JP6342163B2 - 子守帯 - Google Patents

子守帯

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Description

本発明は、子守帯、特に乳幼児を縦抱きする子守帯に関する。
生後4〜5か月を経過して首が座った乳幼児については、足を下側にして縦に抱くための子守帯が用いられている。この縦抱きの方法としては、乳幼児と対面して抱く「対面抱き」、着用者の前で乳幼児が前向きになるように抱く「前抱き」、乳幼児をおんぶする「背負い」、乳幼児を着用者の腰骨に配置して抱く「腰骨抱き」がある。
特許文献1は、この縦抱きが可能な子守帯の例であり、その図1に示されるように、乳幼児の胴部から臀部を覆うように支えるシート部11を有している。
また、図2に示されるように、シート部11の内側(着用者側)の下端部には、薄い布からなり、乳幼児に跨がれる股当て17が縫合されている。股当て17は、その上側の両端18,18がシート部11の上端部に対して着脱可能に接続される。
このようにして、シート部11と股当て17で乳幼児を挟んで保持するようになっている。
そして、シート部11の上端部には一対の肩ベルト21,22が設けられ、この肩ベルト21,22を着用者の両肩に回し掛けして、子守帯が装着される。
また、シート部11の下端部には着用者の腰に巻かれ、長さを自在に調節できる腰ベルト31が縫合されており、これにより子守帯が確実に着用者に固定される。この腰ベルト31は、対面抱きや前抱きをした際、前身頃領域において、比較的に着用者の動きが少ない下腹部に装着されて、その幅が出来るだけ広く形成され、これにより乳幼児の荷重を広範囲に分散させて、楽な着用が可能とされている。
特開2013−162974号公報
ところで、肩ベルト21,22は乳幼児及び子守帯の荷重が大きくかかる部位であるため、子守帯の中でも比較的、頑丈にできている。
そして、縦抱きされて、胴部や臀部の動きが大きく制限された乳幼児については、この肩ベルト21,22を囲繞して形成された輪の穴から腕を外に出して激しく動かすことがあり、また時には、肩ベルト21,22の下側から腕を出して動かすこともある。このため、頑丈な肩ベルト21,22に腕が強く当たることがあり、この腕が当たる状態は乳幼児に不快感を与えざるを得ず、また、デリケートな乳幼児の肌に悪影響を与える恐れもある。
本発明は、以上の実情に鑑み、胴部や臀部の動きが制限された乳幼児に不快感を与えず、また、乳幼児の肌に与える悪影響を有効に防止できる子守帯を提供することを目的とする。
上記課題は、本発明によれば、乳幼児を縦抱きに保持するためのシート体と、前記シート体の上部に接続されて着用者の肩に掛けられる肩帯、及び、前記シート体の前記上部よりも下側に接続されて前記着用者の脇側に配置される脇下帯部により肩に回し掛けされる一対の肩ベルトと、前記シート体に接続され、前記着用者の腰に巻かれる腰ベルトと、を備えた子守帯であって、前記脇下帯部には、前記シート体の横幅方向の縁に接続するようにして、前記乳幼児の腕が当たった際の力を緩和する腕クッションが設けられており、前記腕クッションの縁は、前記脇下帯部と前記シート体との接続部側に向かって凸となるように湾曲しており、前記腰ベルトは、対面抱き又は前抱きした前記着用者の前身頃において、可撓性が低いのに対して弾力性が高いクッションからなる腰クッション部材を有し、この腰クッション部材はその下側の縁部が前記着用者の脚の付け根付近まで配置されるようになっており、さらに、前記腰ベルトは、前記脚の付け根の上側に、前記腰クッション部材の前記クッションに比べて屈曲する程に可撓性の高い部分である屈曲可能部が略水平方向に沿って形成されている子守帯により解決される。
上記発明の子守帯は、縦抱きに支持するためのシート体と、シート体に接続されて肩に回し掛けられる一対の肩ベルトと、シート体に接続されて腰に巻かれる腰ベルトとを有している。このため、着用者は、一対の肩ベルトと腰ベルトで子守帯を装着し、乳幼児を着用者の身体とシート体との間に入れて、乳幼児の胴部と臀部の動きを制限した縦抱き状態を維持できる。
ここで、肩ベルトの脇側にある脇下帯部には、シート体の横幅方向の縁に接続するようにして、乳幼児の腕が当たった際の力を緩和する腕クッションが設けられている。従って、例えば肩ベルトから乳幼児が腕を出して自由に動かしたとしても、腕クッションが硬い脇下帯部から腕を保護する。従って、乳幼児はストレスなく腕を動かせるし、また、脇下帯部に当たることで生じる肌への悪影響も有効に防止できる。
特に、腕クッションの縁は、脇下帯部とシート体との接続部側に向かって凸となるように湾曲しているため、腕クッションの縁は乳幼児の腕の外周形状に沿うように当ることになり、乳幼児の激しい腕の動きに対しても有効に保護できる。
また、腰ベルトは、対面抱き又は前抱きした着用者の前身頃において、可撓性が低いのに対して弾力性が高いクッションからなる腰クッション部材を有し、この腰クッション部材はその下側の縁部が着用者の脚の付け根付近まで配置されるようになっており、さらに、腰ベルトは、脚の付け根の上側に、腰クッション部材のクッションに比べて屈曲する程に可撓性の高い部分である屈曲可能部が略水平方向に沿って形成されている。
そうすると、可撓性が低く弾力性が高い腰クッション部材を、対面抱き又は前抱きした際の着用者の前身頃領域に幅広く配置して、乳幼児の荷重を所定の部位に集中させずに広範囲に分散させ、腰ベルトを着用者に密着させて、これにより楽に子守帯を着用することができる。
