JP6347947B2 - 菌糸形成抑制剤 - Google Patents

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本発明は、カンジダ菌における菌糸形成抑制剤に関する。
人の身体や生活環境を清潔に保つことは、健康を維持する上でも欠かせないことであり、周辺に存在し得る不要な雑菌は可能な限り除去するのが望ましい。こうした雑菌として、大腸菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌のほか、義歯や補綴物に付着するバイオフィルムの形成に大きく関与するカンジダ菌等が知られており、これらを有効に殺菌又は除去し得る様々な剤が開発されている。
例えば、特許文献1には、低刺激性界面活性剤と陽イオン性でない殺菌剤を含有する皮膚洗浄料が開示されており、刺激性を低減しながらカンジダ菌に対しても殺菌力を発揮することが記載されている。また、特許文献2には、エリスリトール等の糖アルコールとカチオン性殺菌剤を特定の質量比で含有するカンジダバイオフィルム除去剤が開示されており、殺菌剤のカンジダバイオフィルムへの浸透性を促進して、殺菌効果が高められることが記載されている。
特開2005−29532号公報 特開2008−303188号公報
一方、カンジダ菌は、菌糸が形成されて酵母形から菌糸形へと形態が変異し得る真菌であり、かかる変異によって付着性が増し、生物組織等の被着体内部へ侵入しやすくなるため、病原因子として機能するおそれが高まる。こうしたことに加え、本発明者は、カンジダ菌が酵母形から菌糸形へ変異することによって、殺菌剤による殺菌効果も減じられるおそれがあるとの知見を得た。しかしながら、上記いずれの文献においても、カンジダ菌の酵母形から菌糸形へ変異によって及ぼされる影響については何ら着目していないため、カンジダ菌における菌糸形成を十分に阻止することができない可能性がある。
したがって、本発明は、低刺激性を実現しながら、カンジダ菌における酵母形から菌糸形への形態の変異を有効に抑制できる菌糸形成抑制剤に関する。
そこで本発明者は、特定の有効成分を特定の量で含有することにより、刺激性を低減しつつ、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を有効かつ効果的に抑制できる剤を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、次の(A)、(B)並びに(C):
(A)メチル−ナフチルケトン、ピペリトン及びマルトールより選ばれる1種又は2種以上のケトン、
(B)ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル及びメチルフェニルグリシッド酸エチルより選ばれる1種又は2種以上のエステル、並びに
(C)テルピネオール及びビサボロールより選ばれる1種又は2種以上のアルコール
からなる有効成分より選ばれる1種又は2種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下含有する、カンジダ菌における菌糸形成抑制剤を提供することに関する。
また本発明は、次の(A)、(B)並びに(C):
(A)メチル−ナフチルケトン、ピペリトン及びマルトールより選ばれる1種又は2種以上のケトン、
(B)ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル及びメチルフェニルグリシッド酸エチルより選ばれる1種又は2種以上のエステル、並びに
(C)テルピネオール及びビサボロールより選ばれる1種又は2種以上のアルコール
からなる有効成分より選ばれる1種又は2種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下含有する、口腔内或いは義歯又は補綴物表面におけるカンジダ菌付着抑制剤を提供することに関する。
さらに本発明は、次の(A)、(B)並びに(C):
(A)メチル−ナフチルケトン、ピペリトン及びマルトールより選ばれる1種又は2種以上のケトン、
(B)ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル及びメチルフェニルグリシッド酸エチルより選ばれる1種又は2種以上のエステル、並びに
(C)テルピネオール及びビサボロールより選ばれる1種又は2種以上のアルコール
からなる有効成分より選ばれる1種又は2種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下含有する、口腔内或いは義歯又は補綴物表面におけるバイオフィルム形成抑制剤を提供することに関する。
また本発明は、次の(A)、(B)並びに(C):
(A)メチル−ナフチルケトン、ピペリトン及びマルトールより選ばれる1種又は2種以上のケトン、
(B)ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル及びメチルフェニルグリシッド酸エチルより選ばれる1種又は2種以上のエステル、並びに
(C)テルピネオール及びビサボロールより選ばれる1種又は2種以上のアルコール
