以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. シート製造装置
まず、本実施形態に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るシート製造装置100を模式的に示す図である。なお、便宜上、図1では、選別部40およびほぐし部60を簡略化して図示している。
シート製造装置100は、図1に示すように、粗砕部10と、解繊部20と、分級部30と、選別部40と、樹脂供給部50と、ほぐし部60と、シート成形部70と、を含む。
粗砕部10は、パルプシートや投入されたシート(例えばA4サイズの古紙)などの原料を、空気中で裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、特に限定されないが、例えば、数cm角の細片である。図示の例では、粗砕部10は、粗砕刃11を有し、粗砕刃11によって、投入された原料を裁断することができる。粗砕部10には、原料を連続的に投入するための自動投入部(図示せず)が設けられていてもよい。
粗砕部10によって裁断された細片は、ホッパー5で受けてから第1搬送部81を介して、解繊部20へ搬送される。第1搬送部81は、解繊部20の導入口21と連通している。第1搬送部81および後述する第2〜第6搬送部82〜86の形状は、例えば管状である。
解繊部20は、細片(被解繊物)を解繊処理する。解繊部20は、細片を解繊処理することにより、繊維状に解きほぐされた繊維2を生成する。ここで、図2および図3は、解きほぐされた繊維2を模式的に示す図である。
ここで、「解繊処理」とは、複数の繊維が結着されてなる細片を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた繊維2の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナー、にじみ防止材等のインク粒を含んでいる場合もある。この後の記載において、「解繊物」は解繊部20を通過したものの少なくとも一部であり、解繊部20を通過した後に添加されたものが混ざっていてもよい。解繊部20により解繊処理されたもののうち、後述する選別部40に供給されるものを「解繊処理された解繊物」という。解きほぐされた繊維2の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。しかし、解きほぐされた繊維2は、図2に示すように、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在するが、図3に示すように、他の解きほぐされた繊維2と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在する場合もある。解きほぐされた繊維2の長さ(解きほぐされた繊維2の長手方向の長さ、以下、「繊維長」ともいう)は、例えば、50μm以上10mm以下である。なお、「繊維長」とは、独立した1本の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張り、その状態でほぼ直線状の状態に置いたときの両端間の距離である。解きほぐされた繊維2の断面形状は、特に限定されず、多角形であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。以下では、「繊維」の記載は、解きほぐされた繊維のことを主に指すこととする。
また、「解繊物」には「未解繊片」を含む場合がある。「未解繊片」とは、図4に模式的に示すように、繊維状に解繊されておらずに、解繊部20に導入された細片が千切れた破片である。すなわち、未解繊片4は、解繊部20における解繊処理をされたけど解繊されていない細片のことである。未解繊片4の形状は、特に限定されず、未解繊片4の大きさは、例えば、ふるい分け法によって測定した試験用ふるいの目開きで表すと、1mm以上10mm以下である。なお、「解繊処理」とは、駆動している解繊部20に、被解繊物(細片)を導入して排出することを意味し、上記のように、解繊されていない未解繊片4を生成する場合も含む。
解繊部20は、細片に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止材等のインク粒を繊維から分離させる。樹脂粒およびインク粒は、解繊物とともに、排出口22から排出される。
解繊部20は、回転刃によって、導入口21から導入された細片を、解繊処理する。解繊部20は、空気中において乾式で解繊を行う。
解繊部20の回転数は、3000rpm以上10000rpm以下である。回転数が3000rpmより小さい場合は、未解繊片4の割合が大きくなる場合がある。回転数が10000rpmより大きい場合は、比較的短い繊維の割合が大きくなる場合があり、製造されるシートの強度を低下させる原因となる。
