JP6347247B2 - デスケーリング方法およびデスケーリング装置 - Google Patents
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これに対し、例えば特許文献1には、デスケーリング能力の指標の一つとしてデスケーリング距離を考慮に入れた技術が開示されている。また、特許文献2、3には、デスケーリングノズルが固定されているヘッダを移動させて、常に一定のデスケーリング距離とし得るデスケーリング技術が提案されている。
また、デスケーリングノズルが固定されているヘッダをスケール除去対象材の厚みに応じて移動させる技術によれば、ヘッダを移動させる必要が生じるため、ヘッダの位置調整機構、およびスケール除去対象材の厚みに応じた調整を行うシステムを必要とする。そのため、設備が大掛かりとなるため、初期導入コストが増大するという問題がある。
このような構成であれば、比較的に簡単な構造の気流噴射装置を付加するだけでスケール除去能力を向上させることができる。しかし、同文献記載の技術においては、スケール除去対象材の厚みが変化した場合に、噴射する気体の使用量を変える点については特段の考慮がなされていない。そのため、スケール除去能力を一定に保ちつつ、更なる省エネルギー化を図る上では未だ改善の余地が残されている。
D=∫(W*V^5*d^2)dt (式1)
また、(式1)中のVは、噴射する高圧水が、スケール除去対象材Wの存する距離において得られる速度を示し、レーザードップラー方式の液滴速度測定の結果得られた算術平均速度とする。
また、(式1)中のdは、液滴径であって、位相ドップラー方式の液滴径測定装置によるザウター平均粒子径を用いる。ザウター平均粒子径とはドップラー方式の液滴径測定装置においてその測定された粒子径をd32=(Σd^3)/(Σd^2)で求められる平均粒子径である。
図1に示すように、この圧延機30は、上下一対の圧延ロール31を有する。圧延ロール31の入側と出側それぞれには、複数の搬送ロール32が配置されている。複数の搬送ロール32は、搬送方向(正転圧延方向)Fに沿って搬送ロール32の上に載置されたスケール除去対象材Wを搬送可能とされている。なお、本実施形態の圧延機30は、正転圧延の他、逆転圧延方向Rにスケール除去対象材Wを搬送して、スケール除去対象材Wに逆送圧延をも行い、往復で使用されることでスケール除去対象材Wの板厚を所要の厚みまで段階的に圧延することができるものである。
この気流噴射装置3は、各デスケーリングノズル1に装着された気流噴射ノズル4と、気流噴射ノズル4の基端部に接続された圧縮気体供給路5とを備えている。本実施形態の例では、気流噴射ノズル4は、噴射口1fの上下に一対をなす気体の噴射口4fを有し、一対の噴射口4fは、略楕円形状の噴射口1fの長軸軸線を上下から挟むように配置されている。
また、上記圧縮気体供給路5の途中部分には、気体量制御電磁弁6が介装されている。気体量制御電磁弁6は、マイクロコンピュータを含む気体量制御装置7に信号線を介して接続されており、気体量制御装置7からの指令によって圧縮気体供給路5の流路を適宜開閉可能になっている。
そして、上記気体量制御装置7は、気体噴射量制御処理のプログラムを実行し、随時に取得されたスケール除去対象材Wの厚み情報に基づいて、デスケーリング能力を一定に保つように空気の噴射量を制御するようになっている。
ここで、上記ステップS4でスケール除去能力が一定となるような気体噴射量に制御するために、予め行ったデスケーリング実験の結果であって、デスケーリングノズル1の先端とスケール除去対象材Wの表面とのデスケーリング距離に対するデスケーリング能力の関係を図3に示す。なお、図3に実線で示した実験結果は、気流噴射ノズル4を使用しておらず、高圧水に沿って気体を全く噴射していない状態を示している。また、同図に破線および一点鎖線で示した実験結果は、気流噴射ノズル4を使用しており、高圧水に沿って噴射する気体量が、それぞれ25Nm3/Hおよび50Nm3/Hの状態を示している。