からなる有効成分より選ばれる1種又は2種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下含有する、口腔内或いは義歯又は補綴物表面における殺菌作用促進剤を提供することに関する。
さらに本発明は、次の(A)、(B)並びに(C):
(A)メチル−ナフチルケトン、ピペリトン及びマルトールより選ばれる1種又は2種以上のケトン、
(B)ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル及びメチルフェニルグリシッド酸エチルより選ばれる1種又は2種以上のエステル、並びに
(C)テルピネオール及びビサボロールより選ばれる1種又は2種以上のアルコール
からなる有効成分より選ばれる1種又は2種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下を含有し、
さらに(D)殺菌剤を0.001質量%以上0.1質量%以下含有する口腔用組成物を提供することに関する。
本発明の菌糸形成抑制剤によれば、低刺激性でありながら、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を効果的に抑制して菌糸形への変異を有効に抑止することができる。また、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を有効に抑制することにより、口腔内でのカンジダ菌の付着、或いは義歯又は補綴物表面へのカンジダ菌の付着を抑制したり、またバイオフィルムの形成を抑制したりすることも可能であるため、カンジダ菌付着抑制剤やバイオフィルム形成抑制剤としても有用である。さらに、酵母形のカンジダ菌が、殺菌剤の作用を減じる菌糸形のカンジダ菌へと変異することを有効に抑止できるため、殺菌作用を飛躍的に高め得る殺菌作用促進剤として用いることも可能である。
実施例において光学顕微鏡により菌体の形態を観察した際、菌糸形転換率が0%以上30%未満であり、評価指標がAであると判断されたときの菌体の画像を示す図である。 実施例において光学顕微鏡により菌体の形態を観察した際、菌糸形転換率が30%以上60%未満であり、評価指標がBであると判断されたときの菌体の画像を示す図である。 実施例において光学顕微鏡により菌体の形態を観察した際、菌糸形転換率が60%以上100%以下であり、評価指標がBであると判断されたときの菌体の画像を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤は、(A)メチル−ナフチルケトン、ピペリトン及びマルトールより選ばれる1種又は2種以上のケトン、(B)ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル及びメチルフェニルグリシッド酸エチルより選ばれる1種又は2種以上のエステル、並びに(C)テルピネオール及びビサボロールより選ばれる1種又は2種以上のアルコールからなる有効成分より選ばれる1種又は2種以上を合計で0.001質量%以上0.1質量%以下含有する。これらの有効成分は香料成分としても知られ、ある程度の含有量で抗菌作用をもたらし得ることでも知られる成分ではある。しかしながら、本発明では、これら特定の有効成分を用いつつ、抗菌作用を到底発揮し得ない上記限られた含有量とすることにより、予想外にも酵母形のカンジダ菌において菌糸が形成されるのを効果的に抑制することができ、低含有量であるが故に刺激性を低減することをも可能とするものである。また、これら有効成分は安全性も高く、例えば口腔内においても、或いは義歯や補綴物に対しても、本発明の菌糸形成抑制剤を好適に用いることができる。
成分(A)は、その構造の一部にカルボニル基を有し、ケトンとして分類され得る有効成分であり、メチル−ナフチルケトン、ピペリトン及びマルトールが挙げられる。いずれも酵母形のカンジダ菌における菌糸形成抑制効果を発揮することができ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
成分(B)は、その構造の一部にエステル結合を有し、エステルとして分類され得る有効成分であり、ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル及びメチルフェニルグリシッド酸エチルが挙げられる。いずれも酵母形のカンジダ菌における菌糸形成抑制効果を発揮することができ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
成分(C)は、その構造の一部にヒドロキシ基を有し、アルコールとして分類され得る有効成分であり、テルピネオール及びビサボロールが挙げられる。いずれも酵母形のカンジダ菌における菌糸形成抑制効果を発揮することができ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤は、これら成分(A)、成分(B)及び成分(C)から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として用いるものである。すなわち、メチル−ナフチルケトン、ピペリトン、マルトール、ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、フェニル酢酸エチル、酢酸シトロネリル、メチルフェニルグリシッド酸エチル、テルピネオール及びビサボロールから選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含有する。