JP6338238B2 - コンクリート体の塩化物濃度測定システム及びコンクリート体の塩化物濃度測定方法 - Google Patents

コンクリート体の塩化物濃度測定システム及びコンクリート体の塩化物濃度測定方法 Download PDF

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Description

この発明は、コンクリート体の塩化物濃度測定システム及びコンクリート体の塩化物濃度測定方法に関する。
従来、様々な目的で塩化物濃度の非破壊測定が行われている。例えば、構造物の壁や床を構成するコンクリート体に関して、その塩化物濃度が高い場合には、コンクリート体の内部に配設されている鉄筋等の金属の腐食が促進されて好ましくないため、既設の構造物のコンクリート体を対象として塩化物濃度を測定することが行われている。
このような塩化物濃度測定を行うための一つの原理として、導電方式が知られている。例えば、特許文献1には、コンクリート体のインピーダンスと、当該インピーダンスに対応する周波数と、含水率と、塩化物濃度とを相互に対応付けて構成された第1特性情報、又は、インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数と、含水率と、塩化物濃度とを相互に対応付けて構成された第2特性情報を格納する特性情報データベースと、コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、一対の電極の相互間にコンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるコンクリート体のインピーダンス(又は位相角ピーク周波数)を測定するインピーダンスメータと、所定のタイミングでインピーダンスメータにて測定されたコンクリート体のインピーダンス(又は位相角ピーク周波数)とコンクリート体の含水率に基づいて、特性情報データベースに格納された第1特性情報(又は第2特性情報)を参照することにより、コンクリート体の塩化物濃度を特定する演算装置とを備えたシステムが提案されている。
特開2012-184948号公報
ここで、測定時期による水蒸気量の増減等に伴って、測定時期毎にインピーダンスの値又は位相角ピーク周波数の値が変動する。つまり、インピーダンス又は位相角ピーク周波数の経時特性は、水蒸気量等の外的要因の影響を受けやすいものと言える。よって、上記外的要因によるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性の影響が一切考慮せずに、所定の時期に測定されたインピーダンス又は位相角ピーク周波数のみに基づいてコンクリート体の塩化物濃度を測定するような上記従来の技術は、測定の正確性に乏しいものと考えられる。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、コンクリート体の塩化物濃度を正確に測定することが可能となる、コンクリート体の塩化物濃度測定システム及びコンクリート体の塩化物濃度測定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、コンクリート体の塩化物濃度を測定するためのシステムであって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定手段と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得手段と、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスと、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得手段にてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出手段と、前記算出手段にて算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定手段と、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得手段と、を備え、前記算出手段は、前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水分率の少なくとも一部に基づいて、基準水分率を特定し、前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水分率のうち、前記インピーダンスの測定のタイミングと略同一のタイミングで取得された前記水分率から前記基準水分率を差し引いた差分である水分率差分に1を加算した値を、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得手段にて取得された前記基準インピーダンスで除算した値に乗じることにより、第1の算出値を算出し、1から前記水分率差分を減算した値を、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得手段にて取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値に乗じることにより、第2の算出値を算出し、前記第1の算出値から前記第2の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する
請求項2に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、コンクリート体の塩化物濃度を測定するためのシステムであって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定手段と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得手段と、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスと、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得手段にてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出手段と、前記算出手段にて算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定手段と、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得手段と、を備え、前記算出手段は、前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水蒸気量の少なくとも一部に基づいて、基準水蒸気量を特定し、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得手段にて取得された前記基準インピーダンスで除算した値を、前記基準水蒸気量を前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水蒸気量のうち前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量で除算した値で累乗することにより、第3の算出値を算出し、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得手段にて取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値を、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量を前記基準水蒸気量で除算した値に乗じることにより、第4の算出値を算出し、前記第3の算出値から前記第4の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する。
請求項3に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、コンクリート体の塩化物濃度を測定するためのシステムであって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定手段と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得手段と、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスと、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得手段にてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出手段と、前記算出手段にて算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定手段と、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する際の指標となる評価値である基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納する基準評価値格納手段と、を備え、前記特定手段は、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、前記算出手段にて算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定し、前記基準評価値格納手段は、前記コンクリート体の塩化物濃度を測定した測定時期と、前記基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納し、前記特定手段は、所定方法で前記測定時期を特定し、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、当該特定した前記測定時期及び前記算出手段にて算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する。
請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極を配置し、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定工程と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得工程と、前記測定工程において測定された前記インピーダンスと、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得工程においてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定工程と、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得工程と、を含み、前記算出工程においては、前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水分率の少なくとも一部に基づいて、基準水分率を特定し、前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水分率のうち、前記インピーダンスの測定のタイミングと略同一のタイミングで取得された前記水分率から前記基準水分率を差し引いた差分である水分率差分に1を加算した値を、前記測定工程において測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得工程において取得された前記基準インピーダンスで除算した値に乗じることにより、第1の算出値を算出し、1から前記水分率差分を減算した値を、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得工程において取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値に乗じることにより、第2の算出値を算出し、前記第1の算出値から前記第2の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する。
請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極を配置し、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定工程と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得工程と、前記測定工程において測定された前記インピーダンスと、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得工程においてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定工程と、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得工程と、を含み、前記算出工程においては、前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水蒸気量の少なくとも一部に基づいて、基準水蒸気量を特定し、前記測定工程において測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得工程において取得された前記基準インピーダンスで除算した値を、前記基準水蒸気量を前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水蒸気量のうち前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量で除算した値で累乗することにより、第3の算出値を算出し、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得工程において取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値を、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量を前記基準水蒸気量で除算した値に乗じることにより、第4の算出値を算出し、前記第3の算出値から前記第4の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する。
