JP6343993B2 - パワーモジュール用基板、およびその製造方法 - Google Patents

パワーモジュール用基板、およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、セラミックス基板の表面を金属膜化したメタライズドセラミックス基板を用いたパワーモジュール用基板、およびその製造方法に関するものである。
例えば、半導体素子の中でも電力供給のためのパワー半導体素子は、発熱量が比較的高いため、これを搭載する基板としては、例えば、AlN(窒化アルミニウム)、Al(アルミナ)、Si(窒化ケイ素)などからなるセラミックス基板の一方の面側に、例えば、アルミニウムからなる第一の金属板が接合されてなる回路層と、セラミックス基板の他方の面側に第二の金属板が接合されてなる金属層と、を備えたパワーモジュール用基板が用いられる。
このようなパワーモジュール基板では、回路層の上に、はんだ材を介してパワー半導体素子などの半導体素子が搭載される。
例えば、特許文献1には、回路層及び金属層を構成する第一の金属板及び第二の金属板を銅板とし、この銅板をDBC法によって絶縁基板に直接接合したパワーモジュール用基板が提案されている。また、特許文献1の第1図には、このパワーモジュール用基板に、有機系耐熱性接着剤を用いてAl板を接合する構成も開示されている。
また、特許文献2には、回路層及び金属層を構成する第一の金属板及び第二の金属板としてAl板を用いたパワーモジュール用基板が提案されている。このパワーモジュール基板においては、Al板と絶縁基板とがろう材を用いて接合されている。
さらに、特許文献3には、絶縁基板の一方の面に金属板を接合して回路層とし、絶縁基板の他方の面に、鋳造法によってAlを直接形成したものが提案されている。そして、回路層を構成する金属板として、Al板やCu板を使用することが開示されている。
特開平04−162756号公報 特許第3171234号公報 特開2002−076551号公報
パワーモジュールは、例えば、半導体素子が発熱して150℃以上の高温状態になったり、その後、常温に戻るなどの冷熱サイクルが負荷される。こうした冷熱サイクルの負荷によって、パワーモジュール用基板も膨張と収縮を繰り返すために、セラミックス基板とこれに接合されるAl部材などとの接合界面には、これらの熱膨張係数の差によって熱応力が作用し、クラック等が発生する懸念があった。セラミックス基板とAl部材などとの接合界面にクラックが進展すると、セラミックス基板とAl部材との剥離の原因となる。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、冷熱サイクルが負荷されても被接合体との接合界面でのクラックの進展を防止し、被接合体を強固に接合することが可能なメタライズドセラミックス基板を用いた、パワーモジュール用基板、およびその製造方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のパワーモジュール用基板は、セラミックス基板の少なくとも一方の面に、AgとCuの共晶組織を有するAg−Cu合金層が形成されており、前記セラミックス基板と前記Ag−Cu合金層との間に、活性金属化合物層が形成されており、EPMAによる反射電子像から、倍率2000倍の視野において前記Ag−Cu合金層の面積を測定して測定視野の幅の寸法で除し、得られた値の5つの視野の平均値から求められた前記Ag−Cu合金層の厚さが10μm以上とされており、前記セラミックス基板の一方の面に、前記活性金属化合物層および前記Ag−Cu合金層を介して、第一のAl部材が固相拡散接合されていることを特徴とする。
本発明のパワーモジュール用基板によれば、セラミックス基板とAg−Cu合金層との間に活性金属化合物層が形成されているので、セラミックス基板とAg−Cu合金層との接合強度が確保される。
また、Ag−Cu合金層が形成されているので、例えば、被接合体の一例であるAl部材を、AgおよびCuとAlとの固相拡散によって接合することができ、Ag−Cu合金層とAl部材とを強固に接合することができる
さらに、前記Ag−Cu合金層の厚さが10μm以上とされているので、例えば、Al部材を固相拡散によって接合した場合、CuとAgとAlの相互拡散が十分にできるので、Ag−Cu合金層とAl部材とを確実に接合できる。
さらに、活性金属化合物層およびAg−Cu合金層を介して第一のAl部材を接合することによって、例えば、この第一のAl部材を回路層として用いた際に、回路層とセラミックス基板とをAgおよびCuとAlとの固相拡散によって接合することができ、セラミックス基板と回路層とを強固に接合することができる。よって、このメタライズドセラミックス基板に回路層を接合した接合体に対して、冷熱サイクルが負荷された場合でも、セラミックス基板にクラックが生じることがなく、回路層とセラミックス基板との間の接合信頼性を向上させることができる。
本発明では、前記活性金属化合物層の内部に、Ag及びCuが存在していることが好ましい。
この場合、活性金属化合物層にAg及びCuが存在していることから、活性金属化合物層とAg−Cu合金層との接合界面における界面反応が十分に起きており、Ag−Cu合金層を確実に形成することが可能になる。
本発明では、前記第一のAl部材に重ねて、更に第一のCu部材が接合されていることを特徴とする。
第一のAl部材に重ねて、更に第一のCu部材を接合することによって、例えば、Al部材とCu部材とを回路層として用いた際に、回路層の導電性を高めることができるとともに、半導体素子等からの熱を面方向に拡げることができ、効率的に放熱することが可能となる。
