以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態に係る測位支援装置は、一例として、アシスト型全地球測位システム(A−GNSS:Assisted-Global Navigation Satellite System)におけるSLP(SUPL Location Platform)として構成される。SLPは、SUPL測位を提供する呼処理装置である。また、A−GNSSは、U−Plane(パケット通信)を用いたSUPL(Secure User Plane Location)による測位を実行するシステムである。A−GNSSは、GPS衛星と共に、GPS衛星以外の衛星(例えばロシアのGLONASS衛星等)も用いて測位を行う。以下、A−GNSSで用いられる衛星のことをGNSS衛星という。
SLPとして構成される測位支援装置は、例えば携帯端末、スマートフォン、タブレット、PDA等の移動体通信を行う通信端末からの測位要求を受け付けて、当該測位要求に応じた測位サービスを提供する。具体的には、測位支援装置は、通信端末側で測位演算を実行するUE−B(UE-Based)測位と、SLP側で測位演算を実行するUE−A(UE-Assisted)測位とのいずれかの測位サービスを、通信端末からの測位要求に応じて提供する。
UE−B測位では、SLPから衛星の航路等を示す衛星情報(アシストデータ)を取得した通信端末は、当該衛星情報を再利用して測位を実行することができる。このため、UE−B測位は、消費電力の観点でUE−A測位よりも優れており、短い時間で連続的に位置測位を実施するトラッキング系の測位に適する。ただし、UE−B測位では、捕捉された衛星からの情報に基づく測位演算に失敗してしまうと測位結果を得ることができない。一方、UE−A測位では、SLPは、測位演算に失敗しても、基地局測位の結果を通信端末の大まかな位置(概位置)として通信端末に通知することができる。このため、UE−A測位は、確実に位置測位結果が得られるという点でUE−B測位よりも優れており、1回だけの測位を確実に行いたいワンショット系の測位に適する。
このように、UE−A測位とUE−B測位とは、それぞれ異なる特徴を有しているため、通信端末上で動作するアプリケーションは、目的に応じてUE−A測位とUE−B測位とを使い分けることで、最適な測位を実行することが可能となる。ここで、UE−A測位においては、マイクロセル測位方式(IMCSセル測位方式)が提供される。マイクロセル測位方式とは、通信端末が在圏する通信エリアをカバーする基地局がGPS等からの電波を取得し難い屋内エリアをカバーする基地局(屋内局)である場合に、基地局測位の結果を測位結果として通信端末に応答する測位方式である。これにより、通信端末は、失敗する(測位演算を行うために十分な数の衛星を捕捉できない)可能性が高い電波測定の実施を省略し、即座に測位結果を得ることが可能となる。
ここで、基地局が屋内局であるか否かの判定は、一般的に、基地局側で設定された誤差半径が十分に小さいか否かにより行われる。具体的には、誤差半径が十分に小さい場合には、当該基地局は屋内局であると判定される。しかしながら、将来的に、セル半径(誤差半径)が十分に小さい基地局(スモールセル)が多数配置された場合、誤差半径に基づく上述の判定手法では、屋外局(スモールセル)が誤って屋内局であると判定されてしまうおそれがある。本実施形態に係るSLP(測位支援装置)は、誤差半径の小さい屋外局が存在する場合でも、基地局が屋内局であるか否かを精度良く判定することが可能に構成されている。
図1は、SLP(測位支援装置)1と通信端末2との接続構成の一例を示す図である。eNodeB(evolved Node B)51及びESP−GW(EPC Serving and PDN Gateway)52は、LTE網の装置である。RNC(Radio Network Controller)53、SGSN(Serving GPRS Support Node)54、及びGGSN(Gateway GPRS Support Node)55は、3G網の装置である。図1に示すように、本実施形態では一例として、SLP1と通信端末2とは、eNodeB51及びESP−GW52等の中継装置を介してLTE網による通信が可能とされていると共に、RNC53、SGSN54、及びGGSN55等の中継装置を介して3G網による通信が可能とされている。なお、SLP1と通信端末2とは、LTE網及び3G網のいずれか一方により通信可能に構成されてもよいし、LTE網及び3G網以外のベアラ(例えばWi−Fi(登録商標)等)を介して通信可能に構成されていてもよい。