解繊部20は、気流を発生させる機構を有していることが好ましい。この場合、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口21から、細片を気流と共に吸引し、解繊処理して、排出口22へと搬送することができる。排出口22から排出された解繊物は、図1に示すように、第2搬送部82を介して、分級部30に導入される。なお、気流発生機構を有していない解繊部20を用いる場合には、細片を導入口21に導く気流を発生する機構を、外付けで設けてもよい。
分級部30は、解繊物から、樹脂粒、インク粒を分離して除去する。分級部30としては、気流式分級機を用いる。気流式分級機は、旋回気流を発生させ、遠心力と分級されるもののサイズと密度によって分離するものであり、気流の速度および遠心力の調整によって、分級点を調整することができる。具体的には、分級部30としては、サイクロン、エルボージェット、エディクラシファイヤーなどを用いる。特にサイクロンは、構造が簡便であるため、分級部30として好適に用いることができる。以下では、分級部30として、サイクロンを用いた場合について説明する。
分級部30は、導入口31と、導入口31が接続された円筒部32と、円筒部32の下方に位置し円筒部32と連続している逆円錐部33と、逆円錐部33の下部中央に設けられている下部排出口34と、円筒部32上部中央に設けられている上部排出口35と、を有している。
分級部30において、導入口31から導入された解繊物をのせた気流は、外径100mm以上300mm以下程度の円筒部32で円周運動に変わる。これにより、導入された解繊物には、遠心力がかかって、第1分級物(繊維2および未解繊片4)と、第1分級物より小さくて密度も低い第2分級物(樹脂粒、インク粒)と、に分離される。第1分級物は、下部排出口34から排出され、第3搬送部83を通って選別部40の導入口46に導入される。一方、第2分級物は、上部排出口35から第4搬送部84を通って分級部30の外部に排出される。このように、樹脂粒は、分級部30によって外部に排出されるため、後述する樹脂供給部50によって樹脂が供給されても、解繊物に対して樹脂が過剰になることを防ぐことができる。
なお、分級部30により第1分級物と第2分級物に分離すると記載したが、完全に分離できる訳ではない。第1分級物のうち比較的小さいものや密度の低いものは第2分級物とともに外部に排出される場合がある。第2分級物のうち比較的密度の高いものや第1分級物に絡まってしまったものは第1分級物とともに選別部40へ導入される場合もある。また、原料が古紙でなくパルプシートのような場合は第2分級物に相当するものが含まれていないため、シート製造装置として分級部30が無くてもよい。そのため、選別部40へ導入されるものは、分級部30により分級されたものだけではない。そこで本願では、解繊部20を通過したものであって、選別部40へ導入されるものを「解繊処理された解繊物」と呼び、解きほぐされた繊維2や未解繊片4の他に少量の樹脂粒やインク粒などが入っている場合があるものとする。
選別部40は、解繊処理された解繊物を、選別部40の第1開口42を通過する「通過物」と、第1開口42を通過しない「残留物」とに空気中で選別する。以下、選別部40について、より具体的に説明する。
選別部40としては、篩(ふるい)を用いる。ここで、図5は、選別部40を模式的に示す斜視図である。図6は、選別部40の網部41を展開した平面図(展開図)である。選別部40は、図5に示すように、網部41と、円板部44,45と、導入口46と、排出口47と、を有している。選別部40は、モーター(図示せず)によって回転軸Qを中心に網部41が回転する回転式の篩である。網部41が回転することで、網部41内の解繊物のうち第1開口42を通過可能な大きさのものは通過し、第1開口42を通過できない大きさのものは通過しない。
選別部40の網部41は、複数の第1開口42を有している。網部41は、平織り金網や溶接金網などの金網から構成されている。網部41は、金網を円筒状にしたものであり、円筒の内部は空洞である。なお、円筒状は真円を作るのが難しいため、正確な円でなく楕円も含むし、多角形も含むものとする。
なお、選別部40では、金網で構成された網部41の代わりに、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタルを用いてもよいし、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いてもよい。エキスパンドメタルを用いる場合、第1開口42とは、金属板に入れた切れ目を引き延ばして形成される穴のことである。パンチングメタルを用いる場合、第1開口42とは、金属板にプレス機等で形成された穴のことである。また、第1開口42を有する部材を金属以外の材質で作ってもよい。
選別部40の網部41に設けられた第1開口42は、網部41の目である。網部41は、図6に示すように、金属からなる線状の複数の線部43を有し、第1開口42は、線部43に囲まれた部分である。第1開口42の形状は、選別部40が篩として機能すれば特に限定されず、多角形、円形、楕円形などであってもよいが、図6に示す例では、正方形である。複数の第1開口42の形状や大きさは、同じであることが好ましい。複数の第1開口42は、均一性よく配置されていることが好ましい。
