JP6355123B2 - ウレタン樹脂及びそのエマルジョン - Google Patents
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難燃性を付与する方法としては、ハロゲン系、リン系、金属水酸化物等の難燃剤を樹脂に添加する方法が知られている。しかし、これらの方法は、難燃剤のブリードアウトや、難燃剤による樹脂の可塑化等の問題が生じる場合がある。
[2]重量平均分子量(Mw)が6,000〜200,000である、[1]に記載のウレタン樹脂。
[3]全ジオールに由来する構造単位に対し、前記式(1)で表されるジオールに由来する構造単位を、30.0重量%以上有する、[1]又は[2]に記載のウレタン樹脂。
[4]前記式(1)中、R1〜R8は互いに異なっていてもよく、水素原子、メチル基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、R9は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のウレタン樹脂。
[5]前記多官能イソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群のうちの少なくとも1つである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のウレタン樹脂。
[6]更に下記式(2)で表されるカルボキシル基を有するジオールに由来する構造単位を有する、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のウレタン樹脂。
[7]リン原子の含有量が2.5〜6.5重量%である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のウレタン樹脂。
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリウレタンを水に分散してなる水性ウレタン樹脂エマルジョン。
次に、この発明にかかるウレタン樹脂の製造方法について説明する。
まず、前記した上記式(1)に示す芳香族基を有するリン系ジオールを含むジオールを溶剤に溶解し、これに前記多官能イソシアネートを加えてウレタン化反応を行う。この際、多官能イソシアネートの含有比率をジオールより高めることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得ることができるので好ましい。
[燃焼試験]
UL94垂直燃焼試験に準じて実施した。試験片の作成は、ガラスクロスに各種樹脂を30重量%になるように含浸させ、室温にて一晩乾燥させた。その後、長さ125mm、幅13mmの短冊状に切断し、8枚を重ね合わせ、120℃の乾燥機内で0.23kg/cm2の荷重をかけて6時間積層を行い、試験片を作成した。
得られた試験片の複数を用い、燃焼時間を測定し、最長値、最短値を見いだすと共に、平均値を算出した。さらに、以下の基準で評価した。
◎…最長燃焼時間が10秒以下(V−0に相当)。
○…最長燃焼時間が10秒を越え、30秒以下(V−1に相当)。
△…最長燃焼時間が30秒を越え、60秒以下。
×…最長燃焼時間が60秒を越える。
[ジオール(b)]
[リン酸エステル構造を有するジオール(b−1)]
・nofia(登録商標) OL1001(商品名)…FRX Polymers社製前記式(1)に該当する化合物(R1〜R8が水素原子であり、R9がメチル基であり、Xが−C(CH3)2−であるもの。)、重量平均分子量(Mw):2,000〜3,000(カタログ値)、固形分100重量%、リン含有率9.1重量%、水酸基価88mgKOH/g、以下「OL1001」と称する。
・ジアルキル−N,N−ビス(2−ハイドロキシエチル)アミノメタンホスホネート(リン酸エステル構造を有するジオールであるが、前記式(1)に該当しないもの。)…ADEKA製:アデカポリオールFC450(商品名))、以下「FC450」と称する。
[カルボキシル基を有するジオール(b−2)]
・ジメチロールプロピオン酸…Perstorp Specialty Chemicals AB社製、以下「DPMA」と称する。
・ポリテトラメチレングリコール…三菱化学(株)製:PTMG1000、水酸基価111.1mgKOH/g、以下「PTMG1000」と称する。
・ネオペンチルグリコール…三菱ガス化学(株)社製、以下「NPG」と称する。
・ポリカーボネートジオール…ダイセル化学工業(株)製:プラクセルCD220、水酸基価56.7mgKOH/g、以下「CD220」と称する。
・イソホロンジイソシアネート…エボニック デグサ社製:VESTANAT IPDI(商品名)、以下「IPDI」と称する。
・ヘキサメチレンジイソシアネート…昭和化学(株)製:試薬、以下「HDI」と称する。
・ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート…住化バイエルウレタン社製:商品名:ディスモジュールW、以下「H12MDI」と称する。
・トリエチルアミン…和光純薬工業(株)製:試薬、以下「TEA」と称する。
[鎖伸長剤]
・イソホロンジアミン…東京化成工業(株)製:試薬、以下「IPDA」と称する。
・3重量%ヒドラジン水溶液…エムジーシー大塚ケミカル(株)製:水加ヒドラジン80%(商品名)をヒドラジン含有量が3重量%となるようにイオン交換水で調整したもの、以下「HD」と称する。
[末端停止剤]
・モノエタノールアミン…(株)日本触媒製、以下「MEA」と称する。
・シクロヘキサノン…宇部興産(株)製、以下「CHN」と称する。
・メチルエチルケトン…丸善石油化学(株)製、以下「MEK」と称する。
・イソプロピルアルコール…(株)トクヤマ製:商品名:トクソーIPA、以下「IPA」と称する。
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、リン含有ポリオールとしてOL1001を97.5g、PTMG1000を13.6g、溶剤としてCHNを35.3g秤量し、窒素ガス雰囲気下で70℃に加温撹拌して、OL1001を溶解した。その後、多官能イソシアネートとしてIPDIを30g添加し、90℃で6時間撹拌してイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。70℃にフラスコ内温度を下げ、MEKを105.9g添加し、IPDAを6.9g添加の上、よく撹拌して鎖伸長を実施した。その後、IPAを70.6g添加希釈して均一にした後にMEAを0.2g添加して末端停止反応を行い、ウレタン樹脂を得た。得られたポリウレタンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
