JP6341358B2 - 抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物及び抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents

抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物及び抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、各種ウイルスを不活性にする抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物、及び、抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体に関する。
厚生労働省の鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での確定症例によると、2003年11月以降、アジア、欧州、中東、アフリカ等の広い地域に於いて高病原性鳥インフルエンザが発生している。鳥インフルエンザウイルスの感染は家禽類間だけでなく、家禽類から霊長類への感染も確認されており、殊にヒトに関してはこれまでに600余名が感染し、内350名以上が死亡している。さらに鳥インフルエンザウイルスは人インフルエンザウイルスとの交雑によって、或いはそれ単独でも変異し、強毒化し得る危険性をはらんでいる。
そのため、ウイルスを迅速に不活化できる技術や製品が渇望されている。中でもウイルスと接触することが予測される、例えば防護服などの防護品、マスクなどの医療用器具、各種の容器、さらに医療施設などの建築用内装材等の成形体においては、ウイルスの不活化が特に望まれている。
そして、このような成形体に対し抗ウイルス性を付与するものとして、下記特許文献1に記載された、金属酸化物粉末と水酸化物の付与によりウイルスを不活化させる抗ウイルスがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−37814号公報
ところで、上述した抗ウイルス性を付与する必要がある成形体には、ポリ塩化ビニルなどのポリ塩化ビニル系樹脂やポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の合成樹脂が多く用いられている。特にポリ塩化ビニル系樹脂は、その良好な加工性、再利用可能な低環境負荷性及びコストパフォーマンスから、これら成形体の基材として専ら採用されている。
しかし乍ら、特許文献1のように金属酸化物粉末と水酸化物をポリ塩化ビニル系樹脂に混入しても、ポリ塩化ビニル系樹脂に対する金属酸化物粉末と水酸化物の添加比率によっては、ウイルスを不活化できない場合があった。すなわち、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して多量の金属酸化物粉末と水酸化物を混入しないと、ウイルスと接触後に短時間で不活化するような迅速な抗ウイルス性能を得ることができなかった。
つまり、ポリ塩化ビニル系樹脂に対する金属酸化物粉末と水酸化物の混入では、短時間での抗ウイルス性が得られ難いという問題があった。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して多量の金属酸化物粉末と水酸化物を混入すると、その熱劣化や塩化水素の脱離を促進させてしまい、それにより成形体が変色するとともに加工性が低下するという問題もあった。
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、ウイルスと接触後に短時間でウイルス力価を低減化してウイルスを不活化される抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物及び抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体を提供すること、などを目的とするものである。
このような目的を達成するために本発明に係る抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂を主成分とした抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物であって、前記ポリ塩化ビニル系樹脂にウイルスを不活化させるスルホン酸系界面活性剤が添加され、前記ポリ塩化ビニル系樹脂に対する前記スルホン酸系界面活性剤の濃度を2.5重量%〜49.9重量%としたことを特徴とする。
このような特徴を有する本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂にスルホン酸系界面活性剤を0.5重量%以上含むことにより、ウイルスと接触後に短時間でウイルス力価を低減化してウイルスを不活化させることができる。
その結果、ポリ塩化ビニル系樹脂に対する金属酸化物粉末と水酸化物の添加比率によってウイルスを不活化できない場合がある従来のものに比べ、少ない添加量で迅速な抗ウイルス性が得られる。
特に、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の添加量を1重量%〜49.9重量%とした場合には、抗ウイルス性を安定させることができるとともに、スルホン酸系界面活性剤の添加量が比較的少ないため、抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体が変色したり加工性が低下したりせず、安定した抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体を得ることができる。
また、スルホン酸系界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸系化合物である場合には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)などのアルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤が抗ウイルス性に高い効果を示している。さらに、アルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤は、合成洗剤に使われる界面活性剤のひとつであるため、安定性についても優れている。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂を主成分としたものである。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂に対し、スルホン酸系界面活性剤を0.5重量%以上含んでいる。
