例えば、車載用の操作者の操作を受け付ける入力装置においては、安全、安心の観点から、ドライバーに優しい直感的な操作や、操作部を見ないブラインド操作、さらには快適な運転環境を支える品位ある操作感が求められる。
一般に多軸の入力装置の多くは、組合せ構成が比較的安易であることから、軸周りに回転可能な回転機構を複数組み合わせることにより実現されている。また、それぞれの回転機構は、ギア等(ラック&ピニオン、ウォームホイール&ウォームギア)の伝達機構を介して駆動モータに結合され、操作部はそれぞれの回転軸を中心に回転駆動するように構成されている。また、駆動モータの駆動軸にエンコーダ等が設けられ、操作部の相対的な位置変位量が検出される。
しかしながら、この構成を用いる場合、可動する操作部の重量が増加し、入力装置全体が大型化しやすい。また、回転機構の軸受けには、軸受けギャップによるラトルノイズや軸方向の遊びが発生し、異音発生や機械的、構造的な不良を誘発する原因となりえる。
また、可動部と駆動モータに介在するギア等の伝達機構においては、バックラッシュを設ける必要がある。このため、磨耗等により隙間が増大し、操作部の位置精度の低下、機械振動や騒音の発生および装置の寿命を低下させる原因となりえる。
また、エンコーダ等によって、操作部の相対位置を検出する場合、絶対位置は、始終端スイッチで検出する原点検出後でなければわからない。このため、絶対位置をカウント数に変換する必要であり、リセット時は始終端へ復帰させることも必要となる。
特許文献1から3に開示された技術にはこのような課題が存在得る。本願発明者はこのような課題に鑑み、新規な入力装置を想到した。
本開示の入出力操作装置は、手指が接触する表面を有する操作部と、前記操作部と少なくとも1つの吸着用磁石を搭載し、凹部を一部に有する可動ユニットと、少なくとも1つの磁性体および前記可動ユニットの前記凹部が遊嵌する凸状球面を有し、前記少なくとも1つの吸着用磁石と前記少なくとも1つの前記磁性体との磁気吸引力によって、前記可動ユニットの前記凹部と前記凸状球面とが点または線接触し、前記可動ユニットを前記凸状球面の球心を中心として自在に回転支持する固定ユニットと、前記固定ユニットに対して前記操作部を前記球心を通るX軸を中心に回転させる第1の駆動部と、前記固定ユニットに対して前記操作部を前記X軸を含む平面内で前記X軸に直交するY軸を中心に回転させる第2の駆動部と、前記固定ユニットに対して前記可動ユニットを前記X軸と前記Y軸に直交し前記操作部の中心軸であるZ軸を中心に回転させる第3の駆動部と、前記固定ユニットに対する前記操作部の前記X軸回りの第1の回転角度および前記Y軸回りの第2の回転角度を検出する検出器とを備え、前記凸状球面の前記球心が、前記X軸、Y軸、Z軸の原点に設けられたアクチュエータ、前記第1および前記第2の回転角度から第1および第2の回転角度信号を生成する検出回路部、前記第1および第2の回転角度信号に基づき、第1および第2の目標回転角度信号を生成する制御演算処理部、および、前記第1および第2の目標回転角度信号を受け取り、前記第1および第2の駆動部を駆動する信号を生成する駆動回路部を備える。
ある好ましい実施形態において、前記制御演算処理部は、前記第1、第2の回転角度信号に基づき前記操作部の可動範囲領域に相当する2次元座標系における前記操作部の現位置座標を生成し、目標位置座標と前記現位置座標の差分を用いた位置フィードバック制御に基づく前記第1、第2の目標回転角度信号を生成する。
ある好ましい実施形態において、前記制御演算処理部は、前記2次元座標系において、前記目標位置座標を含み、目標となる識別座標エリアを設定し、前記操作部の前記現位置座標が前記識別座標エリアの範囲内部にある場合は、前記位置フィードバック制御の第1の利得を設定し、前記現位置座標が、前記識別座標エリアの範囲外にある場合は、第1の利得よりも大きい利得を設定する。
ある好ましい実施形態において、前記制御演算処理部は、前記2次元座標系において、目標となる複数の識別座標エリアを設定し、前記操作部の前記現位置座標または、外部からの信号に応じて、前記複数の識別座標エリアから選ばれる1つの識別座標エリア内に前記目標位置座標を設定し、前記操作部の前記現位置座標が前記識別座標エリアの範囲内部にある場合は、前記位置フィードバック制御の第1の利得を設定し、前記現位置座標が、前記識別座標エリアの範囲外にある場合は、第1の利得よりも大きい利得を設定する。
ある好ましい実施形態において、前記制御演算処理部は、所定の駆動波形パターンを有する駆動信号を生成し、前記駆動回路部は、前記駆動信号を受け取り、前記第3を駆動する信号を生成し、前記第3の駆動部により可動ユニットは前記Z軸回りの方向へ振動駆動する。
ある好ましい実施形態において、前記所定の駆動波形パターンは、可聴領域の周波数成分を有する振動波形を含む。
ある好ましい実施形態において、検出器は、固定ユニットに対する操作部のX軸、Y軸回りの回転角度を検出する第1の検出部と、固定ユニットに対する操作部のZ軸回りの回転角度を検出する第2の検出部と含む。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットの凹部が凸状球面で、固定ユニットの凸状球面が凹部である。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットの凹部は円錐状の表面を有する。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットは、凸状球面を固定するホルダーバーが挿入される開口部を有し、開口部とホルダーバーとが接触することにより、可動ユニットの回転角度が制限される。
ある好ましい実施形態において、固定ユニットに設けられ、可動ユニットが固定ユニットから脱落しないように可動ユニットの移動を制限する規制面を有する脱落防止部材をさらに備え、規制面は、球心と一致した中心を有する凹状部分球面を有する。
ある好ましい実施形態において、第1の駆動部は、可動ユニットにおいて、Z軸に対して対称に配置された1対の第1の駆動磁石と、1対の第1の駆動磁石に対向するよう固定ユニットにそれぞれ配置された1対の第1の磁気ヨークと、1対の第1の磁気ヨークにそれぞれ巻回された1対の第1の駆動コイルとを含み、第2の駆動部は、可動ユニットにおいて、Z軸に対して対称に配置された1対の第2の駆動磁石と、1対の第2の駆動磁石に対向するよう固定ユニットにそれぞれ配置された1対の第2の磁気ヨークと、1対の第2の磁気ヨークにそれぞれ巻回された1対の第2の駆動コイルとを含み、1対の第1の駆動磁石および1対の第1の駆動コイルは、凸状球面の球心を通る直線上に設けられ、1対の第2の駆動磁石および第2の駆動コイルは、凸状球面の球心を通り、直線と直交する他の直線上に設けられ、各第1の駆動磁石、第1の駆動コイル、第2の駆動磁石および第2の駆動コイルのZ軸方向における中心の位置は、凸状球面部の球心の位置とほぼ一致している。
ある好ましい実施形態において、第3の駆動部は、1対の第1の磁気ヨークおよび1対の第2の磁気ヨークにそれぞれ巻回された第3の駆動コイルを含み、1対の第1の駆動磁石および1対の第2の駆動磁石を第3の駆動磁石として用いる。
ある好ましい実施形態において、少なくとも1つの磁性体は、1対の第1の磁気ヨークおよび1対の第2の磁気ヨークである。
ある好ましい実施形態において、少なくとも1つの吸着用磁石は、1対の第1の駆動磁石および1対の第2の駆動磁石である。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットが中立の位置にある状態において、1対の第1の駆動磁石および1対の第2の駆動磁石は、Z軸に垂直である球心を通る水平面に対して下向きに、45度以下の回転角度Aをなすように配置されており、1対の第1の駆動磁石および1対の第2の駆動磁石に対向するように第1の駆動コイルと1対の第1の磁気ヨークおよび1対の第2の駆動コイルとに1対の第2の磁気ヨークを固定ユニットに回転して配置されている。
ある好ましい実施形態において、回転角度Aが15ないし25度である。
ある好ましい実施形態において、1対の第1の駆動磁石、1対の第2の駆動磁石は、それぞれ、可動ユニットの内側に位置しており、可動ユニットの外形面において露出していない。
ある好ましい実施形態において、1対の第1の駆動コイル、1対の第2の駆動コイルおよび1対の第3の駆動コイルは、それぞれ、固定ユニットの内側に設けられ、固定ユニットの外形面において露出していない。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットは、樹脂材料によって構成されている。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットは、1対の第1の駆動磁石、1対の第2の駆動磁石とともに一体成型されている。
