以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
<伝送システムの全体構成>
図1は、実施の形態にかかる伝送システム1の概略図である。伝送システム1には、伝送管理システムを介して一方の伝送端末から他方の伝送端末に一方向にコンテンツデータを伝送するデータ提供システムや、伝送管理システムを介して複数の伝送端末間で情報や感情等を相互に伝達するコミュニケーションシステムが含まれる。このコミュニケーションシステムは、コミュニケーション管理システム(「伝送管理システム」に相当)を介して複数のコミュニケーション端末(「伝送端末」に相当)間で情報や感情等を相互に伝達するためのシステムであり、ビデオ会議システムやテレビ電話システム、音声会議システム、音声電話システム、PC(Personal Computer)画面共有システム等が例として挙げられる。
本伝送システム1では、コミュニケーションシステムの一例としてのビデオ会議システム、コミュニケーション管理システムの一例としてのビデオ会議管理システム、およびコミュニケーション端末の一例としてのビデオ会議端末を想定した上で、伝送システム1、伝送管理システム(管理装置)50、および伝送端末10について説明する。
図1に示す伝送システム1は、複数の伝送端末(10aa,10ab,…)、各伝送端末(10aa,10ab,…)用のディスプレイ(120aa,120ab,…)、複数の中継装置(30a,30b,30c,30d,30e)、および伝送管理システム50、プログラム提供システム90、およびメンテナンスシステム100によって構築されている。なお、以下では、「伝送端末」を単に「端末」としても表し、「伝送管理システム」を単に「管理システム」としても表す。
なお、本伝送システム1では、伝送端末(10aa,10ab,…)のうち任意の伝送端末を示す場合には「伝送端末10」を用い、ディスプレイ(120aa,120ab,…)のうち任意のディスプレイを示す場合には「ディスプレイ120」を用い、中継装置(30a,30b,30c,30d,30e)のうち任意の中継装置を示す場合には「中継装置30」を用いる。
伝送端末10は、他の装置との間で、各種情報を送受信する。伝送端末10は、例えば、他の端末10との間でセッションを確立し、確立したセッションにおいて、音声データおよび画像データを含むコンテンツデータの送受信による通話を行う。これにより、伝送システム1において、複数の端末10間のビデオ会議が実現される。
以下、「画像データおよび音声データ」を「コンテンツデータ」として表す。なお、端末10間で伝送されるデータは、実施の形態に限定されるものではなく、他の例としては、コンテンツデータは、テキストデータであってもよく、また、他の例としては、コンテンツデータは、音声データ、画像データに加えてテキストデータを含むものであってもよい。また、画像データは、動画であってもよく、静止画であってもよい。また、画像データは、動画と静止画の両方を含んでいてもよい。
また、本実施の形態にかかる伝送システム1において、ビデオ会議を開始する場合、開始を希望するユーザが、所定の端末10を操作することにより、操作された端末10は、開始要求情報を管理システム50に送信する。
ここで、開始要求情報とは、ビデオ会議に用いるセッションの開始を要求する情報であって、セッション相手としての端末10を指定する情報を含んでいる。以下、開始要求情報を送信する端末10を開始要求端末と称することとする。また、セッション相手として指定された相手の端末10を宛先端末と称することとする。
なお、宛先端末(セッション相手)は、1つの端末10であってもよく、2以上の端末10であってもよい。すなわち、伝送システム1においては、2つの端末10間だけでなく、3以上の端末10間で確立されたセッションを用いたビデオ会議を実現することができる。
さらに、本実施の形態にかかる伝送システム1においては、既にセッションが確立され、開始しているビデオ会議に、途中から他のユーザが参加することも可能である。参加を希望するユーザが、所定の端末10を操作することにより、操作された端末10は、参加を希望するビデオ会議に用いられている、確立中のセッション(以下、確立中セッションと称する)を指定した、参加要求情報を管理システム50に送信する。以下、参加要求情報を送信する端末10を参加要求端末と称することとする。
管理システム50は、端末10および中継装置30を一元的に管理する。管理システム50は、端末10間でのセッションを確立することにより、端末10間における通話等によるビデオ会議を実現する。
管理システム50は、所定の端末10からセッションの開始要求情報を受信した場合に、開始要求情報を送信した端末10(開始要求端末)と宛先端末の間のセッションを確立し、ビデオ会議を開始させる。管理システム50は、また、所定の端末10から既に確立しているセッション(以下、確立中セッションと称する)への参加要求情報を受信した場合に、参加要求端末を、確立中セッションに参加させるか否かを判断する。
また、図1に示されている複数のルータ(70a,70b,70c,70d,70ab,70cd)は、コンテンツデータの最適な経路の選択を行う。なお、本伝送システム1では、ルータ(70a,70b,70c,70d,70ab,70cd)のうち任意のルータを示す場合には「ルータ70」を用いる。中継装置30は、複数の端末10の間で、コンテンツデータの中継を行う。
プログラム提供システム90は、端末10に各種機能または各種手段を実現させるための端末用プログラムが記憶された、図示しないHD(Hard Disk)を備えており、端末10に、端末用プログラムを送信することができる。また、プログラム提供システム90のHDには、中継装置30に各種機能または各種手段を実現させるための中継装置用プログラムも記憶されており、中継装置30に、中継装置用プログラムを送信することができる。更に、プログラム提供システム90のHDには、管理システム50に各種機能または各種手段を実現させるための伝送管理用プログラムも記憶されており、管理システム50に、伝送管理用プログラムを送信することができる。
メンテナンスシステム100は、端末10、中継装置30、管理システム50、およびプログラム提供システム90のうちの少なくとも1つの維持、管理、または保守を行うためのコンピュータである。例えば、メンテナンスシステム100が国内に設置され、端末10、中継装置30、管理システム50、またはプログラム提供システム90が国外に設置されている場合、メンテナンスシステム100は、通信ネットワーク2を介して遠隔的に、端末10、中継装置30、管理システム50、およびプログラム提供システム90のうちの少なくとも1つの維持、管理、保守等のメンテナンスを行う。また、メンテナンスシステム100は、通信ネットワーク2を介さずに、端末10、中継装置30、管理システム50、およびプログラム提供システム90のうちの少なくとも1つにおける機種番号、製造番号、販売先、保守点検、または故障履歴の管理等のメンテナンスを行う。
また、端末(10aa,10ab,10ac,10a…)、中継装置30a、およびルータ70aは、LAN2aによって通信可能に接続されている。端末(10ba,10bb,10bc,10b…)、中継装置30b、およびルータ70bは、LAN2bによって通信可能に接続されている。また、LAN2aおよびLAN2bは、ルータ70abが含まれた専用線2abによって通信可能に接続されており、所定の地域A内で構築されている。例えば、地域Aは日本であり、LAN2aは東京の事業所内で構築されており、LAN2bは大阪の事業所内で構築されている。
一方、端末(10ca,10cb,10cc,10c…)、中継装置30c、およびルータ70cは、LAN2cによって通信可能に接続されている。端末(10da,10db,10dc,10d…)、中継装置30d、およびルータ70dは、LAN2dによって通信可能に接続されている。また、LAN2cおよびLAN2dは、ルータ70cdが含まれた専用線2cdによって通信可能に接続されており、所定の地域B内で構築されている。例えば、地域Bはアメリカであり、LAN2cはニューヨークの事業所内で構築されており、LAN2dはワシントンD.C.の事業所内で構築されている。地域Aおよび地域Bは、それぞれルータ(70ab,70cd)からインターネット2iを介して通信可能に接続されている。
また、管理システム50、およびプログラム提供システム90は、インターネット2iを介して、端末10、および中継装置30と通信可能に接続されている。管理システム50、およびプログラム提供システム90は、地域Aまたは地域Bに設置されていてもよいし、これら以外の地域に設置されていてもよい。
また、中継装置30eは、インターネット2を介して端末10と通信可能に接続されている。この中継装置30eは、常時稼動しており、地域Aまたは地域Bのローカルエリア内の通信量の影響を受けにくくするために、これら以外の地域に設置されている。これにより、端末10が他のローカルエリアに設置された端末と通話する場合に、コンテンツデータを中継するための中継装置として中継装置30eが用いられる。また、同一のローカルエリアの端末間で通話を行う際に、このローカルエリアに設置された中継装置が稼動していない場合にも、緊急用の中継装置として中継装置30eが用いられる。