また、この腰クッション部材の下側の縁部が配置されるのは、着用者の脚の付け根付近までであって、腰クッション部材は着用者の比較的に動きが少ない下腹部に配置され、また、着用者が歩行動作に支障をきたすような大腿部までは配置されないことから、歩行の際でも、腰クッション部材は着用者にしっかりと装着された状態で維持される。
さらに、この腰ベルトは、少なくとも脚の付け根の上側に、腰クッション部材のクッションに比べて屈曲する程に可撓性の高い部分である屈曲可能部が略水平方向に沿って形成されている。このため、例えば着用者が座った際に、腰クッション部材の下側の縁部が着用者の大腿部に当たったとしても、屈曲可能部が曲がることで、腰ベルト全体が位置ずれを起こすことを防止できる。このため、例えば着用者が座った状態であっても、腰ベルトの位置ずれに伴って腕を出す領域が狭くなることも防止され、従って、乳幼児の腕を自由に動かすスペースが殊更に小さくなることもなく、そして、腕クッションの機能を有効に発揮することができる。
また、好ましくは、前記腕クッションは、前記脇下帯部の上下双方に設けられていることを特徴とする。従って、乳幼児が肩ベルトの下側から腕を出して動かした場合であっても、腕クッションが硬い脇下帯部から腕を有効に保護できる。
そして、このように脇下帯部の下側に腕クッションを設けた場合においては、乳幼児の大腿部が外側に突出する領域であって、シート体と腰ベルトとの間には、大腿部の外周形状に略沿って密着するように、クッション材からなる大腿クッションが設けられていることがより好ましい。これにより、乳幼児の大腿部は、脇下帯部の下側の腕クッションと大腿クッションとの間に挟まれるように配置され、乳幼児が脚を上下にバタつかせても大腿部を保護できる。
なお、脇下帯部の下側の腕クッションと大腿クッションとの間の寸法を乳幼児の大腿部の太さに対応させれば、大腿部を上下のクッションで柔らかに保持でき、下半身に対するストレスの少ない安定した保持状態をつくることもできる。
以上、本発明によれば、乳幼児を縦抱きした場合であっても、乳幼児の保持状態を確認することができる子守帯を提供することができる。
本発明の実施形態に係る子守帯の正面図。 図1の子守帯の内側(着用者側)から視認した概略斜視図。 図2の子守帯の挟持シートを開いた状態の図であり、一点鎖線で囲った図は、涎掛けを取り外した状態における肩ベルトの根元部の図。 図1の子守帯で対面抱きした使用状態図。 図1の子守帯で前抱きした使用状態図。 図1の尻領域を厚み方向に切断した場合の縦断面図。 図1の涎掛けを外して視認した子守帯の上部の斜視図、及び外した涎掛けの平面図。なお、図7ではポケットからヘッドカバーを取り出して図示している。 図1の子守帯を上側から視認した斜視図。 図8のB−B断面図(図が煩雑にならないように、涎掛けのみに平行斜線を図示)。 腰クッション部材の着用者(腰骨)に対する好ましい配置を表した図であり、腰ベルトの表面を透かして腰クッション部材を視認している。 図1の子守帯を対面抱きで着用して、それを側面から視認した側面図であり、図1のA−A線の部分のみを断面として表した図(カバーは省略)。 図11の子守帯を着用した起立状態から着座した図。 本実施形態の変形例であり、図10に対応した図。 図2のC−C断面図。 図2の腰ベルトに背中パッドを取り付けた部分使用状態図。 図15をVE方向から視認した部分斜視図。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、以下の図において、同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
また、以下の説明において、「内面」は子守帯を装着した状態における着用者側を、「外面」は当該内面の反対側であって外部に露出した面を、「上側」は子守帯を装着した着用者が起立した状態における上側を、「下側」は当該上側の反対側を、それぞれ意味する。
〔本実施形態における子守帯の概要〕
本実施形態の子守帯は、乳幼児の足を下側にして縦に抱くためのものであり、乳幼児を着用者に対面して抱く「対面抱き」(図4参照)、着用者の前で乳幼児を前向きになるように抱く「前抱き」(図5参照)、乳幼児をおんぶする「背負い」、乳幼児を着用者の腰骨に配置して抱く「腰骨抱き」をすることができる。
このような縦抱きの子守帯については、乳幼児の落下を防止するのは勿論、安定して保持する必要があり、かつ、乳幼児にストレスを与えないことが必要である。この点、発育状況にもよるが、先ず、安定保持する要となる部分は下半身(特に臀部や股部)であり、次に頭部を支持できれば、相当の安定度を得ることが出来ると考えられる。一方で、乳幼児は腕を動かことが多く、この腕の動きまでを制限するのはストレスを与えるため、腕の動きを必要以上に制限するのは好ましくない。
本実施形態の子守帯はこのような考えのもとに設計されており、その基本構成として、図1に示すように、縦抱きに抱いた乳幼児の外側を支持する「シート体10」、このシート体10に接続されて、肩に回し掛けられる一対の「肩ベルト30」、シート体10に接続されて、腰に巻かれる「腰ベルト50」、及び、図2に示すようにシート体10の内側に配置されて、シート体10との間に乳幼児を挟むようにした「挟持シート60」、並びに、図4に示すように乳幼児の頭部HDを支持するための「ヘッドカバー73」を有している。
〔シート体10について〕
シート体10は、対面抱き、腰骨抱き、背負いの場合における乳幼児の胴部から臀部を支持し、また、前抱きの場合における乳幼児の胴部(下腹部を含む)を支持するためのシート状の部材である。