本発明では、前記セラミックス基板の他方の面に、前記活性金属化合物層および前記Ag−Cu合金層を介して、第二のAl部材が形成されていることを特徴とする。
セラミックス基板の他方の面に、活性金属化合物層およびAg−Cu合金層を介して第二のAl部材を接合することによって、例えば、パワーモジュール用基板に冷熱サイクルが負荷された際にセラミックス基板に加わる応力を軽減することができる。
本発明では、前記第二のAl部材に重ねて、更に第二のCu部材が接合されていることを特徴とする。
セラミックス基板の他方の面に第二のAl部材に重ねて、更に第二のCu部材を接合することによって、熱を面方向に拡げることができ、効率的に放熱することが可能となる。
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法は、セラミックス基板の少なくとも一方の面に、活性金属、Ag、Cuを含む材料層を形成する工程と、前記材料層を真空加熱し、前記セラミックス基板の構成元素と前記活性金属とが化合した活性金属化合物からなる活性金属化合物層、およびAg−Cu共晶組織を含むAg−Cu合金層を形成する工程と、 前記セラミックス基板の一方の面に、前記活性金属化合物層および前記Ag−Cu合金層を介して、第一のAl部材を固相拡散接合する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法によれば、活性金属、Ag、Cuを含む材料層を形成し、次工程でこの材料層を真空加熱することで、活性金属化合物層と、Ag−Cu共晶組織を含むAg−Cu合金層とを形成することができる。これにより、セラミックス基板と第一のAl部材とが、Ag−Cu合金層および活性金属化合物層を介して接合されることになり、セラミックス基板と第一のAl部材との接合強度を高めたパワーモジュール用基板の製造方法を製造することができる。
本発明では、前記第一のAl部材に重ねて、更に第一のCu部材を接合する工程を備えたことを特徴とする。
第一のAl部材に重ねて、更に第一のCu部材を接合する工程を備えることにより、例えば、この第一のAl部材を回路層として用いた際に、セラミックス基板と回路層とを強固に接合することができる。よって、このメタライズドセラミックス基板に回路層を接合した接合体に対して、冷熱サイクルが負荷された場合でも、セラミックス基板にクラックが生じることがなく、回路層とセラミックス基板との間の接合信頼性を向上させたパワーモジュール用基板を製造することができる。
本発明によれば、冷熱サイクルが負荷されても、セラミックス基板とAg−Cu合金層との接合界面でのクラックの進展を防止するとともに、被接合体、例えばAl部材を強固に接合することが可能なメタライズドセラミックス基板を備えたパワーモジュール用基板、およびその製造方法を提供することができる。
本発明のメタライズドセラミックス基板の断面図である。 本発明の第一実施形態に係るパワーモジュール用基板の断面図である。 本発明の第二実施形態に係るパワーモジュール用基板の断面図である。 メタライズドセラミックス基板の製造方法を段階的に示す断面図である。 パワーモジュール用基板の製造方法を段階的に示す断面図である。 パワーモジュール用基板の製造方法を段階的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明のメタライズドセラミックス基板、パワーモジュール用基板、メタライズドセラミックス基板の製造方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(メタライズドセラミックス基板)
本発明のメタライズドセラミックス基板について、添付した図1を参照して説明する。
図1は、本発明のメタライズドセラミックス基板の一例を示す断面図である。メタライズドセラミックス基板10は、セラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面11a、および他方の面11bにそれぞれ形成されたAg−Cu合金層12、12と、から構成されている。Ag−Cu合金層12、12とセラミックス基板11との間には活性金属化合物層13、13が形成されている。この活性金属化合物層13、13は、
図1下部に示すAg−Cu合金層とセラミックス基板との界面付近の拡大断面図に示すように、その形成時にセラミックス基板11の表層の一部が分解され、分解された部分に活性金属化合物層が存在している。このため、以下の各実施形態において参照する各図面では、この活性金属化合物層は、Ag−Cu合金層とセラミックス基板との界面を指し示している。
セラミックス基板11は、セラミックス基板11は、絶縁性、および耐熱性に優れたSi(窒化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム)、Al(アルミナ)等のセラミックスで構成されている。本実施形態では、セラミックス基板11は、特に強度の優れたSi(窒化ケイ素)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、例えば、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.32mmに設定されている。
