以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置およびテープ印刷システムについて説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープおよびインクリボンを繰り出しながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル(テープ片)を作成するものである。また、テープ印刷システムは、このテープ印刷装置とこれに装着して用いられるテープカートリッジと、により構成したものである。
[テープ印刷装置の概要]
図1は、テープ印刷システムを構成するテープ印刷装置およびこれに装着されるテープカートリッジの外観斜視図である。同図に示すように、テープ印刷装置1は、外殻を構成する装置ケース3と、テープカートリッジ100が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部5と、カートリッジ装着部5を開閉する開閉蓋7と、を備えている。装置ケース3の上面には、奥側にカートリッジ装着部5が設けられ、中央にディスプレイ11が設けられ、手前側にキーボード13が設けられている。開閉蓋7の近傍には、指掛け用の窪入部15が設けられている。開閉蓋7は、この窪入部15に指を掛け引き上げることで開放される。そして、装置ケース3の側面(左側面)には、印刷テープ102が排出される縦長のテープ排出口17が設けられている。
また、テープ印刷装置1は、カートリッジ装着部5に立設された印刷ヘッド21を有する印刷機構部23と、カートリッジ装着部5の裏側空間に内蔵したテープ送り機構部25と、テープ排出口17の近傍に内蔵したテープ切断機構部27と、を備えている。ユーザーは、キーボード13から印刷情報を入力し、ディスプレイ11で印刷情報を確認した後、キー操作により印刷を実行する。印刷が指令されると、テープ送り機構部25が駆動することで、印刷テープ102とインクリボン110とが並走する。さらに、印刷機構部23からインクリボン110へ加えられる熱によって、インクリボン110のインクを印刷テープ102へ転写することで印刷が行われる。この印刷送りにより、印刷テープ102はテープ排出口17から排出されてゆき、印刷が完了すると、テープ切断機構部27が駆動して、印刷テープ102の印刷済み部分が切り離される。
[テープカートリッジの概要]
図2および図5に示すように、テープカートリッジ100は、印刷テープ102をテープコア104に巻回したテープロール106と、インクリボン110を繰出しコア112に巻回したリボンロール114と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、使用後のインクリボン110を巻き取る巻取りコア116と、印刷ヘッド21がインクリボン110および印刷テープ102を介して当接すると共に印刷テープ102およびインクリボン110を送るプラテンローラー120(プラテン)と、を備えている。さらに、テープカートリッジ100は、これらテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120を収容したカートリッジケース130を備えている。このように、本実施形態のテープカートリッジ100は、外殻をカートリッジケース130で覆われた、いわゆるシェル構造を有している。
また、テープカートリッジ100には、テープ印刷装置1に装着されたときに、印刷ヘッド21が挿入される挿入開口134が、カートリッジケース130に形成されている。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され印刷テープ102が送り出されるテープ送出口138を備えている。なお、挿入開口134は、貫通孔であってもよいし、袋孔であってもよい。また、詳細は後述するが、テープロール106は、カートリッジケース130の内側に突設した円筒状のコア軸192に回転自在に支持されている。
上記のテープ送り機構部25により、プラテンローラー120および巻取りコア116が駆動されると、印刷テープ102はテープコア104から繰り出され、インクリボン110は繰出しコア112から繰り出される。繰り出された印刷テープ102およびインクリボン110は、プラテンローラー120の部分で並走し、印刷ヘッド21によって印刷に供される。印刷が行われた印刷テープ102の繰出し端部(印刷済部分)は、テープ送出口138からテープ排出口17に向かって送り出される。一方、インクリボン110は、挿入開口134の周壁部分を周回し、巻取りコア116に巻き取られる。なお、テープカートリッジ100には、印刷テープ102のテープ幅に応じて、厚みの異なる複数種のものが用意されている。
[テープ印刷装置の詳細]
図1および図3に示すように、カートリッジ装着部5は、テープカートリッジ100の平面形状と相補的な平面形状に形成されると共に、装着可能な複数種のテープカートリッジ100のうち、最大厚のテープカートリッジ100に対応する深さを有して、窪入形成されている。この場合、カートリッジ装着部5の底板部を構成する装着ベース31と側板部33とは、樹脂等で一体に形成(成形)されている。カートリッジ装着部5と上記のテープ排出口17との間には、スリット状のテープ排出経路35が形成されており、この部分に、上記のテープ切断機構部27が内蔵されている。
カートリッジ装着部5の装着ベース31には、上記のコア軸192が嵌合して位置決めされる位置決め突起41と、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21と、プラテンローラー120を回転駆動するプラテン駆動軸45と、巻取りコア116を回転駆動する巻取り駆動軸47と、が立設されている。また、巻取り駆動軸47の近傍に位置して装着ベース31には、印刷テープ102の種別(属性情報)を検出するテープ検出部51と、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めを解除するコア解除部53と、が設けられている。