請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極を配置し、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定工程と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得工程と、前記測定工程において測定された前記インピーダンスと、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得工程においてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定工程と、を含み、前記特定工程においては、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する際の指標となる評価値である基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納する基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、前記算出工程において算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定し、前記基準評価値格納手段は、前記コンクリート体の塩化物濃度を測定した測定時期と、前記基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納し、前記特定工程においては、所定方法で前記測定時期を特定し、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、当該特定した前記測定時期及び前記算出工程において算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する。
請求項1に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、測定手段にて測定されたインピーダンス及び位相角ピーク周波数と、水分情報取得手段にて取得された複数の水分率又は複数の水蒸気量とに基づいて評価値を算出し、当該算出された評価値に基づいて、コンクリート体の塩化物濃度を特定するので、従来の技術に比べて、水蒸気量等の外的要因によるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性の影響を考慮してコンクリート体の塩化物濃度を測定することができるため、コンクリート体の塩化物濃度を正確に測定することが可能となる。
また、水分率に関する補正がされたインピーダンス及び位相角ピーク周波数に基づいて評価値を算出するので、特にインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性に対して水分率が支配的に影響を与える場合には、コンクリート体の塩化物濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、測定手段にて測定されたインピーダンス及び位相角ピーク周波数と、水分情報取得手段にて取得された複数の水分率又は複数の水蒸気量とに基づいて評価値を算出し、当該算出された評価値に基づいて、コンクリート体の塩化物濃度を特定するので、従来の技術に比べて、水蒸気量等の外的要因によるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性の影響を考慮してコンクリート体の塩化物濃度を測定することができるため、コンクリート体の塩化物濃度を正確に測定することが可能となる。
また、水蒸気量に関する補正がされたインピーダンス及び位相角ピーク周波数に基づいて評価値を算出するので、特にインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性に対して水蒸気量が支配的に影響を与える場合には、コンクリート体の塩化物濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は請求項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、基準評価値格納手段に格納された基準評価値を参照しながら、算出手段にて算出された評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体の塩化物濃度として特定するので、コンクリート体の塩化物濃度を簡易且つ迅速に特定することができ、測定の作業効率を向上させることが可能となる。
また、基準評価値格納手段に格納された基準評価値を参照しながら、所定方法で特定した測定時期及び算出手段にて算出された評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体の塩化物濃度として特定するので、測定時期に応じた基準評価値を用いて塩化物濃度を特定でき、コンクリート体の塩化物濃度をさらに一層正確に測定することが可能となる。
実験に使用したコンクリート体を、塩化物濃度測定システムと共に示す模式図である。 コンクリート体のインピーダンスの周波数特性の測定結果を示すグラフである。 コンクリート体のインピーダンス及び後述する重量絶対水蒸気量の経時特性の測定結果を示すグラフである。 コンクリート体のインピーダンスの位相角の周波数特性の測定結果を示すグラフである。 コンクリート体の位相角ピーク周波数及び重量絶対水蒸気量の経時特性の測定結果を示すグラフである。 コンクリート体の水分率の経時特性の測定結果と、コンクリート体付近の重量絶対水蒸気量の測定結果を示すグラフである。 図3、図5、図6に示す測定結果のうち、コンクリート体の材齢481日目から908日目までの期間の測定結果に基づいて算出された第1評価値を示すグラフである。 図7に示す第1評価値のうち、測定時期が1月から3月までの期間(コンクリート体20の材齢481日目から495日目までの期間、及び782日目から831日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。 図7に示す第1評価値のうち、測定時期が4月から6月までの期間(コンクリート体20の材齢502日目から586日目までの期間、及び866日目から908日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。 図7に示す第1評価値のうち、測定時期が7月から9月までの期間(コンクリート体20の材齢593日目から677日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。 図7に示す第1評価値のうち、測定時期が10月から12月までの期間(コンクリート体20の材齢692日目から768日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。 図3、図5、図6に示す測定結果のうち、コンクリート体の材齢481日目から908日目までの期間の測定結果に基づいて算出された第2評価値を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係る塩化物濃度測定システムのブロック図である。 基準評価値テーブルの構成例を示す図である。 実施の形態2に係る基準評価値テーブルの構成例を示す図である。 実施の形態3に係る基準評価値テーブルの構成例を示す図である。
以下、本発明に係るコンクリート体の塩化物濃度測定システム、及びコンクリート体の塩化物濃度測定方法の各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これらの各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔各実施の形態に共通の概念〕
最初に、本発明に係る各実施の形態に共通の概念について説明する。発明者は、概略的に、測定されたインピーダンス、位相角ピーク周波数、及び水分率(又は水蒸気量)に基づいて評価値を算出し、当該算出した評価値に基づいてコンクリート体の塩化物濃度を測定できる可能性を見出し、この可能性を評価するための実験を行った。以下、この実験の方法及び結果について説明する。ここで、「周波数」とは、インピーダンスに対応する周波数であって、具体的には、インピーダンス測定時にコンクリート体に流した交流電流の周波数である。また、「位相角ピーク周波数」とは、インピーダンスの位相角がピークになる周波数を意味する。また、「水分率」とは、コンクリート体の表面から所定深さ(例えば20mm)に至る箇所における単位体積あたりの水分量を意味する。また、「水蒸気量」とは、コンクリート体が配置された環境(例えば地域等)の水蒸気量を意味し、例えば後述する重量絶対水蒸気量等を含む概念である。また、「塩化物濃度」とは、コンクリート体の単位体積あたりの塩化物量を意味する。
(コンクリート体)
測定対象物となるコンクリート体の種類や構造は任意であり、後述する一対の電極を介して交流電流が流された際に、インピーダンス又はインピーダンスに対応する周波数に変化を与え得る塩化物を含有する全てのコンクリート体を含み、例えば、建築構造物や土木構造物の壁、床、柱、梁、又は天井を構成するコンクリート体を挙げることができる。また、測定対象物が配置される測定領域の具体的内容も任意であり、建築構造物の施工現場や実験室等が該当する。
図1は、実験に使用したコンクリート体20を、塩化物濃度測定システム1と共に示す模式図である。以下、必要に応じて、図1のX方向を横方向、Y方向を縦方向、Z方向を高さ(深さ、厚さ)方向と称する。コンクリート体20は、縦200mm×横200mm×高さ100mmの直方体にて形成されている。また、普通ポルトランドセメントを使用して水/セメント比60%で打設することにより、塩化物量=0.0kg/m、1.2kg/m、2.4kg/mの3種類のコンクリート体20が製作された。
(塩化物濃度測定システム)
塩化物濃度測定システム1は、電極2a、2b、プラスチックフィルム3、LCRメータ4、水分率計5、及び演算装置6を図示のように接続して構成した。
電極2a、2bは、コンクリート体20の表面に相互に間隔を隔てて配置される導電体である。この実験では、真鍮を用いて縦20mm×横50mm×厚さ15mmの板状体として構成し、50mmの間隔を隔てて配置した。
プラスチックフィルム3は、コンクリート体20の表面の凹凸によって生じる電極2a、2bとの接触抵抗を均一化するために、コンクリート体20と各電極2a、2bとの相互間に配置される絶縁層である。この実験では、厚さ数十μmのポリエチレンフィルムを使用した。
LCRメータ4(インピーダンスメータ)は、電極2a、2bの相互間にコンクリート体20を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンス及び位相角ピーク周波数を測定する第1の測定手段である。この実験では、日置電機株式会社製LCRハイテスタ3522−50を使用した。
水分率計5は、コンクリート体20の水分率を取得する水分情報取得手段である。この実験では、株式会社ケツト化学研究所製HI−520を使用し、表示された水分率の数値は演算装置6に手入力した。
演算装置6は、LCRメータ4を用いて測定されたインピーダンス及び位相角ピーク周波数と、水分率計5にて測定された水分率とに基づいて評価値を算出し、当該算出した評価値に基づいて、コンクリート体20の塩化物濃度を特定する算出手段及び特定手段である。この実験では、市販のパーソナルコンピュータを使用した。
(測定結果)
このように構成した塩化物濃度測定システム1を用いて測定された測定結果について説明する。
(測定結果−インピーダンスの周波数特性)
最初に、インピーダンスの周波数特性の測定結果について説明する。図2は、コンクリート体20のインピーダンスの周波数特性の測定結果を示すグラフである。図2においては、横軸が周波数(kHz)、縦軸がインピーダンス(Mオーム)とされており、コンクリート体20の材齢740日目の測定結果がプロットされている。そして、この測定結果のうち、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/mの測定結果は黒塗りのひし形状のポイント及び実線で示され、コンクリート体20の塩化物濃度=1.2kg/mの測定結果は白抜きの正方形状のポイント及び実線で示され、コンクリート体20の塩化物濃度=2.4kg/mの測定結果は白抜きの三角形状のポイント及び実線で示されている(図4についても同様とする)。ここで、「材齢」とは、コンクリート体20が打設されてからの経過期間を意味する。この図2から明らかなように、インピーダンスと塩化物濃度の関係に関しては、塩化物濃度が高くなるにしたがって、インピーダンスが小さくなる傾向が示された。