eNodeB51は、無線基地局であるとともに、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置である。eNodeB51は、通信端末2から発信があった際の受付制御機能や、他の通信端末から通信端末2に着信があった際に通信端末2を呼び出すページング機能等を基本機能として有している。また、eNodeB51は、LTE在圏エリアを形成しており、通信端末2がLTE在圏エリア内に在圏する場合に、eNodeB51及び通信端末2間でLTE方式に従った無線通信を行うことができる。通信端末2は、eNodeB51を介してeNodeB51の上位装置であるMME(不図示)やSLP1等と通信を行う。
ESP−GW52は、ユーザデータパケットの中継、及び、インターネット等のネットワークへの接続を行うゲートウェイである。ESP−GW52は、ユーザデータパケットを扱うゲートウェイであるS−GW(Serving Gateway)と外部のネットワークに接続するためのゲートウェイであるP−GW(Packet Date Network Gateway)との双方の機能を有している。
RNC53は、無線アクセス制御機能を有する通信制御装置であり、無線基地局であるBTS(不図示)に対応して設けられている。RNC53は、BTSが形成する3G在圏エリアに在圏している通信端末2の無線通信に関する処理を行う。また、RNC53は、通信端末2の基地局測位を行う機能を有している。SGSN54は、パケット通信のためのセッションを設定し、パケット交換の制御を行う装置である。GGSN55は、パケット通信時のユーザの認証等を行う装置である。
図2は、SLP1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、SLP1は、測位要求受信部11、第1送信部12、測位結果取得部13、学習部14、屋内局情報記憶部15、屋内局判定部16、第2送信部17、測定結果受信部18、測位演算部19、及び測位結果通知部20を備えている。UE−B測位(第1測位方式)が実行される際には、測位要求受信部11、第1送信部12、測位結果取得部13、学習部14、及び屋内局情報記憶部15による処理が実行される。一方、UE−A測位(第2測位方式)が実行される際には、測位要求受信部11、屋内局情報記憶部15、屋内局判定部16、第2送信部17、測定結果受信部18、測位演算部19、及び測位結果通知部20による処理が実行される。
図3は、SLP1のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、SLP1は、一以上のCPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、無線通信を行うための通信モジュール104、並びにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータシステムとして構成される。SLP1は、物理的に1台のサーバ装置として構成されてもよいし、互いに協調して動作する複数のサーバ装置として構成されてもよい。SLP1の各機能は、例えば、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104を動作させ、RAM102及び補助記憶装置106におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
以下、図4及び図5を適宜参照しつつ、図2に示すSLP1の各機能について説明する。図4は、UE−B測位におけるSLP1及び通信端末2の動作を示すシーケンス図であり、図5は、UE−A測位におけるSLP1及び通信端末2の動作を示すシーケンス図である。
測位要求受信部11は、通信端末2からの測位要求を受信する測位要求受信手段である。測位要求には、通信端末2における電波測定により捕捉された衛星からの情報に基づく測位演算を通信端末2が実行するUE−B測位(第1測位方式)と、測位演算をSLP1が実行するUE−A測位(第2測位方式)とのいずれか一方が指定されている。具体的には、測位要求には、UE−B測位及びUE−A測位のいずれを指定したものであるかを測位要求受信部11が判別するための識別情報が関連付けられている。また、測位要求には、通信端末2が在圏するセル(通信エリア)を示す在圏情報が含まれている。在圏情報は、例えばセルを一意に特定する識別子等であってもよい。
測位要求受信部11は、通信端末2からUE−B測位を指定する測位要求を受信すると(図4のS101)、第1送信部12に、通信端末2の在圏情報を受け渡す。