これら有効成分であれば、低い含有量であっても酵母形のカンジダ菌における菌糸形成抑制効果を十分に発揮することができるため、含有量を減じることによる刺激性の低減が容易である。なかでも、より低い含有量であってもカンジダ菌における菌糸形成抑制効果を発揮する観点から、ピペリトン、マルトール、ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、酢酸シトロネリル、メチルフェニルグリシッド酸エチル、ビサボロール及びテルピネオールが好ましく、ケイ皮酸エチル、酢酸シトロネリル、及びビサボロールがより好ましい。また、香や刺激の低さとカンジダ菌における菌糸形成抑制効果のバランスから、ビサボロールがさらに好ましい。
これら有効成分の含有量は、優れた菌糸抑制効果を確保する観点から、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、合計で0.001質量%以上であって、その成分の種類やその他付随する効果によっても変動し得るが、好ましくは0.002質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上である。有効成分の含有量は、低刺激性を実現する観点から、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、合計で0.1質量%以下であって、その成分の種類やその他付随する効果によっても変動し得るが、好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以下である。また、有効成分の含有量は、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、合計で0.001〜0.1質量%であって、好ましくは0.002〜0.05質量%であり、より好ましくは0.005〜0.03質量%である。
また、有効成分の含有量は、剤中における成分の安定性を良好に確保する観点から、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、合計で0.001質量%以上であって、その成分の種類によっても変動し得るが、好ましくは0.002質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上であり、0.1質量%以下であって、好ましくは0.005質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以下である。こうした剤中における成分の安定性を良好に確保する観点から、有効成分としては、メチル−ナフチルケトン、ピペリトン、マルトール、ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、テルピネオール及びビサボロールが好ましく、ピペリトン、マルトール、テルピネオール及びビサボロールがより好ましい。
さらに、有効成分の含有量は、良好な香りをもたらし、使用感を高める観点から、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、合計で0.001質量%以上であって、その成分の種類によっても変動し得るが、好ましくは0.002質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上であり、0.1質量%以下であって、好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下である。こうした良好な香りをもたらし、使用感を高める観点から、有効成分としては、メチル‐ナフチルケトン、ピペリトン、マルトール、ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、酢酸シトロネリル、メチルフェニルグリシッド酸エチル及びビサボロールが好ましく、マルトール、酢酸シンナミル及びビサボロールがより好ましい。
また、有効成分の含有量は、着色を防ぎつつ有効性を確保する観点から、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、合計で0.001質量%以上であって、好ましくは0.002質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上であり、0.1質量%以下であって、好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.02質量%以下である。カンジダ菌における菌糸形成抑制剤の着色を防ぎつつ有効性を確保する観点から、有効成分としては、マルトール、ケイ皮酸エチル、酢酸シンナミル、酢酸シトロネリル、テルピネオール及びビサボロールが好ましく、ケイ皮酸エチル、酢酸シトロネリル、テルピネオール及びビサボロールがより好ましい。