(測定結果−インピーダンス及び重量絶対水蒸気量の経時特性)
次に、インピーダンス及び後述する重量絶対水蒸気量の経時特性の測定結果について説明する。図3は、コンクリート体20のインピーダンス及び後述する重量絶対水蒸気量の経時特性の測定結果を示すグラフである。図3においては、横軸が日数(day)、縦軸がインピーダンス(Mオーム)及び重量絶対水蒸気量(g/m)とされており、コンクリート体20の材齢10日目から908日目までの期間における周波数20kHzの測定結果と、後述する重量絶対水蒸気量の測定結果とがプロットされている。そして、これら測定結果のうち、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/mの測定結果は黒塗りのひし形状のポイント及び実線で示され、コンクリート体20の塩化物濃度=1.2kg/mの測定結果は白抜きの正方形状のポイント及び実線で示され、コンクリート体20の塩化物濃度=2.4kg/mの測定結果は白抜きの三角形状のポイント及び実線で示され、後述する重量絶対水蒸気量の測定結果はクロス形状のポイント及び実線で示されている(図5についても同様とする)。
この図3から明らかなように、インピーダンスと塩化物濃度の関係に関しては、どの期間においても塩化物濃度が高くなるにしたがって、インピーダンスが小さくなる傾向が示された。また、コンクリート体20の材齢約100日目から約280日目までの期間(測定時期としては、3月から8月までの期間に相当)では、インピーダンスが小さくなる傾向が示されたが、コンクリート体20の材齢約280日目から約470日目までの期間(測定時期としては9月から2月までの期間に相当)では、インピーダンスが大きくなる傾向が示された(なお、これ以降の期間についても、上述した傾向が示された)。また、インピーダンスが増加すると後述する重量絶対水蒸気量が減少し、インピーダンスが減少すると後述する重量絶対水蒸気量が増加する傾向が示された。なお、この後述する重量絶対水蒸気量は、下記式(1)から(3)に基づいて算出されたものである(後述する図5、図6にプロットされている重量絶対水蒸気量についても同様とする)。
Figure 0006338238
Figure 0006338238
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ここで、式(1)から(3)において、RH=コンクリート体20付近の相対湿度、m=重量水蒸気量、mwmax=飽和水蒸気量、e=水蒸気圧、T=コンクリート体20付近の気温である。このうち、「重量水蒸気量」とは、ある気温で大気中に含まれる水蒸気量である。また、「飽和水蒸気量」とは、1mの空間に含むことができる水蒸気量である。また、これらコンクリート体20付近の相対湿度及びコンクリート体20付近の気温については、例えば、市販の湿度計(図示省略)や温度計(図示省略)を用いて測定された。また、これらコンクリート体20付近の相対湿度及びコンクリート体20付近の気温の測定タイミングについては、例えば、インピーダンスの測定タイミングと略同じタイミングで測定された。
(測定結果−インピーダンスの位相角の周波数特性)
次に、インピーダンスの位相角の周波数特性の測定結果について説明する。図4は、コンクリート体20のインピーダンスの位相角の周波数特性の測定結果を示すグラフである。図4においては、横軸が周波数(kHz)、縦軸が位相角(deg)とされており、コンクリート体20の材齢740日目における当該コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/m、1.2kg/m、2.4kg/mの測定結果がプロットされている。この図4から明らかなように、塩化物濃度が高くなるにしたがって、位相角ピーク周波数がわずかに高い周波数側へ移動する傾向が示された。
(測定結果−位相角ピーク周波数及び重量絶対水蒸気量の経時特性)
次に、位相角ピーク周波数及び重量絶対水蒸気量の経時特性の測定結果について説明する。図5は、コンクリート体20の位相角ピーク周波数及び重量絶対水蒸気量の経時特性の測定結果を示すグラフである。図5においては、横軸が日数(day)、縦軸が周波数(Hz)及び重量絶対水蒸気量(g/m)とされており、コンクリート体20の材齢10日目から材齢908日目までの測定結果であって、周波数10kHzに関する当該コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/m、1.2kg/m、2.4kg/mの測定結果と、重量絶対水蒸気量の測定結果とがプロットされている。
この図5から明らかなように、位相角ピーク周波数と塩化物濃度の関係に関しては、どの期間においても塩化物濃度が高くなるにしたがって、位相角ピーク周波数が高くなる傾向が示された。また、コンクリート体20の材齢約100日目から約280日目までの期間(測定時期としては、3月から8月までの期間に相当)では、位相角ピーク周波数が高くなる傾向が示されたが、コンクリート体20の材齢約280日目から約470日目までの期間(測定時期としては9月から2月までの期間に相当)、位相角ピーク周波数が低くなる傾向が示された(なお、これ以降の期間についても、上述した傾向が示された)。また、位相角ピーク周波数が増加すると重量絶対水蒸気量が増加し、位相角ピーク周波数が減少すると重量絶対水蒸気量が減少する傾向が示された。
(測定結果−水分率及び重量絶対水蒸気量の経時特性)
次に、水分率及び重量絶対水蒸気量の経時特性の測定結果について説明する。図6は、コンクリート体20の水分率の経時特性の測定結果と、コンクリート体20付近の重量絶対水蒸気量の測定結果を示すグラフである。図6においては、横軸が日数(day)、縦軸が水分率(%)及び重量絶対水蒸気量(g/m)とされており、コンクリート体20の材齢10日目から材齢908日目までの期間におけるコンクリート体20の水分率の測定結果と、コンクリート体20付近の重量絶対水蒸気量の測定結果とがプロットされている。そして、これら測定結果のうち、水分率の測定結果は白抜きの円形状のポイント及び実線で示され、重量絶対水蒸気量の測定結果はクロス形状のポイント及び実線で示されている。
この図6から明らかなように、水分率の増減が繰り返し行われるものの、日数が増えるほど水分率が低下する傾向が示された。また、水分率が増加すると重量絶対水蒸気量が増加し、水分率が減少すると重量絶対水蒸気量が減少する傾向が示された。よって、この水分率が増減する要因としては、重量絶対水蒸気量が影響しているものと推定される。
(測定結果を考慮した第1評価式)
上記測定された測定結果からすると、インピーダンス又は位相角ピーク周波数の経時特性は、重量絶対水蒸気量等の外的要因に影響を受けやすいものと言える。また、水分率の増減は、重量絶対水蒸気量の増減と対応していると言える。これらのことを踏まえて、インピーダンス又は位相角ピーク周波数に直接的に影響を与えていると考えられる、コンクリート体20における水分率の変動による影響を除くことにより、コンクリート体20の塩化物濃度を正確に評価するための評価値である第1評価値を算出するために、発明者が提案する第1評価式は、下記式(4)、(5)のように表される。
Figure 0006338238
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ここで、式(4)及び式(5)において、F=第1評価値、f=対象位相角ピーク周波数、fmax=最大位相角ピーク周波数、Z=対象インピーダンス、Zmax=最大インピーダンス、w=水分率差分、wt=対象水分率、wref=基準水分率である。このうち、「対象位相角ピーク周波数」は、LCRメータ4にて測定された位相角ピーク周波数のうち、算出対象とすべき位相角ピーク周波数である。また、「最大位相角ピーク周波数」は、塩化物濃度=0.0kg/mのコンクリート体20を対象としてLCRメータ4にて測定された複数の位相角ピーク周波数のうち、最大となる位相角ピーク周波数であって、対象位相角ピーク周波数の大きさの基準となる基準位相角ピーク周波数である。また、「対象インピーダンス」は、LCRメータ4にて測定されたインピーダンスのうち、算出対象とすべきインピーダンスである。また、「最大インピーダンス」は、塩化物濃度=0.0kg/mのコンクリート体20を対象としてLCRメータ4にて測定された複数のインピーダンスのうち、最大となるインピーダンスであって、対象インピーダンスの大きさの基準となる基準位相角ピーク周波数である。また、「対象水分率」は、水分率計5にて測定された水分率のうち、算出対象とすべき水分率である。また、「基準水分率」は、塩化物濃度=0.0kg/mのコンクリート体20を対象として水分率計5にて測定された水分率に基づいて設定された水分率であって、対象水分率の大きさの基準となる水分率である。
また、この基準水分率の設定方法については任意であるが、水分率計5にて測定された水分率のうち、当該コンクリート体20の材齢が所定期間以上(ここでは、コンクリート体20の材齢が474日目以上としているが、これに限られず、例えば1年以上であってもよい。)経過した水分率の平均値を算出し、当該算出した値を基準水分率として設定する(ここでは、基準水分率=2.7とする)方法が採用された。なお、基準水分率の算出において、コンクリート体20の材齢が所定期間以上経過した水分率を用いる理由としては、コンクリート体20の材齢が1年未満の水分率は比較的高いことや、実際に塩化物濃度の評価の対象となるコンクリート体20の材齢が、数十年経過したものであるから、その水分率が比較的低いことが予想される。このことを踏まえると、コンクリート体20の材齢が所定期間以上経過した水分率を用いることが適切であると考えられるからである。なお、上記理由から、第1評価値の算出についても、コンクリート体20の材齢が474日目以上経過した測定結果が用いられた(なお、後述する第2評価値の算出についても同様とする)。
(測定結果を考慮した第2評価式)
また、上述したように、上記測定結果からすると、インピーダンス又は位相角ピーク周波数の経時特性は、重量絶対水蒸気量等の外的要因に影響を受けやすい。よって、この重量絶対水蒸気量の変動による影響を除くことにより、コンクリート体20の塩化物濃度を正確に評価するための評価値である第2評価値を算出するために、発明者が提案する第2評価式は、下記式(6)のように表される。なお、この第2評価値と上記第1評価値とは、相互に区別する必要がない場合には「評価値」と総称する。
Figure 0006338238
ここで、式(6)において、F=第2評価値、f=対象位相角ピーク周波数、fave=平均位相角ピーク周波数、Z=対象インピーダンス、Zave=平均インピーダンス、h=対象重量絶対水蒸気量、have=平均重量絶対水蒸気量である。このうち、「平均位相角ピーク周波数」は、塩化物濃度=0.0kg/mのコンクリート体20を対象としてLCRメータ4にて測定された複数の位相角ピーク周波数の平均位相角ピーク周波数であって、対象位相角ピーク周波数の大きさの基準となる基準位相角ピーク周波数である。また、「平均インピーダンス」は、塩化物濃度=0.0kg/mのコンクリート体20を対象としてLCRメータ4にて測定された複数のインピーダンスの平均インピーダンスであって、対象インピーダンスの大きさの基準となる基準位相角ピーク周波数である。また、「対象重量絶対水蒸気量」は、上記市販の湿度計や温度計にて測定されたコンクリート体20付近の湿度や温度に基づいて式(1)から式(3)を用いて算出された重量絶対水蒸気量のうち、算出対象とすべき重量絶対水蒸気量である。また、「平均重量絶対水蒸気量」は、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/mを対象として上記市販の湿度計や温度計にて測定された湿度や温度に基づいて式(1)から式(3)を用いて算出された複数の重量絶対水蒸気量の平均重量絶対水蒸気量であって、対象重量絶対水蒸気量の大きさの基準となる基準重量絶対水蒸気量である。
(塩化物濃度が変化した場合の第1評価値の変化)
図7は、図3、図5、図6に示す測定結果のうち、コンクリート体20の材齢481日目から908日目までの期間の測定結果に基づいて算出された第1評価値を示すグラフである。図8は、図7に示す評価値のうち、測定時期が1月から3月までの期間(コンクリート体20の材齢481日目から495日目までの期間、及び782日目から831日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。図9は、図7に示す第1評価値のうち、測定時期が4月から6月までの期間(コンクリート体20の材齢502日目から586日目までの期間、及び866日目から908日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。図10は、図7に示す第1評価値のうち、測定時期が7月から9月までの期間(コンクリート体20の材齢593日目から677日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。図11は、図7に示す第1評価値のうち、測定時期が10月から12月までの期間(コンクリート体20の材齢692日目から768日目までの期間に相当)の第1評価値を示すグラフである。図7から図11においては、いずれも横軸が塩化物濃度(kg/m)、縦軸が第1評価値とされており、各図に対応する期間の第1評価値がプロットされている。そして、これら測定結果のうち、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/mの測定結果は黒塗りのひし形状のポイントで示され、コンクリート体20の塩化物濃度=1.2kg/mの測定結果は白抜きの正方形状のポイントで示され、コンクリート体20の塩化物濃度=2.4kg/mの測定結果は白抜きの三角形状のポイントで示されている(図12についても同様とする)。