第1送信部12は、測位要求受信部11によりUE−B測位を指定する測位要求が受信された場合に、衛星に関する情報を含むアシストデータを通信端末2に送信する第1送信手段である。具体的には、第1送信部12は、測位要求受信部11から通信端末2の在圏情報を受け取ると、SLP1が予めGRN(Global Reference Network)等から取得している衛星軌道情報と、通信端末2の概位置(基地局測位の結果)とを含むアシストデータを生成する(図4のS102)。ここで、GRNは、GPS衛星等の軌道情報を提供するプロバイダである。また、通信端末2の概位置(基地局測位の結果)とは、例えば、通信端末2が在圏するセルを通信エリアとしてカバーする基地局の位置(例えば経度及び緯度)を示す情報である。第1送信部12は、例えば、3G網であればRNC53、LTE網であればeSMLC(不図示)に対して基地局測位をさせることで、通信端末2の概位置を取得することができる。
アシストデータは、通信端末2において衛星を捕捉する処理にかかる時間の短縮を図るためのデータである。すなわち、このアシストデータを受信した通信端末2は、アシストデータを用いることで、測位に必要な数の衛星を捕捉し易くなり、測位演算をするために十分な数の衛星を捕捉するためにかかる時間を短縮することが可能となる。第1送信部12は、上述したようにして生成されたアシストデータを、通信端末2からのUE−B測位を指定する測位要求に対する応答として、当該通信端末2に送信する(図4のS104)。また、第1送信部12は、システムクロック等を参照することで、通信端末2にアシストデータを送信した送信時刻を取得し、当該送信時刻を測位結果取得部13に受け渡す(図4のS103)。
続いて、UE−B測位を指定する測位要求を送信した通信端末2において実行される処理について説明する。UE−B測位を指定する測位要求を送信した通信端末2は、第1送信部12からアシストデータを受信すると(図4のS104)、当該アシストデータを用いてGNSS衛星の電波測定(メジャメント測定)を実行する(図4のS105)。
通信端末2は、上述の電波測定によって十分な数の衛星を捕捉したこと、或いはタイムアウト時間を経過したことをトリガとして、捕捉された衛星からの情報に基づいて通信端末2の位置(例えば、緯度、経度、及び高度)を割り出すための測位演算を実行する(図4のS106)。ここで、「捕捉された衛星からの情報」とは、測位演算に必要とされる情報であり、例えば、捕捉された衛星の位置情報等の情報である。本実施形態では一例として、通信端末2は、上述した測位演算の実行を完了すると、測位演算に成功したか否かを示す成否情報と、通信端末2が電波測定により捕捉した衛星の数を示す衛星数情報とをSLP1に送信する(図4のS107)。ここで、十分な数の衛星が捕捉されて測位演算に成功した場合には、成否情報は成功を示し、十分な数の衛星が捕捉されず測位演算に失敗した場合には、成否情報は失敗を示す。
測位結果取得部13は、上述の測定時間と成否情報とを関連付けた情報、及び上述の衛星数情報の少なくとも一方を含む測位結果を、通信端末2が在圏するセルを示す在圏情報と関連付けて取得する測位結果取得手段である。本実施形態では一例として、測位結果取得部13は、測定時間と成否情報とを関連付けた情報及び衛星数情報の両方を測位結果として取得するものとする。
具体的には、測位結果取得部13は、UE−B測位を指定する測位要求を送信した通信端末2から、成否情報及び衛星数情報を受信する。また、測定結果取得部13は、システムクロック等を参照することで、通信端末2から成否情報等を受信した受信時刻を取得する(図4のS108)。そして、測定結果取得部13は、第1送信部12から取得した送信時刻と当該受信時刻との差分を測定時間として算出する(図4のS109)。これは、以下の考え方に基づいている。
上述した通り、UE−B測位を指定する測位要求を送信した通信端末2は、SLP1からアシストデータを受信すると、衛星を捕捉するための電波測定を行った後に、捕捉された衛星からの情報に基づく測位演算を実行し、成否情報等をSLP1に送信する。通常、アシストデータの受信処理、測位演算、及び成否情報等の送信処理にかかる時間は、衛星を捕捉するための電波測定にかかる測定時間と比較して非常に小さい。また、SLP1と通信端末2との間でアシストデータ及び成否情報等の送受信にかかる時間も、測定時間に対して微小であるため無視できる。よって、第1送信部12がアシストデータを送信した時刻と測定結果取得部13が成否情報等を受信した時刻との差分を測定時間の近似値と見做すことができる。