ある好ましい実施形態において、固定ユニットは、樹脂材料によって構成されている。
ある好ましい実施形態において、固定ユニットは、1対の第1の駆動コイル、1対の第2の駆動コイル、第3の駆動コイル、1対の第1の磁気ヨーク、1対の第2の磁気ヨークとともに一体成型されている。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットの重心は球心と一致している。
ある好ましい実施形態において、第1の検出部は、固定ユニットに固定された第1の磁気センサーと、可動ユニットに設けられた回転検出用磁石とを含み、第1の磁気センサーは、回転検出用磁石の回転による磁力変化を検出し、X軸、Y軸回りの2次元の回転角度を算出する。
ある好ましい実施形態において、第1の磁気センサーおよび回転検出用磁石は、Z軸上に位置している。
ある好ましい実施形態において、第1の検出部は、固定ユニットに固定された光センサーと、可動ユニットの凸状球面部の一部に設けられた光検出パターンとを含み、光センサーは、光検出パターンの回転による光センサーに入射する光の変化を検出し、操作部のX軸、Y軸回りの2次元の回転角度を算出する。
ある好ましい実施形態において、光センサーおよび光検出パターンは、Z軸上に位置している。
ある好ましい実施形態において、可動ユニットが中立の位置にあるとき、Z軸に直交する平面において、第1の磁気センサーは、それぞれ、1対の第1の駆動磁石を結ぶ直線および1対の第2の駆動磁石を結ぶ直線に対して45度の角度をなす直線上に配置されている。
ある好ましい実施形態において、第2の検出部は、可動ユニットにおいてZ軸に対して対称に配置された1対の回転検出用磁石と、固定ユニットに固定され、1対の回転検出用磁石のそれぞれに対して、対峙するように固定された1対の第2の磁気センサーとを含み、1対の第2の磁気センサーは、回転検出用磁石の回転による磁力変化を検出して、操作部の回転角度を算出する。
ある好ましい実施形態において、1対の回転検出用磁石は、Z軸に直交する平面において、球心を通る直線に平行であり互いに逆向き方向に2極分割着磁された磁石から構成されている。
ある好ましい実施形態において、脱落防止部材の規制面と可動ユニットの外形面との間に空隙が設けられており、可動ユニットの凹部が固定ユニットの凸状球面から離間しても、磁気吸引力によって、点または線接触の状態に復帰ように空隙は決定されている。
本開示の入出力操作装置によれば、手指に接触する表面を有する操作部の中心軸の延長上に、固定部に設けた球状の突起部の球心と突起部に接触するように可動部に設けられた円錐状の凹状接触面の中心軸を配し、かつ2つに分割された可動部を球状の突起部を中心に包み込むように接合させる可動部構成をとることにより、操作部を搭載する可動部の重心支持を実現するとともに駆動周波数領域において機械的共振を大幅に抑圧することができる。
さらに回動角度に影響しない磁気吸引力で、固定部の突起部と可動部の凹状接触面とからなるピポッド構成において一定の垂直抗力を付加することにより、回動角度に対する摩擦負荷変動を低減し、駆動周波数領域において良好な位相・ゲイン特性を実現できる。
さらに従来、磁気吸引力による支持構成で特有の大きな課題であった振動・衝撃等の外乱等による可動部の脱落防止に関しては、可動部が回動可能な所定の空隙を介して固定部に脱落防止規制面を設けることにより装置の大型化を回避しながら確実に可動部の脱落防止を実現できる。
さらに凹状接触面を突起部より空隙の距離を係脱させた状態においても、磁気吸引力により凹状接触面が突起部に移動し接触復帰できる距離の空隙を設けることにより、たとえ可動部が瞬間的に脱落した場合においても即座に元の良好な支持状態に復帰できる極めて安全な入出力操作装置を提供できる。
さらにX軸、Y軸回りの回転駆動手段およびZ軸回りの回転駆動手段は、Z軸を中心とする円周状に配置された互いに直交する2対の可動部に固定された駆動磁石と、駆動磁石に対向するよう固定部にそれぞれ配設された2対の駆動コイルと磁気ヨークからなり、かつZ軸方向の配設される高さ位置は突起部の球心の高さ位置にほぼ等しくすることで可動部の重心駆動を実現するとともに駆動周波数領域において機械的共振を大幅に抑圧することができる。
さらに駆動磁石に対向する磁気ヨークの投影面積をほぼ等しくすることで、可動部のX軸およびY軸回りの回転角度およびZ軸回りの回転角度が0度の場合に、磁気ヨークと駆動磁石との磁気バネによる可動部の中立点を保持することができる。
さらに可動部を回転させた後には、中立点へこの磁気バネにより復帰させることができ、復帰動作に特別な構造や付加すべき駆動電流も必要としない。
また、車載用電子シフター等の操作入力装置においては、各設定されたシフトポジションへ入力後に中立点に自動的に復帰し保持されていることが必要条件とされるため、磁気バネによる可動部の中立点への復帰動作が可能な本発明の入出力操作装置で、電子シフター等への応用が実現しうる。
さらに良好な周波数応答特性と高い回転角度分解能を実現できるアクチュエータであることから、指先による可動ユニットの動作検出感度は非常に高く、携帯端末でよく使用されているフリック操作入力やスワイプ操作入力の検出や文字入力の検出も可能となりえる。
さらに接触面である可動ユニットの凹部の円錐表面もしくは固定ユニットの凸状球面の表層部分を樹脂部材で被覆することで、低摩擦で耐摩耗性の優れた支持構成を実現できる。
円錐状の凹部の接触面と遊嵌する凹状部分球面とで構成されたピボット構成の空間に振動減衰用の粘性部材もしくは磁性流体を充填することにより、可動部に搭載される駆動磁石と固定部に設けられた磁気ヨークとの間に発生する磁気吸引力の磁気バネ効果による振幅増大係数(Q値)や機械的な固有振動のQ値を低減でき、良好な制御特性を得ることができる。
以上のように本発明は、X軸とY軸回りに±25度以上の大きな回転駆動と±5度以上のZ軸回りの回転駆動を可能とするピボット支持系を原点である球心に配置させることにより、200Hz程度までの広帯域の周波数領域で操作部の良好な入出力制御を実現できる。
その結果、操作部のX、Y、Z軸の3軸マルチ高速操作を実現できるとともに、従来にない新しい触力覚を操作者に感じさせることができる入出力操作装置を提供する。
さらに、操作部をZ軸中心に右もしくは左回りに回しながら、同時にX軸とY軸へ移動操作する3軸同時操作が可能なことから、操作者は、携帯端末でよく使用されているピンチ操作入力による画面の拡大縮小やスクロール操作入力の代替入力の検出も可能となりえる。
さらに堅牢な可動部の脱落防止構造を小型化で実現できるため、振動や落下衝撃等の外乱から完全に防御できる安全性の高い入出力操作装置を提供できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明による入出力操作装置の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である入出力操作装置750のアクチュエータ165を示す分解斜視図であり、図2は、本発明の第1の実施形態である可動ユニット180の分解斜視図である。図3A、図3Bは、可動部180の磁気バックヨーク670を示す斜視図である。図4Aは、アクチュエータ165を斜め上方から見た斜視図である。図4Bは、一部の構成要素である脱落防止部材201を取り除いた状態にあるアクチュエータ165を斜め上方から見た斜視図である。図4Cは、一部の構成要素である脱落防止部材201を斜め上方から見た斜視図である。図5Aは、Z軸10方向から見た上面図である。図5Bは、図5Aに示す直線13の方向から見た平面図である。図6は、操作部850と上部可動部150を排除したアクチュエータ165の斜視図である。図7は、上方から見た固定ユニットの斜視図である。図8Aは、固定ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。図8Bは、固定ユニットに搭載される一つの駆動手段の構成を示す分解斜視図である。図9A、図9Bは、アクチュエータ165の上面図およびZ軸10と回転軸11を含む平面での断面図である。図10A、図10Bは、アクチュエータ165の上面図およびZ軸10と回転軸12を含む平面での断面図である。図11A、図11Bは、アクチュエータ165の上面図およびZ軸10と直線13を含む平面での断面図である。図12は、回転方向20と回転方向21に同角度ずつ回転した合成角度θxyに回転させた状態における上方から見た脱落防止部材201を排除した斜視図である。図13A、図13Bは、アクチュエータ165の脱落防止部材201を排除した上面図および回転方向20と回転方向21に同角度ずつ回転した合成角度θxyに回転させた状態における脱落防止部材201を排除したZ軸10と直線14を含む平面での断面図である。図14A、図14Bは、固定ユニットの上面図およびZ軸10と回転軸11を含む平面での断面図である。図15は、アクチュエータ165のセンサー基板502をZ軸10の上方から見た上面図である。図16は、本発明の第1の実施形態の入出力操作装置750の全体構成図である。図17は、本発明の第1の実施形態の入出力操作装置750の構成を示す詳細なブロック図である。これらの図を参照してアクチュエータ165と入出力操作装置750の主な構成を説明する。