さらに、装着ベース31には、その対角位置に一対の小突起55が設けられ、加えて装着したテープカートリッジ100の中間部を掛け止めする一対の掛止め片57が設けられている。そして、装着ベース31の裏側空間には、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を回転させるモーターおよびギヤ列(いずれも、図示省略)等で構成されている上記のテープ送り機構部25が内蔵されている。テープ送り機構部25は、ギヤ列で動力分岐し、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を同期回転させる。
印刷機構部23は、サーマルヘッドで構成された印刷ヘッド21と、印刷ヘッド21を支持すると共に、回動支軸63を介して印刷ヘッド21を回動させるヘッド支持フレーム61と、を有している。また、印刷機構部23は、ヘッド支持フレーム61を介して印刷ヘッド21を印刷位置と退避位置との間で回動させるヘッドリリース機構(図示省略)と、印刷ヘッド21(およびヘッド支持フレーム61)を覆うヘッドカバー43と、を有している。
ヘッドリリース機構は、上記の開閉蓋7の開閉に連動して作動し、開閉蓋7の閉塞動作に連動して印刷ヘッド21を印刷位置に移動(回動)させる。また、ヘッドリリース機構は、開放動作に連動して印刷ヘッド21を退避位置に移動(回動)させる。印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120にインクリボン110と印刷テープ102を介して当接し、退避位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120から離間する。これにより、テープカートリッジ100を着脱する際に、印刷テープ102やインクリボン110の印刷ヘッド21への干渉が防止される。
印刷ヘッド21には、複数の発熱素子が設けられ、複数の発熱素子は、プラテンローラー120の軸方向と同方向に列設されている。そして、印刷テープ102およびインクリボン110の送りと、複数の発熱素子の選択的駆動により印刷が行われる。
ヘッドカバー43は、平面視略矩形に形成されおり、上記の装着ベース31(カートリッジ装着部5)と一体に形成(成形)されている。また、ヘッドカバー43は、装着ベース31から垂直に大きく突出しており、その内側において印刷ヘッド21の回動を許容し、外側においてテープカートリッジ100の装着ガイドとして機能する。詳細は後述するが、さらにヘッドカバー43は、上記の回動支軸63側の角部270に、外側に突出するように設けた本体側当接部65を有している。
テープ検出部51は、複数のマイクロスイッチ51aで構成されており、後述するテープカートリッジ100の被検出部180に対し選択的に係合し、印刷テープ102のテープ幅やテープ色、材質等の種別を検出する。そして、この検出結果に基づいて、印刷ヘッド21やテープ送り機構部25の駆動が制御される。コア解除部53は、繰出しコア112用および巻取りコア116用の2つの解除ピン53aで構成されている。詳細は後述するが、カートリッジケース130には、繰出しコア112および巻取りコア116にそれぞれ掛止めされる回転止めフック206が設けられている(図6参照)。テープカートリッジ100を装着すると、これら回転止めフック206に解除ピン53aが係合し、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めが解除される。
プラテン駆動軸45は、プラテンローラー120を挿通するように長く延びた固定軸45aと、固定軸45aの基部に回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸45bとを有している。テープ送り機構部25の回転動力は、この可動軸45bに伝達され、更に可動軸45bからプラテンローラー120に伝達される。同様に、巻取り駆動軸47は、固定軸47aと、固定軸47aに回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸47bとを有している。この場合も、テープ送り機構部25の回転動力は、可動軸47bに伝達され、更に可動軸47bから巻取りコア116に伝達される。
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、位置決め突起41にコア軸192(テープコア104)が係合し、プラテン駆動軸45にプラテンローラー120か係合し、更に巻取り駆動軸47に巻取りコア116が係合する。そして、開閉蓋7を閉塞すると、印刷ヘッド21が回動し、印刷テープ102およびインクリボン110を挟んでプラテンローラー120に当接して、テープ印刷装置1は印刷待機状態となる。
図1および図4に示すように、開閉蓋7は、奥側に設けたヒンジ部71を介して、装置ケース3に回動自在に、すなわち開閉自在に取り付けられている。開閉蓋7は、平面視矩形に形成され開閉蓋本体73と、開閉蓋本体73の中央に設けた覗き窓75と、を有している。また、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されヒンジ部71に回動自在に軸支された一対の軸支片77と、開閉蓋本体73の裏面に突設され印刷ヘッド21を回動させる作動レバー79と、を有している。さらに、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されテープカートリッジ100を押し込む2つの押込み突起81と、開閉蓋本体73の裏面に突設され、内蔵する蓋閉塞検出スイッチ(図示省略)を作動(ON)する押下突起83と、を有している。
覗き窓75は、横長に形成され、開閉蓋本体73とは別体となる透明(可視光に対し透明)な樹脂で構成されている。この覗き窓75越しに、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100が、視認(印刷テープ102の種別やテープ残量)できるようになっている。また、一対の軸支片77、作動レバー79、2つの押込み突起81および押下突起83と、開閉蓋本体73とは、樹脂で一体に形成(成形)されている。