本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤は、さらに成分(D)として、殺菌剤を含有することができる。殺菌剤(D)を含有することにより、殺菌作用を阻害する要因となる酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を有効に抑止しながら、変異したカンジダ菌が被着体の内部組織に侵入することをも未然に防止し、殺菌剤による殺菌作用を最大限発揮することができる。
かかる成分(D)の殺菌剤としては、アルキルピリジニウム塩、ベンジル長鎖アルキル短鎖ジアルキルアンモニウム塩及びその誘導体、長鎖アルキル短鎖トリアルキルアンモニウム塩等のカチオン性殺菌剤;ハロゲン化ジフェニルエーテル、ハロゲン化カルボアニリド、安息香酸エステル、フェノール化合物等の非カチオン性殺菌剤が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
かかるカチオン性殺菌剤としては、具体的には、例えば、塩化セチルピリニジウム(CPC)、塩化ベンゼトニウム(BTC)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、及びステアリルトリメチルアンモニウムクロリドから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。非カチオン性殺菌剤としては、トリクロサン、2,2'−ジヒドロキシ−5,5'−ジブロモ−ジフェニルエーテル、4',5−ジブロモサリチルアニリド、3,4',5−トリクロロサリチルアニリド、2,3,3',5−テトラクロロサリチルアニリド、3',5−ジブロモ−3'−トリフルオロメチルサリチルアニリド、3−トリフルオロメチル−4,4'−ジクロロカルボアニリド、イソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、殺菌効果と入手し易さ等の観点から、成分(D)は、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、塩化セチルピリジニウムがさらに好ましい。
成分(D)の殺菌剤の含有量は、上記有効成分と相まって殺菌作用を有効に発揮させる観点から、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上である。成分(D)の殺菌剤の含有量は、安全性を確保する観点から、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下である。また、成分(D)殺菌剤の含有量は、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、好ましくは0.001〜0.1質量%であり、より好ましくは0.005〜0.05質量%である。
成分(D)の殺菌剤の含有量と有効成分の合計含有量との容量比(D/有効成分)は、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を有効に抑止しつつ殺菌作用を十分に発揮させる観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.25以上であり、さらに好ましくは0.5以上である。成分(D)の殺菌剤の含有量と有効成分の合計含有量との容量比(D/有効成分)は、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を有効に抑止しつつ低刺激性を実現する観点から、好ましくは50以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下である。また、成分(D)の殺菌剤の含有量と有効成分の合計含有量との容量比(D/有効成分)は、好ましくは0.01〜50であり、より好ましくは0.25〜10であり、さらに好ましくは0.5〜5である。
上記成分のほか、本発明の効果を阻害しない範囲内で、適宜用途に応じ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤やその他各種界面活性剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム等の粘結剤;グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;キシリトールやソルビトール等の糖アルコール;甘味剤;pH調整剤;抗炎症剤;防腐剤;植物抽出物等を含有することができる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、安定性の観点からポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。非イオン界面活性剤の含有量は、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤中に、好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは0.4質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.2質量%以下である。