なお、本伝送システム1では、LAN2a、LAN2b、専用線2ab、インターネット2i、専用線2cd、LAN2c、およびLAN2dによって、本伝送システム1の通信ネットワーク2が構築されている。この通信ネットワーク2には、有線だけでなく無線による通信が行われる箇所があってもよい。
また、図1において、各端末10、各中継装置30、管理システム50、各ルータ70、プログラム提供システム90、およびメンテナンスシステム100の下に示されている4組の数字は、一般的なIPv4におけるIPアドレスを簡易的に示している。例えば、端末10aaのIPアドレスは「1.2.1.3」である。また、IPv4ではなく、IPv6を用いてもよいが、説明を簡略化するため、IPv4を用いて説明する。
<伝送システムのハードウェア構成>
図2は、伝送システム1に係る端末10のハードウェア構成図である。図2に示されているように、端末10は、端末10全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)101、端末用プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)102、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)103、画像データや音声データ等の各種データを記憶するフラッシュメモリ104、CPU101の制御にしたがってフラッシュメモリ104に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御するSSD(Solid State Drive)105、フラッシュメモリ等の記録メディア106に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ107、端末10の宛先を選択する場合などに操作される操作ボタン108、端末10の電源のON/OFFを切り換えるための電源スイッチ109、後述の通信ネットワーク2を利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F(Interface)111を備えている。
また、端末10は、CPU101の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型のカメラ112、このカメラ112の駆動を制御する撮像素子I/F113、音声を入力する内蔵型のマイク114、音声を出力する内蔵型のスピーカ115、CPU101の制御に従ってマイク114およびスピーカ115との間で音声信号の入出力を処理する音声入出力I/F116、CPU101の制御に従って外付けのディスプレイ120に画像データを伝送するディスプレイI/F117、各種の外部機器を接続するための外部機器接続I/F118、端末10の各種機能の異常を知らせるアラームランプ119、および上記各構成要素を図2に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン110を備えている。
ディスプレイ120は、被写体の画像や操作用アイコン等を表示する液晶や有機ELによって構成された表示部である。また、ディスプレイ120は、ケーブル120cによってディスプレイI/F117に接続される。このケーブル120cは、アナログRGB(VGA)信号用のケーブルであってもよいし、コンポーネントビデオ用のケーブルであってもよいし、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やDVI(Digital Video Interactive)信号用のケーブルであってもよい。
カメラ112は、レンズや、光を電荷に変換して被写体の画像(映像)を電子化する固体撮像素子を含み、固体撮像素子として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、CCD(Charge Coupled Device)等が用いられる。
外部機器接続I/F118には、図4にて後述する筐体1100の接続口1132に差し込まれたUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等によって、外付けカメラ、外付けマイク、および外付けスピーカ等の外部機器がそれぞれ電気的に接続可能である。外付けカメラが接続された場合には、CPU101の制御に従って、内蔵型のカメラ112に優先して、外付けカメラが駆動する。同じく、外付けマイクが接続された場合や、外付けスピーカが接続された場合には、CPU101の制御に従って、それぞれが内蔵型のマイク114や内蔵型のスピーカ115に優先して、外付けマイクや外付けスピーカが駆動する。
なお、記録メディア106は、端末10に対して着脱自在な構成となっている。また、CPU101の制御にしたがってデータの読み出しまたは書き込みを行う不揮発性メモリであれば、フラッシュメモリ104に限らず、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等を用いてもよい。
更に、上記端末用プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルによって、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(記録メディア106等)に記録されて流通されるようにしてもよい。また、上記端末用プログラムは、フラッシュメモリ104ではなくROM102に記憶させるようにしてもよい。
図3は、伝送システム1に係る管理システムのハードウェア構成図である。管理システム50は、管理システム50全体の動作を制御するCPU201、伝送管理用プログラムを記憶したROM202、CPU201のワークエリアとして使用されるRAM203、各種データを記憶するHD(Hard Disk)204、CPU201の制御にしたがってHD204に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)205、フラッシュメモリ等の記録メディア206に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ207、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像などの各種情報を表示するディスプレイ208、後述の通信ネットワーク2を利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F209、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボード211、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウス212、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)213に対するデータの読み出しまたは書き込みを制御するCD−ROMドライブ214、および、上記各構成要素を図3に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン210を備えている。
なお、上記伝送管理用プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD−ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
また、中継装置30は、上記管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。ただし、ROM202には、中継装置30を制御するための中継装置用プログラムが記録されている。この場合も、中継装置用プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD−ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
更に、プログラム提供システム90は、上記管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。ただし、ROM202には、プログラム提供システム90を制御するためのプログラム提供用プログラムが記録されている。この場合も、プログラム提供用プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD−ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
また、メンテナンスシステム100は、上記管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。ただし、ROM202には、メンテナンスシステム100を制御するためのメンテナンス用プログラムが記録されている。この場合も、メンテナンス用プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD−ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