作動レバー79は、開閉蓋本体73の裏面から大きく突出しており、開閉蓋7の閉塞に伴って、カートリッジ装着部5の側方に設けたスリット開口87に挿入される。スリット開口87に挿入された作動レバー79は、上記のヘッドリリース機構を作動させ、印刷ヘッド21を回動させる。同様に、押下突起83は、開閉蓋7の閉塞に伴って、スリット開口87に隣接する矩形開口91に挿入され、蓋閉塞検出スイッチを作動(ON)させる。
一方の押込み突起81は、テープカートリッジ100のプラテンローラー120の近傍位置に対応している。他方の押込み突起81は、上記のテープ検出部51の直上位置に対応している。開閉蓋7を閉塞すると、2つの押込み突起81は、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5の装着ベース31に着座するようにこれを押し込むと共に、テープカートリッジ100の浮き上がりを防止する。
[テープカートリッジの詳細]
次に、図2、図5および図6を参照して、テープカートリッジ100について詳細に説明する。なお、テープカートリッジ100の説明では、図2を例に、テープカートリッジ100の上正面である装着方向手前の面を「表面」と、逆側の装着方向奥側の面を「裏面」と、左側の側面を「左側面」と、右側の側面を「右側面」と、上側(前側)の円弧状の側面を「先端面」と、下側(後側)の側面を「基端面」と、称呼するものとする。
テープカートリッジ100は、上述のように、カートリッジケース130と、これに収容したテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され挿入開口134と、プラテンローラー120の近傍において左側面に形成したテープ送出口138と、テープロール106が収容されている部位の表面、左側面および右側面に亘って貼着された識別シール141(図1参照)と、を備えている。識別シール141には、カートリッジケース130に収容されている印刷テープ102のテープ幅やテープ色、材質等が、表面および左側面の2箇所に表示されている。
カートリッジケース130は、テープカートリッジ100の外郭を構成するものであり(シェル構造)、右側面の基端側が幾分突出した、平面視「L」字状の外観を呈している。表裏方向においてカートリッジケース130は、カートリッジ装着部5に装着したときに奥側となる下ケース150と、手前側となる上ケース152と、で構成されている。実施形態のカートリッジケース130は、上ケース152が透明な樹脂の成型品で構成され、下ケース150が不透明な樹脂の成型品で構成されている。
上ケース152は、カートリッジケース130の表面を構成する天壁部156と、天壁部156の周縁部に垂設された上周壁部158と、で一体に形成(成形)されている。また、下ケース150は、カートリッジケース130の裏面を構成する底壁部160と、底壁部160の周縁部に立設された下周壁162と、上記の挿入開口134を画成すべく底壁部160に立設された開口周壁部164と、で一体に形成(成形)されている。
開口周壁部164により画成された挿入開口134は、カートリッジ装着部5のヘッドカバー43が挿入される部位であり、詳細は後述するが、開口周壁部164は、ヘッドカバー43に設けた上記の本体側当接部65に対応するカートリッジ側当接部166を有している。カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の本体側当接部65に、テープカートリッジ100のカートリッジ側当接部166が当接し、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に位置決めされる(詳細は後述する)。
上ケース152における上周壁部158の下端面には、適宜の間隔で複数の接合ピン170が設けられる一方、下ケース150の下周壁162には、この複数の接合ピン170に対応して複数の接合孔172が設けられている(図5参照)。下ケース150に、テープロール106やリボンロール114等の構成部品をセットした後、複数の接合孔172に複数の接合ピン170を圧入するように上ケース152を接合することにより、テープカートリッジ100が組み立てられる。なお、各接合孔172は、成形の容易性を考慮し貫通孔となっている。
一方、下ケース150の左側面および右側面には、上記の一対の掛止め片57に掛け止めされる一対の掛止受け部174が設けられている(図2および図6参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の掛止受け部174に、カートリッジ装着部5側の一対の掛止め片57が掛け止めされることにより、テープカートリッジ100の浮き上がりが防止される。また、下ケース150の裏面には、上記の一対の小突起55が幾分余裕をもって嵌合する嵌合小穴176が設けられている(図6参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の嵌合小穴176に、カートリッジ装着部5側の一対の小突起55が嵌合することにより、装着ベース31上におけるテープカートリッジ100の簡単な位置決めが為される。
さらに、下ケース150の裏面には、基端面側の左隅部(表面側から見て右隅部)に位置して、上記のテープ検出部51に対応する被検出部180が設けられている(図6参照)。被検出部180は、テープ検出部51の複数のマイクロスイッチ51aに対応する部分に成され、この部分に設けた受け穴180aの有無により、複数のビットパターンを得るようにしている。すなわち、このビットパターンが、上記した印刷テープ102の種別に対応している。
図5に示すように、カートリッジケース130内の上側空間(先端面側)には、広くテープロール106が収容されるテープ収容エリア190が構成されている。テープ収容エリア190の中央には、下ケース150に一体に形成(成形)されたコア軸192が立設されている。コア軸192は、円筒状に形成されており、その外周面にはテープロール106(テープコア104)が回転自在に軸支されている。また、プラテンローラー120の近傍に位置してテープ収容エリア190には、繰り出された印刷テープ102をプラテンローラー120に導くテープガイド194が、下ケース150に一体に立設されている。