測定結果取得部13は、この点に着目し、第1送信部12がアシストデータを送信した時刻と測定結果取得部13が成否情報等を受信した受信時刻との差分を測定時間として取得する。これにより、通信端末2側で電波測定時間を計測したり、その計測結果をSLP1に送信したりするといった処理が不要となるため、UE−B測位における測定時間をSLP1側の処理のみによって簡易に取得することができる。測定結果取得部13は、測位結果(ここでは一例として、測定時間と成否情報とを関連付けた情報及び衛星数情報)を、測位要求受信部11により受信された測位要求に含まれる在圏情報と関連付けて取得し、学習部14に受け渡す。
学習部14は、測位結果取得部13により取得された在圏情報と測位結果とを蓄積した学習データに基づいて、各在圏情報に示されるセルに対応する基地局が屋内局であるか否かを示す屋内局情報を生成する学習手段である。なお、学習部14が屋内局情報を生成する処理(学習処理)は、例えば、管理者等により予め定められているタイミングで自動的に実行される。屋内局情報の詳細については後述する。
(学習データの第1の例)
図6は、学習データの第1の例を示す図である。図6に示すように、学習データは、例えば、測位日時、在圏情報、測位結果、及び測定時間が関連付けられた組情報の集合体である。図6の例では、3つの組情報を含む学習データが示されている。1台の通信端末2からの1回のUE−B測位に対して1つの組情報が生成される。従って、SLP1が複数の通信端末2からのUE−B測位の測位要求を受け付ける度に、学習データを構成する組情報が蓄積されていく。
学習部14は、例えば以下のようにして1つの組情報を生成することができる。すなわち、学習部14は、第1送信部12によりアシストデータが送信された送信時刻を「測位日時」に設定する。また、測位要求受信部11により受信された測位要求に含まれる在圏情報を「在圏情報」に設定する。また、測定結果取得部13から取得した成否情報及び測定時間をそれぞれ、「測位結果」及び「測定時間」に設定する。
学習部14は、このようにして生成した組情報を蓄積して学習データとして保持する。なお、学習データを構成する組情報を収集する期間は何でもよく、例えば1日単位、半日単位、2時間単位等であってもよい。このような期間は、予め管理者等により設定される。学習部14は、学習データとして保持されている組情報のうち測位日時が上記期間外となった組情報を削除してもよい。このようにして、学習部14は、直近の収集期間において収集された学習データのみに基づいて屋内局情報を決定してもよい。
学習部14は、例えば、学習データから所定のセルの測定時間と測位成功率との間の関係を算出し、当該関係に基づいて当該セルに対応する基地局が屋内局であるか否かを示す屋内局情報を生成してもよい(図4のS110)。これにより、セルごとに、測定時間と測位成功率との間の関係に基づいて、当該セルに対応する基地局が屋内局であるか否かを示す屋内局情報を簡易且つ精度良く生成することができる。
具体的には、学習部14は、所定のセル(例えばセルA)に対応する屋内局情報を生成する場合には、学習データに含まれる組情報のうちから、在圏情報がセルAであり且つ測位結果が成功である組情報を抽出する。学習部14は、抽出された組情報の測定時間の分布に基づいて、測位成功率と測定時間との累積分布(累積測位成功率)を算出する。ある測定時間Xに対する累積測位成功率とは、上述のように抽出された組情報のうち測定時間が測定時間X以内である組情報の割合である。
ここで、例えば通信端末2を保持するユーザが屋外にいるとき(すなわち、通信端末2の在圏セルに対応する基地局が屋外局であるとき)には、ユーザが屋内にいるときと比較して衛星電波を容易に取得できるため、測位に成功する場合の測定時間は比較的短いと想定される。一方、通信端末2を保持するユーザが屋内にいるとき(すなわち、通信端末2の在圏セルに対応する基地局が屋内局であるとき)には、ユーザが屋外にいるときと比較して衛星電波を取得し難いため、測位に失敗する可能性が高い。また、ユーザが屋内の窓際等におり、通信端末2が衛星電波を取得して測位に成功する場合であっても、ユーザが屋外にいるときと比較すると、電波測定に、より多くの時間がかかることが想定される。
そこで、学習部14は、例えば、累積測位成功率が予め定められた閾値(例えば2σ(約95%))となる測定時間が、予め設定された閾値(例えば25秒)以上であるか否かによって、基地局が屋内局であるか否かを判定してもよい。具体的には、学習部14は、累積測位成功率が閾値(2σ)となる測定時間が閾値(25秒)以上である場合には、電波測定に多くの時間がかかっていると判断し、基地局は屋内局であると判定してもよい。一方、学習部14は、累積測位成功率が閾値(2σ)となる測定時間が閾値(25秒)未満である場合には、電波測定にあまり時間がかかっていないと判断し、基地局は屋外局であると判定してもよい。