なお、上記着脱可能な記録媒体の他の例として、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
図4は、端末10の外観図である。以下、端末10の長手方向をX軸方向、水平面内でX軸方向に直交する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向に直交する方向(鉛直方向)をZ軸方向として説明する。
図4に示されているように、端末10は、筐体1100、アーム1200、およびカメラハウジング1300を備えている。このうち、筐体1100の前側壁面1110には、複数の吸気孔によって形成された図示しない吸気面が設けられており、筐体1100の後側壁面1120には、複数の排気孔が形成された排気面1121が設けられている。これにより、筐体1100に内蔵された冷却ファンの駆動によって、図示しない吸気面を介して端末10の後方の外気を取り込み、排気面1121を介して端末10の後方へ排気することができる。筐体1100の右側壁面1130には、収音用孔1131が形成され、後述する内蔵型のマイク114によって音声、物音、雑音等の音が収音可能となっている。
筐体1100の右側壁面1130側には、操作パネル1150が形成されている。この操作パネル1150には、後述の複数の操作ボタン(108a〜108e)、後述の電源スイッチ109、および後述のアラームランプ119が設けられているとともに、後述の内蔵型のスピーカ115からの出力音を通すための複数の音声出力孔によって形成された音出面1151が形成されている。また、筐体1100の左側壁面1140側には、アーム1200およびカメラハウジング1300を収容するための凹部としての収容部1160が形成されている。筐体1100の右側壁面1130には、後述の外部機器接続I/F118に対して電気的にケーブルを接続するための複数の接続口(1132a〜1132c)が設けられている。一方、筐体1100の左側壁面1140には、後述の外部機器接続I/F118に対して電気的にディスプレイ120用のケーブル120cを接続するための図示しない接続口が設けられている。
なお、以下では、操作ボタン(108a〜108e)のうち任意の操作ボタンを示す場合には「操作ボタン108」を用い、接続口(1132a〜1132c)のうち任意の接続口を示す場合には「接続口1132」を用いて説明する。
次に、アーム1200は、トルクヒンジ1210を介して筐体1100に取り付けられており、アーム1200が筐体1100に対して、135度のチルト角θ1の範囲で、上下方向に回転可能に構成されている。図4は、チルト角θ1が90度の状態を示している。
カメラハウジング1300には、後述の内蔵型のカメラ112が設けられており、利用者、書類、および部屋等を撮像することができる。また、カメラハウジング1300には、トルクヒンジ1310が形成されている。カメラハウジング1300は、トルクヒンジ1310を介して、アーム1200に取り付けられている。そして、カメラハウジング1300は、トルクヒンジ1310を介してアーム1200に取り付けられており、カメラハウジング1300がアーム1200に対して、図4で示されている状態を0度として±180度のパン角θ2の範囲で、且つ、±45度のチルト角θ3の範囲で、上下左右方向に回転可能に構成されている。
なお、他の例としては、端末10は、一般の汎用コンピュータであってもよい。端末10として用いるコンピュータに、マイクやカメラが備わっていない場合には、外付けのマイクおよびカメラをコンピュータに接続させることとする。これにより、汎用コンピュータを、本実施の形態にかかる端末10として利用することができる。また、端末10として汎用コンピュータを用いる場合には、当該コンピュータに後述する端末10の処理を実行するためのアプリケーションをインストールしておくこととする。
なお、中継装置30、管理システム50、プログラム提供システム90、およびメンテナンスシステム100は、それぞれ一般のサーバ・コンピュータの外観と同じであるため、外観の説明を省略する。
<伝送システムの機能構成>
次に、本伝送システム1の機能構成について説明する。図5は、本伝送システム1を構成する各端末、装置およびシステムの機能ブロック図である。図5では、端末10、中継装置30、および管理システム50が、通信ネットワーク2を介してデータ通信することができるように接続されている。また、図1に示されているプログラム提供システム90、およびメンテナンスシステム100は、ビデオ会議の通信において直接関係ないため、図5では省略されている。
<端末の機能構成>
端末10は、通信部11、操作入力受付部12、ログイン要求部13、撮像部14、音声入力部15a、音声出力部15b、表示制御部16、遅延検出部18、記憶・読出処理部19、および宛先リスト作成部20を有している。これら各部は、図2におけるROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101の動作により実現される機能または手段である。また、端末10は、図2に示されているRAM103によって構築される揮発性記憶部1002、および図2に示されているフラッシュメモリ104によって構築される不揮発性記憶部1000を有している。
<端末の各機能部>
次に、端末の各部を詳細に説明する。端末10の通信部11は、図2に示されているネットワークI/F111によって実現され、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置またはシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。
通信部11は、当該端末10が他の端末10とセッションを確立し、通話によるビデオ会議を開始する前から、管理システム50より、宛先端末候補としての各端末10の状態を示す各状態情報の受信を開始する。
ここで、宛先端末候補とは、当該端末10が、ビデオ会議を行う相手、すなわちセッション相手として指定可能な端末10である。すなわち、当該端末10は、宛先端末候補として予め設定されていない端末とは、セッションを確立することができず、したがってビデオ会議を行うことができない。なお、宛先端末候補は、ビデオ会議を行う相手端末の候補、すなわち相手端末候補である。
なお、この状態情報は、各端末10の稼動状態(ONラインかOFFラインかの状態)と、ONラインにおいては更に通話中であるか、待受け中であるか等の詳細な状態(以下、通信状態と称する)を示す。また、この状態情報は、各端末10の稼動状態および通信状態だけでなく、ケーブルが端末10から外れている、音声を出力できるが画像は出力できない、音声を出力させないよう設定されている(MUTE)等、様々な状態を示す。以下では、一例として、状態情報が稼動状態および通信状態を示す場合について説明する。
通信部11はまた、当該端末10が開始要求端末として動作する場合には、開始要求情報を管理システム50に送信する。ここで、開始要求情報は、ビデオ会議に用いられるセッションの開始を要求する情報である。開始要求情報は、具体的には、開始を要求する旨を示す情報と、開始要求情報の送信元である開始要求端末の端末IDと、セッションの相手となる宛先端末を識別する端末IDと、宛先端末以外の端末の当該セッションへの参加制限の有無を示す制限情報を含んでいる。なお、端末IDは、端末10を識別するための情報である。
開始要求情報は、具体的には、「Invite」または「Private Invite」を含んでいる。ここで、「Invite」は、開始を要求する旨の情報であって、かつ参加制限なしを示す制限情報である。一方、「Private Invite」は、開始を要求する旨を示す情報であって、かつ参加制限ありを示す制限情報である。
ここで、制限情報について詳述する。本実施の形態にかかる伝送システム1においては、既に確立しているセッションへの他の端末10の参加が可能である。しかしながら、機密性の高い会議を行う場合など、他の端末10の参加を認めないことが望ましい会議も存在する。そこで、伝送システム1においては、制限情報に示される参加制限の有無に応じて、確立中セッションへの他の端末10の参加を制限する。
通信部11はまた、当該端末10が参加要求端末として動作する場合には、参加要求情報を管理システム50に送信する。ここで、参加要求情報は、既に開始されたビデオ会議に用いられている確立中セッションへの参加を要求する情報である。参加要求情報は、具体的には、参加要求情報であることを示す情報「Call」と、参加要求情報の送信元である参加要求端末の端末IDと、参加を希望する確立中セッションに参加中の端末である参加中端末の端末IDとを含む情報である。ここで、参加中端末は、具体的には、確立中セッションを開始する際に送信された、開始要求情報に示される開始要求端末または宛先端末である。ここで、通信部11は、開始要求情報を取得する開始要求情報取得部および参加要求情報を取得する参加要求情報取得部として機能する。
