《ハイブリッド車両の機械的構成》
本実施形態に係るハイブリッド車両1は、エンジン(内燃機関)とモータ(電動機)といった複数の動力源を車両の走行駆動源に使用するパラレル方式自動車に本発明に係る制御装置を適用した実施形態である。図1に示す本例のハイブリッド車両1は、エンジン10、第1クラッチ15、モータ20、第2クラッチ25、バッテリ30、インバータ35、自動変速機40、プロペラシャフト51、ディファレンシャルギアユニット52、ドライブシャフト53、および左右の駆動輪54を備える。なお、図1において55は左右の操舵前輪である。また、図1〜図3においては、後輪駆動のハイブリッド車両を例示するが、前輪駆動のハイブリッド車両や四輪駆動のハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。
エンジン10は、ガソリン、軽油その他の燃料を燃焼させて駆動エネルギを出力する走行駆動源の一つであり、エンジンコントロールユニット70からの制御信号に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度、燃料噴射バルブの燃料噴射量及び点火プラグの点火時期等が制御される。エンジン10の出力軸にはフライホイール11が設けられている。
第1クラッチ15は、エンジン10の出力軸(フライホイール11)とモータ20の回転軸との間に介装され、エンジン10とモータ20との間の動力伝達を断接(ON/OFF)する。統合コントロールユニット60は、車両の走行状態に基づいて第1クラッチ15の断接を判断すると、その制御指令を油圧ユニット16に出力する。油圧ユニット16は、この制御指令に基づいて油圧を制御し、これにより第1クラッチ15のクラッチ板が締結、スリップ締結又は開放する。
第1クラッチ15は、制御油流量及び油圧によりクラッチピストンストローク量及び伝達トルク容量(締結トルク容量)を連続的に制御できる乾式単板クラッチであって、制御油流量ないし制御油圧がゼロのときは、戻しバネの付勢力により完全締結される常閉式のものを用いることができる。またこれに代えて、第1クラッチ15として、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いてもよい。
モータ20は、ロータに永久磁石を埋設し、ステータにステータコイルが巻きつけられた同期型モータである。このモータ20には、ロータ回転角を検出するレゾルバなどの回転角センサ21が設けられている。本例のモータ20はモータ・ジェネレータであり、電動機としても機能するし発電機としても機能する。すなわち、インバータ35から三相交流電力が供給されている場合には、モータ20は回転駆動する(力行)。
一方、モータ20は、外力によってロータが回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせることで交流電力を生成する(回生)。モータ20によって発電された交流電力は、インバータ35によって直流電力に変換された後に、バッテリ30に充電される。また、回生中においてモータ20には負のトルクが発生するので、駆動輪に対して制動機能をも奏する。以下、本例のモータ・ジェネレータを単にモータ20と称する。
バッテリ30は、複数のリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などを直列又は並列に接続した組電池を例示することができる。バッテリ30には電流・電圧センサ31が取り付けられ、これらの検出結果をモータコントロールユニット80に出力する。
第2クラッチ25は、モータ20と左右の駆動輪54との間に介装され、モータ20と左右の駆動輪54との間の動力伝達を断接(ON/OFF)する。第2クラッチ25は、上述の第1クラッチ15と同様に、乾式単板クラッチや湿式多板クラッチを用いることができる。トランスミッションコントロールユニット90は、車両の走行状態に基づいて第2クラッチ25の断接を判断すると、その制御指令を油圧ユニット26に出力する。油圧ユニット26は、トランスミッションコントロールユニット90からの制御信号に基づいて油圧ユニット26の油圧を制御し、これにより第2クラッチ25のクラッチ板が締結、スリップ締結又は開放する。
自動変速機40は、前進5速、後退1速又は前進7速、後退1速といった変速比を段階的に切り替える有段式変速機であり、車速やアクセル開度等に応じて変速比を自動的に切り替える。自動変速機40の変速比は、トランスミッションコントロールユニット90からの制御信号に基づいて制御される。
第2クラッチ25は、図1に示すように、自動変速機40の各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用したものとすることができる。またこれに代えて、第2クラッチ25を自動変速機40とは別の専用のクラッチとしてもよい。図2及び図3は、本発明の他の実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す図であり、たとえば図2に示すように、第2クラッチ25を、モータ20の出力軸と自動変速機40の入力軸との間に介装した専用のクラッチとしてもよい。あるいは、図3に示すように、第2クラッチ25を、自動変速機40の出力軸とプロペラシャフト51との間に介装した専用のクラッチとしてもよい。なお、図2及び図3においては、パワートレーン以外の構成は図1と同様であるため、パワートレーンのみを示す。
