JP6347345B2 - 移植用角膜の観察装置及びこれに用いられる補助光源ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、移植用角膜の観察装置及びこれに用いられる補助光源ユニットに関する。
従来、角膜移植のための眼科医療においては、角膜の安全かつ最適な移植のために、角膜細胞の面積、細胞密度、状態並びに移植用角膜の厚み等を観察、撮影又は計測することができる特別な観察装置が開発されている。このような観察装置としては、観察対象となる移植用角膜を収容した観察容器を保持台上に載置して、鏡面反射法を用いて観察する顕微鏡が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、角膜異常の存在を顕微鏡で観察するに際して、顕微鏡の光源とは別に角膜の背面から光を当てるための光源を備えた構成が開示されている(特許文献2参照)。
特許第3922486号明細書 米国特許出願公開2005/0213037号明細書
図1は、鏡面反射法を用いた観察装置を用いて移植用角膜の厚みを計測する方法を説明する模式的な図面である。観察容器30内に、所定の液体と共に移植用角膜20を収容した状態で観察装置上の所定の場所に載置させる。移植用角膜20は、内皮22、上皮23、及びこれらの間に挟まれた実質層24を含む構成であり、内皮22と上皮23の間の厚みをもって、移植用角膜20の厚みを計測する。
鏡面反射法とは、光源10および不図示のスリットにより形成されたスリット光31を移植用角膜20に対して斜めから照射することにより、移植用角膜20の表面からの鏡面反射光が観察光の入射角度と同じ角度で反射することを利用して角膜を観察する方法である。観察点35はスリット光31によるスリット画像が対物レンズ34Lにより結像する合焦位置であり、図1(a)に示す通り、観察点35に観察対象の内皮22が位置するように観察装置による位置調整を行う。内皮22からの鏡面反射光32は、対物レンズ34Rにより撮像部11にて再結像され、モニターにより内皮22の映像が確認できる。
移植用角膜20の厚みを測定したい場合には、観察点35が上皮23の表面の位置になるように、観察装置が光学系に近づく方向に移動させる。すなわち、図1(a)に示すように内皮22に合焦した後、撮像部11における映像を確認しながら、観察装置を移動させる。これにより、上皮23からの鏡面反射光33による鏡面反射像(スリット画像)が撮像部11にて確認されれば、観察点35が上皮23の表面に一致しているものと判断できる。従って、図1(a)の状態から観察装置の移動距離に基づいて、角膜の厚みを測定することができる。
しかしながら、上記の手順では、撮像部11にて鏡面反射像が確認できない場合があることが分かった。その理由は、上皮23からの鏡面反射光が無いか、又は非常に少ない状態の移植用角膜20があると思われる。従って、図1(b)のような、観察点35に上皮23が位置しているか否かを知ることができず、結果として移植用角膜20の厚みを測定できない。
このような事態は、ドナーから提供された移植用角膜20の状態や、その保存状態等によって生じているものとも考えられるが、その原因は定かではない。しかしながら、各ドナーから提供された移植用角膜20は、ドナー毎に状態が異なるのが通常であるため、いかなるドナーから提供された移植用角膜20においても、観察点35を上皮23の位置に一致させたときの上皮の画像を撮像部11において確認できることが好ましい。
かかる点に鑑みて、本願発明者は、角膜の背後から照明をあてることで上皮を観察する方法を考案した。ちなみに、角膜の背後から光を当てるためのバックライトを備えた構成は、前述の特許文献2に開示されているが、これは、角膜片のより広い範囲のシワやキズ等を観察することで角膜の欠陥を観察することを目的として設けられたものであり、上皮の撮像を目的としない。
また、仮に特許文献2のバックライトを上皮の観察用に適用したとしても、次のような問題点がある。すなわち、背後から角膜を照明する時には、その照明方向を適切に設定しなければならない。例えば、移植用角膜を透過した直接光が撮像光学系を介して撮像部に入ると、フレアにより上皮の観察が困難になる。特許文献2のバックライトは、位置調整の自由度がかなり高くなっているため、適切な照明方向を見つけ出す作業が煩雑であり手間がかかる。
本発明は、上記の課題に鑑み、移植用角膜の状態に関わらず、角膜の厚みを容易に測定できる移植用角膜の観察装置およびこれに利用される補助光源ユニットを提供することを目的とする。
