JP4710061B2 - コンクリート含有成分測定装置および測定方法 - Google Patents

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本発明は、コンクリートの表面に貼り付けた複数の電極を用いて交流電気試験を行い、電極形状とコンクリートの3次元形状を考慮した逆問題解析を行うことにより、非破壊的にコンクリートの含有塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率などの諸特性の測定を行うとともに、コンクリート内部に埋め込まれた鉄筋や配管の位置を検出するコンクリート含有成分測定装置およびその測定方法に関する。
近年、建築業界の新築需要は低下傾向を示しており、リフォーム需要が主体となりつつある。これに伴って高度成長期に建設された新幹線や高速道路の高架、橋梁、トンネル等のインフラや老朽化した建築物の寿命診断の需要が増大している。特に、塩害や中性化に伴うコンクリート劣化現象は、表面の剥離やひび割れに留まらず内部に埋め込まれた鉄筋が腐食に至る場合もあり、コンクリート構造物の強度を著しく劣化させる原因となっている。ダムや岩盤斜面やのり面の防護用吹付けコンクリートも含めて、コンクリートで作られた構造物のコンクリート劣化診断技術の必要性は増している。
しかし、現状ではコンクリートの劣化診断を表面からの目視検査だけで行うことは不可能であり、非特許文献1にも記載されているように簡易ボーリングによる部分破壊検査方法が主流となっており、1つのコンクリート構造物を検査するために何箇所もボーリングによるコア抜き取りを実施しなければならない。ボーリング作業によって検査コストが巨額になるだけでなく、ボーリング検査による部分破壊は逆に構造物の強度低下を引き起こしたり、雨水侵食をまねく可能性があるため、破壊を伴う検査であること自体が問題となっている。
前述したように、コンクリートの劣化診断を非破壊的検査方法で実現することが望まれており、電気的計測手段による非破壊的なコンクリートの検査方法に関する研究も進められてきた。コンクリート建築構造物診断に関する電気的計測応用例としては下記の非特許文献があげられる。
非特許文献2と非特許文献3は、表面に配置した電極によりコンクリート内部の比抵抗測定を行って配筋状態を把握した上で、分極率(充電率)法による鉄筋腐食状態の定量分析した研究事例である。さらに、非特許文献4は、前記電極を用いた交流インピーダンス法の測定結果と、実際に破壊して測定した鉄筋の質量減少率や腐食面積率の鉄筋腐食量を比較し、非破壊的に鉄筋腐食状態を推定した研究事例である。また、非特許文献5は、鉄筋腐食量だけでなく、腐食の原因となるコンクリート中の含有塩化物濃度に関する研究事例である。しかしながら、これらの方法ではコンクリートと電極との接触抵抗が低く抑えなければならず、現場では電極の設置が困難であり、かつ比抵抗値が水分量等に影響されデータのばらつきが大きい等の欠点があったため、比抵抗や分極率、および交流インピーダンスに着目した検査方法は未だ実用に至っていない。
本願発明者等も、含有塩化物濃度を0.0kg/立方メートル、0.6kg/立方メートル、1.2kg/立方メートル、2.4kg/立方メートルと変えた直径10cm、長さ25cmの円筒形コンクリート試験体を製作し、図2に示すように円筒形の周囲にステンレスワイヤー電極をギャップ長3.5cm離して2個固定して、交流インピーダンス法によるインピーダンスZの絶対値|Z|、位相角θ、複素インピーダンスの実部R、及び虚部Xについてその周波数特性を測定する実験を実施した。インピーダンス絶対値|Z|の測定結果を図3に、インピーダンス位相角θの測定結果を図4に、複素インピーダンスの実部Rの測定結果を図5に、複素インピーダンスの虚部Xの測定結果を図6に示す。
図3から明らかなように、インピーダンス絶対値|Z|の周波数特性は含有塩化物濃度が変化しても殆ど変化しない。また、図4から明らかなように、インピーダンス位相角θの周波数特性は極めて僅かの塩化物の含有によって大きく変化するものの、一定以上含有塩化物濃度が増加しても飽和してしまい、変化量は極めて少なくなる。
さらに、図5、図6からも明らかなように、図4と同じようにインピーダンスZの実部R及び虚部Xの周波数特性は僅かの塩化物の含有によって大きく変化するものの、一定以上含有塩化物濃度が増加しても飽和してしまい、変化量は極めて少なくなる。
従って、従来技術の交流インピーダンス法では、その測定値からコンクリートの含有塩化物濃度を測定することは困難であった。
吉田行、田口史雄、山崎勲 「のり面防護用吹付けコンクリートの劣化度調査と性能評価」、北海道開発土木研究所月報No.617号2004年10月 野口貴文、林永哲:日本建築学会大会学術講演集(2003年9月)、1405 野口貴文、林永哲:日本建築学会大会学術講演集(2003年9月)、1406 黄光律、林永哲、鹿毛忠継、曹健、野口貴文:日本建築学会大会学術講演集(2003年9月)、1275 仲程陽香・山川哲雄・山田義智:日本建築学会大会学術講演集(2004.8)、23186
現在実施されているコンクリート劣化診断方法は簡易ボーリングによる部分破壊検査方法であり、測定対象のコンクリート構造物に何箇所も穴を開けて標本を取り出す破壊検査方法である。検査費用が嵩むだけでなく、構造物に何箇所も穴を開けるため検査によって強度が低下する可能性があり、検査穴の完全な密閉を行うことは困難であるために雨水による侵食を促進する可能性も伴う。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンクリート劣化診断の判断材料となる含有塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空僚率等を簡易な交流電気試験法で非破壊的に検査できる方法と、その装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は検査のためにコンクリートに取り付ける電極の固定を簡易にし、検査コストを著しく低減させることである。
さらに、本発明の目的は、測定した導電率σの情報を基にコンクリート内部に埋め込まれた鉄筋や配管の位置を調べる検査方法と、その装置を提供することにある。
本願発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、コンクリートに成分として含まれる分子やイオンが外部電界に対してそれぞれ物質固有の分極周波数特性を有しており、特に永久分極性分子の配向分極特性は分子の双極子モーメント、分子量だけでなく、含有する分子の総数に依存して増加するので、配向分極現象に起因している比誘電率の周波数特性を測定すれば含有塩化物濃度、含水率等を測定できるという知見を得た。
加えて、本願発明者等は比誘電率εr測定時に測定に必要な交流電流の通流あるいは交流電圧の印加時に、直流電界あるいは直流磁界を印加すると、本来平坦な変化を遂げるはずの20kHz以下の低周波域で比誘電率εrが増加することを見出した。この比誘電率の増加現象は物質の種類や印加する直流電界や直流磁界の強度に依存した変化をすること、及び本来の平坦な数値に戻る周波数は物質によって固有な値を示すことを見出した。これによって、印加する直流電界や直流磁界の強度を変えながら測定を行うことで、酸化鉄量や空隙率に関しても測定できる方法を完成するに至った。
さらに、通常コンクリートの導電率や比誘電率を交流インピーダンス法で測定するためには、既知面積を有する2つの電極によって電極面積と等しい断面積を有する棒状測定対象物を挟み込み、精確に既知ギャップ長だけ離して2つの電極を対向させて固定する必要があった。本願発明者等は電極及び測定対象の3次元形状を考慮した導電率σと誘電率εを未知数とするインピーダンスあるいはアドミッタンスの数学的モデルを用いて実測値と計算値の最小二乗誤差が最小となる導電率σと誘電率εを推定する方法によって、電極及び測定対象物の形状に依存することなく、導電率σと比誘電率εrを測定する方法を完成するに至った。
図7に示すように、物質には一般的に外部電界に対して分極することに起因する誘電特性が存在している。分極要因には、界面分極、配向分極(双極子分極とも呼ばれる)、イオン分極、電子分極等が知られており、分極要因毎に外部電界に応答して追従できる限界周波数が存在している。例えば配向分極について説明すると、図8に示すように複数種の原子により構成される分子が全体として非対称な形状をしている場合には電子雲に偏りが生じて永久分極分子となっている。外部電界が存在しない場合には、図9b(中央)に示すように通常の温度環境下では各分子がランダムな方向を向いている配向状態になっている。しかし、安定な外部電界が存在している場合には分子自身にも極性があるため、図9a(左)または図9c(右)に示すように向きが揃う。これによって物質全体が分極するのである。これが配向分極と呼ばれる現象である。しかしながら、分子サイズ、質量、分極率(分極電荷量)等で依存する慣性モーメントを有するために、外部電界が交流電界である場合には応答して追従できる限界周波数を有するのである。限界周波数を超えると、各分子の向きが揃わなくなり、全体が分極しなくなるので誘電率が低下することになる。
各分極要因の追従限界周波数は物質を構成する分子や原子に依存して固有の値を持っているので、温度によって単一分子のみの物質に対する比誘電率特性の曲線は多少変化はするものの固有パターンを有している。複数種の分子で物質が構成される場合には、各分子の単位体積当りの個数で分極特性が与えられるので、例えば2種類の分子からなるよく混ざり合った混合液体なら、物質全体の比誘電率は各分子のモル当量比と比誘電率で与えられる。即ち、分子Aと分子Bのモル当量比をNa:Nbとし、比誘電率をそれぞれεa、εbとすれば、混合液体の比誘電率は数式1で与えられる。図10は混合液体の比誘電率がモル当量比に比例し、線形加算性が成立することを示した図である。従って、物質の比誘電率特性を調べれば、誘電率が低下する周波数やその変化の割合等の情報を基にしてどのような物質が含まれているのかを調べることができるのである。
さらに、本願発明者等は、交流インピーダンス法により物質の比誘電率を測定していた際に、直流電界や直流磁界を測定対象の物質に印加すると、一部の周波数帯域で印加していない場合に比して比誘電率が増加する現象を発見した。図11に示すように、界面分極と配向分極の追従限界周波数の間にこの誘電率増加現象は観測された。外部直流電界印加時だけでなく、直流磁界印加時にも同一の現象が観測されるため、本現象は交流電気試験装置の電源等の影響ではなく、物理現象として発生していると考えられる。本現象の原因として、交流電界が印加されない状態で本来ランダムな配向であるはずの分子の配向が外部の直流電界や直流磁界によって揃った状態となるために、分極率が向上するのではないかと考えている。図12に直流電界あるいは直流磁界を印加した場合の比誘電率特性変化の例示としてペンタノールの比誘電率測定結果を示す。本事例では直流電界は測定用電極に5Vないし10Vの直流電圧を印加して印加した。電極間ギャップ長から直流電界の強度はそれぞれ2500V/mと5000V/mに対応する。また、外部からの直流磁界の印加は表面磁束密度1.3kガウスのネオジウム磁石を標本ケースに近づけて実施した。
従来技術では、物質の精確な導電率σ及び比誘電率εrを計測しようとすると、電極面積S[平方メートル]と等しい断面積S[平方メートル]を持つ棒状サンプルを製作して、ギャップ長がd[m]となるように2枚の電極で挟み込んで交流インピーダンス法による計測を行う必要がある。真空誘電率をε0、測定周波数をf[Hz]、電流密度をJ、電界をEとすれば数式2の関係がある。電流をI、電圧をV、アドミッタンスをYとすると数式3と数式4の関係から数式2を変形して数式5が得られる。さらに、並列抵抗をRp、並列コンデンサをCpとすれば、数式6は数式7のように変形できるので数式8及び数式9に示すように導電率は並列抵抗Rpに反比例し、比誘電率εrは並列コンデンサCpに比例することがわかる。従って、アドミッタンスの実部と虚部のデータから導電率σと比誘電率εrを導出することができるのである。インピーダンスZの実部をR、虚部をXとすると数式10の関係から数式11と数式12が得られるので同様にインピーダンスZからも導電率σと比誘電率εrを導出することが可能である。
上述したように、電極面積S[平方メートル]と等しい断面積S[平方メートル]を持つ長さd[m]の棒状サンプルのインピーダンス、またはアドミッタンスを計測すればそれらの情報から物質の導電率σと比誘電率εrを容易に導出することが可能である。特に比誘電率εrの周波数特性には物質に含有する分子の分極特性に関する情報が含まれているので、含有成分を調べるのに有効である。しかしながら、コンクリートの劣化診断を目的として含有成分を調べようとする場合には、等しい面積を持った電極を対向させる条件や、検査対象のコンクリートの形状に関する条件が実用化のための障害になる。任意形状の電極やコンクリートを対象にした場合には電流密度が均質にならないので数式13のような関係になるのである。ここに関数gは周波数f[Hz]の関数である。
本願発明者等は、境界要素法、有限要素法あるいは回路網モデル等の順問題解法を使えば、導電率σと比誘電率εr、電極とコンクリートの3次元形状データ、及び電極間に印加する交流電圧の周波数f[Hz]を既知の情報として、外部から電極間に単位電圧振幅の交流電圧を印加した場合に電極間に通流する電流Iを計算できる点に着目した。特に電極とコンクリートの3次元形状を固定した情報として取り扱えば、電流は導電率σ、比誘電率εr及び周波数f[Hz]の関数I(σ, εr,f)になる。電圧Vと電流IとアドミッタンスYの関係は数式14であるので、単位電圧を印加する条件では数式15が成立する。即ち、測定周波数f[Hz]において実測アドミッタンスと計算アドミッタンスの差の絶対値の二乗が最小となる導電率σ、比誘電率εrを最小二乗法で求めることができ、電極やコンクリートの3次元形状に依存せずに導電率σと比誘電率εrを得ることができ、ひいては含有成分に関する情報を取り出すことができるのである。
以上の点に鑑みて、本願発明者等は次のように発明を完成させた。
