JP6355940B2 - 車両用変速装置 - Google Patents
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Description
本明細書における有段変速機構とは、多段変速機構と同義ではなく、変速段が単段のものを含む概念である。
同文献に記載された車両用変速装置は、ベルト式無段変速機構、変速比が固定の歯車式変速機構、遊星歯車機構、および走行モード切替え用のクラッチを備えている。車両走行モードとしては、第1および第2の走行モードがある。第1の走行モードは、前記2種類の変速機構のうち、ベルト式無段変速機構のみを利用してエンジン出力が車軸側に伝達されるモードである。第2の走行モードは、トルクスプリットモードであり、このモードにおいては、エンジン出力がベルト式無段変速機構および歯車式変速機構の双方を利用して変速された上で、遊星歯車機構を利用してそれらの駆動力が合成され、この合成駆動力が車軸側に出力される。この第2の走行モードにおいては、第1の走行モード時よりも駆動力伝達効率を高めることが可能である。
ところが、車両の実際の走行運転に際しては、第1の走行モードから第2の走行モードへの変更動作中において、たとえばアクセル操作が行なわれて目標エンジン回転数が上昇し、ベルト式無段変速機構の変速比がロー側に振れるといった場合があり得る。このような状況下において、第1の走行モードから第2の走行モードへの変更動作が続行されたのでは、走行モード切替え用のクラッチの差回転が大きくなり、走行モード変更時のショックが大きくなる。これでは、車両の乗り心地が悪化する。
機構と、エンジン出力が前記両変速機構を利用して車軸側へ伝達する経路を切り替えるためのクラッチと、を備えており、前記クラッチのオン・オフ切り替えにより設定される車両の走行モードとして、前記両変速機構のうち、前記無段変速機構のみを利用した第1の走行モードと、前記無段変速機構が併用され、または併用されることなく前記有段変速機構を利用した第2の走行モードとが選択可能とされ、前記第1および第2の走行モードのうち、いずれか一方は、他方よりも車速の高速域側に設定される高速側モードとされ、かつ他方は低速側モードとされ、前記第1および第2の走行モードの切り替えは、前記無段変速機構の変速比が所定のモード切替え変速比と一致または略一致する時点で行なわれるように構成されている、車両用変速装置であって、前記第1の走行モードから前記第2の走行モードへの変更動作中のみにおいて、前記クラッチの差回転が、所定以上に大きくなった際には、前記第2の走行モードへの変更動作を中止し、前記第1の走行モードに戻す制御が実行されるように構成されていることを特徴としている。
すなわち、第1の走行モードから第2の走行モードへの切り替え動作中に、アクセル操作がなされるようなことに起因してクラッチの差回転が所定以上に大きくなる状況を生じた場合には、第2の走行モードへの変更動作が中止される。したがって、クラッチの差回転が大きい状態で走行モードの切り替えが実行されることは適切に回避され、車両の乗り心地をよくすることができる。
さらに、本発明によれば、クラッチの差回転が大きくなった場合に中止される走行モードの変更動作は、第1の走行モードから第2の走行モードへの変更動作であるために、第1の走行モードの設定期間を長くすることが可能である。第1の走行モードは、ベルト式などの無段変速機構のみを利用するモードであるため、変速比固定の歯車式変速機構などの有段変速機構を利用する第2の走行モードと比較すると、変速幅が大きく、第1の走行モードのみによって比較的広い車速領域をカバーすることが可能である。したがって、走行モードの変更動作が頻繁に実行されることが防止され、走行モード変更時のショックに起因して車両の乗り心地が悪化することを、より効果的に回避することができる。
ベルト式無段変速機構4は、本発明でいう「無段変速機構」の一例に相当する。歯車式変速機構5は、本発明でいう「有段変速機構」の一例に相当する。
第1の走行モードは、歯車式変速機構5およびベルト式無段変速機構4のうち、ベルト式無段変速機構4のみを利用したモードである。この第1の走行モードは、スプリットクラッチC1をオフ、ドライブクラッチC2をオンにすることにより設定される。前後進切り替え用のブレーキB1は、車両後進時にオンとされるものであり、車両前進時にはオフのままとされる。この第1の走行モード時においては、たとえば車速、スロットル開度、および目標エンジン回転数などをパラメータとする3次元マップに基づいて変速比γBが決定され、かつこの決定された変速比γBとなるようにベルト式無段変速機構4が制御される。