このようにシート体10は乳幼児の胴部から臀部を支持する必要があるため、図1に示すように、横幅寸法X1に比べて縦方向の寸法Y1が大きくなっている。なお、横幅寸法X1が小さ過ぎると、乳幼児を支える領域が小さくなって、転落の恐れが高まり、また、後述する薄い布地の挟持シート60への負担が大きくなる等の好ましくない事態が生じることから、図の場合、横幅寸法X1は広めに形成されている(X1:Y1は凡そ3:4〜1:1)。
図2に示すシート体10の内面は、通気性に優れると共にクッション性を発揮して、乳幼児が快適にいられるようになっており、殆どの領域(図3の平行斜線で示される領域)がダブルラッセル(エアメッシュ)のようなクッション性と通気性に優れた立体構造網状生地からなっている。
また、図1に示すシート体10の外面については、ベースとして、可撓性が高く、伸縮性の殆ど無い布地、例えば、綿又はポリエステルからなる布地やタフタのような平織の布地が用いられている。但し、後述する尻領域20には、このベースとなる布地が用いられずに、伸縮性の高い材料が利用されている(この点については後で詳細に説明する)。
〔肩ベルトについて〕
図1に示す一対の肩ベルト30はシート体10の上端部の左右10aに縫合され、それぞれ、着用者の肩に掛けられる肩帯部33、及び、シート体10の上端部の左右10aよりも下側(図の場合は、縦方向の中央より少し上側)の位置10bに縫合され、着用者の脇側に配置される脇下帯部34を有している。
そして、これら肩帯部33及び脇下帯部34により囲繞されて形成された輪の穴35は、着用者の肩と乳幼児の腕を同時に通せる以上の面積を有している。
肩帯部33は、乳幼児の体重を肩で受けとめるベルトであり、図の場合、シート体10と同様の材料から形成され、幅の広い帯状部41を有し、その内部にはクッション部材が設けられている。
これに対して、脇下帯部34は、着用者に当接して体重を受け止める部分ではなく、幅広の帯状部41を配置すると却って邪魔であり、その意味において、比較的に幅の狭い寸法とされ、また、肩帯部33と同様のクッション部材も設けられていない。
本発明の肩帯部33と脇下帯部34とは一体的に形成されていて当初から輪状であっても構わないが、本実施形態の場合は互いに着脱可能に連結されている。具体的には、肩帯部33と脇下帯部34とはバックルで連結されており、肩帯部33にはメスバックル37a、脇下帯部34はオスバックル37bが設けられ、メスバックル37aとオスバックル37bとを連結した後に脇下帯部34の端部34aを引っ張って、肩ベルト30の長さを容易に調節できるようにしている。
また、一対の肩帯部33の内、一方の肩帯部31と他方の肩帯部32とはブリッジベルト44に設けられたバックル39により連結可能とされ、これにより、一対の肩帯部33が肩からずれてしまう事態を防止している。なお、このバックル39は、図2に示すように、帯状部41の長さ方向に沿って配置された幅の狭い紐40をガイドにして肩帯部33に沿って位置調整できる。
〔腰ベルトについて〕
腰ベルト50は着用者の腰に巻かれるベルトであり、図1に示すように、シート体10の下端部10cと繋がっている。この腰ベルト50については、対面抱きや前抱きをした着用者の前身頃に配置される領域ARにおける縦幅が後身頃側に比べて大きく、乳幼児の荷重を所定の部位に集中させずに広範囲に万遍なく分散させ、腰ベルト50を着用者に密着させて、楽に子守帯1を着用できるようにしている。
この前身頃の領域ARにおける腰ベルト50は概ね下腹部に配置され、下腹部は比較的動きが少ない部分であるため、腰ベルト50の固定性・密着性を向上できる。
そして、この前身頃の領域ARの腰ベルト50の中には、理解の便宜のために図1の表面の一部を切り欠いた部分に示されるように、可撓性が低いのに対して弾力性が高いクッションからなる腰クッション部材52が後述する屈曲可能部55や縁部を除く略全域に配置されている。これにより、下腹部が多少動いたとしても、腰クッション部材52の低い可撓性により捩れることが少なく、かつ、弾力性により当該動きを吸収して、下腹部全体に密着した状態とすることができる。
腰クッション部材52のクッション材には、SBR(スチレンブタジエンラバー)、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ウレタンフォーム(低反発もしくは高反発)を用いることができる。なお、身体への密着性を向上させるために、腰クッション部材52については、硬さ(弾力性)の異なる部位を設けてもよい。例えば、腰骨があたる部分は硬くし、腰骨の間の下腹部分は相対的に柔らかくしてもよい。また、クッション材も1種類に限られるものではなく、例えば、芯材となる板状部材と、それを覆うクッション材であってもよい。
また、腰クッション部材52の下側の縁部52aは、着用者の脚の付け根よりも下側に配置されないようになっており(図4参照)、そうすると、着用者が歩行時等で脚を前に出した場合でも、脚で腰クッション部材52が上側に持ち上げられず、これにより、腰ベルト50の着用者に対する固定性・密着性を高めている。
なお、前身頃の領域ARにおいて、腰ベルト50の縦幅寸法W1は、臍に対応する中央部が最も大きく、脇側に向かうに従って除々に小さくなっており、下側の縁部50aが下側に向かって凸となるように湾曲している(換言すれば、下腹部の形状に合わせてある)。これにより、腰クッション部材52が脚に触れないようにしつつも、出来るだけ縦幅寸法W1を大きくしている。