図1に戻り、自動変速機40の出力軸は、プロペラシャフト51、ディファレンシャルギアユニット52、および左右のドライブシャフト53,53を介して、左右の駆動輪54,54に連結されている。
本実施形態のハイブリッド車両1は、走行駆動源をエンジン10及び/又はモータ20に設定することにより、換言すれば、第1および第2のクラッチ15,25の締結/スリップ/開放状態に応じて、以下に説明するモータ使用走行モード(以下、EV走行モード)、エンジン使用走行モード(以下、HEV走行モード)、エンジン使用スリップ走行モード(以下、WSC走行モード,Wet Start Clutch)、モータ使用スリップ走行モード(以下、MWSC走行モード)という各走行モードに切り替えることができる。
EV走行モードは、第1クラッチ15を開放させると共に第2クラッチ25を締結させて、モータ20の動力のみを走行駆動源として走行するモードである。HEV走行モードは、第1クラッチ15および第2クラッチ25をいずれも締結させて、少なくともエンジン10の動力を走行駆動源に含みながら走行するモードである。WSC走行モードは、第1クラッチ15を締結させると共に第2クラッチ25をスリップ状態にして、エンジン10の動力を走行駆動源に含みながら走行するモードである。このWSC走行モードは、特にバッテリ30の充電状態SOCが低下している場合や、エンジン10の冷却水の温度が低い場合にクリープ走行を達成することができるモードである。すなわち、WSC走行モードは、車両の要求トルクより大きいトルクをエンジン10で生成し、これをエンジン10自体の温度上昇やモータ20の回生に利用するモードである。
MWSC走行モードは、エンジン10を作動させた状態で第1クラッチ15を開放させると共に、第2クラッチ25をスリップ状態として、モータ20の動力のみを動力源として走行するモードである。上述したWSC走行モードにおいて、路面勾配が急な登坂路等である場合に、ドライバがアクセルペダルを調整し車両停止状態または微速発進状態を維持する状態(いわゆるストール停車状態)にすることがある。このストール停車状態が継続すると、第2クラッチ25のスリップ量が過多になって第2クラッチ25が過熱するおそれがある。エンジン10の回転速度をアイドル回転速度よりも小さくすると、エンジンストールが発生するためである。このため、本実施形態では、ストール停車のような場合に第2クラッチ25が過熱するのを防止するために、MWSC走行モードが選択される。
また、HEV走行モードには、エンジン走行モード、モータアシスト走行モードおよび走行発電モードが設定されている。エンジン走行モードでは、モータ20を駆動させずに、エンジン10のみを動力源として駆動輪54を動かす。モータアシスト走行モードでは、エンジン10とモータ20との両方を駆動させて、これら2つを動力源として駆動輪54を動かす。走行発電モードでは、エンジン10を動力源として駆動輪54を動かすと同時に、モータ20を発電機として機能させ、バッテリ30を充電する。
なお、以上に説明した各走行モードの他に、停車時において、エンジン10の動力を利用してモータ20を発電機として機能させ、バッテリ30を充電したり電装品へ電力を供給したりする発電モードを備えてもよい。
本実施形態のハイブリッド車両においては、エンジン10を始動するためのスタータモータ12が設けられている。スタータモータ12の出力軸は、図示しない減速機構を介してエンジン10の出力軸のフライホイール11に連結されている。スタータモータ12は、統合コントロールユニット60からの制御指令により作動又は停止(ON/OFF)する。
《ハイブリッド車両の制御的構成》
本実施形態におけるハイブリッド車両1の制御系は、図1に示すように、統合コントロールユニット60、エンジンコントロールユニット70、モータコントロールユニット80およびトランスミッションコントロールユニット90を備える。これらの各コントロールユニット60,70,80,90は、たとえばCAN通信線を介して相互に接続されている。
エンジンコントロールユニット70は、統合コントロールユニット60からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(エンジン回転速度Ne、エンジントルクTe)を制御する指令を、エンジン10のスロットルバルブアクチュエータ及び燃料噴射バルブへ出力する。なお、エンジン回転速度Ne、エンジントルクTeの信号は、CAN通信線を介して統合コントロールユニット60へ出力される。