Ag−Cu合金層12は、AgおよびCuとを含むものからなる材料層をセラミックス基板11の一方の面11a、および他方の面11bに形成してから加熱することによって得られるAg−Cu共晶組織が含まれる層である。Ag−Cu合金層12にはAg−Cu共晶組織以外にもAg固溶体、Cu固溶体等が含まれる。なお、Ag−Cu合金層12には、更にSnを含むAg−Cu−Sn組織や、Inを含むAg−Cu−In組織が含まれる場合がある。
Ag−Cu合金層12の厚みは10μm以上となるように形成されることが好ましい。合金層合金層Ag−Cu合金層12の厚さが10μm以上とされているので、例えば、後述するように、Al部材を固相拡散によって接合した場合、CuとAgとAlの相互拡散が十分にできるので、Ag−Cu合金層12とAl部材とを確実に接合できる。また、Ag−Cu合金層12の厚みは、10μm以上100μm以下の範囲内とすることがより好ましい。
活性金属化合物層13は、活性金属を含む層である。活性金属は、例えばTi、Zr、Nb、Hfといった活性元素のいずれか1種又は2種以上を含有するものとされている。本実施形態では、活性金属として、Tiを用いている。
活性金属化合物層13は、このTiが、隣接するセラミックス基板11の成分と反応し、セラミックス基板11の表層の一部が分解され、分解された部分に活性金属化合物層13が存在する。本実施形態のようにセラミックス基板11にSiを用いた場合、TiとNとが結合したTiNや、TiとSiとが結合したTiSiといった活性金属化合物として存在する。
なお、セラミックス基板11にAlNを用いた場合には、活性金属化合物層13は、活性金属であるTiとNとが結合したTiNが存在する。
また、セラミックス基板11にAlを用いた場合には、活性金属化合物層13は、活性金属であるTiとOとが結合したTiOなどとして存在する。
なお、活性金属としてZr、Nb、Hfを用いた場合には、これら元素とセラミックス基板11の成分とがそれぞれ結合した活性金属化合物を主体に活性金属化合物層13が構成される。
活性金属化合物層13には、上述したTiNやTiSiといった活性金属化合物以外にも、合金層活性金属化合物層とAg−Cu合金層との接合界面における界面反応に寄与したAg、Cuも存在する。こうしたAg、Cuは、TiNやTiSiといった活性金属化合物中に分散した形態となっている。
以上のような構成のメタライズドセラミックス基板10によれば、セラミックス基板11の表層に活性金属化合物層13が形成されるので、セラミックス基板11とAg−Cu合金層12との接合強度が確保される。
例えば、メタライズドセラミックス基板10のAg−Cu合金層12にAl部材を接合した際には、AgおよびCuとAlとの固相拡散によって接合することができ、Ag−Cu合金層12とAl部材とを強固に接合することができる。
よって、Al部材とメタライズドセラミックス基板10とを接合した接合体に冷熱サイクルが負荷された場合でも、Al部材とセラミックス基板11との間の接合信頼性を向上でき、接合界面におけるクラックの進展や、Al部材とセラミックス基板11との剥離を確実に防止することが可能になる。
(パワーモジュール用基板:第一実施形態)
本発明のパワーモジュール用基板の第一実施形態について、添付した図2を参照して説明する。
図2は、第一実施形態のパワーモジュール用基板を示す断面図である。パワーモジュール用基板20は、図1に示す構成のメタライズドセラミックス基板10に対して、第一のAl部材21、第二のAl部材22を接合してなる。即ち、メタライズドセラミックス基板10を構成するセラミックス基板11の一方の面11a側、および他方の面11b側には、それぞれ活性金属化合物層13、13が形成され、Ag−Cu合金層12、12を介して第一のAl部材21、第二のAl部材22が接合されている。
第一のAl部材21、第二のAl部材22は、Al又はAl合金から構成されている。本実施形態では、純度が99.99mass%以上のAl(いわゆる4N−Al)が用いられている。
第一のAl部材21、第二のAl部材22のうち、セラミックス基板11の一方の面11a側に接合される第一のAl部材21は、パワーモジュール基板の回路層を構成している。セラミックス基板11の他方の面11b側に接合される第二のAl部材22は、パワーモジュール用基板の金属層を構成している。
第一のAl部材21の厚さは0.1〜1.0mm、第二のAl部材22の厚さは0.1〜3.0mmとされ、本実施形態では、第一のAl部材21、第二のAl部材22共に0.6mmに設定されている。
以上のような構成のパワーモジュール用基板20によれば、セラミックス基板11の一方の面11a側、および他方の面11b側にそれぞれ活性金属化合物層13、13が形成され、Ag−Cu合金層12、12を介して第一のAl部材21、第二のAl部材22が接合されている。
これによって、メタライズドセラミックス基板10のAg−Cu合金層12と第一のAl部材21、第二のAl部材22とは、AgおよびCuとAlとの固相拡散によって接合されており、Ag−Cu合金層12と第一のAl部材21、第二のAl部材22とが強固な接合とすることができる。
よって、パワーモジュール用基板20に冷熱サイクルが負荷された場合でも、第一のAl部材21、第二のAl部材22とセラミックス基板11との間の接合信頼性を向上させ、接合界面におけるクラックの進展や、第一のAl部材21、第二のAl部材22とセラミックス基板11との剥離を確実に防止することが可能になる。
そして、パワーモジュール用基板20の一方の面側に形成された第一のAl部材21(図2において上側)にはんだ層を介して半導体素子が接合され、パワーモジュール用基板20の他方の面側に形成された第二のAl部材22(図2において下側)にヒートシンクが配置され、パワーモジュールとして利用される。