本発明の移植用角膜の観察装置は、
観察対象となる移植用角膜を収容した観察容器を保持する保持台と、
光源及び撮像部を含み、鏡面反射法により前記移植用角膜を観察するための、照明光学系及び撮像光学系を含む鏡面反射光学系と、
前記移植用角膜を背後から照明し、前記照明光学系の照明光軸及び前記撮像光学系の撮像光軸の交差角を2等分する観察基本軸に対して傾斜した補助照明光軸を有する少なくとも1つの補助光源を備え、
前記補助光源は、前記補助照明光軸の前記観察基本軸に対する相対傾斜角度を連続的又は間欠的に変化できるように変更自在に設置されることを特徴とする。
この構成によれば、鏡面反射光学系の光源とは別に、移植用角膜を背後から照明するための少なくとも1つの補助光源(バックライト)を備えている。補助光源は、鏡面反射光学系の光源とは異なり、撮像光学系が対面する角膜の背後から照射し、上皮にて散乱屈折光を生じさせる。鏡面反射光学系の場合は、スリット照明範囲内の画像により内皮の存在を確認するものであるが、上皮を観察する場合に鏡面反射光がなければ、鏡面反射像を観測できず、上皮を見つけ出すことができない。
そこで、補助光源を照射することで、スリット内の領域に限らず、上皮の屈折散乱光を撮像部でとらえることができる。この屈折散乱光をモニターで確認しながら、上皮を観察点に合焦させることができる。
本発明の場合、補助光源の補助照明光軸を鏡面反射光学系の観察基本軸に対して傾斜させると共に、その相対的な傾斜角度を連続的又は間欠的に変化できるように、補助光源が変更自在に設置される。従って、補助光源を移動しながら、フレア画像が生じないような適切な位置を探すことができる。また、補助光源を移動操作するという簡単な操作であるから、手順の煩雑さも回避している。その結果、角膜の厚みを容易に測定できる移植用角膜の観察装置を提供することができる。
具体的には、本発明の移植用角膜の観察装置は、
前記保持台の上に設置される筐体を備え、この筐体に前記少なくとも1つの補助光源が設置され、前記筐体が回動自在になるように前記保持台に嵌合されることが好ましい。
この構成によると、補助光源が設置される筐体は保持台に対して回動自在に取り付けられる。従って、補助光源も回動自在になる。筐体を回動操作するという簡単な操作により、補助光源の補助照明光軸を適切な状態に設定することができる。
より具体的には、本発明の移植用角膜の観察装置は、
前記観察容器をその内部に収容するように前記保持台の上に載置される筐体を備え、この筐体は円筒形本体と、円筒形本体の一端側に形成される開口部と、円筒形本体の他端側に形成される天板部とを備え、
前記天板部に前記補助光源が設置され、前記筐体が前記円筒形本体の円筒軸周りに回動自在になるように前記開口部が前記保持台に嵌合されることが好ましい。
この構成によると、補助光源は筐体の天板部に設置される。筐体は円筒形本体を有し、一端側の開口部が保持台に嵌合される。これにより、上記と同様に、筐体を回動操作するという簡単な操作により、補助光源の補助照明光軸を適切な状態に設定することができる。
また、本発明の移植用角膜の観察装置は、保持台の上に設置される筐体を備え、この筐体に前記少なくとも1つの補助光源が設置され、前記補助光源は、所定の軸心周りに回動自在になるように、前記筐体に設置されることが好ましい。
この構成によっても、補助光源を回動させるという簡単な操作により、補助光源の補助照明光軸を適切な状態に設定することができる。
さらに、本発明の移植用角膜の観察装置は、前記保持台の上に設置される筐体を備え、この筐体に複数の前記補助光源が設置され、前記補助光源は、それぞれ、前記観察基本軸に対する相対傾斜角度が異なるように設置されており、いずれか1つの前記補助光源を選択可能に構成することが好ましい。
この構成は、いずれか1つの補助光源を選択操作することで確認できるので、同様に簡単な操作により、補助光源の補助照明光軸を適切な状態に設定することができる。
本発明に係る補助光源ユニットは、移植用角膜の観察装置に用いられるものであって、
少なくとも、本発明の補助光源と、本発明の筐体とを備えることを特徴とする。
かかる構成による作用・効果は既に述べた通りであり、角膜の厚みを容易に測定できる。また、ユニットとすることで、オプションとしての提供も可能になる。さらに、キャップ型の形状とすることができ、保持台への取り付け、取り外しも容易になる。
