JP6364235B2 - 超電導コイルの電極構造 - Google Patents

超電導コイルの電極構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6364235B2
JP6364235B2 JP2014104985A JP2014104985A JP6364235B2 JP 6364235 B2 JP6364235 B2 JP 6364235B2 JP 2014104985 A JP2014104985 A JP 2014104985A JP 2014104985 A JP2014104985 A JP 2014104985A JP 6364235 B2 JP6364235 B2 JP 6364235B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting
wire
electrode portion
superconducting wire
coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014104985A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015220417A (ja
Inventor
智則 渡部
智則 渡部
長屋 重夫
重夫 長屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chubu Electric Power Co Inc
Original Assignee
Chubu Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chubu Electric Power Co Inc filed Critical Chubu Electric Power Co Inc
Priority to JP2014104985A priority Critical patent/JP6364235B2/ja
Publication of JP2015220417A publication Critical patent/JP2015220417A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6364235B2 publication Critical patent/JP6364235B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Landscapes

  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

本発明は、テープ状の超電導線材を巻回して形成され、電力機器等に使用される超電導コイルの終端部における超電導線材に電極部を接合した超電導コイルの電極構造に関する。
超電導コイルを形成するテープ状の超電導線材としては、例えばニッケル合金による基板上に中間層を介して希土類系酸化物超電導体の超電導層が形成され、その上に銀、銅等の安定化層が形成されて構成されている。この超電導コイルの終端部における超電導線材には電極部が半田によって接合されている。
この種の超電導コイルが例えば特許文献1に開示されている。すなわち、超電導コイルは、基材、該基材上の超電導層及び該超電導層上の安定化層を備える超電導線材を、前記安定化層側を外側にして巻回したコイル体と、このコイル体における超電導線材の安定化層上に設けられた電極部とを備えている。
前記超電導線材の端部と電極部とがコイル体の周方向から径方向外側に向かって一体に折り曲げられ、電極部のコイル体周面に沿う周側部と、電極部のコイル体の外側に延出された延出部との両方が超電導線材の安定化層と電気的に接続されている。前記電極部の周側部はコイル体周面側の超電導線材の安定化層と半田付けされ、電極部の延出部はコイル体の径方向外側に延出された超電導線材の安定化層と半田付けされている。
特開2012−164859号公報
ところで、超電導コイルを極低温に冷却すると、超電導線材と電極部との熱膨張率の相違に基づいて、超電導線材と電極部との接合部には熱応力が作用する。また、超電導コイルを励磁したり、消磁したりする際の電磁力により、超電導コイルに歪みが生じ、超電導線材と電極部との接合部に応力が作用する。