ここで、はんだ層は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。
ヒートシンクは、パワーモジュール用基板20を冷却するためのものであり、パワーモジュール用基板20と接合される天板部と冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路とを備えている。ヒートシンクは、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、例えば、無酸素銅等の純銅や銅合金又は純アルミニウムやA6063(アルミニウム合金)等のアルミニウム合金で構成することができる。ヒートシンクは、パワーモジュール用基板20の第二のAl部材22に、例えば、はんだ付けによって接合されている。
なお、上述した実施形態では、セラミックス基板11の一方の面11a側および他方の面11b側にそれぞれ第一のAl部材21、第二のAl部材22を形成している。しかし、セラミックス基板11の一方の面11a側だけに活性金属化合物層13及びAg−Cu合金層12を形成してメタライズ化して第一のAl部材21を接合し、セラミックス基板11の他方の面11b側は特にAl部材を接合しない構成であってもよい。
(パワーモジュール用基板:第二実施形態)
本発明のパワーモジュール用基板の第二実施形態について、添付した図3を参照して説明する。
図3は、第二実施形態のパワーモジュール用基板を示す断面図である。第二実施形態のパワーモジュール用基板は、図2に示す構成の第一実施形態のパワーモジュール用基板に対して、更にCu部材を接合したものである。
パワーモジュール用基板30は、図1に示す構成のメタライズドセラミックス基板10に対して、第一のAl部材21、第二のAl部材22を接合してなる。即ち、メタライズドセラミックス基板10を構成するセラミックス基板11の一方の面11a側、および他方の面11b側にそれぞれ活性金属化合物層13、13が形成され、Ag−Cu合金層12、12を介して第一のAl部材21、第二のAl部材22が接合されている。
更に、第一のAl部材21、第二のAl部材22のセラミックス基板11とは反対側の面には、それぞれ第一のCu部材31、第二のCu部材32がそれぞれ接合されている。第一のCu部材31、第二のCu部材32は、Cu又はCuを含むCu合金から構成されている。本実施形態では、Cu部材は、無酸素銅から構成され、厚さは、例えば、厚さは0.1mm以上4.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmのものを用いている。
本実施形態では、第一のAl部材21と第一のCu部材31とから回路層が構成されている。また、第二のAl部材22と第二のCu部材32とから金属層が構成されている。
また、第一のAl部材21と第一のCu部材31、および第二のAl部材22と第二のCu部材32とは、それぞれ固相拡散接合されている。
以上のような構成のパワーモジュール用基板30によれば、セラミックス基板11の一方の面11a側には活性金属化合物層13が形成され、Ag−Cu合金層12を介して、第一のAl部材21と第一のCu部材31が接合され、他方の面11b側に活性金属化合物層13及びAg−Cu合金層12を介して、第二のAl部材22と第二のCu部材32が接合されている。
これによって、メタライズドセラミックス基板10のAg−Cu合金層12と、第一のAl部材21と第一のCu部材31および第二のAl部材22と第二のCu部材32は、AgおよびCuとAlとの固相拡散によって接合されるので、Ag−Cu合金層12と、第一のAl部材21、第二のAl部材22および第一のCu部材31、第二のCu部材32とが強固な接合とすることができる。
また、回路層が、銅又は銅合金からなるCu部材31を備えているので、Cu部材31によって半導体素子等からの熱を面方向に拡げることができ、効率的に放熱することが可能となる。また、金属層が、銅又は銅合金からなるCu部材32を備えているので、Cu部材32によって熱を面方向に拡げることができ、効率的に放熱することが可能となる。
よって、パワーモジュール用基板30に冷熱サイクルが負荷された場合でも、第一のAl部材21と第一のCu部材31および第二のAl部材22と第二のCu部材32と、セラミックス基板11との間の接合信頼性を向上させ、接合界面におけるクラックの進展や、第一のAl部材21と第一のCu部材31および第二のAl部材22と第二のCu部材32と、セラミックス基板11との剥離を確実に防止することが可能になる。
また、第一のAl部材21と第一のCu部材31、および第二のAl部材22と第二のCu部材32とが固相拡散によって接合されていることから、第一のAl部材21と第一のCu部材31、および第二のAl部材22と第二のCu部材32がそれぞれ確実に接合されており回路層及び金属層の熱伝導性及び導電性を維持することができる。
そして、パワーモジュール用基板30の一方の面側に形成された第一のCu部材31(図3において上側)にはんだ層を介して半導体素子が接合され、パワーモジュール用基板30の他方の面側に形成された第二のCu部材32(図3において下側)にヒートシンクが配置され、パワーモジュールとして利用される。
ここで、はんだ層は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。