また、本実験結果は、ノズル水量を100L/minとし、噴射角度を25°としたデスケーリングノズル1を使用した例である。また、高圧水に沿って気体を噴射する気流噴射ノズル4は、デスケーリングノズル1の中心軸に対して高圧水側に5°傾けた方向に気体を噴射したときの結果を示している。
したがって、高圧水に沿って気体噴射を行わないときは、デスケーリング距離が最も離れた最大距離となる場合を想定し、その場合でもスケールを除去できるようにスケール除去能力を設定しなければならない。つまり、デスケーリング距離が最大距離となる場合に必要な水量、水圧に調整してデスケーリング能力を担保する必要があるため、デスケーリング距離が近い場合は、デスケーリング能力が高くなりすぎて不必要な動力を使用することになる。
そこで、本実施形態では、上記実験結果に鑑み、上記(式1)で得られるスケール評価点Dを指標とし、デスケーリング能力を一定に保つ(つまり、スケール評価点Dが基準値=1.0を維持する)ように、気流噴射ノズル4から噴射する気体の噴射量を制御する条件を設定している。
1)デスケーリング距離が100mmのときには、気体噴射が不要であり、
2)デスケーリング距離が200mmのときには、気体噴射量を25Nm3/Hとし、
3)デスケーリング距離が300mmのときには、気体噴射量を50Nm3/Hとすればデスケーリング能力を一定に保つことができる。
すなわち、上記気体量制御装置7で実行される気体噴射量制御処理においては、上記ステップS1〜S3で随時のデスケーリング距離を取得し、ステップS4では、そのときのデスケーリング距離において、デスケーリング能力の指標となる上記(式1)から得られるスケール評価点Dが、基準値=1.0を維持する気体噴射量とすべく、気体量制御電磁弁6に指令を送って弁の開度を適切な開度に開閉させている。なお、或るデスケーリング距離に対し、スケール評価点Dが基準値=1.0を維持する弁開度のデータは、上記実験結果等に基づいた所定の関係式による演算や、予め記憶された所定のテーブルデータを参照することにより設定することができる。
上記圧延機30でスケール除去対象材Wが圧延されると、正転圧延の他、逆転圧延方向Rに逆送圧延をも行い、スケール除去対象材Wの板厚が所要の厚みとなるまで往復で圧延する。圧延時には、スケール除去対象材Wに表面スケールが生じる。そのため、スケール除去対象材Wに生じたスケールをデスケーリング装置10により除去(デスケーリング)する。上記圧延機30では、正転圧延および逆送圧延を順に行うことで、スケール除去対象材Wの板厚は段階的に薄くなる。そのため、それに伴いデスケーリング距離は段階的に遠ざかっていくことになる。
これに対し、本実施形態のデスケーリング装置10によれば、各デスケーリングノズル1に、噴射する高圧水に沿って高圧水を覆う気流をつくるように気体を噴射する気流噴射装置3を備え、この気流噴射装置3は、上述したように、スケール除去対象材Wの厚み情報に基づいて、デスケーリング能力を一定に保つように噴射する気体の噴射量を制御するので、スケール除去に必要なデスケーリング能力を一定に保つことができる。
なお、本発明に係るデスケーリング装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば、気流噴射装置3は、距離計を有しない構成とすることもできる。この場合に、気流噴射装置3は、デスケーリングノズル1の設置位置におけるスケール除去対象材Wの厚み情報(トラッキング情報と管理目標値)を圧延スケジュールを管理するコンピュータから取得し、その取得した厚み情報に基づいてデスケーリングノズル1とスケール除去対象材Wとの距離を算出し、その算出した距離に基づき噴射する気体の噴射量を制御してもよい。なお、距離計を有する構成とし、且つ、圧延スケジュールを管理するコンピュータからの情報をも取得するように構成してもよい。
2 高圧水供給路
3 気流噴射装置
4 気流噴射ノズル
5 圧縮気体供給路