特に、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して、スルホン酸系界面活性剤を1重量%〜49.9重量%(さらに詳しくは1.5重量%〜20重量%)添加することが好ましい。
[ポリ塩化ビニル系樹脂について]
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、共重合体を含む塩化ビニル以外の他のポリマーに塩化ビニルを共重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
なお、これらポリ塩化ビニル系樹脂は単独で使用しても良いが、二種類以上を併用しても良い。さらに必要に応じ、ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化しても良い。
ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化する方法としては特に限定されないが、例えば光塩素化方法、熱塩素化方法等が挙げられる。また、本発明に用いるポリ塩化ビニル系樹脂の重合度は特に制限されない。
[スルホン酸系界面活性剤について]
スルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物が挙げられる。この中でも抗ウイルス性の観点から特にアルキルベンゼンスルホン酸系化合物が好ましい。
本発明で用いるスルホン酸系界面活性剤において、スルホン酸基は例えばインフルエンザウイルスのノイライミダーゼとの親和性が高く、阻害作用を現すことができる。また官能基の構造はノイライミダーゼへの接近に関して影響を示し、嵩高くなく立体障害を受け難い構造が肝要となる。その点において、アルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤は好適であり、特にドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
さらに、上記のスルホン酸系化合物としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩を好適に用いることができる。
また、複数のスルホン酸系界面活性剤を抗ウイルス性が阻害されない限りにおいて添加してもよく、その他の種類の界面活性剤を加えることも制限されない。
[その他の添加物について]
ポリ塩化ビニル系樹脂に対し、抗ウイルス性が阻害されない限りにおいて、フッ化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等を組み合わせても良い。
その他の添加物としては、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル:DOP)などの可塑剤、安定剤、滑剤、加工助剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、難燃剤、防炎剤等の各種添加剤を、抗ウイルス性が阻害されない限りにおいて適宜加えることができる。
[対象となるウイルスについて]
本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、例えばエンベロープを有するウイルスに効力を発現する。
エンベロープを有するウイルスとしては、例えば鳥インフルエンザウイルス、人インフルエンザウイルス、豚インフルエンザウイルス等のイフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、RSウイルス等が挙げられる。
[成形方法について]
本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ロール成形装置、カレンダー成形装置、一軸又は二軸押出装置、インフレーション成形装置、インジェクション成形装置、熱成形装置、スラッシュモールド装置、ペーストコーター装置、ディッピング成形装置等の公知の設備で成形される。
粉末状の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ロール成形装置、カレンダー成形装置、一軸又は二軸押出装置、インフレーション成形装置、インジェクション成形装置、熱成形装置、スラッシュモールド装置で主に成形される。
ゾル状の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ペーストコーター装置、ディッピング成形装置で主に成形される。
[製造方法について]
本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用いて抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体を得る方法について説明する。
まず、本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体を得るに当たって予備混練が必要な場合には、通常、熱可塑性樹脂において用いられている公知の装置を利用することができる。
その具体例として、本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を高速攪拌機、低速攪拌機、ヘンシェルミキサーなどで均一に混合し、バッチ式混練ミキサー、バンバリーミキサー、コニーダ、押出機などで溶融混合し、直ちに成形してもよい。また、溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後成形してもよい。
シート状の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体は、ロール成形装置、カレンダー成形装置、一軸又は二軸押出装置、インフレーション成形装置、ペーストコーター装置等で製造することができる。
[用途について]
