JP6364692B2 - 融雪用ブロック - Google Patents
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Description
そこで、雪や氷を融かすために、年間を通して水温が安定している地下水を流したパイプや電気ヒータを地中に配置し、その上に、ブロック、セメント、アスファルト等を敷設することが行われている。パイプや電気ヒータの熱をブロック等に伝え、ブロック等の表面の雪や氷を融かすことによって、歩行や走行が容易になる。
前記石油コークス燃焼灰は、未燃の炭素成分を40〜80質量%含むことが好ましい。
前記セメント組成物は、珪砂をさらに含むことが好ましい。
「融雪用ブロック」とは、雪や氷を融かすためのパイプ、電気ヒータ等の上に敷設されるブロック、または雪や氷を融かすためのパイプ等を通すための貫通孔が設けられたブロックを意味する。融雪用ブロックは、積雪や凍結がない時期には、通常の路面用ブロックとして使用される。
「石油コークス」とは、重質油(アスファルト分)をコーキング反応によって熱分解した際に固形物として副生される残渣分を意味する。
「石油コークス燃焼灰」とは、石油コークスを燃焼させることによって発生する飛灰(フライアッシュ)を意味する。
「セメント組成物の固形分」とは、セメント組成物から水を除いた残部を意味する。
本発明の融雪用ブロックは、セメントと、石油コークス燃焼灰と、水とを含むセメント組成物を成形し、硬化してなるものである。
セメント組成物は、セメントと、骨材と、水とを含む。
本発明におけるセメント組成物は、骨材の少なくとも一部として、石油コークス燃焼灰を含む。
本発明のセメント組成物は、必要に応じて、石油コークス燃焼灰以外の骨材;セメント、骨材および水以外の他の成分を含んでいてもよい。
セメント組成物中の石油コークス燃焼灰の含有量は、セメント組成物の固形分(100質量%)のうち、0.3〜25質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。石油コークス燃焼灰の含有量がセメント組成物の固形分(100質量%)のうち0.3質量%以上であれば、融雪用ブロックの熱伝導性が充分に高くなり、融雪効果が十分に発揮される。石油コークス燃焼灰の含有量がセメント組成物の固形分(100質量%)のうち25質量%以下であれば、融雪用ブロックの強度が十分に高くなり、また、石油コークス燃焼灰による融雪用ブロックの着色が抑えられる。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、特殊セメント等の公知のセメントが挙げられる。
石油コークス燃焼灰としては、例えば、石油コークスを燃焼炉(ボイラ等)で燃焼させることによって発生する排ガス中から集塵機によって捕集された飛灰(フライアッシュ)が挙げられる。
石油コークス燃焼灰は、通常、未燃の炭素成分を40〜80質量%程度含む粉体である。石油コークス燃焼灰は、一般的に流通しているカーボンブラックに比べ導電性は低い。しかし、石油コークス燃焼灰を用いれば、廃棄物を有効活用できる。
石油コークス燃焼灰の平均粒子径は、0.1〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜70μmがさらに好ましい。石油コークス燃焼灰の平均粒子径が0.1μm以上であれば、取り扱い時の粉塵を防止でき、また、石油コークス燃焼灰の含有量が少量であっても十分に熱を伝え、融雪効果を十分に発揮できる。石油コークス燃焼灰の平均粒子径が200μm以下であれば、熱伝導性が十分に高くなる。
石油コークス燃焼灰の平均粒子径は、倍率が500倍の電子顕微鏡像から無作為に選択した30個の粒子について最長対角線の長さを測定し、これら粒子の長さを平均したものである。
石油コークス燃焼灰以外の他の骨材としては、洗い砂、珪砂、稲田御影石、瓦の破砕物、砂利、ガラスの破砕物、石油コークス燃焼灰以外の炭素材料等が挙げられる。融雪用ブロックの熱伝導性が高まり、融雪効果が向上する点から、珪砂が好ましい。
セメント、骨材および水以外の他の成分としては、顔料、減水剤等が挙げられる。
融雪用ブロックは、例えば、下記の工程(a)〜(c)を有する方法によって製造できる。
(a)セメント、石油コークス燃焼灰、水、必要に応じて、他の骨材、他の成分を混合し、セメント組成物を得る工程。