請求項1に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、上記の課題を解決するために、測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ1と、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ2と、導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ1の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電流を通流した場合に発生する電極間複素電圧の実部R2と虚部X2を数学的モデルにより計算するステップ3と、電極間複素電圧の実測値である実部R1と虚部X1及びステップ3により得られた電極間複素電圧の計算値である実部R2と虚部X2から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ4と、ステップ4において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ5と、ステップ5において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電圧の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ6と、ステップ5において前記二乗誤差が所定値より小さかった場合に誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めるステップ7と、ステップ7の処理の後で導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値とするステップ8とにより構成され、所定値よりも小さな二乗誤差のコンクリートの導電率σと比誘電率εrを得るまでステップ3からステップ6までを繰り返すことを特徴としている。
上記の構成によれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項2に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、上記の課題を解決するために、 請求項1に記載の方法において、前記ステップ1を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ9に置き換えたことを特徴としている。
上記の構成によれば、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項3に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、上記の課題を解決するために、請求項1に記載の方法において、前記ステップ1を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流磁界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ10に置き換えたことを特徴としている。
上記の構成によれば、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査でき、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項4に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、上記の課題を解決するために、測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ11と、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ12と、導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ9の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電圧を印加した場合に通流する電極間複素電流の実部R4と虚部X4を数学的モデルにより計算するステップ13と、電極間複素電流の実測値である実部R3と虚部X3及びステップ13により得られた電極間複素電流の計算値である実部R4と虚部X4から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ14と、ステップ14において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ15と、ステップ15において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電流の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ16と、ステップ15において前記二乗誤差が所定値より小さかった場合に誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めるステップ17と、ステップ17の処理の後で導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値とするステップ18とにより構成され、所定値よりも小さな二乗誤差のコンクリートの導電率σと比誘電率εrを得るまでステップ13からステップ16までを繰り返すことを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項5に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、上記の課題を解決するために、請求項4に記載の方法において、前記ステップ11を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ19に置き換えたことを特徴としている。
上記の構成であれば、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査でき、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項6に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、上記の課題を解決するために、請求項4に記載の方法において、前記ステップ11を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流磁界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ20に置き換えたことを特徴としている。
上記の構成であれば、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査でき、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項7に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、交流電流を通流して測定する周波数f[Hz]のリストを作成するステップ21と、前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えるステップ22と、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23と、ステップ21で作成したリストの全ての周波数についてステップ23を実施したか否か判定するステップ24と、ステップ24において前記リストの周波数のうちステップ23を未実施と判定された周波数をリストから次の測定周波数として選択するステップ25と、ステップ24においてリストの全ての周波数についてステップ23を実施済みであった場合に導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めるステップ26により構成され、
リストの全ての周波数についてステップ23からステップ25を繰り返すことを特徴としている。
上記の構成であれば、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることができる。
請求項8に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、請求項7に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23が、請求項1に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であることを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることができる。
請求項9に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、請求項7に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23が、請求項2に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であることを特徴としている。
上記の構成であれば、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、さらに所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができる。
請求項10に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、請求項7に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23が、請求項3に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であることを特徴としている。
上記の構成であれば、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、さらに所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができる。
請求項11に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、交流電圧を印加して測定する周波数f[Hz]のリストを作成するステップ31と、前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えるステップ32と、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33と、ステップ31で作成したリストの全ての周波数についてステップ33を実施したか否か判定するステップ34と、ステップ34において前記リストの周波数のうちステップ33を未実施と判定された周波数をリストから次の測定周波数として選択するステップ35と、ステップ34においてリストの全ての周波数についてステップ33を実施済みであった場合に導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めるステップ36とからなり、リストの全ての周波数についてステップ33からステップ35を繰り返すことを特徴としている。
上記の構成であれば、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることを特徴とする。
請求項12に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、請求項11に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33が、請求項4に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であることを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、さらに所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることができる。
請求項13に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、請求項11に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33が、請求項5に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であることを特徴としている。
上記の構成であれば、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、さらに所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができる。
請求項14に記載のコンクリート含有成分の検査方法は、上記の課題を解決するために、請求項11に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33が、請求項6に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であることを特徴としている。
上記の構成であれば、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、さらに所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができる。
請求項15に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部41と、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を電流に変換して出力する電圧電流変換部42と、測定対象となるコンクリートに接触しており電圧電流変換部42からの信号の供給を受けるとともに電圧を測定するための信号を取り出す目的の電極43aと43bと、電極43aと43bからの電圧信号の供給を受けて発振部41から供給される正弦波と余弦波による直交検波を行って交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1を出力する直交検波部44と、直交検波部44からの信号の供給を受けてディジタルデータにA/D変換するA/D変換部45と、A/D変換部45から供給される周波数f[Hz]における交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1のデータと測定周波数と電極及びコンクリートの3次元形状と未知数である導電率σ及び誘電率εに基づいて交流インピーダンスの実部R2及び虚部X2を演算して最小二乗法による推定処理を行うことによって前記未知数である導電率σ及び誘電率εを決定して誘電率εから比誘電率εrを得るデータ処理部46と、データ処理部46から供給される情報を表示する表示部47とにより構成されている。