ヒートシンクは、パワーモジュール用基板30を冷却するためのものであり、パワーモジュール用基板30と接合される天板部と冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路とを備えている。ヒートシンクは、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、例えば、無酸素銅等の純銅や銅合金又は純アルミニウムやA6063(アルミニウム合金)等のアルミニウム合金で構成することができる。ヒートシンクは、パワーモジュール用基板30の第二のCu部材32に、例えば、はんだ付けによって接合されている。
なお、上述した実施形態では、セラミックス基板11の一方の面11a側に第一のAl部材21と第一のCu部材31が、他方の面11b側に第二のAl部材22と第二のCu部材32とが形成されているが、セラミックス基板11の一方の面11a側だけに活性金属化合物層13を形成し、Ag−Cu合金層12を形成してメタライズ化して第一のAl部材21と第一のCu部材31とを形成し、セラミックス基板11の他方の面11b側は特にAl部材やCu部材を接合しない構成であってもよいし、ろう付けなど、既知の方法によってAlやCuを接合してもよい。
(メタライズドセラミックス基板の製造方法)
本発明のメタライズドセラミックス基板の製造方法について、添付した図4を参照して説明する。
図4は、メタライズドセラミックス基板の製造方法を段階的に示した断面図である。
図1に示すようなメタライズドセラミックス基板10を製造する際には、まず、セラミックス基板11を用意する(図4(a)参照)。セラミックス基板11としては、例えば、Si(窒化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム)、Al(アルミナ)等のセラミックスを採用できる。本実施形態では、セラミックス基板11として、特に強度に優れたSi(窒化ケイ素)を用いた。セラミックス基板11の厚さは、例えば、0.32mmのものを用いた。
次に、図4(b)に示すように、セラミックス基板11の一方の面11a、および他方の面11bに、それぞれ活性金属であるTiと、AgおよびCuとを含む材料層15,15を形成する。
材料層15、15の形成方法としては、例えば、Ti、Ag、Cuを主体としたペーストをセラミックス基板11に塗布する方法や、Ti、Ag、Cuを含む金属箔をセラミックス基板11に貼付する方法などが挙げられる。
材料層15、15のAgとCuの組成は「Cu:20wt%〜40wt%、Ag:残部」の範囲内にすることが好ましい。
なお、材料層15、15に含まれる活性金属としては、Ti以外にも、Zr、Nb、Hfといった活性元素を採用することもできる。また、材料層15、15の構成元素として、Ag−Cu以外に、Ag−Cu−Snや、Ag−Cu−Inなどの組成をもつものも採用することができる。
本実施形態においては、AgとCuとTiの重量比が70:28:2である合金粉末を60重量部とアクリル樹脂4重量部と溶剤としてのテキサノールを36重量部とを混合したペーストをセラミックス基板11に塗布することで材料層15,15を形成した。なお、塗布量は乾燥膜厚で80μmとした。
次に、図4(c)に示すように、セラミックス基板11の一方の面11a、および他方に、それぞれ材料層15、15を形成した中間積層体16を、真空加熱炉Hによって加熱する。中間積層体16の加熱条件としては、例えば、真空雰囲気、無荷重で、800℃〜850℃で10分から60分加熱する。また、ペーストを用いて材料層15、15を形成した場合、800℃〜850℃で加熱する前に、乾燥工程や脱脂工程を行ってもよい。
このような条件で中間積層体16を加熱することによって、セラミックス基板11の一方の面11a、および他方の面11bにそれぞれ形成した材料層15,15が溶融する。そして、冷却することでAg−Cu合金層12、12が形成される(図4(d)参照)。
また、同時に、セラミックス基板11を構成する元素であるNやSiと活性金属とが反応し、TiとNとが結合したTiNや、TiとSiとが結合したTi−Si化合物が生じ、活性金属化合物層13が形成される(図4(d)参照)。
以上のような工程を経て、本発明のメタライズドセラミックス基板10を製造することができる。
本発明のメタライズドセラミックス基板10の製造方法によれば、セラミックス基板11の一方の面11a側、および他方の面11b側に、それぞれ、活性金属、Ag、Cuを含む材料層15,15を形成し、真空加熱によってAg−Cu合金層12、12とセラミックス基板11とを活性金属化合物層13、13を介して接合することによって、例えば、メタライズドセラミックス基板10をパワーモジュール用基板20として適用した際に、繰り返し冷熱サイクルが加わっても、第一のAl部材21、第二のAl部材22とセラミックス基板11との接合界面のクラックの進展を確実に抑制することが可能なメタライズドセラミックス基板10を製造することが可能になる。
(パワーモジュール用基板の製造方法:第一実施形態)
第一実施形態におけるパワーモジュール用基板20は、上述の製造方法によって得られるメタライズドセラミックス基板10を用いて製造される。まず、図5に示すように、メタライズドセラミックス基板10の一方の面(図5における上面)及び他方の面(図5における下面)に第一のAl部材21、第二のAl部材22をそれぞれ載置する。