図7(a)及び(b)を用いて、学習部14による上述の判定について具体的に説明する。図7(a)及び(b)は、セルAについての測定時間と累積測位成功率との関係(累積分布)の一例を示すグラフである。グラフの横軸は測定時間(秒)であり、グラフの縦軸は累積測位成功率である。図7(a)の例では、累積測位成功率が閾値(2σ)となる測定時間は、約9秒であり、閾値(25秒)未満である。従って、この場合には、学習部14は、上述の判定方法により、セルAに対応する基地局は屋外局であると判定する。一方、図7(b)の例では、累積測位成功率が閾値(2σ)となる測定時間は、約28秒であり、閾値(25秒)以上である。従って、この場合には、学習部14は、上述の判定方法により、セルAに対応する基地局は屋内局であると判定する。
別の方法として、学習部14は、例えば、予め設定された測定時間(例えば25秒)における累積測位成功率が、予め設定された閾値(例えば2σ)以上であるか否かによって、基地局が屋内局であるか否かを判定してもよい。具体的には、学習部14は、予め設定された測定時間(25秒)における累積測位成功率が閾値(2σ)以上である場合には、基地局は屋外局であると判定し、予め設定された測定時間(25秒)における累積測位成功率が閾値(2σ)未満である場合には、基地局は屋内局であると判定してもよい。
また、学習部14は、上記2つの両方の判定方法を用いて、基地局が屋内局であるか否かを判定してもよい。例えば、学習部14は、上記2つの両方の判定において基地局が屋内局であると判定された場合に、基地局は屋内局であると判定してもよい。
学習部14は、上述のような判定方法によって所定のセルに対応する基地局が屋内局であるか否かを判定したら、当該セルの屋内局情報を生成し、当該屋内局情報を屋内局情報記憶部15に記憶する。屋内局情報記憶部15は、セルごとの屋内局情報を記憶する屋内局情報記憶手段である。
図8は、屋内局情報記憶部15に記憶されるセルごとの屋内局情報の一例を示す図である。図8の例では、屋内局情報は、セルを識別するセルIDと、当該セルIDに対応するセルが屋内局であるか否かを示す屋内局フラグとを関連付けた情報として構成されている。ここで、屋内局フラグ「1」は、基地局が屋内局であることを示し、屋内局フラグ「0」は、基地局が屋外局であることを示している。図8に示す屋内局情報は、セルID「AAAAA」に対応するセル(例えばセルA)は屋内局であることを示しており、セルID「BBBBB」及び「CCCCC」に対応するセル(例えばセルB及びセルC)は屋外局であることを示している。
(学習データの第2の例)
図9は、学習データの第2の例を示す図である。図9に示すように、学習データは、例えば、測位日時、在圏情報、測位結果、及び衛星数が関連付けられた組情報の集合体であってもよい。この場合、学習部14は、例えば以下のようにして1つの組情報を生成することができる。すなわち、学習部14は、学習データの第1の例と同様に、「測位日時」、「在圏情報」、及び「測位結果」を設定する。また、学習部14は、測定結果取得部13から取得した衛星数情報を「衛星数」に設定する。
ここで、例えば通信端末2を保持するユーザが屋外にいるとき(すなわち、通信端末2の在圏セルに対応する基地局が屋外局であるとき)には、ユーザが屋内にいるときと比較して衛星電波を容易に取得できるため、通信端末2の電波測定により捕捉される衛星数は比較的多いことが想定される。一方、通信端末2を保持するユーザが屋内にいるとき(すなわち、通信端末2の在圏セルに対応する基地局が屋内局であるとき)には、ユーザが屋外にいるときと比較して衛星電波を取得し難いため、通信端末2の電波測定により捕捉される衛星数は比較的少ないことが想定される。
そこで、学習部14は、学習データから所定のセルに関連付けられた衛星数を抽出し、当該衛星数が予め定められた閾値以下である場合に、当該セルに対応する基地局が屋内局であることを示す屋内局情報を生成してもよい。これにより、セルごとに、取得された衛星数が所定の閾値以下であるか否かに基づいて、当該セルに対応する基地局が屋内局であるか否かを示す屋内局情報を簡易且つ精度良く生成することができる。
例えば、図9の例において、管理者等によって予め閾値が「4」に設定されている場合には、学習部14は、衛星数が閾値以下であるセルAに対応する基地局は屋内局であると判定する。なお、図9の例のように、同一のセル(セルB)に対応する組情報が複数ある場合には、学習部14は、同一のセルに対応する複数の組情報のうち、屋内局と判定された組情報の割合が所定の閾値(例えば80%)以上である場合に、当該セルに対応する基地局は屋内局であると判定してもよい。
