JP6341656B2 - 建物構造 - Google Patents
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しかしながら、開口径を小さくしたり、開口の数を少なくすると、光や外気が透過し難くなり、例えば、バルコニーにおいては、建築基準法上の屋外バルコニーとしての要件(開口率)を満たせなくなったり、パネルを通して入射する太陽光の光量が減少して、昼間でもバルコニーが暗くなってしまう。
この問題点を解消する為には、開口の開口径を大きくしたり、開口の数を増やすとことになるが、その場合は、目隠し効果が低下するという新たな問題が発生する。
即ち、パネルによる目隠し効果と、パネルを透過する透過光の光量や通風量の確保との両方を満たすことが困難であるという問題点がある。
また、パネルには、風圧等の外力が作用することがあるが、多数の開口が設けてあることによるパネルの強度低下を補う為に、パネル厚みを増加させたり、パネルの支持スパンを短くする等の対策が必要となり、結果的に設備費用が高くつくという問題点もある。
従って、パネルとしての厚みを増加したり、パネルの支持スパンを短くすることを実施しなくても、風圧等の外力に対する耐力を確保できるようになる。その結果、設備費用の増加を抑えることができ、経済性を向上させることが可能となる。
また、パネル面部のすべての開口の合計面積を、所定値以上となるように設定しておけば、建築基準法上の屋外バルコニーとしての要件を満たすための開放面積を確保することが可能となり、良好な通風性を維持した状態で、日射量の確保、目隠し、及び、外部との遮蔽を、効果的に行うことが可能になる。
従って、該当建物構造におけるパネルの用途は、バルコニーの目隠しパネルに限るものではなく、建物本体を取り巻く様々な位置に設けられるものが対象となる。
従って、パネルとしての厚みを増加したり、パネルの支持スパンを短くすることを実施しなくても、風圧等の外力に対する耐力を確保できるようになる。その結果、設備費用の増加を抑えることができ、経済性を向上させることが可能となる。
また、パネル面部のすべての開口の合計面積を、所定値以上となるように設定しておけば、建築基準法上の屋外バルコニーとしての要件を満たすための開放面積を確保することが可能となり、良好な通風性を維持した状態で、日射量の確保、目隠し、及び、外部との遮蔽を、効果的に行うことが可能になる。
従って、該当建物構造におけるパネルの用途は、バルコニーの目隠しパネルに限るものではなく、建物本体を取り巻く様々な位置に設けられるものが対象となる。
本発明の第4の特徴構成は、建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口径が、他の面部と異ならせてあり、前記膨出部における頂点部分にも前記開口が設けられているところにある。
本発明の第5の特徴構成は、前記パネルは、複数の波形が並設された波形板で構成してあり、前記波形のそれぞれが前記膨出部であるところにある。
パネル面部に開口を設ける上で、波形の稜線に沿う方向で、開口を画一的に形成すれば、各パネル面毎に、透過光の光量のバラツキを少なくでき、目隠し効果、及び、透過光の光量確保効果を、それぞれ安定して得ることができる。
また、波形の稜線に沿う方向で、開口の大きさ又は密度等に変化をつけた状態に設けることも可能となり、その場合は、波形板の波長方向での単純な波形の繰り返しによる単調な意匠感と、波形の稜線に沿う方向での開口の変化に富んだ意匠感との融合により、デザイン性に富んだ複雑な外観を得ることができ、建物としての美観性の向上を図ることが可能となる。
また、パネルの断面係数や断面二次モーメント等の断面特性を、パネルの全域においてバラツキの少ない状態で確保しやすくなる。
また、前記他の面部は、建物本体から外部空間側を向いた状態で、斜め下方を向いており、前記他の面部での開口の開口率が、前記一端側面部より小さく設定してあるから、前記他の面部においては光が透過し難くなり、斜め下方から建物本体に向けた視線に対する目隠し効果を発揮することができる。
また、同様の効果は、例えば、複数の傾斜帯板を上下間隔を明けて配置してあるガラリ等によっても叶えることは可能であるが、その場合は、本特徴構成の建物構造に比べて、部品点数が多くなる他、複数の傾斜帯板を縦桟に取り付ける等の組立手間が掛かり、高価になりやすい問題点がある。更には、各傾斜帯板等の脱落や意に反して取り外される危険があることから、遮蔽壁としてのセキュリティー上の問題点がある。
これらの問題点は、本発明の特徴構成によれば、すべて解消することができる。
本発明の第7の特徴構成は、建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口率が、他の面部と異ならせてあり、前記膨出部は、ピラミッド形状に形成されているところにある。