このため、前記特許文献1に記載されている従来構成の超電導コイルにおいては、超電導線材の周側部と電極部との間の半田付け部及び延出部と電極部との間の半田付け部には応力が集中し、超電導線材と電極部とが接続不良を生じたり、剥離したりするおそれがあった。従って、超電導線材と電極部との電気的な接続不良に起因して、超電導コイルの特性が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、超電導線材と電極部との接合部における超電導線材の損傷を抑制して、超電導特性を維持することができる超電導コイルの電極構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超電導コイルの電極構造は、テープ状の超電導線材を巻回して形成された超電導コイルの終端部に電極部を接合した超電導コイルの電極構造であって、前記超電導線材は、基板上に中間層を介して希土類系酸化物超電導体の超電導層が形成され、その超電導層上に安定化層が形成されて構成され、前記超電導コイルの終端部に位置する超電導線材と電極部との間には、超電導線材を保護する保護線材を介在させた状態で超電導線材と電極部とが接合され、前記電極部は超電導線材の外周側に位置する外側電極部と超電導線材の内周側に位置する内側電極部とにより構成されるとともに、前記保護線材は超電導線材で形成され、その保護線材は超電導コイルに沿って少なくとも1周回するように超電導線材に共巻きされ、外側電極部に対向する外側保護線材と内側電極部に対向する内側保護線材とを有し、かつ保護線材の超電導層が超電導線材の超電導層に対向していることを特徴とする。
前記外側電極部及び内側電極部には係合部を設けるとともに、超電導線材の両面に保護線材を配置した状態で外側電極部と内側電極部との間に介在させ、その状態で外側電極部の係合部と内側電極部の係合部係合され、締結部材で一体的に締結されていることが好ましい。
本発明の超電導コイルの電極構造によれば、超電導線材と電極との接合部における超電導線材の損傷を抑制して、超電導特性を維持することができるという効果を奏する。
第1実施形態における超電導コイルを示す断面図であって、超電導コイルの端部における超電導線材に電極を接合した状態を示す断面図。 図1の部分拡大断面図。 テープ状の超電導線材を示す断面図。 シングルパンケーキコイルの端部における超電導線材に電極を接合した状態を示す斜視図。 ダブルパンケーキコイルの端部における超電導線材に電極を接合した状態を示す斜視図。 ダブルパンケーキコイルの製造方法を示す斜視図。 超電導線材の両側に保護用超電導線材を配置した状態で電極を接合する状態を示す分解斜視図。 図7とは別の方法で超電導線材の両側に短尺超電導線材を配置した状態で電極を接合する状態を示す断面図。 第1実施形態及び実施例1における超電導線材の両側に保護用超電導線材を配置した状態で電極を接合した状態を示す要部断面図。 実施例1における超電導コイルの特性を表し、通電1回目の電流と電圧との関係を示すグラフ。 実施例1における超電導コイルの特性を表し、冷却サイクルの5回目後の電流と電圧との関係を示すグラフ。 第2実施形態及び実施例2における超電導線材の両側に保護用超電導線材を配置した状態で電極を接合した状態を示す要部断面図。 実施例2における超電導コイルの特性を表し、通電1回目の電流と電圧との関係を示すグラフ。 実施例2における超電導コイルの特性を表し、冷却サイクルの5回目後の電流と電圧との関係を示すグラフ。 比較例1における超電導線材の両側に電極を接合した状態を示す断面図。 比較例1における超電導コイルの特性を表し、通電1回目の電流と電圧との関係を示すグラフ。 比較例1における超電導コイルの特性を表し、冷却サイクルの3回目後の電流と電圧との関係を示すグラフ。 比較例1における超電導コイルの特性を表し、冷却サイクルの4回目後の電流と電圧との関係を示すグラフ。 比較例2における超電導線材の両側に電極を接合した状態を示す断面図。 比較例2における超電導コイルの特性を表し、通電1回目の電流と電圧との関係を示すグラフ。 比較例2における超電導コイルの特性を表し、冷却サイクルの2回目後の電流と電圧との関係を示すグラフ。 比較例2における超電導コイルの特性を表し、冷却サイクルの3回目後の電流と電圧との関係を示すグラフ。 第3実施形態及び実施例3における超電導線材の片側に保護用超電導線材を配置した状態で電極を接合した状態を示す要部断面図。 実施例3における超電導コイルの特性を表し、通電1回目の電流と電圧との関係を示すグラフ。 実施例3における超電導コイルの特性を表し、冷却サイクルの5回目後の電流と電圧との関係を示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図9に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、超電導コイル10はテープ状の超電導線材11を巻回して形成され、超電導コイル10の終端部11aすなわち超電導線材11の終端部11aには電極部12が接合されている。図4に示すように、超電導コイル10としてのシングルパンケーキコイル10Aは、超電導線材11が1段に巻回されて構成され、内周側の終端部11a及び外周側の終端部11aに電極部12が接合されている。
図5に示すように、超電導コイル10としてのダブルパンケーキコイル10Bは、繊維強化樹脂(FRP)で形成された仕切枠材13を介して超電導線材11が上下2段に巻回されて構成され、外周側の上下2箇所の終端部11aに電極部12すなわち上部電極部12A及び下部電極部12Bが接合されている。