ここで、通信端末2の電波測定により捕捉される衛星数が比較的少ない場合であっても、捕捉された衛星からの情報に基づく測位演算に成功している場合には、後述するUE−A測位において通信端末2に電波測定を実行させることで、より精度の良い位置測位を行うことが期待できる。
そこで、学習部14は、学習データから所定のセルに関連づけられた成否情報(図9の「測位結果」の値)と衛星数とを抽出し、当該成否情報が失敗を示しており且つ当該衛星数が予め定められた閾値以下である場合に、当該セルに対応する基地局が屋内局であることを示す屋内局情報を生成してもよい。つまり、学習部14は、所定のセルについて、衛星数が予め定められた閾値以下であっても、成否情報が成功を示している場合には、当該セルに対応する基地局は屋外局であることを示す屋内局情報を生成してもよい。これにより、セルごとに、測位演算に失敗しており且つ取得された衛星数が閾値以下であるか否かに基づいて、当該セルに対応する基地局が屋内局であるか否かを示す屋内局情報を簡易且つ精度良く生成することができる。
続いて、通信端末2がUE−A測位を指定する測位要求を行う場合に実行される機能要素である、屋内局判定部16、第2送信部17、測定結果受信部18、測位演算部19、及び測位結果通知部20について説明する。測位要求受信部11は、通信端末2からUE−A測位を指定する測位要求を受信すると(図5のS201)、屋内局判定部16に、通信端末2の在圏情報を受け渡す。
屋内局判定部16は、測位要求受信部11によりUE−A測位を指定する測位要求が受信された場合に、学習部14により生成された屋内局情報(屋内局情報記憶部15に記憶されている屋内局情報)を参照することにより、当該測位要求に含まれる在圏情報(在圏セル)に対応する基地局が屋内局であるか否かを判定する屋内局判定手段である。具体的には、屋内局判定部16は、屋内局情報記憶部15にアクセスし、測位要求受信部11から取得した通信端末2の在圏情報に対応する屋内局情報を取得する(図5のS202)。そして、屋内局判定部16は、当該屋内局情報の屋内局フラグを参照することにより、通信端末2の在圏情報に対応する基地局が屋内局であるか否かを判定する(図5のS203)。屋内局判定部16は、判定結果を第2送信部17に受け渡す。
なお、屋内局情報記憶部15に測位要求受信部11から取得した通信端末2の在圏情報に対応する屋内情報が存在しない場合も考えられる。この場合、屋内局判定部16は、通信端末2の在圏情報に対応する基地局が屋内局であるとも屋外局であるとも判定することはできない。この場合、屋内局判定部16は、例えば、GPS等からの電波に基づく精度の高い測位に成功する可能性があることを考慮して、基地局は屋外局であるとの判定結果をデフォルトの判定結果として第2送信部17に受け渡してもよい。
第2送信部17は、屋内局判定部16により基地局が屋内局であると判定された場合には、当該基地局に対応する位置情報を測位結果として通信端末2に送信する第2送信手段である。具体的には、第2送信部17は、基地局が屋内局であることを示す判定結果を屋内局判定部16から取得した場合には、通信端末2の概位置(基地局測位の結果)を測位結果として通信端末2に通知する(図5のS204)。ここで、第2送信部17は、上述した第1送信部12と同様の処理により、通信端末2の概位置を取得することができる。
第2送信部17から通信端末2の概位置を測位結果として通知された通信端末2は、当該測位結果を受け取ったことをもって、一連の測位処理(UE−A測位)を終了する。このように、通信端末2の在圏セルに対応する基地局が屋内局であると判定された場合には、通信端末2における電波測定(図5のS207)及びSLP1による測位演算(図5のS209)等の実施が適切に省略され、測位時間の短縮が図られる。すなわち、通信端末2が屋内環境にあり、電波測定及び測位演算に失敗する可能性が高い場合に、電波測定及び測位演算が省略されることで、測位時間の短縮が図られる。
一方、第2送信部17は、屋内局判定部16により基地局が屋内局であると判定されなかった場合、すなわち基地局が屋外局であることを示す判定結果を屋内局判定部16から取得した場合には、上述の第1送信部12と同様に、通信端末2にアシストデータを生成及び送信する(図5のS205,S206)。このとき、第2送信部17は、アシストデータと共に、通信端末2が衛星を捕捉するための電波測定にかけることができる最大の時間(測定タイマ)を通信端末2に送信してもよい。
