以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、全図面にわたり共通する部分には共通する符号を付すものとし、重複する説明は極力省略する。
図1〜図14は、本発明の第1実施形態における加熱調理器を示している。先ず、加熱調理器の基本的な構成を図1と図2に基づき説明すると、1はオーブン機能を有する加熱調理器の外郭をなす本体であり、本体1の内部には、被調理物である食品Sを収納して加熱する加熱室2が配設される。本体1は略矩形箱状で、加熱室2の内部に食品Sを出し入れするために、本体1の前面にはオーブン2の前面開口を閉じる開閉可能な扉3が配設される。加熱室2を形成する周壁は、天井壁2aと、底壁2bと、左側壁2cと、右側壁2dと、奥壁2eとからなり、これらの各壁2a〜2eを何れも矩形平坦状とした調理庫内を形成している。
加熱室2の裏壁面となる奥壁2eは、その中央に吸込み口5を備えており、吸込み口5を囲むようにして、後述するパンチング穴29により構成される複数の熱風吹き出し口6を備えている。また、加熱室2の上壁面となる天井壁2aは、加熱室2の上方から食品Sを加熱する上ヒータ7を具備する。さらに、加熱室2の左側壁2cと右側壁2dは、底壁2bと接しない状態で加熱室2の内部に有底状の皿8を収納保持するために、左右一対の皿支え9を備えている。本実施形態では、加熱室2の内部で2枚の皿8a,8bに食品Sをそれぞれ載せて調理するいわゆる二段調理を行なうために、加熱室2の左側壁2cと右側壁2dに上下2段の皿支え9が配設される。したがって、皿支え9の段数が1段であれば、加熱室2の内部に収納できる皿8の数は、それに対応して1枚となり、皿支え9の段数が3段以上であれば、加熱室2の内部に収納できる皿8の数も3枚以上となる。
11は、本体1の内部において、加熱室2の後方に具備される熱風ユニットである。この熱風ユニット11は、加熱室2の奥壁2eを共用とし、加熱室2内に熱風を流通させる通風部として、吸込み口5や熱風吹き出し口6を開口形成したケース12と、空気を加熱する加熱手段としての熱風ヒータ13と、加熱室2内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン14と、熱風ファン14を正方向或いは逆方向に回転させる熱風モータ15と、により構成され、ケース12の内部空間16には、熱風ヒータ13と熱風ファン14がそれぞれ配設される一方で、内部空間16の外部には熱風モータ15が配設される。
特にここでは、吸込み口5に対向して、熱風ユニット11内の略中央に遠心ファンとしての熱風ファン14を具備し、その周囲に熱風ヒータ13を配置しており、熱風モータ15への通電に伴い熱風ファン14が回転駆動すると、加熱室2の内部から吸込み口5を通してケース12の内部空間16に吸引された空気が、熱風ファン14の放射方向に吹出して、熱風ヒータ13により加熱され、ケース12の内部空間16から熱風吹き出し口6を通過して、加熱室2内に熱風が供給される。これにより、加熱室2の内外で熱風を循環させる経路が形成され、図2の白抜き矢印で示すような熱風の流れFが、加熱室2内の上段の皿8aを含む上方の空間ゾーンと、下段の皿8bを含む下方の空間ゾーンでそれぞれ発生することで、加熱室2内の食品Sを加熱調理する構成となっている。
図3は、本実施形態で提案する加熱調理器の扉3を開けた状態の外観を示している。同図において、21は加熱室2の奥壁2eに装着され、熱風吹き出し口6の近傍に具備した整流板であり、この整流板21は、図6や図7にも示すように、加熱室2の外側にあって、熱風吹き出し口6の一側を起点として、そこからケース12の内部空間16に向けて、奥壁2eに対し垂直若しくは熱風吹き出し口6側に傾斜して形成される。また、加熱室2内の左側壁2cと右側壁2dには温度検知素子22が具備されており、前述の熱風ファン14は直流電圧で駆動する熱風モータ15により回転するDC(直流)ファンを使用することにより、左右に回転可能となっている。その他、ここでは図示していないが、図1や図2で示した各構成が本体1に組み込まれる。
図4は、図3の整流板21を備えた熱風ユニット11廻りの動作状態を示している。同図において、熱風吹き出し口6は、奥壁2eに配置した場所によって、加熱室2への熱風の吹出し方向が異なる。例えば、本実施形態の熱風吹き出し口6は、天井壁2aと底壁2bに近接し、奥壁2eの上辺と下辺に沿って、熱風ファン14よりも広く横方向に延びてそれぞれ配置された第1の熱風吹き出し口6a1,6a2と、第1の熱風吹き出し口6aよりも奥壁2eの中央側にあって、熱風ファン14の右斜め上方と左斜め下方にそれぞれ配置された第2の熱風吹き出し口6b1,6b2と、熱風ファン14の左側と右側にそれぞれ配置された第3の熱風吹き出し口6c1,6c2とにより構成され、第1の熱風吹き出し口6a1,6a2は、加熱室2内全体の熱風の流れFを生み出すのに対し、第2の熱風吹き出し口6b1,6b2は、主に加熱室2内の中心部を加熱するように熱風の流れFを生み出す。また、第3の熱風吹き出し口6c1,6c2は、その外側に開口を具備すれば、加熱室2の外側に熱風を吹き出し、内側に開口を具備すれば、加熱室2の内側に熱風を吹き出すようになる。
一般的に、熱風ユニット11は上述した熱風吹き出し口6の位置を適宜調整することで、加熱室2内の熱風分布の調整を行っているが、本実施形態では、正逆両方向に回転が可能な熱風ファン14と、熱風吹き出し口6の近傍に設けた整流板21とを組み合わせて、安価な構成で熱風分布の調整が可能な加熱調理器を提案している。図4において、整流板21は第2の熱風吹き出し口6b1の左側と、第2の熱風吹き出し口6b2の右側と、第3の熱風吹き出し口6c1の上側および下側と、第3の熱風吹き出し口6c2の上側および下側にそれぞれ設けられており、熱風ファン14を右方向(正方向)と左方向(逆方向)に回転させたときに、図中矢印で示すような熱風の流れFを加熱室2内に生成する構成となっている。整流板21は、加熱室2内の熱風分布を適切に調整できれば、どの熱風吹き出し口6の近傍に設けても構わない。