図6に示すように、ダブルパンケーキコイル10Bを製造する場合には、仕切枠材13が連結された内周枠14に対し、1本のテープ状をなす超電導線材11の中央部を中心にして上下2段に反対方向に巻き付ける。すなわち、上段のコイルは上方から見て反時計方向に巻回し、下段のコイルは上方から見て時計方向に巻回する。なお、仕切枠材13には図示しない貫通孔が設けられ、その貫通孔を超電導線材11が通るようになっている。また、内周枠14に対する超電導線材11の巻き付け方向は、上記とは逆方向であってもよい。
図1及び図2に示すように、前記終端部11aに位置する超電導線材11の内外周の両面と電極部12としての外側電極部12a及び内側電極部12bとの間には、それぞれ超電導線材11を機械的に保護する保護線材15としての外側保護線材15a及び内側保護線材15bが介在されている。前記電極部12は外側電極部12aと内側電極部12bに分岐され、両電極部12a、12bが連結されて図示しないリード線に接続されている。
前記超電導線材11と外側電極部12a及び内側電極部12bとがそれぞれ外側保護線材15a及び内側保護線材15bを介して半田によりそれぞれ接合されている。この保護線材15は、超電導コイル10に沿ってほぼ1周回するように構成され、その外周側の端部が外側保護線材15aとなり、内周側の端部が内側保護線材15bとなっている。また、保護線材15は、前記超電導線材11と同じ超電導線材で形成され、ほぼ1周回するに足る長さの短尺に形成されている。
図3に示すように、前記超電導線材11は、基板16上に中間層17を介して超電導層18が形成され、その超電導層18上に安定化層19が設けられている。該安定化層19は、超電導層18上の第1安定化層19aと、外周を覆う第2安定化層19bとにより構成されている。
前記基板16は、ニッケル合金(ハステロイ)、銀、銀合金等の金属により、例えば厚さ100μm、幅10mmに形成されている。中間層17は、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物(Gd・Zr酸化物)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)、バリウム・ジルコニウム酸化物(Ba・Zr酸化物)等の化合物により、例えば厚さ500nm、幅10mmに形成されている。
前記超電導層18は、希土類系酸化物超電導体のCVD法(化学蒸着法)により、例えば厚さ約1μm、幅10mmに形成されている。希土類元素としては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。希土類系酸化物としては、RE・Ba・Cu・O等が挙げられる。但し、REは希土類元素を表す。この超電導層18として具体的には、イットリウム・バリウム・銅酸化物、ランタン・バリウム・銅酸化物(La・Ba・Cu酸化物)等が挙げられる。
前記第1安定化層19aは、銀等の金属のスパッタリング等により、例えば厚さ約15μm、幅10mmに形成されている。第2安定化層19bは、銅等の金属のメッキ等により、例えば厚さ約50μmに形成されている。
前記電極部12は、導電性の高い金属材料、例えば銀、銅、金、白金又はそれらの金属を含む合金等により形成されている。
図9に示すように、超電導線材11はその基板16が内周側、超電導層18が外周側に位置するように配置されている。また、外側保護線材15aはその超電導層18が内周側に位置するように配置され、その超電導層18が超電導線材11の超電導層18に対向している。このため、外側保護線材15aと超電導線材11との間の電気的な導通性が高められる。さらに、内側保護線材15bはその超電導層18が内周側に位置するように配置され、その超電導層18が内側電極部12bに対向している。このため、内側保護線材15bと内側電極部12bとの間の電気的な導通性が高められる。
このように、超電導線材11の内外周両面に保護線材15を介在させて外側電極部12a及び内側電極部12bに半田で接合したことから、超電導線材11は外側電極部12a及び内側電極部12bに直接接触することがなく、保護線材15によって遮蔽されて保護される。
図7に示すように、前記外側電極部12a内面の上端部及び下端部には複数の係合凸部20が設けられ、内側電極部12b外面の上端部及び下端部には前記係合凸部20が係合する複数の係合凹部21が設けられている。外側電極部12aの係合凸部20には締結部材としての雌ねじ孔22が形成され、内側電極部12bの係合凹部21には内側電極部12bを貫通する貫通孔23が形成され、締結部材としての雄ねじ24が内側電極部12bの貫通孔23を通って外側電極部12aの雌ねじ孔22に螺合されるようになっている。