移植用角膜の厚みを計測する方法を説明する模式的な図面である。 移植用角膜の観察装置の構成の一例を示す模式図である ダミー角膜を用いて撮像部にて撮像された画像の一例である。 ダミー角膜を用いて撮像部にて撮像された画像の一例である。 ダミー角膜を用いて撮像部にて撮像された画像の一例である。 ダミー角膜を用いて撮像部にて撮像された画像の一例である。 ドナーから提供された移植用角膜を用いて撮像部にて撮像された画像の一例である。 第2実施形態に係る補助光源ユニットの構成を示す図 第3実施形態に係る補助光源ユニットの構成を示す図
本発明の移植用角膜の観察装置の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
[装置構成]
図2は、本発明の移植用角膜の観察装置の構成の一例を示す模式図である。この観察装置1は、保持台2、鏡面反射光学系3及び補助光源4を備える。
鏡面反射光学系3は、照明光学系37と撮像光学系38を備える。照明光学系37は、光源10、コンデンサレンズ41、ミラー42a,42b,42c、スリット43及び対物レンズ系44を備える。また、撮像光学系38は、対物レンズ系44及び撮像部11を備え、撮像部11は、例えばCCDカメラ等で構成され、不図示のモニターで画像観察をすることができる。図2に示す観察装置1では、対物レンズ系44として、照明光学系37のものと撮像光学系38のものを共通利用することで、鏡面反射光学系3の小型化を実現している。なお、ミラーの配置方法やその数、コンデンサレンズの数等は、適宜変更可能である。
光源10としては、ハロゲンランプやLED等を用いることができる。光源10からの光は、スリット43を通過した後、対物レンズ系44を介して、移植用角膜20中の所定の観察点35に入射される。このスリット光は、対物レンズ系44を通過する際、光線は対物レンズ系44の光軸63から一方向にずれた位置(図2では、対物レンズ系44における左半分)を通過し、対物レンズ系44の光軸63に対して若干斜めから、小さい入射角を有して、実効の照明光軸60を有した光束として移植用角膜20に入射される。このスリット光は、移植用角膜20において、対物レンズ系の光軸63に対して対称方向に鏡面反射される。この鏡面反射された光(移植用角膜20の反射像)は、対物レンズ系44に入射され、対物レンズ系44において対物レンズ系の光軸63に対してスリット光と対称の位置(図2では、対物レンズ系44における右半分)を通過し、すなわち実効の撮像光軸61を有した光束として撮像部11上に結像する。
つまり、実効の照明光軸60と実効の撮像光軸61の交点の位置が、観察点35を構成し、この観察点においてスリット光によるスリット画像が結像するように、鏡面反射光学系3が構成されている。従って、この観察点に観察対象である移植用角膜を位置させることが重要である。
なお、本明細書では、実効の照明光軸60と実効の撮像光軸61の交差角を2等分する軸を「観察基本軸64」と定義する。本実施形態では、対物レンズ系44の光軸63が観察基本軸64に一致するように、対物レンズ系44が配置されている。両者は完全に一致するのが望ましいが、微小にずれた配置を本発明から排除する趣旨ではない。
保持台2は、移植用角膜20を収容する観察容器30を保持する台であり、所定の箇所に観察容器30を載置した状態で保持する。保持台2は、鏡面反射光学系3の光路を妨げないよう開口している。観察容器30は、移植用角膜20を収容するための容器であり、例えば薬液などの所定の液体を介して移植用角膜20が収容される。観察容器30は、一例として、略円筒形状とすることができ、保持台2に設けられた載置面2aの上に載置することができる。
支持台51は、不図示の調整機構によって、観察基本軸64に対して前後左右上下(XYZの3軸方向)に移動することができる構成である。この調整機構を備えることで、角膜の観察位置の設定や、観察点(合焦位置)への角膜の位置調整を行う。この調整機構の一例としては、ネジ送りの摺動機構を挙げることができる。
また、支持台51はメス型球面を有した台、保持台2はオス型球面を有した台とし、保持台2と支持台51とが球面嵌合することで、保持台2を支持台51に対して傾動自在となる。保持台2を傾動させることにより、移植用角膜20上のより良好な鏡面反射を探し出すことも可能になる。保持台2を支持台51に組み込んだ状態で、支持台51が3軸方向に移動することで、保持台2も支持台51と一体的に同方向に移動する。
