JP6344327B2 - 内燃機関用過給システム - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、電動コンプレッサの回転速度とバイパスバルブの開度との適切な関係について記載されていない。
仮に、バイパスバルブに対する駆動力が適切に把握されず、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇する前にバイパスバルブの開度が所定開度に低下すると、吸気通路が負圧になってしまうおそれがある。
また、仮に、バキュームポンプが発生する負圧がバイパスバルブの閉弁動作とウェイストゲートバルブの閉弁動作とで共用される場合には、バキュームポンプから供給される負圧をバイパスバルブの閉弁動作に適切に利用しなければ、過給圧の上昇が遅れてしまうおそれがある。
前記気筒に接続された吸気通路と、
前記気筒に接続された排気通路と、
前記吸気通路に配置されたコンプレッサと前記排気通路に配置されたタービンとを有するターボチャージャと、
前記吸気通路に配置された電動コンプレッサを有する電動過給機と、
前記吸気通路に並列に設けられ、前記電動コンプレッサを迂回するバイパス通路と、
前記バイパス通路に配置され、負圧によって開弁状態から閉弁状態に閉弁動作するように構成されたバイパスバルブと、
前記排気通路に並列に設けられ、前記タービンを迂回するウェイストゲート通路と、
前記ウェイストゲート通路に配置され、負圧によって開弁状態から閉弁状態に閉弁動作するように構成されたウェイストゲートバルブと、
前記バイパスバルブと前記ウェイストゲートバルブとに負圧を供給する共用のバキュームポンプと、
前記バキュームポンプを駆動して前記バイパスバルブと前記ウェイストゲートバルブとを制御する制御装置とを具備する内燃機関用過給システムにおいて、
前記電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇するまでの第1所要時間を算出する回転速度上昇所要時間算出部と、
前記バキュームポンプから前記バイパスバルブに供給される負圧に基づいて、前記バイパスバルブの開度が所定開度に低下するまでの第2所要時間を算出する開度低下所要時間算出部とを前記制御装置に設け、
前記電動コンプレッサの回転速度が前記所定回転速度に上昇する時に前記バイパスバルブの開度が前記所定開度に低下すると前記吸気通路が負圧にならず、かつ、前記電動コンプレッサの回転速度が前記所定回転速度に上昇する前に前記バイパスバルブの開度が前記所定開度に低下すると前記吸気通路が負圧になるように、前記所定回転速度と前記所定開度とを設定し、
前記第1所要時間が前記第2所要時間以下になったときに、前記制御装置によって、前記バイパスバルブの閉弁動作が開始され、
前記第2所要時間が前記第1所要時間より長い場合には、前記第2所要時間がゼロに低下するまでの期間中、前記ウェイストゲートバルブの閉弁動作を実行しないことを特徴とする内燃機関用過給システムが提供される。
本発明者の鋭意研究により、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇する前にバイパスバルブの開度が所定開度に低下すると、吸気通路が負圧になることが見い出された。
さらに、本発明者の鋭意研究により、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇する時にバイパスバルブの開度が所定開度に低下すると、吸気通路が負圧になることなく、過給圧が速く上昇することが見い出された。
また、本発明者の鋭意研究により、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇した後にバイパスバルブの開度が所定開度に低下すると、吸気通路が負圧にならないものの、過給圧の上昇速度が遅くなることが見い出された。
この点に鑑み、本発明の内燃機関用過給システムでは、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇するまでの第1所要時間が算出される。また、バキュームポンプからバイパスバルブに供給される負圧に基づいて、バイパスバルブの開度が所定開度に低下するまでの第2所要時間が算出される。詳細には、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇する時にバイパスバルブの開度が所定開度に低下すると吸気通路が負圧にならず、かつ、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇する前にバイパスバルブの開度が所定開度に低下すると吸気通路が負圧になるように、電動コンプレッサの所定回転速度とバイパスバルブの所定開度とが設定される。さらに、第1所要時間が第2所要時間以下になったときに、バイパスバルブの閉弁動作が開始される。
そのため、本発明の内燃機関用過給システムでは、電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇する前にバイパスバルブの開度が所定開度に低下することを回避することができ、それにより、吸気通路が負圧になってしまうことを回避することができる。
さらに、本発明の内燃機関用過給システムでは、第2所要時間が第1所要時間より長い場合には、第2所要時間がゼロに低下するまでの期間中、バキュームポンプから供給される負圧を利用したウェイストゲートバルブの閉弁動作が実行されず、バキュームポンプから供給される負圧がバイパスバルブの閉弁動作に専用される。
