JP6591189B2 - ポリウレタン水分散体及び合成皮革 - Google Patents

ポリウレタン水分散体及び合成皮革

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本発明は、ポリウレタン水分散体に関する。また、本発明は、ポリウレタン水分散体を表皮層に用いた合成皮革に関する。
従来から、耐加水分解性に優れたポリウレタン水分散体として、スルホン酸含有ポリオールを用いたポリウレタン水分散体が知られている。ポリウレタン水分散体は、例えば、合成皮革の表皮層の材料として用いられる。
特許文献1(特開2005−187570号公報)には、スルホン酸含有ポリエステルポリオールと、有機ポリイソシアネートと、を構成要素として含むウレタンプレポリマーを、水及びポリアミン化合物により鎖伸長したスルホン酸含有アニオン性ポリウレタン水分散体組成物、及びこれを用いた接着剤組成物が開示されている。そして、このスルホン酸含有アニオン性ポリウレタン水分散体組成物によれば、優れた耐加水分解性、耐水性、耐湿性、密着性、耐熱性が得られると記載されている。
特許文献2(特開2007−119749号公報)には、有機ポリイソシアネートと、ポリオール成分と、スルホン酸基またはカルボキシル基を含む親水基成分と、界面活性剤成分と、を含有した繊維積層体表皮用ポリウレタン樹脂水分散体が開示されている。そして、この繊維積層体表皮用ポリウレタン樹脂水分散体によれば、剥離強度、耐屈曲性、加工風合いの点で良好な性能が得られると記載されている。
特開2005−187570号公報 特開2007−119749号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献2に開示されたポリウレタン水分散体を合成皮革の表皮層として用いた場合、合成皮革の耐屈曲性を向上させることは容易ではなく、ポリウレタンの構成成分に関わる種々の要因を考慮する必要があることが分かった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐屈曲性を有する合成皮革の表皮層を形成可能であり、且つ、優れた耐オレイン酸性及び耐エタノール性、並びに良好な耐熱性、耐加水分解性及び耐水性を有するポリウレタン樹脂層を形成可能なポリウレタン水分散体を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた耐屈曲性、耐オレイン酸性及び耐エタノール性、並びに良好な耐熱性、耐加水分解性及び耐水性を有する合成皮革を提供することも目的とする。
上記の課題を解決する本発明のポリウレタン水分散体は、スルホン酸金属塩基を有する芳香族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体(a1)と、スルホン酸金属塩基を有しないポリカーボネートポリオール(a2)とを反応させて得られる、スルホン酸金属塩基を有するポリカーボネートポリオール(A)、スルホン酸金属塩基を有しないポリオール(B)、有機ポリイソシアネート(C)及び分子量が400以下の多価アルコール系鎖伸長剤(D)を用いて得られるプレポリマーをポリアミン系鎖伸長剤(E)により水中で鎖伸長させて得られるものである。スルホン酸金属塩の含有量は、ポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して0.8〜1.2重量%である。スルホン酸金属塩の含有量がポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して0.8重量%以上且つ1.1重量%未満の場合、成分(A)を得る反応に用いられる成分(a1)と成分(a2)のモル比が(a1/a2比)=1/2.5〜1/2.1である。また、スルホン酸金属塩の含有量がポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して1.1重量%以上且つ1.2重量%以下の場合、成分(A)を得る反応に用いられる成分(a1)と成分(a2)のモル比が(a1/a2比)=1/2.7〜1/2.1である。成分(a2)の分子量は、500より大きく且つ2000未満である。成分(a2)を構成するポリオール単位のうち、1,4−ブタンジオール単位の含有量が80モル%以上である。
また、上記の課題を解決する本発明の合成皮革は、繊維基材層と、その上に積層された表皮層とを含む。表皮層は、上記の構成のポリウレタン水分散体で形成されている。
本発明によれば、優れた耐屈曲性を有する合成皮革の表皮層を形成可能であり、且つ、優れた耐オレイン酸性及び耐エタノール性、並びに良好な耐熱性、耐加水分解性及び耐水性を有するポリウレタン樹脂層を形成可能なポリウレタン水分散体を得ることができる。また、本発明によれば、優れた耐屈曲性、耐オレイン酸性及び耐エタノール性、並びに良好な耐熱性、耐加水分解性及び耐水性を有する合成皮革を得ることができる。
図1は、合成皮革の断面図である。
<実施形態1>
(ポリウレタン水分散体)
実施形態1で説明するポリウレタン水分散体は、合成皮革を構成する積層体の表皮層の原料として用いられるものである。以下、ポリウレタン水分散体の構成について説明する。
本実施形態のポリウレタン水分散体は、スルホン酸金属塩基を有するポリカーボネートポリオール(A)、スルホン酸金属塩基を有しないポリオール(B)、有機ポリイソシアネート(C)及び分子量が400以下の多価アルコール系鎖伸長剤(D)を反応させて得られるプレポリマーをポリアミン系鎖伸長剤(E)により水中で鎖伸長させて得られる。本実施形態のポリウレタン水分散体に含まれるポリウレタン樹脂(固形分)は、スルホン酸金属塩を含んでいる。ポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対するスルホン酸金属塩の含有量は、0.8重量%以上1.2重量%以下である。
プレポリマーの合成に用いられるスルホン酸金属塩基を有するポリカーボネートポリオール(A)(以下、単に「成分(A)」と略記する場合がある)は、スルホン酸金属塩基を有する芳香族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体(a1)(以下、単に「成分(a1)」と略記する場合がある)と、スルホン酸金属塩基を有しないポリカーボネートポリオール(a2)(以下、単に「成分(a2)」と略記する場合がある)とを反応させて得られる。
成分(a1)を構成する、スルホン酸金属塩基を有する芳香族ジカルボン酸としては、例えば、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等、これらのジエステル等の金属塩が挙げられる。また、成分(a1)を構成する、スルホン酸金属塩基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体としては、例えば、5−スルホイソフタル酸ジエステル、スルホテレフタル酸ジエステル、4−スルホフタル酸ジエステル、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸ジエステル等の金属塩が挙げられる。
また、成分(a1)を構成する金属塩としては、リチウム(Li)塩、ナトリウム(Na)塩、カリウム(K)塩、マグネシウム(Mg)塩、カルシウム(Ca)塩等が挙げられる。これらの中でも、成分(a1)としては、ナトリウム(Na)塩が好適に使用される。成分(a1)としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本実施形態のポリウレタン水分散体を表皮層に用いた合成皮革の耐屈曲性の観点から、成分(a1)として、5−スルホイソフタル酸ジエステルの金属塩を用いることが好ましく、5−スルホソディウムイソフタル酸ジメチルを用いることが特に好ましい。
スルホン酸金属塩基を有しないポリカーボネートポリオール(a2)は、例えば、ポリオール類の化合物と、カーボネート類の化合物との脱アルコール反応又は脱フェノール反応により得られる。