なお、「第1開口の形状」とは、網部41が円筒状である場合は、円筒状の網部41を展開した場合の、第1開口42の平面形状のことである。以上の第1開口に関する記載は、後述する「第2開口」についても同様である。
選別部40の網部41の目開きは、300μm以上2000μm以下であることが好ましい。目開きが300μmより小さいと、繊維長が短いため、繊維と繊維の交差部が多くなる。繊維と繊維を結着させる樹脂の数は限られているため、繊維同士が結着されない箇所ができて、製造されるシートの強度が低下する場合がある。目開きが2000μmより大きいと、解繊されていない未解繊片4が第1開口42を通過する可能性が高くなり、製造されるシートの地合いが悪化する場合がある。
なお、「目開き」とは、図6に示すように、網部41を展開させた場合に、隣り合う線部43の間の大きさAである。第1開口42の形状が正方形である場合は、目開きは、正方形の1辺の長さである。
選別部40の円板部44,45は、網部41を円筒状にしたことによって端部に形成される2つの開口に配置している。円板部44には解繊処理された解繊物を導入する導入口46が設けられ、円板部45には残留物を排出する排出口47が設けられている。選別部40が回転する際に、網部41が回転し、円板部44,45と導入口46と排出口47は回転しない。円板部44,45は、網部41が回転可能に、網部41の端部に接している。円板部44、45と網部41は隙間なく接することで、網部41内の解繊物が外へ漏れることを防止している。導入口46および排出口47の位置は、特に限定されないが、図5に示す例では、選別部40の回転軸Qからずれた位置に設けられている。具体的には、図5に示す例では、導入口46は、回転軸Qよりも鉛直方向上方で、網部41の鉛直方向最上部より下方に設けられている。排出口47は、回転軸Qよりも鉛直方向下方で、網部41の鉛直方向最下部よりも上方に設けられている。網部41の内部には、第1開口42を通過しない解繊物が溜まっている。導入口46を回転軸Qより鉛直方向上方に位置にすることで、解繊物が溜まっていない空間に解繊物を供給できるので、導入口46のところで解繊物が滞ってしまうことがない。また、第1開口42を通過できない解繊物は鉛直方向下部に溜まるので、排出口47を回転軸Qより鉛直方向下方に設けることで排出しやすい。なお、導入口46および排出口47の直径は、網部41の円筒の半径より小さい。これにより導入口46から供給される解繊物が多すぎて網部41の内部が解繊物で充満することがない。また、十分に選別されずに排出口47から解繊物が排出されることも抑制する。
選別部40の網部41は、移動可能である。図5において、網部41は、回転軸Qを中心として回転することができる。網部41の回転にともなって、第1開口42も回転する。網部41の回転数は、例えば50rpm以上800rpm以下である。選別部40の網部41の移動速度は、ほぐし部60の網部61の移動速度よりも大きいことが好ましい。すなわち、選別部40の網部41は、ほぐし部60の網部61より速く回転する。ここで、「移動速度」とは、網部41,61が回転する場合は、網部41,61の回転数(回転速度)と言い換えることができる。すなわち、選別部40の網部41の回転数(回転速度)は、ほぐし部60の網部61の回転数(回転速度)よりも大きい。なお、網部41は、回転だけではなく、水平方向や垂直方向に移動してもよい。そのため、「移動」とは、回転や直線移動、振り子状の往復移動などを含み、「移動速度」はそれぞれの方向への移動速度や周波数、振動数を含むものとする。「移動」に関する記載は、後述する「第2開口」についても同様である。
選別部40が回転軸Qを中心として回転している状態で、解繊処理された解繊物は、導入口46から選別部40に導入される。そして、網部41が回転することで、第1開口42を通過したものは通過物(選別物)として選別部の外に排出される。通過物としては、第1開口42の目開きの大きさより短い繊維が主となる。また、第1開口42を通過しなかったものは、残留物(非選別物)として第1開口42を通過せずに、排出口47から排出される。残留物は、第1開口42を通過できない長さの繊維や未解繊片4やダマである。このように、選別部40は、第1開口42を有する網部41によって、解繊処理された解繊物から一定の長さより短い繊維(通過物)を選別することができる。
選別部40の第1開口42を通過しなかった残留物は、図1に示すように、排出口47から排出されて、戻り流路としての第5搬送部85を介してホッパー5に搬送され、再び解繊部20に戻される。
選別部40の第1開口42を通過した通過物は、ホッパー5で受けてから第6搬送部86を介して、ほぐし部60の導入口66に搬送される。第6搬送部86には、繊維同士を(解繊物同士を)結着させる樹脂が供給されるための供給口51が設けられている。