そのため、本発明の内燃機関用過給システムでは、バキュームポンプが発生する負圧をバイパスバルブとウェイストゲートバルブとで共用しつつ、バキュームポンプから供給される負圧をバイパスバルブの閉弁動作に適切に利用することにより、過給圧の上昇を早めることができる。
第1の実施形態の内燃機関用過給システムでは、図1に示すように、気筒(図示せず)を有するエンジン本体1が設けられている。さらに、吸気通路2と排気通路3とが気筒に接続されている。また、ターボチャージャ4のコンプレッサ4aが吸気通路2に配置され、ターボチャージャ4のタービン4bが排気通路3に配置されている。さらに、ターボチャージャ4の回転軸4cによって、コンプレッサインペラ(図示せず)とタービンホイール(図示せず)とが接続されている。
第1の実施形態の内燃機関用過給システムでは、図1に示すように、電動コンプレッサ5aが、吸気通路2のうちのターボチャージャ4のコンプレッサ4aの上流側に直列に配置されているが、第2の実施形態の内燃機関用過給システムでは、代わりに、電動コンプレッサ5aを、吸気通路2のうちのターボチャージャ4のコンプレッサ4aの下流側に直列に配置することもできる。
第3の実施形態の内燃機関用過給システムでは、代わりに、吸気通路2を分岐させ、電動コンプレッサ5aを、ターボチャージャ4のコンプレッサ4aに並列に配置することもできる。
また、タービン4bを迂回するためのウェイストゲート通路8が、排気通路3に並列に設けられている。さらに、バキュームポンプ10から供給される負圧によって開弁状態から閉弁状態に閉弁動作するように構成されたウェイストゲートバルブ9が、ウェイストゲート通路8に配置されている。ウェイストゲートバルブ9に対して負圧が供給されないときには、ウェイストゲートバルブ9の弁体(図示せず)が、スプリング(図示せず)の付勢力によって全開位置に配置され、ウェイストゲートバルブ9が開弁状態になる。つまり、ウェイストゲートバルブ9は、負圧により、スプリングの付勢力に抗して、開弁状態から閉弁状態に閉弁動作する。ウェイストゲートバルブ9の開度は、制御装置(図示せず)によって制御される。
つまり、第1の実施形態の内燃機関用過給システムでは、図1に示すように、バキュームポンプ10が発生した負圧が、バイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9とによって共用される。
図1に示す構成の内燃機関用過給システムでは、図3(D)に示すように、時間tSにアクセル開度が増加し、過給要求があると、電動過給機5の電動コンプレッサ5aが作動される。その結果、図3(A)に示すように、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度が増加し始める。このとき、図3(C)に示すように、バイパスバルブ7は全開状態になっている。
電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度が、ある程度まで上昇すると、図3(C)に示すように、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。また、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度が、ある程度まで上昇すると、図3(B)に示すように、過給圧が上昇し始める。
本発明者の鋭意研究により、電動過給機5(図1参照)の電動コンプレッサ5a(図1参照)の回転速度(図3(A)参照)が所定回転速度Ncthに上昇する時間tPより前の時間tEに、バイパスバルブ7の開度(図3(C)参照)が、図3(C)中に破線VEで示すように所定開度Vthに低下すると、図3(B)中に破線CEで示すように、過給圧(図3(B)参照)が一時的に低下し、吸気通路2(図1参照)が負圧になることが見い出された。
さらに、本発明者の鋭意研究により、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度(図3(A)参照)が所定回転速度Ncthに上昇する時間tPにバイパスバルブ7の開度(図3(C)参照)が、図3(C)中に実線VPで示すように所定開度Vthに低下すると、図3(B)中に実線CPで示すように、吸気通路2が負圧になることなく、過給圧(図3(B)参照)が滑らかに速く上昇することが見い出された。
また、本発明者の鋭意研究により、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度(図3(A)参照)が所定回転速度Ncthに上昇した時間tPより後の時間tLに、バイパスバルブ7の開度(図3(C)参照)が、図3(C)中に破線VLで示すように所定開度Vthに低下すると、図3(B)中に破線CLで示すように、吸気通路2が負圧にならないものの、過給圧(図3(B)参照)の上昇速度が遅くなることが見い出された。
本明細書では、吸気抵抗がゼロになる(つまり、吸気抵抗がなくなる)電動コンプレッサ5aの回転速度を「所定回転速度Ncth」と称する。
さらに、本明細書では、図3(B)中に実線CPで示すように、吸気通路2が負圧になることなく過給圧が速く上昇する場合に、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度(図3(A)参照)が所定回転速度Ncthに上昇する時間tPのバイパスバルブ7の開度(図3(C)参照)を、「所定開度Vth」と称する。
図2に示すように、吸入空気量が増加するに従って、所定回転速度Ncth(つまり、吸気抵抗がゼロになる電動コンプレッサ5aの回転速度)は高くなる。吸入空気量は、吸気通路2(図1参照)に配置されたエアフローメータ(図示せず)によって得られる。