成分(a2)の合成に用いられるポリオール類の化合物としては、少なくとも、1,4−ブタンジオールを含んでいる。成分(a2)の合成に用いられるポリオール類の化合物として、1,4−ブタンジオールの他、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。成分(a2)の合成に用いられるポリオール類の化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本実施形態のポリウレタン水分散体を表皮層に用いた合成皮革の耐屈曲性の観点から、ポリオール類の化合物として、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用いることが好ましい。また、ポリオール類の化合物として、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとを併用することが特に好ましい。
成分(a2)の合成に用いられるカーボネート類の化合物としては、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。成分(a2)の合成に用いられるカーボネート類の化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(a2)の合成に用いられるポリオール類は、得られるポリウレタン水分散体の優れた安定性の観点から、ポリオール単位のうち80モル%以上が1,4−ブタンジオール単位が占めている。好ましくは、成分(a2)を構成するポリオール単位のうち、1,4−ブタンジオール単位の含有量が85モル%以上である。
本実施形態のポリウレタン水分散体を表皮層に用いた合成皮革の耐屈曲性の観点から、成分(a2)の数平均分子量は、500より大きく且つ2000未満である。なお、成分(a2)の数平均分子量は、好ましくは800〜1300であり、より好ましくは800〜1200である。
上記例示した成分(a1)と成分(a2)とを任意に組み合わせて反応させることにより、種々のポリカーボネートポリオールを得ることができる。成分(A)としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態のポリウレタン水分散体を表皮層に用いた合成皮革の耐屈曲性の観点から、上記成分(A)を構成する成分(a1)と成分(a2)のモル比(a1/a2比)の値の範囲が制限される。ポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対するスルホン酸金属塩の含有量(以下、単に「スルホン酸金属塩の含有量」と略記する場合がある)が0.8重量%以上1.1重量%未満の場合、成分(a1)と成分(a2)のモル比(a1/a2比)は、1/2.5〜1/2.1である。また、スルホン酸金属塩の含有量が1.1重量%以上1.2重量%以下の場合、成分(a1)と成分(a2)のモル比(a1/a2比)は、1/2.7〜1/2.1である。
スルホン酸金属塩基を有しないポリオール(B)(以下、単に「成分(B)」と略記する場合がある)としては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらのうちでは、成分(B)としては、耐加水分解性に優れる点からポリカーボネートポリオールが特に好ましい。成分(B)としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(B)の数平均分子量は、例えば、700〜5000であり、好ましくは、1000〜4000である。
成分(B)がポリカーボネートポリオールである場合、ポリカーボネートポリオールは、ポリオール類の化合物と、カーボネート類の化合物とを、例えば、脱アルコール反応または脱フェノール反応させることによって得られる。
ポリカーボネートポリオールの合成に用いるポリオール類の化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリオール類の化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、ポリオール類の化合物として、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用いることが好ましい。また、ポリオール類の化合物として、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとを併用することが特に好ましい。
ポリカーボネートポリオールの合成に用いるカーボネート類の化合物としては、例えば、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。カーボネート類の化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記例示したポリオール類の化合物と、上記例示したカーボネート類の化合物とを任意に組み合わせて反応させることにより、種々のポリカーボネートポリオールを得ることができる。ポリカーボネートポリオールとしては、1種類が単独で含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
成分(B)がポリエステルポリオールである場合、ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸と、ポリオール類の化合物とを重縮合反応させることによって得られる。ポリエステルポリオールとしては、1種類が単独で含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
ポリエステルポリオールの合成に用いる二塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。二塩基酸としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールの合成に用いるポリオール類の化合物としては、ポリカーボネートポリオールの合成に用いられるポリオール類として挙げた化合物と同じ化合物を用いることができる。
成分(B)がポリエーテルポリオールである場合、ポリエーテルポリオールは、例えば、付加重合反応により得ることができる。付加重合反応では、活性水素原子を少なくとも2個有する化合物を開始剤として、モノマーを付加させる反応である。ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を例示することができる。ポリエーテルポリオールとしては、1種類が単独で含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
ポリエーテルポリオールの合成に用いる活性水素原子を少なくとも2個有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等が挙げられる。活性水素原子を少なくとも2個有する化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリオールの合成に用いるモノマーとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、シクロヘキシレン等が挙げられる。モノマーとしては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、モノマーとして2種類以上を併用する場合は、ブロック付加重合、ランダム付加重合またはブロック付加重合及びランダム付加重合を混合した反応によってポリエーテルポリオールが得られる。
有機ポリイソシアネート(C)(以下、単に「成分(C)」と略記する場合がある)としては特に限定されず、例えば、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。また、有機ポリイソシアネート(C)として、これらのイソシアネートのポリメリック体、活性水素基含有化合物と反応させて得られるウレタン化物、ウレア化物、アロファネート化物、ビウレット化物、カルボジイミド化物、ウレトンイミン化物、ウレトジオン化物、イソシアヌレート化物等を用いてもよい。有機ポリイソシアネート(C)としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
有機ポリイソシアネート(C)を構成する脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