図5は、上記加熱調理器の電気的構成を示している。同図において、25は加熱調理器の各部を制御する制御部で、これは演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、入出力デバイスなどを備えており、制御部25の入力ポートには、加熱室2内の温度を検知する温度検知素子22の他に、本体1の前面に設けられる操作部26が電気的に接続し、また制御部25の出力ポートには、上ヒータ7や、熱風ユニット11を構成する熱風ヒータ13および熱風モータ15の他に、操作部26と共に本体1の前面に設けられる表示部27が電気的に接続する。制御部25は、操作部26からの選択指示によりメモリに内蔵するプログラムを読み出して、熱風ユニット11で生成される熱風で加熱室2内の食品Sを加熱調理するオーブン調理制御手段としての機能を処理実行する構成となっている。
次に、上記構成の加熱調理器について、図6や図7を参照しながらその作用を詳しく説明する。予め加熱室2内に食品Sを入れた状態で扉3を閉め、操作部26からの入力により熱風で調理を行なうオーブン調理を選択操作した後に、調理開始を指示すると、制御部25は熱風ファン14が所望の回転数で正方向または逆方向に回転駆動するように、熱風モータ15への入力を制御すると共に、温度検知素子22からの検知信号を取り込んで、加熱室2内が所望の温度となるように熱風ヒータ13への入力を制御する。
この一連の制御で、熱風ファン14が正方向または逆方向に回転すると、加熱室2の内部から吸込み口5を通してケース12の内部空間16に吸引された空気が、熱風ファン14の遠心力によって放射方向に吹き出し、熱風ファン14の略全周を取り囲む発熱した熱風ヒータ13に万遍なく当たって、加熱室2と隔離されたケース12の内部空間16で熱風が生成される。熱風ヒータ13に当った熱風は、何れも熱風ヒータ13の外側に位置する複数の熱風吹き出し口6を通して、図4の矢印で示した流れFで、内部空間16から加熱室2の内部に送り込まれる。
ここで、加熱室2内の中央を主に加熱する第2の熱風吹き出し口6b2と、奥壁2eに対して垂直に形成された整流板21との組み合わせに着目すると、図6(A)に示すように、熱風ファン14が左回転した場合は、ケース12の内部空間16側において、第2の熱風吹き出し口6b2の左側から右側に向けて熱風の流れFが形成されるので、熱風は第2の熱風吹き出し口6b2の右側に設けた整流板21に対してほぼ垂直に当たり、そこから第2の熱風吹き出し口6b2のパンチング穴29に流れ込んで加熱室2側に供給される。
一方、図6(B)に示すように、熱風ファン14が右回転した場合は、ケース12の内部空間16側において、整流板21の右側で熱風の流れFが形成されるが、その熱風は第2の熱風吹き出し口6b2に到達する前に、整流板21に対してほぼ垂直に当たって邪魔されるので、第2の熱風吹き出し口6b2から加熱室2側への熱風の供給が阻害される。
したがって、熱風ファン14の回転方向に伴う熱風の流れFを考慮して、第2の熱風吹き出し口6b2の所定の側に整流板21を配設することで、熱風ファン14が左回転した場合には、加熱室2内の中心部に熱風を供給し、熱風ファン14が右回転した場合は、加熱室2内の中心部への熱風の供給を阻害することができる。また同様の作用は、熱風ファン14の上方に配置された別な第2の熱風吹き出し口6b1に対して、その熱風吹き出し口6b1の右側にではなく、左側に整流板21を配設することで発揮される。その理由は、熱風ファン14が左回転した場合に、ケース12の内部空間16側において、熱風ファン14の下方では左側から右側に向けて熱風の流れFが形成されるのに対し、熱風ファン14の上方では逆に右側から左側に向けて熱風の流れFが形成されるからである。
このように、第2の熱風吹き出し口6b1,6b2と整流板21との組合せに加えて、熱風ファン14を正逆回転可能にすることで、加熱室2の中心部に向けての熱風の流れFを強くしたり弱くしたりすることが可能となる。そのため、制御部41によるオーブン調理制御において、加熱室2の中心部にのみ少量の負荷を置くローストビーフのような食品Sを調理するメニューを、操作部26で選択操作した場合には、制御部41が熱風ファン14を左回転するように熱風モータ15の駆動を制御すれば、食品Sを効率よく加熱調理することが可能となり、また皿9全体に負荷を置くクッキーのような食品Sを調理するメニューを、操作部26で選択操作した場合には、制御部41が熱風ファン14を右回転するように熱風モータ15の駆動を制御すれば、食品S全体を万遍なく加熱調理することが可能となり、食品Sひいては選択した調理メニューに応じて、熱風ファン14の回転の動作シーケンスを変化させるように、熱風ファン14の正逆回転方向の割合を制御して、加熱室2内をより効果の高い熱風分布に変化させることが可能になる。
また本実施形態では、熱風ファン14を右回転させた場合には、加熱室2の中央部分が強めに加熱され、熱風ファン14を左回転させた場合には、加熱室2の外側部分が強めに加熱されることから、この熱風ファン14の右回転と左回転を交互に繰り返しながら、その時間周期を調整して、各調理毎に適切な配分で加熱室2に対する加熱を行なえば、加熱室2内全体の加熱状態(特に、外側と内側の出来具合)を制御できる。