また、超電導線材11、外側保護線材15a及び内側保護線材15bの上端部及び下端部には、それぞれ複数の切欠き25が外側電極部12aの係合凸部20及び内側電極部12bの係合凹部21に対応する位置に形成されている。そして、超電導線材11の両面に外側保護線材15a及び内側保護線材15bを配置した状態で、係合凸部20を係合凹部21に係合させ、雄ねじ24を貫通孔23に通して雌ねじ孔22に螺合させることにより、超電導線材11を電極部12に連結させることができる。
このようにして、超電導線材11を電極部12に連結させることにより、超電導線材11と電極部12との半田接合部の接合状態を強固に保持することができる。さらに、超電導線材11と電極部12との密着性を高め、接触抵抗を抑えることができ、電気的な導通性を向上させることができる。
超電導線材11と電極部12との連結構造は、他の形態を採用することもできる。例えば、図8に示すように、外側電極部12aの内面に係合凹条26を形成するとともに、内側電極部12bの外面に係合凸条27を前記係合凹条26に係合するように形成する。外側電極部12aの係合凹条26には、超電導線材11の両面に外側保護線材15a及び内側保護線材15bを重ね合せて収容できるように構成する。前記内側電極部12b、内側保護線材15b、超電導線材11及び外側保護線材15aには挿通孔28を形成するとともに、外側電極部12aには締結部材としての雌ねじ孔部29を形成する。そして、締結部材としてのビス30を挿通孔28に通し、雌ねじ孔部29に螺合させることにより、超電導線材11を電極部12に連結させることができる。
次に、第1実施形態の超電導コイル10の電極構造について作用を説明する。
さて、図1に示すように、終端部11aに位置する超電導線材11には保護線材15がほぼ1周回共巻きされている。図2に示すように、電極部12においては、超電導線材11の外周面に外側保護線材15aを介して外側電極部12aが半田で接合されて電気的接続が図られるとともに、超電導線材11の内周面に内側保護線材15bを介して内側電極部12bが半田で接合されて電気的接続が図られている。
そして、超電導コイル10を例えば液体窒素により77Kまで冷却したときには、超電導コイル10が収縮して超電導線材11は内方への力を受ける。また、超電導コイル10に通電して励磁したときときには、超電導コイル10に電磁力(フープ力)が作用し、超電導線材11は外方への力を受け、通電を停止して消磁したときにはその電磁力が急に解除され、超電導線材11は衝撃力を受ける。このため、超電導線材11と外側電極部12a及び内側電極部12bとの接合部には両者を離間させようとする応力が働く。
しかしながら、第1実施形態の超電導コイル10では、超電導線材11と外側電極部12aとの間に外側保護線材15aが介在され、超電導線材11と内側電極部12bとの間に内側保護線材15bが介在されている。従って、前記応力は、主に外側保護線材15a及び内側保護線材15bに作用し、保護線材15間に挟着された超電導線材11には直接作用することが回避される。このため、終端部11aにおける超電導線材11は機械的に保護されるとともに、摩耗等が緩和される。また、超電導線材11が保護線材15から受ける応力も超電導コイル10の終端部の1周回に限られ、超電導コイル10全体から見れば超電導線材11には殆ど影響を与えない。従って、超電導コイル10は超電導特性を維持することができる。
以上詳述した第1実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)この第1実施形態の超電導コイル10では、その終端部11aに位置する超電導線材11の両面と電極部12との間には、保護線材15を介在させた状態で超電導線材11と電極部12とが半田接合されている。このため、冷却時における熱応力や通電時における電磁力が主に保護線材15に作用し、超電導線材11に及ぼす影響が緩和される。
従って、第1実施形態における超電導コイル10の電極構造によれば、超電導線材11と電極部12との接合部における超電導線材11の損傷を抑制して、超電導特性を維持することができるという効果を奏する。
(2)前記保護線材15は、超電導コイル10に沿って少なくとも1周回するように超電導線材11に共巻きされている。このため、終端部11aにおいて超電導線材11の両面に保護線材15を容易に配置することができるとともに、超電導線材11の保護を効果的に行うことができる。
(3)前記保護線材15は、超電導コイル10を形成する超電導線材11で形成されている。そのため、保護線材15を簡単に調製することができるとともに、超電導線材11と熱膨張率を同じにして超電導線材11との密着性を保持でき、超電導線材11と保護線材15との間の電気的な導通性を向上させることができる。
(4)前記超電導線材11は、基板16上に中間層17を介して希土類系酸化物超電導体の超電導層18が形成され、その超電導層18上に安定化層19が形成されて構成されている。従って、臨界温度が高く、液体窒素冷却で使用でき、臨界電流密度の高い超電導線材11により、超電導コイル10の超電導特性を良好に発揮することができる。