有機ポリイソシアネート(C)を構成する芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
有機ポリイソシアネート(C)を構成する脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ペンタン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。
分子量が400以下の多価アルコール系鎖伸長剤(D)(以下、単に「成分(D)」と略記する場合がある)としては、例えば、直鎖脂肪族グリコール、脂肪族分岐グリコール、脂環族グリコール、多官能グリコール等が挙げられる。分子量が400以下の多価アルコール系鎖伸長剤(D)としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(D)を構成する直鎖脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。
成分(D)を構成する脂肪族分岐グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等が挙げられる。
成分(D)を構成する脂環族グリコールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
成分(D)を構成する多官能グリコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリブチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
ポリアミン系鎖伸長剤(E)(以下、単に「成分(E)」と略記する場合がある)としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヒドラジン等が挙げられる。成分(E)としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明のポリウレタン水分散体は、上記成分(A)〜(D)を反応させることにより得られるプレポリマー(以下、「プレポリマー」と略記する場合がある。)を、上記成分(E)を用いて水中で鎖伸長反応させて製造される。
プレポリマーのイソシアネート基/水酸基の当量比(NCO基/OH基)は特に限定されず、通常1.05〜2.0であり、1.05〜1.5がより好ましい。
(ポリウレタン水分散体の製造方法)
本実施形態のポリウレタン水分散体の製造方法は、成分(A)を合成する工程、上記説明した成分(A),成分(B),成分(C)及び成分(D)を用いてプレポリマーを合成する工程、合成したプレポリマーを水中に分散させる工程、及び成分(E)を用いてプレポリマーを鎖伸長反応させる工程を含む。
−成分(A)の合成−
成分(A)の合成方法の一例を以下に説明する。成分(A)の合成工程では、例えば、分留管、還流ヘッド、及びコンデンサーを有する蒸留塔、攪拌機、並びに温度計を装着したガラス製反応器を準備する。このガラス製反応器に成分(a1)及び成分(a2)を投入して、窒素雰囲気下で還流しながら反応させる。反応条件は、反応温度が130℃程度、及び反応時間が3時間程度である。
次いで、窒素ガスをバブルリングさせながら反応器内を、3時間程度かけて180℃程度まで徐々に昇温し反応器内の温度を180℃程度に維持したまま、15時間程度、メタノールを除去しながらエステル交換反応を進行させる。続いて、圧力条件を40mmHg程度に変更し、さらに2時間程度反応させる。最後に、80℃程度まで冷却してメチルエチルケトン(MEK)等の有機溶媒で希釈し、スルホン酸金属塩基を有するポリカーボネートポリオール成分(成分(A))を合成する。
なお、最終的に得られるポリウレタン水分散体において、ポリウレタン樹脂固形分に対するスルホン酸金属塩の含有量が0.8重量%以上且つ1.2重量%以下となるように、成分(a1)の仕込み量を調整する。
−プレポリマーの合成−
次に、プレポリマーの合成方法の一例を以下に説明する。プレポリマーは、例えば、従来公知のワンショット法(1段式)、または多段式のイソシアネート重付加反応法により合成することができる。
まず、成分(A)を調製した反応器内に成分(C)を投入し、80℃程度で3時間程度反応させる。次に、60℃程度まで反応器内の温度を下げた後、成分(B)及び成分(D)を反応器に投入し、80℃程度で5時間程度反応させる。これにより、プレポリマーが得られる。
なお、プレポリマーの合成時には、必要に応じて、反応触媒を添加することが好ましい。反応触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルへキソエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等を用いることができる。反応触媒としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
合成されたプレポリマーは、末端にイソシアネート基を有する。また、プレポリマー中にもイソシアネート基を有することがある。以下、末端のイソシアネート基とプレポリマー中のイソシアネート基とを合わせて残存イソシアネート基と称することもある。プレポリマーにおいて、ウレタン樹脂固形分に対する残存イソシアネート基の含有量(イソシアネート含量)は、0.1重量%〜5重量%となるように調整することが好ましい。
プレポリマーを合成する段階、またはプレポリマーを合成した後の段階において、必要に応じて、イソシアネート基と反応しない有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
−プレポリマー分散−
合成したプレポリマーに水を投入して混合し、プレポリマーを水に乳化分散させる。転相乳化を効率的に進行させる観点から、プレポリマー中のウレタン樹脂固形分100重量部に対して、例えば50〜500重量部の水を用いる。なお、プレポリマーを水に乳化分散させる方法としては、プレポリマーに水を投入しても、水にプレポリマーを投入しても、いずれでもよい。
−プレポリマーの鎖伸長反応−
プレポリマーの乳化後、または乳化と同時に、成分(E)を投入する。これにより、プレポリマーの鎖伸長反応が進行する。なお、プレポリマーの鎖伸長反応は、成分(E)のアミノ基(−NH)又は水のヒドロキシ基(−OH)と反応することにより進行する。投入する成分(E)の量は、プレポリマー中に残存するイソシアネート基に対して、例えば0.3〜1.5当量であり、好ましくは、0.4〜1.2当量である。鎖伸長反応が進行することにより、ポリウレタン水分散体が得られる。
なお、ポリウレタン水分散体が有機溶剤を含有する場合は、溶媒を留去することが好ましい。溶媒の留去の条件は、例えば、減圧下且つ雰囲気温度が30〜80℃である。
最終的に得られるポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分(不揮発分)の濃度は、好ましくは、15〜66重量%である。なお、プレポリマーを鎖伸長反応した後、水を追加または留去することによって、ポリウレタン樹脂固形分の濃度を調整してもよい。
本実施形態のポリウレタン水分散体は、必要に応じて、例えば、種々の添加剤を含んでいてもよい。ポリウレタン水分散体に配合する添加剤としては、例えば、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、乳化剤、充填剤、内部離型剤、補強材、艶消し剤、導電性付与剤、帯電制御剤、帯電防止剤、滑剤、その他の加工助剤が挙げられる。
ポリウレタン水分散体の製造工程において、成分(A)〜(D)の反応原料とともにプレポリマーを合成するときに添加剤を配合してもよい。また、プレポリマーの鎖伸長反応の段階において添加剤を配合してもよい。さらに、鎖伸長反応が完了した後に添加剤を配合してもよい。
(合成皮革)
次に、図1を用いて、実施形態1のポリウレタン水分散体を用いて得られる合成皮革について説明する。合成皮革1は、繊維基材層2、接着層3、発泡層4及び表皮層5がこの順に積層された積層構造を有する。なお、合成皮革1が発泡層4を備えることは必須の要件ではない。