保持台2と支持台51とが嵌合する具体的な形態は、保持台2が傾動自在に支持されれば上記形状に限定されない。
<補助光源ユニット>
観察装置1は、保持台2の上に載置される補助光源ユニットを備えている。この補助光源ユニットは、筐体52を備え、更にこの筐体52は、円筒形本体52aと、円筒形本体52aの一端側に形成される開口部52bと、円筒形本体52aの他端側に形成される天板部52cとで構成される。筐体52の開口部52bは、保持台2に設けられた嵌合面2bに嵌合する。これにより、筐体52は、保持台2に対して回動自在に取り付けられる。回転軸は、円筒形本体52aの円筒軸になる。
また、天板部52cには細長い円筒形の補助光源4がその軸が傾斜した状態で取り付けられる。なお、補助光源4の形状は、上記に限定されるものではない。
筐体52は全体的にキャップ状の形状をしており、観察容器30をその内部に収容するようにして、保持台2に載置される。また、筐体52は透光性の低い材質で構成することで、室内照明や日射光などの外乱光の影響を排除することができる。なお、筐体52の具体的な形状は、図2に限定されるものではない。
以上の構成により、筐体52を保持台2に対して回動操作することで、補助光源4も一体的に回動操作される。また、筐体52は保持台2の上に載置するだけなので、着脱操作も簡単である。
筐体52の円筒軸65は、観察基本軸64と一致するように配置されている。両者の軸心は、完全に一致しているのが好ましいが、多少ずれた配置になってもよい。また、保持台2を傾けて使用する場合には、円筒軸65が傾いた状態になることもある。
補助光源4は、観察基本軸64に対して傾斜した補助照明光軸62を有し、移植用角膜20を鏡面光学系3の背後から照明する構成である。上述したように、筐体52をこの円筒軸65周りに回動させることにより、補助照明光軸62の観察基本軸64に対する相対的な傾斜角度を連続的に変化させることができる。
<厚み測定手順>
以下、このような観察装置1を用いて移植用角膜20の厚みを測定する方法につき、図3A〜図3Dに示す撮像部11にて撮像された画像を参照して説明する。なお、これらの画像は、移植用角膜20としてダミーの角膜を用いた場合に得られた画像であるが、ここでは移植用角膜20として説明する。
まず、移植用角膜20を収容した観察容器30を保持台2上に設置する。そして、光源10を点灯させてスリット光を照射し、撮像部11にて鏡面反射光(スリット画像)を受光できるようにする。支持台51を不図示の調整機構によってXY方向に移動させて、目的とする観察箇所、ここでは移植用角膜20の所定箇所の内皮22を選択する。
次に、支持台51をZ方向に移動させて内皮22が観察点35(合焦位置)にくるように調整する(図1参照)。図3Aは、内皮22での鏡面反射光32が撮像部11で再結像した画像の一例である。スリット光による鏡面反射像81が撮像部11にて確認できている。
なお、保持台2を傾動させて、よりよい鏡面反射像を得るような操作を行ってもよい。この場合は、調整機構によるXYZ調整を再度行う必要がある。
このように、内皮22の鏡面反射像が撮像部11において確認できる状態の下で、保持台2上に補助光源ユニットの筐体52を設置して、当該筐体52に取り付けられている補助光源4を点灯させる。そして、筐体52を円筒軸65周り、すなわち観察基本軸64周りに回動させて、補助光源4を観察に適した位置に調整する。
ここで、補助光源4を点灯させた場合、撮像部11には以下の3種類の光を受光する可能性がある。第1の光は、上述した移植用角膜20の表面における光源10からのスリット光の鏡面反射光である。第2の光は、補助光源4からの光が移植用角膜20の面で散乱反射、屈折した後に、撮像光学系38の光路へと入射した光である。第3の光は、補助光源4からの光が移植用角膜20を透過して、そのまま撮像光学系38の光路へと入射した光である。観察に適した位置とは、撮像部11において受光される光に関し、第3の光が弱く、第2の光が強い位置である。第3の光が強すぎると撮像部11の像が全体的に白んでしまい、上皮23側への合焦時に利用するための第2の光の像が確認できなくなるためである。筐体52を回動させて、かかる適した位置に調整する。図3Bは、この調整完了後における撮像部11の撮像画像の一例である。