(5)前記保護線材15は、超電導線材11の超電導層18と外側保護線材15aの超電導層18が対向するように配置されている。このため、超電導線材11と保護線材15との間の電気的な導通性を高め、超電導コイル10の超電導特性を安定して発揮させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図12に基づいて説明する。なお、第2実施形態及び後述する第3実施形態では、主に第1実施形態と相違する部分について説明する。
図12に示すように、超電導線材11はその基板16が外周側、超電導層18が内周側に位置するように配置されている。また、外側保護線材15aはその超電導層18が外周側に位置するように配置され、その超電導層18が外側電極部12aに対向している。このため、外側保護線材15aと外側電極部12aとの間の電気的な導通性が良好である。さらに、内側保護線材15bはその超電導層18が外周側に位置するように配置され、その超電導層18が超電導線材11の超電導層18に対向している。このため、内側保護線材15bと超電導線材11との間の電気的な導通性が良好である。
さて、冷却時における熱応力や通電時における電磁力に対し、終端部11aでは超電導線材11の両面が外側保護線材15a及び内側保護線材15bにより機械的に保護される。加えて、超電導線材11の超電導層18が内周側に配置されていることから、熱応力及び電磁力による影響を第1実施形態の場合より少なくすることができる。
従って、この第2実施形態によれば、超電導コイル10の超電導特性を一層良好に発揮することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図23に基づいて説明する。
図23に示すように、超電導線材11はその基板16が外周側、超電導層18が内周側に位置するように配置され、超電導層18が電磁力等の影響を受け難くなっている。超電導線材11より内周側には内側保護線材15bが配置され、その内側保護線材15bは超電導層18が外周側に位置するように配置されている。このため、内側保護線材15bの超電導層18が超電導線材11の超電導層18に対向し、内側保護線材15bと超電導線材11との間の電気的な導通性が良好である。なお、この第3実施形態では、超電導線材11の外周側に外側保護線材15aは配置されていない。
さて、冷却時における熱応力や通電時における電磁力に対し、終端部11aでは超電導線材11の内周面が内側保護線材15bにより機械的に保護される。このため、超電導線材11の超電導層18と内側電極部12bとの間の導通性が良好に維持される。
従って、この第3実施形態によれば、超電導コイル10の超電導特性を維持することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
この実施例1の超電導コイル10の電極構造は、前記第1実施形態で示した超電導コイル10の電極構造である。すなわち、長さ約100mの超電導線材11を用いてダブルパンケーキコイル10Bを作製した。超電導線材11を調製するために、幅4mm、厚さ100μmのニッケル合金(ハステロイ)製の基板16上に厚さ500nmのマグネシウム・ランタン・マンガン系酸化物の中間層17を介して厚さ1μmのイットリウム系の超電導物質による超電導層18を形成した。続いて、その超電導層18上に厚さ8μmの銀のスパッタリングによる第1安定化層19aを形成し、その外周に厚さ20μmの銅めっきによる第2安定化層19bを形成し、超電導線材11(液体窒素中、自己磁場での臨界電流140A)を作製した。
次いで、FRP製の仕切枠材13を使用し、内周枠14の周りに超電導線材11を、絶縁テープを共巻し、常法に従って2段に巻回して、内径50mm、外径112mmのダブルパンケーキコイル10Bを製作した。このとき、図1及び図2に示すように、終端部11aにおける超電導線材11のほぼ1周回では、保護線材15を共巻して外側電極部12a及び内側電極部12bを半田で接合した。その結果、図9に示すように、超電導コイル10の終端部における超電導線材11の外周面には外側保護線材15aを介して外側電極部12aが接合され、超電導線材11の内周面には内側保護線材15bを介して内側電極部12bが接合された。
そして、実施例1のダブルパンケーキコイル10Bを液体窒素が収容された真空槽内に移し、伝導冷却により77Kまで冷却し、その温度において、外部磁場なしでダブルパンケーキコイル10Bに通電し、さらに複数回、液体窒素と室温との間で冷却サイクルを繰り返し、常法に従って電流(A)−電圧(μV)特性を測定した。通電1回目の電流−電圧特性を図10に示し、冷却サイクル5回後の電流−電圧特性を図11に示した。
電流−電圧特性の測定に際しては、上部電極部12Aとコイル巻線との間、コイル巻線自体及び下部電極部12Bとコイル巻線との間の電圧をそれぞれ測定した。