繊維基材層2は、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル等の合成繊維またはこれらの改良繊維;羊毛、絹、木綿、麻等の天然繊維;アセテート、レーヨン等の半合成繊維;これらの繊維のうち2種以上を混用して構成された織編布;これらの繊維で構成された不織布等の繊維シート状物等で形成されている。
接着層3は、例えば、水酸基を有するポリウレタン水分散体からなる接着層用配合液で形成されている。水酸基を有するポリウレタン水分散体は、例えば、ポリイソシアネート成分として、例えば、脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI))を用い、ポリオール成分として、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等を用い、これらを反応させて得ることができる。接着層3を構成するポリウレタン水分散体は、必要に応じて、例えば、架橋剤、濡れ向上剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤等を含んでいてもよい。
発泡層4は、例えば、末端イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂および水を含む発泡層用配合液で形成されている。末端イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用い、ポリオール成分として、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等を用い、これらを反応させて得られることができる。発泡層4を構成する発泡層用配合液は、必要に応じて、例えば、整泡剤、泡化触媒、発泡核剤等を含んでいてもよい。
表皮層5は、本実施形態のポリウレタン水分散体(表皮層用配合液)で形成されている。表皮層5は、主に、合成皮革1に強度を付与するために設けられる。合成皮革1の意匠性を向上させる場合には、必要に応じて、表皮層5に、着色、光沢調整、凹凸模様等が施される。
(合成皮革の製造方法)
次に、本発明の合成皮革1の製造方法を説明する。まず、コーターを用いて、離型紙(不図示)上に表皮層用配合液を塗布する。ここでは、ナイフコーター、ロールコーター、パイプコーター、リバースコーター、クラビアコーター等のコーターを用いることができる。塗布後、例えば表皮層用配合液を乾燥させて、表皮層5を形成する。乾燥条件は、例えば、予備乾燥が50〜90℃程度、及び5分程度であり、本乾燥が、120〜160℃程度、及び5分程度である。
次いで、表皮層5上に発泡層用配合液の塗布及び乾燥を行って、発泡層4を形成する。さらに、発泡層4上に接着層用配合液の塗布及び乾燥を行って、接着層3を形成する。
次に、例えば常温〜160℃の雰囲気温度において繊維基材層2を接着層3に重ね合わせ、熱圧着により、接着層3及び繊維基材層2を貼り合せる。その後、必要に応じ、例えば、数時間〜50時間程度、40〜80℃でエージングを行う。最後に、離型紙、繊維基材層2、接着層3、発泡層4及び表皮層5の積層体から離型紙を剥離し、合成皮革1を得る。
積層体から離型紙を剥離した後、必要に応じ、例えば制電加工、撥水加工、柔軟加工を施してもよい。また、合成皮革1の膜面強度の向上のために、表皮層5の上に、強度向上用の樹脂膜を形成してもよい。さらに、合成皮革1の風合改良が望まれる場合には、表皮層5上に、風合い改良樹脂膜を形成してもよい。
上記の構成の合成皮革1は、表皮層5が本実施形態のポリウレタン水分散体で形成されているので、優れた耐屈曲性を示す。具体的には、JIS−K−6545に準拠して25℃で10万回の屈曲試験を実施した場合、表皮層5、発泡層4および接着層3のいずれにもひび割れ、剥離が認められない程度の耐屈曲性を示す。
<その他の実施形態>
実施形態1のポリウレタン水分散体は、合成皮革を構成する積層体の表皮層の原料として用いられると説明したが、本発明のポリウレタン水分散体の用途は特にこれに限定されない。本発明のポリウレタン水分散体は、例えば、塗料、コーティング剤、接着剤、フィルム等のポリウレタン樹脂層としても用いることができる。
本発明のポリウレタン水分散体を水性塗料として用いる場合、水性塗料または水性コーティング剤の分野で一般に用いられる添加剤等を必要に応じて配合することができる。配合し得る添加剤等としては、例えば、顔料、溶剤、ブロッキング防止剤、乳化剤、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上剤、無機及び有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、触媒等が挙げられる。
本発明のポリウレタン水分散体を水性接着剤として用いる場合、水性接着剤の分野で一般に用いられる添加剤等を必要に応じて配合することができる。配合し得る添加剤等としては、例えば、顔料、染料、固形分や粘度の調製のための水、表面張力の調整のための有機溶剤(例えば、イソプロパノール、N−メチルピロリドン等)、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、フィラー、滑剤、帯電防止剤、可塑剤等が挙げられる。
本発明のポリウレタン水分散体から得られるポリウレタン樹脂層は、優れた耐オレイン酸性及び耐エタノール性、並びに良好な耐熱性、耐加水分解性及び耐水性を有する。そのため、本発明のポリウレタン水分散体から得られるポリウレタン樹脂層を例えば塗料、コーティング剤、接着剤として用いる場合、特に、水性塗料、水性コーティング剤、水性接着剤の用途に好適である。
以下、本発明を実施例及び比較例として作製したポリウレタン水分散体等に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
まず、8種類のスルホン酸ナトリウム基(スルホン酸Na基)を有するポリカーボネートポリオールを合成した(P1〜P8)。このポリカーボネートポリオールは、本発明の成分(A)に相当する。そして、8種類のポリカーボネートポリオールを用いて、32種類のポリウレタン水分散体を調製した(PUD1〜PUD32)。ここで得られたポリウレタン水分散体について、粒径の測定及び安定性の評価を行った。
次に、調製したポリウレタン水分散体を用いて、合成皮革を作製した(L1〜L19)。そして、これらの合成皮革の耐屈曲性を評価した。
次に、調製したポリウレタン水分散体を原料として、樹脂フィルムを作製した(F1〜F19)。そして、これらの樹脂フィルムについて、耐水性、耐オレイン性、耐エタノール性、耐加水分解性、及び耐熱性を評価した。
なお、ポリカーボネートポリオールP1〜P8のうち、本発明の成分(A)の要件を満足しているのはポリカーボネートポリオールP2〜P5であるが、以下、ポリカーボネートポリオールP1〜P8をまとめて成分(A)を称することがある。成分(a2)についても同様とする。
(スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールの合成)
以下、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP1〜P8を合成する工程について説明する。
−ポリカーボネートポリオールP1−
内容積2Lのガラス製反応器に撹拌機、温度計、及び蒸留塔を装着した。ガラス製反応器に装着した蒸留塔は、塔頂部に、分留管、還流ヘッド、及びコンデンサーを備えたものである。そして、このガラス製反応器内に、芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体(本発明の成分(a1)に相当。)、ポリカーボネートジオール(本発明の成分(a2)に相当。)及び触媒を投入した。成分(a1)としては、5−スルホソディウムイソフタル酸ジメチル(DMIS)(竹本油脂株式会社製、商品名「ISS」)を279.3重量部、投入した。成分(a2)としては、ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDX43」、原料として1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1(モル比)、水酸基価=224.4mgKOH/g、数平均分子量=500)を1178.8重量部、投入した。触媒としては、テトラ−n−ブトキシチタン(TBT)を2.2重量部、投入した。