上記の構成によれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項16に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項15に記載のコンクリート含有成分測定装置において、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を電流に変換して出力する電圧電流変換部42にコンクリートに直流電界を印加する機能を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができる。
請求項17に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項15に記載のコンクリート含有成分測定装置において、コンクリートに直流磁界を印加する磁気印加部48を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができる。
請求項18に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部41と、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を出力するとともに通流する電流を電圧に変換して出力する機能を設けた電圧駆動部49と、測定対象となるコンクリートに接触しており電圧駆動部49からの信号の供給を受ける電極43aと43bと、電圧駆動部49からの通流する電流を電圧に変換した信号の供給を受けて発振部41から供給される正弦波と余弦波による直交検波を行って交流アドミッタンスの実部R3及び虚部X3を出力する直交検波部44と、直交検波部44からの信号の供給を受けてディジタルデータにA/D変換するA/D変換部45と、A/D変換部45から供給される周波数f[Hz]における交流アドミッタンスの実部R3及び虚部X3のデータと測定周波数と電極及びコンクリートの3次元形状と未知数である導電率σ及び誘電率εに基づいて交流アドミッタンスの実部R4及び虚部X4を演算して最小二乗法による推定処理を行うことによって前記未知数である導電率σ及び誘電率εを決定して誘電率εから比誘電率εrを得るデータ処理部46と、データ処理部46から供給される情報を表示する表示部47とにより構成されることを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
請求項19に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項18に記載のコンクリート含有成分測定装置において、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を出力するとともに通流する電流を電圧に変換して出力する機能を設けた電圧駆動部49に直流電界を印加する機能を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができる。
請求項20に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項18に記載のコンクリート含有成分測定装置において、コンクリートに直流磁界を印加する磁気印加部48を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができる。
請求項21に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項16に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、コンクリートに含有する塩化物濃度、含水率だけでなく、酸化鉄量、空隙率についても測定することができる。
請求項22に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項17に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、コンクリートに含有する塩化物濃度、含水率だけでなく、酸化鉄量、空隙率についても測定することができる。
請求項23に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項19に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、コンクリートに含有する塩化物濃度、含水率だけでなく、酸化鉄量、空隙率についても測定することができる。
請求項24に記載のコンクリート含有成分測定装置は、上記の課題を解決するために、請求項20に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加した構成であることを特徴としている。
上記の構成であれば、コンクリートに含有する塩化物濃度、含水率だけでなく、酸化鉄量、空隙率についても測定することができる。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、以上のように交流インピーダンス法による測定で得られる情報と、設計情報に基づく電極の3次元形状と、測定対象のコンクリート構造物の3次元形状及び電極の取り付け位置等に関する情報に基づいて、コンクリートの導電率σと比誘電率εrを最小二乗法により求めることができる方法を含んだ構成である。
それ故、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく、コンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定する方法を提供できるという特有の効果を奏する。
また、本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、以上のように電界または磁界を印加した状態でコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定する方法を含んだ構成である。
それ故、電界または磁界の印加時に印加しない状態に比して比誘電率が変化する物質がコンクリート内部に含まれるか否かを調べる方法を提供できるという特有の効果を奏する。
本発明のコンクリート含有成分の検査方法は、以上のように複数の周波数に対するコンクリートの導電率σと比誘電率εrの特性を測定する方法を含んだ構成である。
それ故、コンクリート構造物に含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率等を非破壊的に検査することができる方法を提供できるという特有の効果を奏する。
本発明のコンクリート含有成分測定装置は、以上のようにコンクリート構造物に接触させた電極を用いて交流インピーダンスあるいは交流アドミッタンスを測定を行い、測定で得られる情報と、設計情報に基づく電極の3次元形状と、測定対象のコンクリート構造物の3次元形状及び電極の取り付け位置等に関する情報に基づいて、コンクリートの導電率σと比誘電率εrを最小二乗法により求めることができる手段を含んだ構成である。
それ故、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく、コンクリートの導電率σと比誘電率εrを非破壊的に測定する装置を提供できるという特有の効果を奏する。
また、本発明のコンクリート含有成分測定装置は、以上のように電界または磁界を印加した状態で非破壊的にコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定する手段を含んだ構成である。
それ故、電界または磁界の印加時に印加しない状態に比して比誘電率が変化する物質がコンクリート内部に含まれるか否かを調べる装置を提供できるという特有の効果を奏する。
本発明の本発明のコンクリート含有成分測定装置は、以上のように複数の周波数に対するコンクリートの導電率σと比誘電率εrの特性を測定する手段を含んだ構成である。
それ故、コンクリート構造物に含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率等を非破壊的に検査することができる装置を提供できるという特有の効果を奏する。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、以上のように非破壊的にコンクリートの導電率σを調べる方法を含んだ構成である。測定で得られる導電率σはコンクリートの測定対象領域の平均的な値となるので、接触させている測定用電極近傍のコンクリート内部に鉄筋や配管が埋め込まれている場合には導電率σが増加する。これはコンクリートの導電率に比して配管や鉄筋の導電率が1000倍以上大きいためである。従って、電極を接触する位置を変えながら周囲に比して高導電率を示す部位を探せばコンクリート構造物に埋め込まれた鉄筋や配管の位置を調べることができる。
それ故、コンクリート構造物に埋め込まれた鉄筋や配管の位置を非破壊的に調べる装置を提供できるという特有の効果を奏する。
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、測定用電極1A及び1Bを含んでいる。電極1A及び1Bの電極材料としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属のほか、塩化銀や導電性樹脂等が挙げられる。電極1A及び1Bの電極材料としてはステンレス製の細線を多芯撚り線にしたステンレスワイヤーを用いることが特に好ましい。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ1を含んでいる。
ステップ1としては、例えば、LCRメーター、インピーダンスアナライザあるいはスペクトラムアナライザー等の既存の測定装置を用いて交流インピーダンス法の測定を行う方法が挙げられる。
等価的には、ステップ1は、電極1Aと1Bに対して単位電流振幅を有する交流電流を通流している時に電極間に発生する交流電圧の正弦波及び余弦波成分を直交検波装置により測定する方法であっても良く、実際には任意の電流振幅を有する交流電流を通流している時に電極間に発生する交流電圧の正弦波及び余弦波成分を直交検波装置により測定し、それぞれの検波成分を通流した電流の振幅値で除算する方法であっても良い。
さらにインピーダンスの絶対値|Z|と位相角θ、または複素アドミッタンスの実部と虚部、あるいは並列抵抗Rp及び並列コンデンサCp等を測定したのち、それらの数値を複素インピーダンスに換算し直す方法であっても良い。
また、本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ11を含んでいる。
ステップ11としては、例えば、LCRメーター、インピーダンスアナライザあるいはスペクトラムアナライザー等の既存の測定装置を用いて交流インピーダンス法の測定を行う方法が挙げられる。
また、等価的には、ステップ11は、電極1Aと1Bに対して単位電圧振幅を有する交流電圧を印加している時に電極を通して通流する交流電流の正弦波及び余弦波成分を直交検波装置により測定する方法であっても良く、実際には任意の電圧振幅を有する交流電圧を印加している時に電極を通じて通流する交流電流の正弦波及び余弦波成分を直交検波装置により測定し、それぞれの検波成分を印加した電圧の振幅値で除算する方法であっても良い。
さらにアドミッタンスの絶対値|Y|と位相角θ、または複素インピーダンスの実部と虚部、あるいは並列抵抗Rp及び並列コンデンサCp等を測定したのち、それらの数値を複素アドミッタンスに換算し直す方法であっても良い。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ2と、導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ1の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電流を通流した場合に発生する電極間複素電圧の実部R2と虚部X2を数学的モデルにより計算するステップ3と、電極間複素電圧の実測値である実部R1と虚部X1及びステップ3により得られた電極間複素電圧の計算値である実部R2と虚部X2から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ4と、ステップ4において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ5と、ステップ5において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電圧の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ6を含んでおり、導電率σと誘電率εと電極とコンクリートの形状データ等を基に計算した複素インピーダンスと実測複素インピーダンスとが最小二乗誤差となるような逆問題解法を含んでいる。
導電率σと誘電率εと電極とコンクリートの形状データ等を基に複素インピーダンスを計算する方法としては、例えば単位電流振幅の交流電流を電極に通流した時に電極間に発生する交流電圧を境界要素法、有限要素法あるいは回路網モデル等の数学的モデルを用いて計算する方法が挙げられる。
前記回路網モデルでは2次元または3次元のノード間にコンデンサと抵抗を並列に接続した要素モデルを採用することが好ましい。