モータコントロールユニット80は、モータ20に設けられた回転角センサ21からの信号を入力し、統合コントロールユニット60からの目標モータトルク指令値等に応じて、モータ20の動作点(モータ回転速度Nm、モータトルクTm)を制御する指令をインバータ35に出力する。また、モータコントロールユニット80は、電流・電圧センサ31により検出された電流値および電圧値に基づいてバッテリ30の充電状態SOCを演算および管理する。このバッテリSOC信号は、モータ20の制御信号に用いられると共に、CAN通信を介して統合コントロールユニット60に送出される。さらに、モータコントロールユニット80は、モータ20に流れる電流値(電流値の正負によって力行制御トルクと回生制御トルクを区別している)に基づいて、モータトルクTmを推定する。このモータトルクTmの信号は、CAN通信を介して統合コントロールユニット60に送出される。
トランスミッションコントロールユニット90は、アクセル開度センサ91、車速センサ92、第2クラッチ油圧センサ93およびインヒビタスイッチ94(ドライバが操作するシフトレバーの位置に応じた信号を出力するスイッチ)からの各センサ信号を入力し、統合コントロールユニット60からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチ25の締結・スリップ・開放を制御する指令を、油圧ユニット26に出力する。なお、アクセル開度APO、車速VSPおよびインヒビタスイッチの各信号は、CAN通信を介して統合コントロールユニット60に送出される。
統合コントロールユニット60は、ハイブリッド車両1全体の消費エネルギを管理することで、ハイブリッド車両1を効率的に走行させるための機能を司る。統合コントロールユニット60は、第2クラッチ25の出力回転速度N2outを検出する第2クラッチ出力回転速度センサ61、第2クラッチ25の伝達トルク容量TCL2を検出する第2クラッチトルクセンサ62、ブレーキ油圧センサ63、第2クラッチ25の温度を検知する温度センサ64および車両の前後加速度および横加速度を検出するGセンサ65からの各センサ信号を取得する。また、統合コントロールユニット60は、これらの信号に加えて、CAN通信を介して得られたセンサ信号の取得も行なう。
そして、統合コントロールユニット60は、これらの信号に基づいて、エンジンコントロールユニット70への制御指令によるエンジン10の動作制御、モータコントロールユニット80への制御指令によるモータ20の動作制御、トランスミッションコントロールユニット90への制御指令による自動変速機40の動作制御、第1クラッチ15の油圧ユニット16への制御指令による第1クラッチ15の締結・スリップ・開放制御、および第2クラッチ25の油圧ユニット26への制御指令による第2クラッチ25の締結・スリップ・開放制御を実行する。
《統合コントロールユニット60の制御》
次に、統合コントロールユニット60により実行される制御について説明する。図4は、統合コントロールユニット60の制御ブロック図である。なお、以下に説明する制御は、たとえば10msecごとに繰り返し実行される。図4に示すように、統合コントロールユニット60は、目標駆動トルク演算部601、目標走行モード演算部602、目標入力トルク演算部603、目標入力回転速度演算部604及び目標クラッチトルク演算部605を備える。
目標駆動トルク演算部601は、予め定められた目標駆動力マップを用いて、アクセル開度センサ91により検出されたアクセル開度APOと、車速センサ92により検出された車速VSPとに基づいて、目標駆動トルクtFo0を演算する。図5に目標駆動力マップの一例を示す。
目標走行モード演算部602は、予め定められた走行モードマップを参照し、目標走行モードを演算し、選択する。図6に走行モードマップの一例を示す。図6の走行モードマップには、車速VSPとアクセル開度APOに応じて、EV走行モード、WSC走行モードおよびHEV走行モードの領域がそれぞれ設定されている。なお、この走行モードマップにおいて、EV走行モードまたはHEV走行モードからWSCモードへの切り替え線は、所定アクセル開度APO1未満の領域では、自動変速機40が1速段のときに、エンジン10のアイドル回転速度よりも小さな回転速度となる下限車速VSP1よりも低い領域に設定されている。また、所定アクセル開度APO1以上の領域では、大きな駆動力が要求されることから、下限車速VSP1よりも高い車速VSP1‘領域までWSC走行モードが設定されている。
目標走行モード演算部602は、システム状態検出部606により検出されるバッテリ30のSOC(又は目標充放電電力tP)や車両の勾配をも考慮して目標走行モードを演算する。たとえば、EV走行モードが選択されていた場合でも、バッテリ30の充電状態SOCが所定値以下であれば、強制的にHEV走行モード又はWSC走行モードを目標モードとする。また、車両発進時に、バッテリ30の充電状態SOCが低いためEV走行モードを達成できない場合や、エンジン水温が低いためエンジン停止を許可できない場合には、強制的にWSC走行モードが選択される。なお、MWSC走行モードについては図示を省略するが、上述したとおりWSC走行モードの条件が成立する場合であってストール停車状態であることを検出した場合に、WSC走行モードからMWSC走行モードに切り替わり、ストール停車状態でなくなった場合にMWSC走行モードからWSC走行モードに切り替わる。