そして、反応器内に窒素ガスをバブリングさせながら、加熱し、還流下、130℃で3時間反応させた。次いで、メタノールを留去しながら3時間かけて180℃まで徐々に昇温し、温度を180℃に維持したまま15時間反応させた。さらに40mmHgの圧力下で2時間反応させた。そして、80℃まで冷却して、反応器内にメチルエチルケトン(MEK)を600重量部加えた。これにより、不揮発分70重量%のスルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP1を得た。得られたポリカーボネートポリオールP1の水酸基価は、不揮発分100重量%換算で、113.4mgKOH/gであり、数平均分子量は990であった。ポリカーボネートポリオールP1の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
−ポリカーボネートポリオールP2−
成分(a2)として異なる種類のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDL T−4691」、原料として1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1(モル比)、水酸基価=112.2mgKOH/g、数平均分子量=1000)を用いたことを除いて、ポリカーボネートポリオールP1と同一の方法で、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP2を合成した。得られたポリカーボネートポリオールP2は、水酸基価が65.0mgKOH/gで、数平均分子量が1726であった。ポリカーボネートポリオールP2の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
−ポリカーボネートポリオールP3−
成分(a1)と成分(a2)の配合割合を変更したことを除いてポリカーボネートポリオールP2と同一の方法で、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP3を合成した。得られたポリカーボネートポリオールP3は、水酸基価が61.5mgKOH/gで、数平均分子量が1824であった。ポリカーボネートポリオールP3の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
−ポリカーボネートポリオールP4−
成分(a1)と成分(a2)の配合割合を変更したことを除いてポリカーボネートポリオールP2と同一の方法で、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP4を合成した。得られたポリカーボネートポリオールP4は、水酸基価が57.5mgKOH/gで、数平均分子量が1951であった。ポリカーボネートポリオールP4の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
−ポリカーボネートポリオールP5−
成分(a1)と成分(a2)の配合割合を変更したことを除いてポリカーボネートポリオールP2と同一の方法で、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP5を合成した。得られたポリカーボネートポリオールP5は、水酸基価が52.9mgKOH/gで、数平均分子量が2121であった。ポリカーボネートポリオールP5の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
−ポリカーボネートポリオールP6−
成分(a2)として異なる種類のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDL T−4692」、原料として1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1(モル比)、水酸基価=56.1mgKOH/g、数平均分子量=2000)を用いたことを除いて、ポリカーボネートポリオールP1と同一の方法で、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP6を合成した。得られたポリカーボネートポリオールP6は、水酸基価が32.1mgKOH/gで、数平均分子量が3495であった。ポリカーボネートポリオールP6の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
−ポリカーボネートポリオールP7−
成分(a2)として異なる種類のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDL T−4671」、原料として1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=7/3(モル比)、水酸基価=112.2mgKOH/g、数平均分子量=1000)を用いたことを除いて、ポリカーボネートポリオールP1と同一の方法で、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP7を合成した。得られたポリカーボネートポリオールP7は、水酸基価が61.5mgKOH/gで、数平均分子量が1824であった。ポリカーボネートポリオールP7の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
−ポリカーボネートポリオールP8−
成分(a2)として異なる種類のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDL T−5651」、原料として1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=5/5(モル比)、水酸基価=112.2mgKOH/g、数平均分子量=1000)を用いたことを除いて、ポリカーボネートポリオールP1と同一の方法で、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールP8を合成した。得られたポリカーボネートポリオールP8は、水酸基価が61.5mgKOH/gで、数平均分子量が1824であった。ポリカーボネートポリオールP8の合成に用いた各原料の仕込み量等については、表1に示す。
Figure 0006591189
(ポリウレタン水分散体の調製)
以下、ポリウレタン水分散体(PUD1〜PUD32)を調製する工程について説明する。ポリウレタン水分散体PUD1〜PUD32のうち、ポリウレタン水分散体PUD1〜PUD8は、スルホン酸Na基含有量が0.8重量%となるように調製されている。ポリウレタン水分散体PUD9〜PUD16は、スルホン酸Na基含有量が1.0重量%となるように調製されている。ポリウレタン水分散体PUD17〜PUD24は、スルホン酸Na基含有量が1.2重量%となるように調製されている。ポリウレタン水分散体PUD25〜PUD32は、スルホン酸Na基含有量が1.5重量%となるように調製されている。
−ポリウレタン水分散体PUD1−
上記合成した120.7重量部のポリカーボネートポリオールP1に0.02重量部のジブチル錫ジラウレート、および54.7重量部のメチルエチルケトン(MEK)を加えて、撹拌してこれらを溶解した。そして、これに、149.1重量部の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)(本発明の成分(C)に相当。)を加えて、80℃で3時間反応させた。
次に、反応器を60℃まで冷却後、483.8重量部のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDL T−5652」、原料として1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=5/5(モル比)、水酸基価=56.1mgKOH/g)(本発明の成分(B)に相当。)、6.3重量部の1,4−ブタンジオール(本発明の成分(D)に相当。)、90重量部のN−メチルピロリドン(NMP)、0.04重量部のおよびジブチル錫ジラウレートを加え、80℃で5時間の反応を行った。