図7から明らかなように、塩化物濃度が高くなるにしたがって、第1評価値が小さくなる傾向が示された。具体的には、塩化物濃度=0.0kg/mでは第1評価値=−80〜0となり、塩化物濃度=1.2kg/mでは第1評価値=−105〜−40となり、塩化物濃度=2.4kg/mでは第1評価値=−120〜−55となった。このことから、第1評価値=−80〜0の場合には、塩化物濃度=0.0kg/mであると特定でき、第1評価値=−80を下回る場合には、塩化物濃度=1.2kg/m以上であると特定できると考えられる。
また、図8から図11で明らかなように、図7と同様に、塩化物濃度が高くなるにしたがって、第1評価値が小さくなる傾向が示された。また、測定時期に応じて第1評価値が異なる傾向が示された。具体的には、図8に示すように、測定時期が1月から3月までの期間(コンクリート体20の材齢481日目から495日目までの期間、及び782日目から831日目までの期間に相当)において、塩化物濃度=0.0kg/mでは第1評価値=−55〜0、塩化物濃度=1.2kg/mでは第1評価値=−95〜−40、塩化物濃度=2.4kg/mでは第1評価値=−115〜−65となった。また、図9に示すように、測定時期が4月から6月までの期間(コンクリート体20の材齢502日目から586日目までの期間、及び866日目から908日目までの期間に相当)において、塩化物濃度=0.0kg/mでは第1評価値=−55〜0となり、塩化物濃度=1.2kg/mでは第1評価値=−85〜−40となり、塩化物濃度=2.4kg/mでは第1評価値=−115〜−65となった。また、図10に示すように、測定時期が7月から9月までの期間(コンクリート体20の材齢593日目から677日目までの期間に相当)において、塩化物濃度=0.0kg/mでは第1評価値=−45〜−25となり、塩化物濃度=1.2kg/mでは第1評価値=−70〜−40となり、塩化物濃度=2.4kg/mでは第1評価値=−80〜−60となった。また、図11に示すように、測定時期が10月から12月までの期間(コンクリート体20の材齢692日目から768日目までの期間に相当)において、塩化物濃度=0.0kg/mでは第1評価値=−75〜−20となり、塩化物濃度=1.2kg/mでは第1評価値=−105〜−50となり、塩化物濃度=2.4kg/mでは第1評価値=−115〜−70となった。このように、測定時期によって第1評価値が異なることからすると、測定時期を限定して塩化物濃度を特定することにより、コンクリート体20の塩化物濃度の測定を正確に行うことができると考えられる。なお、図8に示す測定時期が1月から3月までの期間における第1評価値には、コンクリート体20の材齢481日目から495日目までの期間の第1評価値、及び782日目から831日目までの期間の第1評価値が含まれているが、打設後の水分蒸発の影響がなくなり、水分率が安定した後は、季節に伴う一定の周期の変動を繰り返すと考えられるため、季節は同じであるが取得した期間が異なるデータが含まれていても問題ないと考えられる(図9に示す測定時期が4月から6月までの期間における第1評価値についても同様とする)。
(塩化物濃度が変化した場合の第2評価値の変化)
図12は、図3、図5、図6に示す測定結果のうち、コンクリート体20の材齢481日目から908日目までの期間の測定結果に基づいて算出された第2評価値を示すグラフであり、横軸が塩化物濃度(kg/m)、縦軸が第2評価値とされており、コンクリート体20の材齢481日目から908日目までの期間における第2評価値がプロットされている。
図12から明らかなように、塩化物濃度が高くなるにしたがって、第2評価値が高くなる傾向が示された。具体的には、塩化物濃度=0.0kg/mでは第2評価値=−1.0〜0.6となり、塩化物濃度=1.2kg/mでは第2評価値=0.0〜1.0となり、塩化物濃度=2.4kg/mでは第2評価値=0.5〜1.3となった。このことから、第2評価値=−1.0〜0.6の場合には、塩化物濃度=0.0kg/mであると特定でき、第2評価値=−0.6を上回る場合には、塩化物濃度=1.2kg/m以上であると特定できると考えられる。
〔実施の形態1〕
次に、上記基礎理論に基づいて構築された本発明の実施の形態1について説明する。この形態は、水分率に基づいて算出された基準評価値と、コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納する基準評価値格納手段を備えた形態である。
(塩化物濃度測定システム)
この実施の形態1に係る塩化物濃度測定システム1の構成を説明する。図13は、実施の形態1に係る塩化物濃度測定システム1のブロック図である。この塩化物濃度測定システム1は、図1に示した実験用の塩化物濃度測定システム1と同様に、電極2a、2b、プラスチックフィルム3、LCRメータ4、水分率計5、及び演算装置6を図示のように電気的に接続して構成されている。
(塩化物濃度測定システム−電極)
電極2a、2bは、コンクリート体20の表面に、相互に間隔を隔てて配置される導電体である。各電極2a、2bの材質や形状は任意であるが、実施の形態1では、各電極2a、2bは平板状に形成され、コンクリート体20の表面に平行かつ接触するように配置される。これら電極2a、2bの相互間隔は、測定を行いたいコンクリート体20の内部の深さに応じて決定することができる。すなわち、電極2a、2bの相互間隔を広げる程、コンクリート体20の内部のうち、これら電極2a、2bを結ぶ直線に対して直交する方向(図13ではZ方向)に沿って深い部分を、測定することが可能になる。したがって、電極2a、2bの相互間隔と測定対象部分の深さとの関係を予め特定しておき、各測定時の測定対象部分の深さに対応する間隔で電極2a、2bを配置することで、所望の深さの部分を測定することができる。また、このように電極2a、2bの相互間隔を容易かつ正確に調整可能とするため、これら電極2a、2bがスライドゲージの如き間隔調整器具の各端部に配置等されてもよい。
(塩化物濃度測定システム−プラスチックフィルム)
プラスチックフィルム3は、コンクリート体20の表面の凹凸によって生じる電極2a、2bとの接触抵抗を均一化するために、コンクリート体20と各電極2a、2bとの相互間に配置される絶縁層である。このプラスチックフィルム3は、例えば、各電極2a、2bの側面の中で、少なくとも、コンクリート体20に対向する側面に取り付けられる。なお、「均一化する」とは、理想的には、電極2a、2bの各部とコンクリート体20の表面との相互間の接触抵抗を相互に完全に同一化することを意味するが、必ずしも完全に同一化する必要はなく、測定に支障がないレベルで同一化できればよい。このため、絶縁層としては、軟質な絶縁層を用いることが好ましい。このような構成により、各電極2a、2bが接触抵抗の影響を受けにくくなるので、コンクリート体20のインピーダンスの影響を精度よく測定することが可能となる。
(塩化物濃度測定システム−LCRメータ)
LCRメータ4は、電極2a、2bの相互間にコンクリート体20を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンス及び位相角ピーク周波数を測定する第1の測定手段である。このLCRメータ4の測定原理は任意であるが、例えば、ブリッジ法や共振法の如き方法によってインピーダンスを測定する。ただし、LCRメータ4に代えて、発振器や電流計等を組み合わせて測定手段を構成してもよい。
(塩化物濃度測定システム−水分率計)
水分率計5は、コンクリート体20の水分率を測定する第2の測定手段である。この水分率計5の測定原理は任意であるが、例えば、赤外線の反射によって光学的に水分検出を行う方法の如き方法や、コンクリートの水分による誘電率(高周波容量)の変化を検出し、当該検出結果に基づいて水分を測定する方法等によって水分率を測定する。
(塩化物濃度測定システム−演算装置)
演算装置6は、LCRメータ4を用いて測定されたインピーダンス及び位相角ピーク周波数と、水分率計5にて測定された水分率とに基づいて第1評価値を算出し、当該算出した第1評価値に基づいてコンクリート体20の塩化物濃度を特定する算出手段及び特定手段である。この演算装置6は、例えば、市販のパーソナルコンピュータにより構成されており、入力部7、出力部8、制御部9、及び記憶部10を備える。
入力部7は、実施の形態1に係る測定方法を実行するために必要な各種の情報の入力を受け付けるための入力手段であり、例えば、キーボード、各種のスイッチ類、LCRメータ4に接続される端子等として構成されている。
出力部8は、実施の形態1に係る測定方法を実行するために必要な各種の情報を出力する出力手段であり、例えば、モニタ等として構成されている。
制御部9は、演算装置6を制御する制御手段である。この制御部9は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されている。特に、実施の形態1に係る塩化物濃度測定プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納され、当該記録媒体から演算装置6にインストールされることで、制御部9を実質的に構成する。
記憶部10は、演算装置6の処理に必要な各種の情報を記憶する記憶手段であり、例えばハードディスクやその他の記録媒体によって構成される。
また、この記憶部10は、基準評価値テーブル10aを備えている。基準評価値テーブル10aは、基準評価値を格納する基準評価値格納手段である。ここで、「基準評価値」とは、コンクリート体20の塩化物濃度を特定する際の指標となる評価値であり、実施の形態1では、過去の試験体(例えばコンクリート体20の配合と略同一の配合で製作された試験体)におけるインピーダンス、位相角ピーク周波数、及び水分率の測定結果に基づいて算出された第1評価値が基準評価値として設定される。
図14は、基準評価値テーブル10aの構成例を示す図である。図14に示すように、基準評価値テーブル10aは、項目「基準評価値」、項目「塩化物濃度」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「基準評価値」に対応する情報は、基準評価値を特定する情報であり、例えば、図7に示す過去の試験体に関する第1評価値のうち、各塩化物濃度に対応する上限値から下限値に至る範囲を示す値(図7の例では、塩化物濃度=1.2kg/mの試験体の場合に、第1評価値=−105〜−40等)が該当する。また、項目「塩化物濃度」に対応する情報は、コンクリート体20の塩化物濃度を特定する情報である。
(塩化物濃度測定方法)
次に、このように構成された塩化物濃度測定システム1を用いて行われる塩化物濃度測定方法について説明する。なお、以下では、測定対象となるコンクリート体20は、材齢が1年以上経過しているものとして説明する。
この方法では、最初に、測定対象となるコンクリート体20がある現場等において、このコンクリート体20に鉄筋や鋼管等が埋設されている可能性がある場合には、これら鉄筋や鋼管等による測定への影響を回避するために、コンクリート体20における鉄筋や鋼管等の位置が測定される。この測定には、公知の任意の方法を用いることができ、例えば、本願発明者等による特開2010−210588号公報に開示の装置及び方法を適用することができる。この際、鉄筋や鋼管等の位置を測定する装置の構成を、塩化物濃度測定システム1の構成と共通化することにより、測定システム全体を簡素化することが好ましい。
次に、コンクリート体20の表面において、上記測定された鉄筋や鋼管等の位置以外の位置に、電極2a、2bが相互に間隔を隔てて配置される。この配置間隔は、上述のように、測定を行いたい深さに応じて決定される。そして、電極2a、2bの相互間にコンクリート体20を介して交流電流が流され、この状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とがLCRメータ4によって測定され、当該測定された測定値が入力部7を介して演算装置6に入力される(測定工程)。
ここで、インピーダンスの測定方法については任意であるが、例えば、交流電流の周波数が所定周波数(例えば、20kHz等)となるインピーダンスのみを測定する方法等が該当する。また、位相角ピーク周波数の測定方法についても任意であるが、例えば、交流電流の周波数を所定範囲(例えば、0.01kHzから100kHz)まで徐々に変化させ、各周波数に対応する電圧と電流の位相角を測定し、当該測定した位相角のうち最大の位相角に対応する周波数を位相角ピーク周波数として特定する方法等が該当する。また、これらインピーダンス及び位相角ピーク周波数の測定タイミングについては任意であるが、例えば、インピーダンスの測定タイミングの前後の所定時間以内(例えば30分以内等)のタイミングで、位相角ピーク周波数が測定されてもよい。あるいは、LCRメータ4にインピーダンス及び位相角ピーク周波数を同時に測定する機能があれば、これらの測定タイミングと同じタイミングで測定されてもよい。