図3Aと比較して、補助光源4の点灯に伴って撮像部11における受光光量が多少増しているため、スリット光による鏡面反射像81の領域が白くなっていると共に、その外側の位置において、散乱屈折光による像82が表示されている。図3Aの画像では、光源10からの光(スリット光)しか照射されていなかったため、このスリット光による鏡面反射像81のみが確認されており、その外側には像が確認されていない。なお、この散乱屈折光による像82は、本来は鏡面反射像81の領域にも存在しているが、当該領域は白く飽和しているため視認できない。
次に、不図示の調整機構により、支持台51をZ方向に移動させる。より詳細には、支持台51を光学系3に近づける方向に移動させる。このとき、図3Bの時点で表示されていた鏡面反射像81及び散乱屈折光による像82はピントがずれ始める。また鏡面反射像81は、ピントが外れた状態で撮像部11の画面上を移動してピンボケ量が大きくなるため、やがて画面上で確認できなくなる。
更に、支持台51をZ方向に移動し続けると、場合によっては再びスリット光による鏡面反射像83が図3Bの時点で表示されていた鏡面反射像81よりは暗い状態で表示されることがある(図3C参照)。これが上皮23の位置における鏡面反射像83に対応する。このとき、上皮23の位置における散乱屈折光による像84もピントが合った状態で画面上に表示される。
なお、実際には、補助光源4を点灯後、支持台51をZ方向に移動しても、撮像部11においてスリット光による鏡面反射像83が画面上で視認できない場合がある。この場合は、画面上に表示されている散乱屈折光84による像に基づいて合焦位置に調整する。この像は、上皮23の表面における散乱屈折光84による像であり、上皮23の表面を観察点35に一致させることができる。
よって、図3Bの状態から図3Cの状態まで、支持台51のZ方向の移動量に基づいて、移植用角膜20の厚みを計測することができる。
図3Dは、図3Aの状態から補助光源4を点灯させずに、図3Cの状態と同程度の移動量だけ支持台51をZ方向に移動させた場合の撮像部11の撮像画像である。図3Dには、図3Cに示すような上皮23の鏡面反射光による像や散乱屈折光による像が一切表示されていない。このため、この画面のみを確認しながら、観察点35に上皮23が位置しているかどうかを判断することができないため、移植用角膜20の厚みを計測することができない。
図4は、実際のドナーから提供された移植用角膜20を観察容器30に収容して観察装置1によって観察したときの撮像部11での撮像画像であり、いずれも観察点35に上皮23が位置するように調整している。(a)は補助光源4を点灯させなかった場合、(b)は補助光源4を点灯させた場合に対応する。
図4(a)では、図3Dと同様に、上皮23の鏡面反射光による像や散乱屈折光による像が一切表示されていないので、この画像のみから観察点35に上皮23が位置しているか否かを認識できない。これに対し、図4(b)では、鏡面反射光による像は明瞭には認識しづらいものの、散乱屈折光による像が確認できるため、この像を見ながら合焦させることが可能であり、観察点35に上皮23を位置させることができる。この図4によって、実際の移植用角膜20を用いた場合においても、補助光源4の点灯によって、少なくとも上皮23の位置における散乱屈折光の像が撮像部11にて視認できることが分かる。
なお、上記の方法では、内皮22の合焦操作後に、補助部材52を設置して補助光源4を点灯させたが、補助部材52を予め保持台2に取り付けておいても構わない。
上記実施形態では、補助光源が1つ設けられた例を説明したが、補助光源が複数設けられていてもよい。筐体の形状は、本実施形態の形状に限定されるものではなく、種々の形状が考えられる。
<別実施形態に係る補助光源ユニット>
次に、第2実施形態に係る補助光源ユニットを図5により説明する。この実施形態において、補助光源4は、矢印θで示すように、軸心65の上に設定された回転中心Pの周りに回動可能である。これにより、観察基本軸64に対する相対傾斜角度を連続的に変化させることができる。筐体52の上面は半球面であり、これに沿って補助光源4が移動できるように不図示のアームにより支持されている。
図6は、第3実施形態に係る補助光源ユニットを示す。この実施形態では、4つのLED4a〜4dが筐体52の半球状の天面の裏面に設置されている。各LED4a〜4dの光軸は、軸心65の上に設定された点Pで交差するように設定されている。いずれか1つのLED4a〜4dを選択して照射することで、観察基本軸64に対する相対傾斜角度を間欠的に変化させることができる。LEDの数は、適宜変更可能である。なお、光源はLEDでなくてもよい。