操作入力受付部12は、図2に示されている操作ボタン108、および電源スイッチ109によって実現され、利用者による各種入力を受け付ける。例えば、利用者が、図2に示されている電源スイッチ109をONにすると、図5に示されている操作入力受付部12が電源ONを受け付けて、電源をONにする。
ログイン要求部13は、図2に示されているCPU101によって実現され、上記電源ONの受け付けを契機として、通信部11から通信ネットワーク2を介して管理システム50に、ログインを要求する旨を示すログイン要求情報、および当該端末10の現時点のIPアドレスを自動的に送信する。また、利用者が電源スイッチ109をONの状態からOFFにすると、通信部11は、管理システム50へ、電源をOFFする旨の状態情報を送信してから、操作入力受付部12が電源を完全にOFFにする。これにより、管理システム50側では、端末10が電源ONから電源OFFになったことを把握することができる。
撮像部14は、図2に示されているCPU101、ならびに図2に示されているカメラ112、および撮像素子I/F113によって実現され、被写体を撮像して、この撮像して得た画像データを出力する。音声入力部15aは、図2に示されている音声入出力I/F116によって実現され、マイク114によって利用者の音声が音声信号に変換された後、この音声信号に係る音声データを入力する。音声出力部15bは、図2に示されているCPU101、ならびに図2に示されている音声入出力I/F116によって実現され、音声データに係る音声信号をスピーカ115に出力し、スピーカ115から音声を出力させる。
表示制御部16は、図2に示されているディスプレイI/F117によって実現され、外付けのディスプレイ120に対して画像データを送信するための制御を行う。表示制御部16は、要求元としての端末10が所望の宛先としての端末10とビデオ会議の通話を開始する前に、通信部11による受信の開始後に受信された状態情報を反映させて各宛先名が含まれた宛先リストをディスプレイ120に表示させる。
遅延検出部18は、図2に示されているCPU101によって実現され、他の端末10から中継装置30を介して送られて来る画像データまたは音声データの遅延時間(ms)を検出する。
また、記憶・読出処理部19は、図2に示されているCPU101、ならびに一例として図2に示すSSD105によって実現され、不揮発性記憶部1000に各種データを記憶したり、不揮発性記憶部1000に記憶された各種データを読み出す処理を行う。この不揮発性記憶部1000には、端末10を識別するための端末ID(Identification)、およびパスワード等が記憶される。更に、記憶・読出処理部19は、揮発性記憶部1002に各種データを記憶したり、揮発性記憶部1002に記憶された各種データを読み出す処理も行う。この揮発性記憶部1002には、宛先端末との通話を行う際に受信されるコンテンツデータが、受信される度に上書き記憶される。このうち、上書きされる前の画像データによってディスプレイ120に画像が表示され、上書きされる前の音声データによってスピーカ115から音声が出力される。
宛先リスト作成部20は、管理システム50から受信した、後述の宛先リスト情報および後述の各宛先候補としての端末10の状態情報に基づいて、図23に示されているような宛先候補の状態がアイコンで示された宛先リストの作成および更新を行う。
(中継装置の機能構成)
次に、中継装置30の機能または手段について説明する。中継装置30は、通信部31、状態検知部32、データ品質確認部33、変更品質管理部34、データ品質変更部35、および記憶・読出処理部39を有している。これら各部は、図3におけるROM202に記憶されているプログラムに従ったCPU201の動作により実現される機能または手段である。また、中継装置30は、図3に示されているHD204により構築され、中継装置30の電源をOFFにしても各種データや情報の記憶が維持される不揮発性記憶部3000を有している。
(変更品質管理テーブル)
不揮発性記憶部3000には、図6に示されているような変更品質管理テーブルによって構成されている変更品質管理DB(Data Base)3001が構築される。変更品質管理テーブルでは、画像データの中継先としての端末10のIPアドレス、およびこの中継先に中継装置30が中継する画像データの画質が関連付けられて管理される。
ここで、図7を用いて本伝送システム1で扱われる画像データの画像の解像度について説明する。図7は、画像データの画質を説明する概念図である。図7(a)に示されているように、横が160画素、縦が120画素から成り、ベース画像となる低解像度の画像と、図7(b)に示されているように、横が320画素、縦が240画素から成る中解像度の画像と、図7(c)に示されているように、横が640画素、縦が480画素から成る高解像度の画像とがある。このうち、狭帯域経路を経由する場合には、ベース画像となる低解像度の画像データのみから成る低画質の画像データが中継される。帯域が比較的広い場合には、ベース画像となる低解像度の画像データ、および中解像度の画像データから成る中画質の画像データが中継される。また、帯域が非常に広い場合には、ベース画質となる低解像度の画像データ、中解像度の画像データ、および高解像度の画像データから成る高画質の画像データが中継される。例えば、図6に示されている変更品質管理テーブルにおいて、中継装置30が、IPアドレス「1.3.2.4」の宛先端末に対して画像データを中継する場合には、この中継される画像データの画質(画像の品質)は「高画質」である。
<中継装置の各機能部>
次に、中継装置30の各機能構成について詳細に説明する。なお、以下では、中継装置30の各部を説明するにあたって、図3に示されている各構成要素のうち、中継装置30の各部を実現させるための主な構成要素との関係も説明する。
図5に示されている中継装置30の通信部31は、図3に示されているネットワークI/F209によって実現され、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置、またはシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。状態検知部32は、図3に示されているCPU201によって実現され、この状態検知部32を有する中継装置30の稼動状態を検知する。稼動状態としては、「ONライン」、「OFFライン」、または「故障中」の状態がある。
データ品質確認部33は、図3に示されているCPU201によって実現され、宛先端末のIPアドレスを検索キーとして、変更品質管理テーブル(図6参照)を検索し、対応した中継される画像データの画質を抽出することで、中継される画像データの画質を確認する。変更品質管理部34は、図3に示されているCPU201によって実現され、管理システム50から送られて来る、後述の品質情報に基づいて、変更品質管理DB3001の変更品質管理テーブルの内容を変更する。例えば、端末IDが「01aa」である開始要求端末(端末10aa)と、端末IDが「01db」である宛先端末(端末10db)との間で高画質の画像データを送受信することによってビデオ会議を行っている最中に、他のビデオ会議を行う開始要求端末(端末10bb)と宛先端末(端末10ca)が通信ネットワーク2を介してビデオ会議を開始すること等によって、宛先端末(端末10db)で画像データの受信の遅延が生じた場合には、中継装置30は今まで中継していた画像データの画質を、高画質から中画質に下げる必要がある。このような場合に、中画質を示す品質情報に基づいて、中継装置30が中継する画像データの画質を高画質から中画質に下げるように、変更品質管理DB3001の変更品質管理テーブルの内容が変更される。
データ品質変更部35は、図3に示されているCPU201によって実現され、送信元の端末10から送られて来た画像データの画質を、上記変更された変更品質管理DB3001の変更品質管理テーブルの内容に基づいて変更する。記憶・読出処理部39は、図3に示されているHDD205によって実現され、不揮発性記憶部3000に各種データを記憶したり、不揮発性記憶部3000に記憶された各種データを読み出す処理を行う。
<管理システムの機能構成>
次に、管理システム50の機能または手段について説明する。管理システム50は、通信部51、端末認証部52、状態管理部53、端末抽出部54、端末状態取得部55、中継装置選択部56、セッション管理部57、品質決定部58、記憶・読出処理部59、遅延時間管理部60、変更要求情報判断部61、宛先判断部62、および参加判断部63を有している。これら各部は、図3におけるROM202に記憶されているプログラムに従ったCPU201の動作により実現される機能または手段である。また、管理システム50は、図3に示されているHD204により構築され、管理システム50の電源をOFFにしても各種データや情報の記憶が維持される不揮発性記憶部5000を有している。この不揮発性記憶部5000には、各種情報が記憶されている。更に、管理システム50は、図3に示されているRAM203によって構築される揮発性記憶部5100を有している。
(中継装置管理テーブル)