そして、メタライズドセラミックス基板10(Ag−Cu合金層12、12)と第一のAl部材21、第二のAl部材22とを固相拡散によって接合させる。固相拡散接合は、真空雰囲気下においてメタライズドセラミックス基板10と第一のAl部材21、第二のAl部材22とを、積層方向に3kgf/cm〜35kgf/cmの加圧力を加えながら、温度400℃〜548℃、時間15分〜270分で行うことができる。これにより、メタライズドセラミックス基板10と第一のAl部材21、第二のAl部材22とが、固相拡散接合によって接合されたパワーモジュール用基板20を得ることができる。
固相拡散接合する際に、加圧力が3kgf/cm未満の場合は、メタライズドセラミックス基板10と第一のAl部材21、第二のAl部材22とを十分に接合させることが困難となり、メタライズドセラミックス基板10と第一のAl部材21、又はメタライズドセラミックス基板10と第二のAl部材22との間に隙間が生じる場合がある。また、35kgf/cmを超える場合には、負荷される加圧力が高すぎてセラミックス基板11に割れが発生することがある。このような理由により、固相拡散接合の際に負荷される加圧力は、上記の範囲に設定されている。
固相拡散接合する際の温度が400℃未満の場合には、アルミニウム原子と銅原子と銀原子が十分に拡散せず、固相拡散による接合が困難となる。また、548℃を超える場合には、メタライズドセラミックス基板10と第一のAl部材21、第二のAl部材22との間に液相が形成されてアルミニウムと銅と銀の化合物が多量に生成するので、メタライズドセラミックス基板10と第一のAl部材21、第二のAl部材22との接合信頼性が低下する。このような理由により、固相拡散接合の際の温度は、上記の範囲に設定されている。
また、固相拡散接合時における真空加熱の好ましい温度は、アルミニウムと銅の共晶温度から共晶温度−5℃以上共晶温度未満の範囲とされている。このような真空加熱の温度を選択したときには、メタライズドセラミックス基板10と第一のAl部材21、第二のAl部材22との間に液相が形成されないのでアルミニウムと銅と銀の化合物が多量に生成せず、固相拡散接合の接合信頼性が良好となることに加えて、固相拡散接合の際の拡散速度が速く、比較的短時間で固相拡散接合できるため上記のように設定されている。
固相拡散接合時の加熱の保持時間が、15分未満の場合は、保持時間が短過ぎるために固相拡散が十分に生じ難く、接合が不十分となることがあり、270分を超える場合は、製造コストが増加するため、上記の範囲に設定されている。
(パワーモジュール用基板の製造方法:第二実施形態)
第二実施形態におけるパワーモジュール用基板30は、前述の製造方法によって得られるメタライズドセラミックス基板10を用いて製造される。
図6に示すように、メタライズドセラミックス基板10の一方の面(図6における上面)及び他方の面(図6における下面)に第一のAl部材21、第二のAl部材22をそれぞれ積層し、さらに第一のAl部材21、第二のAl部材22のメタライズドセラミックス基板10側とは反対の面に第一のCu部材31、第二のCu部材32を積層する。そして、メタライズドセラミックス基板10(Ag−Cu合金層12、12)の一方の面に第一のAl部材21と第一のCu部材31を、また、他方の面に第二のAl部材22と第二のCu部材32を、それぞれ同時に固相拡散接合することでパワーモジュール用基板30を得ることができる。
この場合、固相拡散接合は上述した条件で行うことができる。
また、メタライズドセラミックス基板10(Ag−Cu合金層12、12)と第一のAl部材21、第二のAl部材22とを固相拡散接合した後に、この第一のAl部材21と第一のCu部材31、および第二のAl部材22と第二のCu部材32とを、それぞれ固相拡散接合することでパワーモジュール用基板30を得ることも可能である。
第一のAl部材21と第一のCu部材31との界面、および第二のAl部材22と第二のCu部材32との界面には、第一のAl部材21、第二のAl部材22のAl原子と、第一のCu部材31、第二のCu部材32とが相互拡散することによって形成された拡散領域が形成されている。こうした拡散領域においては、第一のAl部材21、第二のAl部材22から第一のCu部材31、第二のCu部材32に向かうにしたがい、漸次Al原子の濃度が低くなり、かつCu原子の濃度が高くなる濃度勾配を有している。拡散領域は、AlとCuからなる金属間化合物で構成されており、例えば、複数の金属間化合物が接合界面に沿って積層した構造とされている。
なお、上述した実施形態では、セラミックス基板11の一方の面11a側および他方の面11b側にそれぞれ第一のAl部材21と第一のCu部材31、および第二のAl部材22と第二のCu部材31とを接合していが、セラミックス基板11の一方の面11a側だけにAg−Cu合金層12を形成してメタライズ化して第一のAl部材21と第一のCu部材31とを接合し、セラミックス基板11の他方の面11b側は特にAl部材やCu部材を接合しない構成であってもよいし、ろう付けなど既知の方法でAlやCuを接合してもよい。
また、上記第二実施形態において、AlとCuの接合体(例えば、AlとCuのクラッド材等)を用いて、パワーモジュール用基板30を製造することも可能である。具体的には、上述のメタライズドセラミックス基板10のAg−Cu合金層12とAlとCuの接合体のAl側が対向するように積層し、上述の固相拡散接合を行うことでパワーモジュール用基板30を製造することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験(実施例)の結果について説明する。
(実施例1)
(本発明例1−1〜1−6、比較例)
