7244(1998年)に準拠する動的粘弾性測定法により、−80℃〜160℃の範囲を昇温速度5℃/分で昇温し、周波数1Hz、歪み量0.05%で貯蔵弾性率を測定した。この測定で得られた温度25℃及び85℃における貯蔵弾性率を、それぞれ易接着層の25℃及び85℃における貯蔵弾性率とした。
位相差フィルム積層体のヘーズ値は、JIS−K−7136(2000年)に準拠し、村上色彩技術研究所社の「HAZEMETER HM−150」を用いて易接着層側から光を入射して測定した。
位相差フィルム積層体の平均厚みは、反射分光膜厚計(大塚電子社の「FE−3000」)を用いて測定した。
易接着層形成前後の面内位相差値の変化率は、易接着層形成前の位相差フィルム及び易接着層形成後の位相差フィルム積層体について、面内位相差値を位相差測定装置(王子計測機器社の「KOBRA−21ADH」)を用いて測定し、以下の式により算出した。
易接着層形成前後の面内位相差値の変化率={(易接着層形成後の面内位相差値−易接着層形成前の面内位相差値)/易接着層形成前の面内位相差値}×100
(易接着層と偏光子との接着強度(N/25mm))
偏光板を幅25mm、長さ100mmに裁断し、試験片を得た。この試験片の長さ方向の一端における偏光子を、万能引張試験機(島津製作所社の「AG−1」)を用いて掴み、JIS−K−6854−1(1999年)に準拠し、温度23℃の条件下、クロスヘッドスピード(掴み移動速度)500mm/分で90°剥離することにより測定される90°剥離強度を易接着層と偏光子との接着強度とした。
偏光板を温度85℃の恒温槽に500時間暴露した後、幅25mm、長さ100mmに裁断して得られた試験片について、上記易接着層と偏光子との接着強度と同様に測定した90°剥離強度を易接着層と偏光子との耐久試験後接着強度とした。
剥離量については図2(A)及び(B)を参照しながら説明する。幅25mm、長さ100mmに裁断した偏光板10を温度85℃の恒温槽(図示せず)に10分間静置した後、同恒温槽内において、図2(A)に示すように、易接着層2と偏光子4とが90°方向に剥がれるように長さ方向の一端における偏光子4に100gの重り20を吊り下げた。そして、恒温槽内の温度を85℃に保ち、重り20を吊り下げた時点から20分経過するまでの間に易接着層2から剥がれた偏光子4の長さL(図2(B)参照)を測定し、これを剥離量とした。
2 易接着層
3 位相差フィルム積層体
4 偏光子
10 偏光板
20 重り
Claims (12)
- 脂環式構造を有する重合体を主成分として含む位相差フィルムと、この位相差フィルムの一方の面に積層される易接着層とを備え、
上記易接着層の濡れ指数が50mN/m以上69mN/m以下、85℃における貯蔵弾性率が1MPa以上15MPa以下である位相差フィルム積層体。 - 上記易接着層の主成分がウレタン樹脂である請求項1に記載の位相差フィルム積層体。
- ヘーズ値が1%以下である請求項1又は請求項2に記載の位相差フィルム積層体。
- 平均厚みが20μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の位相差フィルム積層体。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の位相差フィルム積層体と、この位相差フィルム積層体における上記易接着層の上記位相差フィルムとは反対側の面に接着剤を介して積層される偏光子とを備える偏光板。
- 上記易接着層と上記偏光子との間の接着強度が2.5N/25mm以上である請求項5に記載の偏光板。
- 脂環式構造を有する重合体を主成分として含む位相差フィルムと、この位相差フィルムの一方の面に積層される易接着層とを備える位相差フィルム積層体の製造方法であって、
樹脂成分及び溶媒を含む塗液により上記位相差フィルムの一方の面に塗膜を形成する工程と、
上記塗膜の乾燥により上記易接着層を形成する工程と
を備え、
上記易接着層の濡れ指数が50mN/m以上69mN/m以下、85℃における貯蔵弾性率が1MPa以上15MPa以下であることを特徴とする位相差フィルム積層体の製造方法。 - 上記溶媒が、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒又はこれらの組み合わせである第1溶媒種を含む請求項7に記載の位相差フィルム積層体の製造方法。
- 上記溶媒が、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒又はこれらの組み合わせである第2溶媒種をさらに含む請求項8に記載の位相差フィルム積層体の製造方法。
- 上記塗液における上記第1溶媒種の含有量が3質量%以上30質量%以下である請求項8又は請求項9に記載の位相差フィルム積層体の製造方法。
- 上記溶媒の含水率が1質量%以下である請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の位相差フィルム積層体の製造方法。
- 上記易接着層の主成分がウレタン樹脂である請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の位相差フィルム積層体の製造方法。
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