実施例1より、リン含有ポリオールのOL1001量を57.4gに減量し、PTMG1000を45.4gに増量して、ウレタン樹脂のリン含有量を変更し、表−1に示すように原料の使用量を変更した以外は実施例1と同様の合成方法により、ウレタン樹脂を得た。得られたウレタン樹脂について、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、リン含有ポリオールとしてOL1001を68.8g、カルボキシル基を有するポリオールとしてDMPAを6.3g、PTMG1000を6.8g、溶剤としてCHNを48g秤量し、窒素ガス雰囲気下で70℃に加温撹拌して、OL1001を溶解した。その後、多官能イソシアネートとして、IPDIを30g添加し、90℃で5時間撹拌してイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。60℃にフラスコ内温度を下げ、TEAを4.8g添加してカルボン酸を中和し、イオン交換水182gを約15分かけて加え、転相乳化させてウレタンプレポリマーの乳化分散物を得た。更にウレタンプレポリマーの高分子量化の為、鎖伸長剤としてHD22.5g添加し、1時間以上攪拌混合してリン酸エステル基含有の水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂エマルジョンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
実施例3より、カルボキシル基を有するポリオールのDMPAを4.5gに減量し、減量分のポリオール成分をNPGに置換えて、他は表2に示した各原料量にて実施例3と同様の合成方法により水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂エマルジョンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
実施例3より、リン含有ポリオールのOL1001量を38.7gに減量し、PTMG1000を30.7gに増量して、ウレタン樹脂のリン含有量を変更し、表−2に示すように原料の使用量を変更した以外は実施例3と同様の合成方法により水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂エマルジョンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
実施例3より、PTMG1000に替えてポリカーボネートポリオールCD220を6.7g使用した以外は表−2に示した各原料量にて実施例3と同様の合成方法により水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂エマルジョンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−2に示す。
実施例6より、リン含有ポリオールのOL1001量を47.3gに減量し、ポリカーボネートポリオールCD220の量を45.4gに増量して、ウレタン樹脂のリン含有量を変更し、表−2に示すように原料の使用量を変更した以外は実施例3と同様の合成方法により水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂エマルジョンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
実施例3より、多官能イソシアネートとして、HDIを併用し、表−2に示すように原料の使用量を変更した以外は実施例3と同様の合成方法により水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂エマルジョンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
実施例3より、多官能イソシアネートとして、H12MDIを30g使用し、表−2に示すように原料の使用量を変更した以外は実施例3と同様の合成方法により水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂エマルジョンについて、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、PTMG1000を61.3g、カルボキシル基を有するポリオールとしてDMPAを6.3g、溶剤としてCHNを41.9gを秤量し、窒素ガス雰囲気下で70℃に加温撹拌して、IPDIを30g添加し、90℃で4時間撹拌してイソシアネート基末端プレポリマーを得た。60℃にフラスコ内温度を下げ、TEAを4.8g添加してカルボン酸を中和し、イオン交換水260gを約15分かけて加え、転相乳化させ、ウレタンプレポリマーの乳化分散物を得た。更にウレタンプレポリマーの高分子量化の為、鎖伸長剤としてHD水溶液を22.5g添加して水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂について、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
比較例1より、PTMG1000の一部をFC450に替え、表−2に示すように原料の使用量を変更した以外は比較例1と同様の合成方法により水性ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られた水性ウレタン樹脂について、燃焼試験を実施した。その結果を表−1に示す。
表−1から明らかなように本発明のウレタン樹脂に該当する実施例1〜9はいずれも、本発明のウレタン樹脂に該当しない比較例1(リン含有ジオールを含有しないジオールのみを用いて得られたウレタン樹脂)及び比較例2(FC450(リン酸エステル構造を有するが、式(1)で表されるジオールに該当しないもの)を使用して得られたウレタン樹脂)に対して難燃性に優れたものであることがわかる。
Claims (8)
- 重量平均分子量(Mw)が6,000〜200,000である、請求項1に記載のウレタン樹脂。
- 全ジオールに由来する構造単位に対し、前記式(1)で表されるジオールに由来する構造単位を、30.0重量%以上有する、請求項1又は2に記載のウレタン樹脂。
- 前記式(1)中、R1〜R8は互いに異なっていてもよく、水素原子、メチル基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、R9は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレタン樹脂。
- 前記多官能イソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のウレタン樹脂。
- リン原子の含有量が2.5〜6.5重量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載
のウレタン樹脂。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のウレタン樹脂を水に分散してなる水性ウレタン樹
脂エマルジョン。
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