第2の走行モードは、歯車式変速機構5およびベルト式無段変速機構4の双方を利用したトルクスプリットモードである。この第2の走行モードは、スプリットクラッチC1をオン、ドライブクラッチC2をオフに切り替えることにより設定可能である。歯車式変速機構5の変速比γGは一定(固定)であるが、この第2の走行モードにおいては、ベルト式無段変速機構4がサンギヤ60およびピニヨンギヤ61を回転させる結果、両変速機構4,5のトータルの変速比は、ベルト式無段変速機構4の変速比γBを変更することによって制御可能である。
き、第1および第2の走行モードの切替えがなされる。同図の走行モード切替えラインLは、第1の走行モードと第2の走行モードとの切り替えが行なわれる位置を示すラインであって、車速との関係において、ベルト式無段変速機構4の変速比γBが所定のモード切替え変速比γSとなる目標エンジン回転数を示すラインである。モード切替え変速比γSは、たとえば歯車式変速機構5の変速比γGと同一の値とされている(図3も参照)。本実施形態においては、第1の走行モードは低速側モードとされ、かつ第2の走行モードは高速側モードとされている。
前記とは異なり、スプリットクラッチC1の差回転が所定以上に増大する現象が生じない場合には、走行モードの切り替え動作が継続され、第2の走行モードが設定されることとなる(S3:NO,S5)。第2の走行モードへの変更動作が完了するまでは、前記した差回転の検出処理などは継続して実行される(S6:NO,S2)。
このようなことから、本実施形態によれば、クラッチの差回転が大きい状態で走行モードの切り替えが実行されることは適切に回避され、車両の乗り心地をよくすることができる。
第1の走行モードは、変速機構として、ベルト式無段変速機構4のみを利用したモードであるため、変速比固定の歯車式変速機構5を利用した第2の走行モードと比較して、変速幅を大きくし、第1の走行モードのみによって比較的広い車速領域をカバーすることが可能である。したがって、第1の走行モードの設定期間を長くすることによって、走行モードの変更動作が頻繁に繰り返されることを抑制することが可能となる。これは、走行モ
ードの変更動作に伴うショックの回数を少なくし、車両の乗り心地を一層よくする効果をもたらせる。
第1および第2の走行モードを切り替えるためのモード切替え変速比γSは、歯車式変速機構5の変速比γGと同一の値に限定されず、変速比γGよりもロー側あるいはハイ側に振れた値とすることが可能である。
C1 スプリットクラッチ
C2 ドライブクラッチ
2 差動歯車装置
4 ベルト式無段変速機構(無段変速機構)
5 歯車式変速機構(有段変速機構)
6 遊星歯車機構
9a,9b 車軸
Claims (1)
- 無段変速機構と、変速比が固定の有段変速機構と、エンジン出力が前記両変速機構を利用して車軸側へ伝達する経路を切り替えるためのクラッチと、を備えており、
前記クラッチのオン・オフ切り替えにより設定される車両の走行モードとして、前記両変速機構のうち、前記無段変速機構のみを利用した第1の走行モードと、前記無段変速機構が併用され、または併用されることなく前記有段変速機構を利用した第2の走行モードとが選択可能とされ、
前記第1および第2の走行モードのうち、いずれか一方は、他方よりも車速の高速域側に設定される高速側モードとされ、かつ他方は低速側モードとされ、前記第1および第2の走行モードの切り替えは、前記無段変速機構の変速比が所定のモード切替え変速比と一致または略一致する時点で行なわれるように構成されている、車両用変速装置であって、
前記第1の走行モードから前記第2の走行モードへの変更動作中のみにおいて、前記クラッチの差回転が、所定以上に大きくなった際には、前記第2の走行モードへの変更動作を中止し、前記第1の走行モードに戻す制御が実行されるように構成されていることを特徴とする、車両用変速装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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