その後、生成したウレタンプレポリマーのイソシアネート含量が固形分換算で2.0重量%以下に達すると、反応器に303.5重量部のMEKを加えて希釈し、50℃まで冷却した。そして、得られたウレタンプレポリマーに水688.4重量部を加えて転相乳化した。さらに、95.5重量部のピペラジン六水和物の30%水溶液(残存イソシアネート基に対しアミン基として90当量%)を加えて、ウレタンプレポリマーのアミン伸長を行った。そして、得られた乳化液を脱溶剤することによって、不揮発分40%、pH7.3のポリウレタン水分散体PUD1を得た。ポリウレタン水分散体PUD1の調製に用いた原料及び仕込み量は、表2にも示す。
−ポリウレタン水分散体PUD2〜PUD8−
ポリウレタン水分散体PUD2〜PUD8は、ポリカーボネートポリオールP1の代わりにポリカーボネートポリオールP2〜P8を用いて得られたウレタンプレポリマーから調製したものである。ポリウレタン水分散体PUD2〜PUD8の調製に用いた原料及び仕込み量は、表2に示す。ポリウレタン水分散体PUD2〜PUD8の調製の工程及び反応条件は、ポリウレタン水分散体PUD1の調製と同一である。
Figure 0006591189
−ポリウレタン水分散体PUD9〜PUD16−
ポリウレタン水分散体PUD9〜PUD16は、各々、ポリウレタン水分散体PUD1〜PUD8の調製と同一の原料を用いて調製したものである。ポリウレタン水分散体PUD9〜PUD16の調製に用いた原料及び仕込み量は、表3に示す。ポリウレタン水分散体PUD9〜PUD16の調製の工程及び反応条件は、ポリウレタン水分散体PUD1の調製と同一である。
Figure 0006591189
−ポリウレタン水分散体PUD17〜PUD24−
ポリウレタン水分散体PUD17〜PUD24は、各々、ポリウレタン水分散体PUD1〜PUD8の調製と同一の原料を用いて調製したものである。ポリウレタン水分散体PUD17〜PUD24の調製に用いた原料及び仕込み量は、表4に示す。ポリウレタン水分散体PUD17〜PUD24の調製の工程及び反応条件は、ポリウレタン水分散体PUD1の調製と同一である。
Figure 0006591189
−ポリウレタン水分散体PUD25〜PUD32−
ポリウレタン水分散体PUD25〜PUD32は、各々、ポリウレタン水分散体PUD1〜PUD8の調製と同一の原料を用いて調製したものである。ポリウレタン水分散体PUD25〜PUD32の調製に用いた原料及び仕込み量は、表5に示す。ポリウレタン水分散体PUD25〜PUD32の調製の工程及び反応条件は、ポリウレタン水分散体PUD1の調製と同一である。
Figure 0006591189
−ポリウレタン水分散体PUD33〜PUD35−
ポリウレタン水分散体PUD33〜PUD35は、各々、ポリウレタン水分散体PUD3〜PUD5の調製と同一の原料を用いて調製したものである。ポリウレタン水分散体PUD33〜PUD35の調製に用いた原料及び仕込み量は、表5に示す。ポリウレタン水分散体PUD33〜PUD35の調製の工程及び反応条件は、ポリウレタン水分散体PUD1の調製と同一である。ポリウレタン水分散体PUD33〜PUD35では、スルホン酸Na基含有量が0.7重量%となっている。
Figure 0006591189
[ポリウレタン水分散体の評価]
前記で得られたポリウレタン水分散体の粒子径と安定性を下記試験方法にしたがって測定および評価した。これらの結果は、上記の表2〜表6に示す。
(粒子径)
ポリウレタン水分散体のポリウレタン樹脂の固形分の濃度が0.01重量%となるようにイオン交換水を加えた後、粒度分布測定装置(「SALD−2000」、島津製作所株式会社製)を用いて、ポリウレタン水分散体の粒子径を測定した。
(安定性)
25℃に温度を調節したポリウレタン水分散体を12時間静置し、以下の基準により、ポリウレタン水分散体の安定性を評価した。ポリウレタン水分散体の安定性は、以下の評価基準によって「○」または「×」で評価した。
−安定性の評価基準−
○: 目視にて沈降物の発生が認められない
×: 目視にて沈降物の発生が認められる
スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールのうち、ポリカーボネートポリオールP6〜P8を原料として製造されたポリウレタン水分散体(PUD6〜PUD8、PUD14〜PUD16、PUD22〜PUD24及びPUD30〜PUD32)は、スルホン酸Na基の含有量に関わらず、安定性に劣ることが分かった。一方、スルホン酸Na基を有するポリカーボネートポリオールのうち、ポリカーボネートポリオールP1〜P5を原料として製造されたポリウレタン水分散体(PUD1〜PUD5、PUD9〜PUD13、PUD17〜PUD21及びPUD25〜PUD29)のうちポリウレタン水分散体PUD2以外は、優れた安定性を示した。また、表6より、スルホン酸Na基含有量が0.7重量%であるポリウレタン水分散体PUD33〜PUD35では、安定性が劣ることが分かった。
(合成皮革の作製)
以下、優れた安定性を示したポリウレタン水分散体(PUD1,PUD3〜PUD5,PUD9〜PUD13,PUD17〜PUD21,PUD25〜PUD29)を用いて、合成皮革L1〜L19を作製する工程について説明する。合成皮革の作製にあたって、表皮層用配合液、発泡層用配合液、及び接着層用配合液をそれぞれ調製した。
(表皮層用配合液の調製)
ポリウレタン水分散体(PUD1,PUD3〜PUD5,PUD9〜PUD13,PUD17〜PUD21,PUD25〜PUD29)のそれぞれの100重量部に対して、0.5重量部のアセチレン系レベリング剤(日信化学株式会社製、商品名「ダイノール604」)及び5重量部の水系着色剤(御国色素株式会社製、商品名「SA14780ブラック」)を配合して均一に撹拌した。そして、粘度が2000〜2500mPa・sとなるように粘度を測定しながら、ウレタン系増粘剤(旭電化工業株式会社製、商品名「アデカノール450VF」)を配合した。なお、粘度は、BH型粘度計を用いて、20rpm及び25℃の条件下で測定した。これにより、19種類の表皮層用配合液を得た。
(発泡層用配合液の調製)
発泡層用配合液の調整にあたって、まず、末端イソシアネート基を有する水発泡ポリウレタン樹脂を合成した。
246重量部のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDL T−4671」、原料として1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=7/3(モル比)、水酸基価=112.2mgKOH/g、数平均分子量=1000)に、491重量部のポリオール(三井化学株式会社製、商品名「アクトコールD 2000」、プロピレンオキサイドの開環重合のポリオール、水酸基価=56.1mgKOH/g、数平均分子量=2,000)を加え、十分撹拌して溶解した。そして、さらに、263重量部の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加え、80℃で5時間反応させ、イソシアネート含量(固形分換算)が4.6重量%の末端イソシアネート基を有する水発泡ポリウレタン樹脂を合成した。
得られた末端イソシアネート基を有する水発泡ポリウレタン樹脂100重量部に対して、1重量部のシリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「SH−193」)、0.1重量部のアミン系泡化触媒(サンアプロ株式会社製、商品名「U−CATSA1」)、5重量部の発泡核剤(炭酸カルシウム)、及び0.5重量部の水を配合し、均一に撹拌して、発泡層用配合液を調製した。
(接着層用配合液の調製)
接着層用配合液の調整にあたって、まず、水酸基を有するポリウレタン水分散体を調製した。
544.9重量部のポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「PCDL T−4672」、原料として1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=7/3(モル比)、水酸基価=56.1mgKOH/g、数平均分子量=2000)に0.02重量部のジブチル錫ジラウレートを加え、十分撹拌して溶解した。そして、さらに89.7重量部のイソホロンジイソシアネート(IPDI)を加え、85℃で3時間反応させた。