また、コンクリートについては必ずしも構造物全体を考慮する必要はなく、電極が接触している近傍の電極サイズに比して3倍から5倍程度の範囲までを考慮すれば十分である。さらに空気部分については導電率σを0とし、誘電率εを真空誘電率ε0として取り扱えばよい。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ12と、導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ9の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電圧を印加した場合に通流する電極間複素電流の実部R4と虚部X4を数学的モデルにより計算するステップ13と、電極間複素電流の実測値である実部R3と虚部X3及びステップ13により得られた電極間複素電流の計算値である実部R4と虚部X4から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ14と、ステップ14において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ15と、ステップ15において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電流の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ16を含んでおり、導電率σと誘電率εと電極とコンクリートの形状データ等を基に計算した複素アドミッタンスと実測複素アドミッタンスとが最小二乗誤差となるような逆問題解法を含んでいる。
導電率σと誘電率εと電極とコンクリートの形状データ等を基に複素アドミッタンスを計算する方法としては、例えば単位電圧振幅の交流電圧を電極間に印加した時に電極に通流する交流電流を境界要素法、有限要素法あるいは回路網モデル等の数学的モデルを用いて計算する方法が挙げられる。
前記回路網モデルでは2次元または3次元のノード間にコンデンサと抵抗を並列に接続した要素モデルを採用することが好ましい。
また、コンクリートについては必ずしも構造物全体を考慮する必要はなく、電極が接触している近傍の電極サイズに比して3倍から5倍程度の範囲までを考慮すれば十分である。さらに空気部分については導電率σを0とし、誘電率εを真空誘電率ε0として取り扱えばよい。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、電極間複素電圧の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ6及びステップ16を含んでいる。例えば、現在の導電率推定値σあるいは誘電率推定値εを微小所定量ΔσあるいはΔεだけ増減した場合の電極間複素電圧を計算し、実測値との二乗誤差が改善する数値を探す方法が挙げられる。
即ち、より二乗誤差が改善する導電率σを探すには、εを固定し、σ+Δσとσ−Δσの2つのケースを計算し、σのケースよりも前記二乗誤差が改善する数値を採用すればよい。どちらも二乗誤差が改善されない場合にはΔσをより小さな値に変更して再度計算し直す。
また、より二乗誤差が改善する誘電率εを探すには、σを固定し、ε+Δεとε−Δεの2つのケースを計算し、εのケースよりも前記二乗誤差が改善する数値を採用すればよい。どちらも二乗誤差が改善されない場合にはΔεをより小さな値に変更して再度計算し直す。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ9において、測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加する手順が含まれている。直流電界の印加は絶縁された定電圧電源をダイオードを通して電極に接続することによって実現できる。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ19において、測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加する手順が含まれている。直流電界の印加は絶縁された定電圧電源をダイオードを通して電極に接続することによって実現できる。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法は、ステップ10及びステップ20に直流磁界を印加する手順が含まれている。永久磁石をコンクリートに近づけるか、または有芯または空芯の電磁磁石あるいはコイルに直流電流を通流させることにより実現できる。
本発明のコンクリート含有成分測定装置は、指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部41が含まれている。発振部41は例えば同一クロックで同期動作する2つのDirect Digital Synthesizer(DDSと呼ばれる)を同一周波数で発振させ、出力位相を90度ずらせる設定にすることによって実現できる他、正弦波発振器とPhase Locked Loop(PLLと呼ばれる)と電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator)を用いて正弦波発振器の信号に電圧制御発振器の信号をロックさせることで実現できる。
本発明のコンクリート含有成分測定装置は電極43aと43bを含んでいる。電極43aと43bの電極材料としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属のほか、塩化銀や導電性樹脂等が挙げられる。電極1A及び1Bの電極材料としてはステンレス製の細線を多芯撚り線にしたステンレスワイヤーを用いることが特に好ましい。
またコンクリート壁に接触させやすい構造としては、同心円状のステンレスワイヤー電極を構成することが好ましい。
本発明のコンクリート含有成分測定装置は直交検波部44を含んでいる。直交検波部44は、乗算器で入力信号に正弦波信号を乗じて低域濾波器を通して直流成分を取り出すとともに、別の乗算器で入力信号に余弦波信号を乗じて低域濾波器を通して直流成分を取り出すことが可能な構成であることが好ましい。また、入力信号をA/D変換器でディジタル信号に変換した後でデータプロセッサによるソフトウェア演算を行い、正弦波あるは余弦波と等価なディジタル信号による乗算処理を施し、その結果をディジタルフィルタに通して低域濾波処理を行う構成でもよい。
本発明の用途としては、例えばコンクリート構造物の劣化診断を目的としたコンクリート含有成分の非破壊検査、鉄筋コンクリート造の建物の改修やコンクリート構造物の補修に伴う鉄筋や配管の埋設位置を調べるための非破壊検査が挙げられる。
図2に示すような棒状コンクリートに含有する成分と比誘電率特性の関係を調べる方法とその結果を用いた比誘電率から含有成分量を測定する方法について例示する。図2に示す棒状コンクリートは直径100mm、長さ250mmの円筒状であり、含有塩化物濃度を各々0.0kg/立法メートル、0.6kg/立法メートル、1.2kg/立法メートル、2.4kg/立法メートルとした4種類のコンクリート試験体を製作している。含有する塩化物濃度は、コンクリート材料に塩化物イオンを混ぜ込む重量を制御することにより実現している。
上記コンクリート試験体の所定の2箇所にステンレス製細線を他芯撚り線としたステンレスワイヤーを棒の周囲に1ターン巻いて端部を圧着端子で固定して測定用電極1A及び1Bとしている。事前に作成したlogスパンの測定周波数リストに基づいて500[Hz]から5[MHz]まで50点の周波数についてLCRメーターを用いてインピーダンス絶対値|Z|と位相角θの周波数特性を測定している。インピーダンス絶対値|Z|の測定結果を図3に、位相角θの測定結果を図4に例示する。インピーダンスZの実部R1と虚部X1はそれぞれ数式16と数式17の関係を用いて計算することができる。インピーダンス絶対値|Z|と位相角θの周波数特性測定結果を基にして数式16及び数式17により求めたインピーダンスZの実部R1及び虚部X1の実測値に基づく計算結果をそれぞれ図5及び図6に示す。
従来技術により明らかなように、インピーダンス絶対値|Z|はコンクリートに含有する塩化物濃度に対して殆ど変化しない。また、インピーダンスZの位相角θ、実部R1と虚部X1ともに、わずかな含有塩化物が混入しても大きく変化するが、反面すぐ飽和してしまうために、濃度に依らずほぼ同一の曲線変化を起こし、これらの量を測定しても含有塩化物濃度を調べることができないことがわかる。
導電率をσ、真空誘電率をε0、比誘電率をεr、測定周波数をf[Hz]、電流密度をJ、電界をEとすれば数式5の関係がある。即ち、断面積S平方メートル、長さd[m]の微小な直方体のアドミッタンスYを考えれば、数式7で示されるように並列抵抗Rpと並列コンデンサCpで置換することができることを示している。即ち、図17に図示した抵抗とコンデンサを要素とする回路網で物質の電気的特性を置き換えることができるのである。3次元的な構造を有する物体については図18で示すように1つのノードから六方に図17の要素が接続された3次元格子状の回路網モデルを用いる。空気部分の要素については導電率σを0、誘電率εを真空誘電率ε0として固定の値を用い、測定対象構造物の内部に位置する要素については導電率σと誘電率εを与える。これにより、直方体形状の小領域を抵抗とコンデンサからなる要素が集合した3次元的な回路網モデルで置き換えることができ、「線形な回路網中の任意の1点に流入する電流の総和と、流出する電流の総和は等しい。」とするキルヒホッフの第一法則と、「線形な回路網中の任意の閉回路において、一定の方向にたどった起電力の総和は、電圧降下の総和に等しい。」とするキルヒホッフの第二法則を用いて方程式を解くことができるのである。
但し、定電圧振幅で駆動される電極が接しているノードについては強制的に駆動電圧となる条件を満たすものとし、電極から流入する電流は電極が接しているノードの流入電流として取り扱う。回路網モデルは連立方程式を解いてもよく、回路シミュレータによっても容易に計算を行うことができる。板状のコンクリートに対しては図19に示すように2次元回路網モデルを用いて回路シミュレータで解くことができる。
電極と測定対象のコンクリートの構造を考慮してコンクリート部分の導電率をσ、誘電率をεとする回路網モデルを用いて既知の定電圧振幅の交流電圧信号Vを電極に印加した場合に通流する交流電流Iを求めれば、数式14よりアドミッタンスYを計算により得ることができる。
また、既知の定電流振幅の交流電流信号Iを電極に通流した場合に電極間に誘起する交流電圧Vを求めれば、数式18よりインピーダンスZを計算により得ることができる。
図13に回路網モデルによる計算結果の一例として、点線で等電位面を、矢印で電流の通流方向を示した円筒形コンクリートの断面図を示す。一部のコンクリートに導電率σや誘電率εが異なる領域が存在する場合には対応する要素の抵抗値やコンデンサの容量を変更することで図14のような場合でも計算を行うことができる。
この計算は、回路網モデルによる解法に限定されるものでなく、境界要素法や有限要素法によっても同様に行うことができる。
従来技術で物質の導電率σや比誘電率εを測定する場合では、電極面積と試験体の断面積は一致しているため、物質が均質であれば電流密度は均一である。
しかしながら、この測定の場合には、棒状コンクリートの周囲にステンレスワイヤーを巻き付けた電極を使用しているので、図13に示したように、電流密度には偏りが生じており、コンクリート表面の電流密度が最も高く、電極から遠ざかっている中心部分の電流密度は低くなっている。
図15に実測インピーダンス|Z|と位相角θから求めた並列抵抗Rpの周波数特性を、図16に並列コンデンサCpの周波数特性を示す。並列抵抗RpはインピーダンスZの位相角θ、実部R1、虚部X1と同様に僅かな塩化物の含有で飽和する傾向を示している。一方、並列コンデンサCpは濃度に対する飽和傾向は見られるもののコンクリートの含有塩化物濃度に対応して明瞭に分離された特性を示している。
このケースでは導電率σ、誘電率εともに周波数fの関数となってしまうため、本来導電率σ、誘電率εともに平坦であるはずの周波数においても勾配を持ち、感度も非線形な関数になっている。このため、並列抵抗Rpと導電率σには相関があるものの、並列抵抗Rpは非線形関数によって本来の周波数特性とは一致していない。また、同様に並列コンデンサCpと誘電率εにも相関があるものの、並列コンデンサCpは非線形関数によって本来の周波数特性とは一致していないのである。
そこで、上述の回路網モデルに基づく計算によるインピーダンスZの実部R2と虚部X2が、実測インピーダンスZの実部R1と虚部X1と一致するように導電率σと誘電率εを推定する処理を測定した周波数毎に行う。推定誤差を評価する関数としては、数式19に示すように2つの複素ベクトルの差の絶対値の二乗を用いる。この評価関数Eが最小となる導電率σと誘電率εを推定する。
評価関数Eをより小さな値に改善するより適切な導電率σと誘電率εの求め方には勾配法や最急降下法等の多数のアルゴリズムが知られているが、最も簡易なアルゴリズムの1例を挙げる。
電極に周波数f[Hz]の単位振幅を有する正弦波電流Iを印加した場合に電極間に誘起する複素電圧Vが境界要素法、有限要素法あるいは回路網モデルにより、関数g(f,σ,ε)で与えられるものとすると、数式18より数式20が与えられ、関数gが計算による複素インピーダンスとなる。
導電率σについて評価関数Eを改善するより適切な値を求める場合には、微小量Δσだけ現在値よりも増減した場合のインピーダンスg(f,σ−Δσ,ε)とg(f,σ+Δσ,ε)を求め、各々を計算値インピーダンスとした場合の評価関数値Eを求め、評価関数値が最も小さな値となるのが、σ−Δσの場合なのか、σ+Δσの場合なのか、σの場合なのかを調べる。
σ−Δσに対する評価関数値Eが最小となった場合にはσ−Δσを導電率σの新しい値とする。また、σ+Δσに対する評価関数値Eが最小となった場合にはσ+Δσを導電率σの新しい値とする。σに対する評価関数値Eが最小となった場合にはΔσをさらに小さな値に変更して評価関数Eが改善する導電率σを求める。
評価関数値Eが改善する導電率σが求まったら、次に誘電率εを同様の手順で求める。
誘電率εについて評価関数Eを改善するより適切な値を求める場合には、微小量Δεだけ現在値よりも増減した場合のインピーダンスg(f,σ,ε−Δε)とg(f,σ,ε+Δε)を求め、各々を計算値インピーダンスとした場合の評価関数値Eを求め、評価関数値が最も小さな値となるのが、ε−Δεの場合なのか、ε+Δεの場合なのか、εの場合なのかを調べる。
ε−Δεに対する評価関数値Eが最小となった場合にはε−Δεを誘電率εの新しい値とする。また、ε+Δεに対する評価関数値Eが最小となった場合にはε+Δεを誘電率εの新しい値とする。εに対する評価関数値Eが最小となった場合にはΔεをさらに小さな値に変更して評価関数Eが改善する誘電率εを求める。