すなわち、カートリッジケース130の内部には、テープロール106を起点とし、テープガイド194およびプラテンローラー120を経てテープ送出口138に至るテープ送り経路196が構成されている。テープロール106から繰り出された印刷テープ102は、テープガイド194を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120からテープ送出口138に導かれる。
テープロール106は、印刷テープ102およびテープコア104を有すると共に、ロール状の印刷テープ102の両端面に貼着された2枚のフイルム198を有している。この2枚のフイルム198は、テープコア104に巻回した印刷テープ102のバラケを防止している。また、テープコア104には、図示では省略したが、逆転止め機構が組み込まれている。テープカートリッジ100を持ち運びするときには、この逆転止め機構により、印刷テープ102の逆転が防止される。一方、テープカートリッジ100をテープ印刷装置1のカートリッジ装着部5に装着すると、上記の位置決め突起41により逆転止め機構の逆転止めが解除され、印刷テープ102の送りが可能になる。
カートリッジケース130内の基部右側には、挿入開口134に隣接してリボン収容エリア200が構成されている。リボン収容エリア200の右寄りには、リボンロール114(繰出しコア112)を回転自在に支持する繰出し側軸受部202が、また左寄りには、巻取りコア116を回転自在に支持する巻取り側軸受部204が、それぞれカートリッジケース130に一体に形成されている。すなわち、上ケース152および下ケース150に、それぞれ繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204が形成されている。
下ケース150に形成された繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204の切欠き部分には、先端部をこれら繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204に臨ませた回転止めフック206が、それぞれ一体に形成されている。そして、一方の回転止めフック206は繰出しコア112に、他方の回転止めフック206は巻取りコア116に、それぞれ回転止め状態に係合されている。
繰出し側軸受部202の近傍に位置してリボン収容エリア200には、繰り出されたインクリボン110をプラテンローラー120に導く第1リボンガイド210が、下ケース150に一体に立設されている。また、上記の開口周壁部164の外周側には、インクリボン110の周回をガイドする複数の第2リボンガイド212が一体に形成されている。
すなわち、カートリッジケース130の内部には、リボンロール114を起点とし、第1リボンガイド210、プラテンローラー120および複数の第2リボンガイド212を経て巻取りコア116に至るリボン送り経路214が構成されている。リボンロール114から繰り出されたインクリボン110は、第1リボンガイド210を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120から開口周壁部164(複数の第2リボンガイド212)を周回して巻取りコア116に巻き取られる。
なお、開口周壁部164を周回するリボン送り経路214には、インクリボン110の下方への位置ズレを規制すべく、複数のリブ状規制部168が設けられている(図7参照)。複数のリブ状規制部168は、下ケース150の底壁部160上において、第1リボンガイド210の位置、第2リボンガイド212の位置、開口周壁部164の角部の位置等に、それぞれリブ状を為すように設けられている。
リボンロール114は、インクリボン110および繰出しコア112を有すると共に、繰出しコア112に制動負荷を付与する円環状の板ばね220を有している(図5(b)参照)。板ばね220は、周方向において波状に形成されており、軸方向において上ケース152の天壁部156と繰出しコア112との間に介設されている。すなわち、繰出しコア112には、この板ばね220の弾発力により回転制動負荷が付与される。これにより、巻取りコア116により繰り出されてゆくインクリボン110には、バックテンションが付与されその弛みが防止される。
繰出しコア112は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き222が形成されている(図6参照)。そして、複数の切欠き222には、上記の回転止めフック206が係脱するようになっている。なお、繰出しコア112を支持する下ケース150側の繰出し側軸受部202は円形の開口で構成されているが、上ケース152側の繰出し側軸受部202は、円筒状の突出部分で構成されている。そして、この突出部分に上記の板ばね220が装着されている(いずれも、図5(b)参照)。
同様に、巻取りコア116は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き224が形成されている。そして、複数の切欠き224には、上記の回転止めフック206が係脱する。また、巻取りコア116の内周面にはスプライン溝226が形成され、上記の巻取り駆動軸47にスプライン係合する。これにより、巻取り駆動軸47の回転力が巻取りコア116に伝達され、インクリボン110が巻き取られる。
カートリッジケース130内の基部左側には、挿入開口134に隣接してプラテン収容エリア230が構成されている。プラテン収容エリア230の中央には、下ケース150に形成した楕円状開口の下軸受部234と(図6参照)、上ケース152に形成した楕円状開口の上軸受部232と(図5(b)参照)が設けられている。そして、上軸受部232および下軸受部234には、プラテンローラー120が回転自在且つ僅かに横移動可能に支持されている。すなわち、楕円状の上軸受部232および下軸受部234に支持されたプラテンローラー120は、プラテン駆動軸45に係合するホーム位置と、印刷テープ102を挟み込んでテープガイド194に接する挟持位置との間で、横移動(微小移動)可能に構成されている。