図10の結果より、実施例1の超電導コイル10では、電流値が45A程度でコイル巻線に電圧が発生するまでは、超電導状態が保持され、良好な超電導特性が発揮された。さらに、図11の結果より、冷却サイクルを5回繰り返しても、電流−電圧特性に殆ど変化は見られず、超電導特性が維持された。
(実施例2)
この実施例2の超電導コイル10の電極構造は、前記第2実施形態で示した超電導コイル10の電極構造である。すなわち、実施例1と同じ超電導線材11を使用し、実施例1と同様の操作でダブルパンケーキコイル10Bを作製した。その結果、図12に示すように、終端部11aにおける超電導線材11の外周面には外側保護線材15aを介して外側電極部12aが接合され、超電導線材11の内周面には内側保護線材15bを介して内側電極部12bが接合された。
そして、実施例1と同様にしてダブルパンケーキコイル10Bの電流(A)−電圧(μV)特性を測定した。通電1回目の電流−電圧特性を図13に示し、冷却サイクル5回後の電流−電圧特性を図14に示した。
図13の結果より、実施例2の超電導コイル10では、電流値が45A程度でコイル巻線に電圧が発生までは、超電導状態が保持され、良好な超電導特性が発揮された。さらに、図14の結果より、冷却サイクルを5回繰り返しても、電流−電圧特性に殆ど変化は見られず、超電導特性が維持された。
(比較例1)
比較例1の超電導コイル10の電極構造は、図15に示すように、前記実施例1において、外側保護線材15a及び内側保護線材15bを省略した構造である。そして、実施例1と同様にしてダブルパンケーキコイル10Bを作製した。その結果、図15に示すように、終端部11aでの超電導線材11の外周面には外側電極部12aが直接接合され、超電導線材11の内周面には内側電極部12bが直接接合された。
この比較例1のダブルパンケーキコイル10Bについて、実施例1と同様にして電流(A)−電圧(μV)特性を測定した。通電1回目の電流−電圧特性を図16に示し、冷却サイクル3回後の電流−電圧特性を図17に示し、冷却サイクル4回後の電流−電圧特性を図18に示した。
図16の結果より、比較例1のダブルパンケーキコイル10Bにおいても、電流値が40A程度でコイル巻線に電圧が発生するまでは超電導状態が保持され、良好な超電導特性が発揮された。しかし、その後冷却サイクルを3回繰り返したときには、図17に示す結果より、上部電極部12Aの発生電圧が急に上昇したことから、超電導線材11と外側電極部12aとの接合部が損傷を受けて接触抵抗が上昇したものと考えられる。
さらに、冷却サイクルを4回繰り返した後には、図18に示す結果より、コイル巻線部の電圧も急激に上昇した。電流−電圧特性の測定後に、超電導線材11と外側電極部12aの接合部を観察したところ、超電導線材11と外側電極部12aとがかい離している箇所が見られ、超電導線材11と外側電極部12aとが数箇所で接合されているに過ぎなかった。
(比較例2)
比較例2の超電導コイル10の電極構造は、図19に示すように、前記比較例1において、超電導線材11の超電導層18が内周側に配置された構造である。そして、実施例1と同様にしてダブルパンケーキコイル10Bを作製した。その結果、図19に示すように、終端部11aにおける超電導線材11の外周面には外側電極部12aが直接接合され、超電導線材11の内周面には内側電極部12bが直接接合された。
この比較例2のダブルパンケーキコイル10Bについて、実施例1と同様にして電流(A)−電圧(μV)特性を測定した。通電1回目の電流−電圧特性を図20に示し、冷却サイクル2回後の電流−電圧特性を図21に示し、冷却サイクル3回後の電流−電圧特性を図22に示した。
図20の結果より、比較例2の超電導コイル10においては、上部電極部12A及び下部電極部12Bの発生電圧が高い傾向を示した。その後、冷却サイクルを2回繰り返したときには、図21の結果より、上部電極部12A及び下部電極部12Bの発生電圧が一層上昇した。さらに、冷却サイクルを3回繰り返した後には、図22に示す結果より、コイル巻線部の電圧上昇も見られた。電流−電圧特性の測定後に、超電導線材11と外側電極部12a及び内側電極部12bの接合部を観察したところ、外側電極部12a及び内側電極部12bの近傍で超電導線材11に傷が見られ、冷却時における超電導線材11の収縮等により超電導線材11が損傷を受けたものと考えられる。
(実施例3)
この実施例3の超電導コイル10の電極構造は、前記第3実施形態で示した超電導コイル10の電極構造である。すなわち、実施例1と同じ超電導線材11を使用し、実施例1と同様の操作でダブルパンケーキコイル10Bを作製した。その結果、図23に示すように、終端部11aにおける超電導線材11の内周面には内側保護線材15bを介して内側電極部12bが接合された。なお、内側保護線材15bは超電導線材11に対して十分に接触するように、超電導線材11よりも長く形成した。