入出力操作装置750のアクチュエータ165は、操作部850と、操作部850を搭載する可動ユニット180と、可動ユニット180を支持する固定ユニットとを備える。
可動ユニット180は、固定ユニットに対して、Z軸10を中心に回転する回転方向22、Z軸10に直交し、球心70を通る回転軸(X軸)11を中心に回転する回転方向21およびZ軸10に直交し球心70を通る回転軸(Y軸)12を中心に回転する回転方向20に自在に回転する。回転軸11と回転軸12とは互いに直交している。このために、アクチュエータ165は、可動ユニット180を回転方向20および回転方向21へ回転(傾斜)させるための第1の駆動部および第2の駆動部と、固定ユニットに対して操作部850を回転方向22に回転させる第3の駆動部とを備える。各駆動部は、駆動磁石と、駆動コイルおよび磁気ヨークとの組み合わせを含む。例えば。駆動磁石は可動ユニット180に設けられ、駆動コイルおよび磁気ヨークは固定ユニットに設けられる。
第1の駆動部は、1対の駆動磁石401と、1対の駆動コイル301と、磁性体からなる1対の磁気ヨーク203とを含む。さらに1対の駆動コイル301の内側には、後述するZ軸10を中心に回転方向22に回転駆動する第3の駆動部である1対の駆動コイル303が巻回されている。駆動磁石401と磁気ヨーク203は、球心70を中心とする円周曲面を2側面に有した部分的な円管形状を有する。
第2の駆動部は、1対の駆動磁石402と、1対の駆動コイル302と、磁性体からなる1対の磁気ヨーク204とを含む。さらに1対の駆動コイル302の内側には、後述するZ軸10を中心に回転方向22に回転駆動する第3の駆動部である1対の駆動コイル303が巻回されている。駆動磁石402と磁気ヨーク204も、球心70を中心とする円周曲面を2側面に有した部分的な円管形状である。
第1、第2および第3の駆動部による可動ユニット180の駆動については以下において詳細に説明する。
アクチュエータ165は、操作部850が搭載された可動ユニット180の、固定ユニットに対する回転角度およびのZ軸10回りの回転角度を検出するための検出器を備える。具体的には、可動ユニット180の2次元の回転(傾斜)角度、つまり、回転方向20および回転方向21の回転角度を検出するための第1の検出部と、回転方向22の傾斜角度を検出するための第2の検出部とを備える。第2の検出部は図示しないが、Z軸10に直交する平面内で球心70を中心に可動部180の両端に配置された1対の回転検出用磁石と回転検出用磁石に対向するようにベース200に配置された一対の磁気センサーから構成される。しかしながら、本発明の実施形態のように、入出力操作装置750が回転方向22の回転方向の正逆検知のみを必要としている場合は、第1の検出部においても十分検出が可能となり、第2の検出部は不要となる。
第1の検出器は、可動部180の底部に搭載された回転検出用磁石406と、球心70を通り、回転軸11、12を含む平面で回転軸11、12と直交する直線13に対して平行でZ軸10を中心に配置された一対の磁気センサー501aと501bと、球心70を通り、回転軸11、12を含む平面で直線13に直交する直線14に対して平行でZ軸10を中心に配置された一対の磁気センサー503aと503bとから構成される。磁気センサー501a、501bと503a、503bは、センサー基板502に搭載され、回転検出用磁石406と所定の空隙を隔ててコイルバネ600を介しベース200に固定されている。検出器については、以下において詳細に説明する。
固定ユニットはベース200を含む。ベース200は、可動ユニット180の少なくとも一部が遊嵌する凹部を有する。本実施形態では、凹部の内側面は凹状球面200Aによって構成されている。ベース200は、さらに開口部200P、200Tと、接触面200Bとを有する。
図1に示すように、アクチュエータ165は、可動ユニット180を回転方向22に回転させるため、1対の磁気ヨーク203および1対の磁気ヨーク204と、それらを巻回する4個の駆動コイル303と、1対の駆動磁石401および1対の駆動磁石402を用いる。
図1、図8Aおよび図8Bに示すように駆動コイル303は、一対の磁気ヨーク203および1対の磁気ヨーク204にそれぞれ駆動コイル301および駆動コイル302のコイル巻回方向に対して直交するように内側に積層され巻回された十字巻き構成を有し、それぞれベース200の開口部200P、200Tに挿入固定される。具体的には、一対の磁気ヨーク203および1対の磁気ヨーク204に駆動コイル303を巻回した後、一対の磁気ヨーク203および1対の磁気ヨーク204の両側面に磁気ヨークホルダ203L、203Rおよび磁気ヨークホルダ204L、204Rを固定し、その後に一対の駆動コイル301および302を全体に巻回する。さらに磁気ヨークホルダ203L、203Rおよび磁気ヨークホルダ204L、204Rの底部をベース200の取付け面200Sに固定することで固定ユニットに駆動部が装着される。
好ましくは、ベース200を含む固定ユニットは樹脂によって構成されている。さらに好ましくは、ベース200を含む固定ユニットは、1対の磁気ヨーク203に巻回された駆動コイル301と駆動コイル303、1対の磁気ヨーク204に巻回された駆動コイル302と駆動コイル303とで一体成型されている。また、これらの磁気ヨークに巻回された駆動コイルは、ベース200の内側面、つまり、凹状球面200Aにおいて露出していないことが好ましい。
可動ユニット180は上部可動部150と下部可動部102とを含む。操作部850を内蔵する上部可動部150は下部可動部102に固定される。操作部850は、可動ユニット180において、Z軸10上に位置している。操作部850は概ね凸形状を有し、凸形状の中心(もっとも突出している部分)はZ軸10と一致している。可動ユニット180には、カメラや発光素子などは設けられていない。
下部可動部102は、一対の開口部102Wを有する壺形状を備える。下部可動部102は、球心70を球心とする凸状球面102Rを外形に有する。
凸状球面102Rは、下部可動部102の外側全体を覆っている。より具体的には、下部可動部102は、後述する球心70を球心とする凸状球面部651をベース200に連結固定する連結棒650を挿入可能な一対の開口部102Wを有している。開口部102Wは、可動ユニット180が、Z軸10、回転軸11および回転軸12周りに、あらかじめ設定された角度範囲で回転した場合に連結棒650が下部可動部102に接触することがないような位置および大きさで下部可動部102に設けられている。さらに、開口部102Wは、可動ユニット180の回転方向22のストッパーとして用いられる。したがって、開口部102W以外の部分の表面が凸状球面102Rを構成している。
凸状球面部651と凸状球面102Rの球心70は、下部可動部102の中心に位置しており、操作部850の下部に位置している。
可動ユニット180には、回転検出用磁石406と1対の駆動磁石401と、1対の駆動磁石402とが設けられる。凸状球面102Rに露出することがないよう、搭載する検出用磁石や駆動磁石は開口部102Hから下部可動部102の内側に配置されることが好ましい。下部可動部102は、好ましくは樹脂によって構成され、下部可動部102と回転検出用磁石406と1対の駆動磁石401と1対の駆動磁石402とが一体的に成型されている。
図9B、図10Bに示すように、ベース200の内側に設けられている磁気ヨーク203および磁気ヨーク204は磁性体からなる。このため、それぞれに対向するように下部可動部102の内側に設けられた駆動磁石401および駆動磁石402は吸着用磁石として機能し、磁気ヨークと駆動磁石との間にそれぞれ磁気吸引力が発生する。具体的には、磁気ヨーク203と駆動磁石401とに磁気吸引力F1が、磁気ヨーク204と駆動磁石402とに磁気吸引力F1が発生する。実際には磁気ヨーク203と駆動磁石401の中心線18および磁気ヨーク204と駆動磁石402の中心線19は、それぞれ直線11、直線12に対して下向きの傾斜角度θdで構成されている。傾斜角度θdは15度〜25度程度が好ましい。 上部可動部105は、下部可動部102の壺形状の開口と対応する開口を有する壺形状を備える。下部可動部102は、球心70を球心とする凸状球面105Rを外形に有する。また、上部可動部150の壺形状の内部に、凹状円錐面860aを含む凹状円錐部材860が設けられている。凹状円錐面860aは、下部可動部102に対向しており、は固定ユニットの凸状球面部651の凸状球面651aに接触する。これにより、可動ユニット180は固定ユニットに対して遊嵌される。