図7は変形例として、整流板21を奥壁2eに対して傾斜させた場合の熱風の流れFを示している。図7(A)に示すように、熱風ファン14が左回転すると、ケース12の内部空間16側において、第2の熱風吹き出し口6b2の左側から右側に向けて熱風の流れFが形成されるが、この場合は熱風が整流板21に対して斜めに当たるので、そこから整流板21に沿ってスムーズに第2の熱風吹き出し口6b2のパンチング穴29に流れ込み、加熱室2側により効率よく熱風を吹き出させることが可能となる。
一方、図7(B)に示すように、熱風ファン14が右回転すると、ケース12の内部空間16側において、整流板21の右側で熱風の流れFが形成されるが、その熱風は第2の熱風吹き出し口6b2に到達する前に、整流板21に対して斜めに当り、第2の熱風吹き出し口6b2からより離れた方向に流れて行くので、第2の熱風吹き出し口6b2から加熱室2側に熱風を更に吹き出しにくくすることが可能となる。
このように、整流板21を奥壁2eに対して傾斜させた場合には、熱風ファン14を左回転させたときに、整流板21に沿って熱風の流れFをスムーズにすることが可能となり、第2の熱風吹き出し口6b2から加熱室2内に熱風を効率よく吹き出させることができる。また、熱風ファン14を右回転させたときには、第2の熱風吹き出し口6b2から加熱室2側への熱風の吹き出しを効果的に抑制し、結果的に加熱室2内をさらに効果の高い熱風分布に変化させることが可能になる。なお、こうした作用は、別な第2の熱風吹き出し口6b1や、第3の熱風吹き出し口6c1,6c2に設けた整流板21に対しても、同じことが言える。
図8は、図3とは熱風吹き出し口6が別な形状を有する加熱調理器の変形例を示している。同図において、ここでは平板状の奥壁2eに対して、第3の熱風吹き出し口6c1,6c2を加熱室2側に膨出させ、ケース12の内部空間16側で、パンチング穴29に臨む空間としての膨出部28(図10や図12を参照)を形成している。そして、第3の熱風吹き出し口6cを通して加熱室2側に熱風を供給する際に、ケース12の内部空間16側において、膨出部28に熱風の吹き溜まりができるので、熱風が更に加熱室2に吹出しやすくなると共に、熱風ユニット11を構成するケース12の外側にまで、第3の熱風吹き出し口6c1を延長させることができる。その他の構成は、上述したものと共通である。
図9および図10は、熱風ファン14の左側に配置され、加熱室2側に膨出した第3の熱風吹き出し口6c1と、奥壁2eに対して斜めに形成された整流板21との組み合わせにおいて、熱風ファン14を左回転させたときの熱風の流れFを示している。第3の熱風吹き出し口6c1は、その外側上方に複数のパンチング穴29が開口形成され、また中心側下方にも別な複数のパンチング穴29が開口形成される。そして、第3の熱風吹き出し口6c1の外側には、正面から見てパンチング穴29の一部と重なり合うように整流板21が斜めに設けられ、第3の熱風吹き出し口6c1の中心側にも、正面から見てパンチング穴29の一部と重なり合うように整流板21が斜めに設けられる。
そして、熱風ファン14が左回転すると、ケース12の内部空間16側において、第3の熱風吹き出し口6c1の周辺で、熱風が上側から下側に流れようとする。そのため、第3の熱風吹き出し口6c1の外側では、第3の熱風吹き出し口6cに到達する前に、熱風が整流板21に対して斜めに当たって、第3の熱風吹き出し口6cから離れた方向に流れて行き、加熱室2側への熱風の吹き出しが確実に阻害される。一方、第3の熱風吹き出し口6c1の中心側では、第3の熱風吹き出し口6c1の上側から下側に向けて熱風の流れFが形成され、さらに整流板21に沿ってスムーズに熱風の流れFが形成されるので、加熱室2内に熱風が効率よく吹き出される。
また、図11および図12は、上記第3の熱風吹き出し口6c1と整流板21との組み合わせにおいて、熱風ファン14を右回転させたときの熱風の流れFを示している。この場合、熱風ファン14が右回転すると、ケース12の内部空間16側において、第3の熱風吹き出し口6c1の周辺で、熱風が下側から上側に流れようとする。そのため、第3の熱風吹き出し口6c1の外側では、第3の熱風吹き出し口6c1の下側から上側に向けて熱風の流れFが形成され、さらに整流板21に沿ってスムーズに熱風の流れFが形成されるので、加熱室2内に熱風が効率よく吹き出される。一方、第3の熱風吹き出し口6c1の中心側では、第3の熱風吹き出し口6cに到達する前に、熱風が整流板21に対して斜めに当たって、第3の熱風吹き出し口6cから離れた方向に流れて行き、加熱室2側への熱風の吹き出しが確実に阻害される。
こうして、熱風ファン14を左回転させたときには、中央側を中心にして、熱風が第3の熱風吹き出し口6cから加熱室2側に供給され、逆に熱風ファン14を左回転させたときには、外側を中心にして、熱風が第3の熱風吹き出し口6cから加熱室2側に供給される。つまり、膨出部28を有する第3の熱風吹き出し口6c1と整流板21との組み合わせに、制御部25が熱風モータ15の駆動を制御して、熱風ファン14を正方向または逆方向に回転させることで、加熱室2に吹き出される熱風の向きを中心側に向けたり、外側に向けたりすることが可能となり、熱風ファン14の回転制御によって、加熱室2内に外側から包み込むような熱風、中心部を集中的に加熱する熱風、またはそれらを組み合わせた全体の分布を調整した熱風を供給して、調理のメニューや目的に合わせた熱風調理が可能となる。なお、こうした作用は、別な第3の熱風吹き出し口6c2に設けた整流板21に対しても、同じことが言える。
制御部25は、熱風モータ15の駆動を制御して、熱風ファン14の回転方向だけでなく、熱風ファン14の回転数も、調理のメニューや目的に合わせて変化させるように構成してもよい。熱風ファン14の回転数を変化させることで、熱風の向きを中心に向けたり、外側に向けたりする度合いを調整することが可能となり、熱風ファン14の回転方向の正逆組み合わせと合わせて、加熱室2内で自由な熱風分布を実現できる。