6 気体量制御電磁弁
7 気体量制御装置
10 デスケーリング装置
20 レーザー距離計(距離計)
30 圧延機
31 圧延ロール
32 搬送ロール
A 噴射気体
W スケール除去対象材
F 正転圧延方向、搬送方向
R 逆転圧延方向
P 高圧水
Claims (8)
- 異なる厚みをもつ鋼片または鋼帯をスケール除去対象材とする圧延機に用いられ、前記スケール除去対象材に生じた表面スケールをデスケーリングノズルから噴射する高圧水により除去するデスケーリング方法であって、
前記噴射する高圧水に沿って高圧水を覆う気流をつくるように気体を噴射するとともに、
前記スケール除去対象材の厚み情報に基づいて、デスケーリング能力を一定に保つように前記気体の噴射量(噴射量0を含む)を制御することを特徴とするデスケーリング方法。 - 前記デスケーリングノズルの設置位置よりもスケール除去対象材の搬送方向上流側に設けた距離計を用い、該距離計によってスケール除去対象材の厚み情報を取得し、その取得した厚み情報に基づいて前記デスケーリングノズル先端からスケール除去対象材表面までの距離を算出し、その算出した距離に基づいて前記気体の噴射量を制御することを特徴とする請求項1に記載のデスケーリング方法。
- 前記デスケーリングノズルの設置位置におけるスケール除去対象材の厚み情報を圧延スケジュールを管理するコンピュータから取得し、その取得した厚み情報に基づいて前記デスケーリングノズル先端からスケール除去対象材表面までの距離を算出し、その算出した距離に基づいて前記気体の噴射量を制御することを特徴とする請求項1に記載のデスケーリング方法。
- 前記圧延機は、前記スケール除去対象材に逆送圧延を行うものであり、
前記厚み情報として前記逆送圧延後のスケール除去対象材の推定厚み情報を圧延機から取得し、その取得した推定厚み情報に基づいて前記デスケーリングノズル先端からスケール除去対象材表面までの距離を算出し、その算出した距離に基づいて前記気体の噴射量を制御することを特徴とする請求項1に記載のデスケーリング方法。 - 異なる厚みをもつ鋼片または鋼帯をスケール除去対象材とする圧延機に用いられて、前記スケール除去対象材に生じた表面スケールをデスケーリングノズルから噴射する高圧水により除去するデスケーリング装置であって、
前記噴射する高圧水に沿って高圧水を覆う気流をつくるように気体を噴射する気流噴射装置を備え、
前記気流噴射装置は、前記スケール除去対象材の厚み情報に基づいて、デスケーリング能力を一定に保つように前記気体の噴射量(噴射量0を含む)を制御することを特徴とするデスケーリング装置。 - 前記気流噴射装置は、前記デスケーリングノズルの設置位置よりもスケール除去対象材の搬送方向上流側に設けた距離計を有し、該距離計によってスケール除去対象材の厚み情報を取得し、その取得した厚み情報に基づいて前記デスケーリングノズル先端からスケール除去対象材表面までの距離を算出し、その算出した距離に基づいて前記気体の噴射量を制御することを特徴とする請求項5に記載のデスケーリング装置。
- 前記気流噴射装置は、前記デスケーリングノズルの設置位置におけるスケール除去対象材の厚み情報を圧延スケジュールを管理するコンピュータから取得し、その取得した厚み情報に基づいて前記デスケーリングノズル先端からスケール除去対象材表面までの距離を算出し、その算出した距離に基づいて前記気体の噴射量を制御することを特徴とする請求項5に記載のデスケーリング装置。
- 前記圧延機は、前記スケール除去対象材に逆送圧延を行うものであり、
前記気流噴射装置は、前記厚み情報として前記逆送圧延後のスケール除去対象材の推定厚み情報を圧延機から取得し、その取得した推定厚み情報に基づいて前記デスケーリングノズル先端からスケール除去対象材表面までの距離を算出し、その算出した距離に基づいて前記気体の噴射量を制御することを特徴とする請求項5に記載のデスケーリング装置。
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