樹脂供給部50は、供給口51から第6搬送部86に空気中で樹脂を供給する。すなわち、樹脂供給部50は、第1開口42を通過した通過物が選別部40からほぐし部60に向かう経路に(選別部40とほぐし部60との間に)、樹脂を供給する。樹脂供給部50としては、第6搬送部86に樹脂を供給することができれば特に限定されないが、スクリューフィーダー、サークルフィーダーなどを用いる。
なお、解繊物と樹脂とを混合させる機構は、ターボブロワに限定されず、ジューサーミキサーのように高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよい。
樹脂供給部50から供給される樹脂は、複数の繊維を結着させるための樹脂である。樹脂が第6搬送部86に供給された時点では、複数の繊維は結着されていない。樹脂は、後述するシート成形部70を通過する際に硬化して、複数の繊維を結着させる。
樹脂供給部50から供給される樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などが挙げられる。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。
樹脂供給部50から供給される樹脂は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。樹脂が繊維状である場合、樹脂の繊維長は、繊維2の繊維長以下であることが好ましい。具体的には、樹脂の繊維長は、3mm以下、より好ましくは2mm以下である。樹脂の繊維長が3mmより大きいと、ほぐし部60の第2開口62を通過できない場合があり、また繊維2と均一性よく混合することが困難な場合がある。樹脂が粉末状である場合、樹脂の粒径は、1μm以上50μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下である。樹脂の粒径が1μmより小さいと、繊維2同士を結着させる結着力が低下する場合がある。樹脂の粒径が20μmより大きいと、繊維2と均一性よく混合することが困難な場合があり、また繊維2への付着力が低下して繊維2から離脱する場合がある。
樹脂供給部50から供給される樹脂の量は、製造されるシートの種類に応じて、適切に設定される。なお、繊維2を結着させる樹脂の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維2を着色するための着色剤や、繊維2の凝集を防止するための凝集防止材を、供給してもよい。供給された樹脂は、第6搬送部86内に設けられた混合部(図示せず)によって、第1開口42を通過した通過物と混合される。混合部は、通過物と樹脂とを、混合させながら、ほぐし部60に搬送するための気流を発生する。通過物は、第6搬送部86を通過する際に、図3に示すように互い絡み合う場合がある。
ほぐし部60は、絡み合った通過物をほぐす。さらに、ほぐし部60は、樹脂供給部50から供給される樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。また、ほぐし部60は、後述する堆積部72に、通過物や樹脂を均一に堆積する。つまり、「ほぐす」という言葉は、絡み合ったものをバラバラにする作用や均一に堆積させる作用を含むものである。なお、絡み合ったものが無ければ均一に堆積させる作用となる。
ほぐし部60としては、篩を用いる。ここで、図7は、ほぐし部60を模式的に示す斜視図である。ほぐし部60は、図7に示すように、モーター(図示せず)によって回転することができる回転式の篩である。ここで、ほぐし部60として用いられる「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ほぐし部60として用いられる「篩」とは、複数の第2開口62を有する網部61を備えたもの、という意味であり、ほぐし部60は、ほぐし部60に導入された解繊物および樹脂の全てを、第2開口62から外部に排出してもよい。
ほぐし部60は、網部61と、円板部64,65と、導入口66と、を有している。ほぐし部60と選別部40との構成上の違いは、排出口(選別部40の排出口47に相当する部分)を有していないことである。以下、ほぐし部60の説明において、選別部40と同じ形状を有する部分については、その説明を省略する。
ほぐし部60の網部61は、複数の第2開口62を有している。第2開口62の大きさは、第1開口42の大きさ以上である。すなわち、第2開口62の大きさは、第1開口42の大きさと同じか、第1開口42の大きさよりも大きい。ただし、第2開口62の大きさの上限は5mmである。第2開口62の大きさが5mm以下とすることで、繊維同士が絡み合ったダマを通過させず、ほぐして通過させることができる。