図4は第1の実施形態の内燃機関用過給システムにおけるバイパスバルブ7の開度などの制御を説明するためのフローチャートである。
図4に示すように、第1の実施形態の内燃機関用過給システムにおけるバイパスバルブ7の開度などの制御が開始されると、ステップS101において、吸気圧Pimが目標値Ptargetより小さいか否かが判定される。YESのときにはステップS102に進み、NOのときには図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御を終了し、所定期間経過後にステップS101からの処理を再開する。
吸気圧Pimは、例えば吸気通路2(図1参照)の一部を構成する吸気マニホールド(図示せず)に配置された吸気圧センサによって取得される。目標値Ptargetは、アクセル開度(図3(D)参照)が増加するに従って増加する。
次いで、ステップS102では、電動過給機5(図1参照)の電動コンプレッサ5a(図1参照)が作動される。次いで、ステップS103では、バイパスバルブ7の弁体(図示せず)が全閉位置に配置されているか否か、つまり、バイパスバルブ7が閉弁状態であるか否かが判定される。NOのときにはステップS104に進み、YESのときにはステップS112に進む。
次いで、ステップS105では、電動コンプレッサ5aの回転速度が、吸気抵抗がなくなる(つまり、電動コンプレッサ5aの圧損がゼロになる)所定回転速度Ncth(図3(A)参照)に上昇するのに要する第1所要時間T1が、制御装置(図示せず)の回転速度上昇所要時間算出部(図示せず)によって算出される。
図5は第1所要時間T1と吸気通路2(図1参照)のうちの電動コンプレッサ5aの下流側の圧力Pと電動コンプレッサ5aの回転速度Ncとの関係を示した図である。図5に示すように、回転速度上昇所要時間算出部によって算出される第1所要時間T1は、吸気通路2のうちの電動コンプレッサ5aの下流側の圧力Pが低いほど長くなり、電動コンプレッサ5aの回転速度Ncが低いほど長くなる。
図6は第2所要時間T2とバキュームポンプ10(図1参照)が発生した負圧を検出するバキューム負圧センサ(図示せず)の出力値Pvとの関係を示した図である。図6に示すように、開度低下所要時間算出部によって算出される第2所要時間T2は、バキューム負圧センサの出力値Pvが小さいほど長くなる。
詳細には、上述したように、第1の実施形態の内燃機関用過給システムでは、バキュームポンプ10が発生した負圧が、バイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9(図1参照)とによって共用される。そのため、バキュームポンプ10が発生した負圧がウェイストゲートバルブ9によって利用されるときには、ウェイストゲートバルブ9によって利用されないときよりも、バイパスバルブ7が利用できる負圧が弱くなり、その結果、開度低下所要時間算出部によって算出される第2所要時間T2が長くなる。
また、第1の実施形態の内燃機関用過給システムでは、電動コンプレッサ5a(図1参照)の回転速度(図3(A)参照)が所定回転速度Ncth(図3(A)参照)に上昇する時に図3(C)中に実線VPで示すようにバイパスバルブ7の開度(図3(C)参照)が所定開度Vth(図3(C)参照)に低下すると、図3(B)中に実線CPで示すように、吸気通路2(図1参照)が負圧にならず、かつ、電動コンプレッサ5aの回転速度(図3(A)参照)が所定回転速度Ncth(図3(A)参照)に上昇する前に図3(C)中に破線VEで示すようにバイパスバルブ7の開度(図3(C)参照)が所定開度Vth(図3(C)参照)に低下すると、図3(B)中に破線CEで示すように、吸気通路2(図1参照)が負圧になるように、所定回転速度Ncthと所定開度Vthとが設定されている。
ステップS108では、第1所要時間T1が第2所要時間T2以下であるか否かが判定される。YESのときには、バイパスバルブ7(図1参照)の閉弁動作を開始しても、図3(B)中に破線CEで示すように過給圧(図3(B)参照)が一時的に低下して吸気通路2(図1参照)が負圧になるおそれがないと判断し、ステップS109に進む。一方、NOのときには、図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御を終了し、所定期間経過後にステップS101からの処理を再開する。
ステップS109では、制御装置(図示せず)によって、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。
ステップS110においてYESと判定されるときには、バイパスバルブ7(図1参照)の閉弁動作を開始しても、図3(B)中に破線CEで示すように過給圧(図3(B)参照)が一時的に低下して吸気通路2(図1参照)が負圧になるおそれがないと判断し、ステップS111に進む。一方、ステップS110においてNOと判定されるときにはステップS112に進む。
ステップS111では、制御装置(図示せず)によって、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。
ステップS113では、制御装置(図示せず)によって、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が開始される。