図9Bに示すように、磁気吸引力F1は、固定ユニットの凸状球面部651の凹状円錐部材860に対する垂直抗力となる。また、磁気吸引力F1は、Z軸10方向の合成ベクトルである磁気吸引力F2となる。この力のバランスは、いわゆる『ヤジロベエ』の力学構成に良く似ている。このため、可動ユニット180は、非常に安定して3軸方向に回転し得る。具体的には、可動ユニット180は球心70近傍において固定ユニットにピボット支持される。この支持は、極めて安定であり、摩擦抵抗が小さい。よって、極めて優れた動特性を実現できる。つまり、Z軸10、回転軸11、回転軸12を中心とする、可動ユニット180の回転方向22、21、20への回転が可能となる。
特に、可動ユニット180が、上部可動部150および下部可動部102からなる球体形状を備えているため、球心70を、可動ユニット180中心かつ重心の位置と一致させることができる。このため、可動ユニット180は、回転方向20、回転方向21および回転方向22に、いずれもほぼ等しいモーメントで回転し得る。その結果、可動ユニット180が、回転方向20、回転方向21および回転方向22にどのように回転した状態であっても、常にほぼ同じ駆動力でさらに回転させることが可能であり、可動ユニット180を常に高い精度で駆動させることが可能となる。
また、球心70、つまり、可動ユニット180の回転中心と、可動ユニット180の重心とが一致するため、可動ユニット180が回転方向20、回転方向21および回転方向22に回転するモーメントは非常に小さい。このため、小さな駆動力で可動ユニット180を中立状態に維持したり、回転方向20、回転方向21および回転方向22に回転させたりすることができる。よって、入出力操作装置750におけるアクチュエータ165の消費電力を低減させることができる。特に可動ユニット180を中立状態で維持するための必要な駆動電流をほとんどゼロにすることも可能である。
このように、本実施形態によれば、操作部850を搭載する可動ユニット180は、重心位置である球心70において集中的に支持される。従って、摩擦による負荷の低減や駆動周波数領域においる機械的共振を大幅に抑圧することができる。
また、駆動磁石401および駆動磁石402は、部分円周曲面を有するため、回転角度の大小に影響されることなく、一定の磁気吸引力F2を発生させることができ、固定ユニットの凸状球面部651と凹状円錐部材860との垂直抗力も一定となる。その結果、回転角度による摩擦負荷の変動を抑制し、駆動周波数領域において良好な位相・ゲイン特性を実現できる。
また凸状球面部651もしくは凹状円錐部材860を摺動性が優れた樹脂部材により構成すれば、接触する凹状円錐面860aと凸状球面651aの摩擦をさらに低減させることが可能であり、耐摩耗性に優れた支持構造を実現できる。
アクチュエータ165は、好ましくは、可動ユニット180が固定ユニットから脱落しないように可動ユニット180の移動を制限する脱落防止部材201を含む(図1、図4A、図4C)。脱落防止部材201は、脱落防止用規制面201Aを有し、可動ユニット180が固定ユニットから離れるように移動した場合、可動ユニット180の上部可動部150と脱落防止用規制面201Aとが当接することによって可動ユニット180の移動を制限する(図4A)。
上部可動部150が球心70に対して全可動範囲で自在に回動可能になるように、所定の空隙(図示せず)が上部可動部150の凸状球面150Rと脱落防止部材201の脱落防止用規制面201Aとの間に設けられている。
好ましくは、脱落防止用規制面201Aは、球心70と一致した中心を有する凹状部分球面を有する。脱落防止部材201はベース200の接触面200Bに固定されている。凸状球面150Rと脱落防止用規制面201Aとの間には、凹状円錐部材860の凹状円錐面860aが固定ユニットの凸状球面部651の凸状球面651aに接触した状態で空隙を設けている。この空隙は、凹状円錐面860aが凸状球面651aから離間しても、磁気吸引力F1により凹状円錐面860aと凸状球面651aが接触する状態へ戻ることが可能な距離に設定されている。つまり、可動ユニット180が上方へ空隙に等しい距離だけ移動し、脱落防止用規制面201Aと凸状球面150Rとが接触した状態においても、磁気吸引力F1により可動ユニット180は、凹状円錐面860aと凸状球面651aが接触する元の状態へ戻ることができる。このため、本実施形態によれば、たとえ可動ユニット180が瞬間的に所定の位置から脱落した場合においても磁気吸引力F1により、即座に元の良好な支持状態に復帰することのできる耐衝撃性に優れた入出力操作装置を提供できる。
次に、アクチュエータ165の可動ユニット180を駆動するための構造を詳細に説明する。
図2に示すように、下部可動部102には、可動ユニット180を回転方向20に回転駆動するために、1対の駆動磁石401がZ軸10に対して対称に配置され、可動ユニット180を回転方向21に回転駆動するために、1対の駆動磁石402がZ軸10に対して対称に配置されている。固定ユニットに設けられる構成要素について、『Z軸10に対して対称』とは、可動ユニット180が中立状態、つまり可動ユニット180が固定ユニットに対して回転してない状態におけるZ軸10を基準としている。
駆動磁石401は、回転軸11の方向に磁束を有するように1極に着磁されており、同様に駆動磁石402は、回転軸12の方向に磁束を有するように1極に着磁されている。
図1、図9B、図10Bに示し、上述したように、1対の磁気ヨーク203および磁気ヨーク204が、1対の駆動磁石401および1対の駆動磁石402にそれぞれ対向するように、Z軸10を中心としたベース200の円周上にそれぞれ設けられている。
図1、図8Aに示すように、回転軸11の方向にベース200に配置された1対の磁気ヨーク203のそれぞれには、磁気ヨーク203を巻回する駆動コイル303が設けられ、さらに駆動コイル303の外側に駆動コイル303の巻回方向と直交するように4分割された駆動コイル301が設けられている。駆動コイル301が4分割されているのは、磁気ヨーク203が円周曲面を有することに起因する。
同様に回転軸11に直交する回転軸12方向に配置された1対の磁気ヨーク204のそれぞれには、磁気ヨーク204を巻回する駆動コイル303と駆動コイル303の外側に駆動コイル303の巻回方向と直交するように駆動コイル302が設けられている。
言い換えれば、Z軸10を中心とする円周上に、回転方向20、回転方向21および回転方向22の駆動部がそれぞれ独立に分散して配置されている。
このような構造によれば、図9B、図10Bに示すように磁気ヨーク203と駆動磁石401との間の磁気ギャップ、磁気ヨーク204と駆動磁石402との間の磁気ギャップを均等に設けることができる。このため、それぞれの磁束密度を均等に向上させることができ、回転方向20、回転方向21および回転方向22への駆動効率が大幅に改善される。
次に、各駆動部のZ軸10方向の高さ位置を説明する。
図14Bに示すように、直線36、37は、ベース200に固定される磁気ヨーク203の球心70を通る円周曲面の中心軸(図示せず)と垂直である。また、直線36、37は、中立状態にある可動ユニットの駆動磁石401の球心70を通る円周曲面の中心軸(図示せず)と垂直である。直線36、37は、直線11に対して、下方に45度以下の傾斜角度θpをなしている。図示しないが、ベース200に固定される磁気ヨーク204、駆動磁石402も同様の構成である。このように、一対の駆動磁石401、402と一対の磁気ヨーク203、204は、球心70を含む水平面に対して下向きに45度以下の傾斜角度θpを傾斜したZ軸10を中心とした4枚の花びらのような構成をなしている。具体的には、図14A、図14Bに示したように、一対の磁気ヨーク203のそれぞれは、両側面において磁気ヨークホルダ203L、203Rに挟まれており、磁気ヨークホルダ203L、203Rの底部がベース200の開口部200Pに挿入される。これによって、磁気ヨーク203が、取付け面200Sに固定される。
同様に一対の磁気ヨーク204のそれぞれは、両側面において、磁気ヨークホルダ204L、204Rに挟まれており、磁気ヨークホルダ204L、204Rの底部がベース200の開口部200Tに挿入される、これにより、磁気ヨーク204が、取付け面200Sに固定される。
上述したように、傾斜角度θpを45度以下に設定することにより、固定ユニットの高さを小さくし、装置の省スペースと低背化を実現できる。好ましくは、回転傾斜角度θpおよび回転傾斜角度θr、は15度から25度程度であり、より好ましくは、例えば、20度である。