(b)セメント組成物を型枠に入れ、成形し、かつ硬化させる工程。
(c)硬化物を型枠から取り出し、養生させる工程。
図1は、本発明の融雪用ブロックの一例を示す断面図である。
融雪用ブロック10は、基層12と、基層12の上に形成された表層14とからなる2層構造のブロックである。
基層12と表層14とからなる2層構造とすることによって、それぞれの層に異なる特性を持たせることができる。例えば、基層12に十分な熱伝導性や強度を持たせ、表層14に見た目のよさ(意匠性)を持たせることができる。
基層12を形成するための第1のセメント組成物を型枠に入れ、ついで、表層14を形成するための第2のセメント組成物を型枠に入れ、ゼロスランプ加圧成形法によって硬化させる。2層構造の硬化物を型枠から取り出し、養生させて融雪用ブロック10を得る。
なお、本発明の融雪用ブロックは、セメントと、石油コークス燃焼灰と、水とを含むセメント組成物を成形し、硬化してなるものであればよく、図示例の融雪用ブロック10に限定はされない。
例えば、本発明の融雪用ブロックは、1層構造の融雪用ブロックであってもよい。
また、表面に複数の溝(ローレット)を有しない融雪用ブロックであってもよい。
また、融雪用のパイプを通すための貫通孔が設けられた融雪用ブロックであってもよい。
以上説明した本発明の融雪用ブロックにあっては、融雪用ブロックに熱伝導性を付与する材料として石油コークス燃焼灰を用いているため、従来の人造黒鉛粒子を含むブロックに比べ、原材料の入手が容易である。
また、以上説明した本発明の融雪用ブロックにあっては、熱伝導性に優れる石油コークス燃焼灰を含むため、融雪効果に優れる。
普通ポルトランドセメント:宇部三菱セメント社製。
高炉セメント:宇部三菱セメント社製。
石油コークス燃焼灰:ボイラ(よしみね社製、PC−65)を用いて石油コークスを燃焼させ発生した飛灰、未燃の炭素成分:69質量%、平均粒子径:26μm。
洗い砂:東海砂利社製、細砂。
珪砂:トーヨーシリカサンド、目開き3mmの篩を通過し、目開き1mmの篩を通過しないもの。
ガラス粒子:ホウケイ酸ガラスの粉砕物、目開き3mmの篩を通過し、目開き1mmの篩を通過しないもの。
表1に示す各原料を混合して第1のセメント組成物を調製した。また、表1に示す各原料を混合して第2のセメント組成物を調製した。
第1のセメント組成物を型枠に充填し、さらに第2のセメント組成物を型枠に充填した後、2トンの圧力で振動加圧して硬化させた。硬化物を型枠から取り出し、1週間養生し、縦:200mm、横:200mm、厚さ:60mmの融雪用ブロックを得た。この融雪用ブロックは、第1のセメント組成物が硬化した基層(厚さ:55mm)と、第2のセメント組成物が硬化した表層(厚さ:5mm)とを有する2層構造のものである。
市販の融雪用ブロック(日本興業社製、バリアフリーペイブMS、縦:200mm、横:200mm、厚さ:60mm)を用意した。
実施例1の融雪用ブロックおよび比較例1の融雪用ブロックを用い、下記の融雪試験を行った。
融雪試験は、−5℃に設定された人工気象室内で行った。試験中の人工気象室内の温度の変動は、−10〜0℃であった。
50℃に設定されたホットプレート(30〜60℃で変動)の上に、基層がホットプレート側になるように実施例1の融雪用ブロックおよび比較例1の融雪用ブロックを同時に置いた。さらに、各融雪用ブロックの表面の中央部に100gの氷雪を置き、融雪状態を観察した。試験開始直後および30分ごとの融雪試験の様子を示す外観写真およびサーモグラフィ画像を図2に示す。
実施例1の融雪用ブロックの表面の氷雪は、20分後には融けはじめ、120分後には完全に溶けた。一方、比較例1の融雪用ブロックの表面の氷雪は、45分後には融けはじめ、120分後経過しても融け残りがあった。
12 基層
14 表層
16 溝
Claims (3)
- セメントと、石油コークス燃焼灰と、水とを含むセメント組成物を成形し、硬化してなる融雪用ブロックであって、前記石油コークス燃焼灰の含有量が、前記セメント組成物の固形分(100質量%)のうち、0.3〜25質量%である、融雪用ブロック。
- 前記石油コークス燃焼灰が、未燃の炭素成分を40〜80質量%含む、請求項1に記載の融雪用ブロック。
- 前記セメント組成物が、珪砂をさらに含む、請求項1または2に記載の融雪用ブロック。
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