ところで、このテープカートリッジ100は、印刷テープ102の繰出し端部を、テープ送出口138から外部に僅かに突出された状態で持ち運びされる(図1参照)。その際、誤って印刷テープ102の繰出し端部に押込み力や引込み力が作用すると、これに引きずられたプラテンローラー120が上記の挟持位置に移動する。これにより、印刷テープ102の繰出し端部が、テープ送出口138からカートリッジケース130内に引き込まれることが防止される。
プラテンローラー120は、円筒状のローラー基体240と、ローラー基体240の外周面に装着したゴムローラー242と、を有している。ゴムローラー242は、軸方向において印刷ヘッド21に対応する長さを有しており、印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、印刷テープ102およびインクリボン110を挟み込んでこのゴムローラー242に接触する。また、ローラー基体240の内周面にはスプライン溝244が形成され、上記のプラテン駆動軸45にスプライン係合する。これにより、プラテン駆動軸45の回転力がプラテンローラー120に伝達され、印刷テープ102(およびインクリボン110)が印刷送りされる。
ところで、本実施形態のテープカートリッジ100では、プラテン駆動軸45からプラテンローラー120に回転力が入力されると共に、巻取り駆動軸47から巻取りコア116に回転力が入力される。このため、プラテンローラー120の軸受け部分の摩擦を介して、カートリッジケース130に回転モーメントとして作用すると共に、巻取りコア116の軸受け部分の摩擦を介して、カートリッジケース130に回転モーメントとして作用する。この2つの回転モーメントは、相互に逆方向に作用し、その合成力Mが、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上においては互いに打ち消し合うベクトル成分が無いため、仮想線Lに交差する方向に最も大きく作用する(図7(a)参照)。そこで、本実施形態では、ヘッドカバー43に上記の本体側当接部65を設けると共に、テープカートリッジ100に上記のカートリッジ側当接部166を設けて、上記の合成力Mに抗するようにしている。
[本体側当接部廻りの構造:第1実施形態]
次に、図7ないし図9を参照して、第1実施形態に係るヘッドカバー43の本体側当接部65の構造について、テープカートリッジ100のカートリッジ側当接部166の構造と共に詳細に説明する。なお、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21およびこれを支持するヘッド支持フレーム61により、請求項にいう印刷ヘッド部が構成されている。
図7および図8の拡大図に示すように、カートリッジ装着部5の装着ベース31に立設されたヘッドカバー43には、上記の回動支軸63側の角部270に本体側当接部65が設けられている。ヘッドカバー43は、印刷ヘッド21の背面側を覆う後カバー側壁280(第3カバー側壁)と、後カバー側壁280の両外端からそれぞれ直角に延びる左カバー側壁282(第4カバー側壁)および右カバー側壁284(第2カバー側壁)と、を有している。また、ヘッドカバー43は、印刷ヘッド21の前側半部を覆う前カバー側壁286(第1カバー側壁)と、印刷ヘッド21を上側から覆うカバー天壁288と、を有している。そして、これらは、一体に形成されている。
本体側当接部65は、右カバー側壁284と前カバー側壁286とが交わる(交会する)角部270に突設(凸設)されている。具体的には、本体側当接部65は、断面矩形に形成され、上記の角部270における頂部位に突設されている。また、本体側当接部65は、装着ベース31からヘッドカバー43と同一高さとなるように延在している。上述のように、ヘッドカバー43と装着ベース31とは、一体に形成(成形)されており、本体側当接部65も、これらと一体に形成(成形)されている。
また、図7(a)に示すように、本体側当接部65は、プラテン駆動軸45と巻取り駆動軸47とを結ぶ仮想線Lの近傍に配設されている。上述のようにプラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転に基づいてテープカートリッジ100に作用する力は、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線Lに交差する方向に最も大きく作用する。そこで、この力に抗すべく、ヘッドカバー43の一部に本体側当接部65が設けられている。
図7および図9の拡大図に示すように、本体側当接部65を受容するテープカートリッジ100のカートリッジ側当接部166は、挿入開口134を画成する開口周壁部164において、上記の角部270に対応する隅部300に形成されている。このカートリッジ側当接部166は、本体側当接部65に対応して、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線Lの近傍に位置している(図7(a)参照)。
開口周壁部164は、後カバー側壁280に対応する後開口内壁310と、左カバー側壁282に対応する左開口内壁312と、を有している。また、開口周壁部164は、右カバー側壁284に対応する右開口内壁314と、前カバー側壁286に対応する前開口内壁316と、を有している。そして、後カバー側壁280と後開口内壁310とは、間隙を存して対面している。同様に、左カバー側壁282と左開口内壁312、右カバー側壁284と右開口内壁314、前カバー側壁286と前開口内壁316、もそれぞれ間隙を存して対面している。