図13は、本実施形態における熱風ファン14の回転方向と回転数を示すタイミングチャートである。同図において、操作部26からの入力に基づき、制御部25によるオーブン調理制御が開始すると、制御部25は先ず予熱中に、熱風ファン14が一定方向で高速と低速に回転するように熱風モータ15の駆動を制御し、且つ熱風ヒータ13を適宜通電して、熱風ユニット11から加熱室2内に熱風を供給し、加熱室2内の温度を上昇させる。図13に示す例では、予熱段階で熱風ファン14が左方向に所定の時間で高速→低速→高速の順に回転する。
加熱室2内の予熱が終了して、加熱室2内に食品Sが入れられたら、制御部25は次に、熱風ヒータ13を適宜通電しながら、所定の回転数で熱風ファン14が左方向と右方向に交互に回転するように、熱風モータ15の駆動を制御する。ここで制御部25は、温度検知素子22の検知結果に基づき、加熱室2の右側部の検知温度に比べて、加熱室2の左側部の検知温度が低いと判断したら、一定期間は熱風ファン14の左方向の回転を優先させ、さらにそれまでよりも熱風ファン14の回転数を増加させる。そして、引き続き温度検知素子22の検知結果を監視して、加熱室2の右側部と左側部の検知温度が一致したら、再び所定の回転数で熱風ファン14が左方向と右方向に交互に回転するように、熱風モータ15の駆動を制御する。このような制御を加熱中に制御部25が常に実施することで、温度検知素子22の検知結果に基づく熱風ファン14の回転方向や回転数のフィードバック制御が実現可能となり、加熱室2内の左右の温度分布を均一にするなどして、熱風分布の改善を図ることができる。
また制御部25は、熱風ファン14の回転方向や回転数を制御しつつ、その動作状態を表示部27に表示させている。図14は、表示部27の具体的構成を示したものであるが、ここでは複数の表示素子27aを組み合わせて、全体で円環状の表示部27を構成している。表示素子27aは例えばLEDなどで構成され、表示素子27aを個々に点灯または消灯させることで、熱風ファン14の回転方向や回転数を直感的に表示する構成となっている。表示部27の表示形態は図14に示したものに限定されないが、何れにせよこうした表示部27を利用して、加熱調理器の動作状況を使用者に提示することが可能となる。
以上のように、本実施形態では、食品Sを入れる加熱室2と、加熱室2に熱風を入れる熱風ユニット11とを具備し、熱風ユニット11内には熱風ファン14と熱風ヒータ13を具備した加熱調理器において、熱風ファン14は正逆両方向の回転が可能であり、且つ加熱室2と熱風ユニット11との接合面である加熱室2の奥壁2eに熱風吹き出し口6を有し、熱風吹き出し口6の近傍に整流板21を設けている。
この場合、複数の熱風吹き出し口6と、整流板21と、正逆回転される熱風ファン14の組合せにより、熱風ファン14の回転方向を変化させ、整流板21により熱風吹き出し口6を選択的に使用して、そこから加熱室2内に熱風を送り込むことができ、加熱室2内の主に中心部への加熱と、加熱室2内の主に外側からの加熱を制御可能となるだけでなく、熱風ファン14の正逆回転を交互に繰り返しながら、各回転方向の時間周期を調整することで、加熱室2全体の加熱状態を制御できる。そのため、安価な構成で、加熱室2内をより効果の高い熱風分布に変化させることが可能になる。
また本実施形態では、特に図7に示したように、加熱室2の奥壁2eに対して、整流板21を傾斜させている。
この場合、加熱室2の奥壁2eに対して、整流板21を所定の角度で斜めに傾けることで、その整流板21に沿って熱風の流れFをスムーズにすることが可能になる。
また本実施形態では、特に図9〜図12に示したように、加熱室2の奥壁2eに対して、熱風吹き出し口6を加熱室2側に膨出させている。
この場合、熱風吹出し部6を膨出させることにより、膨出部28に熱風の吹き溜まりができて、熱風が加熱室2に吹き出しやすくなると共に、熱風ユニット11の外側にまで熱風吹き出し口6を延長させることができ、加熱室2内の主に中心部への加熱と、加熱室2内の主に外側からの加熱と、加熱室2全体の加熱状態がより効果的に制御可能となる。
また本実施形態では、例えばローストビーフのような食品Sの調理メニューや、クッキーのような食品Sの調理メニューを選択した場合に、その選択した調理メニューにより、熱風ファン14の回転の動作シーケンスを変化させるような構成を、制御部25として具備している。
この場合、食品Sによって熱風ファン14の正逆回転の割合を制御して、加熱室2内の熱風分布を変化させることが可能となり、熱風ファン14の正回転と逆回転を組み合わせることで、調理メニューや目的に合せて熱風調理を行なうことができる。そのため、調理メニューに応じて、加熱室2内の主に中心部への加熱と、加熱室2内の主に外側からの加熱を組み合わせた熱風分布の改善が可能となる。
また本実施形態では、熱風ファン14の回転方向だけでなく、熱風ファン14の回転数も変化させるように、前記制御部25を構成している。
こうすると、熱風ファン14の回転方向だけでなく、熱風ファン14の回転数の変化を追加することにより、加熱室2内の主に中心部への加熱と、加熱室2内の主に外側からの加熱の度合いも調整可能となり、加熱室2内でより自由な熱風分布を実現できる。
また本実施形態では、加熱室2の左右側部に温度検知素子22をそれぞれ具備し、温度検知素子22の検知結果により、熱風ファン14の回転方向や回転数を制御するように、前記制御部25を構成している。