図7(F)に示すように、時間t0にアクセル開度が増加し、過給要求があると、電動過給機5の電動コンプレッサ5aが作動される。その結果、図7(B)に示すように、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度が増加し始める。また、図7(A)に示すように、ターボチャージャ4の回転軸4cの回転速度も増加し始める。
このとき、図7に示す例では、図7(D)に示すように、バイパスバルブ7は全開状態になっている。一方、図7(C)に示すように、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t0に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図7(E)に示すように、時間t0に、ステップS105において算出される第1所要時間T1は、ステップS106において算出される第2所要時間T2よりも長くなる。
また、時間t0に、ステップS107においてYESと判定され、ステップS108においてNOと判定される。
詳細には、時間t1に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図7(E)に示すように、時間t1にステップS105において算出される第1所要時間T1は、時間t0にステップS105において算出される第1所要時間T1より短いものの、依然として、時間t1に、ステップS105において算出される第1所要時間T1は、ステップS106において算出される第2所要時間T2よりも長い。
また、時間t1に、ステップS107においてNOと判定され、ステップS110においてNOと判定され、ステップS112においてYESと判定される。
詳細には、時間t2に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図7(E)に示すように、時間t2に、ステップS105において算出される第1所要時間T1が、ステップS106において算出される第2所要時間T2と等しくなる。
その結果、時間t2に、ステップS107においてNOと判定され、ステップS110においてYESと判定され、ステップS111が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t3に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図7(E)に示すように、時間t3に、ステップS105において算出される第1所要時間T1が、ステップS106において算出される第2所要時間T2と等しくなる。
その結果、時間t3に、ステップS107においてNOと判定され、ステップS110においてYESと判定され、ステップS111が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が継続される。
つまり、第1の実施形態の内燃機関用過給システムの図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御が適用された図7に示す例では、吸気通路が負圧になってしまうことを回避すると共に、過給圧の上昇を早めることができる。
詳細には、時間t4に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてYESと判定され、ステップS112においてYESと判定される。
つまり、図7に示す例では、電動コンプレッサ5a(図1参照)の回転速度の立ち上がりに時間がかかることが考慮され、先にウェイストゲートバルブ9(図1参照)の閉弁動作が実行される。
図8(F)に示すように、時間t00にアクセル開度が増加し、過給要求があると、電動過給機5の電動コンプレッサ5aが作動される。その結果、図8(B)に示すように、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度が増加し始める。また、図8(A)に示すように、ターボチャージャ4の回転軸4cの回転速度も増加し始める。
このとき、図8に示す例では、図8(D)に示すように、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t00に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図8(E)に示すように、時間t00に、ステップS105において算出される第1所要時間T1は、ステップS106において算出される第2所要時間T2よりも短くなる。
また、時間t00に、ステップS107においてNOと判定され、ステップS110においてYESと判定され、ステップS111が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t01に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図8(E)に示すように、時間t01に、ステップS105において算出される第1所要時間T1がステップS106において算出される第2所要時間T2よりも短い状態が続いている。
また、時間t01に、ステップS107においてNOと判定され、ステップS110においてYESと判定され、ステップS111が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が継続される。
詳細には、図8に示す例では、時間t02以前に、ステップS111の次に、図8に示さない下記のステップが実行される。