次いで、コンクリート体20の水分率が、水分率計5によって所定期間毎(例えば1日毎等)に所定回数(例えば100回等)取得され、当該取得された複数の測定値が手入力等によって入力部7を介して演算装置6に入力される(水分情報取得工程)。なお、入力部7は、特許請求の範囲における「水分情報取得手段」に対応する。
ここで、水分率の取得方法については任意であるが、例えば、コンクリート体20における電極2a、2bとの接触部分と同じ部分の水分率を測定する方法が採用されている。あるいは、これに限られず、例えば、コンクリート体20の深部における水分率の測定が困難である場合には、コンクリート体20の全体において水分率に大きな差異がないという前提の元、コンクリート体20の表面の水分率を測定する方法等であってもよい。また、水分率の取得タイミングについては、例えば、複数の水分率のうちのいずれか一つは、インピーダンス(又は位相角ピーク周波数)の測定タイミングの前後の所定時間以内(例えば30分以内等)のタイミングで、水分率が取得される。あるいは、コンクリート体20における電極2a、2bとの接触部分と異なる部分の水分率が測定される場合には、インピーダンス(又は位相角ピーク周波数)の測定タイミングと同じタイミングで取得されてもよい(後述する実施の形態3の重量絶対水蒸気量の取得タイミングについても同様とする)。
次に、例えば過去の試験体の試験情報を格納する外部装置から、過去の試験体におけるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の測定結果の中から最大インピーダンス及び最大位相角ピーク周波数が取得され、当該取得された最大インピーダンス及び最大位相角ピーク周波数が手入力等によって入力部7を介して演算装置6に入力される(基準情報取得工程)。なお、入力部7は、特許請求の範囲における「基準情報取得手段」に対応する。
続いて、測定工程の測定結果、並びに、水分情報取得工程及び基準情報取得工程の取得結果に基づいて、第1評価値が算出される(算出工程)。具体的には、演算装置6の制御部9は、上記式(4)、(5)を用いて、上記インピーダンス、位相角ピーク周波数、複数の水分率、最大インピーダンス、及び最大位相角ピーク周波数に基づき、これらインピーダンス及び位相角ピーク周波数の測定タイミングに関する第1評価値を算出する。
ここで、第1評価値の算出に関する具体的な内容については、以下の通りとなる。すなわち、インピーダンス、及び位相角ピーク周波数が1回測定され、水分率が100個取得された場合には、まず、100個の水分率に基づいて基準水分率を特定する(具体的には、100個の水分率の平均値を算出し、当該算出した水分率を基準水分率として特定する)。次に、100個の水分率のうち、インピーダンスの測定のタイミングと略同一のタイミングで取得された水分率から基準水分率を差し引いた差分である水分率差分に1を加算した値を、測定されたインピーダンスを最大インピーダンスで除算した値に乗じることにより算出される値である第1の算出値を算出する。また、1から水分率差分を減算した値を、測定された位相角ピーク周波数を基準位相角ピーク周波数で除算した値に乗じることにより算出される値である第2の算出値を算出する。そして、第1の算出値から第2の算出値を減算することにより、第1評価値を算出する。
そして、算出工程において算出された第1評価値に基づいて、コンクリート体20の塩化物濃度が特定される(特定工程)。具体的には、制御部9は、基準評価値テーブル10aに格納された基準評価値を参照しながら、算出工程において算出された第1評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体20の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体20の塩化物濃度として特定する。例えば、算出工程において第1評価値=−20が算出された場合に、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/m等が特定される
この場合において、算出工程において算出された第1評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体20の塩化物濃度が特定される際に、例えば、図14に示すように、基準評価値テーブル10aにおいて、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/mに対応する基準評価値の範囲の一部が、コンクリート体20の塩化物濃度=1.2kg/mにコンクリート体20の塩化物濃度に対応する基準評価値の範囲(図14の例では、基準評価値=−55〜−40)と重複している場合に、算出工程において算出された第1評価値が上記重複範囲に該当する場合(具体的には、評価値=−50である場合等)には、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/m又はコンクリート体20の塩化物濃度=1.2kg/mのいずれか一方(例えば、コンクリート体20の塩化物濃度が低い方等)が特定される(あるいは、これに限られず、例えば、コンクリート体20の塩化物濃度=0.0kg/m及びコンクリート体20の塩化物濃度=1.2kg/mの両方が特定されてもよい)。
その後、ユーザがコンクリート体20の塩化物濃度を把握できるように、演算装置6の制御部9は、特定工程において特定されたコンクリート体20の塩化物濃度を、出力部8を介して出力させる。これにて、コンクリート体20の塩化物濃度測定方法を終了する。
このような方法により、従来の技術に比べて、水蒸気量等の外的要因によるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性の影響を考慮してコンクリート体の塩化物濃度を測定することができるため、コンクリート体の塩化物濃度を正確に測定することが可能となる。
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、LCRメータ4にて測定された複数のインピーダンス及び複数の位相角ピーク周波数と、水分率計5にて測定された複数の水分率とに基づいて評価値を算出し、当該算出された評価値に基づいて、コンクリート体20の塩化物濃度を特定するので、従来の技術に比べて、水蒸気量等の外的要因によるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性の影響を考慮してコンクリート体の塩化物濃度を測定することができるため、コンクリート体の塩化物濃度を正確に測定することが可能となる。
また、式(4)、(5)を用いて、水分率に関する補正がされたインピーダンス及び位相角ピーク周波数に基づいて第1評価値を算出するので、特にインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性に対して水分率が支配的に影響を与える場合には、コンクリート体20の塩化物濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
また、基準評価値テーブル10aに格納された基準評価値を参照しながら、演算装置6にて算出された第1評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体20の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体20の塩化物濃度として特定するので、コンクリート体20の塩化物濃度を簡易且つ迅速に特定することができ、測定の作業効率を向上させることが可能となる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、測定時期と、基準評価値と、コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納した基準評価値格納手段を備えた形態である。ただし、実施の形態2において特に説明なき構成及び工程については実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同じ構成及び工程については、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
(塩化物濃度測定システム)
実施の形態2に係る塩化物濃度測定システム1は、実施の形態1に係る塩化物濃度測定システム1と同様に構成されている。ただし、演算装置6における記憶部10の基準評価値テーブル10aの構成については、下記に示す工夫が施されている。
(塩化物濃度測定システム−基準評価値テーブル)
図15は、実施の形態2に係る基準評価値テーブル10aの構成例を示す図である。図15に示すように、基準評価値テーブル10aは、項目「測定時期」、項目「基準評価値」、項目「塩化物濃度」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「測定時期」に対応する情報は、過去の試験体において塩化物濃度が測定された測定時期を特定する情報であり、例えば、「1月〜3月」等が該当する。項目「基準評価値」、及び項目「塩化物濃度」に対応する情報は、図14の基準評価値テーブル10aの同一項目名に対応して格納される情報と同じであるので、説明を省略する。
(塩化物濃度測定方法)
次に、このように構成された塩化物濃度測定システム1を用いて行われる塩化物濃度測定方法について説明する。なお、この塩化物濃度測定方法のうち、特定工程以外の工程については、実施の形態1に係る塩化物濃度測定方法と同様であるので、説明を省略する。
特定工程において、具体的には、演算装置6の制御部9は、算出工程において算出された第1評価値に対応する測定時期を所定方法により特定する。この「所定方法」の具体的な内容については、例えば、ユーザによって演算装置6の入力部7を介して入力された測定時期を、特定すべき測定時期として特定すること、あるいは、演算装置6の記憶部10にインピーダンス等の測定時期が記憶されている場合には、制御部9が、算出工程において第1評価値の算出に用いられたインピーダンス等と対応する測定時期を抽出し、当該抽出した測定時期を、特定すべき測定時期として特定すること等が該当する。
そして、制御部9は、基準評価値テーブル10aに格納された基準評価値を参照しながら、当該特定した測定時期及び算出工程にて算出された第1評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体20の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体20の塩化物濃度として特定する。例えば、測定時期=2月、算出工程において算出された第1評価値=−60であった場合に、コンクリート体20の塩化物濃度=1.2kg/mが、特定されるべきコンクリート体20の塩化物濃度として特定される。
このような方法により、測定時期に応じた基準評価値を用いてコンクリート体20の塩化物濃度を特定することができ、コンクリート体20の塩化物濃度をさらに一層正確に測定することが可能となる。
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、基準評価値テーブル10aに格納された基準評価値を参照しながら、所定方法で特定した測定時期及び演算装置6にて算出された第1評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体20の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体20の塩化物濃度として特定するので、測定時期に応じた基準評価値を用いて塩化物濃度を特定でき、コンクリート体20の塩化物濃度をさらに一層正確に測定することが可能となる。
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、水蒸気量に基づいて算出された基準評価値と、コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納した基準評価値格納手段を備えた形態である。ただし、実施の形態3において特に説明なき構成及び工程については実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同じ構成及び工程については、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
(塩化物濃度測定システム)
実施の形態3に係る塩化物濃度測定システム1は、実施の形態1に係る塩化物濃度測定システム1の構成要素に対して、水分率計5を省略して構成されている。また、演算装置6の構成については、下記に示す工夫が施されている。
(塩化物濃度測定システム−演算装置)
演算装置6は、LCRメータ4を用いて測定されたインピーダンス及び位相角ピーク周波数と、入力部7を介して入力された重量絶対水蒸気量とに基づいて第2評価値を算出し、当該算出した第2評価値に基づいてコンクリート体20の塩化物濃度を特定する算出手段及び特定手段である。この演算装置6は、入力部7、出力部8、制御部9、及び記憶部10を備えており、このうち記憶部10は、基準評価値テーブル10aを備えている。
図16は、実施の形態3に係る基準評価値テーブル10aの構成例を示す図である。ここで、基準評価値テーブル10aに格納されている「基準評価値」については、実施の形態3では、過去の試験体におけるインピーダンス、位相角ピーク周波数、及び重量絶対水蒸気量の測定結果に基づいて算出された第2評価値が基準評価値として設定されている。また、図16に示すように、この基準評価値テーブル10aは、項目「基準評価値」、項目「塩化物濃度」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「基準評価値」、及び項目「塩化物濃度」に対応する情報は、図14の基準評価値テーブル10aの同一項目名に対応して格納される情報と同じであるので、説明を省略する。