本発明の第8の特徴構成は、建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口径が、他の面部と異ならせてあり、前記膨出部は、ピラミッド形状に形成されているところにある。
建物本体1の室内には、コンピュータ等の演算設備1a、空調設備1b等が配置されており、バルコニー2には、空調設備1bに連通接続された冷媒配管等の複数の空調用配管3が配置されている。
各空調用配管3の支持は、バルコニー2の外縁位置に立設されているH形鋼製の支柱4から建物本体1側にわたって設置されたH形鋼製の梁部材5の上に、それぞれを並列させてバルコニー2の長手方向に沿う状態に載置固定することで実施されている。
パネルPは、図2、図3に示すように、複数の波形6が並設された金属製の波形板P1で構成してあり、波形6の稜線Xが横配置となる状態で支柱4に固着してある。
波形6の形状は、建物本体1側から外部空間V側に台形形状に膨出する形状を呈している。この波形6それぞれが、膨出部7を構成している。
また、上下の膨出部7どうしは、連結面部9によって連結されており、この連結面部9を支柱4にネジ固定することでパネルPは固着されている。
各開口10の横方向の中心部間隔は、同じ寸法となるように設定されている。
また、開口10の単体開口面積は、各パネル面部8毎に異なる値となるように設定してある。
当該実施形態においては、膨出部7を構成しているパネル面部8の内、パネルPの上端側(パネルPの一端側の一例)Paに位置している上傾斜面部8Aは、その上傾斜面部8Aに形成されている開口10Aの開口径φAが、正面部8Bに形成されている開口10Bの開口径φBや、下傾斜面部8Cに形成されている開口10Cの開口径φCより大きく設定されている。
具体的には、開口10そのものは、四角形の角を丸めた形状に形成してあり、ここでいう開口径φとは、四角形の一辺の長さ(又は四辺の平均値)を意味する。尚、開口10が円形(又は楕円形)の場合は、開口径φは、直径(又は平均径)を意味する。
従って、(該当面部の全開口面積/該当面部の全面積)で求められる開口率は、上傾斜面部8Aの開口率が、正面部8Bや下傾斜面部8Cでの開口率より大きく設定されている。
また、斜め下方からの視線L2は、正面部8Bや下傾斜面部8Cの小さい開口10B,10Cによる目隠し効果によって、その大半が遮断され、建物外部から見通されにくくできる。尚、上傾斜面部8Aは、斜め下方からの視線L2に沿った方向に設けられているから、そこに形成された大きい開口10Aを視線L2が通過することがなく、目隠し効果の低下にはつながりにくい。
また、バルコニー2での日射量を充分確保できながら、建物外部の下方からの視線に対する目隠し効果を発揮することができる。
また、一体の波形板P1を使用したパネルPによって遮蔽壁を構成しているから、例えば、複数の部品を組み合わせて形成するガラリに比べて経済性が高い上、部品の脱落や、部品が外部から取り外される等の危険性が低く、セキュリティー上の安全性も高い。
更には、パネル面部8のすべての開口10の合計面積を、所定値以上となるように設定しておけば、建築基準法上の屋外バルコニーとしての要件を満たすための開放面積を確保することが可能となる。
以下に他の実施の形態を説明する。
従って、膨出部7を構成しているパネル面部8の内、パネルPの一端側Paとは、先の実施形態で説明した上端側に限るものではなく、例えば、下端側であったり、パネルPが水平配置の場合は、横方向での一端側であってもよい。
また、開口10の開口率(又は開口径)は、パネルの一端側に位置している一端側面部8Aが、他の面部8B,8Cより大きいことに限らず、小さいものであってもよい。
要するに、パネルPは、外部空間V側に膨出する複数の膨出部7を備え、膨出部7を構成しているパネル面部8の内、パネルPの一端側に位置している一端側面部8Aは、開口10の開口率(又は開口径)が、他の面部8B,8Cと異ならせてあればよい。
また、開口10そのものは、パネル面部8を貫通する貫通孔として形成されるもの以外に、開口10を透明体(例えば、透明フィルムや透明シート等)で閉塞して、空気の流通を遮断した状態で光の透過を許容できるように構成してあってもよい。
また、波形の稜線Xが横配置となる設置姿勢に限るものではなく、例えば、図4に示すように、波形の稜線Xが縦配置となるように設置してあってもよい。
この実施形態においては、例えば、該当建物本体1の立地条件として、パネルPの一端側Paが、海岸や山等の景観の美しい領域K1側に位置し、パネルPの他端側Pbが、隣接家屋等の目隠しを要する領域K2側に位置するような場合に有効である。
つまり、パネル面部8の内、一端側面部8Aの開口10は、他の面部8B,8Cより開口率、及び、開口径を大きく設定してあることで、建物本体1からの視線として、領域K1の景観は、大きい開口10を通して観賞でき、且つ、領域K2からの視線は小さい開口10によって目隠しすることが可能となる。