評価関数値Eが所定値以下になるまで上記の処理を繰り返すことで、導電率σと誘電率εを求めることができる。
各測定周波数毎に導電率σと誘電率εの推定処理を施し、誘電率εを真空誘電率ε0で除することにより図24に例示するように比誘電率εrの周波数特性を得ることができる。
以上のように、本願発明によれば、図16の並列容量Cpでは電極とコンクリートの形状及び取り付け位置の関係で非線形化していた特性が上記の処理によって線形化され、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができる。
さらに、本願発明によれば、コンクリートに含有する塩化物濃度と比誘電率の変化量との関係が線形化されているので、測定した比誘電率周波数特性に基づいて含有塩化物濃度並びに含水率を測定することが可能になる。
水分子は単体では比誘電率80程度であり、配向分極に追従する限界周波数が1GHz以上であるため、含有塩化物濃度を測定することを目的とする周波数領域においては常に平坦な一定値を取る。塩化物の配向分極追従限界周波数以上で1GHz未満の周波数領域では、測定される比誘電率εrはコンクリート自身の誘電率と含水率に応じた比率で配分された比誘電率となるので、この領域の比誘電率εrの解析から含水率が得られる。
含有塩化物濃度を測定することを目的とする周波数領域における比誘電率から含水率に基づく比誘電率の増加量を差し引けば、含水率に依らない含有塩化物濃度に対応した比誘電率が得られるので、精確に誘電率からコンクリートに含有する塩化物の濃度を求めることができるのである。
また、電極を接触させる位置を変えながら周囲に比して導電率が高い場所を探すことにより、コンクリートに鉄筋または配管が埋設されている場所を探すことができる。
また、交流インピーダンスの測定中に、測定用電極1Aと1B間に直流電圧を印加すれば、コンクリートに電界を印加しながら比誘電率の測定を行うことができるので、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有したコンクリートの検査を行うことができる。具体的には、酸化鉄と水分子は永久分極分子であるので、所定強度以上の直流電界が印加され、配向が強制的に揃えられたた状態で外部交流電界の印加を受けると、直流電界を印加しない場合に比して配向 分極の実効効率が向上するので、比誘電率が増加する。
この比誘電率の増加が認められる周波数帯域は分子サイズ、分極電荷の大きさ、分子量等で異なる。酸化鉄の方が水分子に比して重いので直流電界印加時の追従限界周波数は酸化鉄の方が水分子よりも低い周波数に位置し、酸化鉄に対応する追従限界周波数を挟んだ領域の比誘電率の変化幅から酸化鉄量を求めることができる。
また、同様に水分子に対応する追従限界周波数を挟んだ領域の比誘電率の変化幅から電界印加が作用した部分である空隙以外の領域に対する比誘電率の増加量が求まるので、既に判明している含水率から空隙率を求めることができる。
また、交流インピーダンスの測定中に、測定用電極1Aと1B間に直流磁界を印加すれば、コンクリートに磁界を印加しながら比誘電率の測定を行うことができるので、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有したコンクリートの検査を行うことができる。具体的には、酸化鉄と水分子は永久分極分子であるので、所定強度以上の直流磁界が印加され、配向が強制的に揃えられたた状態で外部交流電界の印加を受けると、直流磁界を印加しない場合に比して配向 分極の実効効率が向上するので、比誘電率が増加する。
この比誘電率の増加が認められる周波数帯域は分子サイズ、分極電荷の大きさ、分子量等で異なる。酸化鉄の方が水分子に比して重いので直流磁界印加時の追従限界周波数は酸化鉄の方が水分子よりも低い周波数に位置し、酸化鉄に対応する追従限界周波数を挟んだ領域の比誘電率の変化幅から酸化鉄量を求めることができる。
また、同様に水分子に対応する追従限界周波数を挟んだ領域の比誘電率の変化幅から磁界印加が作用した部分である空隙以外の領域に対する比誘電率の増加量が求まるので、既に判明している含水率から空隙率を求めることができる。
図20に図示のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法において、ステップ1において、撚り線ステンレスワイヤーを電極材料とする測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定している。具体的には、LCRメーターを用いてステップ1の交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定している。この測定は、インピーダンスアナライザやスペクトラム・アナライザ等の市販の測定機器を用いてもよく、ファンクション・ジェネレーターの出力電圧を電圧−電流変換装置で電流に変換して電極を駆動し、直交検波器により正弦波検波成分と余弦波検波成分をそれぞれインピーダンスZの実部R1と虚部X1としてもよい。あるいは測定する量はインピーダンス絶対値|Z|と位相角θで数式16と数式17を用いてインピーダンスZの実部R1と虚部X1を求めてもよい。あるいは測定する量は複素アドミッタンスYで数式21を用いてインピーダンスZに変換し、インピーダンスZの実部R1と虚部X1を求めてもよい。
ステップ2においては、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えて解析用の数値としている。
ステップ3においては、導電率をσ、誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ1の測定に用いたのと同一3次元形状の電極を接触させた状態で、電極に周波数f[Hz]の単位電流を外部から通流した場合に発生する電極間複素電圧の実部R2と虚部X2を数学的モデルにより計算している。電極間複素電圧の実部R2と虚部X2の計算に利用できる数学モデルとしては、境界要素法、有限要素法、回路網モデル等が挙げられる。
ステップ4においては、電極間複素電圧の実測値である実部R1と虚部X1及びステップ3により得られた電極間複素電圧の計算値である実部R2と虚部X2から実測値と計算値の差の複素絶対値の二乗を評価関数Eとして求めている。評価関数Eを数式22に記す。
ステップ5においては、ステップ4において求めた評価関数Eの値である二乗誤差が所定値より小さいか否かについて判定を実施している。ステップ5において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に、ステップ6において電極間複素電圧の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めた後、ステップ3に戻り、ステップ5において前記二乗誤差が所定値より小さくなるまでステップ3からステップ6を繰り返している。
ステップ5において前記二乗誤差が所定値より小さくなった場合には、ステップ7に進み、ステップ7において誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めている。その後でステップ8において、導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値としている。
以上の構成により、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定している。
図21に図示のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法において、ステップ11において、撚り線ステンレスワイヤーを電極材料とする測定用電極1A及び1Bに周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極を通じて流れる複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定している。具体的には、LCRメーターを用いてステップ11の交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定している。この測定は、インピーダンスアナライザやスペクトラム・アナライザ等の市販の測定機器を用いてもよく、ファンクション・ジェネレーター出力で電極を駆動し、電極を通じて流れる電流を電流−電圧変換装置で電圧に変換して直交検波器により正弦波検波成分と余弦波検波成分をそれぞれアドミッタンスYの実部R3と虚部X3としてもよい。あるいは測定する量はアドミッタンス絶対値|Y|と位相角θで数式23と数式24を用いてアドミッタンスYの実部R3と虚部X3を求めてもよい。あるいは測定する量は複素インピーダンスZで数式10を用いてアドミッタンスYに変換し、アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を求めてもよい。
ステップ12においては、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えて解析用の数値としている。
ステップ13においては、導電率をσ、誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ11の測定に用いたのと同一3次元形状の電極を接触させた状態で、電極に周波数f[Hz]の単位電圧を外部から印加した場合に電極を通じて流れる電極複素電流の実部R4と虚部X4を数学的モデルにより計算している。電極複素電流の実部R4と虚部X4の計算に利用できる数学モデルとしては、境界要素法、有限要素法、回路網モデル等が挙げられる。
ステップ14においては、電極複素電流の実測値である実部R3と虚部X3及びステップ13により得られた電極複素電流の計算値である実部R4と虚部X4から実測値と計算値の差の複素絶対値の二乗を評価関数Eとして求めている。評価関数Eを数式25に記す。
ステップ15においては、ステップ14において求めた評価関数Eの値である二乗誤差が所定値より小さいか否かについて判定を実施している。ステップ15において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に、ステップ16において電極複素電流の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めた後、ステップ13に戻り、ステップ15において前記二乗誤差が所定値より小さくなるまでステップ13からステップ16を繰り返している。
ステップ15において前記二乗誤差が所定値より小さくなった場合には、ステップ17に進み、ステップ17において誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めている。その後でステップ18において、導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値としている。
以上の構成により、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定している。
図22に図示のコンクリート含有成分の検査方法において、ステップ21では交流電流を通流して測定する周波数f[Hz]のリストを作成している。次のステップ22では、前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えている。
ステップ23においては、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めている。
次のステップ24においては、ステップ21で作成したリストの全ての周波数についてステップ23を実施したか否か判定を行い、ステップ24において前記リストに記載されている周波数についてステップ23を実施していない周波数が残されている場合には、ステップ25においてリストから測定未実施の周波数を選択してステップ23に戻り、ステップ24においてリストの全ての周波数についてステップ23を実施済みであると判断されるまでステップ23からステップ25を繰り返している。
具体的なステップ23の処理は実施例2で詳細に記述される。
ステップ24において前記リストの全ての周波数に対してステップ23を実施したことを確認した場合に、ステップ26において導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めている。
以上のように本実施例においては、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることができる。
コンクリートに含有する塩化物濃度に対応する分極特性と比誘電率は密接な関係にあり、ステップ23の処理を所定の周波数に対して実施することで、塩化物の配向分極追従限界周波数を挟んだ周波数領域の比誘電率の変化量を非破壊的に測定することができるのであり、前記比誘電率の変化量に基づいて含有塩化物濃度を求めることができるのである。
図23に図示のコンクリート含有成分の検査方法において、ステップ31では交流電圧を印加して測定する周波数f[Hz]のリストを作成している。次のステップ32では、前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えている。
ステップ33においては、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極を通して流れる複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めている。
次のステップ34においては、ステップ31で作成したリストの全ての周波数についてステップ33を実施したか否か判定を行い、ステップ34において前記リストに記載されている周波数についてステップ33を実施していない周波数が残されている場合には、ステップ35においてリストから測定未実施の周波数を選択してステップ33に戻り、ステップ34においてリストの全ての周波数についてステップ33を実施済みであると判断されるまでステップ33からステップ35を繰り返している。
具体的なステップ33の処理は実施例3で詳細に記述される。
ステップ34において前記リストの全ての周波数に対してステップ33を実施したことを確認した場合に、ステップ36において導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めている。