目標入力トルク演算部603、目標入力回転速度演算部604及び目標クラッチトルク演算部605は、アクセル開度APO、目標駆動トルクtFoO、目標走行モード、車速VSP、クラッチスリップ回転速度検出部607によるクラッチスリップ回転速度、出力軸回転速度検出部608による出力軸回転速度および目標充放電電力tPに基づいて、これらの動作点到達目標として、過渡的な目標エンジントルク、目標モータトルク、目標クラッチトルク容量をそれぞれ演算する。
そして、目標エンジントルク/目標モータトルク演算部609は、目標入力トルク演算部603にて演算された目標入力トルクと目標走行モード演算部602にて演算された目標走行モードとに基づいて、エンジントルク制御部610に目標エンジントルクを出力するとともに、モータトルク/回転速度制御部611へ目標モータトルクを出力する。
また、目標入力回転速度演算部604により演算された目標入力回転速度は、モータトルク/回転速度制御部611へ出力されるが、モータトルク/回転速度制御部611は、MG制御モード選択部615にて選択されたモータ20の制御モードがトルク制御か速度制御(回転速度制御)かに応じて、モータ20へ目標入力回転速度又は目標モータトルクのいずれかを出力する。なお、本例のMG制御モード選択部615は、目標走行モードがHEV走行モードである場合はトルク制御を選択する。
目標クラッチトルク演算部605により演算された目標クラッチトルクは、目標クラッチトルク容量制御部612へ出力され、第1及び第2クラッチ15,25の伝達トルクが制御される。
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御内容を説明する。図7は統合コントロールユニット60の制御内容を示すフローチャートであり、統合コントロールユニット60は、ステップS1にてエンジンコントロールユニット70、モータコントロールユニット80及びトランスミッションコントロールユニット90の各コントロールユニットからのデータを受信するとともに、ステップS2にて第2クラッチ出力回転速度センサ61、第2クラッチトルクセンサ62、ブレーキ油圧センサ63、温度センサ64、Gセンサ65など、CAN通信を介して送出される各センサからのセンサ値を読み込む。
統合コントロールユニット60の目標駆動トルク演算部601は、ステップS3にてアクセル開度センサ91からのアクセル開度APOと車速センサ92からの車速VSPとから図5の駆動力マップを参照し、ハイブリッド車両に要求されている目標駆動トルクを演算する。なお、この目標駆動トルクは、次のステップS4にて演算される走行モードに応じて、ステップS11にて、目標エンジントルクと目標モータトルクとに分配される。すなわち、S4にて演算された目標走行モードがEV走行モードである場合は、目標駆動トルクは全て目標モータトルクとされ、HEV走行モードやWSC走行モードである場合は、予め定められた分配率により目標エンジントルクと目標モータトルクに分配される。
統合コントロールユニット60の目標走行モード演算部602は、ステップS4にて目標駆動トルク、バッテリ30のSOC、アクセル開度APO、車速VSP、車両の勾配等から図6の走行モードマップを参照し、EV走行モード、HEV走行モード、WSC走行モード又はMWSC走行モードのいずれかを選択する。
次のステップS5は、本発明に関する第1クラッチ15の締結制御を実行するが、これについては後述する。
そして、統合コントロールユニット60の目標入力トルク演算部603、目標入力回転速度演算部604及び目標クラッチトルク演算部605は、ステップS6にて、ステップS4で選択された走行モードになるように、過渡的な目標エンジントルク、目標モータトルク及び目標クラッチトルク容量をそれぞれ演算し、エンジンコントロールユニット70、モータコントロールユニット80及びトランスミッションコントロールユニット90のそれぞれに出力する。
統合コントロールユニット60のMG制御モード選択部615は、ステップS7にて、ステップS4で選択された走行モードに応じてモータ20の制御モード(速度制御又はトルク制御)を選択し、モータコントロールユニット80へ出力する。HEV走行モードが選択された場合は、モータ20をトルク制御する。
統合コントロールユニット60の目標入力回転速度演算部604は、ステップS8にて出力軸回転速度検出部608によるモータジェネレータ20の出力軸回転数に基づいて目標モータ入力回転数を演算し、モータトルク/回転速度制御部611へ出力する。
統合コントロールユニット60の目標入力トルク演算部603は、ステップS9にて目標駆動トルク演算部601で演算された目標駆動トルクやモータ20を構成する各種デバイスの保護を考慮し、目標入力トルクを演算する。続くステップS10にて、統合コントロールユニット60の目標エンジントルク/目標モータトルク演算部609は、ステップS9で演算された目標入力トルクやモータコントロールユニット80からの発電要求などに基づいてエンジン10に配分すべきトルクの目標値を演算する。そして、ステップS11及びS12では、第1クラッチ15及び第2クラッチ25のクラッチトルク容量を演算し、ステップS13にて油圧ユニット16,26へ出力する。