以上のような腰クッション部材52が内包された腰ベルト50は、着用者の両脇側まで延伸しており、その一方の脇側の端部50aには、可撓性が高く、比較的幅の狭いベルト51が接続され、このベルト51の先にはオスバックル53aが設けられている。
また、他方の脇側の端部50bにはメスバックル53bが設けられ、このメスバックル53bとオスバックル53aとが連結するようになっている。なお、オスバックル53aはベルト51の長さ方向に沿って位置調整が可能であり、これにより、腰ベルト50を着用者の体型に合わせて装着できる。
〔挟持シートについて〕
図2の挟持シート60はシート体10の内側(装着時における着用者側)に配置され、乳幼児に跨がれて股が当たる部分を有するため股当てと呼ばれることもあるが、本実施形態においては、乳幼児の股から概ね胸部までを覆い、シート体10との間に乳幼児を挟んで支持するシートであることから、挟持シートと呼ぶ。この挟持シート60により乳幼児の転落を有効に防止できる。
挟持シート60は、その下端部60aがシート体10及び/又は腰ベルト50に縫合されている。この挟持シート60の下端部60a及びその周辺は、乳幼児の股が当接される部分であり、若干、横幅が狭くなっている。
挟持シート60は、その上部が肩帯部33に対して着脱可能とされ、これにより、図3のように挟持シート60を肩帯部33から外し、下端部60aを軸にして開いて、乳幼児BAをシート体10に載せることができる。そして、図2のように挟持シート60の上部を肩帯部33に接続して、シート体10との間に乳幼児を挟んで保持するようになっている。
具体的には、挟持シート60は、その上部が二股に分かれて二本の細幅部61,62を有し、全体的にY字状とされている。この細幅部61,62の先端部には、図3に示すように、オスバックル64が取付けられており、このオスバックル64は肩帯部33の根元部33aに取付けられたメスバックル65と連結するようになっている。なお、メスバックル65は、涎掛け70を取り外した状態の図である図3の一点鎖線で囲った図に示すように、捲ることが可能な袋状部69の中に隠されており、これにより、乳幼児のメスバックル65及びオスバックル64への接触を回避している。
挟持シート60は全体的に可撓性の高い薄い布地であり、その中央領域60bが大きな伸縮性を有し、これにより挟持シート60が乳幼児を覆うと、乳幼児の体型に合わせて中央領域60bが大きく撓んで乳幼児を包むように覆う。
この中央領域60bの伸縮性については、装着時における縦方向(図2のY方向)が横幅方向(図2のX方向)の伸縮性に比べて小さくなっており、縦方向に伸び過ぎることで乳幼児の背中が大きく曲がる等の事態を防止している。
さらに、挟持シート60の左右の縁部60cには伸縮性が略無く、これにより、着用者に左右方向(図2のX方向)の動きがあっても、乳幼児を包んだ状態を出来るだけ維持して、転落を有効に防止している。なお、左右の縁部60cは帯状となり、そのまま細幅部61,62まで延伸して、その先端部にオスバックル64が取付けられているため、左右の縁部60cについては、オスバックル64の位置から下端部60aまで伸縮性は略無い。
なお、挟持シート60の中央領域60bは通気性のあるメッシュ地であることが好ましい。
〔ヘッドカバーについて〕
図1及び図4に示すヘッドカバー73は、頭がすわりきっていない乳幼児の頭部を支持するための例えば薄い布であり、対面抱きや背負いの際によく用いられる。
未使用時のヘッドカバー73は、図1に示すように、シート体10の外面に設けられたポケット75の中に収容可能であり、ポケット75の内部にはヘッドカバー73の一方の端部73aが接続されている。使用する際は、図4に示すように、ヘッドカバー73の他方の端部73bを外に出して、肩ベルト30と接続するようになっている。
具体的には、図4及び図7に示すように、ヘッドカバー73の本体は、一方の端部73a側は幅が狭く、これに対して他方の端部73b側は乳幼児の頭部を包んで覆えるように、幅が広くなっており、その他方の端部73bの左右両端には紐77,77が取付けられている。各紐77は長さ方向に沿って複数のスナップボタン79が取付けられており、このスナップボタン79を肩帯部33に設けられたスナップボタン36と接続するようになっている。このようにして、他方の端部73bは紐77を介して肩ベルト30と着脱自在になっている。
なお、ヘッドカバー73を使用する際は、シート体10の上端部10eに取付けられた頭部パッド19を利用するのが好ましい。この頭部パッド19はクッション性を有するパッドで、図7に示すように、矢印R方向に立てたり寝かしたりすることができる。即ち、後述する涎掛け70を用いる場合は図1のように頭部パッド19を寝かせ、また、涎掛け70を外してヘッドカバー73を用いる場合は、図4のように頭部パッド19を立てて用いられる。
このようなヘッドカバー73の本体(紐77を除く部分)は、シート体10の上端部10eよりも上側の部分の全体又は一部がメッシュ状であるのが好ましく、これにより、ヘッドカバー73を透かして乳幼児の様子を確認することができる。
〔シート体の尻領域について〕
本実施形態における子守帯1は以上のような好ましい構成を有しており、さらに、以下の種々の特徴を備えている。先ず、尻領域について説明する。
図1のシート体10は尻領域20を有している。尻領域20は着用者が乳幼児の臀部の位置を確認するためのものであり、背負い・対面抱き・腰骨抱きした場合における乳幼児の臀部に対応した領域である。