1対の駆動コイル301に通電することにより、1対の駆動磁石401は偶力の電磁力を受け、下部可動部102、つまり可動ユニット180は、X軸方向回転軸12を中心に回転方向20に回転駆動される。同様に、1対の駆動コイル302に通電することにより、1対の駆動磁石402は偶力の電磁力を受け、可動ユニット180は、Y軸方向回転軸11を中心に回転方向21に回転駆動される。
さらに駆動コイル301および駆動コイル302に同時に通電することにより、操作部850が搭載された可動ユニット180を2次元的に回転させることができる。
図12および図13A、図13Bは、駆動コイル301および駆動コイル302に同時に同等の電流を通電することにより、回転方向20および回転方向21に同角度ずつ回転し、結果として回転方向20と回転方向21と45度をなす直線13方向に合成角度θxyに回転した状態を示したものである。
また4つの駆動コイル303に通電することにより、可動ユニット180は同回転方向の電磁力を受け、可動ユニット180は、Z軸10を中心に回転方向22に回転駆動される。
さらに合成角度θxyに回転した状態において、4つの駆動コイル303に通電すれば、可動ユニット180は直線32を中心に回転方向23に回転駆動される。
このように、本実施形態は、可動ユニット180に駆動磁石401、駆動磁石402を設けたムービングマグネット駆動方式を採用している。この構成では、一般的に可動ユニット180の重量が増大するという問題が考えられる。しかし、この構成によれば、可動ユニット180への駆動用配線の懸架は不必要となる。
また、可動ユニット180の重心と可動ユニット180の回動中心点が球心70に一致しているため、駆動磁石を搭載することにより重量が増大しても、可動ユニット180の回転モーメントは、大きく増大しない。このため、本実施形態によれば、重量の増大による課題を抑制しつつ、ムービングマグネット駆動方式による利点を享受できる。
可動ユニット180のZ軸10を中心とする回転方向22の回転角度は、下部可動部102に設けられた一対の開口部102Wとベース200に固定された連結棒650との接触によって制限される。一対の開口部102Wに連結棒650が挿入されているため、開口部102Wが規定する開口の範囲で、連結棒650が開口部102Wを規定する壁と接触することなく可動ユニット180がZ軸10を中心として回転する。開口の範囲を超えて、可動ユニット180が回転しようとすると、連結棒650と一対の開口部102Wを規定する壁が接触するため、それ以上可動ユニット180は回転できない。
ムービングマグネット駆動方式においては、駆動コイル301、駆動コイル302、駆動コイル303の発熱を磁気ヨーク203と磁気ヨークホルダ203L、203Rおよび磁気ヨーク204と磁気ヨークホルダ204L、204Rを介してベース200によって冷却できるという大きな利点がある。さらに、回転方向20および回転方向21への回転角度を20度以上に設計する上では、可動ユニット180を小型化、軽量化できる点で有利である。一方、ムービングコイル駆動方式では駆動コイルがあまりにも肥大化し、可動ユニット180の重量が増加する可能性がある。
このように、本実施形態によれば、可動ユニット180の操作部850、上部可動部150、下部可動部102、下部可動部102、回転検出用磁石406と固定ユニットに設けられたれた脱落防止用規制面201A、ベース200に設けられた2対の回転用駆動部の中心軸が、すべて支持中心であり駆動中心でもある球心70を通るように構成されている。
従って、可動ユニット180の重心が球心70と一致し、可動ユニット180を重心で支持するとともに、重心を通り互いに直交する3軸回りの回転駆動を実現することができる。また、可動ユニット180の脱落を防止することができる。
入出力操作装置750のアクチュエータ165は、可動ユニット180の振幅増大係数(Q値)を低減するため、粘性部材(図示せず)を備えていてもよい。この場合、図9B、図10Bに示すように、上部可動部150に搭載している凹状円錐部材860の凹状円錐面860aと固定ユニットの凸状球面部651の凸状球面651aとの間に粘性部材を設ける。これにより、可動ユニット180に設けられる駆動磁石401、駆動磁石402とベース200に設けられた磁気ヨーク203、磁気ヨーク204との間において回転方向21、22の回転角度および回転方向22の回転角度に対して発生する磁気吸引力変動の磁気バネ効果による振動の振幅増大係数(Q値)や機械的な固有振動のQ値を低減でき、良好な制御特性を得ることができる。
次に可動ユニット180の回転角度(傾き)の検出について説明する。図1、図2、図11A、図11Bおよび図15に示すように、アクチュエータ165は、固定ユニットに対する操作部850が搭載された可動ユニット180の回転角度およびのZ軸10回りの回転角度を検出するための検出器を備える。
具体的には、可動ユニット180の2次元の回転角度、つまり、回転方向20および回転方向21の回転角度を検出するための第1の検出部と、回転方向22の回転角度を検出するための第2の検出部とを備える。
第2の検出部は図示しないが、Z軸10に直交する平面内で球心70を中心に可動部180の両端に配置された1対の回転検出用磁石と回転検出用磁石に対向するようにベース200に配置された一対の磁気センサーから構成される。
しかしながら、本発明の実施形態のように、入出力操作装置750が回転方向22の回転方向の正逆検知のみを必要としている場合は、第1の検出部においても十分検出が可能となり、第2の検出部は不要となる。
第1の検出器は、可動部180の底部に搭載された回転検出用磁石406と、球心70を通り、回転軸11、12を含む平面で回転軸11、12と直交する直線13に対して平行でZ軸10を中心に配置された一対の磁気センサー501aと501bと、球心70を通り、回転軸11、12を含む平面で直線13に直交する直線14に対して平行でZ軸10を中心に配置された一対の磁気センサー503aと503bとから構成される。
磁気センサー501a、501b、503a、503bは、センサー基板502に搭載され、回転検出用磁石406と所定の空隙を隔ててコイルバネ600を介しベース200の底部に固定されている。
まず、可動ユニット180の回転方向20および回転方向21における可動ユニット180の回転角度の検出について詳細に説明する。
センサー基板502は、3箇所でコイルバネ600を介してベース200に調節ネジ(図示せず)601で固定されており、3つの調節ネジ601をそれぞれ回転させることにより、回転検出用磁石406と磁気センサー501a、501bと503a、503bとの相対的な傾きと距離を変化させる。これにより、磁気センサー501a、501bと磁気センサー503a、503bの傾き出力信号を最適に調整することが可能となる。
図11Bおよび図13A、図13Bに示すように、駆動コイル301および駆動コイル302の駆動電流が発生させる磁界の影響を受けないようにするため、磁気センサー501a、501bは直線13に平行に配置され、磁気センサー503a、503bは直線14に平行に配置されている。直線13に平行に配置されている磁気センサー501a、501bは、可動ユニット180の回転方向20および回転方向21における回転動作によって生じる回転検出用磁石406の磁力変化を2軸成分として合成検出し、さらに磁気センサー501aと501bの検出出力を差動検出することで検出信号のS/Nを向上している。
また直線14に平行に配置されている磁気センサー503a、503bは、可動ユニット180の回転方向20および回転方向21における回転動作によって生じる回転検出用磁石406の磁力変化を2軸成分として合成検出し、さらに磁気センサー503aと503bの検出出力を差動検出することで検出信号のS/Nを向上している。
さらに本実施形態のように入出力操作装置750が回転方向22の回転方向の正逆検知のみを必要としている場合は、磁気センサー501aと503bとの差動検出と磁気センサー501bと503aとの差動検出により、回転方向22の回転方向の正逆検知が可能となる。
このように、本実施形態によれば、回転検出用磁石406と球心70との間隔を短くすることで、回転角度に対して回転検出用磁石406の移動を小さくできる。よって磁気センサー501a、501bと磁気センサー503a、503bの配置投影面積を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、磁気センサー501a、501bと、磁気センサー503a、503bと回転検出用磁石406とを含んでいたが、他の構成によって検出器を構成してもよい。例えば、Z軸10上において、固定ユニットに設けられた光センサーと、可動ユニット180に設けられた光検出パターンとを含んでいてもよい。可動ユニットが回転することにより、光検出パターンが回転するため、光センサーに入射する光が変化する。光センサーがこの光の変化を検出することにより2次元の回転角度を算出することも可能である。