(塩化物濃度測定方法)
次に、このように構成された塩化物濃度測定システム1を用いて行われる塩化物濃度測定方法について説明する。なお、この塩化物濃度測定方法のうち、水分情報取得工程、基準情報取得工程、算出工程、及び特定工程以外の工程については、実施の形態1に係る塩化物濃度測定方法と同様であるので、説明を省略する。
まず、水分情報取得工程において、所定期間(例えば、コンクリート体20の材齢500日目から600日目に相当する期間等)にわたるコンクリート体が配置された環境の重量絶対水蒸気量が、外部装置(例えば、気象庁等の外部機関が所有するデータベース)から複数取得され(あるいは、外部装置から温度及び相対湿度が複数取得され、式(6)を用いて当該取得された複数の温度及び相対湿度に基づいて複数の重量絶対水蒸気量が算出されてもよい)、当該取得された複数の重量絶対水蒸気量が手入力等によって入力部7を介して演算装置6に入力される。
また、基準情報取得工程において、例えば過去の試験体の試験情報を格納する外部装置から、過去の試験体におけるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の測定結果の中から、平均インピーダンス及び平均位相角ピーク周波数が取得され、当該取得された平均インピーダンス及び平均位相角ピーク周波数が手入力等によって入力部7を介して演算装置6に入力される。
また、算出工程において、測定工程の測定結果、並びに、水分情報取得工程及び基準情報取得工程の取得結果に基づいて、第2評価値が算出される。具体的には、演算装置6の制御部9は、上記式(6)を用いて、上記インピーダンス、位相角ピーク周波数、複数の重量絶対水蒸気量、平均インピーダンス、及び平均位相角ピーク周波数に基づき、これらインピーダンス及び位相角ピーク周波数の測定タイミングに関する第2評価値を算出する。
ここで、第2評価値の算出に関する具体的な内容については、以下の通りとなる。すなわち、インピーダンス、及び位相角ピーク周波数が1回測定され、コンクリート体20の材齢500日目から600日目に相当する期間の重量絶対水蒸気量が100個取得された場合には、まず、100個の重量絶対水蒸気量に基づいて基準水蒸気量を特定する(具体的には、100個の重量絶対水蒸気量の平均値を算出し、当該算出した重量絶対水蒸気量を基準水蒸気量として特定する)。次に、測定されたインピーダンスを基準インピーダンスで除算した値を、基準水蒸気量を100個の重量絶対水蒸気量のうち上記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された重量絶対水蒸気量で除算した値で累乗することにより算出される値である第3の算出値を算出する。また、測定された位相角ピーク周波数を基準位相角ピーク周波数で除算した値を、100個の重量絶対水蒸気量のうち上記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された水蒸気量を基準水蒸気量で除算した値に乗じることにより算出される値である第4の算出値を算出する。そして、第3の算出値から第4の算出値を減算することにより、第2評価値を算出する。
また、特定工程において、算出工程において算出された第2評価値に基づいて、コンクリート体20の塩化物濃度が特定される。例えば、算出工程において第2評価値=0.7が算出された場合に、コンクリート体20の塩化物濃度=2.4kg/m等が特定される。
このような方法により、特にインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性に対して水蒸気量が支配的に影響を与える場合には、コンクリート体の塩化物濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、水蒸気量に関する補正がされたインピーダンス及び位相角ピーク周波数に基づいて第2評価値を算出するので、特にインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性に対して水蒸気量が支配的に影響を与える場合には、コンクリート体の塩化物濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
(実施の形態に対する変形例)
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、特定手段が、コンクリート体20の塩化物濃度を従来よりも正確に特定することができない場合であっても、このような特定を従来とは異なる技術により達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、LCRメータ4の機能の全部又は一部を、演算装置6に統合してもよい。あるいは、演算装置6の機能の全部又は一部を、複数の装置に分散してもよい。
(電極の形状について)
上記実施の形態1から3では、電極2a、2bは、矩形状の板状体にて形成されていると説明したが、例えば、三角形状、円形状の板状体であってもよい。あるいは、円柱状体又は円筒状体にて形成されてもよい。
(基準評価値テーブルについて)
上記実施の形態1から3では、基準評価値テーブル10aにおける項目「基準評価値」に対応する情報には、過去の試験体に関する評価値のうち、各塩化物濃度に対応する上限値から下限値に至る範囲を示す値が格納されていると説明したが、これに限られず、例えば、過去の試験体に関する評価値の平均値±当該平均値の20%の値とした範囲を示す値(具体的には、実施の形態1の場合において、過去の試験体に関する第1評価値の平均値=−50の場合に、基準評価値=−60(=−50−10)〜−40(=−50+10)等)が格納されてもよい。
また、上記実施の形態1では、基準評価値テーブル10aに基づいて、コンクリート体20の塩化物濃度を特定する情報が3つ格納されていると説明したが、これに限られず、例えば、コンクリート体20の塩化物濃度を特定する精度を高めるために、コンクリート体20の塩化物濃度を特定する情報が3つ以上格納されてもよい。あるいは、コンクリート体20の塩化物濃度を特定する情報が1つ又は2つ格納されてもよい。
また、上記実施の形態1から3では、演算装置6の記憶部10が、基準評価値テーブル10aを備えていると説明したが、省略してもよい。この場合には、測定対象とは別に、あらかじめ設定された塩化物濃度を有する試験体に関するインピーダンス等を測定対象と略同じタイミングで測定し、測定対象から算出される複数の評価値と、試験体から算出される複数の評価値とを比較し、当該比較結果に基づいて測定対象であるコンクリート体20の塩化物濃度を特定する方法が採用されてもよい。
(測定工程について)
また、上記実施の形態1から3では、測定工程において測定されるインピーダンス及び位相角ピーク周波数が1つであると説明したが、例えば、所定期間毎(例えば1日毎等)に所定回数(例えば100回等)測定されてもよい。これにより、各測定期間に対応するコンクリート体20の塩化物濃度を用いて、コンクリート体20の塩化物濃度の相対評価を行うことができ、コンクリート体20の塩化物濃度を一層正確に測定することが可能となる。
また、上記実施の形態1から3では、コンクリート体20の一つの部分を対象としてコンクリート体20の塩化物濃度が測定されると説明したが、例えば、コンクリート体20の複数の部分を対象としてコンクリート体20の塩化物濃度が測定されてもよい。この場合には、測定工程において、ユーザが電極2a、2bをコンクリート体20の表面に沿って移動させながら、各部分のインピーダンス及び位相角ピーク周波数の測定、評価値の算出、塩化物濃度の特定、並びに出力が行われる。この際、測定対象部分の位置情報は、ユーザが電極2a、2bを移動させる毎に、絶対的又は任意の位置を基準とする相対的な座標等により任意の入力手段を介して入力してもよく、あるいは、電極2a、2bの移動に伴って位置情報を取得するような手段(高精度のGPS等)から自動的に取得するようにしてもよい。なお当然のことながら、全ての対象部分についてインピーダンス及び位相角ピーク周波数の測定や評価値の算出が行われた後で、各対象部分の塩化物濃度をまとめて特定及び出力されてもよい。
(水分情報取得工程について)
上記実施の形態3では、所定期間にわたるコンクリート体20が配置された環境の重量絶対水蒸気量が、外部装置から複数取得されると説明したが、これに限られない。例えば、市販の湿度計及び温度計によってコンクリート体20が配置された環境の温度及び相対湿度が所定期間にわたって所定タイミング(例えば1日毎等)で取得され、当該取得された複数の温度及び相対湿度から式(1)から式(3)を用いて重量絶対水蒸気量が算出されてもよい。
(特定工程について)
上記実施の形態1から3では、制御部9は、特定工程において特定されたコンクリート体20の塩化物濃度を、出力部8を介して出力させると説明したが、これに限られず、出力形態としては、種々の態様を取り得る。例えば、コンクリート体20の塩化物濃度が特定された場合には、制御部9が、当該コンクリート体20の塩化物濃度に応じたアラーム音や表示灯による出力を行うことで、当該コンクリート体20の塩化物濃度をユーザに報知してもよい。
(付記)
付記1に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、コンクリート体の塩化物濃度を測定するためのシステムであって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定手段と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得手段と、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスと、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得手段にてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出手段と、前記算出手段にて算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定手段と、を備えている。
付記2に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、付記1に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムにおいて、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得手段をさらに備え、前記算出手段は、前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水分率の少なくとも一部に基づいて、基準水分率を特定し、前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水分率のうち、前記インピーダンスの測定のタイミングと略同一のタイミングで取得された前記水分率から前記基準水分率を差し引いた差分である水分率差分に1を加算した値を、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得手段にて取得された前記基準インピーダンスで除算した値に乗じることにより、第1の算出値を算出し、1から前記水分率差分を減算した値を、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得手段にて取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値に乗じることにより、第2の算出値を算出し、前記第1の算出値から前記第2の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する。
付記3に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、付記1に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムにおいて、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得手段をさらに備え、前記算出手段は、前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水蒸気量の少なくとも一部に基づいて、基準水蒸気量を特定し、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得手段にて取得された前記基準インピーダンスで除算した値を、前記基準水蒸気量を前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水蒸気量のうち前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量で除算した値で累乗することにより、第3の算出値を算出し、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得手段にて取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値を、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量を前記基準水蒸気量で除算した値に乗じることにより、第4の算出値を算出し、前記第3の算出値から前記第4の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する。