表1記載のセラミックス基板(40mm×40mm)の一方の面に、表1記載の活性金属と、AgおよびCuとを含む材料層を形成した。材料層は、活性金属、Ag、Cuとを含むペーストをセラミックス基板に塗布する方法によって形成した。ペーストはAgとCuと活性金属の重量比が70:28:2である混合粉末を60重量部と、アクリル樹脂4重量部と、溶剤としてのα―ターピネオールを36重量部とを混合したものである。塗布厚は乾燥膜厚で表1記載の塗布厚とした。なお、比較例に用いた混合粉末はAgとCuの重量比が72:28である混合粉末を用い、活性金属は添加しなかった。
そして、このセラミックス基板を150℃、15分で乾燥したのちに、真空加熱炉で850℃まで昇温させ、20分間保持することで材料層を溶融させて、Ag−Cu合金層と活性金属化合物層とを備えた、本発明例1−1〜1−6及び比較例のメタライズドセラミックス基板を得た。得られたメタライズドセラミックス基板の活性金属化合物層の有無、Ag−Cu合金層の厚さ測定及び密着性の試験を行った。
(活性金属化合物層の有無、Ag−Cu合金層厚さ測定)
活性金属化合物層は、EPMA(電子線マイクロアナライザー)による活性金属元素のマッピングからメタライズドセラミックス基板界面での活性金属元素の存在を確認し、活性金属元素の存在が確認されたものを「有」、確認されなかったものを「無」と評価した。
Ag−Cu合金層の厚さは、メタライズドセラミックス基板界面のEPMA(電子線マイクロアナライザー)による反射電子像から、倍率2000倍の視野(縦45μm;横60μm)において接合界面に形成されたAg−Cu合金層の面積を測定し、測定視野の幅の寸法で除して求め、5視野の平均をAg−Cu合金層の厚さとした。評価結果を表1に示す。
Figure 0006343993
(密着性)
密着性の評価は、メタライズドセラミックス基板を水平方向に、振幅2mmで30回/秒の速度で3万回振動させ、Ag−Cu合金層の剥がれが生じなかったものを「○」とし、剥がれが生じたものを「×」と評価した。
評価結果を表1に示す。
表1に示すように活性金属を添加しなかったペーストを用いてメタライズドセラミックス基板を作成した比較例では、密着性が悪く、Ag−Cu合金層の剥離が生じた。
(実施例2)
(本発明例2−1)
Siからなる厚さ0.32mmのセラミックス基板の一方の面にAg−Cu−Tiペースト(本発明例1−1で用いたペーストと同じ)を表2記載の塗布厚となるよう塗布し、実施例1と同じ条件で乾燥及び加熱することで、メタライズドセラミックス基板を作製した。得られたメタライズドセラミックス基板のAg−Cu合金層が形成された側とは反対側の面(他方の面)にAl−Si系ろう材を用いて厚さ1.6mmの純度99.99%以上のアルミニウム板(4N−Al)を接合し、金属層を形成した。次に、Ag−Cu合金層に厚さ0.6mmの純度99.99%以上のアルミニウム(4N−Al)板を積層し、積層方向に7kgf/cmで加圧しながら530℃で30分加熱することでAg−Cu合金層に4N−Alを固相拡散接合し、回路層を形成した。そして金属層と厚さ5mmのA6063合金からなるヒートシンクをはんだ付けによって接合した。はんだはSn−Sbはんだを用い、300℃で15分加熱することで接合した。以上によって、本発明例2−1のパワーモジュール用基板を得た。
(本発明例2−2)
Siからなる厚さ0.32mmのセラミックス基板の一方の面にAg−Cu−Tiペースト(本発明例1−1で用いたペーストと同じ)を表2記載の塗布厚となるよう塗布し、実施例1と同じ条件で乾燥及び加熱することで、メタライズドセラミックス基板を作製した。得られたメタライズドセラミックス基板のAg−Cu合金層が形成された側とは反対側の面(他方の面)にAl−Si系ろう材を用いて厚さ1.6mmの純度99.99%以上のアルミニウム板(4N−Al)を接合し、金属層を形成した。次に、Ag−Cu合金層上に厚さ0.6mmの純度99.99%以上のアルミニウム(4N−Al)板及び厚さ1.0mmの無酸素銅(OFC)の板をこの順に積層し、積層方向に7kgf/cmで加圧しながら530℃で30分加熱することでAg−Cu合金層に4N−Alを、4N−AlにOFCを固相拡散接合し、回路層を形成した。そして金属層と厚さ5mmのA6063合金からなるヒートシンクをはんだ付けによって接合した。はんだはSn−Sbはんだを用い、300℃で15分加熱することで接合した。以上によって、本発明例2−2のパワーモジュール用基板を得た。
(本発明例2−3)
Siからなる厚さ0.32mmのセラミックス基板の一方の面及び他方の面にAg−Cu−Tiペースト(本発明例1−1で用いたペーストと同じ)を表2記載の塗布厚となるよう塗布し、実施例1と同じ条件で乾燥及び加熱することで、メタライズドセラミックス基板を作製した。なお、他方の面の塗布厚と一方の面の塗布厚は同じとした。次に、得られたメタライズドセラミックス基板の両面に、それぞれ厚さ0.6mmの純度99.99%以上のアルミニウム(4N−Al)板を積層し、積層方向に7kgf/cmで加圧しながら530℃で30分加熱することでAg−Cu合金層に4N−Alを固相拡散接合し、回路層及び金属層を形成した。そして金属層と厚さ5mmのA6063合金からなるヒートシンクをはんだ付けによって接合した。はんだはSn−Sbはんだを用い、300℃で15分加熱することで接合した。以上によって、本発明例2−3のパワーモジュール用基板を得た。
(本発明例2−4〜本発明例2−8)