酵母形のカンジダ菌において菌糸が形成されると、この菌糸部分が外界に存在する様々な物体に付着しやすくなり、病巣が形成される要因にもなり得るとともに、例えば口腔内でのカンジダ菌の付着、或いは義歯表面や補綴物表面へのカンジダ菌の付着性が増大し、バイオフィルムの形成が助長されることとなってしまう。そこで、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤と同様、上記有効成分を0.001質量%以上0.1質量%以下含有する剤とすることにより、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を有効に抑制し、口腔内でのカンジダ菌の付着、或いは義歯表面や補綴物表面へのカンジダ菌の付着を効果的に抑制することができ、口腔内或いは義歯又は補綴物表面におけるカンジダ菌付着抑制剤としても、またバイオフィルム形成抑制剤としても極めて有用である。
さらに、本発明のカンジダ菌における菌糸形成抑制剤と同様、上記有効成分を0.001質量%以上0.1質量%以下含有する剤とすることにより、酵母形のカンジダ菌が、殺菌剤の作用を減じる菌糸形のカンジダ菌へと変異することを有効に抑止できるため、変異したカンジダ菌が被着体の内部組織に侵入することを未然に防止しつつ、殺菌剤による殺菌作用を最大限に発揮させることを可能とする殺菌作用促進剤としても有用である。このように、上記有効成分を0.001質量%以上0.1質量%以下含有し、さらに殺菌剤を0.001質量%以上0.1質量%以下含有する、上記菌糸形成抑制剤、カンジダ菌付着抑制剤、バイオフィルム形成抑制剤及び殺菌作用促進剤を包含する、洗口液等の液体口腔用組成物や歯磨剤等の形態を伴う口腔用組成物としても有用である。
ここで、義歯とは、着脱可能ないわゆる入れ歯を意味し、かかる義歯としては、有床又は無床のいずれであってもよく、有床の場合には、全部床(総入れ歯)又は部分床(部分入れ歯)のいずれであってもよい。これらの材質としては、レジンや金属、セラミック等が挙げられるが、本発明のカンジダ菌付着抑制剤、バイオフィルム形成抑制剤、殺菌作用促進剤及び口腔用組成物における抗真菌効果及び殺菌効果を最大限活用する観点から、これらの義歯又は床の少なくとも一部がレジンから形成されてなるものであるのが好ましい。また、補綴物とは、インレー(詰め物)、クラウン(差し歯、被せ歯)、アタッチメント義歯、ブリッジ及びインプラント等の上記義歯以外の歯科用付属品を意味し、さらにナイトガードをも含む広義の意味である。これらの材質としては、レジンや金属、セラミック等が挙げられるが、本発明のカンジダ菌付着抑制剤、バイオフィルム形成抑制剤、殺菌作用促進剤及び口腔用組成物における抗真菌効果及び殺菌効果を最大限活用する観点から、これらの少なくとも一部がレジンから形成されてなるものであるのが好ましい。
なお、口腔内或いは義歯又は補綴物表面におけるカンジダ菌付着抑制剤、バイオフィルム形成抑制剤、殺菌作用促進剤及び口腔用組成物における有効成分の好適な態様、及びその他の任意成分についても、上記菌糸形成抑制剤と同様である。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。
[菌糸抑制効果の評価試験]
菌株として、Candida albicans JCM1542株(独立行政法人理化学研究所より購入)を用い、下記手順にしたがって、表1に示す各成分を含有する剤の菌糸抑制効果の評価試験を行った。
(1)菌株の培養
Potato-dextrose agar プレート(Becton Dickinson社製、39g/L、オートクレーブ滅菌)において37℃、1晩培養した菌株をRPMI 1640培地に最終濃度5%(v/v)になるように馬血清(Gibco)を添加した(RPMI 1640+Serum)培地に接種し、2h、37℃で馴化培養した。その後、BioSpec-mini(Shimazu社製)を用い、600nmにおける濁度(O.D.600)が0.132になるようRPMI 1640+Serum培地を用いて希釈した。
次いで、希釈菌液を24-wellマイクロプレートに1mL添加し、表1に示す濃度になるように各有効成分を添加し、ジメチルスルホシド(DMSO)の最終濃度が0.1%(v/v)になるようにDMSOを添加して全液量が等しくなるように調整した。その後、37℃、18h静置培養し、光学顕微鏡観察を行った。
(2)光学顕微鏡観察
光学顕微鏡 ECLIPSE E600((株)Nikon製)により菌体の形態観察を行った。デジタルカメラ DR−6((株)Nikon製)を用いて写真の撮影を行い、次いでHyper-Utility2(FUJI FILM(株)製)を用いてデータのデジタル画像化を行った。
菌糸形成抑制効果の判断には、上記デジタル画像中に含まれる菌糸形細胞を任意に抽出してその割合を菌糸形転換率(%)として算出した値を用い、菌糸形転換率が0%以上30%未満のものをA、菌糸形転換率が30%以上60%未満のものをB、菌糸形転換率が60%以上100%以下のものをCとして評価の指標とした。A又はBとして判断されるものは、菌糸形成抑制効果があると評価できる。
なお、デジタル画像中の菌体において、酵母形細胞を楕円形と見たて、その長径の長さをaとしたときに、発芽管の先端から細胞端までの距離が2a以上となるものを菌糸形細胞とした。
(3)試験結果
評価試験を表1に示す。