以上のように本実施例においては、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることができる。
コンクリートに含有する塩化物濃度に対応する分極特性と比誘電率は密接な関係にあり、ステップ33の処理を所定の周波数に対して実施することで、塩化物の配向分極追従限界周波数を挟んだ周波数領域の比誘電率の変化量を非破壊的に測定することができるのであり、前記比誘電率の変化量に基づいて含有塩化物濃度を求めることができるのである。
図1に図示のコンクリート含有成分測定装置は、指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部41と、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を電流に変換して出力する電圧電流変換部42と、測定対象となるコンクリートに接触しており電圧電流変換部42からの信号の供給を受けるとともに電圧を測定するための信号を取り出す目的の電極43aと43bと、電極43aと43bからの電圧信号の供給を受けて発振部41から供給される正弦波と余弦波による直交検波を行って交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1を出力する直交検波部44と、直交検波部44からの信号の供給を受けてディジタルデータにA/D変換するA/D変換部45と、A/D変換部45から供給される周波数f[Hz]における交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1のデータと測定周波数と電極及びコンクリートの3次元形状と未知数である導電率σ及び誘電率εに基づいて交流インピーダンスの実部R2及び虚部X2を演算して最小二乗法による推定処理を行うことによって前記未知数である導電率σ及び誘電率εを決定して誘電率εから比誘電率εrを得るデータ処理部46と、データ処理部46から供給される情報を表示する表示部47とにより構成されている。
発振部41は、周波数f[Hz]の互いに同期した正弦波と余弦波を発生するために、共通のディジタルクロックを発生するオッシレーターと、前記オッシレーターから供給される共通のクロックによって制御された2つのDirect Digital Synthesizer(以下DDSと呼ぶ。)により構成されている。2つのDDSは同一の周波数f[Hz]のサイン波を出力するように設定されているが、出力する位相は片方が0度に、もう片方が90度に設定されている。このため、発振部41は同一のクロックで完全に同期がとれた正弦波と余弦波を出力することができる。2つのDDSに対する設定処理は図示されないインターフェースを介してデータ処理部46により実行されている。
発振部41が出力する正弦波信号は電圧電流変換部42と直交検波部44に供給されている。電圧電流変換部42では所定の換算定数で電圧が電流に変換され、電極43aと電極43bを通じてコンクリートに交流電流を供給している。
直交検波部44は電極43aと43b間に発生する交流電圧の電位差を差動増幅器で増幅を施し、2つの独立した乗算器に信号を供給している。各々の乗算器には発振部41から周波数f[Hz]の正弦波と余弦波が供給されており、電極間電位差に対する正弦波成分の乗算結果と余弦波成分の乗算結果を各乗算器出力に接続された濾波器を通して高周波成分をカットしたのち、A/D変換部45においてアナログ信号からディジタル信号に変換された後、データ処理部46に供給されている。さらに、データ処理部46において解析された結果は表示部47に出力されて情報のディスプレイ表示が行われる。
本実施例のコンクリート含有成分測定装置は、所定振幅の電流を電極43aと43bを介してコンクリートに流し、直交検波器により電極間電位差の複素電圧を取得している。従って、データ処理部46において複素電圧の実部と虚部をそれぞれ通流した電流の振幅値で割れば、周波数f[Hz]における交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を得ることができる。
データ処理部では、導電率σと誘電率εを仮定し、仮定値に基づく電極間交流インピーダンスZの実部R2と虚部X2を回路網モデルにより計算する。そして、実測複素インピーダンスと計算複素インピーダンスの差の複素絶対値の二乗値Eを数式19の評価式に従って算出し、この評価値Eが所定の数値より小さな値になるまで、最急降下法に従って導電率σと誘電率εを変更する処理を行っている。この処理によって誘電率εが確定した後、真空誘電率ε0で割ることにより、比誘電率εrを算出している。
以上の動作により、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを可能にしている。
塩化物の配向分極追従限界周波数は水分子の配向分極追従限界周波数に比して低い。それ故、塩化物に対する配向分極追従限界周波数を挟んだ周波数帯域の比誘電率の変化幅を測定することによってコンクリートに含有する塩化物濃度を特定することができる。また、水分子単体の比誘電率は80程度であり、コンクリート自体の比誘電率とは含水比率に比例して線形的に合成されるので、塩化物に対する配向分極追従限界周波数以上の周波数帯域の比誘電率を調べることにより、含水率の特定が行える。
以上のように本実施例のコンクリート含有成分測定装置は、非破壊的測定によってコンクリートに含有する塩化物濃度と含水率についても測定することができる装置である。
図25のコンクリート含有成分測定装置は、実施例6の装置の電極43aと43bの裏側にコンクリートに磁気を印加するための磁気印加部48として、コイン状のネオジウム磁石を取り付けた構造を有しており、この磁石は自由に取り外すことも可能な構造となっている。ここで、磁気印加部48はネオジウム磁石だけでなく、フェライト磁石や他のマグネット材料でも実現できる他、電磁磁石や超伝導磁石であってもかまわない。
本実施例のコンクリート含有成分測定装置は、磁石を外した状態で測定を行えば、上述の実施例6と同等の機能を実現でき、磁石を取り付けた状態で測定を行えば、取り付けていなかった状態で実施した測定結果と比較することにより、磁気を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する物質がコンクリートに含有されているか否かが判断できる装置となっている。
データ処理部46で、磁界印加時と磁界非印加時のデータを用いて解析を行うことで、含有塩化物濃度と含水率だけでなく、酸化鉄量と空隙率についても測定を行うことができる。
具体的には、酸化鉄と水分子は永久分極分子であるので、所定強度以上の直流磁界が印加され、配向が強制的に揃えられたた状態で外部交流電界の印加を受けると、直流磁界を印加しない場合に比して配向 分極の実効効率が向上するので、比誘電率が増加する。
この比誘電率の増加が認められる周波数帯域は分子サイズ、分極電荷の大きさ、分子量等で異なる。酸化鉄の方が水分子に比して重いので直流磁界印加時の追従限界周波数は酸化鉄の方が水分子よりも低い周波数に位置し、酸化鉄に対応する追従限界周波数を挟んだ領域の比誘電率の変化幅から酸化鉄量を求めることができるのである。
また、同様に水分子に対応する追従限界周波数を挟んだ領域の比誘電率の変化幅から磁界印加が作用した部分である空隙以外の領域に対する比誘電率の増加量が求まるので、既に判明している含水率から空隙率を求めることができる。
図26に図示のコンクリート含有成分測定装置は、指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部41と、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を出力するとともに通流する電流を電圧に変換して出力する機能を設けた電圧駆動部49と、測定対象となるコンクリートに接触しており電圧駆動部49からの信号の供給を受ける電極43aと43bと、電圧駆動部49からの通流する電流を電圧に変換した信号の供給を受けて発振部41から供給される正弦波と余弦波による直交検波を行って交流アドミッタンスの実部R3及び虚部X3を出力する直交検波部44と、直交検波部44からの信号の供給を受けてディジタルデータにA/D変換するA/D変換部45と、A/D変換部45から供給される周波数f[Hz]における交流アドミッタンスの実部R3及び虚部X3のデータと測定周波数と電極及びコンクリートの3次元形状と未知数である導電率σ及び誘電率εに基づいて交流アドミッタンスの実部R4及び虚部X4を演算して最小二乗法による推定処理を行うことによって前記未知数である導電率σ及び誘電率εを決定して誘電率εから比誘電率εrを得るデータ処理部46と、データ処理部46から供給される情報を表示する表示部47とにより構成されている。
発振部41は、周波数f[Hz]の互いに同期した正弦波と余弦波を発生するために、共通のディジタルクロックを発生するオッシレーターと、前記オッシレーターから供給される共通のクロックによって制御された2つのDirect Digital Synthesizer(以下DDSと呼ぶ。)により構成されている。2つのDDSは同一の周波数f[Hz]のサイン波を出力するように設定されているが、出力する位相は片方が0度に、もう片方が90度に設定されている。このため、発振部41は同一のクロックで完全に同期がとれた正弦波と余弦波を出力することができる。2つのDDSに対する設定処理は図示されないインターフェースを介してデータ処理部46により実行されている。
発振部41が出力する正弦波信号は電圧駆動部49と直交検波部44に供給されている。電圧駆動部49は、コンクリートが雨水で濡れて低インピーダンス状態であった場合でも出力電圧を維持できるだけの電流駆動能力があるように設計されており、電極43aと電極43bからコンクリートに交流電圧を印加している。電極を通じて流れる電流が測定できるように電流測定用シャント抵抗が直列接続されている。直交検波部44は電圧駆動部49から出力されている前記シャント抵抗の両端に誘起する交流電圧の電位差を差動増幅器で増幅を施し、2つの独立した乗算器に信号を供給している。各々の乗算器には発振部41から周波数f[Hz]の正弦波と余弦波が供給されており、電極を通じて流れる交流電流に対する正弦波成分の乗算結果と余弦波成分の乗算結果を各乗算器出力に接続された濾波器を通して高周波成分をカットしたのち、A/D変換部45においてアナログ信号からディジタル信号に変換された後、データ処理部46に供給されている。さらに、データ処理部46において解析された結果は表示部47に出力されて情報のディスプレイ表示が行われる。
本実施例のコンクリート含有成分測定装置は、所定振幅の交流電圧をコンクリートに接触させた電極43aと43bに印加することで、直交検波器により電極を通じて流れる複素電流を取得している。従って、データ処理部46において複素電流の実部と虚部をそれぞれ印加した電圧の振幅値で割れば、周波数f[Hz]における交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を得ることができる。
データ処理部46では、導電率σと誘電率εを仮定し、仮定値に基づく電極間交流アドミッタンスYの実部R4と虚部X4を回路網モデルにより計算する。そして、実測複素アドミッタンスと計算複素アドミッタンスの差の複素絶対値の二乗値Eを数式25の評価式に従って算出し、この評価値Eが所定の数値より小さな値になるまで、最急降下法に従って導電率σと誘電率εを変更する処理を行っている。この処理によって誘電率εが確定した後、真空誘電率ε0で割ることにより、比誘電率εrを算出している。
以上の動作により、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを可能にしている。
塩化物の配向分極追従限界周波数は水分子の配向分極追従限界周波数に比して低い。それ故、塩化物に対する配向分極追従限界周波数を挟んだ周波数帯域の比誘電率の変化幅を測定することによってコンクリートに含有する塩化物濃度を特定することができる。また、水分子単体の比誘電率は80程度であり、コンクリート自体の比誘電率とは含水比率に比例して線形的に合成されるので、塩化物に対する配向分極追従限界周波数以上の周波数帯域の比誘電率を調べることにより、含水率の特定が行える。
以上のように本実施例のコンクリート含有成分測定装置は、非破壊的測定によってコンクリートに含有する塩化物濃度と含水率についても測定することができる装置である。
図27に図示のコンクリート含有成分測定装置は、実施例8の電圧駆動部49に、コンクリートに直流電界を印加する機能を付加するために、正弦波出力に直流電圧オフセットを加えて電圧駆動用増幅器に信号を供給するように変更を加えた構成の装置である。
上記構成の変更により、コンクリートに直流電界を印加した際に導電率や比誘電率が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができる。また、含有塩化物濃度、含水率、酸化鉄濃度、空隙率についても測定することができる。
本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法の用途としては、例えば、鉄道や道路の高架、橋梁、トンネル等のコンクリート造のインフラ、あるいはダム、岩盤斜面やのり面の防護用吹付けコンクリート、または老朽化したコンクリート建築物等のコンクリートの劣化診断を行うために導電率σ及び誘電率εを非破壊的に測定する用途がある。また、コンクリートの導電率情報は、測定用電極近傍のコンクリートに鉄筋や配管が埋設されている部分で導電率平均値が高くなることから、コンクリートに埋設された鉄筋や配管の位置を非破壊的に調べる用途にも適用できる。
本発明のコンクリート含有成分の検査方法の用途としては、コンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を測定する用途が挙げられる。港のコンクリート製岸壁がどの程度海水による塩食を受けているか調べる用途、海辺に近い市町村のコンクリート構造物の塩害調査、コンクリート内部の鉄筋の腐食状態の検査等にも適用することができる。あるいは、コンクリートを複数回に分けて注入した場合に含水率や空隙率を調べることで寿命予測を行う用途にも適用できる。
本発明のコンクリート含有成分の検査装置の用途としては、上記と同様に非破壊的な手段によるコンクリートの劣化診断、塩害調査、内部鉄筋の腐食検査、寿命予測等に適用できる。