この尻領域20は、少なくともこの尻領域20の周辺部10d(本実施形態の場合、シート体10の外面のベースとなる上述した布地)に比べて、高い伸縮性を有している。この伸縮性は、図4に示すように、乳幼児BAの臀部の膨らみや動きに従って尻領域20が外側に膨出し、それを着用者が手で触って、臀部の膨らみが触覚で分かる程度の伸び率が必要である。
好ましくは、図1に示すように、尻領域20はその下端部21が腰ベルト50の上端部50dと近接又は接続されている。これにより、尻領域20は、腰に巻かれて密着されると共に可撓性の低い腰ベルト50との撓み方の相違により、臀部を載せた際に相対的に大きく膨出するようになっている。
図の尻領域20の面積は、おむつを履いた状態の乳幼児の臀部の大きさに略対応しており、形状は正対視において略円形状である。
また、尻領域20は、少なくとも外面が、周辺部10dの外面に比べて粗い目の部材とされていることが好ましい。これにより、手の感触で尻領域の位置を確認し易くなり、乳幼児の臀部をより適正に尻領域に配置し易くなる。
具体的には、図6に示すように尻領域20は二層構造とされており、内層(内面側)20aは他の部位(図3の平行斜線の部分)と同じメッシュ生地であり、通気性に優れると共にクッション性を発揮できる部材(例えば、ダブルラッセル(エアメッシュ)のような通気性に優れた生地)からなっている。本実施形態の場合、外層(外面側)20bも内層と同じ材料で形成され、より優れたクッション性を持たせて、乳幼児の居心地を良くしている。しかし、本発明はこのような形態に限られるものではなく、内層と外層の素材を変えても構わず、或いは、一層のみで形成しても構わない。
また、尻領域20は、乳幼児を置く前の状態において、内層20aはその周辺部10dと略同一面であるのに対して、外層20bはその周辺部10dに比べて外側に向かって窪んでいる。このように外層20bを初めから窪ませることで、クッション性を高めるために二重しても、伸縮性のある尻領域20は図6の一点鎖線で示すように外側に向かってより窪み易くなり、従って、図4に示すように、乳幼児の膨出した臀部が窪んだ尻領域20により収まり易くなって、安定して保持された状態をより維持できる。
この点、乳幼児を置く前の状態で内層20aを初めから窪ませていると、対面抱き・背負い・腰骨抱きした場合は内側から尻領域20の位置を確認し易くなるため好ましい。
しかし、前抱きの場合は、尻領域20には臀部ではなく乳幼児の下腹部が配置されることとなる。このため、前抱きでは、下腹部と尻領域20との間には不要な空間が生じて、却って乳幼児とシート体10との密着性が悪化する。従って、前抱きを考慮した子守帯1においては、内層20aを初めから窪ませない方が好ましい。
本実施形態の場合、内層20aとその周辺部10dとが略同一面であったとしても、図3に示すように、尻領域20の内面の縁には縫合線等の目印25が形成されており、従って、着用者は目印25を目安にして尻領域20の位置を内側からも確認でき、乳幼児の臀部を尻領域20に配置し易くなる。
また、本実施形態では、図1、図4及び図5に示すように、尻領域20の外面を覆ったり露出したりすることの自在なカバー28がシート体10に取付けられている。これにより、尻領域20の通気性を良くした場合であっても、乳幼児BAに当てる風や温気・冷気を制御できる。特に、図5のような前抱きの場合は、腹部に風が当たり過ぎると体調を崩す原因となるため、カバー28で尻領域20を覆うのが好ましい。
このカバー28は、その一方の端部28aがシート体10の尻領域20よりも上側に縫合されており、垂らすと他方の端部28bが尻領域20の下の腰ベルト50まである長さL1とされている(なお、乳幼児の臀部が配置されることで生じる尻領域20の膨らみを抑制しないように、所要のゆとりのある長さも有している)。
そして、カバー28は、他方の端部28bを腰ベルト50に設けられたホックなどの接続部材23で着脱可能とされている(なお、他方の端部20bが腰ベルト50側に固定され、一方の端部28aが尻領域20よりも上側でスナップ等の接続部材で止められるような構成でもよい)。
このようにして、カバー28は、シート体10における尻領域20の上下のみで接続され、左右方向については、カバー28とシート体10とは接続されていない。従って、カバー28が尻領域20を覆った状態でも、着用者PRは左右の隙間から手を挿入して(図5の矢印AC方向に手を挿入して)、尻領域20を触ることができる。
なお、カバー28は布製であり、図1及び図4に示すように丸めることができ、その丸めた状態を紐29で固定できる。
〔涎掛けについて〕
次ぎに涎掛けについて説明する。図1及び図2に示すように、子守帯1の上部には、乳幼児の涎から子守帯1を守るための涎掛け70が着脱可能に取り付けられるようになっている。
涎掛け70は、一対の肩帯部33,33の根元部33a,33aと、この一対の根元部33a,33a同士に挟まれたシート体10の上端部10eに、連続して掛けられるようになっており、肩帯部33の根元部33aとシート体10の上端部10eを汚れから守っている。
具体的には、図7のシート体10から取り外した涎掛け70の平面図に示すように、涎掛け70はシート体10の上端部10eに掛けられる上端保護部45が、当該上端部10eに対応した長さL2を有すると共に、所定の幅W2を有している。図7の幅W2の寸法は約16〜18cmである。そして、上端保護部45は、長さL2方向に沿った折り目45aが形成されており、この折り目45aで屈曲し易くなっている。従って、この折り目45aをシート体10の上端部10eの縁部10e−1上に配置すれば、上端保護部45は、シート体10の外面側を覆う外側部分45bと、内面側を覆う内側部分45cを容易に形成することができる。