このように、本実施形態の入出力操作装置750のアクチュエータ165によれば、操作部のZ軸上に、可動ユニットを球心にてピボット支持する構造を配置し、さらにZ軸に垂直で球心を通る平面において球心を中心に2対の駆動部を円周状に配置する、これにより、可動ユニットの回動角度に影響を受けにくい磁気吸引力によって、一定の垂直抗力を付加することができ、回転角度による摩擦負荷変動を低減し、かつ可動ユニットを重心支持・重心駆動する構成が実現し、駆動周波数領域において機械的共振を大幅に抑制することができる。
また、従来、磁気吸引力による支持構造に特有の大きな課題であった振動・衝撃等の外乱等による可動ユニット180の脱落を防止するため、固定ユニットに設けられた脱落防止部材に回動可能な所定の空隙を介して脱落防止規制面を設けている。このため装置の大型化を回避しながら確実に可動ユニットの脱落防止を実現できる。
また、可動ユニットの凸状球面が固定ユニットの脱落防止規制面に当接する状態まで可動ユニットが脱落した場合でも、磁気吸引力によって、固定ユニットの凸状球面部と可動部の凹状円錐部材とが再び点接触することができるように脱落防止規制面の位置が決定されている。このため、たとえ可動ユニットが瞬間的に脱落した場合においても即座に元の良好な支持状態に復帰できる極めて耐衝撃性に優れた入出力操作装置を提供できる。
また駆動部が配置されるZ軸方向の高さ位置は、球心を含む水平面より下方に回転した高さ位置に配置される。このため可動ユニットの重心を球心中心で駆動することができ、かつ低背化が可能となる。
また、可動部とベースを樹脂材料にするかもしくは固定ユニットの凸状球面部と凹状円錐部材の表面部分を樹脂部材で被覆することで、低摩擦で耐摩耗性に優れた支持構造が実現する。
また、上部可動部の凹状円錐面と固定ユニットの凸状球面で形成れる空隙に粘性部材を充填することにより、可動ユニットに設けられた駆動磁石と固定ユニットに設けられた磁気ヨークとの間に発生する磁気吸引力変動に起因する磁気バネ効果による振動の振幅増大係数(Q値)や機械的な固有振動のQ値を低減することができ、良好な制御特性を得ることができる。
従って、本実施形態の入出力操作装置のアクチュエータによれば、例えば、直交するX軸、Y軸があって、X軸回りおよびY軸回りに±20度以上の大きな角度で可動ユニットを回転させ、また、X軸、Y軸に直交するZ軸回りに±5度以上の大きな角度で可動ユニットを回転させることができる。また、200Hz程度までの広帯域の周波数領域で良好な振れ補正制御を実現できる。その結果、操作部のX軸・Y軸・Z軸回りの回転動作を実現するとともに、小型で堅牢な脱落防止構造を備えるため、振動や落下衝撃等の外部からの衝撃に対する耐衝撃性の強い入出力操作装置のアクチュエータが実現する。
次に、図16、図17を用いて、このアクチュエータ165を有する第1の実施形態の入出力操作装置750の動作を説明する。
図16に示すように、本発明の第1の実施形態の入出力操作装置750は、アクチュエータ165と、駆動回路部350と、検出回路部360と、制御演算処理部94とを備える。入出力操作装置750は、さらにアクチュエータ165の目標位置座標を表示する表示演算処理部700を備えていてもよい。
表示演算処理部700に表示された目標位置座標920に対して入出力操作装置750におけるアクチュエータ165の手指に触れている操作部850を位置追従させることができる。図17は、入出力操作装置750の制御を示す詳細なブロック図である。
図17に示すように、駆動回路部350は、駆動回路96a、96b、96rを含む。検出回路部360は、可動ユニット180の増幅回路98x、98yを含む。
表示演算処理部700に表示された目標の位置座標920のx座標900とy座標901は、具体的には、それぞれ、可動ユニット180の回転方向20、回転方向21の目標回転角度に対応する。
また図16に示したように、表示演算処理部700における水平基準HSに対してアクチュエータ165の回転軸11と回転軸12は45度傾斜している。これは前述したようにZ軸方向から見た投影面において、磁気センサー501a、501bと磁気センサー503a、503bが、駆動コイル301と磁気ヨーク203と磁気ヨークホルダ203L、203Rならびに駆動コイル302と磁気ヨーク204と磁気ヨークホルダ204L、204Rの投影領域以外に設置させる(本実施形態では45度ずらして設置)ことで、駆動コイル301と駆動コイル302の駆動電流が発生させる磁界の影響を受けないようにしているからである。従って、表示演算処理部700における水平基準HS方向である直線14方向に回転する場合、駆動コイル301と駆動コイル302の両方に通電して直線14方向(表示演算処理部700のX軸方向に相当)への駆動が可能となる。また、水平基準HSに垂直な方向である直線13方向に回転駆動する場合においても駆動コイル301と駆動コイル302の両方に通電して直線13方向(表示演算処理部700のY軸方向に相当)への駆動が可能となる。
その結果、図16に示した表示演算処理部700においてθg=45°の位置座標920のx座標900とy座標901に対して、45度回転している駆動コイル301と駆動コイル302を駆動する場合、回転軸12と回転軸11回りの可動ユニット180の回転角度は、1/√2倍の回転角度となる。
次に図17を参照しながら、表示演算処理部700から制御演算処理部94を介してアクチュエータ165へ出力される可動ユニット180の位置制御駆動の動作を説明する。
図17に示したように表示演算処理部700における目標の位置座標920のx座標900とy座標901は、それぞれ、デジタル化された目標位置座標信号80x、80yとして出力され、制御演算処理部94に入力される。
制御演算処理部94は、表示演算処理部700から受け取る目標位置座信号80x、80yと、検出回路部360から受け取る回転角度信号88x、88yに基づき、目標回転角度信号84a、84bを生成することにより、回転軸11、12周りの角度についてフィードバック制御を行う。具体的には、まず制御演算処理部94は、目標位置座標をアクチュエータ165の回転角度に変換する処理を行う。この際に前述した磁気センサー501a、501bと磁気センサー503a、503bが、駆動コイル301ならびに駆動コイル302と投影面上45度ずれていることによる補正も行う。これによりx座標900とy座標901に相当する回転方向20、回転方向21への目標回転角度を逐次算出する。
また、制御演算処理部94で行われる目標位置に対する位置ずれ補正処理は、表示演算処理部700から出力されたx座標900とy座標901の目標位置座標信号80x、80yに応じて位置誤差を抑制するようにアクチュエータ165の可動ユニット180を駆動する位置クローズド制御である。従って制御演算処理部94は、アクチュエータ165の周波数応答特性と位相補償およびゲイン補正等を含めた最適なデジタルの振れ補正量として逐次目標回転角度信号84a、84bを出力する。
目標回転角度信号84a、84bはDA変換器95a、95bによりアナログ化され、アナログの目標回転角度信号85a、85bとして回転軸11回りの駆動回路96a、回転軸12回りの駆動回路96bに入力される。
一方、アクチュエータ165においては、可動ユニット180のベース200に対する回転角度を検出する磁気センサー501a、501bとから回転方向20、すなわち表示演算処理部700のHSに垂直なy軸方向に相当する回転角度信号86yが出力され、磁気センサー503a、503bとから回転方向21、すなわち表示演算処理部700のHS方向に相当する回転角度信号86xが出力される。回転角度信号86x、86yは、アナログ回路97x、97yによってノイズ成分やDCドリフト成分が除去され、回転角度信号87x、87yとなる。さらに増幅回路98x、98yにより増幅され、適切な大きさの振幅を有する回転角度信号88x、88yが得られ、AD変換器99x、99yを介してデジタル化された回転角度信号89x、89yが制御演算処理部94に逐次入力される。
前述した位置クローズド制御は、制御演算処理部94において目標位置座標信号80x、80yによる目標位置座標920と、可動ユニット180の回転角度信号89x、89yによる現位置座標との差分(位置誤差)を算出し、改めて位置誤差に基づいた目標回転角度信号84a、84bを逐次出力することで行われる。
また制御演算処理部94において、可動ユニット180の回転角度信号89x、89yは、表示演算処理部700に表示される位置座標系に逆変換演算され、帰還位置座標信号82x、82yとして表示演算処理部700に出力される。
駆動回路96a、96bは、目標の角度信号85a、85bに対して回転角度信号89x、89yを帰還するフィードバック系で制御される。従って、可動ユニット180に手指による外部からの力が作用しない場合は、所定の回転角度位置となるように可動ユニット180の回転方向20、回転方向21の角度を一定にするように制御している。