そして、実施例1と同様にしてダブルパンケーキコイル10Bの電流(A)−電圧(μV)特性を測定した。通電1回目の電流−電圧特性を図24に示し、冷却サイクル5回後の電流−電圧特性を図25に示した。
図24の結果より、実施例3の超電導コイル10では、上部電極部12A及び下部電極部12Bの発生電圧が実施例1及び2に比べて若干高くなったが、電流値が45A程度でコイル巻線に電圧が発生するまでは、超電導状態が保持され、良好な超電導特性が発揮された。さらに、冷却サイクルを5回繰り返しても、図25の結果より、上部電極部12A及び下部電極部12Bの発生電圧は高くなったが、コイル巻線の電圧上昇はなく、電流−電圧特性に殆ど変化は見られず、超電導特性が維持された。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・前記テープ状の超電導線材11は、ビスマス系酸化物の超電導体等によって形成されるものであってもよい。このビスマス系酸化物の超電導体としては、ビスマス(Bi)を含む酸化物により形成される超電導物質であり、例えばBi2223すなわちBiSrCaCu10−α(αは0〜0.15)、Bi2212すなわちBiSrCaCu8−α(αは0〜0.15)等が用いられる。ビスマス系酸化物の超電導体が展伸性を有する金属材料のシース層中に分散されて構成されている。
・前記第1実施形態及び第2実施形態において、保護線材15としては、超電導線材11と外側電極部12aとの間に介在される外側保護線材15aのみで構成してもよい。或いは、保護線材15を、超電導線材11と内側電極部12bとの間に介在される内側保護線材15bのみで構成してもよい。
・前記保護線材15は、超電導線材11の終端部11aにおいて1周回共巻きすることなく、電極部12に対向する部分のみに配置してもよい。
・前記電極部12を外側電極部12a及び内側電極部12bのいずれか一方で構成してもよい。その場合、いずれか一方の電極部12と超電導線材11との間に保護線材15が介装される。
・前記外側電極部12aに係合凹部21を設け、内側電極部12bに係合凸部20を設けてもよい。また、超電導線材11、外側保護線材15a及び内側保護線材15bの切欠き25を、貫通用の孔に変更してもよい。
10…超電導コイル、10A…シングルパンケーキコイル、10B…ダブルパンケーキコイル、11…超電導線材、11a…終端部、12…電極部、12a…外側電極部、12b…内側電極部、15…保護線材、15a…外側保護線材、15b…内側保護線材、16…基板、17…中間層、18…超電導層、19…安定化層、19a…第1安定化層、19b…第2安定化層、20…係合部としての係合凸部、21…係合部としての係合凹部、22…締結部材としての雌ねじ孔、24…締結部材としての雄ねじ、29…締結部材としての雌ねじ孔部、30…締結部材としてのビス。

Claims (2)

  1. テープ状の超電導線材を巻回して形成された超電導コイルの終端部に電極部を接合した超電導コイルの電極構造であって、
    前記超電導線材は、基板上に中間層を介して希土類系酸化物超電導体の超電導層が形成され、その超電導層上に安定化層が形成されて構成され、前記超電導コイルの終端部に位置する超電導線材と電極部との間には、超電導線材を保護する保護線材を介在させた状態で超電導線材と電極部とが接合され、前記電極部は超電導線材の外周側に位置する外側電極部と超電導線材の内周側に位置する内側電極部とにより構成されるとともに、前記保護線材は超電導線材で形成され、その保護線材は超電導コイルに沿って少なくとも1周回するように超電導線材に共巻きされ、外側電極部に対向する外側保護線材と内側電極部に対向する内側保護線材とを有し、かつ保護線材の超電導層が超電導線材の超電導層に対向していることを特徴とする超電導コイルの電極構造。
  2. 前記外側電極部及び内側電極部には係合部を設けるとともに、超電導線材の両面に保護線材を配置した状態で外側電極部と内側電極部との間に介在させ、その状態で外側電極部の係合部と内側電極部の係合部が係合され、締結部材で一体的に締結されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイルの電極構造。
JP2014104985A 2014-05-21 2014-05-21 超電導コイルの電極構造 Active JP6364235B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014104985A JP6364235B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 超電導コイルの電極構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014104985A JP6364235B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 超電導コイルの電極構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015220417A JP2015220417A (ja) 2015-12-07