この場合、それぞれの温度検知素子22からの検知結果に基づき、加熱室2内の左右の温度差を検知して、熱風ファン14を制御することができ、加熱室2内の左右の温度分布を均一にするなどして、熱風分布の改善も可能になる。
さらに本実施形態では、熱風ファン14の動作状態を表示する表示手段として、複数の表示素子27aを組み合わせた表示部27を具備している。
この場合、熱風ファン14の動作状態を表示部27で表示することで、加熱調理器の動作状況を使用者に提示することが可能となる。
本発明の第2実施形態における加熱調理器を、図15〜図19の各図面を参照して説明する。
図15は、本実施形態で提案する加熱調理器の扉3を開けた状態の外観を示している。同図において、第1実施例との相違点は、熱風吹き出し口6が第1の熱風吹き出し口6a1,6a2だけで構成されることと、熱風ヒータ13が、熱風ファン14の上側と下側にそれぞれ分割して、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bとして各々独立して設けられていることと、加熱室2の左側壁2cの上部と下部、および右側壁2dの上部と下部に、それぞれ温度検知素子22が設けられていることである。それ以外の構成は、第1実施形態と共通している。
前述のように、加熱室2内には複数の温度検知素子22が具備されており、熱風ファン14はDCファンを使用することにより、左右に回転が可能となっている。そして制御部25は、それぞれの温度検知素子22からの検知結果に基づき、加熱室2内の温度を細かく検知して、熱風ファン14の回転方向を適切に制御する構成となっており、加熱室2内の温度状態に基づく熱風ファン14の制御で、その温度分布をさらに改善することが可能になる。
また、熱風ファン14はDCファンであるので、熱風モータ15に対して左右の回転制御およびオン/オフ制御や供給電圧を制御することにより、熱風ファン14の回転数も制御できる。そのため、温度検知素子22からの検知結果に基づき、熱風ファン14の回転数を制御するように制御部25を構成すれば、熱風ファン14の回転方向と回転数を制御することが可能となり、加熱室2内の温度分布をより理想的に改善できる。
複数の温度検知素子22は、加熱室2内のどの場所に具備しても構わないが、加熱室2の左側部と右側部にそれぞれ具備するのが好ましい。この場合、第1実施形態で図13を参照して説明した動作手順を制御部25が実行することで、それぞれの温度検知素子22からの検知結果に基づき、加熱室2内の左右の温度差を検知して、熱風ファン14の回転方向や回転数を制御することができ、加熱室2内の左右の温度分布を均一にすることが可能となる。
図16は、ケース12の後方から見た熱風ユニット11を示している。熱風ユニット11は加熱室2の後方に具備され、ケース12の略中央に熱風ファン14が配設されるが、本実施形態では熱風ファン14の上側に直線状の上熱風ヒータ13aが設けられ、熱風ファン14の上側にU字状の下熱風ヒータ13bが設けられ、これらの上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bとにより熱風ファン14を取り囲んでいる。
図17は、本実施形態における加熱調理器の電気的構成を概略的に示している。同図において、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bはそれぞれ異なる出力を有し、各々が独立して制御できるように、制御部25の同じ出力ポートにではなく、別な出力ポートにそれぞれ接続される。また本実施形態では、制御部25の入力ポートに4個の温度検知素子22がそれぞれ接続され、各温度検知素子22からの各検知結果を制御部25に取り込んで温度比較を行ない、上熱風ヒータ13aや下熱風ヒータ13bの他に、送風ファン14の駆動源となる送風モータ15の駆動を制御し、また表示部27の表示を制御する構成となっている。なお、その他の電気的構成は図示していないが、第1実施例と共通している。
図18は、本実施形態における上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの動作制御形態を示すタイミングチャートである。同図において、操作部26からの入力に基づき、制御部25によるオーブン調理制御が開始すると、制御部25は先ず予熱中に、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bが最大出力となるように連続通電制御して、加熱室2内の温度を上昇させる。
加熱室2内の予熱が終了して、加熱室2内に食品Sが入れられたら、制御部25は次の加熱段階に移行して、温度検知素子22の検知結果を取り込んで確認し、例えば加熱室2の下部の検知温度が上部の検知温度と比較して低いと判断したら、一定期間は上熱風ヒータ13aの出力を下げるために、上熱風ヒータ13aだけを通断電制御する。そして、引き続き温度検知素子22の検知結果を監視して、加熱室2の下部の検知温度と上部の検知温度が一致したら、再び上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bが同じ出力となるように、何れも連続通電制御する。このような制御を加熱中に制御部25が常に実施することで、温度検知素子22の検知結果に基づく熱風ヒータ13のフィードバック制御が実現可能となり、加熱室2内の上下の温度分布を均一にするなどして、熱風分布の改善を図ることができる。さらにこのような熱風ヒータ13のフィードバック制御と、第1実施形態で説明した熱風ファン14のフィードバック制御を組み合わせることで、より理想的な熱風分布の改善を図ることが可能になる。