また、上端保護部45の左右両端には、肩帯部33の根元部33aを涎から保護するための一対の肩帯保護部46,46を有している。各肩帯保護部46は、肩帯部33の根元部33aの外周寸法よりも長い寸法L3を有している。この一対の肩帯保護部46,46は、上端保護部45の外側部分45bの左右両側を基部46a,46aにして、そこから内側部分45c側に向けて、先端部46b,46bが互いに少し接近するようにして延伸している。基部46aと先端部46bには面ファスナー49が取付けられており、これにより、肩帯保護部46は肩帯部33の根元部33aを一周するように巻かれた後、面ファスナー49でその巻かれた状態を維持できる。
なお、面ファスナー49は、巻かれた状態において乳幼児に当接しないように、図1に示されるように、根元部33aの外面側に配置されるようになっている。
以上のように、肩帯部33の根元部33aと、シート体10の上縁部10eに連続して涎掛け70を取り付けることができるのは、図1に示すように、取付けた涎掛け70よりもヘッドカバー73を下側に配置したからである。
即ち、取付けた涎掛け70の下側に、ヘッドカバー73を収容可能なポケット75を配置したことで、涎掛け70を装着した状態であっても、必要な時はポケット75からヘッドカバー73を取りだして使用することができるようになった。
なお、涎掛け70を装着した状態では、図8及び図9に示すように、頭部パッド19は寝かした状態とされるのが好ましく、この頭部パッド19は、所定の剛性を発揮することで、図9のように涎掛け70を上から掛けた場合であっても、その重みで完全に垂れ下がらず、上から視認した際、涎掛け70がポケット75の開口部75aを覆い隠せるのがよい。これにより、ポケット75の中に涎が入ることを有効に防止できる。
〔腰ベルトについて〕
次ぎに、上述した腰ベルトのさらなる特徴を説明する。
図1及び図4に示すように、腰ベルト50は、対面抱きや前抱きをした際の着用者の前身頃において腰クッション部材52を有し、この腰クッション部材52はその上側の縁部52bが尻領域20の直下に、下側の縁部52aが着用者の脚の付け根GR付近まで配置されるようになっている。即ち、腰クッション部材52の好ましい配置を示す図10のように、腰クッション部材52の下側の縁部52aは、少なくとも大腿骨BNが入る窪みである寛骨臼KQよりも上に配置する必要がある。
また、腰クッション部材52は、下側の縁部52aを脚の付け根GRより少し上に配置した際、上側の縁部52bは着用者の腸骨BTよりも少し上側に配置されるようにした縦方向の幅W2を有するのが好ましく、これにより腰ベルト50が腸骨BTに係止して下側へずれることを防止できる。
そして、腰ベルト50についは、図4及び図10に示すように、脚の付け根GRよりも上側に、腰クッション部材52に比べて屈曲する程に可撓性の高い部分である屈曲可能部55が略水平方向に沿って形成されている。この屈曲可能部55は、腰ベルト50の上側への位置ずれを防止するためのものであって、腸骨BTの縦方向の中間部に配置するのが好ましい。
この屈曲可能部55の高い可撓性は、本実施形態の場合、図11に示すように、腰クッション部材52を配置しない部分をライン状に形成することで実現している。即ち、腰クッション部材52は縦方向で2つに分割されて、上側の腰クション52−1と下側の腰クッション52−2からなり、前身頃領域における腰ベルト52は、布製の袋状部56でこれら2つのクション52−1,52−2を包み、上側の腰クション52−1と下側の腰クッション52−2との境界部を縫合して形成され、この境界部が屈曲可能部55となる。なお、本発明の屈曲可能部55はこれに限られるものではなく、例えば腰クッション部材52を単に縫合して厚みを薄くする等し、腰クッション部材52に応力が集中するラインを形成して実現しても構わない。
このようにして、図12に示すように、対面抱きや前抱きをした着用者が座った際、腰クッション部材52(クッション材の中でも比較的に曲げ剛性が高いクッション部材)の下側の縁部52aが着用者PRの大腿部FEに当たったとしても、屈曲可能部55が上下方向に曲がることで、腰ベルト50全体が着用者PRの動きに伴って上にずれることを有効に防止できる。
なお、本実施形態の屈曲可能部55は水平方向に沿って形成されているが、本発明の屈曲可能部55は「略」水平であればよく、例えば水平方向に対して少し傾いたり、或いは湾曲したりして全体的に見て略水平であればよい。
本実施形態の場合、以上の屈曲可能部55は第1の屈曲可能部55であり、腰ベルト50には、図4及び図10に示すように、第2の屈曲可能部57が形成されている。
第2の屈曲可能部57は、略縦方向に沿って形成されると共に、大腿骨BNの略延長線上に形成されている。この第2の屈曲可能部57は可撓性を発揮する縦のラインであるが、その可撓性は、第1の屈曲可能部55の可撓性に比べて低くなっており、具体的には腰クッション部材52を略縦に沿って縫合して厚みを薄くすることで形成されている。これにより、左右方向の力の伝達をある程度発揮させつつ、曲がり難い腰クッション部材52であっても、左右方向に少し曲げることができ、従って、下腹部の内、脚の付け根の上の湾曲した部分に対応して腰ベルト50を密着させることができる。