この実施形態の場合、一例として、図に示すように、扁平ピラミット形状のパネル面部8の内、上傾斜面を形成する一端側面部8Aの開口率を、他の面部8B,8Cより大きく設定してあれば、先の実施形態と同様に、建物本体1への日射量を充分確保できながら、建物外部の下方からの視線に対する目隠し効果を発揮することができる。
6 波形
7 膨出部
8 パネル面部
8A 上傾斜面部(一端側面部の一例)
8B 正面部(他の面部及び頂点部分の一例)
8C 下傾斜面部(他の面部の一例)
10 開口
P パネル
Pa 上端側(パネルPの一端側の一例)
P1 波形板
P2 波形板
V 外部空間
X 稜線
Claims (8)
- 建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、
前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、
前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口率が、他の面部と異ならせてあり、
前記パネルは、複数の波形が並設された波形板で構成してあり、前記波形のそれぞれが前記膨出部であり、
前記パネルは、前記波形の稜線が、横配置となる遮蔽壁であり、前記一端側面部は、前記膨出部の上面であると共に、前記開口の開口率が、他の面部より大きく設定してある建物構造。 - 建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、
前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、
前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口径が、他の面部と異ならせてあり、
前記パネルは、複数の波形が並設された波形板で構成してあり、前記波形のそれぞれが前記膨出部であり、
前記パネルは、前記波形の稜線が、横配置となる遮蔽壁であり、前記一端側面部は、前記膨出部の上面であると共に、前記開口の開口率が、他の面部より大きく設定してある建物構造。 - 建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、
前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、
前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口率が、他の面部と異ならせてあり、
前記膨出部における頂点部分にも前記開口が設けられている建物構造。 - 建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、
前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、
前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口径が、他の面部と異ならせてあり、
前記膨出部における頂点部分にも前記開口が設けられている建物構造。 - 前記パネルは、複数の波形が並設された波形板で構成してあり、前記波形のそれぞれが前記膨出部である請求項3又は4に記載の建物構造。
- 前記パネルは、前記波形の稜線が、横配置となる遮蔽壁であり、前記一端側面部は、前記膨出部の上面であると共に、前記開口の開口率が、他の面部より大きく設定してある請求項5に記載の建物構造。
- 建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、
前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、
前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口率が、他の面部と異ならせてあり、
前記膨出部は、ピラミッド形状に形成されている建物構造。 - 建物本体と外部空間との間に遮蔽状態に設置されたパネルに、多数の開口を設けてある建物構造であって、
前記パネルは、前記外部空間側に膨出する複数の膨出部を備え、
前記膨出部を構成しているパネル面部の内、前記パネルの一端側に位置している一端側面部は、前記開口の開口径が、他の面部と異ならせてあり、
前記膨出部は、ピラミッド形状に形成されている建物構造。
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JP2013258510A JP6341656B2 (ja) | 2013-12-13 | 2013-12-13 | 建物構造 |
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JP2013258510A Active JP6341656B2 (ja) | 2013-12-13 | 2013-12-13 | 建物構造 |
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