第1開口42を通過した通過物は第2開口62を通過できるので、第2開口62は目詰まりをすることがない。また、第1開口42を通過した後に、第6搬送部86内において絡み合った繊維や樹脂があったとしても、第2開口62を通過する際にほぐされる。そのため、第2開口62を通過した繊維、樹脂は均一な厚み、密度で後述する堆積部72に堆積する。なお、第1開口42と第2開口62を同じ大きさとした場合、網部41と網部61は同じものを使用することができる。第1開口42より第2開口62を大きくした場合、第2開口62で目詰まる可能性を低下させることができる。なお、ほぐし部60に導入された通過物の全部またはほとんどは第2開口62を通過するため、第2開口62を通過できずにほぐし部60内に残留する残留物はほとんどない。そのため、ほぐし部60には選別部40の排出口47に相当する部分はなく、ほぐし部60を通過しない解繊物を解繊部20に戻す流路を有しないことになる。つまり、ほぐし部60と解繊部20とを連通する流路を有しない。
なお、「開口の大きさ」とは、図5,7に示すように網部41,61が円筒状の場合は、網部41,61を展開した状態における、開口の面積である。具体的には、網部41が金網で構成されている場合(より具体的には開口42,62の形状が正方形である場合)は、「開口の大きさ」とは、網部41,61の目開きであってもよい。また、開口42,62の形状が円形である場合は、「開口の大きさ」とは、開口42,62の直径であってもよい。正方形や円以外の場合は最も寸法の大きくなる部分の寸法としてもよい。なお、「開口の大きさ以上」とは、開口の大きさが同じか、その大きさより大きいことを言う。
ほぐし部60の網部61は、移動可能である。具体的には、網部61は、図7に示すように円筒状であり、回転軸Qを中心として回転する。網部61の回転にともなって、第2開口62も回転する。網部61の回転数(回転速度)は、例えば30rpm以上600rpm以下である。つまり、網部41の回転速度(移動速度)は網部61の回転速度(移動速度)より大きい。網部41には、目開きの大きさより大きい解繊物も含まれているため、目開きの大きさより小さい解繊物の通過を阻害する場合がある。そのため、網部41の回転速度は大きい方が第1開口42を通過させやすくなる。一方、網部61の開口の大きさは、網部41の開口の大きさ以上のため、網部41より回転速度を遅くしても解繊物は第2開口62を通過しやすい。
ほぐし部60が回転軸Qを中心として回転している状態で、選別部40を通過した通過物(繊維)と樹脂との混合物は、導入口66からほぐし部60に導入される。ほぐし部60に導入された混合物は、遠心力によって網部61側に移動する。上記のように、ほぐし部60に導入される混合物は、絡み合った繊維や樹脂を含んでいる場合があり、絡み合った繊維や樹脂は、回転している網部61によって空気中でほぐされる。そして、ほぐされた繊維や樹脂は、第2開口62を通過する。第2開口62を通過した繊維および樹脂は、空気中を通過して、後述する堆積部72に均一に堆積される。
なお、「絡み合った繊維をほぐす」とは、絡み合った繊維を完全にほぐす場合(全ての繊維がほぐれた状態にする場合)と、絡み合った繊維が第2開口62を通過できる程度に絡み合った繊維の一部をほぐす場合と、を含む。「絡み合った樹脂をほぐす」という意味ついても同様である。なお、第2開口62の目開きの大きさであれば、それを通過する解繊物が絡み合っていても地合いとして問題にならない。また、「均一に堆積」とは、堆積された堆積物が同じ厚み、同じ密度で堆積されている状態を言う。ただし、堆積物全てがシートとして製造される訳ではないため、シートになる部分が均一であればよい。「不均一に堆積」は均一に堆積していない状態を言う。
ほぐし部60の第2開口62を通過した解繊物および樹脂は、シート成形部70の堆積部72に堆積される。シート成形部70は、図1に示すように、堆積部72と、張架ローラー74と、ヒーターローラー76と、テンションローラー77と、巻き取りローラー78と、を有している。シート成形部70は、ほぐし部60を通過した解繊物および樹脂を用いて、シートを成形する。以下、シート成形部70について、具体的に説明する。
シート成形部70の堆積部72は、ほぐし部60の第2開口62を通過した解繊物および樹脂を受けて堆積させる。堆積部72は、ほぐし部60の下方に位置している。堆積部72は、第2開口62を通過した解繊物および樹脂を受けるもので、例えば、メッシュベルトである。メッシュベルトには、張架ローラー74によって張架されるメッシュが形成されている。堆積部72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。堆積部72が連続的に移動しながら、ほぐし部60から解繊物および樹脂が連続的に降り積もることにより、堆積部72上に厚さの均一なウエブが形成される。
なお、図示はしないが、ほぐし部60の下方に堆積部72を介して位置し、下方に向く気流(ほぐし部60から堆積部72に向く気流)を発生させるサクション装置が設けられていてもよい。これにより、空気中に分散させた解繊物および樹脂を吸引することができ、ほぐし部60からの排出速度を大きくすることができる。その結果、シート製造装置100の生産性を高くすることができる。また、サクション装置によって、解繊物および樹脂の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や樹脂が絡み合うことを防ぐことができる。