《第1クラッチ締結制御》
次に、図7のステップS5で実行される第1クラッチ15の締結制御について説明する。
さて、図1に示すハイブリッド車両1が、図6に示す走行モードマップのEV走行モードで走行している場合(中速〜高速,低負荷)において、ドライバがアクセルを踏み込んで要求負荷が増加すると、図6に矢印で示すようにHEV走行モードに移行する。EV走行モードは、第1クラッチ15を開放し、第2クラッチ25を締結し、モータ20の動力のみを走行駆動源として走行するモードであるが、この状態からHEV走行モードへ移行する場合、スタータモータ12を作動してエンジン10を始動し、第1クラッチ15を締結する操作を行う。
第1クラッチ15の一方(モータ20側)のクラッチ板は、モータ20の出力軸と連結されているので、車速及び自動変速機40の変速段に応じた回転速度で回転している。一方、第1クラッチ15の他方のクラッチ板(エンジン10側)は、スタータモータ12による始動回転速度か、エンジン10が始動した後のアイドル回転速度で回転している。この状態で第1クラッチ15の両クラッチ板を締結すると、回転速度差が大きいほど締結ショックが発生するので、これを防止するためには、エンジン10側のクラッチ板の回転速度をモータ20側のクラッチ板の回転速度に同期させる必要がある。
ここで、大きな定格出力を有するスタータモータ12を搭載することにより、スタータモータ12でエンジン10側のクラッチ板の回転速度を高めて、モータ20側のクラッチ板の回転速度に同期させることも可能である。しかしながら、大きな定格出力のスタータモータ12は、一般に大型で高価格であるから、エンジンルーム内のレイアウトや車両のコストの観点から好ましくない。また、上記従来技術のように、第1クラッチ15を締結する際に第1クラッチ15を中間容量に設定してから、つまりスリップ状態にしてから締結を行うことも一つの手法である。しかしながら、モータ20のトルクが出力限界に近い場合に第1クラッチ15をスリップさせると、エンジン10の回転摩擦抵抗がモータ20の負荷になるため、これを補うためのモータ20の出力トルクが不足し、車両の加速度が減少して運転性能が低下する。
逆に、モータ20の出力トルクの一部を予め第1クラッチ15のスリップ用に設定しておき、つまり余裕トルクを設定しておき、第1クラッチ15をスリップ制御した際にその余裕トルクの範囲内でモータ20の出力を増加させることも可能である。しかしながら、このように余裕トルクを設定してモータ20を使用すると、第1クラッチ15の締結時以外は、車両駆動に使用できるモータトルクが減少するので、EV走行モードで走行できる範囲が狭くなる。
このため、本実施形態のハイブリッド車両1においては、EV走行モードからHEV走行モードのように第1クラッチ15を開放状態から締結状態に移行させる際に、モータ20の回転速度が所定の回転速度閾値Aより大きい場合には、統合コントロールユニット60は、エンジンコントロールユニット70に対し、エンジン10の回転速度を制御して、エンジン10の回転速度をモータ20の回転速度に同期させる制御信号を出力する。すなわち、第1クラッチ15を締結状態に移行させる場合には、スタータモータ12によってエンジン10が始動するのでこのエンジン10の出力トルクを回転速度同期に利用する。
これにより、エンジン10側のクラッチ板の回転速度がモータ20側のクラッチ板の回転速度まで上昇し、同期したときに第1クラッチ15を締結状態にすれば、モータ20の出力限界に近い状態であっても締結ショックを抑制することができる。また、スタータモータ12についても大きな定格出力のモータを使用する必要がない。加えて、モータ20に余裕トルクを設定する必要もないので、EV走行モードで走行できる範囲を充分に確保することができる。さらにエンジン10の出力トルクを利用するので、モータ20の回転速度に達するまでの同期時間を短縮することができる。
また本実施形態のハイブリッド車両1においては、上記エンジン10による回転速度同期に代えて又はこれに加えて、第1クラッチ15を開放状態から締結状態に移行させる際に、モータ20に出力トルクの余裕がある場合には、第1クラッチ15をスリップ状態にし、これによるエンジン10の回転摩擦抵抗の抗力をモータ20の余裕トルクで補う。すなわち、第1クラッチ15の締結状態への移行時にモータ20の余裕トルクを検出し、エンジン10の回転摩擦抵抗を打ち消すのに十分な余裕トルクがある場合には、第1クラッチ15をスリップ状態にするとともに、モータ20の目標トルクを増加させる。