不揮発性記憶部5000には、図8に示されているような中継装置管理テーブルによって構成されている中継装置管理DB5001が構築されている。この中継装置管理テーブルでは、各中継装置30を識別する中継装置ID毎に、各中継装置30の稼動状態、稼動状態が示される状態情報が管理システム50で受信された受信日時、中継装置30のIPアドレス、および中継装置30における最大データ伝送速度(Mbps)が関連付けられて管理される。例えば、図8に示されている中継装置管理テーブルにおいて、中継装置IDが「111a」の中継装置30aは、稼動状態が「ONライン」で、管理システム50で状態情報が受信された日時が「2009年11月10日の13時00分」で、この中継装置30aのIPアドレスが「1.2.1.2」で、この中継装置30aにおける最大データ伝送速度が100Mbpsであることが示されている。
(端末認証管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図9に示されているような端末認証管理テーブルによって構成されている端末認証管理DB5002が構築されている。この端末認証管理テーブルでは、管理システム50によって管理される全ての端末10の各端末IDに対して、各パスワードが関連付けられて管理される。ここで、端末IDは、端末10を識別する情報であり、パスワードは、端末10を認証するために利用される情報である。例えば、図9に示されている端末認証管理テーブルにおいて、端末10aaの端末IDは「01aa」で、パスワードは「aaaa」であることが示されている。
なお、本伝送システム1における端末IDおよび中継装置IDは、それぞれ端末10、および中継装置30を一意に識別するために使われる言語、文字、記号、または各種のしるし等の識別情報を示す。また、端末ID、および中継装置IDは、上記言語、文字、記号、および各種のしるしのうち、少なくとも2つが組み合わされた識別情報であってもよい。
(端末管理テーブル)
また、不揮発性記憶部5000には、図10に示されているような端末管理テーブルによって構成されている端末管理DB5003が構築されている。この端末管理テーブルでは、各端末10の端末ID毎に、端末名、各端末10の稼動状態、他の端末との通信状態、後述のログイン要求情報が管理システム50で受信された受信日時、および端末10のIPアドレスが関連付けられて管理される。
ここで、稼動状態としては、電源がオンされ、通信が可能または通信中の状態であるONラインと、電源がオンされていないなど、通信が可能でない状態であるOFFラインとがある。
また、通信状態としては、他の端末10を呼び出している状態、すなわち、他の端末10に対しビデオ会議に用いられるセッションの開始要求情報を送信し、応答を待っている状態を示す「Calling」、他の端末10から呼び出されている状態、すなわち、他の端末10から開始要求情報を受信し、受信した開始要求情報に対する応答が完了していない状態を示す「Ringing」、他の端末10からの開始要求情報に対し許可の応答が完了しているが、セッションの確立が完了していない状態および自端末が送信した開始要求情報に対し許可の応答の受信が完了しているが、セッションの確立が完了していない状態を示す「Accepted」、他の端末10とのセッションが確立し、TV会議におけるコンテンツデータを伝送中の状態を示す「Busy」、他の端末と通信しておらず、待ち受け中の状態を示す「None」がある。
なお、以上の通信状態は、参加制限なしを示す制限情報が含まれる開始要求情報に応じて確立された、参加制限のないセッションに対応する通信状態である。さらに、本実施の形態にかかる管理システム50においては、参加制限ありを示す制限情報が含まれる開始要求情報に応じて確立された、参加制限のあるセッションに対応する通信状態を、参加制限のないセッションに対応する通信状態とは異なる通信状態として管理している。すなわち、参加制限のないセッションに対する「Calling」、「Ringing」、「Accepted」、「Busy」それぞれに対応し、参加制限のあるセッションに対する通信状態として、「Private Calling」、「Private Ringing」、「Private Accepted」、「Private Busy」がある。このように、参加制限の有無に応じて、通信状態を区別して管理するので、本実施の形態にかかる管理システム50においては、通信状態により参加制限の有無を特定することができる。
なお、本実施の形態では、制限情報が参加制限有りのセッションを確立することを前提としているため、本実施の形態では、「None」以外の通信状態として、「Private Calling」、「Private Ringing」、「Private Accepted」、「Private Busy」のみが使用される。
例えば、図10に示されている端末管理テーブルにおいて、端末IDが「01aa」の端末10aaは、端末名が「日本 東京事業所 AA端末」で、稼動状態が「ONライン」で、通信状態が他の端末と通信しておらず待受け中の状態を示す「None」で、管理システム50でログイン要求情報が受信された日時が「2009年11月10日の13時40分」で、この端末10aaのIPアドレスが「1.2.1.3」であることが示されている。
また、図10に示されている端末管理テーブルにおいて、通信状態に着目すると、端末IDが「01ba」の端末は、通信状態が「Private Calling」、端末IDが「01bb」の端末は、通信状態が「Private Busy」、端末IDが「01da」の端末は、通信状態が「Private Busy」となっている。
(宛先リスト管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図11に示されているような宛先リスト管理テーブルによって構成されている宛先リスト管理DB5004が構築されている。この宛先リスト管理テーブルでは、管理システム50で管理される通話を含むビデオ会議において用いられるセッションの開始要求情報の要求元としての端末10である開始要求端末の端末IDに対して、この端末10から送信されるコンテンツデータの宛先の候補となる端末10である宛先端末候補を識別する端末IDが関連付けられて管理される。例えば、図11に示されている宛先リスト管理テーブルにおいて、端末IDが「01aa」である端末(端末10aa)からビデオ会議の開始を要求することができる宛先端末候補は、端末IDが「01ab」の端末10ab、端末IDが「01ba」の端末10ba、端末IDが「01db」の端末10db、および端末IDが「01dc」の端末10dcであることが示されている。この宛先端末候補は、開始要求端末から管理システム50に対する追加または削除の要請により、追加または削除されることで更新される。
(セッション管理テーブル)
また、この不揮発性記憶部5000には、図12に示されているようなセッション管理テーブルによって構成されているセッション管理DB5005が構築されている。このセッション管理テーブルでは、端末間でコンテンツデータが伝送されるセッションを識別するためのセッションID毎に、このセッションでコンテンツデータの中継に使用される中継装置30の中継装置ID、セッションの開始要求情報の送信元である開始要求端末の端末ID、セッションの開始要求情報において相手先として指定された宛先端末の端末ID、宛先端末において画像データが受信される際の受信の遅延時間(ms)、およびこの遅延時間が示されている遅延情報を宛先端末から送られて来て管理システム50で受信された受信日時が関連付けられて管理される。例えば、図12に示されているセッション管理テーブルにおいて、セッションID「se1」を用いて実行されたセッションで選択された中継装置30e(中継装置ID「111e」)は、端末IDが「01aa」の開始要求端末(端末10aa)と、端末IDが「01db」の宛先端末(端末10db)との間で、コンテンツデータを中継しており、宛先端末(端末10db)において「2009年11月10日の14時00分」時点における画像データの遅延時間が200(ms)であることが示されている。なお、2つの端末10の間でビデオ会議を行う場合には、上記宛先端末ではなく開始要求端末から送信されてきた遅延情報に基づいて、遅延情報の受信日時を管理してもよい。ただし、3つ以上の端末10の間でビデオ会議を行う場合には、コンテンツデータの受信側の端末10から送信されてきた遅延情報に基づいて、遅延情報の受信日時を管理する。
(品質管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図13に示されているような品質管理テーブルによって構成されている品質管理DB5007が構築されている。この品質管理テーブルでは、開始要求端末または宛先端末における画像データの遅延時間(ms)に応じて、中継装置30で中継させる画像データの画質(画像の品質)が関連付けられて管理される。
(中継装置選択管理テーブル)
更に、不揮発性記憶部5000には、図14に示されているような中継装置選択管理テーブルによって構成されている中継装置選択管理DB5008が構築されている。この中継装置選択管理テーブルでは、管理システム50によって管理される全ての端末10の各端末IDに対して、コンテンツデータの中継に使用される中継装置30の中継装置IDが関連付けられて管理される。