なお、上下方向の曲げを可能とする第1の屈曲可能部55は、腰クッション部材52が存在する左右方向の全長にわたって形成されているが、本発明はこれに限られず、例えば本実施形態の変形例である図13に示すように、脚の付け根GRの上側にのみ形成され、股CRの上に形成されなくてもよい。この場合、股CRと足の付け根GRとを区分けするように、略縦方向に沿って第3の屈曲可能部59を形成するのが好ましい。これにより、着座時に腰クッション部材52の脚の付け根GRの上側の領域(図13の平行斜線で示す領域)が曲がった際、その曲げ応力が股CRの上等の他の領域に伝達することを軽減できる。
図2、図11、及び図2のC−C断面図である図14に示すように、腰ベルト50については、装着状態における着用者PRの後身頃側にも特徴があり、背中BKの幅方向中央部に配置可能な背中パッド80が設けられている。
この背中パッド80は、前抱きや対面抱きのとき、背中側に位置するベルト本体51に取り付けられ、後身頃側の腰ベルト50の撚れや食い込みを防止するものであり、図14に示すように、着用者の背中BKに配置されるベルト(ベルト本体)51に比べて剛性が高く且つ幅の広いパッド82を有している。
本実施形態の場合、パッド82はプラスチックの薄板であり、正面視は長円形状又は長方形状である。パッド82の縦幅(装着状態における縦方向の幅)W4はベルト(ベルト本体)51の縦幅W3(図の場合は約5cm)の約2倍であり、その縦幅方向の中央部が背骨と仙骨との境目位に配置されるようになっている。このように剛性が高く且つ幅広のパッド82を設けるのは、子守帯1は乳幼児が乗った側に大きな荷重がかかるため、ベルト51は着用者に食い込む恐れが高く、また、乳幼児が暴れる等した際に撚れてしまう恐れがあるからで、このような事態を防止するためである。
なお、剛性については、腰クッション部材52も可撓性が低く、高い曲げ剛性を有しているが、乳幼児側(前抱きや対面抱きの場合の前方)に大きく引っ張られることを考慮して、背中パッド80の方が相対的に高い剛性を有している。
このようにパッド82は剛性が高く、そのため着用者の体型に合わせて変形し難くい。そこで、背中パッド80には、弾力性のあるクッション材84がパッド82よりも着用者側に配置されている。これにより、着用者の体型に合わせてクッション材84がその厚みを変形させ、そして背中パッド80は背中に密着することになる。なお、クッション材84には、例えば、SBR(スチレンブタジエンラバー、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ウレタンフォーム(低反発もしくは高反発)を利用できる。
これらパッド82とクッション材84は、図2及び図14に示すように、正面視が略長円形状である布製の収容体13に収容されている。収容体13の外面には、上下のみが縫合された帯14が設けられており、この帯14と収容体13との間にベルト51が挿通することで、背中パッド80はベルト51の長さ方向で位置調整が可能とされている。
以上の背中パッド80は、通気性を持たせるための多数の穴が形成されているのが好ましい。
さらに、図15及び図16に示すように、背中パッド80は、腰ベルト50の内、対面抱きや前抱きをした際に着用者の前身頃に配置される領域(「背負い」をした際の着用者の後身頃に配置される領域)50eに着脱可能とされるのが好ましい。これにより、乳幼児をおんぶする「背負い」をした際であっても、背中パッド80を着用者の背中に配置して、剛性の高いパッド82の機能により、領域50eが背中側で撚れる等の事態を防止できる。
この際、背中パッド80は領域50eの内側に着脱可能とされるのが好ましく、その着脱手段は、面ファスナーでもよい。或いは、図15及び図16のように、領域50eに両端部が接続された紐88を設け、帯14と収容体13との間に紐88を挿通するようにしてもよい。この場合、帯14は、図16に示すように、面ファスナー89などでループ状にしたり開いたりすることが可能とされている。
また、背中パッド80は領域50eに取付けられる際、図15に示すように、屈曲可能部55の上に(隠すように)配置されるのがより好ましく、これにより、「背負い」をした際に、屈曲可能部55が屈曲するような事態を回避して、乳幼児を安定して保持することができる。
〔腕クッションについて〕
次に、腕クッションについて説明する。図1及び図2に示すように、肩ベルト30の脇側に配置された脇下帯部34には、シート体10の横幅方向の縁10fに接続するようにして、腕クッション90が設けられている。
腕クッション90は、乳幼児の腕が当たった際の力を緩和するものであり、例えば編み物のような柔らかく伸縮性がある布地で形成されている。
腕クッション90は、図2の左側に示すように中空の袋状とされており、脇下帯部34はその中を通ってシート体10に接続されている。腕クッション90の正面視は、図1に示すように、90度回転した山のような形状とされている。そして、脇下帯部34の上下双方に当該山の傾斜面が配置されるようにして、当該山の底部がシート体10の横幅方向の縁10fに縫合され、このようにして腕クッション90は、脇下帯部34の上下双方に設けられている。なお、脇下帯部34の上側の腕クッション90の縁90aについては、肩ベルト30が囲繞して形成された輪の穴35の一部の縁を形成するようになる。
そして、シート体10にも脇下帯部34にも接続されていない山の傾斜面である腕クッション90の縁90aは、脇下帯部34とシート体10との接続部側(図の位置10b側)に向かって凸となるように湾曲している。換言すれば、腕クッション90は、正面視において、シート体10の縁10fから肩帯部33に向かうに従って縦方向の寸法が小さくなるが、その小さくなる割合が除々に小さくなっている。