次に、反応器を60℃まで冷却後、17.9重量部のジメチロールブタン酸(パーストップ株式会社製、商品名「DMBA」)、4.0重量部のトリメチロールプロパンを開始剤としたプロピレンオキシド付加ポリエーテル(アデカ株式会社製、商品名「T−400」、数平均分子量=400)、9.5重量部のN−メチルエタノールアミン(日本乳化剤株式会社製、商品名「アミノアルコールMMA」)、117.7重量部のメチルエチルケトン、及び0.03重量部のジブチル錫ジラウレートを加え、80℃で5時間反応させた。
さらに、326.8重量部のメチルエチルケトンで希釈して反応器を50℃まで冷却した。そして、33.3重量部のポリオキシエチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬株式会社製、商品名「ノイゲンEA157」)、12.3重量部のトリエチルアミンを加えて均一に撹拌した。さらに、843.3重量部の水を加えて転相乳化させた後、メチルエチルケトンを除去し、水酸基を有するポリウレタン水分散体(不揮発分35%、pH8.0)を得た。
得られた水酸基を有するポリウレタン水分散体100重量部に対して、5重量部の水分散性ポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名「アクアネート210」、イソシアネート含量17%)を配合し、均一に撹拌した。次いで、粘度が2000〜2500mPa・sとなるように粘度を測定しながら、ウレタン系増粘剤(株式会社ADEKA製、商品名「アデカノールUH−450VF」)を配合した。なお、粘度は、BH型粘度計を用いて、20rpm及び25℃の条件下で測定した。これにより、接着層用配合液を得た。
(合成皮革の作製)
上記調製した表皮層用配合液の各々を、塗布量が100g/mとなるように離型紙上に塗布した。これを80℃で5分間予備乾燥させ、さらに、140℃で2分間乾燥させた。これにより、表皮層が形成された。
次に、表皮層の上に、上記調製した発泡層用配合液を、塗布量が150g/mとなるように塗布し、140℃で2分間乾燥させた。これにより、発泡層が形成された。
次に、発泡層の上に、上記調製した接着層用配合液を、塗布量が100g/mとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥させて水を蒸発させた。これにより、接着層が形成された。
続いて、接着層の上に目付け100g/mのポリエステル不織布を張り合わせ、160℃で熱ラミネートし、さらに、45℃で12時間エージングした。
最後に、離型紙、表皮層、発泡層、接着層及び不織布の積層体から離型紙を剥離し、合成皮革L1〜L19を得た。なお、用いたポリウレタン水分散体(PUD1,PUD3〜PUD5,PUD9〜PUD13,PUD17〜PUD21,PUD25〜PUD29)と得られた合成皮革L1〜L19の対応関係は、表7〜表10に示す。
[合成皮革の評価試験]
(耐屈曲性評価)
JIS−K−6545に準じ、合成皮革L1〜L19の屈曲試験を行った。具体的には、フレキシオメーター(株式会社安田製作所製)を用いて、25℃で10万回の屈曲試験を実施した。そして、合成皮革の耐屈曲性は、以下の評価基準によって「○」または「×」で評価した。合成皮革の耐屈曲性の評価結果は、表7〜表10に示す。
−耐屈曲性の評価基準−
○:表皮層、発泡層、接着層のいずれにもひび割れ、剥離が認められない
×:表皮層、発泡層、接着層のいずれかにひび割れ、剥離が認められる
(樹脂フィルムの作製)
以下、優れた安定性を示したポリウレタン水分散体(PUD1,PUD3〜PUD5,PUD9〜PUD13,PUD17〜PUD21,PUD25〜PUD29)を用いて、樹脂フィルムF1〜F19を作製する工程について説明する。
ポリウレタン水分散体(PUD1,PUD3〜PUD5,PUD9〜PUD13,PUD17〜PUD21,PUD25〜PUD29)の各々を、膜厚200〜300μmの厚さになるようにガラス板の上に塗布し、室温で24時間乾燥した。その後、45℃で12時間熱処理した。そして、さらに120℃で30分熱処理した。これにより、樹脂フィルムF1〜F19を得た。なお、用いたポリウレタン水分散体(PUD1,PUD3〜PUD5,PUD9〜PUD13,PUD17〜PUD21,PUD25〜PUD29)と得られた樹脂フィルムF1〜F19の対応関係は、表7〜表10に示す。
[樹脂フィルムの評価試験]
(耐水性評価)
樹脂フィルムF1〜F19を3cm×3cmのフィルム片に切り出し、このフィルム片を80℃の水に24時間浸漬した後、直後のフィルム片の面積を計測し、次の式にしたがって、面積膨潤率(%)を算出した。
面積膨潤率(%)={(膨潤後の面積−初期の面積)/初期の面積}×100
得られた面積膨潤率の値を、以下の評価基準に従い、「○」、「△」及び「×」で評価した。なお、この評価基準において、「○」は優れた実用性を有するとの評価であり、「△」は実用性を有するとの評価である。耐水性評価試験の結果は、表7〜表10に示す。
−耐水性評価試験の評価基準−
○:膨張率が0%以上、20%未満
△:膨張率が20%以上、50%以下
×:膨張率が50%より大きい
(耐オレイン酸性評価)
樹脂フィルムF1〜F19を3cm×3cmのフィルム片に切り出し、このフィルム片を80℃のオレイン酸に24時間浸漬後、直後のフィルム片の面積を計測し、次の式にしたがって、面積膨潤率(%)を算出した。
面積膨潤率(%)={(膨潤後の面積−初期の面積)/初期の面積}×100
得られた面積膨潤率の値を、以下の評価基準に従い、「○」、「△」及び「×」で評価した。なお、この評価基準において、「○」は優れた実用性を有するとの評価であり、「△」は実用性を有するとの評価である。耐オレイン酸性評価試験の結果は、表7〜表10に示す。
−耐オレイン酸性評価試験の評価基準−
○:膨張率が0%以上、50%未満
△:膨張率が50%以上、100%以下
×:膨張率が100%より大きい
(耐エタノール性評価)
樹脂フィルムF1〜F19を3cm×3cmのフィルム片に切り出し、このフィルム片を45℃のエタノールに24時間浸漬後、直後のフィルム片の面積を計測し、次の式にしたがって、面積膨潤率(%)を算出した。
面積膨潤率(%)={(膨潤後の面積−初期の面積)/初期の面積}×100
得られた面積膨潤率の値を、耐オレイン酸性評価試験の評価基準と同一の評価基準に従い、「○」、「△」及び「×」で評価した。耐エタノール性評価試験の結果は、表7〜表10に示す。
(耐加水分解性評価)
樹脂フィルムF1〜F19の耐加水分解性の評価試験を行った。樹脂フィルムF1〜F19のフィルム片を75℃、湿度95%RHの恒温室に置いて10週間保持した。その後、45℃で24時間乾燥した。乾燥させたフィルム片から、JIS3号ダンベルを用いて試験片を切り出した。そして、引張り強度試験機(島津製作所株式会社製、オートグラフ)を用い、JIS−K−6251に準じて引っ張り強度を測定した。測定条件は、チャック間隔60mm、標線20mm、引張速度200mm/分、温度23±2℃であった。得られた測定結果の値から、下式に従って破断強度保持率を計算した。
破断強度保持率(%)=(試験後のフィルム強度/初期のフィルム強度)×100
得られた破断強度保持率の値を、以下の評価基準に従い、「○」及び「×」で評価した。なお、この評価基準において、「○」は実用性を有するとの評価である。耐加水分解性評価試験の結果は、表7〜表10に示す。
−耐加水分解性評価試験の評価基準−
○:破断強度保持率が70%以上、130%未満
×:破断強度保持率が70%未満、または130%以上
(耐熱性評価)
樹脂フィルムF1〜F19の耐熱性の評価試験を行った。樹脂フィルムF1〜F19のフィルム片を、120℃で400時間熱処理した後、冷却して室温に戻した。そして、JIS3号ダンベルを用いて試験片を切り出し、引張り強度試験機(島津製作所株式会社製、オートグラフ)を用い、JIS−K−6251に準じて引っ張り強度を測定した。測定条件は、チャック間隔60mm、標線20mm、引張速度200mm/分、温度23±2℃であった。試験結果は、耐加水分解性評価試験における評価基準にしたがって評価した。表7〜表10に結果を示す。
Figure 0006591189
Figure 0006591189
Figure 0006591189
Figure 0006591189