(状態変更管理テーブル)
また、不揮発性記憶部5000には、図15および図16に示されているような状態変更管理テーブルによって構成されている状態変更管理DB5009が構築されている。図15の状態変更管理テーブルでは、端末間の通信の状態を変更する要求を示す変更要求情報と、後述の状態管理部53によって変更される前の通信状態を示す変更前状態情報と、状態管理部53によって変更された後の通信状態を示す変更情報とが関連付けられて管理される。また、図16の状態変更管理テーブルでは、変更要求情報と、開始要求端末と宛先端末とを識別するための端末情報と、変更前状態情報と、変更情報とが関連付けられて管理される。
図16の状態変更管理テーブルでは、管理システム50は、変更要求情報「Private Invite」を受信した場合に、開始要求端末の変更前の通信状態「None」を「Private Calling」に変更し、かつ宛先端末の変更前の通信状態「None」を「Private Ringing」に変更することが示されている。なお、変更要求情報には、図16に示す、「Invite」、「Private Invite」、「Accept」や、図15に示す「Join」、「Call」、「Leave」等が含まれる。
なお、本実施の形態では、制限情報が参加制限有りのセッションを確立することを前提としているため、図15、図16においては、「Private Accepted」、「Private Busy」、「Private Calling」、「Private Ringing」、「Private Accepted」、「Private Busy」の変更前状態情報、変更情報のみが使用される。また、同様の理由により、本実施の形態では、図16における「Invite」の変更要求情報は使用されない。
「Invite」は、開始要求情報に含まれる情報であり、開始要求情報の送信に伴う変更要求情報である。「Accept」は、開始要求情報に対する応答の受信に伴う変更要求情報であり、通信開始、すなわちセッション確立を許可する旨を示している。「Join」は、開始要求情報に対応するセッションの確立完了に伴う変更要求情報であり、コンテンツデータの中継開始を要求する旨を示している。「Call」は、参加要求に含まれる情報であり、参加要求の送信に伴う変更要求情報であり、確立中セッションへの参加を要求する旨を示している。「Leave」は、セッションの終了を要求する旨の変更要求情報である。
(管理システムの各機能部)
次に、管理システム50の各機能部について詳細に説明する。なお、以下では、管理システム50の各部を説明するにあたって、図3に示されている各構成要素のうち、管理システム50の各部を実現させるための主な構成要素との関係も説明する。
通信部51は、図3に示されているネットワークI/F209によって実行され、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置またはシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。端末認証部52は、通信部51を介して受信されたログイン要求情報に含まれている端末IDおよびパスワードを検索キーとし、不揮発性記憶部5000の端末認証管理テーブル(図9参照)を検索し、端末認証管理テーブルに同一の端末IDおよびパスワードが管理されているかを判断することによって端末認証を行う。
また、通信部51は、後述する参加判断部63により、確立中セッションが参加制限ありであって、参加が不可能であると判断された場合には、参加失敗の通知を、参加要求を行った端末に送信する通知部としての機能を有する。
状態管理部53は、図10に示される端末管理テーブルの稼動状態および通信状態を管理する。状態管理部53は、ログイン要求してきた端末10(ログイン要求端末)の稼動状態を管理すべく、端末管理テーブル(図10参照)に、このログイン要求端末の端末ID、ログイン要求端末の稼動状態、管理システム50でログイン要求情報が受信された受信日時、およびログイン要求端末のIPアドレスを関連付けて記憶して管理する。状態管理部53は、端末10の利用者が端末10の電源スイッチ109をOFFの状態からONにすることで、この端末10から送られてきた電源をONする旨の情報に基づいて、端末管理テーブル(図10参照)のOFFラインを示す稼動状態をONラインに設定する。また、利用者が端末10の電源スイッチ109をONの状態からOFFにすることで、この端末10から送られてきた電源をOFFする旨の情報に基づいて、端末管理テーブル(図10参照)のONラインを示す稼動状態をOFFラインに設定する。
状態管理部53は、ビデオ会議の開始要求情報の開始要求端末または宛先端末によって送信された変更要求情報が通信部51によって受信されると、変更要求情報に基づいて、端末管理テーブル(図10参照)における、開始要求端末および宛先端末のうち少なくとも一方の端末の、通信状態および稼動状態のうち少なくとも一方の状態を適宜変更する。
図17および図18は、状態管理部53により管理される通信状態の状態遷移図である。状態管理部53は、図15および図16に示す状態変更管理テーブルを参照することにより実現される通信状態の変更の規則(図17および図18参照)に従い端末10の通信状態を変更する。
例えば、変更要求情報「Accept」を受信した場合には、図18に示すように、端末10の通信状態が「Private Ringing」、または「Private Calling」であれば、状態管理部53は、通信状態「Private Accepted」に変更し、端末10の通信状態が「Private Accepted」であれば、通信状態を「Private Accepted」のままとする。
本伝送システム1では、状態管理部53による状態の変更を実現するために、状態変更管理テーブル(図15,図16参照)を用いる例を説明するが、このような形態には限定されない。この場合、図17および図18の状態遷移図によって示される通信状態の遷移の規則に従い状態管理部53が通信状態を変更できるよう管理システム用プログラムによって規定されていればよい。
端末抽出部54は、ログイン要求した端末10など、処理対象となる対象端末の端末IDを検索キーとして、宛先リスト管理テーブル(図11参照)を検索し、対象端末と通話することができる、すなわちセッションを確立することのできる宛先端末候補の端末IDを読み出すことで、端末IDを抽出する。具体的には、端末抽出部54は、宛先リスト管理テーブル(図11参照)において、対象端末の端末IDと一致する開始要求端末の端末IDに対応付けられている、宛先端末候補の端末IDを読み出す。
また、端末抽出部54は、対象端末の端末IDをキーとして、宛先リスト管理テーブルを検索し、対象端末の端末IDを宛先端末候補として登録している他の端末10の端末IDも抽出する。具体的には、端末抽出部54は、宛先リスト管理テーブル(図11参照)において、対象端末の端末IDと一致する宛先端末候補の端末IDに対応付けられている、開始要求端末の端末IDを読み出す。
端末状態取得部55は、端末IDを検索キーとして、端末管理テーブル(図10参照)を検索し、端末ID毎に稼動状態および通信状態を読み出す。これにより、端末状態取得部55は、ログイン要求してきた端末と通話することができる宛先端末の候補の稼動状態を取得することができる。また、端末状態取得部55は、端末管理テーブルを検索し、ログイン要求してきた端末の稼動状態も取得する。
中継装置選択部56は、複数の中継装置30から1つの中継装置30を選択するための処理を行う。そのため、中継装置選択部56は、図3に示されているCPU201によって、図19に示されるセッションID生成部56a、中継装置抽出部56b、選択部56cを実現する。なお、図19は、図5の中継装置選択部56が詳細に示された機能ブロック図である。
このうち、セッションID生成部56aは、端末間でコンテンツデータが伝送されるセッションを識別するためのセッションIDを生成する。中継装置抽出部56bは、開始要求端末から送られてきた開始要求情報に含まれている開始要求端末の端末IDと宛先端末の端末IDに基づいて、中継装置選択管理テーブル(図14参照)を検索することにより、対応するそれぞれの中継装置IDを抽出する。選択部56cは、中継装置管理テーブル(図8参照)で管理されている中継装置30のうち、稼動状態が「ONライン」となっている中継装置30の中継装置IDを選択することにより、中継装置30の選択を行う。
セッション管理部57は、不揮発性記憶部5000のセッション管理テーブル(図12参照)に、セッションID生成部56aで生成されたセッションID、要求元端末の端末ID、および宛先端末の端末IDを関連付けて記憶して管理する。また、セッション管理部57は、セッション管理テーブルに対して、セッションID毎に、最終的に1つに選択された中継装置30の中継装置IDを記憶して管理する。
更に、セッション管理部57は、参加要求情報に含まれる、参加要求の対象となるセッションに既に参加している参加中端末の端末IDを検索キーとして、セッション管理テーブル(図12参照)を検索し、参加要求の対象となるセッションのセッションIDを抽出する。具体的には、セッション管理テーブル(図12)において、参加中端末の端末IDに一致する開始要求端末の端末IDまたは宛先端末の端末IDを検索する。そして、一致する端末IDに対応付けられているセッションIDを抽出する。