本発明の一実施の形態に係るコンクリート含有成分の検査装置の構成と動作の説明図である。 本発明と従来技術の違いを説明するために実施した棒状コンクリートの実験条件説明図である。 棒状コンクリートの含有塩化物濃度に対するインピーダンス絶対値|Z|の周波数特性の一例である。 棒状コンクリートの含有塩化物濃度に対するインピーダンス位相角θの周波数特性の一例である。 棒状コンクリートの含有塩化物濃度に対するインピーダンスZの実部Rの周波数特性の一例である。 棒状コンクリートの含有塩化物濃度に対するインピーダンスZの虚部Xの周波数特性の一例である。 物質の界面分極および配向分極の要因がもたらす比誘電率周波数特性の説明図である。 永久分極分子の説明図である。 永久分極分子の配向分極の説明図である。 2種類の物質が混合した場合の比誘電率の線形加算性を説明する図である。 直流電界あるいは直流磁界の印加に伴う比誘電率周波数特性の変化を説明する図である。 ペンタノールの直流電界印加時及び直流磁界印加時の比誘電率周波数特性の変化を測定した一事例である。 棒状コンクリートが均質である場合の等電位面及び電流の流れ方のコンクリート断面の説明図である。 棒状コンクリート内部に高誘電率の領域が存在する場合の等電位面及び電流の流れ方のコンクリート断面の説明図である。 棒状コンクリートの含有塩化物濃度に対する並列抵抗Rpの周波数特性の一例である。 棒状コンクリートの含有塩化物濃度に対する並列容量Cpの周波数特性の一例である。 本発明の構成要素の一例である回路網モデルの要素の説明図である。 本発明の構成要素の一例である回路網モデルの説明図である。 本発明の構成要素の一例である回路網モデルによる2次元モデルの説明図である。 本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法の一実施例のフローチャートである。 本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法の一実施例のフローチャートである。 本発明のコンクリート含有成分の検査方法の一実施例のフローチャートである。 本発明のコンクリート含有成分の検査方法の一実施例のフローチャートである。 本発明のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法による棒状コンクリートの含有塩化物濃度の違いによる比誘電率の周波数特性の測定結果の一例である。 本発明のコンクリート含有成分測定装置の一実施例の構成と動作の説明図である。 本発明のコンクリート含有成分測定装置の一実施例の構成と動作の説明図である。 本発明のコンクリート含有成分測定装置の一実施例の構成と動作の説明図である。
符号の説明
1 ステップ(測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ)
1A 測定用電極1A
1B 測定用電極1B
2 ステップ(コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ)
3 ステップ3(導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ1の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電流を通流した場合に発生する電極間複素電圧の実部R2と虚部X2を数学的モデルにより計算するステップ)
4 ステップ(電極間複素電圧の実測値である実部R1と虚部X1及びステップ3により得られた電極間複素電圧の計算値である実部R2と虚部X2から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ)
5 ステップ(ステップ4において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ)
6 ステップ(ステップ5において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電圧の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ)
7 ステップ(ステップ5において前記二乗誤差が所定値より小さかった場合に誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めるステップ)
8 ステップ(ステップ7の処理の後で導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値とするステップ)
9 ステップ(測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ)
10 ステップ(測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流磁界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ)
11 測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ11
12 ステップ(コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ)
13 ステップ(導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ9の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電圧を印加した場合に通流する電極間複素電流の実部R4と虚部X4を数学的モデルにより計算するステップ)
14 ステップ(電極間複素電流の実測値である実部R3と虚部X3及びステップ13により得られた電極間複素電流の計算値である実部R4と虚部X4から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ)
15 ステップ(ステップ14において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ)
16 ステップ(ステップ15において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電流の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ)
17 ステップ(ステップ15において前記二乗誤差が所定値より小さかった場合に誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めるステップ)
18 ステップ(ステップ17の処理の後で導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値とするステップ)
19 ステップ(測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ)
20 ステップ(測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流磁界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ)
21 ステップ(交流電流を通流して測定する周波数f[Hz]のリストを作成するステップ)
22 ステップ(前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えるステップ)
23 ステップ(指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ)
24 ステップ(ステップ21で作成したリストの全ての周波数についてステップ23を実施したか否か判定するステップ)
25 ステップ(ステップ24において前記リストの周波数のうちステップ23を未実施と判定された周波数をリストから次の測定周波数として選択するステップ)
26 ステップ(ステップ24においてリストの全ての周波数についてステップ23を実施済みであった場合に導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めるステップ)
31 ステップ(交流電圧を印加して測定する周波数f[Hz]のリストを作成するステップ)
32 ステップ(前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えるステップ)
33 ステップ(指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ)
34 ステップ(ステップ31で作成したリストの全ての周波数についてステップ33を実施したか否か判定するステップ)
35 ステップ(ステップ34において前記リストの周波数のうちステップ33を未実施と判定された周波数をリストから次の測定周波数として選択するステップ)
36 ステップ(ステップ34においてリストの全ての周波数についてステップ33を実施済みであった場合に導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めるステップ)
41 発振部(指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部)
42 電圧電流変換部(発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を電流に変換して出力する電圧電流変換部)
43a 電極(測定対象となるコンクリートに接触しており電圧電流変換部42からの信号の供給を受けるとともに電圧を測定するための信号を取り出す目的の電極)
43b 電極(測定対象となるコンクリートに接触しており電圧電流変換部42からの信号の供給を受けるとともに電圧を測定するための信号を取り出す目的の電極)
44 直交検波部(電極43aと43bからの電圧信号の供給を受けて発振部41から供給される正弦波と余弦波による直交検波を行って交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1を出力する直交検波部)
45 A/D変換部(直交検波部44からの信号の供給を受けてディジタルデータにA/D変換するA/D変換部)
46 データ処理部(A/D変換部45から供給される周波数f[Hz]における交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1のデータと測定周波数と電極及びコンクリートの3次元形状と未知数である導電率σ及び誘電率εに基づいて交流インピーダンスの実部R2及び虚部X2を演算して最小二乗法による推定処理を行うことによって前記未知数である導電率σ及び誘電率εを決定して誘電率εから比誘電率εrを得るデータ処理部)
47 表示部(データ処理部46から供給される情報を表示する表示部)
48 磁気印加部(コンクリートに直流磁界を印加する磁気印加部)
49 電圧駆動部(発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を出力するとともに通流する電流を電圧に変換して出力する機能を設けた電圧駆動部)

Claims (24)

  1. 測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ1と、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ2と、導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ1の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電流を通流した場合に発生する電極間複素電圧の実部R2と虚部X2を数学的モデルにより計算するステップ3と、電極間複素電圧の実測値である実部R1と虚部X1及びステップ3により得られた電極間複素電圧の計算値である実部R2と虚部X2から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ4と、ステップ4において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ5と、ステップ5において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電圧の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ6と、ステップ5において前記二乗誤差が所定値より小さかった場合に誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めるステップ7と、ステップ7の処理の後で導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値とするステップ8とにより構成され、所定値よりも小さな二乗誤差のコンクリートの導電率σと比誘電率εrを得るまでステップ3からステップ6までを繰り返し、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記ステップ1を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ9に置き換えたものであり、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査でき、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記ステップ1を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流磁界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンスZの実部R1と虚部X1を測定するステップ10に置き換えたものであり、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査でき、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法。