付記4に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、付記1から3のいずれか一項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムにおいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する際の指標となる評価値である基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納する基準評価値格納手段を備え、前記特定手段は、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、前記算出手段にて算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する。
付記5に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムは、付記4に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システムにおいて、前記基準評価値格納手段は、前記コンクリート体の塩化物濃度を測定した測定時期と、前記基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納し、前記特定手段は、所定方法で前記測定時期を特定し、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、当該特定した前記測定時期及び前記算出手段にて算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する。
付記6に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極を配置し、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定工程と、前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得工程と、前記測定工程において測定された前記インピーダンスと、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得工程においてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出工程と、前記算出工程において算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定工程と、を含んでいる。
付記7に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、付記6に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法において、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得工程をさらに含み、前記算出工程においては、前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水分率の少なくとも一部に基づいて、基準水分率を特定し、前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水分率のうち、前記インピーダンスの測定のタイミングと略同一のタイミングで取得された前記水分率から前記基準水分率を差し引いた差分である水分率差分に1を加算した値を、前記測定工程において測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得工程において取得された前記基準インピーダンスで除算した値に乗じることにより、第1の算出値を算出し、1から前記水分率差分を減算した値を、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得工程において取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値に乗じることにより、第2の算出値を算出し、前記第1の算出値から前記第2の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する。
付記8に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、付記6に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法において、基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得工程をさらに含み、前記算出工程においては、前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水蒸気量の少なくとも一部に基づいて、基準水蒸気量を特定し、前記測定工程において測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得工程において取得された前記基準インピーダンスで除算した値を、前記基準水蒸気量を前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水蒸気量のうち前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量で除算した値で累乗することにより、第3の算出値を算出し、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得工程において取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値を、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量を前記基準水蒸気量で除算した値に乗じることにより、第4の算出値を算出し、前記第3の算出値から前記第4の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する。
付記9に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、付記6から8のいずれか一項に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法において、前記特定工程においては、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する際の指標となる評価値である基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納する基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、前記算出工程において算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する。
付記10に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法は、付記9に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法において、前記基準評価値格納手段は、前記コンクリート体の塩化物濃度を測定した測定時期と、前記基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納し、前記特定工程においては、所定方法で前記測定時期を特定し、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、当該特定した前記測定時期及び前記算出工程において算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する。
(付記の効果)
付記1に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は付記6に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、測定手段にて測定されたインピーダンス及び位相角ピーク周波数と、水分情報取得手段にて取得された複数の水分率又は複数の水蒸気量とに基づいて評価値を算出し、当該算出された評価値に基づいて、コンクリート体の塩化物濃度を特定するので、従来の技術に比べて、水蒸気量等の外的要因によるインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性の影響を考慮してコンクリート体の塩化物濃度を測定することができるため、コンクリート体の塩化物濃度を正確に測定することが可能となる。
付記2に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は付記7に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、水分率に関する補正がされたインピーダンス及び位相角ピーク周波数に基づいて評価値を算出するので、特にインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性に対して水分率が支配的に影響を与える場合には、コンクリート体の塩化物濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
付記3に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は付記8に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、水蒸気量に関する補正がされたインピーダンス及び位相角ピーク周波数に基づいて評価値を算出するので、特にインピーダンス及び位相角ピーク周波数の経時特性に対して水蒸気量が支配的に影響を与える場合には、コンクリート体の塩化物濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
付記4に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は付記9に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、基準評価値格納手段に格納された基準評価値を参照しながら、算出手段にて算出された評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体の塩化物濃度として特定するので、コンクリート体の塩化物濃度を簡易且つ迅速に特定することができ、測定の作業効率を向上させることが可能となる。
付記5に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定システム、又は付記10に記載のコンクリート体の塩化物濃度測定方法によれば、基準評価値格納手段に格納された基準評価値を参照しながら、所定方法で特定した測定時期及び算出手段にて算出された評価値に対応する基準評価値と関連付けられたコンクリート体の塩化物濃度を、特定すべきコンクリート体の塩化物濃度として特定するので、測定時期に応じた基準評価値を用いて塩化物濃度を特定でき、コンクリート体の塩化物濃度をさらに一層正確に測定することが可能となる。
1 塩化物濃度測定システム
2a、2b 電極
3 プラスチックフィルム
4 LCRメータ
5 水分率計
6 演算装置
7 入力部
8 出力部
9 制御部
10 記憶部
10a 基準評価値テーブル
20 コンクリート体

Claims (6)

  1. コンクリート体の塩化物濃度を測定するためのシステムであって、
    前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、
    前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定手段と、
    前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得手段と、
    前記測定手段にて測定された前記インピーダンスと、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得手段にてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出手段と、
    前記算出手段にて算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定手段と、
    基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得手段と、を備え、
    前記算出手段は、
    前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水分率の少なくとも一部に基づいて、基準水分率を特定し、