本実施形態の腕クッション90は以上の形状とされているため、図4及び図5に示すように、例えば、乳幼児が肩ベルト30から腕AMを出して自由に動かしたとしても、腕クッション90の縁90aが腕AMの外周形状に沿うように当り、腕AMを硬い脇下帯部34から有効に保護できる。また、腕クッション90は脇下帯部34の下側にも設けられているため、肩ベルト30の下側から腕を出した場合でも同様に腕を保護できる。そして、腕クッション90はこのように乳幼児の腕を保護すると共に、隙間から落下する事態を防止している。
〔大腿クッションについて〕
次に、大腿クッションについて説明する。
図1、図4及び図5に示すように、乳幼児の大腿部FEPが子守帯1の外側に突出する領域AR1であって、シート体10と腰ベルト50との間には、大腿部FEPの外周形状に略沿って密着するようにしたクッション材からなる大腿クッション92が設けられている。大腿クッション92の材料は腕クッション90と同様であり、シート体10の横幅方向の縁と腰ベルト50の上縁との間に水掻きのように介在する。
具体的には、シート体10の下部は、図1に示すように、下側に向かうに従って除々に横幅寸法が小さくなる窄み形状とされ、この窄んだ部分の左右の縁部10gに大腿クッション92の一部が縫合されている。なお、シート体10が窄みだす位置は尻領域20の上部と同様である。
また、大腿クッション92の一部は、腰ベルト50のうち腰クッション部材52が配置されている部分、より具体的には、腰クッション部材52が配置されている領域の内、左右の第2の屈曲可能部57よりも両脇側の上縁部50cに縫合されている。
そして、このシート体10の縁部10g、及び腰ベルト50の上縁部50cに縫合されていない縁(即ち、大腿クッション92の縁)92aは、縁部10gの最下部に向かって凸となるように湾曲している。
従って、図4及び図5に示すように、大腿部FEPは大腿クッション92にストレスなく安定して支えられ易くなる。また、大腿部FEPは脇下帯部34の下側の腕クッション90と大腿クッション92との間に挟まれるように配置されるため、乳幼児が脚を上下にバタつかせたとしても大腿部FEPを上下で保護できる。
なお、乳幼児の大腿部FEPが突出可能な領域AR1の長さL2(図4参照)は、乳幼児が落下するという最悪の事態を防止するため、余り大きくすることが出来ず、このため、乳幼児が脚を動かした際に上下のベルトに接触する恐れは避けられず、このため、脇下帯部34よりも下側の腕クッション90と大腿クッション92を設ける意義は大きい。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用できる。
例えば、各部材を着脱可能に接続する手段は、上述したメスバックル37a、オスバックル37b、バックル39、オスバックル64、メスバックル65、スナップボタン79、スナップボタン36等に限られず、種々の公知な手段を用いることができる。また、各部材を固定する手段も縫合に限られず、接着剤等の種々の公知な手段を用いることができる。
1・・・子守帯、10・・・シート体、20・・・尻領域、30・・・肩ベルト、33・・・肩帯部、34・・・脇下帯部、50・・・腰ベルト、52・・・腰クッション部材、55・・・屈曲可能部、80・・・背中パッド、70・・・涎掛け、73・・・ヘッドカバー、75・・・ポケット、90・・・腕クッション、90a・・・腕クッションの縁、92・・・大腿クッション

Claims (3)

  1. 乳幼児を縦抱きに保持するためのシート体と、
    前記シート体の上部に接続されて着用者の肩に掛けられる肩帯部、及び、前記シート体の前記上部よりも下側に接続されて前記着用者の脇側に配置される脇下帯部により肩に回し掛けされる一対の肩ベルトと、
    前記シート体に接続され、前記着用者の腰に巻かれる腰ベルトと、
    を備えた子守帯であって、
    前記脇下帯部には、前記シート体の横幅方向の縁に接続するようにして、前記乳幼児の腕が当たった際の力を緩和する腕クッションが設けられており、
    前記腕クッションの縁は、前記脇下帯部と前記シート体との接続部側に向かって凸となるように湾曲しており、
    前記腰ベルトは、対面抱き又は前抱きした前記着用者の前身頃において、可撓性が低いのに対して弾力性が高いクッションからなる腰クッション部材を有し、この腰クッション部材はその下側の縁部が前記着用者の脚の付け根付近まで配置されるようになっており、
    さらに、前記腰ベルトは、前記脚の付け根の上側に、前記腰クッション部材の前記クッションに比べて屈曲する程に可撓性の高い部分である屈曲可能部が略水平方向に沿って形成されている
    ことを特徴とする子守帯。
  2. 前記腕クッションは、前記脇下帯部の上下双方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の子守帯。
  3. 前記乳幼児の大腿部が外側に突出する領域であって、前記シート体と前記腰ベルトとの間には、前記大腿部の外周形状に略沿って密着するように、クッション材からなる大腿クッションが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の子守帯。
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