また、第2・第3実施形態においては、筐体52は軸心65周りに回動可能でもよいし、回動しなくてもよい。回動できる場合は、経度方向だけでなく緯度方向についても照明方向を変更することができる。
補助光源4を点灯した時の第1の光(鏡面反射光)、第2の光(補助光源による散乱反射・屈折光)、第3の光(補助光源からの直接光)について前述した通りである。補助光源4の位置を調整する場合には、第3の光が小さくなり、第2の光が大きくなるようにすることが重要である。
筐体52を回動させると、第3の光の受光量が大きく変化する。第2・第3実施形態において、補助光源4の光軸を変更すると、第3の光の変化は小さく、第2の光による角膜の見え方が変化する。そこで、筐体52を回動できるようにしておけば、筐体52を回動することで、第3の光が弱く、第2の光が強く見える位置を探す。その状態で、補助光源4の照射方向を変化させるので、適正な補助光源4の状態を探しやすくなる。第3の光の変化を小さく抑えながら、第2の光による見え方を変えていくので、角膜のシワや傷などを見る時に、観察が容易に行うことができる。角膜屈折矯正手術等による角膜の傷み具合を観察する時には、有用である。
筐体52を回動しない構成の場合は、第2の光と第3の光の光量バランスを見ながら、適切な補助光源4の照射方向を設定すればよい。
なお、光源としては、軸心65周りにリング形状に配置される複数の光源を用いてもよい。例えば、図6に示す第3実施形態の場合、リングの径が異なる4つのリング状光源群を設置し、いずれか1つのリング状光源を選択できるようにする。
1 : 移植用角膜の観察装置
2 : 保持台
3 : 鏡面反射光学系
4 : 補助光源
10 : 光源
11 : 撮像部
20 : 移植用角膜
22 : 内皮
23 : 上皮
24 : 実質層
30 : 観察容器
31 : 光源からのスリット光
32 : 内皮からの鏡面反射光
33 : 上皮からの鏡面反射光
34 : レンズ系
35 : 観察点
37 : 照明光学系
38 : 撮像光学系
41 : コンデンサレンズ
42a,42b,42c : ミラー
43 : スリット
44 : 対物レンズ系
51 : 支持台
52 : 筐体
52a 円筒形本体 52b 開口部 52c 天板部 52d 穴
60 : 実効の照明光軸
61 : 実効の撮像光軸
62 : 補助照明光軸
63 : 対物レンズ系の光軸
64 : 観察基本軸
65 : 支持台又は保持台の軸心
81 : 鏡面反射像(内皮位置)
82 : 散乱屈折光による像(内皮位置)
83 : 鏡面反射像(上皮位置)
84 : 散乱屈折光による像(上皮位置)

Claims (3)

  1. 観察対象となる移植用角膜を収容した観察容器を保持する保持台と、
    光源及び撮像部を含み、鏡面反射法により前記移植用角膜を観察するための、照明光学系及び撮像光学系を含む鏡面反射光学系と、
    前記移植用角膜を背後から照明し、前記照明光学系の照明光軸及び前記撮像光学系の撮像光軸の交差角を2等分する観察基本軸に対して傾斜した補助照明光軸を有する少なくとも1つの補助光源を備え、
    前記補助光源は、前記補助照明光軸の前記観察基本軸に対する相対傾斜角度の大きさを連続的又は間欠的に変化できるように変更自在に設置され、
    前記保持台の上に設置される筐体を備え、この筐体に前記少なくとも1つの補助光源が設置され、前記筐体が回動自在になるように前記保持台に嵌合されることを特徴とする移植用角膜の観察装置。
  2. 前記観察容器をその内部に収容するように前記保持台の上に載置される筐体を備え、この筐体は円筒形本体と、円筒形本体の一端側に形成される開口部と、円筒形本体の他端側に形成される天板部とを備え、
    前記天板部に前記少なくとも1つの補助光源が設置され、前記筐体が前記円筒形本体の円筒軸周りに回動自在になるように前記開口部が前記保持台に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の移植用角膜の観察装置。
  3. 請求項1に記載の移植用角膜の観察装置に用いられる補助光源ユニットであって、
    請求項1に記載の少なくとも1つの補助光源と、前記保持台の上に設置される筐体を備え、この筐体に前記少なくとも1つの補助光源が設置され、前記筐体が回動自在になるように前記保持台に嵌合されることを特徴とする補助光源ユニット。
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