カートリッジ側当接部166は、右開口内壁314と前開口内壁316とが交わる隅部300に凹設されている。この場合、カートリッジ側当接部166は、断面矩形の本体側当接部65に対し、相補的形状となる断面矩形に形成されている。また、本体側当接部65に対応して、カートリッジ側当接部166は、カートリッジケース130の表側から裏側まで通しで形成されている。そして、カートリッジ側当接部166は、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線Lに交差する方向において、本体側当接部65に当接し、且つ嵌合している。なお、図示では、当接していないが、回転モーメントが作用し、公差分テープカートリッジ100が動いたときに両当接部が当接し、テープカートリッジ100の動きを規制する。
カートリッジ側当接部166は、相互に平行な2つの側壁面320を有しており、この2つの側壁面320が、本体側当接部65の側面に接触するようになっている。これにより、カートリッジ側当接部166(カートリッジケース130)は、本体側当接部65により、上記の仮想線Lの方向(凸設方向に直交する方向)に位置決めされる。なお、この2つの側壁面320は、装着ベース31側に向かって拡開するように、それぞれ傾斜面を有することが好ましい。このようにすれば、テープカートリッジ100を装着するときにこの傾斜面がガイドとして機能し、カートリッジケース130を、仮想線Lの方向に精度良く位置決めすることができる。
このような第1実施形態では、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の本体側当接部65に、テープカートリッジ100のカートリッジ側当接部166が嵌合し且つ突き当てられる。カートリッジ側当接部166が、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上(図7からも明らかなように、近傍を含む)に存在しているため、プラテン駆動軸45と巻取り駆動軸47の駆動力を源とする回転力(回転モーメント)は、各々が打消す方向のベクトル成分がほとんど無く、重ね合わされた力(合成された力)となる。このため、テープカートリッジ100に、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、本体側当接部65とカートリッジ側当接部166とは、前述した重ね合わされた力で突き合されることになり、テープカートリッジ100の位置ズレが抑制される。したがって、テープカートリッジ100の位置ズレによる印刷品質の低下を防止することができる。
なお、第1実施形態では、本体側当接部65をヘッドカバー43と同一高さと同一となるように形成しているが、これより短く(低く)形成してもよい。同様に、カートリッジ側当接部166も短く形成してもよい。また、前述のとおりテープカートリッジ100には、印刷テープ102の複数の幅に合わせて複数の厚みのものが存在する。厚みの大きいものの場合は、印刷ヘッド21(ヘッドカバー43)が挿入される挿入開口134が、必ずしも貫通孔である必要はなく、印刷ヘッド21を収容できるものであれば天井のある袋孔であってもよい。その場合は、この袋孔の袋の深さの範囲内の長さでカートリッジ側当接部166を設ければよい。
[本体側当接部廻りの構造:第2実施形態]
次に、図10を参照して、第2実施形態に係るヘッドカバー43の本体側当接部65の構造について、テープカートリッジ100のカートリッジ側当接部166の構造と共に詳細に説明する。また、第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
図10に示すように、第2実施形態においても、本体側当接部65は、ヘッドカバー43における右カバー側壁284と前カバー側壁286とが交わる角部270に突設(凸設)されている。具体的には、本体側当接部65は、角部270の頂部位近傍において、右カバー側壁284に凸設した断面矩形形状の第1当接凸部65aと、前カバー側壁286に凸設した断面矩形形状の第2当接凸部65bと、を有している。また、第1当接凸部65aおよび第2当接凸部65bは、いずれも装着ベース31からヘッドカバー43と同一高さとなるように延在している。なお、この高さ関係のバリエーションについては、第1実施形態のものと同様である。
一方、カートリッジ側当接部166も、開口周壁部164における右開口内壁314と前開口内壁316とが交わる隅部300に凹設されている。具体的には、カートリッジ側当接部166は、上記の第1当接凸部65aに対応して右開口内壁314に凹設した第1当接凹部330を有している。また、カートリッジ側当接部166は、上記の第2当接凸部65bに対応して前開口内壁316に凹設した第2当接凹部332と、を有している。この場合も、第1当接凹部330は、第1当接凸部65aに対し相補的形状となる断面矩形に形成され、第2当接凹部332は、第2当接凸部65bに対し相補的形状となる断面矩形に形成されている。
また、第1当接凹部330および第2当接凹部332は、いずれもカートリッジケース130の表側から裏側まで通しで形成されている。そしてこの場合も、第1当接凹部330および第2当接凹部332は、それぞれ相互に平行な2つの側壁面320を有しており、この2つの側壁面320が、対応する第1当接凸部65aおよび第2当接凸部65bの側面に接触するようになっている。これにより、カートリッジケース130は、前後左右に位置決めされる。
このような第2実施形態では、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着する。すると、ヘッドカバー43の第1当接凸部65aおよび第2当接凸部65b(本体側当接部65)に、テープカートリッジ100の第1当接凹部330および第2当接凹部332(カートリッジ側当接部166)がそれぞれ嵌合し且つ突き当てられる。このため、テープカートリッジ100に、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、テープカートリッジ100が位置ズレすることがない。
[本体側当接部廻りの構造:第3実施形態]
次に、図11を参照して、第3実施形態に係るヘッドカバー43の本体側当接部65の構造について、テープカートリッジ100のカートリッジ側当接部166の構造と共に詳細に説明する。また、第3実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