具体的には、第2所要時間T2が第1所要時間T1よりも長いと判断される。また、第2所要時間T2がゼロに低下していないと判断される。さらに、バイパスバルブ7の閉弁動作速度を速めるために、バイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9(図1参照)とで共用されるバキュームポンプ10(図1参照)からの負圧を利用したウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が禁止される。
また、図8に示す例では、時間t02に、第2所要時間T2(図8(E)参照)が、ゼロに低下し、第1所要時間T1(図8(E)参照)と等しくなる。
詳細には、図8に示す例では、時間t02に、ステップS106の次に、図8に示さない下記のステップが実行される。
具体的には、第2所要時間T2がゼロに低下し、バイパスバルブ7の閉弁動作速度を速める必要性が無くなったと判断される。さらに、バイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9(図1参照)とで共用されるバキュームポンプ10(図1参照)からの負圧を利用したウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が許可される。その結果、図8(C)に示すように、ウェイストゲートバルブ9(図1参照)の閉弁動作が開始される。
さらに、図8に示す例では、図8(E)に示すように、時間t02に、第1所要時間T1が第2所要時間T2と等しくなるため、ステップS107においてYESと判定され、ステップS108においてYESと判定され、ステップS109が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が継続される。
つまり、第1の実施形態の内燃機関用過給システムの図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御が適用された図8に示す例では、吸気通路が負圧になってしまうことを回避することができる。
さらに、図8に示す例では、第2所要時間T2(図8(E)参照)が第1所要時間T1(図8(E)参照)より長い場合に、第2所要時間T2がゼロに低下するまでの期間中(時間t02以前)、バキュームポンプ10(図1参照)から供給される負圧を利用したウェイストゲートバルブ9(図1参照)の閉弁動作が実行されず、バキュームポンプ10から供給される負圧がバイパスバルブ7の閉弁動作に専用される。
そのため、第1の実施形態の内燃機関用過給システムの図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御が適用された図8に示す例では、バキュームポンプ10が発生する負圧をバイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9とで共用しつつ、バキュームポンプ10から供給される負圧をバイパスバルブ7の閉弁動作に適切に利用することにより、過給圧の上昇を早めることができる。
詳細には、時間t03に、図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてYESと判定され、ステップS112においてNOと判定され、ステップS113が実行され、ウェイストゲートバルブ9(図1参照)の閉弁動作が継続される。
詳細には、時間t04に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてYESと判定され、ステップS112においてYESと判定される。
図9(F)に示すように、時間t10にアクセル開度が増加し、過給要求があると、電動過給機5の電動コンプレッサ5aが作動される。その結果、図9(B)に示すように、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度が増加し始める。また、図9(A)に示すように、ターボチャージャ4の回転軸4cの回転速度も増加し始める。
このとき、図9に示す例では、図9(D)に示すように、バイパスバルブ7は全開状態になっている。一方、図9(C)に示すように、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t10に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図9(E)に示すように、時間t10に、ステップS105において算出される第1所要時間T1は、ステップS106において算出される第2所要時間T2よりも長くなる。
また、時間t10に、ステップS107においてYESと判定され、ステップS108においてNOと判定される。
詳細には、時間t11に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図9(E)に示すように、時間t11に、ステップS105において算出される第1所要時間T1が、ステップS106において算出される第2所要時間T2と等しくなる。
その結果、時間t11に、ステップS107においてYESと判定され、ステップS108においてYESと判定され、ステップS109が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t12に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図9(E)に示すように、時間t12に、ステップS105において算出される第1所要時間T1が、ステップS106において算出される第2所要時間T2と等しくなる。