本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体の用途としては、特に限定されないが、例えばシート、床材、壁紙、フィルム、手袋、衣服用生地、容器、パイプ、玩具、コンドーム、カテーテル等が挙げられる。
その他の用途として、特開2008−37814号公報に記載されるように、診断用器具、体外循環用器具、防護品、臨床検査器具、病院用器具、医療消耗品、在宅医療器具、衛生材料、保健衛生具、病院建物、食品製造工場、食品包装材等にウイルスを不活性にする機能が発現可能な状態で使用される。
このような本発明の実施形態に係る抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物によると、ポリ塩化ビニル系樹脂にスルホン酸系界面活性剤が0.5重量%以上含まれるため、ウイルスと接触後に短時間でウイルス力価を低減化してウイルスを不活化させることができる。スルホン酸系界面活性剤の添加量が0.5重量%未満の場合には、十分な抗ウイルス性が発現しない。
特に、ポリ塩化ビニル系樹脂にスルホン酸系界面活性剤を1重量%〜49.9重量%添加することが好ましい。スルホン酸系界面活性剤の添加量が1重量%未満の場合と、スルホン酸系界面活性剤の添加量が49.9重量%を超えた場合には、抗ウイルス性が安定しないことがある。
そして、このような本発明の実施形態に係る抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体によると、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の添加量を1.5重量%〜20重量%程度にした場合には、スルホン酸系界面活性剤の添加量が比較的少ないため、抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体が変色したり加工性が低下したりせず、安定した抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体を得ることができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。
[実施例1〜4及び比較例1〜4]
表1に示す実施例1〜4と表2に示す比較例1,2には、ポリ塩化ビニル系樹脂として、ポリ塩化ビニル系樹脂α(重合度が700)、ポリ塩化ビニル系樹脂β(重合度が1600)のいずれかが所定量ずつ用いられたことを共通の構成にしている。
実施例1〜4と比較例1,2,4には、スルホン酸系界面活性剤としては、スルホン酸系界面活性剤A(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBS)、スルホン酸系界面活性剤B(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム)、スルホン酸系界面活性剤C(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)のいずれかが所定量ずつ添加されたことを共通の構成にしている。
実施例1〜4と比較例1,2には、可塑剤としてDOPが50重量部ずつ添加されたことを共通の構成にしている。
比較例3,4には、ポリ塩化ビニル系樹脂に代え、水系処理剤としてアクリル系処理剤(不揮発分:アクリル樹脂14.5重量部+溶媒85.5重量部、スルホン酸系界面活性剤なし)が100重量部ずつ添加されたことを共通の構成にしている。
そして、実施例1〜4及び比較例1〜4の試験体は、その厚さが0.15mmにされたことを共通の構成にしている。
実施例1では、ポリ塩化ビニル系樹脂α(重合度が700)が90重量部と、スルホン酸系界面活性剤A(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBS)が10重量部と、可塑剤(DOP)が50重量部を混合して、ゾルを作製した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムにカンマコーターで塗布し、150℃で30秒間加熱し、ゲル化させて試験体とした。それにより、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は10重量%となった。
実施例2では、ポリ塩化ビニル系樹脂β(重合度が1600)が97.5重量部と、スルホン酸系界面活性剤A(DBS)が2.5重量部を混合した以外は実施例1と同様の方法で試験体を得た。それにより、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は2.5重量%となった。
実施例3では、ポリ塩化ビニル系樹脂β(重合度が1600)が97.5重量部と、スルホン酸系界面活性剤B(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム)が2.5重量部を混合した以外は実施例1と同様の方法で試験体を得た。それにより、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は2.5重量%となった。
実施例4では、ポリ塩化ビニル系樹脂β(重合度が1600)が97.5重量部と、スルホン酸系界面活性剤C(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)が2.5重量部を混合した以外は実施例1と同様の方法で試験体を得た。それにより、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は2.5重量%となった。
さらに、表1には示さなかったが、実施例2のスルホン酸系界面活性剤A(DBS)が25〜49.9重量部で、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度が25〜49.9重量%の試験体(以下実施例Aという)も作成した。
比較例1では、ポリ塩化ビニル系樹脂β(重合度が1600)が100重量部と、スルホン酸系界面活性剤A(DBS)を添加しないこと以外は実施例2と同様の方法で試験体を得た。それにより、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は0重量%となった。