シート成形部70の堆積部72として用いられるメッシュベルトの材質は、金属、樹脂、不織布などである。メッシュベルトの穴径(直径)は、例えば、60μm以上250μm以下である。メッシュベルトの穴径が60μmより小さいと、上記のサクション装置によって安定した気流を形成することが困難な場合がある。メッシュベルトの穴径が250μmより大きいと、メッシュの間に繊維が入り込んで、製造されたシートの表面の凹凸が大きくなる場合がある。
シート成形部70の堆積部72上に堆積された解繊物および樹脂は、堆積部72の移動にともない、ヒーターローラー76を通過することによって加熱および加圧される。加熱により、樹脂は、結着剤として機能して繊維同士を結着させ、加圧により薄くし、さらに図示しないカレンダーローラーを通過させて表面を平滑化し、シートPが成形される。図示の例では、シートPは、巻き取りローラー78において巻き取られる。
以上により、シートPを製造することができる。
シート製造装置100は、以下の効果を有する。
解繊物が選別部40の第1開口42を通過することで、第1開口42を通過できない解繊物は選別される。そして、第1開口42を通過する大きさの解繊物に揃えられる。しかし、第1開口42は目詰まりして通過できない部分もあるため、通過した解繊物は厚み、密度が不均一に堆積する。そこで、ほぐし部60の第2開口62を通過させる。第2開口62の開口の大きさは第1開口42の開口の大きさ以上なので、第1開口42を通過した解繊物は第2開口62で目詰まりすることはない。そのため、第2開口62を通過した解繊物は均一な厚み、密度で堆積部72上に堆積させることができる。また、選別部40からほぐし部60に搬送される過程で寄り集まった解繊物も第2開口62を通過することでほぐすことができる。その結果、シート製造装置100は、高強度で地合いの良好なシートを製造することができる。なお、本願の効果は後述する紙において特に良好な効果となる。従来の紙製造装置では、均一な厚み、密度で堆積することができないため、紙に要求される薄くて高強度の成形物を製造することができなかった。本願においては、紙の場合、薄くて、高強度で、地合いを良好に製造でき、乾式の紙製造装置において未解決の課題を解決したものである。紙において効果を発揮するが、後述する不織布においても、すぐに引きちぎれることもなく、見た目のよいものとなる。
ここで、特許文献1は、本願の選別部40もしくはほぐし部60の一方しかなかった。一方しかないと、本願の選別部40を通過した状態であり、開口の目詰まりにより不均一な堆積となる。そのため、本願の構成の方がより良いシートを製造することができる。なお、特許文献1ではフォーミングドラムが2つあるが、一方の開口を通過したものを他方へ送るものではなく、それぞれが選別部とほぐし部の機能を有するものではない。
また、選別部40を2つ用い、解繊物の搬送方向において下流側の選別部の開口を上流側の開口より小さくしたとする。この場合、下流側の選別部ではやはり開口の目詰まりが発生し、不均一な堆積となる。そのため、選別部を2つ設けても効果はなく、下流側にはほぐしの効果や均一に堆積する効果を有するほぐし部が必要となる。
なお、「地合い」とは、シートの地質のことであり、具体的には、下記の実験例に示すように、シートの背面から光を当てた際に見られる濃淡差の度合い(程度)のことをいう。すなわち、「地合いが良好なシート」とは、該濃淡差が小さいシートのことをいう。
ここで、解繊部の回転速度を大きくして未解繊片4の割合を小さくすることも考えられる。しかしながら、解繊部の回転速度を大きくすると、解繊部において消費されるエネルギー(解繊エネルギー)が大きくなり、省エネの観点から好ましくない。また、解繊部の回転速度を大きくすると、短繊維の割合が大きくなり、解繊物の結合強度が弱くなってシートの強度が低下する場合がある。シート製造装置100では、解繊エネルギーを抑制しつつ、短繊維によるシートの強度低下を防ぐことができる。
なお、「シートの強度」とは、シートの引張強度のことであり、具体的には、下記の実験例に示すように、引張強度試験機を用いて評価される強度のことである。
シート製造装置100では、第2開口62の大きさは、第1開口42の大きさよりも大きいので、ほぐし部60内に残る可能性を低くすることができる。したがって、ほぐし部60が目詰まりすることを防ぎ、均一な厚み、密度で堆積させることができる。
シート製造装置100では、複数の第1開口42の大きさは同じであり、複数の第2開口62の大きさは同じである。複数の第1開口42の大きさを同じにすると、第1開口42を通過する通過物は同じ条件で選別されるので、通過物の大きさはばらつきが少なくなる。複数の第1開口42の形状も同じであることが望ましいが、異なっていても同じ大きさであればよい。複数の第2開口62の大きさを同じにすることで、第2開口62を通過する繊維や樹脂を堆積部72上に均一に堆積させることができる。なお、複数の第2開口62は等間隔で配置されると、さらに均一に堆積させることができる。