図19は、本実施形態における表示部27の具体的構成を示している。ここでは、第1実施形態で説明した円環状に配置された複数の表示素子27aの他に、直線状の2本の表示素子27bを組み合わせて表示部27が構成される。表示素子27a,27bは何れもLEDなどで構成され、表示素子27aは熱風ファン14の動作状態を表示する一方で、表示素子27aの上下に配設される表示素子27bは、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの各動作状態を表示する。ここでは、表示素子27bによる上下のバー点灯によって、上熱風ヒータ13aや下熱風ヒータ13bの動作を表現し、表示素子27aによる中央サークルの点滅によって、熱風ファン14の回転方向や回転数を表現するように構成される。
本実施形態では、加熱室2の内部で熱風ヒータ13を上下に分割して配置したので、制御部25によるオーブン調理中に、複数の温度検知素子22からの検知結果に基づき、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bを各々独立して制御することができる。したがって、制御部25が熱風ファンの回転方向や回転数を制御することと相俟って、加熱室2内の温度分布をより理想的に改善できる。
また本実施形態のように、温度検知素子22を加熱室2の上部と下部にそれぞれ備えていれば、加熱室2内の上下の温度差を制御部25で検知して、上下に分割された上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bをそれぞれ独立して制御することができ、加熱室2内の上下の温度分布を均一にできる。したがって、加熱室2内の温度状態に基づく熱風ファン14や熱風ヒータ13への制御で、温度分布をさらに改善した加熱調理器を提供できる。
さらに、図19で示したような表示部27で熱風ファン14や熱風ヒータ13の動作状態を表示することで、加熱調理器の動作状況を使用者に提示することが可能となる。
以上のように本実施形態では、食品Sを入れる加熱室2と、加熱室2に熱風を入れる熱風ユニット11とを具備し、熱風ユニット11内には熱風ファン14と熱風ヒータ13を具備した加熱調理器において、熱風ファン14は正逆両方向の回転が可能であり、且つ加熱室2に複数の温度検知素子22を具備し、温度検知素子22の検知結果により、熱風ファン14の回転方向を制御する構成としている。
この場合、複数の温度検知素子22からの検知結果に基づき、加熱室2内の温度を細かく検知して、熱風ファン14の回転方向を制御することができ、加熱室2内の温度状態に基づく熱風ファン14の回転方向の制御で、温度分布をさらに改善した加熱調理器を提供できる。
また本実施形態では、温度検知素子22の検知結果により、熱風ファン14の回転数を制御する構成となっている。
この場合、複数の温度検知素子からの検知結果に基づき、加熱室2内の温度を細かく検知して、熱風ファン14の回転方向だけでなく、回転数を制御することも可能になり、加熱室2内の温度分布をより理想的に改善できる。
また本実施形態では、温度検知素子22を加熱室2の左側部と右側部にそれぞれ具備している。
この場合、温度検知素子22からの検知結果に基づき、加熱室2内の左右の温度差を検知して、熱風ファン14の回転方向や回転数を制御することができ、加熱室2内の左右の温度分布を均一にすることが可能となる。
また本実施形態では、熱風ヒータ13を上下に分割し、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bとして配置している。
この場合、複数の温度検知素子22からの検知結果に基づき、加熱室2内の温度を細かく検知して、熱風ファン14の回転方向だけでなく、分割された上下の上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bとを独立して制御することができ、温度分布をより理想的に改善した加熱調理器を提供できる。
また本実施形態では、温度検知素子22を加熱室2の上部と下部にそれぞれ具備している。
この場合、それぞれの温度検知素子22からの検知結果に基づき、加熱室2内の上下の温度差を検知して、分割された上下の上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bを独立して制御することができ、加熱室2内の上下の温度分布を均一にすることが可能となる。したがって、加熱室2内の温度状態に基づく熱風ファン14や上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの制御で、温度分布をさらに改善した加熱調理器を提供できる。
さらに本実施形態では、熱風ファン14や上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの動作状態を表示する表示手段として、表示部27を具備している。
この場合、熱風ファン14や上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの動作状態を表示部27で表示することで、加熱調理器の動作状況を使用者に提示することが可能となる。
本発明の第3実施形態における加熱調理器を、図20〜図24の各図面を参照して説明する。
図20は、本実施形態の加熱調理器において、特に上下2枚の皿8a,8bを加熱室2に入れた二段調理時における熱風の流れFを示している。また図21は、下段の皿8bだけを加熱室2に入れた一段調理時における熱風の流れFを示している。なお、加熱調理器そのものの構成は、制御部25の制御構成が一部異なるだけで、それ以外は第2実施形態と概ね共通している。