その結果、時間t12に、ステップS107においてYESと判定され、ステップS108においてYESと判定され、ステップS109が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が継続される。
つまり、第1の実施形態の内燃機関用過給システムの図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御が適用された図9に示す例では、吸気通路が負圧になってしまうことを回避すると共に、過給圧の上昇を早めることができる。
詳細には、時間t13に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてYESと判定され、ステップS112においてNOと判定され、ステップS113が実行され、ウェイストゲートバルブ9(図1参照)の閉弁動作が継続される。
詳細には、時間t14に、図4に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてYESと判定され、ステップS112においてYESと判定される。
つまり、第1の実施形態の内燃機関用過給システムの図4に示すバイパスバルブ7の開度などの制御が適用された図9に示す例では、時間t11から時間t13までの間、バキュームポンプ10(図1参照)が発生した負圧によって、バイパスバルブ7(図1参照)の閉弁動作が実行されると共に、ウェイストゲートバルブ9(図1参照)の閉弁動作が実行される。
第4の実施形態の内燃機関用過給システムの主要部は、図1に示す第1の実施形態の内燃機関用過給システムの主要部と同様に構成されている。
図10のステップS101、S102、S103、S104、S105、S106、S107、S109、S110、S111、S112、S113は、図4のステップS101、S102、S103、S104、S105、S106、S107、S109、S110、S111、S112、S113と同様である。
第4の実施形態の内燃機関用過給システムにおけるバイパスバルブ7の開度などの制御では、図10に示すように、ステップS107において、ウェイストゲートバルブ9(図1参照)が閉弁動作中であるか否か、つまり、バキュームポンプ10(図1参照)が発生した負圧がウェイストゲートバルブ9によって利用されているか否かが判定される。YESのときにはステップS201に進み、NOのときにはステップS110に進む。
開度低下所要時間算出部によって算出される第2所要時間T2’は、バキューム負圧センサ(図示せず)の出力値が小さいほど長くなる。
詳細には、第4の実施形態の内燃機関用過給システムでは、バキュームポンプ10が発生した負圧が、バイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9(図1参照)とによって共用される。そのため、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作を停止させた場合には、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作を停止させない場合よりも、バイパスバルブ7が利用できる負圧が強くなる。その結果、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作を停止させた場合における第2所要時間T2’(つまり、ステップS201において算出される第2所要時間T2’)は、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作を停止させない場合における第2所要時間T2(つまり、ステップS106において算出される第2所要時間T2)よりも短くなる。
ステップS203では、制御装置(図示せず)によって、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が停止される。
図11(F)に示すように、時間t20にアクセル開度が増加し、過給要求があると、電動過給機5の電動コンプレッサ5aが作動される。その結果、図11(B)に示すように、電動過給機5の電動コンプレッサ5aの回転速度が増加し始める。また、図11(A)に示すように、ターボチャージャ4の回転軸4cの回転速度も増加し始める。
このとき、図11に示す例では、図11(D)に示すように、バイパスバルブ7は全開状態になっている。一方、図11(C)に示すように、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t20に、図10に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図11(E)に示すように、時間t20に、ステップS105において算出される第1所要時間T1は、ステップS106において算出される第2所要時間T2よりも長くなる。
また、時間t20に、ステップS107においてYESと判定され、ステップS201において第2所要時間T2よりも短い第2所要時間T2’(図11(E)参照)が算出される。さらに、ステップS202においてNOと判定される。
詳細には、時間t21に、図10に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行され、ステップS107においてYESと判定され、ステップS201が実行される。図11(E)に示すように、時間t21に、ステップS105において算出される第1所要時間T1が、ステップS201において算出される第2所要時間T2’と等しくなる。