Siからなる厚さ0.32mmのセラミックス基板の一方の面及び他方の面にAg−Cu−Tiペースト(本発明例1−1で用いたペーストと同じ)を表2記載の塗布厚となるよう塗布し、実施例1と同じ条件で乾燥及び加熱することで、メタライズドセラミックス基板を作製した。なお、他方の面の塗布厚と一方の面の塗布厚は同じとした。次に、得られたメタライズドセラミックス基板の両面に、それぞれ厚さ0.6mmの純度99.99%以上のアルミニウム(4N−Al)板を積層し、さらに4N−Al板のメタライズドセラミックス基板とは反対側の面に、厚さ2.0mmの無酸素銅(OFC)の板をそれぞれ積層し、積層方向に7kgf/cmで加圧しながら530℃で30分加熱することでAg−Cu合金層に4N−Alを、4N−AlにOFCを固相拡散接合し、回路層及び金属層を形成した。そして金属層と厚さ5mmのA6063合金からなるヒートシンクをはんだ付けによって接合した。はんだはSn−Sbはんだを用い、300℃で15分加熱することで接合した。以上によって、本発明例2−4〜2−8のパワーモジュール用基板を得た。
(本発明例2−9)
セラミックス基板を厚さ0.32mmのSiから厚さ0.635mmのAlNに変えた以外は本発明例2−2と同様にして本発明例2−9のパワーモジュール用基板を得た。
(本発明例2−10)
セラミックス基板を厚さ0.32mmのSiから厚さ0.38mmのAlに変えた以外は本発明例2−2と同様にして本発明例2−9のパワーモジュール用基板を得た。
得られたパワーモジュール用基板について初期接合率及び冷熱サイクル後の接合率を評価した。なお、Ag−Cu合金層の厚さは実施例1と同様にして評価した。
(冷熱サイクル試験)
冷熱サイクル試験は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、パワーモジュール用基板に対して、液相(フロリナート)で、−40℃×3分←→150℃×3分の2000サイクルを実施した。
(接合率)
Al部材とAg−Cu合金層の接合率を測定した。測定は回路層側にて測定した。Al部材とAg−Cu合金層との接合率は、超音波探傷装置を用いて以下の式を用いて求めた。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわちAl部材の面積とした。超音波探傷像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)
以上、実施例2におけるそれぞれの条件と、初期接合率の結果、および冷熱サイクル後の接合率の結果を表2に示す。
Figure 0006343993
表2に示す結果によれば、Ag−Cu合金層及び活性金属化合物層が形成されたメタライズドセラミックス基板にAl部材を固相拡散接合したパワーモジュール用基板は、高い初期接合率及び接合信頼性を有することが確認された。特に、Ag−Cu合金層の厚さが10μm以上とされた本発明例2−1〜2−3及び2−5〜2−10では、冷熱サイクル後の接合率が高かった。
10 メタライズドセラミックス基板
11 セラミックス基板
12 Ag−Cu合金層
13 活性金属化合物層
20、30 パワーモジュール用基板
21 第一のAl部材
22 第二のAl部材
31 第一のCu部材
32 第二のCu部材

Claims (7)

  1. セラミックス基板の少なくとも一方の面に、AgとCuの共晶組織を有するAg−Cu合金層が形成されており、
    前記セラミックス基板と前記Ag−Cu合金層との間に、活性金属化合物層が形成されており、
    EPMAによる反射電子像から、倍率2000倍の視野において前記Ag−Cu合金層の面積を測定して測定視野の幅の寸法で除し、得られた値の5つの視野の平均値から求められた前記Ag−Cu合金層の厚さが10μm以上とされており、
    前記セラミックス基板の一方の面に、前記活性金属化合物層および前記Ag−Cu合金層を介して、第一のAl部材が固相拡散接合されていることを特徴とするパワーモジュール用基板。
  2. 前記活性金属化合物層の内部に、Ag及びCuが存在していることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用基板。
  3. 前記第一のAl部材に重ねて、更に第一のCu部材が接合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワーモジュール用基板。
  4. 前記セラミックス基板の他方の面に、前記活性金属化合物層および前記Ag−Cu合金層を介して、第二のAl部材が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板。
  5. 前記第二のAl部材に重ねて、更に第二のCu部材が接合されていることを特徴とする請求項4に記載のパワーモジュール用基板。
  6. セラミックス基板の少なくとも一方の面に、活性金属、Ag、Cuを含む材料層を形成する工程と、
    前記材料層を真空加熱し、前記セラミックス基板の構成元素と前記活性金属とが化合した活性金属化合物からなる活性金属化合物層、およびAg−Cu共晶組織を含むAg−Cu合金層を形成する工程と、
    前記セラミックス基板の一方の面に、前記活性金属化合物層および前記Ag−Cu合金層を介して、第一のAl部材を固相拡散接合する工程と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
  7. 前記第一のAl部材に重ねて、更に第一のCu部材を接合する工程を備えたことを特徴とする請求項6に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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