本実施形態では、熱風ヒータ13として上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bが異なる出力を有するように構成される。熱風ヒータ13は複数であれば、その数は限定されない。熱風ユニット11内で各々の熱風ヒータ13の出力を異ならせることで、複数の例えば上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bとの組合せによる自由な調理制御を実現でき、加熱室2内の温度分布を改善して、最適な加熱調理を行なうことが可能になる。
また、図20や図21において、回転する熱風ファン14で生成された風は、熱風ファン14の放射方向に配置された上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bで加熱され、奥壁2eの上部と下部にそれぞれ配置された熱風吹き出し口6から、加熱室2内に供給される。このとき図20に示すように、加熱室2内の上側では、上部の熱風吹き出し口6から吹き出した熱風が、皿8aに載置した食品Sに直接当たるのに対して、加熱室2内の下側では、下部の熱風吹き出し口6から吹き出した熱風が、皿8bの下面を通った後、皿8bの上面側で吸込み口5に帰ってくるときに、皿8bに載置した食品Sに当たることになる。そのため二段調理では、一般的に上段の皿8aに載せた食品Sに比べて、下段の皿8bに載せた食品Sの加熱が若干遅れ、下段の仕上がりを待つ分だけ調理が遅れる上に、余計なエネルギーを消費する要因や、上段の食品Sと下段の食品Sとの間で、加熱が不均一になる要因となっていた。また、このような傾向は一段調理で特に顕著に現れていた。
そこで本実施形態では、上熱風ヒータ13aの出力よりも下熱風ヒータ13bの出力を大きくすることで、加熱室2内における上部と下部の温度分布を基本的に改善し、上段の食品Sと下段の食品Sとを同等に加熱できるようにする。これにより、加熱室2に入れた食品Sに対する加熱時間を短縮し、省エネルギーを図って、加熱室2内の上下の温度分布を改善した加熱調理器を提供できる。
さらに、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの出力を異ならせるには、例えば上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bとの間で、通電率や通電タイミングなどの動作を変えるように、制御部25がこれらの上熱風ヒータ13aや下熱風ヒータ13bを個別に制御すればよい。上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの出力を個々に制御することで、加熱室2内の温度分布をさらに改善して、より最適な加熱調理を実現できる。
また本実施形態では、熱風ヒータ13の他に上ヒータ7を備えており、制御部25によりその出力が制御される。熱風ヒータ13と上ヒータ7の出力を異ならせる場合も、熱風ヒータ13と上ヒータ7との間で、通電率や通電タイミングなどの動作を変えるように、制御部25がこれらの熱風ヒータ13や上ヒータ7を個別に制御すればよい。熱風ヒータ13だけでなく上ヒータ7の出力を各々制御することで、必要に応じて加熱室2の上方から上ヒータ7による熱を加えることができ、加熱室2内の温度分布をさらに改善して、より最適な加熱調理を実現できる。
図22は、制御部25による上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの具体的な制御の一例を示したタイミングチャートである。予熱時には加熱室2内をなるべく早く加熱することが重要となる。そのため予熱段階では、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bをフル出力するのに連続通電して加熱室2内を加熱し、温度の立ち上がりを最小にする。これにより、省エネルギーが期待できる。
次に図21で示したように、食品Sを載せた皿8bを加熱室2に入れる。この場合、次の加熱段階では、加熱室2内で皿8bを加熱して下火を確保することが重要になる。そこで加熱段階の初期には、上熱風ヒータ13aは出力を落とすために通断電する一方で、下熱風ヒータ13bをフル出力するのに連続通電し、加熱室2内の下部に配置される皿8bを優先的に加熱する。その後の加熱段階で、皿8bをある程度加熱したら、上熱風ヒータ13aも再びフル出力するのに連続通電し、食品Sを十分に加熱する。
このように上記実施形態では、予熱時に上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bを最大出力にして、加熱時間を短縮することで、加熱調理器としての省エネルギーを図ることができる。さらに加熱段階の初期には上熱風ヒータ13aの出力を落として省エネルギーを図り、下熱風ヒータ13bによる加熱で皿8bへの下火を強くして、食品Sの加熱分布を改善することができる。
図23は、食品Sとしてパンを加熱調理する場合の、制御部25による上ヒータ7と上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの具体的な制御の一例を示したタイミングチャートである。パンを加熱調理する調理メニューを、操作部26で選択操作した場合も、予熱時には加熱室2内をなるべく早く加熱することが重要となる。そのため予熱段階では、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bをフル出力するのに連続通電して加熱室2内を加熱し、温度の立ち上がりを最小にする。これにより、省エネルギーが期待できる。