したがって、表示演算処理部700の目標位置座標信号80x、80yと目標の回転角度信号85a、85bおよび可動ユニット180の回転角度信号89x、89yに基づき、駆動コイル301、駆動コイル302を駆動する駆動信号が駆動回路96a、96bに出力される。これにより入出力操作装置750において、目標位置座標920に対する角度位置のフィードバック制御が実行され、帰還位置座標信号82x、82yが目標位置座標信号80x、80yに等しくなるようにアクチュエータ165の可動ユニット180が駆動される。この一連の駆動制御により、可動ユニット180の操作部850の位置追従制御が実施され、良好な触力覚操作が実現可能となる。
次に図17を参照しながら、表示演算処理部700からアクチュエータ165へ出力される回転方向22回りの駆動制御動作について説明する。
可動ユニット180はZ軸10周りの回転方向22にも駆動される。この動作は、正弦波・矩形波・パルス波・三角波等の駆動信号による可動ユニット180の振動を主とする。本実施形態においてはこの動作は、オープン制御に基づく。
制御演算処理部94は、表示演算処理部700から受け取る選択信号80rに基づく所定の駆動波形パターンを有する駆動信号84rを生成し、可動ユニット180をZ軸10周りに振動駆動する。このために、制御演算処理部94は、所定の振動モードを与える様々な駆動波形パターンを記憶している。駆動波形パターンは、触覚操作機能の提示に適していると考えられ、スティック&スリップ感、クリック感として表現される、高い周波数特性を有する駆動波形パターンを含む。
表示演算処理部700は制御演算処理部94へ駆動波形パターンを選択する選択信号80rを出力する。制御演算処理部94は、選択信号80rに基づき所定の駆動波形パターンを選択し、デジタル化された駆動信号84rをDA変換器95rに出力する。アナログ化された駆動信号85rは回転方向22の駆動回路96rに入力される。これにより可動ユニット180は、回転方向22へ振動駆動され、操作部850を介して操作者の指先にバイブレーション感や指先内部にあるパチニ小体を刺激する触角感を与えることが可能となる。
可動ユニット180の回転方向22への振動は、可動ユニット180を上から見た場合、例えば、Z軸10周りに所定の角度で右方向に回転し、反転して左方向に所定の角度で回転する運動の繰り返しによって構成される。
また、可動ユニット180は、振動駆動以外に可聴領域の周波数成分を有する駆動信号によって回転方向22に駆動してもよい。これにより、可動ユニット180が可聴領域の周波数で振動し、アクチュエータ165から音声を出力することも可能である。
このように、可動ユニット180の操作部850が回転軸11、12回りの角度について2次元で制御され、かつ回転方向22に振動駆動されることによって、様々な分野で使用されるヒューマン・マシーン・インターフェイス(HMI)として、本実施形態の入出力操作装置を用いることができる。
次に図17を参照しながら、アクチュエータ165から制御演算処理部94を介して表示演算処理部700に出力される可動ユニット180の回転角度の検出動作について説明する。
アクチュエータ165は、その構成から指先にて操作部850を介して可動ユニット180を回転軸11、12回りの2次元に回転させた場合、磁気センサー501a、501bと磁気センサー503a、503bが可動ユニット180の回転軸11、12回りの回転角度を検出するセンサーとして機能する。
さらに良好な周波数応答特性と高い回転角度分解能を有するアクチュエータ165であることから、手指による可動ユニット180の動作検出感度は非常に高く、携帯端末でよく使用されているフリック入力やスワイプ入力の検出や文字入力の検出も可能となりえる。
磁気センサー501a、501bとから回転方向20、すなわち表示演算処理部700のHSに垂直なy軸方向に相当する回転角度信号86yが出力され、磁気センサー503a、503bとから回転方向21、すなわち表示演算処理部700の水平方向であるHS方向に相当する回転角度信号86xが出力される。
回転角度信号86x、86yは、アナログ回路97x、97yによってノイズ成分やDCドリフト成分が除去され、回転角度信号87x、87yとなる。さらに増幅回路98x、98yにより適切な出力値の回転角度信号88x、88yが得られ、AD変換器99x、99yを介してデジタル化された回転角度信号89x、89yが制御演算処理部94に逐次入力される。制御演算処理部94は、フリック入力やスワイプ入力などの特殊な入力パターンモードを含めた様々な入力検出波形パターンを記憶しており、入力波形である回転角度信号89x、89yがどの入力パターンモードかを比較検知して選択を行い、表示演算処理部700へ選択信号82sとして出力する。
次に可動ユニット180の回転方向22の回転検出の動作について説明する。本実施形態では、回転検出専用の磁気センサーを設けていないが、前述したように可動ユニット180の回転方向20および回転方向21への回転に加え、回転方向22の回転が行われた場合、回転角度信号89x、89yの相対的な出力差から、可動ユニット180が回転方向22において右回りに操作されたか、左回りに操作されたかを検出することが可能である。
これにより、可動ユニット180に搭載された操作部850を右もしくは左回りに回しながら、同時に回転方向20、回転方向21に回転移動が可能となることで、携帯端末でよく使用されているピンチ入力による画面の拡大縮小やスクロール入力の代替入力の検出も可能となりえる。例えば、制御演算処理部94は、回転角度信号89x、89yの差異を検出し、その結果を検出信号82rとして表示演算処理部700へ出力してもよい。
以上、表示演算処理部700、制御演算処理部94およびアクチュエータ165の入出力制御の動作について説明をしたが、たとえば図16、図17に示したように、表示演算処理部700にアクチュエータ165の可動ユニット180の移動可能な識別座標エリア710を設けてもよい。これにより、操作者は、識別座標エリア710の内部に相当する範囲においては、操作部850を移動負荷もなく自由に操作できるが、識別座標エリア710以外の領域に操作部850が移動した場合は、座標軸上で最も近い識別座標エリア710の内部へ戻るように可動ユニット180を駆動させることができる。すなわち、操作部850の範囲規制をさせることが可能となり、入出力操作装置750としての機能と応用分野が広がることになる。この場合、制御演算処理部94は、例えば、識別座標エリア710の中心に目標位置座標を設定し、回転角度信号89x、89yによる現位置座標が、識別座標エリア710の範囲内部にある場合は、上述のフィードバック制御を第1の利得に設定し、現位置座標が、識別座標エリア710の範囲外にある場合は、第1の利得よりも大きい利得を設定する。これにより、例えば、操作者が操作部850を手指で移動させる場合において、識別座標エリア710の周囲に規制する壁面が備えられたような触力覚を付与できる。さらに位相補償やゲイン補正等を含めた制御変数を変化させることで規制する壁を硬い材質感や柔らかい材質感に変更させることも可能である。
さらに識別座標エリアをソフト的に瞬時に変更させることにより、様々な範囲規制に即した入出力操作装置を作成することが可能となる。
(第2の実施形態)
図18は、本発明の第2の実施形態の入出力操作装置750の構成を示す詳細なブロック図である。アクチュエータ165を有する第2の実施形態の入出力操作装置750の動作について、図18を用いて説明する。第2の実施形態の入出力操作装置750の構成は、第1の実施形態と同じである。差異となる点は、識別座標エリア720の形状を円環に変更したことにある。
第1の実施形態と同様、制御演算処理部94は、例えば、識別座標エリア720の中心に目標位置座標を設定し、回転角度信号89x、89yによる現位置座標が、識別座標エリア710の範囲内部にある場合は、上述のフィードバック制御を第1の利得に設定し、現位置座標が、識別座標エリア710の範囲外にある場合は、第1の利得よりも大きい利得を設定する。これにより、識別座標エリア720の内部に相当する範囲においては、操作者は、操作部850を移動負荷もなく自由に操作できる。しかし、識別座標エリア720以外の領域に操作部850を移動させた場合は、座標軸上で最も近い識別座標エリア720の内部へ戻るように制御される。すなわち、操作部850の円形状の軌道規制をさせることが可能となり、入出力操作装置750としての機能と応用分野が広がることになる。
このように第2の実施形態の入出力操作装置750においては、操作者が操作部850を目視することなく所定の目標軌道に一致するように手指を沿わせることが可能となりブラインドタッチ感のある操作を実現できる。
(第3の実施形態)