  4. 測定用電極1A及び1B間に周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ11と、コンクリートの電気的特性要因である導電率σと誘電率εとして適当な初期値を与えるステップ12と、導電率をσとし誘電率をεとするコンクリートに前記ステップ9の測定に用いたのと同一3次元形状の電極間に周波数f[Hz]の単位電圧を印加した場合に通流する電極間複素電流の実部R4と虚部X4を数学的モデルにより計算するステップ13と、電極間複素電流の実測値である実部R3と虚部X3及びステップ13により得られた電極間複素電流の計算値である実部R4と虚部X4から実測値と計算値の差の複素絶対値である二乗誤差を求めるステップ14と、ステップ14において求めた二乗誤差は所定値より小さいか否か判定するステップ15と、ステップ15において前記二乗誤差が所定値以上の大きさであった場合に電極間複素電流の実測値と計算値の二乗誤差をより小さな値に改善する導電率σと誘電率ε求めるステップ16と、ステップ15において前記二乗誤差が所定値より小さかった場合に誘電率εを真空誘電率ε0で割って比誘電率εrを求めるステップ17と、ステップ17の処理の後で導電率σと比誘電率εrを周波数f[Hz]における測定値とするステップ18とにより構成され、所定値よりも小さな二乗誤差のコンクリートの導電率σと比誘電率εrを得るまでステップ13からステップ16までを繰り返し、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、前記ステップ11を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流電界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ19に置き換えたものであり、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査でき、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法。
  6. 請求項4に記載の方法において、前記ステップ11を測定用電極1A及び1B間に所定強度の直流磁界を印加した状態において周波数f[Hz]の交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンスYの実部R3と虚部X3を測定するステップ20に置き換えたものであり、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査でき、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法。
  7. 交流電流を通流して測定する周波数f[Hz]のリストを作成するステップ21と、前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えるステップ22と、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23と、ステップ21で作成したリストの全ての周波数についてステップ23を実施したか否か判定するステップ24と、ステップ24において前記リストの周波数のうちステップ23を未実施と判定された周波数をリストから次の測定周波数として選択するステップ25と、ステップ24においてリストの全ての周波数についてステップ23を実施済みであった場合に導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めるステップ26とからなり、リストの全ての周波数についてステップ23からステップ25を繰り返す構成であり、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  8. 請求項7に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23が、請求項1に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であり、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることができることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  9. 請求項7に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23が、請求項2に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であり、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  10. 請求項7に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電流を通流して電極間複素電圧を測定することにより交流インピーダンス計測を行い、測定で得られた実部R1と虚部X1と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電圧の計算値の実部R2と虚部X2から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ23が、請求項3に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であり、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  11. 交流電圧を印加して測定する周波数f[Hz]のリストを作成するステップ31と、前記周波数リストの最初の値を測定周波数の初期値として与えるステップ32と、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33と、ステップ31で作成したリストの全ての周波数についてステップ33を実施したか否か判定するステップ34と、ステップ34において前記リストの周波数のうちステップ33を未実施と判定された周波数をリストから次の測定周波数として選択するステップ35と、ステップ34においてリストの全ての周波数についてステップ33を実施済みであった場合に導電率σと比誘電率εrの周波数特性に基づいて含有塩化物濃度、含水率を求めるステップ36とからなり、リストの全ての周波数についてステップ33からステップ35を繰り返す構成であり、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  12. 請求項11に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33が、請求項4に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であり、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率を求めることができることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  13. 請求項11に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33が、請求項5に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であり、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  14. 請求項11に記載のコンクリート含有成分の検査方法において、指定周波数で測定電極間に交流電圧を印加して電極間複素電流を測定することにより交流アドミッタンス計測を行い、測定で得られた実部R3と虚部X3と電極及びコンクリートの3次元形状を考慮した数学的モデルに基づく計算処理により得られる複素電流の計算値の実部R4と虚部X4から最小二乗誤差推定値を与える導電率σと比誘電率がεrを求めるステップ33が、請求項6に記載のコンクリート導電率及び比誘電率の測定方法であり、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができ、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、所定個数の周波数に関して実施した測定により得られた導電率σと比誘電率εrに基づいてコンクリートの含有塩化物濃度と含水率と酸化鉄量と空隙率を求めることができることを特徴とするコンクリート含有成分の検査方法。
  15. 指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部41と、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を電流に変換して出力する電圧電流変換部42と、測定対象となるコンクリートに接触しており電圧電流変換部42からの信号の供給を受けるとともに電圧を測定するための信号を取り出す目的の電極43aと43bと、電極43aと43bからの電圧信号の供給を受けて発振部41から供給される正弦波と余弦波による直交検波を行って交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1を出力する直交検波部44と、直交検波部44からの信号の供給を受けてディジタルデータにA/D変換するA/D変換部45と、A/D変換部45から供給される周波数f[Hz]における交流インピーダンスの実部R1及び虚部X1のデータと測定周波数と電極及びコンクリートの3次元形状と未知数である導電率σ及び誘電率εに基づいて交流インピーダンスの実部R2及び虚部X2を演算して最小二乗法による推定処理を行うことによって前記未知数である導電率σ及び誘電率εを決定して誘電率εから比誘電率εrを得るデータ処理部46と、データ処理部46から供給される情報を表示する表示部47とにより構成され、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  16. 請求項15に記載のコンクリート含有成分測定装置において、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を電流に変換して出力する電圧電流変換部42にコンクリートに直流電界を印加する機能を追加した構成であり、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  17. 請求項15に記載のコンクリート含有成分測定装置において、コンクリートに直流磁界を印加する磁気印加部48を追加した構成であり、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  18. 指定周波数f[Hz]の正弦波と余弦波を発生して出力する発振部41と、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を出力するとともに通流する電流を電圧に変換して出力する機能を設けた電圧駆動部49と、測定対象となるコンクリートに接触しており電圧駆動部49からの信号の供給を受ける電極43aと43bと、電圧駆動部49からの通流する電流を電圧に変換した信号の供給を受けて発振部41から供給される正弦波と余弦波による直交検波を行って交流アドミッタンスの実部R3及び虚部X3を出力する直交検波部44と、直交検波部44からの信号の供給を受けてディジタルデータにA/D変換するA/D変換部45と、A/D変換部45から供給される周波数f[Hz]における交流アドミッタンスの実部R3及び虚部X3のデータと測定周波数と電極及びコンクリートの3次元形状と未知数である導電率σ及び誘電率εに基づいて交流アドミッタンスの実部R4及び虚部X4を演算して最小二乗法による推定処理を行うことによって前記未知数である導電率σ及び誘電率εを決定して誘電率εから比誘電率εrを得るデータ処理部46と、データ処理部46から供給される情報を表示する表示部47とにより構成され、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  19. 請求項18に記載のコンクリート含有成分測定装置において、発振部41からの正弦波の供給を受けて電圧を出力するとともに通流する電流を電圧に変換して出力する機能を設けた電圧駆動部49に直流電界を印加する機能を追加した構成であり、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、電界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  20. 請求項18に記載のコンクリート含有成分測定装置において、コンクリートに直流磁界を印加する磁気印加部48を追加した構成であり、測定に用いる電極の3次元形状及びコンクリートの形状に依存することなく指定周波数f[Hz]におけるコンクリートの導電率σと比誘電率εrを測定することができ、磁界を印加した際に導電率や比誘電率特性が変化する性質を有する物質が含有されたコンクリートを検査することができることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  21. 請求項16に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加したものであることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  22. 請求項17に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加したものであることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  23. 請求項19に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加したものであることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。
  24. 請求項20に記載のコンクリート含有成分測定装置において、データ処理部46に複数の測定周波数における測定結果に基づいて推定された導電率σと比誘電率εrの周波数特性からコンクリートに含有する塩化物濃度、含水率、酸化鉄量、空隙率を得る処理を追加したものであることを特徴とするコンクリート含有成分測定装置。

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