    前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水分率のうち、前記インピーダンスの測定のタイミングと略同一のタイミングで取得された前記水分率から前記基準水分率を差し引いた差分である水分率差分に1を加算した値を、前記測定手段にて測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得手段にて取得された前記基準インピーダンスで除算した値に乗じることにより、第1の算出値を算出し、
    1から前記水分率差分を減算した値を、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得手段にて取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値に乗じることにより、第2の算出値を算出し、
    前記第1の算出値から前記第2の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する、
    コンクリート体の塩化物濃度測定システム。
  2. コンクリート体の塩化物濃度を測定するためのシステムであって、
    前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、
    前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定手段と、
    前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得手段と、
    前記測定手段にて測定された前記インピーダンスと、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得手段にてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出手段と、
    前記算出手段にて算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定手段と、
    基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得手段と、を備え、
    前記算出手段は、
    前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水蒸気量の少なくとも一部に基づいて、基準水蒸気量を特定し、
    前記測定手段にて測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得手段にて取得された前記基準インピーダンスで除算した値を、前記基準水蒸気量を前記水分情報取得手段にて取得された前記複数の水蒸気量のうち前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量で除算した値で累乗することにより、第3の算出値を算出し、
    前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得手段にて取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値を、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量を前記基準水蒸気量で除算した値に乗じることにより、第4の算出値を算出し、
    前記第3の算出値から前記第4の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する、
    コンクリート体の塩化物濃度測定システム。
  3. コンクリート体の塩化物濃度を測定するためのシステムであって、
    前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極と、
    前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定手段と、
    前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得手段と、
    前記測定手段にて測定された前記インピーダンスと、前記測定手段にて測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得手段にてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出手段と、
    前記算出手段にて算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定手段と、
    前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する際の指標となる評価値である基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納する基準評価値格納手段と、を備え、
    前記特定手段は、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、前記算出手段にて算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定し、
    前記基準評価値格納手段は、前記コンクリート体の塩化物濃度を測定した測定時期と、前記基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納し、
    前記特定手段は、所定方法で前記測定時期を特定し、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、当該特定した前記測定時期及び前記算出手段にて算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する、
    コンクリート体の塩化物濃度測定システム。
  4. コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、
    前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極を配置し、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定工程と、
    前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得工程と、
    前記測定工程において測定された前記インピーダンスと、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得工程においてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出工程と、
    前記算出工程において算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定工程と、
    基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得工程と、を含み、
    前記算出工程においては、
    前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水分率の少なくとも一部に基づいて、基準水分率を特定し、
    前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水分率のうち、前記インピーダンスの測定のタイミングと略同一のタイミングで取得された前記水分率から前記基準水分率を差し引いた差分である水分率差分に1を加算した値を、前記測定工程において測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得工程において取得された前記基準インピーダンスで除算した値に乗じることにより、第1の算出値を算出し、
    1から前記水分率差分を減算した値を、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得工程において取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値に乗じることにより、第2の算出値を算出し、
    前記第1の算出値から前記第2の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する、
    コンクリート体の塩化物濃度測定方法。
  5. コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、
    前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極を配置し、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定工程と、
    前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得工程と、
    前記測定工程において測定された前記インピーダンスと、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得工程においてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出工程と、
    前記算出工程において算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定工程と、
    基準インピーダンスと、基準位相角ピーク周波数とを取得する基準情報取得工程と、を含み、
    前記算出工程においては、
    前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水蒸気量の少なくとも一部に基づいて、基準水蒸気量を特定し、
    前記測定工程において測定された前記インピーダンスを前記基準情報取得工程において取得された前記基準インピーダンスで除算した値を、前記基準水蒸気量を前記水分情報取得工程において取得された前記複数の水蒸気量のうち前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量で除算した値で累乗することにより、第3の算出値を算出し、
    前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数を前記基準情報取得工程において取得された前記基準位相角ピーク周波数で除算した値を、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで取得された前記水蒸気量を前記基準水蒸気量で除算した値に乗じることにより、第4の算出値を算出し、
    前記第3の算出値から前記第4の算出値を減算することにより、前記評価値を算出する、
    コンクリート体の塩化物濃度測定方法。
  6. コンクリート体の塩化物濃度を測定するための方法であって、
    前記コンクリート体の表面に、相互に間隔を隔てて配置された一対の電極を配置し、前記一対の電極の相互間に前記コンクリート体を介して交流電流を流した状態におけるインピーダンスと、当該インピーダンスの位相角がピークになる位相角ピーク周波数とを測定する測定工程と、
    前記コンクリート体の水分率、又は前記コンクリート体が配置された環境の水蒸気量を取得する水分情報取得工程と、
    前記測定工程において測定された前記インピーダンスと、前記測定工程において測定された前記位相角ピーク周波数であって、前記インピーダンスの測定タイミングと略同一のタイミングで測定された前記位相角ピーク周波数と、前記水分情報取得工程においてそれぞれ異なるタイミングで取得された複数の前記水分率又は複数の前記水蒸気量とに基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を評価するための評価値を算出する算出工程と、
    前記算出工程において算出された前記評価値に基づいて、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する特定工程と、を含み、
    前記特定工程においては、前記コンクリート体の塩化物濃度を特定する際の指標となる評価値である基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納する基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、前記算出工程において算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定し、
    前記基準評価値格納手段は、前記コンクリート体の塩化物濃度を測定した測定時期と、前記基準評価値と、前記コンクリート体の塩化物濃度とを相互に関連付けて格納し、
    前記特定工程においては、所定方法で前記測定時期を特定し、前記基準評価値格納手段に格納された前記基準評価値を参照しながら、当該特定した前記測定時期及び前記算出工程において算出された前記評価値に対応する前記基準評価値と関連付けられた前記コンクリート体の塩化物濃度を、特定すべき前記コンクリート体の塩化物濃度として特定する、
    コンクリート体の塩化物濃度測定方法。
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