品質決定部58は、上記遅延時間を検索キーとして、品質管理テーブル(図13参照)を検索し、対応する画像データの画質を抽出することで、中継装置30に中継させる画像データの画質を決定する。記憶・読出処理部59は、図3に示されているHDD205によって実行され、不揮発性記憶部5000に各種データを記憶したり、不揮発性記憶部5000に記憶された各種データを読み出す処理を行う。更に、記憶・読出処理部59は、揮発性記憶部5100に各種データを記憶したり、揮発性記憶部5100に記憶された各種データを読み出す処理も行う。
遅延時間管理部60は、上記宛先端末のIPアドレスを検索キーとして、端末管理テーブル(図10参照)を検索することで、対応する端末IDを抽出し、更に、セッション管理テーブル(図12参照)において、上記抽出した端末IDが含まれるレコードにおける遅延時間のフィールド部分に、上記遅延情報で示されている遅延時間を記憶して管理する。
変更要求情報判断部61は、変更要求情報を参照し、変更要求情報が、特定の変更要求情報であるか否かを判断する。ここで、特定の変更要求情報は、「Invite」、「Private Invite」、「Accept」である。すなわち、特定の変更要求情報は、図16に示す状態変更管理テーブルに記憶されている変更要求情報である。
宛先判断部62は、宛先リスト管理テーブル(図11参照)を参照し、端末抽出部54によって抽出されたコンテンツデータ用セッションsedに参加している端末10の宛先端末IDに、参加を要求する端末10の宛先端末IDが含まれているか否かを判断する。
参加判断部63は、通信部51が所定の端末から確立中セッションへの参加要求を受信した場合に、確立中セッションに対応する制限情報を参照し、参加要求情報の送信元の端末である参加要求端末の、確立中セッションへの参加の許否を判断する。
具体的には、参加判断部63は、参加要求情報の取得に応じて、制限情報に参加制限ありが指定されている場合には、参加要求端末の確立中セッションへの参加を禁止する。
<伝送システムの概略動作>
図20を用いて、伝送システム1におけるコンテンツデータおよび各種管理情報の送受信の状態を示した概念を説明する。図20に示されているように、伝送システム1では、開始要求端末と宛先端末Aと宛先端末Bとの間では、管理システム50を介して、各種の管理情報を送受信するための管理情報用セッションseiが確立される。また、開始要求端末と宛先端末Aと宛先端末Bとの間では、中継装置30を介して、高解像度の画像データ、中解像度の画像データ、低解像度の画像データ、および音声データの4つの各データを送受信するための4つのセッションが確立される。ここでは、これら4つのセッションをまとめて、コンテンツデータ用セッションsedとして示している。すなわち、コンテンツデータ用セッションsedは、ビデオ会議に用いられるセッションである。
<参加者事前確認設定>
図21は参加者事前確認設定の画面例を示す図である。
図21に示すようなユーザインタフェース(UI)により、「設定する」を選択することで、宛先一覧画面で宛先を選択する際に会議参加者(参加端末)について事前確認を行う動作を有効にすることができる。また、「設定しない」を選択すると、既存のビデオ会議と同様の動作遷移となり、事前確認の動作は行われない。なお、設定内容は、伝送端末10の不揮発性記憶部1000(図5)に保持される。
<宛先リストの表示>
図22は伝送端末の電源投入から宛先リストが表示されるまでの処理例を示すシーケンス図である。
図22において、端末10aaの利用者が、電源スイッチ109(図2)をONにすると、操作入力受付部12(図5)が電源ONを受け付けて、電源をONにする(ステップS21)。そして、ログイン要求部13は、上記電源ONの受信を契機とし、通信部11から通信ネットワーク2を介して管理システム50に、ログイン要求を示すログイン要求情報を自動的に送信する(ステップS22)。このログイン要求情報には、要求元としての自端末である端末10aaを識別するための端末ID、およびパスワードが含まれている。これら端末ID、およびパスワードは、記憶・読出処理部19を介して不揮発性記憶部1000から読み出されて、通信部11に送られたデータである。なお、端末10aaから管理システム50へログイン要求情報が送信される際は、受信側である管理システム50は、送信側である端末10aaのIPアドレスを把握することができる。
次に、管理システム50の端末認証部52は、通信部51を介して受信したログイン要求情報に含まれている端末IDおよびパスワードを検索キーとして、不揮発性記憶部5000の端末認証管理テーブル(図9)を検索し、端末認証管理DB5002に同一の端末IDおよびパスワードが管理されているかを判断することによって端末認証を行う(ステップS23)。
この端末認証部52によって、同一の端末IDおよびパスワードが管理されているため、正当な利用権限を有する端末10aaからのログイン要求であると判断された場合には、状態管理部53は、端末管理テーブル(図10)に、端末10aaの端末IDおよび端末名で示されるレコード毎に、上記ログイン要求情報が受信された受信日時、および端末10aaのIPアドレスを関連付けて記憶する(ステップS24−1)。
続いて、状態管理部53が、端末10aaの稼動状態「ONライン」と通信状態「None」を設定し、端末管理テーブルに、端末10aaの端末IDおよび端末名で示されるレコード毎に、稼動状態、および通信状態を関連付けて記憶する(ステップS24−2)。
そして、管理システム50の通信部51は、端末認証部52によって得られた認証結果が示された認証結果情報を、通信ネットワーク2を介して、上記ログイン要求してきたログイン要求端末(端末10aa)に送信する(ステップS25)。本伝送システム1では、端末認証部52によって正当な利用権限を有する端末であると判断された場合につき、以下続けて説明する。
端末10aaでは、正当な利用権限を有する端末であると判断された結果が示された認証結果情報を受信すると、通信部11が通信ネットワーク2を介して管理システム50へ、宛先リストを要求する旨が示された宛先リスト要求情報を送信する(ステップS26)。これにより、管理システム50の通信部51は、宛先リスト要求情報を受信する。
次に、端末抽出部54は、ログイン要求したログイン要求端末(端末10aa)の端末ID「01aa」を検索キーとして、宛先リスト管理テーブル(図11)を検索し、ログイン要求端末(端末10aa)が開始要求端末として通話することができる、すなわちセッションを確立することのできる宛先端末候補の端末IDを読み出すことによって抽出する(ステップS27)。また、端末抽出部54は、抽出された端末IDを検索キーとして、端末管理テーブルを検索し、この端末IDに対応する端末名、すなわち宛先端末候補の端末名を読み出すことによって抽出する。
次に、管理システム50の通信部51は、記憶・読出処理部59を介して不揮発性記憶部5000から宛先リスト枠のデータを読み出す(ステップS28)とともに、この宛先リスト枠ならびに上記端末抽出部54によって抽出された、宛先端末候補の端末IDおよび端末名を含めた「宛先リスト情報(宛先リスト枠、端末ID、端末名)」を、開始要求端末(端末10aa)に送信する(ステップS29)。これにより、開始要求端末(端末10aa)では、通信部11が宛先リスト情報を受信し、記憶・読出処理部19が揮発性記憶部1002へ宛先リスト情報を記憶する(ステップS30)。
このように、本伝送システム1では、各端末10で宛先リスト情報を管理するのではなく、管理システム50が全ての端末の宛先リスト情報を一元管理している。よって、伝送システム1に新たな端末10が含まれるようになったり、既に含まれている端末10に替えて新機種の端末10を含めるようになったり、宛先リスト枠の見栄え等を変更することになった場合でも、管理システム50側で一括して対応するため、各端末10側で宛先リスト情報の変更を行う手間を省くことができる。
また、管理システム50の端末状態取得部55は、上記端末抽出部54によって抽出された宛先端末候補の端末IDを検索キーとして、端末管理テーブルを検索し、上記端末抽出部54によって抽出された端末ID毎に、対応する稼動状態および通信状態を読み出すことにより、宛先端末候補としての端末それぞれの稼動状態および通信状態を取得する(ステップS31)。
次に、通信部51は、上記ステップS31で使用された検索キーとしての端末IDと、対応する宛先端末候補の稼動状態および通信状態とを含む状態情報を、通信ネットワーク2を介してログイン要求端末に送信する(ステップS32)。具体的には、ステップS32においては、検索キーとしての端末ID「01ab」と、宛先端末候補(端末10ab)の稼動状態「OFFライン」とを含む状態情報を、ログイン要求端末(端末10aa)に送信する。なお、稼動状態が「OFFライン」の場合には、状態情報には、通信状態は含まれない。また、同じくステップS32の一環として、通信部51は、端末ID「01ba」と、対応する宛先端末候補(端末10ba)の稼動状態「ONライン」と、通通信状態「Private Calling」とを含む状態情報等、宛先端末候補すべてに対する状態情報それぞれをログイン要求端末(端末10aa)へ送信する。