次に食品Sとして、発酵したパンだねを載せた皿8を加熱室2に入れるが、特にパンは加熱段階初期の下火加熱が重要であることから、加熱段階の初期には、上熱風ヒータ13aは出力を落とすために通断電する一方で、下熱風ヒータ13bをフル出力するのに連続通電し、加熱室2内の下部に配置される皿8を優先的に加熱する。その後の加熱段階で、皿8をある程度加熱したら、上熱風ヒータ13aも再びフル出力するのに連続通電し、食品Sであるパン全体を十分に加熱する。さらにパンが十分に加熱されて膨らんだら、下熱風ヒータ13bの通電を停止する代わりに、上ヒータ7を連続通電し、パンを上部から加熱して焦げ目をつける。
このように上記実施形態では、予熱時に上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bを最大出力にして、加熱時間を短縮することで、加熱調理器としての省エネルギーを図ることができる。さらに加熱段階の初期には上熱風ヒータ13aの出力を落として省エネルギーを図り、下熱風ヒータ13bによる加熱でパンに必要な下火加熱を確保することが可能となる。さらに、加熱室2内でパンが十分に膨らんだら、仕上げとして上ヒータ7と上熱風ヒータ13aをそれぞれ通電して、パンに焦げ目を付けることができる。
図24は、別な調理方法を示すもので、ここでは食品Sを載せた皿8aを加熱室2の上段に入れ、操作部26により上熱風ヒータ13aのみで調理を行なうメニューを選択すると、制御部25が上ヒータ7や下熱風ヒータ13bへの通電を行なわず、上熱風ヒータ13aのみを通電制御して、加熱室2内の加熱調理を行なう。これにより加熱室2の上側のみを使用して、省エネルギーを図りながら加熱室2内の食品Sを加熱調理することが可能になる。
以上のように本実施形態では、食品Sを入れる加熱室2と、加熱室2に熱風を入れる熱風ユニット11とを具備し、熱風ユニット11内には複数の熱風ヒータ13として上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bを具備した加熱調理器において、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの出力を異ならせている。
この場合、熱風ユニット11内で上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの出力を異ならせることで、複数の熱風ヒータ13の組合せによる自由な調理制御を行なうことが可能となり、加熱室2内の温度分布を改善して、最適な加熱調理を実現できる。
また本実施形態では、熱風ヒータ13を上下に配置し、上部の熱風ヒータである上熱風ヒータ13aよりも、下部の熱風ヒータである下熱風ヒータ13bの出力を高くさせている。
この場合、下熱風ヒータ13bの出力を上熱風ヒータ13aの出力よりも大きくして、加熱室2内の上部と下部の温度分布を改善する構成とすることで、食品Sに対する加熱時間を短縮し、省エネルギーを図って、加熱室2内の上下の温度分布を改善した加熱調理器を提供できる。
また本実施形態では、加熱時の形態(例えば、一段調理か二段調理か、食品Sの大きさや形状、その他、調理時の条件のバリエーション)や、工程や、メニューにより、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの動作を変える構成となっている。
この場合、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bの出力を制御することで、加熱室2内の温度分布をさらに改善して、より最適な加熱調理を実現できる。
また本実施形態では、上熱風ヒータ13aや下熱風ヒータ13bとは別に上ヒータ7を有し、加熱時の形態や、工程や、メニューにより、上熱風ヒータ13aや下熱風ヒータ13bと上ヒータ7の動作を変える構成としている。
この場合、上熱風ヒータ13aや下熱風ヒータ13bに加えてさらに上ヒータ7の出力を制御することで、加熱室2内の温度分布をさらに改善して、より最適な加熱調理を実現できる。
また本実施形態では、予熱時には上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bを最大出力で連続通電してフル動作させ、一段調理の初期時には上熱風ヒータ13aよりも下熱風ヒータ13bの動作時間を長くする構成としている。
この場合、予熱時には、上熱風ヒータ13aと下熱風ヒータ13bを最大出力にして加熱時間を短縮することで省エネルギーを図り、さらに加熱段階の初期には上熱風ヒータ13aの出力を落として省エネルギーを図ると共に、下熱風ヒータ13bによる加熱で下火を強くして、食品Sの加熱分布を改善することが可能になる。
また本実施形態では、食品Sとしてパンを調理する工程において、調理開始時には上熱風ヒータ13aよりも下熱風ヒータ13bの動作時間を長くし、調理終了段階で下熱風ヒータ13bを動作停止させて、上熱風ヒータ13aと上ヒータ7で食品Sを調理する構成としている。
この場合、パンを調理する工程では、特に初期の下火加熱が重要であることから、調理開始時に上熱風ヒータ13aの出力を落として省エネルギーを図ると共に、下熱風ヒータ13bによる加熱で下火を強くすることで、パン調理に必要な下火加熱を確保できる。その後、パンが十分に膨らんだら、下熱風ヒータ13bを動作停止する一方で、上熱風ヒータ13aと上ヒータ7を動作させて、焦げ目のついたパンを作る調理制御を実現できる。
また本実施形態では、上熱風ヒータ13aのみで調理を行なうメニューを選択できる構成を有している。
この場合、加熱室2の上側のみを使用して、省エネルギーを図りながら加熱室2内の食品Sを加熱調理することが可能になる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、上記各実施形態で説明した各部の特徴を適宜組み合わせても構わない。