この第1クラッチ15のスリップ締結により、エンジン10の回転速度が、締結ショックが抑制された状態でモータ20の回転速度に近づき、同期したときに第1クラッチ15を締結状態にすれば、締結ショックを抑制することができる。また、スタータモータ12についても大きな定格出力のモータを使用する必要がない。加えて、この制御はモータ20の出力トルクに余裕があることが検出された場合に実行されるので、予めモータ20に余裕トルクを設定する必要もなく、EV走行モードで走行できる範囲を充分に確保することができる。さらに両者が同期する前に第1クラッチ15をスリップ締結するので、同期時間を短縮することができる。また、第1クラッチ15をスリップ状態で締結している間はエンジン10の燃料噴射を最小限に抑制できるので燃費が向上する。
以下、上記本実施形態の第1クラッチ締結制御について、図8〜図12を参照しながら詳述する。以下の制御は、図1に示す統合コントロールユニット60、及び図4に示すエンジントルク制御部610、モータトルク/回転速度制御部611、目標クラッチトルク容量制御部612により実行される。図8は、図7のステップS5のサブルーチンを示すフローチャートである。図8のサブルーチン処理は図7のルーチン処理の時間間隔ごとに実行されるが、図8のステップS501においてエンジン10の始動要求がない場合はそのまま図7のステップS6へ進む。また、図8のステップS501においてエンジン10の始動要求があった場合は、ステップS502〜S511の処理を実行し、図7のステップS6〜S13の処理の中に図8の処理と重複又は矛盾する処理がある場合は、図8の処理を優先して実行するものとする。
まず図8のステップS501において、エンジン10の始動要求信号が出力されたか否かを判断する。このエンジン10の始動要求信号は、図4に示す統合コントロールユニット60の目標走行モード演算部602によって出力される。エンジン10の始動要求信号が出力されていない場合は図示する処理を終了する。これに対して、エンジン10の始動要求信号が出力された場合はステップS502へ進み、スタータモータ12の駆動要求信号を出力する。これによりスタータモータ12が駆動する。
ステップS503では、モータ20の回転速度を回転角センサ21の出力信号から演算し、この回転速度が予め設定された回転速度閾値A以上であるか否かを判定する。統合コントロールユニット60に予め記憶される回転速度閾値Aは、スタータモータ12の定格出力トルクとエンジン10の回転摩擦抵抗とに基づいて定められる値である。図11は、回転速度閾値Aの設定手法を説明するためのトルク−回転速度図である。スタータモータ12の定格出力トルクTsm(最大出力トルク)がその回転速度との関係において図11に示すようなモータであり、一方、エンジン10の空廻しによるクランクシャフトの回転摩擦抵抗、すなわちエンジンフリクショントルクTefがその回転速度との関係において図11に示すようなエンジンである場合に、ある回転速度においてスタータモータ12が最大出力トルクTsmで駆動してもエンジンフリクショントルクTefの分だけトルクダウンする。
したがって、スタータモータ12がエンジン10の始動時にエンジンの回転速度を上昇させ得るトルクは、Teu=Tsm−Tefとなる。図11に示すように、回転速度が大きくなればなるほどスタータモータ12の最大出力トルクTsmは減少する一方、エンジンフリクショントルクTefは増加する。すなわち、エンジン10の始動要求信号が出力された時のモータ20の回転速度が小さい場合は、スタータモータ12の出力トルクのみでエンジン10の回転速度をモータ20の回転速度まで上昇させることができるが、ある閾値、すなわち回転速度閾値Aを超えると、スタータモータ12の出力トルクのみでは、エンジン10の回転速度をモータ20の回転速度まで上昇させることができない。このような回転速度を回転速度閾値Aとして設定する。具体的には、スタータモータ12の定格出力トルクTsmと、エンジンフリクショントルクTefと、モータ20の回転速度の駆動範囲とによって決定することができる。
図8のステップS503において、エンジン10の始動要求信号が出力された時のモータ20の回転速度が回転速度閾値A以下である場合(S503においてNo)は、ステップS509へ進み、スタータモータ12の回転速度を制御して、エンジン10の回転速度がモータ20の回転速度にまで上昇させる制御を実行する。そして、次のステップS510にてエンジン10の回転速度Neとモータ20の回転速度Nmとの差の絶対値が、回転速度差閾値C以下になるまでステップS509〜S510の処理を繰り返す。そして、この差の絶対値|Nm−Ne|が回転速度差閾値C以下になったら、ステップS511へ進み、油圧ユニット16へ第1クラッチ15の締結指令信号を出力する。これにより、モータ20の回転速度とエンジン10の回転速度が同期した状態で第1クラッチ15が締結されることになり、締結ショックを抑制することができる。なお、ステップS510の回転速度差閾値Cは、第1クラッチ15を締結した場合に締結ショックが許容される同期範囲の限界値であり、搭乗者が締結ショックによる違和感を覚えない許容範囲として実験やシミュレーションにより決定することができる。なお、スタータモータ12の駆動のみによってエンジン10の回転速度をモータ20の回転速度に同期させる場合には、エンジン10の始動、すなわち燃料供給と点火は同期までの間又は同期後のいずれのタイミングで行ってもよい。