比較例2では、ポリ塩化ビニル系樹脂β(重合度が1600)が100重量部と、スルホン酸系界面活性剤A(DBS)が0.3重量部を添加したこと以外は実施例2と同様の方法で試験体を得た。それにより、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は0.3重量%となった。
比較例3では、水系処理剤(アクリル樹脂14.5重量部+溶媒85.5重量部)が100重量部をポリエチレンテレフタレートフィルムにグラビア校正機で塗布し、120℃で60秒間加熱乾燥させ試験体とした。塗布量は1.5g/m2であった。それにより、アクリル樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は0重量%となった。
比較例4では、水系処理剤(アクリル樹脂14.5重量部+溶媒85.5重量部)が100重量部と、スルホン酸系界面活性剤A(DBS)が1.45重量部を混合した以外は比較例3と同様の方法で試験体を得た。それにより、アクリル樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度は9.1重量%となった。
さらに、表2には示さなかったが、比較例2のスルホン酸系界面活性剤A(DBS)が0.4重量部で、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度が0.4重量%の試験体(以下比較例Aという)と、比較例2のスルホン酸系界面活性剤A(DBS)が50重量部で、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度が50重量%の試験体(以下比較例Bという)も作成した。
[抗ウイルスの評価]
抗ウイルスについては、下記のようにして評価した。
試験ウイルスとして、鳥インフルエンザ[A/whistling swan/Shimane/499/83(H5N3)]を使用した。
発育鶏卵の漿尿膜腔内で増殖させたウイルスを滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1.0×106EID50/0.1mLとなるように希釈して、ウイルス液を調整した。試験体(5cm×5cm)にウイルス液を0.22mL載せ、その上をポリエチレンフィルム(4cm×4cm)で覆った。試験体をシャーレに入れ20℃に設定したインキュベーター内にて1時間静置させ、試験体とウイルスを接触させた。試験体上のウイルス液(試料)を回収し、PBSで10倍階段希釈した後、10日齢発育鶏卵の漿尿膜腔内に0.1mLずつ接種した。接種発育鶏卵を37℃で2日間培養した後、赤血球凝集試験により漿尿膜腔でのウイルス増殖の有無を確認し、試料中のウイルス力価をReed and Muenchの方法により算出した。
表1と表2に示す評価結果は、以下の指標に基づくものである。
ここで、表中の「ウイルス力価(1時間後)」と「ウイルス力価(試験前)」との差が抗ウイルス性の強弱を表しており、この差が大きいほど抗ウイルス性が強いことを示している
Figure 0006341358
Figure 0006341358
[評価結果]
実施例1〜4と比較例1〜4を比較すると、実施例1〜4は、ウイルス力価が「ウイルス接触前」と「ウイルス接触1時間後」で、少なくとも2.3(約1/200)減少させており、良好な評価結果が得られている。
さらに、表1には示さなかったが、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度が25〜49.9重量%の実施例Aは、ベース樹脂に多量の界面活性剤を混練し混合して製膜することから、スルホン酸系界面活性剤の濃度が高くなると、試験体の成形が困難傾向にあるものの、抗ウイルスの評価では、実施例2よりも優れた結果が得られた。
すなわち、実施例1〜4及び実施例Aは、ウイルス接触1時間で迅速な抗ウイルス性が有しているが解った。
これに対し、比較例1〜4は、ウイルス力価が「ウイルス接触前」と「ウイルス接触1時間後」で、最も優れた比較例2でも1.9(約1/80)しか減少しておらず、不良な評価結果になっている。特に、比較例3,4のように、ポリ塩化ビニル系樹脂に代えて水系処理剤(アクリル系処理剤)にスルホン酸系界面活性剤A(DBS)を添加しても0.7(約1/5)しか減少せず、アクリル系樹脂のスルホン酸系界面活性剤を添加しても抗ウイルス性は発現しないことも解った。
さらに、表2には示さなかったが、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度が0.4重量%の比較例Aは、抗ウイルスの評価で比較例2と略同等の結果が得られた。また、ポリ塩化ビニル系樹脂に対するスルホン酸系界面活性剤の濃度が50重量%の比較例Bについては、スルホン酸系界面活性剤の濃度が50重量%を超えると、試験体の成形がその成形方法によっては困難となり、僅かに成形できた試験体の抗ウイルスの評価では、抗ウイルス性の試験結果も安定し難くなることも解った。
すなわち、比較例1〜4及び比較例Aは、十分な抗ウイルス性を有していないことが解った。比較例Bは、成形が困難で且つ抗ウイルス性の試験結果が安定し難くなることが解った。

Claims (3)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂を主成分とした抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物であって、
    前記ポリ塩化ビニル系樹脂にウイルスを不活化させるスルホン酸系界面活性剤が添加され、前記ポリ塩化ビニル系樹脂に対する前記スルホン酸系界面活性剤の濃度を2.5重量%〜49.9重量%としたことを特徴とする抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 前記スルホン酸系界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸系化合物であることを特徴とする請求項1記載の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなることを特徴とする抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂成形体。
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