第2送信部17からアシストデータを受信した通信端末2は、当該アシストデータを用いて、GNSS衛星の電波測定(メジャメント測定)を実行する(図5のS207)。なお、第2送信部17がアシストデータと共に測定タイマを通信端末2に送信する場合には、通信端末2は、測定タイマを越えない時間内において上述の電波測定を実行する。通信端末2は、電波測定によって十分な数の衛星を捕捉したこと、或いは測定タイマを越えたことをトリガとして、捕捉された衛星からの情報を測定結果としてSLP1に送信する(図5のS208)。
測定結果受信部18は、UE−A測位を指定する測位要求をSLP1に送信した通信端末2から、当該通信端末2において捕捉された衛星からの情報を測定結果として受信する。測定結果受信部18は、受信された測定結果を測位演算部19に受け渡す。
測位演算部19は、測定結果受信部18から取得した測定結果に基づいて、通信端末2の位置(例えば、緯度、経度、及び高度)を割り出すための測位演算を実行する(図5のS209)。測位演算部19は、測定結果として得られた衛星の数が十分であって測位演算に成功した場合には、当該測位演算により得られた位置情報を測位結果として測位結果通知部20に受け渡す。一方、測位演算部19は、測定結果として得られた衛星の数が十分ではなく測位演算に失敗した場合には、通信端末2の概位置を測位結果として測位結果通知部20に受け渡す。
測位結果通知部20は、測位演算部19から取得した測位結果を通信端末2に通知する(図5のS210)。
続いて、図10を用いて、本実施形態に係る測位支援方法を含むSLP1の動作について説明する。図10は、SLP1の動作を示すフローチャートである。
まず、測位要求受信部11により、通信端末2からの測位要求が受信される(ステップS1)。測位要求受信部11によりUE−B測位を指定する測位要求が受信された場合(ステップS2:YES)には、当該測位要求に含まれる在圏情報が第1送信部12に受け渡される。続いて、第1送信部12により、アシストデータが通信端末2に送信される(ステップS3)。また、第1送信部12により、通信端末2にアシストデータを送信した送信時刻が取得され、当該送信時刻が測位結果取得部13に受け渡される。
続いて、上述した通り、アシストデータを受信した通信端末2により、当該アシストデータを用いてGNSS衛星の電波測定(メジャメント測定)が実行され(図4のS105)、当該電波測定により捕捉された衛星からの情報に基づいて測位演算が実行される(図4のS106)。通信端末2により、上述した測位演算の実行が完了すると、測位演算が成功したか否かを示す成否情報と、捕捉された衛星数を示す衛星数情報がSLP1に送信される(図4のS107)。
続いて、測位結果取得部13により、通信端末2により送信された成否情報及び衛星数情報が取得される(ステップS4、測位結果取得ステップ)。また、測位結果取得部13により、通信端末2から成否情報等を受信した受信時刻が取得され、第1送信部12から取得した送信時刻と当該受信時刻との差分が測定時間として算出される(ステップS5、測位結果取得ステップ)。
続いて、学習部14により、1回のUE−B測位に対して1つの組情報が生成され、生成された組情報を蓄積した学習データが保持される。そして、例えば管理者等により予め定められたタイミングで、学習部14により、上述の学習処理が実行されることで、セルごとに屋内局情報が生成され、屋内局情報記憶部15に記憶される(ステップS7、学習ステップ)。
一方、測位要求受信部11によりUE−A測位を指定する測位要求が受信された場合(ステップS2:NO)には、当該測位要求に含まれる在圏情報が屋内局判定部16に受け渡される。続いて、屋内局判定部16により、以下の処理が実行される。すなわち、屋内局判定部16は、屋内局情報記憶部15にアクセスし、測位要求受信部11から取得した通信端末2の在圏情報(在圏セル)に対応する屋内局情報を取得する(ステップS8)。そして、屋内局判定部16は、当該屋内局情報の屋内局フラグを参照することにより、通信端末2の在圏情報に対応する基地局が屋内局であるか否かを判定し、判定結果を第2送信部17に受け渡す(ステップS9)。
屋内局判定部16から第2送信部17に受け渡された判定結果が、基地局が屋内局であることを示す場合(ステップS9:YES)には、第2送信部17により、通信端末2の概位置(基地局測位の結果)が測位結果として通信端末2に通知される(ステップS10)。第2送信部17から通信端末2の概位置を測位結果として通知された通信端末2は、当該測位結果を受け取ったことをもって、一連の測位処理(UE−A測位)を終了する。