ステップS503へ戻り、エンジン10の始動要求信号が出力された時のモータ20の回転速度が回転速度閾値Aより大きい場合(S503においてYes)は、ステップS504へ進む。この場合は、スタータモータ12の定格出力トルクのみではエンジン10の回転速度をモータ20の回転速度にまで上昇させることができない。このため、まずモータ20の出力余裕トルクTrを演算する。このモータ20の出力余裕トルクTrとは、図12に示すモータ20の最大出力トルク(定格出力トルク)Tmmaxからモータトルク指令値Tmを減じた値である。最大出力トルクTmmaxは、その回転速度との関係で既知であり、モータトルク指令値Tmは、図4の目標エンジントルク/目標モータトルク演算部609により演算される値である。モータ20の出力余裕トルクTrは、モータ20の回転速度に対する定格出力トルクと、モータ20へのトルク指令値とに基づいて演算されるほか、モータ20の回転速度、モータ20の温度、モータ20への電力供給手段、すなわちバッテリ30又はインバータ35の温度の少なくとも1つに基づいて演算してもよい。
ステップS505では、トルク閾値Bを演算する。このトルク閾値Bとは、第1クラッチ15の締結によるエンジン10の始動時間が所定の性能を満たし、且つモータ20のトルクの飽和によりモータ20の回転速度の低下が発生しないトルクの限界値をいう。モータ20のトルクが飽和すると、加速性能が低下して運転性能を損なうからである。トルク閾値Bは、エンジン10のイナーシャをJe,エンジンの角速度をω,目標エンジン角加速度をdω/dtとした場合に、エンジンイナーシャJeと目標エンジン角加速度dω/dtの積、すなわちB=Je×(dω/dt)から求める。つまり、目標のエンジン始動時間に応じて目標エンジン角加速度dω/dtが決定されるので、運転状態に応じて閾値Bを可変にしてもよい。たとえばバッテリ30の充電状態SOCが低下し、充電を目的としてエンジン10を始動する場合のように、運転者の加速意図がないときは、始動時間を必ずしも短くする必要がない。そのため、こうした場合には目標エンジン角加速度dω/dtを小さく設定してもよい。
図8のステップS506では、ステップS504で演算された余裕トルクTrが、ステップS505で演算されたトルク閾値Bより大きいか否かを判定する。すなわち、エンジン10の始動要求信号が出力された時のモータ20に余裕トルクTrが充分にあるか否かを判定する。そして、余裕トルクTrがトルク閾値Bより小さい場合(S506においてYes,余裕がない)は、ステップS507へ進んでエンジントルク制御を実行する。これに対して、余裕トルクTrがトルク閾値B以上である場合(S506においてNo,余裕がある)は、ステップS508へ進んで第1クラッチ制御を実行する。
図9はステップS507のエンジントルク制御処理を実行した場合のタイムチャート、図10はステップS508の第1クラッチ制御処理を実行した場合のタイムチャートである。横軸の時間t1は、図8のステップS501にてエンジンの始動要求信号が出力され、ステップS502のスタータモータ12の駆動要求信号が出力された時間である。また時間t2はスタータモータ12の駆動終了の時間、時間t3は第1クラッチ15の締結が完了した時間である。また縦軸は、図9及び図10の上から順に、エンジン10及びモータ20の回転速度、モータ20の出力トルク、スタータモータ12の駆動要求信号の有無(ON/OFF)、第1クラッチ15の目標第1クラッチトルク、目標エンジントルクをそれぞれ示す。
ステップS507のエンジントルク制御処理では、まず時間t1において、スタータモータ12の駆動要求信号が図4のエンジントルク制御部610から出力され、これによりスタータモータ12が駆動する。スタータモータ12によりエンジン10の回転速度が点火可能回転数まで到達したら(時間t2)、エンジントルク制御部610からエンジンコントロールユニット70に対して目標エンジン回転速度を送信する。エンジンコントロールユニット70は、入力された目標エンジン回転速度に応じて吸入空気量、燃料噴射量及び点火時期などを制御する(時間t2〜t3)。この目標エンジン回転速度は、モータ20の回転速度に対して後述する回転速度差閾値Cの誤差範囲を含む値である。この時間t2〜t3の間においてエンジン10を回転速度制御することで、エンジン10の回転速度がモータ20の回転速度にまで上昇し、時間t3において両者が同期することになる。エンジン10の回転速度とモータ20の回転速度が同期したら(時間t3)、図4の目標クラッチトルク容量制御部612から油圧ユニット16へ目標第1クラッチトルクを出力し、第1クラッチ15を締結状態にする。この時間t3の後は、エンジン10を通常のトルク制御に戻す。
なお、第1クラッチ15が開放状態にある場合には、開放時の引き摺りを防止するために締結開始位置から所定のクリアランスが設けている。しかしながら、時間t1〜t3の間においては、第1クラッチ15の締結までの時間を短縮するために、締結開始位置とのクリアランスを詰める制御が実施される。エンジン10の始動時間は短いため、引き摺りが発生しても第1クラッチ15への影響は非常に小さいからである。