次に、ログイン要求端末(端末10aa)の記憶・読出処理部19は、順次、管理システム50から受信した状態情報を揮発性記憶部1002に記憶する(ステップS33)。よって、ログイン要求端末(端末10aa)は、上記各端末の状態情報を受信することで、開始要求端末としてのログイン要求端末(端末10aa)と通話することができる宛先端末候補である端末10ab等の現時点のそれぞれの稼動状態および通信状態を取得することができる。
次に、ログイン要求端末(端末10aa)の宛先リスト作成部20は、揮発性記憶部1002に記憶されている宛先リスト情報、および端末の状態情報に基づいて、宛先端末候補としての端末10の稼動状態および通信状態を反映させた宛先リストを作成する。そして、表示制御部16は、ディスプレイ120aa(図1)に、所定のタイミングで宛先リストを表示する(ステップS34)。
次に、管理システム50の端末抽出部54は、ログイン要求端末(端末10aa)の端末ID「01aa」を検索キーとして、宛先リスト管理テーブルを検索し、上記ログイン要求端末(端末10aa)の端末ID「01aa」を宛先端末候補として登録している他の端末(開始要求端末)の端末IDを抽出する(ステップS35)。
次に、管理システム50の端末状態取得部55は、上記ログイン要求端末(端末10aa)の端末ID「01aa」を検索キーとして、端末管理テーブルを検索し、ログイン要求端末(端末10aa)の稼動状態と通信状態を取得する(ステップS36)。
そして、通信部51は、上記ステップS35で抽出された端末IDに係る端末のうち、端末管理テーブルで稼動状態が「ONライン」となっている端末に、上記ステップS36で取得されたログイン要求端末(端末10aa)の端末ID「01aa」と、稼動状態「ONライン」と、通信状態「None」とを含む状態情報を送信する(ステップS37−1,S37−2)。次に、端末10baおよび端末10dbは、それぞれ宛先端末候補の状態情報をディスプレイ120に表示する(ステップS38−1,S38−2)。なお、通信部51が端末(10ba,10db)に状態情報を送信する際に、各端末ID(「01ba」、「01db」)に基づいて、端末管理テーブルで管理されている端末のIPアドレスを参照する。これにより、ログイン要求端末(端末10aa)を宛先として通話することができる端末(端末(10ba,10db))ぞれぞれに、上記ログイン要求端末(端末10aa)の端末ID「01aa」と、稼動状態「ONライン」と、通信状態「None」とを伝えることができる。
一方、他の端末10でも、上記ステップS21と同様に、利用者が電源スイッチ109をONにすると、操作入力受付部12が電源ONを受け付け、上記ステップS22〜S38−1,S38−2の処理と同様の処理を行うため、その説明は省略する。
図23は端末10で表示される宛先リストの表示例を示す図である。
図23において、宛先リストは、宛先リスト枠1100−1に宛先端末候補の端末ID1100−2と、端末名1100−3と、状態情報を反映させたアイコン1100−4a〜1100−4cなどを含む表示画面である。
アイコンとしては、OFFラインで通話できないことを示すOFFラインアイコン1100−4aと、ONラインで通話可能であることを示す通話可能アイコン1100−4bと、ONラインで通話中であることを示す通話中アイコン1100−4cとがある。
宛先リスト作成部20は、宛先端末候補の稼動状態が「ONライン」であり、通信状態が「None」である場合には、この宛先端末候補に対し、通話可能アイコン1100−4bを割り当てる。宛先リスト作成部20はまた、宛先端末候補の稼動状態が「ONライン」であり、通信状態が「None」以外である場合には、この宛先端末候補に対し、通話中アイコン1100−4cを割り当てる。宛先リスト作成部20はまた、宛先端末候補の稼動状態が「OFFライン」である場合には、この宛先端末候補に対し、OFFラインアイコン1100−4aを割り当てる。
<会議参加者事前確認>
図24は参加者事前確認の処理例を示すシーケンス図である。
図24において、伝送端末10の利用者が宛先リストの中から宛先を選択すると、参加者事前確認設定が「設定する」となっている場合、伝送端末10から伝送管理システム50に対して、ビデオ会議に参加している伝送端末(選択した伝送端末と、その伝送端末と伝送状態にある他の伝送端末)の情報の要求を表す端末情報要求信号を送信する(ステップS70)。
端末情報要求信号を受信した伝送管理システム50の端末状態取得部55は、端末情報要求信号の送信元のIPアドレスを検索キーとして端末管理テーブル(図10)の「端末のIPアドレス」を検索し、該当するレコードの「端末ID」から、端末情報要求信号を送信した伝送端末10の端末IDを取得する(ステップS71)。
次に、端末状態取得部55は、端末情報要求信号を送信した伝送端末10の端末IDを検索キーとしてセッション管理テーブル(図12)の「開始要求端末ID」および「宛先端末ID」を検索し、該当するレコードの「宛先端末ID」および「開始要求端末ID」から、要求元の端末IDと接続中の端末IDを取得する(ステップS72)。重複する端末IDについては1つだけを残す。
そして、伝送管理システム50は要求元の端末IDと当該端末に接続中の端末IDを含む端末情報を要求元の伝送端末10に送信する(ステップS73)。
伝送端末10は端末情報を受信すると、宛先リスト(端末側で宛先指定に際して作成)に基づく表示情報の生成を行う(ステップS74)。その詳細については後述する。
次に、伝送端末10は、生成された表示情報に基づいて会議参加者事前確認表示を行う(ステップS75)。
会議参加者事前確認表示を参照した利用者は、会議参加を続行するか、キャンセルを行う(ステップS76)。
図25は宛先リストに基づく表示情報の生成(図24のステップS74)の処理例を示す図である。
図25において、伝送端末10は、伝送管理システム50から受信した端末情報の端末IDと宛先指定に際して作成した宛先リストの端末IDとを比較する(ステップS741)。
次に、伝送端末10は、端末情報と宛先リストの両方にある端末IDについては、端末名と端末IDを表示し、宛先リストにない端末IDについては、端末名を空欄にし、端末IDのみを表示する表示情報を生成する(ステップS742)。
図26は生成された表示情報に基づいて表示される会議参加者事前確認画面の例を示す図である。図示の例では、会議参加者(会議参加端末)として、3台の端末が表示され、1番目と3番目の端末については端末名と端末IDが表示されているが、2番目の端末については端末IDは表示されるものの端末名が空欄であるため、自端末の宛先リストに登録されていない端末が参加している会議であることを知ることができる。その上で、会議に参加(入室)する場合は「OK」ボタンを押し、キャンセルする場合は「キャンセル」ボタンを押す。
図27は宛先リストに基づく表示情報の生成(図24のステップS74)の他の処理例を示す図である。
図27において、伝送端末10は、伝送管理システム50から受信した端末情報の端末IDと宛先指定に際して作成した宛先リストの端末IDとを比較する(ステップS745)。
次に、伝送端末10は、端末情報の全ての端末IDが宛先リストの端末IDにあるか否か、端末IDに基づいて検索する等により判断する(ステップS746)。
そして、端末情報の全ての端末IDが宛先リストの端末IDにある場合(ステップS746のYES)、全ての会議参加者が既知である旨の表示情報を生成する(ステップS747)。図28は生成された表示情報に基づいて表示される会議参加者事前確認画面の例を示す図であり、「この会議参加者は、全て登録されている端末です。入室しますか。」といったメッセージとともに、「OK」ボタン、「キャンセル」ボタンが表示されている。
図27に戻り、端末情報のいずれかの端末IDが宛先リストの端末IDにない場合(ステップS746のNO)、会議参加者に既知でない参加者(端末IDのみ)が含まれる旨の表示情報を生成する(ステップS748)。図29は生成された表示情報に基づいて表示される会議参加者事前確認画面の例を示す図であり、「この会議参加者の中に、この端末に登録がない端末が参加していますが、入室しますか。(端末ID:01cd)」といったメッセージとともに、「OK」ボタン、「キャンセル」ボタンが表示されている。
なお、図24では、伝送管理システム50から会議に参加している端末IDのみを伝送端末10に送信し、伝送端末10側で処理を行っているが、ステップS74の処理を伝送管理システム50側で行うようにしてもよい。この場合、宛先リストに代え、端末情報要求信号を送信してきた伝送端末10に対応付けられた宛先リスト管理テーブル(図11)を用いることができる。
<総括>
以上説明したように、本実施形態によれば、会議参加前に、参加しようとしている会議であるか否かの確認を行うことができる。これにより、所望しない会議に誤って参加してしまうという事態を回避することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。