JP6364235B2 true JP6364235B2 (ja) 2018-07-25

Family

ID=54779543

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014104985A Active JP6364235B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 超電導コイルの電極構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6364235B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6873848B2 (ja) * 2017-07-06 2021-05-19 株式会社東芝 超電導コイル
JP7404187B2 (ja) * 2020-07-22 2023-12-25 株式会社東芝 超電導コイル及び超電導コイル装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4810268B2 (ja) * 2006-03-28 2011-11-09 株式会社東芝 超電導線材の接続方法及び超電導線材
JP4697128B2 (ja) * 2006-11-30 2011-06-08 住友電気工業株式会社 超電導コイル
JP2009188109A (ja) * 2008-02-05 2009-08-20 Chubu Electric Power Co Inc 超電導コイル及びその製造方法
JP5268805B2 (ja) * 2009-07-08 2013-08-21 株式会社東芝 超電導線材の接続構造および超電導コイル装置
JP2012248744A (ja) * 2011-05-30 2012-12-13 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導機器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015220417A (ja) 2015-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5421170B2 (ja) 超電導電流リード
WO2017061563A1 (ja) 超電導コイル
EP3411884B1 (en) Second generation superconducting filaments and cable
WO2017057064A1 (ja) 高温超電導導体、高温超電導コイル及び高温超電導コイルの接続構造
US10614941B2 (en) Persistent current switch and superconducting coil
WO2016080524A1 (ja) 超電導コイル
JP2015028912A (ja) 超電導線材及びそれを用いた超電導コイル
JP6364235B2 (ja) 超電導コイルの電極構造
JP2014143840A (ja) テープ状超電導線材の端末構造体及びテープ状超電導線材の端末構造体の製造方法
JP2007188844A (ja) 超電導ケーブル
JP4936858B2 (ja) 超電導電流リードおよびその製造方法
JP2012256744A (ja) 超電導コイル
JP2013246881A (ja) 超電導線材の絶縁被覆構造
JP5693798B2 (ja) 酸化物超電導線材
JP2013122822A (ja) 酸化物超電導線材
JP2018055990A (ja) 超電導電流リード及び酸化物超電導線材
JP5496175B2 (ja) 超電導電流リード
JP6721100B2 (ja) 超電導線材及び超電導コイル
JP4634954B2 (ja) 超電導装置
JP6058577B2 (ja) 高温超電導線材および高温超電導コイル
JP6125350B2 (ja) 超電導線材の接続部及び超電導電流リード
JP5925827B2 (ja) 超電導電流リード
JP5882402B2 (ja) 超電導電流リード
JP6721101B2 (ja) 超電導線材及び超電導コイル
JP2017010832A (ja) 超電導線材及びそれを用いた超電導コイル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180320

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6364235

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250