シート製造装置100では、選別部40の移動速度は、ほぐし部60の移動速度よりも大きい。選別部40の第1開口42を通過して排出される解繊物の単位時間当たりの排出量と、ほぐし部60の第2開口62を通過して排出される解繊物の単位時間当たりの排出量と、を同じにする(近づける)ためには、選別部40の移動速度を大きくして、選別部40の処理能力を向上させることが好ましい。特に、第2開口62の大きさが第1開口42の大きさよりも大きい場合は、選別部40の移動速度をほぐし部60の移速度よりも大きくすることが、より好ましい。なお、選別部40は、移動することで容易に選別することが可能である。一方、ほぐし部60は繊維を通過させることでほぐしたり均一に堆積させることを目的としているため、移動しなくてもよい。その場合は、例えば気流などを用いて繊維が第2開口62を通過させる。
シート製造装置100は、選別部40とほぐし部60を連結する第6搬送部86に、樹脂を供給する樹脂供給部50を備えている。そのため、第6搬送部86内において解繊物および樹脂が絡み合ったとしても、ほぐし部60によって絡み合った解繊物および樹脂をほぐすことができ、解繊物および樹脂を、堆積部72上に均一性よく堆積させることができる。また、選別部40の上流の第3搬送部83に樹脂を供給する場合は、選別部40において第1開口42を通過しなかった残留物に付着した樹脂はシートの製造に使われない。そのため、樹脂が無駄となるばかりか、シートの製造に使われる樹脂の量が減り、シートの強度が不足することになる。
シート製造装置100では、被解繊物を解繊処理する解繊部20と、選別部40を通過しなかった残留物を解繊部20に戻す第5搬送部(戻し流路)85と、を備えている。これにより、選別部40において第1開口42を通過しなかった解繊物を、解繊部20において解繊処理することができる。すなわち、残留物を、破棄することなく、シート製造のために利用することができる。
なお、シート製造装置100は、ほぐし部60を通過しない解繊物を解繊部20に戻す流路85を有していなくてもよい。このようなシート製造装置100では、ほぐし部60を通過しない解繊物はほとんどないため、解繊部20に戻す流路を無くすことができ、シート製造装置100として小型化が可能となる。
2. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
2. 試料の作成
2. 実施例1
原料としては、A4サイズのPPC(Plain Paper Copier)用紙を用いた。シート製造装置としては、図1に示すようなシート製造装置100を用いた。
PPC用紙を解繊部20に投入する前に、粗砕部(シュレッダー)10において、6mm×14mmの紙片にカットした。解繊部20としては、インペラーミル250(株式会社セイシン企業製)を用いた。インペラーミル250の回転数は、5000rpmとして、カットされた紙片を解繊して解繊物を生成した。解繊物は、分級部(サイクロン)30を介して、選別部40に搬送された。
選別部40としては、回転式の篩を用いた。選別部40の網部41としては、目開きを970μm、線径を300μm、外径を220mm、回転数を220rpmとした。
選別部40の第1開口42を通過した材料に、樹脂を添加した。具体的には、平均粒径D50=8.2μmの粉末状の樹脂(ポリエステル)を、第1開口42を通過した材料100重量部に対して15重量部添加した。第1開口42を通過した材料と樹脂との混合は、第6搬送部86内設けられた、ターボファンブロワによって行った。
ほぐし部60としては、排出口47を有していないこと以外は、選別部40として用いた篩と同じ形状および大きさの回転式の篩を用いた。すなわち、ほぐし部60の網部61としては、目開きを970μm、線径を300μm、外径を220mmとした。回転数は、150rpmとした。
ほぐし部60を通過して堆積部72に堆積された解繊物および樹脂は、ヒーターローラー76によって加熱および加圧されて薄層シート(紙)となった。ヒーターローラー76を通過した後の紙の温度は、140℃であり、ヒーターローラー76が加える圧力は、約30kgf/cm2であった。成形された紙の厚さは、約90μmであった。
2.1.2. 実施例2
原料として、実施例1で製造した紙を用いたこと以外は、実施例1と同じ工程で(同じシート製造装置で)紙を製造した。
2.1.3. 比較例1
選別部40を備えていないシート製造装置を用いて紙を製造した。他の部分については(選別部40を備えていないこと以外は)、実施例1で用いたシート製造装置と同じである。
2. 比較例2
解繊部20の回転数を12000rpmにしたこと以外は、比較例1と同じ工程で(同じシート製造装置で)紙を製造した。
2.2. 評価結果
実施例1,2および比較例1,2の紙の地合いおよび引張強度を評価した。地合いは、紙の背面から光を当てた際に見られる濃淡差を目視で評価した。引張強度は、引張強度試験機を用いて、長さ150mm幅15mmの試験片(紙片)を、スパン長100mmとなるように測定した。地合いおよび引張強度の評価結果を表1に示す。さらに、解繊部20における解繊処理において消費されたエネルギー(解繊エネルギー)を表1に示す。