これらの結果によれば、上記有効成分を0.001質量%以上0.1質量%以下で含有すると、カンジダ菌の菌糸形成を有効に抑制できることがわかる。
[実施例1〜3、比較例1〜5]
表2に示す処方にしたがって、各口腔用組成物(洗口液)を調製した。得られた口腔用組成物を用い、下記方法にしたがってバイオフィルムに対する殺菌効果を評価した。結果を表2に示す。
《バイオフィルムに対する殺菌効果》
試験菌株は、Candida albicans JCM1542株を用いた。5%ウマ血清(Gibco社製)を添加したRPMI 1640培地(Sigma社製)を37℃で16時間静置培養し、試験菌体を得た。その後、OD=1.0(約1.0×107cells/mL)に同培地で調整後、マイクロプレート(TPP社製、NO.92024)にて37℃で一晩培養し、バイオフィルムを形成させた。培養後、プレートの上清を除去し、洗口液を3分間作用させた。その後、洗口液を除去し、再び5%ウマ血清を添加したRPMI 1640培地にて37℃で1晩静置し培養した。培養したバイオフィルムをクリスタルバイオレットにて染色した後、0.01M リン酸塩緩衝液(PBS、pH7.4)を用いて洗浄した。
次いで、洗浄後のバイオフィルムをPBSにて懸濁し、得られた懸濁液について吸光光度計(BioSpec−mini、(株)島津製作所製)を用いて波長595nmの吸光度を測定し、得られた測定値(O.D.595)をカンジダバイオフィルムに対する殺菌効果の評価の指標とした。
表2の結果によれば、本件発明の有効成分であるケイ皮酸エチル、酢酸シトロネリル、ビサボロールを含有し塩化セチルピリジニウムを含有しない比較例1〜3は、これらも含有しない比較例4のバイオフィルムに対する殺菌効果と同じであり、有効成分のみではバイオフィルムに対して殺菌効果がないことがわかる。これに対して、これらの有効成分と塩化セチルピリジニウムとを併用している実施例1〜3は、塩化セチルピリジニウムを含有し、有効成分を含有しない比較例5に比して、カンジダ菌における菌糸形成を効果的に抑制してバイオフィルムに対する殺菌効果を高めることができることがわかる。なお、ケイ皮酸エチル、酢酸シトロネリル及びビサボロールの中では、バイオフィルムに対する殺菌効果の観点からはケイ皮酸エチルが好ましいが、安定性の点からは25℃で液体の酢酸シトロネリル及びビサボロールがより良好な有効成分であり、ビサボロールはさらに刺激の少ないソフトな香味をもたらす点で良好な有効成分であった。
本発明の口腔用組成物は、以下の歯磨組成物として製造することができる。
[実施例4:歯磨組成物1]
ソルビトール 30%
キシリトール 15%
塩化セチルピリジニウム 0.02%
グリセリン 4%
ポリエチレングリコール 3%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2%
研磨性シリカ 8%
カルボキシメチルセルロース 0.9%
キサンタンガム 0.1%
サッカリンナトリウム 0.05%
ビサボロール 0.05%
ビサボロール以外の香料 0.35%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2%
精製水 37.18%
[実施例5:歯磨組成物2]
ソルビトール 35%
塩化セチルピリジニウム 0.02%
グリセリン 8%
プロピレングリコール 4%
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.2%
増粘性シリカ 8%
カルボキシメチルセルロース 0.9%
キサンタンガム 0.2%
サッカリンナトリウム 0.05%
ケイ皮酸エチル 0.001%
酢酸シトロネリル 0.004%
上記以外の香料 0.35%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2%
精製水 42.075%

Claims (5)

  1. 次の(B)及び(D):
    (B)ケイ皮酸エチルを0.002質量%以上0.05質量%以下
    (D)塩化セチルピリジニウムを0.005質量%以上0.05質量%以下
    含有する、義歯又は補綴物表面でのカンジダ菌における菌糸形成抑制剤。
  2. 成分(D)の含有量と成分(B)の含有量との容量比(D/B)が、0.01以上50以下である、請求項1に記載の義歯又は補綴物表面でのカンジダ菌における菌糸形成抑制剤。
  3. さらに非イオン界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載の義歯又は補綴物表面でのカンジダ菌における菌糸形成抑制剤。
  4. 非イオン界面活性剤の含有量が、0.2質量%以上1.5質量%以下である、請求項に記載の義歯又は補綴物表面でのカンジダ菌における菌糸形成抑制剤。
  5. 次の(B)及び(D):
    (B)ケイ皮酸エチルを0.002質量%以上0.05質量%以下
    (D)塩化セチルピリジニウムを0.005質量%以上0.05質量%以下
    含有する、義歯又は補綴物表面でのカンジダ菌における菌糸形成を抑制するための口腔用組成物(ただし、成分(D)を0.025質量%以上含有する口腔用組成物を除く)。
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