一方、屋内局判定部16から第2送信部17に受け渡された判定結果が、基地局が屋外局であることを示す場合(ステップS9:NO)には、第2送信部17により、アシストデータが通信端末2に送信される(ステップS11)。
続いて、アシストデータを受信した通信端末2により、当該アシストデータを用いて、GNSS衛星の電波測定(メジャメント測定)が実行される(図5のS207)。続いて、通信端末2により、電波測定によって十分な数の衛星を捕捉されたこと、或いは測定タイマを越えたことをトリガとして、捕捉された衛星からの情報が測定結果としてSLP1に送信される(図5のS208)。
続いて、測定結果受信部18により、通信端末2から送信された測定結果が受信され(ステップS12)、当該測定結果が測位演算部19に受け渡される。続いて、測位演算部19により、当該測定結果に基づいて測位演算が実行される(ステップS13)。ステップS13において、測位演算部19は、測定結果として得られた衛星の数が十分であって測位演算に成功した場合には、当該測位演算により得られた位置情報を測位結果として測位結果通知部20に受け渡す。一方、測位演算部19は、測定結果として得られた衛星の数が十分ではなく測位演算に失敗した場合には、通信端末2の概位置を測位結果として測位結果通知部20に受け渡す。続いて、測位結果通知部20により、測位結果が通信端末2に通知される(ステップS14)。
以上述べたSLP1の作用効果について説明する。上述したSLP1又は測位支援方法では、測位結果取得部13により、通信端末2が衛星を捕捉するための電波測定にかけた測定時間と当該通信端末2が捕捉された衛星からの情報に基づく測位演算に成功したか否かを示す成否情報とを関連付けた情報、及び当該通信端末2が電波測定により捕捉した衛星数を示す衛星数情報の少なくとも一方を含む測位結果が、通信端末2が在圏するセルを示す在圏情報と関連付けて取得される。そして、学習部14により、在圏情報と測位結果とを蓄積した学習データに基づいて、各セルに対応する基地局が屋内局であるか否かを示す屋内局情報が生成される。上記形態によれば、基地局が屋内局であるか否かを示す屋内局情報を、基地局の誤差半径に基づかずに生成することができる。その結果、誤差半径の小さい屋外局が存在する場合でも、精度の良い屋内局情報を得ることができ、当該屋内局情報に基づいて、基地局が屋内局であるか否かを精度良く判定することが可能となる。
また、上述したSLP1では、測位要求受信部11が通信端末2からUE−B測位を指定する測位要求を受信した場合には、第1送信部12が、当該通信端末2にアシストデータを送信する。そして、測位結果取得部13が、当該通信端末2の測位結果を取得し、学習部14が、当該通信端末2の在圏情報及び測位結果を取得及び蓄積して得られた学習データに基づいて屋内局情報を生成する。一方、SLP1では、測位要求受信部11が通信端末2からUE−A測位を指定する測位要求を受信した場合には、屋内局判定部16が、当該通信端末2が在圏するセルに対応する基地局が屋内局であるか否かを、上記屋内局情報に基づいて判定する。そして、屋内局判定部16により基地局が屋内局であると判定された場合には、第2送信部17が、当該基地局に対応する位置情報(例えば基地局の緯度及び経度)を測位結果として通信端末2に送信する。
このようなSLP1によれば、UE−A測位を指定する測位要求を送信した通信端末2の在圏セルに対応する基地局が屋内局であるか否かは、UE−B測位による測位結果に基づいて生成された屋内局情報に基づいて、精度良く判定される。そして、基地局が屋内局であると判定された場合に、通信端末2における電波測定及びSLP1による測位演算の実施が適切に省略され、測位時間の短縮が図られる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られず、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。
例えば、上述の実施形態では、測位結果取得部13は、成否情報と測定時間とを関連付けた情報、及び衛星数情報を測位結果として取得するものとして説明したが、測位結果取得部13はこれらすべての情報を測位結果として取得する必要はない。例えば、学習部14が、上述した第1の例に係る学習データに基づいて屋内局情報を生成する場合には、測位結果取得部13は、成否情報と測定時間とを関連付けた情報を測位結果として取得すればよく、衛星数情報を測位結果として取得しなくともよい。また、学習部14が、上述した第2の例に係る学習データに基づいて屋内局情報を生成する場合には、測位結果取得部13は、衛星数情報を測位結果として取得すればよく、成否情報と測定時間とを関連付けた情報を取得しなくともよい。