図11に示すように、この実施形態では、ヘッドカバー43の本体側当接部65が、第1実施形態の本体側当接部65より短く形成(突設)されている。なお、この高さ関係のバリエーションについては、第1実施形態のものと同様である。
上述のように、右カバー側壁284と右開口内壁314との間には間隙が設けられ、前カバー側壁286と前開口内壁316との間にも間隙が設けられている。このため、これらの角部270と、これらの隅部300と間にも間隙が生じている。
本実施形態の本体側当接部65は、この角部270と隅部300との間隙分の突出寸法で、ヘッドカバー43に突設されている。一方、本体側当接部65には、右開口内壁314と前開口内壁316とが交わる隅部300の入隅部位が当接している。すなわち、第3実施形態のカートリッジ側当接部166は、隅部300の入隅部位により構成されている。言い換えれば、隅部300の入隅部位が、カートリッジ側当接部166を兼ねている。この場合、隅部300の入隅部位は、成形上の要請で円弧状に形成されており、これに対応する本体側当接部65の先端も円弧状(相補的な円弧状)に形成されている。
このような第3実施形態では、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の本体側当接部65に、テープカートリッジ100の隅部300(カートリッジ側当接部166)が突き当てられる。このため、テープカートリッジ100に、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、テープカートリッジ100が位置ズレすることがない。
なお、上述した各実施形態において、本体側当接部65は、角部270またはその近傍に設けられ、カートリッジ側当接部166は、隅部300またはその近傍に設けられている。しかし、必ずしもこれらの位置でなくても、カートリッジ側当接部166は、図7に示すプラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上(近傍を含む)に位置すれば、本発明の作用効果を得ることができる。また、カートリッジ側当接部166は、凹部または隅部として例示されている。しかし、必ずしもそのような形態である必要はない。例えば、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上(近傍を含む)に位置し、本体側当接部65からの力を受け止めることができさえすれば、カートリッジ側当接部166は、単なる開口周壁部164の壁の本体側当接部65に対向する壁の一部であってもよい。
[本体側当接部廻りの構造:第4実施形態]
次に、図12ないし図14を参照して、第4実施形態に係るヘッドカバー43の本体側当接部65廻りの構造について説明する。この実施形態は、上記の第1ないし第3実施形態のヘッドカバー43廻りの構造に、テープカートリッジ100の装着を案内する構造を付加したものである。以下、この案内構造を第1実施形態のヘッドカバー43に付加した形態について説明する。
図12および図13の拡大図に示すように、カートリッジ装着部5の装着ベース31に立設されたヘッドカバー43には、3箇所にガイド凸部67がそれぞれ外側に向かって突出するように設けられている。カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の3つのガイド凸部67に、後述するテープカートリッジ100の3つのガイド凹部169がそれぞれ嵌合し、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に位置決めされる。
3つのガイド凸部67は、装着ベース31上において、後カバー側壁280の外面に突設した後ガイド凸部400と、左カバー側壁282の外面に突設した左ガイド凸部402と、右カバー側壁284の外面に突設した右ガイド凸部404と、を有している。後ガイド凸部400は、後カバー側壁280の延在方向に中間位置に配設され、断面矩形形状に形成されている。左ガイド凸部402は、左カバー側壁282の後カバー側壁280寄りの位置に配設され、断面矩形形状に形成されている。同様に、右ガイド凸部404は、右カバー側壁284の後カバー側壁280寄りの位置に配設され、断面矩形形状に形成されている。
また、後ガイド凸部400、左ガイド凸部402および右ガイド凸部404は、装着ベース31からの高さが同一になるように形成され、その高さは、装着したテープカートリッジ100における上記のリブ状規制部168より低くなるように設計されている(図12(b)および図13(b)参照)。詳細は後述するが、ガイド凸部67に対応するガイド凹部169が、リブ状規制部168の下側に位置するようにし、ガイド凹部169がリボン送り経路214に突出しないよう設計されている。そして、後ガイド凸部400、左ガイド凸部402および右ガイド凸部404は、ヘッドカバー43および装着ベース31と一体に形成(成形)され、テープカートリッジ100の装着ガイド、およびヘッドカバー43を補強するリブとして機能している。
図12および図14の拡大図に示すように、3つのガイド凸部67を受容するテープカートリッジ100の3つのガイド凹部169は、開口周壁部164に形成されている。
3つのガイド凹部169は、後開口内壁310に形成され、後ガイド凸部400が嵌合する後ガイド凹部430と、左開口内壁312に形成され、左ガイド凸部402が嵌合する左ガイド凹部432と、右開口内壁314に形成され、右ガイド凸部404が嵌合する右ガイド凹部434と、を有している。そして、後ガイド凹部430は、断面矩形形状の後ガイド凸部400に対し、相補的形状となる断面矩形形状に形成されている。また、左ガイド凹部432は、左ガイド凸部402に対し相補的形状となる断面矩形形状に形成されている。同様に、右ガイド凹部434は、右ガイド凸部404に対し相補的形状となる断面矩形形状に形成されている。