実施例1,2の紙は、表1に示すように、地合い評価において、ほぼ均一な濃さであり、良好な地合いを有していることがわかった。また、実施例1,2の紙の引張強度は、45MPa以上であり、高い強度を有していることがわかった。また、実施例1,2では、ほぐし部60の網部61の目詰まりは、発生しなかった。実施例2の結果から、本シート製造装置で作成した紙を原料として作った紙も、紙としての性能を満たしている。そのため、市販の紙を用いなくても、本装置で作成した紙を繰り返し使えることができる。
比較例1では、装置の運転を続けているうちに、徐々にほぐし部内に、解繊部において解繊しきれなかった未解繊片や、絡み合った解繊物が滞留し、目詰まりが発生した。その結果、長時間、連続して紙を製造することができなかった。運転初期に製造された紙は、実施例1とほぼ同様の地合いを有したが、目詰まりが発生した後に製造された紙は、地合いの悪化が確認された。
比較例2についても、装置の運転を続けているうちに、ほぐし部において目詰まりが発生した。ただし、目詰まりの程度は、比較例1よりも軽かった。比較例1と同様に、目詰まりが発生した後に製造された紙は、地合いの悪化が確認された。ただし、濃淡むらの程度は、比較例1よりは良かった。
比較例2の紙の引張強度は、11MPaと低かった。これは、比較例2では、解繊部の回転数が高く、繊維長の短い解繊物が生成される割合が大きくなったためであると考えられる。ここで、表2は、解繊部を通過した後、ほぐし部に導入される前の解繊物の繊維長の分布を示している。具体的には、表2は、Fiber Tester(L&W社)にて測定した、50μm以上の繊維長を有する2万本の解繊物の繊維長の分布を示している。表2より、比較例2では、実施例1に比べて解繊物の繊維長が短くなっていることがわかった。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
なお、シート製造装置100によって製造されるシートは、シート状にしたものを主に指す。しかしシート状ものに限定されず、ボード状、ウェブ状であってもよい。本明細書におけるシートは、紙と不織布に分けられる。紙は、パルプや古紙を原料とし薄いシート状に成形した態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙などを含む。不織布は紙より厚いものや低強度のもので、一般的な不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。なお、原料としてはセルロースなどの植物繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどの化学繊維や羊毛、絹などの動物繊維であってもよい。
選別部40の網部41やほぐし部60の網部61を円筒状としたが、平面状であってもよい。平板に複数の開口を開けたり、平面状のメッシュでもよい。
また、図示はしないが、堆積部72に堆積された堆積物に、水分を噴霧添加するための水分噴霧器が設けられていてもよい。これにより、シートPを成形した際の水素結合の強度を高くすることができる。水分の噴霧添加は、ヒーターローラー76を通過する前の堆積物に対して行われる。水分噴霧器で噴霧する水分には、澱粉やPVA(ポリビニルアルコール)等が添加されていてもよい。これにより、さらにシートPの強度を高くすることができる。
また、上記の例では、シートPが巻き取りローラー78において巻き取られる形態について説明したが、シートPは、図示せぬ裁断機によって所望のサイズにカットされ、スタッカーなどに積載されてもよい。
シート製造装置100には、図8に示すように、粗砕部10は無くても良い。例えば、既存のシュレッダーなどで粗砕したものを原料とするなら粗砕部10は不要となる。
シート製造装置100には、図8に示すように、粗砕部10と解繊部20が無くてもよい。シート製造装置100とは別の解繊機で解繊処理された解繊物を原料とするなら粗砕部10と解繊部20は不要となる。そのため、「解繊処理された解繊物」とは、シート製造装置100に搭載されていない解繊部で処理された解繊物も含む。
戻り流路としての第5搬送部85は無くてもよい。残留物を解繊部20に戻さずに、回収して廃棄してもよい。また、残留物が出ないような性能の解繊部20であれば、第5搬送部85は無くてよい。
本願において、「均一」「同じ」「等間隔」など、密度、距離、寸法などが等しいことを意味する言葉を用いている。これらは、等しいことが望ましいが、完全に等しくすることは難しいため、誤差やばらつきなどの累積で値が等しくならずにずれるのも含むものとする。
ここで、古紙を材料とした場合、古紙を解繊処理する解繊部と、前記解繊部で解繊処理された解繊物を選別する第1開口を有する選別部と、前記第1開口の大きさ以上の大きさの第2開口を有し、前記選別部を通過した解繊物を通過させてほぐすほぐし部と、前記ほぐし部を通過した解繊物が堆積する堆積部と、を備える古紙の再生装置となる。なお、古紙とは、主に印刷された紙を指すが、印刷されていないが印刷装置を通過した紙を含んでいてもよい。