その結果、時間t21に、ステップS202においてYESと判定され、ステップS203が実行され、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が停止される。さらに、ステップS109が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が開始される。
詳細には、時間t22に、図10に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてNOと判定され、ステップS104、S105、S106が実行される。図11(E)に示すように、時間t22に、ステップS105において算出される第1所要時間T1が、ステップS106において算出される第2所要時間T2と等しくなる。
その結果、時間t22に、ステップS107においてNOと判定され、ステップS110においてYESと判定され、ステップS111が実行され、バイパスバルブ7の閉弁動作が継続される。
つまり、第4の実施形態の内燃機関用過給システムの図10に示すバイパスバルブ7の開度などの制御が適用された図11に示す例では、吸気通路が負圧になってしまうことを回避すると共に、過給圧の上昇を早めることができる。
詳細には、時間t23に、図10に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてYESと判定され、ステップS112においてNOと判定され、ステップS113が実行され、ウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が再開される。
詳細には、時間t24に、図10に示すバイパスバルブ7(図1参照)の開度などの制御では、ステップS101においてYESと判定され、ステップS102が実行され、ステップS103においてYESと判定され、ステップS112においてYESと判定される。
詳細には、第1から第4の実施形態の内燃機関用過給システムでは、図3(B)に破線CEで示すように吸気通路2が負圧にならないように、バキュームポンプ10(図1参照)からバイパスバルブ7(図1参照)に供給される負圧の大きさを考慮しつつ、バキュームポンプ10が発生した負圧が、バイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9(図1参照)とによって共用される。そのため、バキュームポンプ10および負圧タンク(図示せず)を小型化しつつ、加速レスポンスを向上させることができる。
換言すれば、バキュームポンプ10が発生した負圧がバイパスバルブ7とウェイストゲートバルブ9とによって共用される第1から第4の実施形態の内燃機関用過給システムでは、バイパスバルブ7の閉弁動作とウェイストゲートバルブ9の閉弁動作とが同時に実行される場合に、一方のみの閉弁動作が実行される場合よりも、閉弁動作の所要時間が長くなることが考慮される。そこで、第1から第4の実施形態の内燃機関用過給システムでは、運転状況に応じてバイパスバルブ7およびウェイストゲートバルブ9の閉弁動作が制御され、吸気通路2が負圧になることを回避すると共に、過給圧の上昇が早められる。
2 吸気通路
3 排気通路
4 ターボチャージャ
4a コンプレッサ
4b タービン
4c 回転軸
5 電動過給機
5a 電動コンプレッサ
5b モータ
6 バイパス通路
7 バイパスバルブ
8 ウェイストゲート通路
9 ウェイストゲートバルブ
10 バキュームポンプ
Claims (1)
- 気筒を有するエンジン本体と、
前記気筒に接続された吸気通路と、
前記気筒に接続された排気通路と、
前記吸気通路に配置されたコンプレッサと前記排気通路に配置されたタービンとを有するターボチャージャと、
前記吸気通路に配置された電動コンプレッサを有する電動過給機と、
前記吸気通路に並列に設けられ、前記電動コンプレッサを迂回するバイパス通路と、
前記バイパス通路に配置され、負圧によって開弁状態から閉弁状態に閉弁動作するように構成されたバイパスバルブと、
前記排気通路に並列に設けられ、前記タービンを迂回するウェイストゲート通路と、
前記ウェイストゲート通路に配置され、負圧によって開弁状態から閉弁状態に閉弁動作するように構成されたウェイストゲートバルブと、
前記バイパスバルブと前記ウェイストゲートバルブとに負圧を供給する共用のバキュームポンプと、
前記バキュームポンプを駆動して前記バイパスバルブと前記ウェイストゲートバルブとを制御する制御装置とを具備する内燃機関用過給システムにおいて、
前記電動コンプレッサの回転速度が所定回転速度に上昇するまでの第1所要時間を算出する回転速度上昇所要時間算出部と、
前記バキュームポンプから前記バイパスバルブに供給される負圧に基づいて、前記バイパスバルブの開度が所定開度に低下するまでの第2所要時間を算出する開度低下所要時間算出部とを前記制御装置に設け、
前記電動コンプレッサの回転速度が前記所定回転速度に上昇する時に前記バイパスバルブの開度が前記所定開度に低下すると前記吸気通路が負圧にならず、かつ、前記電動コンプレッサの回転速度が前記所定回転速度に上昇する前に前記バイパスバルブの開度が前記所定開度に低下すると前記吸気通路が負圧になるように、前記所定回転速度と前記所定開度とを設定し、
前記第1所要時間が前記第2所要時間以下になったときに、前記制御装置によって、前記バイパスバルブの閉弁動作が開始され、
前記第2所要時間が前記第1所要時間より長い場合には、前記第2所要時間がゼロに低下するまでの期間中、前記ウェイストゲートバルブの閉弁動作を実行しないことを特徴とする内燃機関用過給システム。
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