この場合、後ガイド凹部430、左ガイド凹部432および右ガイド凹部434は、いずれも相互に平行な2つの凹部側壁面440を有しており、この2つの凹部側壁面440が、各ガイド凸部67の側面に接触するようになっている。これにより、後ガイド凹部430は、後ガイド凸部400により左右方向(突設方向に直交する方向)に位置決めされる。同様に、左ガイド凹部432は、左ガイド凸部402により前後方向(突設方向に直交する方向)に、右ガイド凹部434は、右ガイド凸部404により前後方向(突設方向に直交する方向)に、それぞれ位置決めされる。
また、後ガイド凹部430、左ガイド凹部432および右ガイド凹部434は、いずれも装着方向に上り傾斜の傾斜面を含む凹部底壁面442を有している(図12(b)参照)。これにより、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、後ガイド凸部400により、後ガイド凹部430における、後ガイド凸部400が突出する方向の変位が規制される。この押圧力は、例えばプラテンローラー120の上軸受部232および下軸受部234を介して、テープカートリッジ100に伝達され、後ガイド凹部430を後ガイド凸部400に向けて変位させようとするが、後ガイド凸部400によって規制される。同様に、左ガイド凹部432は、左ガイド凸部402から左方への位置規制を受け、右ガイド凹部434は、右ガイド凸部404から右方への位置規制を受ける。このため、テープカートリッジ100は、左右方向において不動に位置決めされる。
一方、後ガイド凹部430、左ガイド凹部432および右ガイド凹部434は、底壁部160からの高さが同一になるように形成され、その高さは、上記のリブ状規制部168より僅かに低くなるように設計されている(図12(b)参照)。これにより、3つのガイド凹部169が、リボン送り経路214に突出しないよう設計されている。
そして、実際の後ガイド凹部430、左ガイド凹部432および右ガイド凹部434は、いずれも開口周壁部164と底壁部160とが交わるコーナー部450に配設されており(図12(b)および図14参照)、これら凹部430,432,434は、コーナー部450において凹溝で構成され、開口周壁部164側(内壁本体)において開口で構成されている。これにより、3つのガイド凹部169は、その機能を損なうことなく、簡単に形成することができる。
このように、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の3つのガイド凸部67に、テープカートリッジ100の3つのガイド凹部169がそれぞれ嵌合し、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に位置決めされる。このため、テープカートリッジ100に、印刷ヘッド21の押圧力や、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、テープカートリッジ100が位置ズレすることがない。したがって、テープカートリッジ100の位置ズレを抑制することができる。したがって、テープカートリッジ100の位置ズレによる印刷品質の低下を防止することができる。
また、ガイド凸部67とガイド凹部169との協働により、テープカートリッジ100の装着がガイドされるため、ヘッドカバー43と挿入開口134との間の間隙を極力狭くすることができ、この部分からの塵埃等の侵入を有効に防止することができる。
[本体側当接部廻りの構造:第5実施形態]
次に、図15を参照して、第5実施形態に係るヘッドカバー43の本体側当接部65廻りの構造について説明する。なお、この第5実施形態では、主に第4実施形態と異なる部分について説明する。
図15に示すように、この実施形態では、ヘッドカバー43に4つのガイド凸部67が設けられ、これに対応して、テープカートリッジ100の開口周壁部164には、4つのガイド凹部169が設けられている。
4つのガイド凸部67は、後カバー側壁280の外面に突設した2つの後ガイド凸部400と、左カバー側壁282の外面に突設した左ガイド凸部402と、右カバー側壁284の外面に突設した右ガイド凸部404と、を有している。一方の後ガイド凸部400と左ガイド凸部402とは、後カバー側壁280と左カバー側壁282とのコーナー近傍に配設され、また他方の後ガイド凸部400と右ガイド凸部404とは、後カバー側壁280と右カバー側壁284とのコーナー近傍に配設されている。
4つのガイド凸部67に対応して、4つのガイド凹部169は、後開口内壁310に形成され、2つの後ガイド凸部400が嵌合する2つの後ガイド凹部430と、左開口内壁312に形成され、左ガイド凸部402が嵌合する左ガイド凹部432と、右開口内壁314に形成され、右ガイド凸部404が嵌合する右ガイド凹部434と、を有している。
このように、開口周壁部164の2つのコーナーの一方(左側)のコーナーにおいて、一方の後ガイド凸部400に一方の後ガイド凹部430が嵌合すると共に、左ガイド凸部402に左ガイド凹部432が嵌合する。また、他方(右側)のコーナーにおいても、他方の後ガイド凸部400に他方の後ガイド凹部430が嵌合すると共に、右ガイド凸部404に右ガイド凹部434が嵌合する。これにより、開口周壁部164の2つのコーナーは、それぞれ前後左右に位置決めされる。すなわち、テープカートリッジ100は、印刷ヘッド21近傍の離間した2箇所において、それぞれ前後左右に位置決めされる。
このような第5実施形態においても、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の4つのガイド凸部67に、テープカートリッジ100の4つのガイド凹部169がそれぞれ嵌合し、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に不動に位置決めされる。このため、テープカートリッジ100に外力が作用しても、その位置ズレが防止され、テープカートリッジ100の位置ズレによる印刷品質の低下を有効に防止することができる。
なお、第4・第5実施形態において、ガイド凸部67およびガイド凹部169の数は、任意である。また、ガイド凸部67およびガイド凹部169の長さも任意であり、例えばその一部または全部をヘッドカバー43の高さと同じ長さのガイド凸部67、および開口周壁部164の高さと同じ長さのガイド凹部169としてもよい。