図19は、本発明の第3の実施形態の入出力操作装置750の構成を示す詳細なブロック図である。アクチュエータ165を有する第3の実施形態の入出力操作装置750の動作について、図19を用いて説明する。第3の実施形態の入出力操作装置750の構成は、第1の実施形態と同じである。差異となる点は、識別座標エリアが離散的に配置された識別座標エリア730に変更したことにある。
図19に示したように、複数のエリアを円周状に分散配置した識別座標エリア730を目標とする。制御演算処理部94は、可動ユニット180の操作部850の現位置座標930または、外部からの信号に応じて、複数のエリアから選ばれる1つのエリア内に目標位置座標を設定し、第1の実施形態で説明したようにフィードバック制御を行う。たとえば図19においては太い破線で示すように、制御演算処理部94は識別座標エリア730の複数のエリアに対応して扇形の領域を設定し、操作部850の現位置座標930が扇形の領域の1つ内にある場合、その扇形領域内の識別座標エリアの中心に目標位置座標を設定する。例えば、可動ユニット180が現位置座標930にあった場合において、位置的に近接する識別座標エリアは、エリア530である。制御演算処理部94は、エリア530を識別座標エリアとして選択する。また、エリア530の中心に目標位置座標を設定する。これにより、可動ユニット180に搭載された操作部850は、フィードバック制御により、エリア530に位置するように、駆動される。
たとえばエリア540の内側に位置していた操作部850を操作者の手指の力によりエリア540の外側であるエリア530方向へ強制的に移動し、エリア540の扇形の領域に現位置座標930が移動した場合、制御演算処理部94は、エリア540の中心に目標位置座標を設定する。これにより、操作部850は、フィードバック制御によってエリア540に移動する。
また、エリア540からエリア530へ遷移する場合、第1の実施形態で述べた硬い材質感の壁や柔らかい材質感の壁を自由に選択できることから、遷移する場合の操作感覚を鋭いクリック感や粘性が効いたダンピング感に自由に変化させることができる。
さらに、目標位置座標の決定は操作者の指令に基づいていてもよい。例えば、エリア530とエリア540の選択操作に関しては、どちらかのエリアに到達後に操作者が、操作部850を回転軸22回りに回転すれば、制御演算処理部94から検出信号82rを出力することで選択判定することが可能である。
したがって第3の実施形態の入出力操作装置750においては、回転軸22回りの検出信号82rを選択スイッチとして利用が可能となり、選択スイッチを新たに別途設ける必要がない。
(第4の実施形態)
図20は、本発明の第4の実施形態の入出力操作装置750の構成を示す詳細なブロック図である。アクチュエータ165を有する第4の実施形態の入出力操作装置750の動作について、図20を用いて説明する。第4の実施形態の入出力操作装置750の構成は、第1の実施形態と同じである。差異となる点は、識別座標エリア740が離散的に配置された複数のエリアを有し、かつ操作部850を回転軸22回りに振動駆動することにある。
図20に示したように、識別座標エリアを2個配置した識別座標エリア740を目標とする。複数のエリアへ操作部850をガイドするフィードバック制御は第3の実施形態で説明した通りである。たとえば図20に示したように可動ユニット180がエリア550の内側である現位置座標940にあった場合において、位置的に近接する識別座標エリアは、エリア560が候補である。エリア550の内側に位置していた操作部850を操作者の手指の力によりエリア540の外側であるエリア560へ強制的に移動してエリア560に到達した場合、エリア560に到達と同時に操作部850を回転軸22回りに振動駆動させる。
これにより、操作者は操作部850を目視することなく、振動駆動によりエリア560に到達したことを触力覚で感じ取ることが可能となる。振動駆動させる駆動信号84rには、10Hzから指先のパチニ小体が受容できる200Hzまでの駆動周波数が好ましい。また音声信号を駆動信号84rに使用することも可能である。
(第5の実施形態)
図21は、本発明の第5の実施形態の入出力操作装置750の構成を示す詳細なブロック図である。アクチュエータ165を有する第5の実施形態の入出力操作装置750の動作について、図21を用いて説明する。第5の実施形態の入出力操作装置750の構成は、第1の実施形態と同じである。差異となる点は、識別座標エリア760が離散的に配置された複数のエリアを有し、かつ操作者が操作部850をエリア570からエリア580へ遷移させる遷移状態590を自在に変化させることにある。
図21に示したように、表示演算処理部700にエリア570および580を含む識別座標エリア760が設定される。たとえば図21に示したように可動ユニット180がエリア570からエリア580へ遷移する途中である現位置座標950にあった場合において、位置的に最も近接する識別座標エリアは、エリア570である。エリア570、580へ操作部850をガイドするフィードバック制御は第3の実施形態で説明した通りである。
選択できるエリアはエリア570とエリア580の2個であり、現位置座標950は、エリア580よりもエリア570により近接している。操作部850が現位置座標950にある場合においても、回転角度信号89x、89yは制御演算処理部94に逐次入力される。したがってこの回転角度信号89x、89yを用いて、遷移する位置座標に応じて段階的に操作部850に移動付加抵抗を与えることは可能である。たとえば、この付加抵抗を矩形波的に付加すれば操作部850を介して操作者の手指へ微小なクリック振動を感じさせることができる。また、操作部850の速度に依存した付加抵抗を与えることで操作者の手指へ粘性抵抗的なダンピング感を感じさせることができる。これにより、操作者は、操作部850を現位置座標950からエリア580へ移動させるよりもエリア570へ移動させる場合の方が、抵抗を感じる触覚を操作部850に与えられた振動から受ける。よって、例えば、操作部850の位置をエリア570からエリア580へ移動させる場合、操作者は、触覚に導かれ自然な感覚で操作部850を操作することができる。
(第6の実施形態)
図22Aは、本発明の第6の実施形態の入出力操作装置750の構成を示す詳細なブロック図である。図22Bは、本発明の第6の実施形態の入力操作装置750の入力検出信号を示す図である。アクチュエータ165を有する第6の実施形態の入出力操作装置750の動作について、図22A、図22Bを用いて説明する。
図22Bは、操作者が操作部850に対してフリック動作やスワイプ動作を与えた場合に、回転角度信号89x、89yに検出される過渡応答的な信号である。第6の実施形態の入出力操作装置750の構成は、第1の実施形態と同じである。差異となる点は、この過渡応答的な信号パターンを制御演算処理部94にてパターン認識させることにある。
一般に、携帯端末に使用されるタッチパネル上での操作方法として、指で画面を押さえてから、さっとはじくように動かすフリックと呼ばれる操作方法と、指を画面に押して一定の方向へ掃くように動かすスワイプと呼ばれる操作方法がある。これらは、タッチパネルならではの操作方法である。フリックでは同じキーを何度も押す必要もなく文字入力のスピード向上ができ、スワイプでは画面切り替えやページ送りをさせることが可能である。
しかしながら、機械的な構造を持つジョイスティック等の入出力操作装置においては、周波数応答特性の不足やセンシング分解能の課題の観点から上記のフリック動作による入力やスワイプ動作による入力を実現させることは困難であった。
本実施形態の入出力操作装置750では、上記課題に対して解決できる高い周波数応答特性と、高分解能の磁気センサーを有しており、図22Bに示したような操作部850の過渡応答信号を十分検出することができる。したがって、操作部850の移動による、回転角度信号89x、89yを制御演算処理部94がパターン認識することより、操作部850のフリック動作やスワイプ動作を入力信号として検出することができる。
これによりタッチパネル操作では味わえないリアルな実動作を伴うフリック・スワイプを実現できる。具体的には操作部をフリック動作・スワイプ動作させることで図22Aに示したように表示方向830と820の2次元の操作が可能となる。
本発明の第1から第6の実施形態の入出力操作装置750では、位置信号を主とした位置制御系を示した。しかしAD変換器を介してアクチュエータ165の磁気センサー501a、501bと磁気センサー503a、503bから回転角度信号89x、89yを制御演算処理部94に取り込み、微分演算処理を行うことにより、可動ユニット180の回転速度信号を検出することも可能である。これにより、制御演算処理部94において、目標位置座標信号80x、80yの微分演算処理も行うことで可動ユニット180の回転速度信号を用いた速度フィードバック系をさらに構築することができ、より高速で位置制御を実施することができる。