これに対して、ステップS508の第1クラッチ制御では、まず時間t1において、統合コントロールユニット60から油圧ユニット16に対し、モータ20の余裕トルクTrに相当するクラッチトルク指令値を出力する。油圧ユニット16は、このクラッチトルク指令値に基づいて油圧ユニットの容量制御を開始し、第1クラッチ15のトルクがクラッチトルク指令値に一致するように制御する。また時間t1において、スタータモータ12の駆動要求信号が図4のエンジントルク制御部610から出力され、これによりスタータモータ12が駆動する。ただし、エンジンコントロールユニット70に対しては燃料カットを指令し、燃焼させないで空廻しさせる。そして、時間t1〜t2においてスタータモータ12によりエンジン10の回転速度を上昇させる。
時間t2〜t3において、スタータモータ12は停止するが、第1クラッチ15のスリップ締結によってエンジン10の回転速度がさらに上昇する。このとき、モータ20の出力トルクを、エンジン10の回転速度の上昇にともなうトルク分だけ増加させる。そして、時間t3において両者が同期することになる。エンジン10の回転速度とモータ20の回転速度が同期したら(時間t3)、図4の目標クラッチトルク容量制御部612から油圧ユニット16へ目標第1クラッチトルクを出力し、第1クラッチ15を締結状態にする。また時間t3において、図4のエンジントルク制御部610からエンジンコントロールユニット70へエンジン10の始動指令を出力し、燃料噴射及び点火を開始して通常のトルク制御を実行する。
図8のステップ510へ戻り、モータ20の回転速度Nmとエンジン10の回転速度Neとの差の絶対値|Nm−Ne|が、回転速度差閾値C以下になるまでステップS507又はS508の処理を繰り返す。そして、この差の絶対値|Nm−Ne|が回転速度差閾値C以下になったら、ステップS511へ進み、油圧ユニット16へ第1クラッチ15の締結指令信号を出力する。これにより、モータ20の回転速度とエンジン10の回転速度が同期した状態で第1クラッチ15が締結されることになり、締結ショックを抑制することができる。
以上のとおり、本実施形態に係るハイブリッド車両1によれば、図8のステップS507に示すように、エンジン10の始動にともなう当該エンジン10の出力トルクを回転同期に利用するので、第1クラッチ15を締結する際のモータ20の回転速度Nmが大きくても、エンジン10の回転速度Neをモータ20の回転速度Nmに同期させることができる。そして、第1クラッチ15を締結する時のモータ20のトルク不足が解消され、その結果、車両の加速度が減少して運転性能が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態に係るハイブリッド車両1によれば、スタータモータ12について大きな定格出力のモータを使用する必要がない。加えて、モータ20に余裕トルクを設定する必要もないので、EV走行モードで走行できる範囲を充分に確保することができる。さらにエンジン10の出力トルクを利用するので、モータ20の回転速度に達するまでの同期時間を短縮することができる。
一方において、本実施形態に係るハイブリッド車両1によれば、図8のステップS508に示すように、モータ20の出力トルクに余裕がある場合にはこの出力余裕トルクTrを回転同期に利用するので、第1クラッチ15を締結する際のモータ20の回転速度が大きくても、エンジン10の回転速度Neをモータ20の回転速度Nmに同期させることができる。そして、第1クラッチ15を締結する時のモータ20のトルク不足が解消され、その結果、車両の加速度が減少して運転性能が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態に係るハイブリッド車両1によれば、スタータモータ12について大きな定格出力のモータを使用する必要がない。加えて、この制御はモータ20の出力トルクに余裕があることが検出された場合に実行されるので、予めモータ20に余裕トルクを設定する必要もなく、EV走行モードで走行できる範囲を充分に確保することができる。さらに両者が同期する前に第1クラッチ15をスリップ締結するので、同期時間を短縮することができる。また、第1クラッチ15をスリップ状態で締結している間t1〜t3はエンジン10の燃料噴射を最小限に抑制できるので燃費が向上する。
上記モータ20が本発明に係る第1モータに相当し、上記スタータモータ12が本発明に係る第2モータに相当し、上記目標走行モード演算部602が本発明に係る駆動源選択手段に相当し、上記目標クラッチトルク容量制御部612が本発明に係るクラッチ制御手段に相当し、上記エンジンコントロールユニット70が本発明に係るエンジン制御手段に相当し、上記モータコントロールユニット80が本発明に係る第1モータ制御手段に相当し、上記統合コントロールユニット60が本発明に係る回転同期手段に相当し、上記閾値Aが本発明に係る回転速度閾値に相当し、上記閾値Bが本発明に係るトルク閾値に相当し、上記閾値Cが本発明に係る回転速度差閾値に相当する。