表7〜表10を参照して、数平均分子量が2000のポリカーボネートジオール(PCDL T−4692)を用いてポリカーボネートジオールP6を調製し、これを用いて調製したポリウレタン水分散体PUD6、PUD14、PUD22、PUD30は、良好な安定性を示さないことがわかる。
表7〜表10を参照して、ポリオール単位として含まれる1,4−ブタンジオールの含有量が70モル%のポリカーボネートジオール(PCDL T−4671)を用いてポリカーボネートジオールP7を調製し、これを用いて調製したポリウレタン水分散体PUD7、PUD15、PUD23、PUD31は、良好な安定性を示さないことがわかる。
表7〜表10を参照して、ポリオール単位として1,4−ブタンジオールを含まないポリカーボネートジオール(PCDL T−5651)を用いてポリカーボネートジオールP8を調製し、これを用いて調製したポリウレタン水分散体PUD8、PUD16、PUD24、PUD32は、良好な安定性を示さないことがわかる。
表7〜表10を参照して、数平均分子量が500のポリカーボネートジオール(PCDX43)を用いてポリカーボネートジオールP1を調製し、これを用いて調製したポリウレタン水分散体PUD1、PUD9、PUD17、PUD25は良好な安定性を示す。しかしながら、ポリウレタン水分散体PUD1、PUD9、PUD17、PUD25により作製された合成皮革L1、L5、L10、L15は、優れた耐屈曲性を示さないことがわかる。
表10を参照して、スルホン酸Na基含有量が1.5重量%のポリウレタン水分散体PUD25〜PUD29を用いて作製された合成皮革L15〜L19では、優れた耐屈曲性が得られないことが分かった。このことから、耐屈曲性に優れた合成皮革を得るためには、表皮層の原料となるポリウレタン水分散体として、スルホン酸Na基含有量がポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分の0.8〜1.2重量%であることが必要であるとわかる。
表7を参照して、スルホン酸Na基含有量がポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分の0.8重量%であって、スルホン基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体(成分(a1)に相当)とポリカーボネートジオール(成分(a2)に相当)のモル比(a1/a2比)が1/2.7であるポリウレタン水分散体PUD2は、良好な安定性を示さないことがわかる。また、表8を参照して、スルホン酸Na基含有量がポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分の1.0重量%であって、スルホン基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体(成分(a1)に相当)とポリカーボネートジオール(成分(a2)に相当)の比が1/2.7であるポリウレタン水分散体PUD10を用いて作製された合成皮革L6は、優れた耐屈曲性を示さないことがわかる。
以上をまとめると、ポリウレタン水分散体PUD1〜PUD32のうち、以下の要件[1]〜[4]を満足する場合に、優れた安定性を示し、且つ、そのポリウレタン水分散体を表皮層に用いて形成した合成皮革が優れた耐屈曲性を有するということが分かる。
[1]スルホン酸金属塩の含有量が、ポリウレタン水分散体のポリウレタン樹脂固形分に対して0.8〜1.2重量%であること。
[2]スルホン酸金属塩の含有量が、ポリウレタン水分散体のポリウレタン樹脂固形分に対して0.8重量%以上1.1重量%未満の場合には、スルホン基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体(成分a1に相当)とポリカーボネートジオール(成分a2に相当)のモル比が1/2.5〜1/2.1であり、スルホン酸金属塩の含有量が、ポリウレタン水分散体のポリウレタン樹脂固形分に対して1.1重量%以上1.2重量%以下の場合には、スルホン基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体(成分a1に相当)とポリカーボネートジオール(成分a2に相当)のモル比が1/2.7〜1/2.1であること。
[3]スルホン酸金属塩基を有するポリカーボネートジオールの原料となるポリカーボネートジオールに、ポリオール単位として1,4−ブタンジオールが含まれており、且つ、ポリオール中の1,4−ブタンジオールのモル比が70モル%より大きいこと。
[4]スルホン酸金属塩基を有するポリカーボネートジオールの原料となるポリカーボネートジオールの分子量が500よりも大きく、2000よりも小さいこと。
また、表7〜表9を参照して、上記の[1]〜[4]の要件を満足するポリウレタン水分散体PUD3〜PUD5、PUD11〜PUD13及びPUD18〜PUD21を用いて形成された樹脂フィルムF2〜F4、F7〜F9、F11〜F14は、優れた耐オレイン酸性及び耐エタノール性を有し、また、耐熱性、耐加水分解性、及び耐水性の各点において、実用上良好な特性を有することが分かる。
表7〜表9を参照して、上記の[1]〜[4]の要件を満足するポリウレタン水分散体PUD3〜PUD5、PUD11〜PUD13及びPUD18〜PUD21を用いて形成された樹脂フィルムF3〜F5、F11〜F13、F18〜F21のうち、a1/a2比が1/2.1であるポリカーボネートジオール(成分(A))を用いて形成されたポリウレタン水分散体PUD21による樹脂フィルムF14だけが、耐水性の評価が「△」であることが分かる。換言すると、優れた耐水性を得る観点からは、成分(A)の原料においてa1/a2比(モル比)が1/2.7〜1/2.3であることが好ましいことが分かる。
以上、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
本発明は、ポリウレタン水分散体について利用可能である。また、本発明は、ポリウレタン水分散体を表皮層に用いた合成皮革について利用可能である。
1:合成皮革
2:繊維基材層
5:表皮層

Claims (3)

  1. スルホン酸金属塩基を有する芳香族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体(a1)と、スルホン酸金属塩基を有しないポリカーボネートポリオール(a2)とを反応させて得られる、スルホン酸金属塩基を有するポリカーボネートポリオール(A)、スルホン酸金属塩基を有しないポリオール(B)、有機ポリイソシアネート(C)及び分子量が400以下の多価アルコール系鎖伸長剤(D)を用いて得られるプレポリマーをポリアミン系鎖伸長剤(E)により水中で鎖伸長させて得られるポリウレタン水分散体であって、
    スルホン酸金属塩の含有量が前記ポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して0.8〜1.2重量%であり、
    スルホン酸金属塩の含有量が前記ポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して0.8重量%以上且つ1.1重量%未満の場合、前記成分(A)を得る反応に用いられる成分(a1)と成分(a2)のモル比が(a1/a2比)=1/2.5〜1/2.1であり、
    スルホン酸金属塩の含有量が前記ポリウレタン水分散体中のポリウレタン樹脂固形分に対して1.1重量%以上且つ1.2重量%以下の場合、前記成分(A)を得る反応に用いられる成分(a1)と成分(a2)のモル比が(a1/a2比)=1/2.7〜1/2.1であり、
    成分(a2)の分子量が500より大きく且つ2000未満であり、
    前記成分(a2)を構成するポリオール単位のうち、1,4−ブタンジオール単位の含有量が80モル%以上である、
    ポリウレタン水分散体。
  2. 請求項1に記載されたポリウレタン水分散体において、
    繊維基材層及び表皮層を含む積層体からなる合成皮革の表皮層を構成する用途である、ポリウレタン水分散体。
  3. 繊維基材層と、
    前記繊維基材層上に積層され、請求項1に記載されたポリウレタン水分散体からなる表皮層と、
    を含む、合成皮革。
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