以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図5を用いて、本発明の第1実施形態である管継手について説明する。
図1及び図2には、本発明の第1実施形態である管継手10が半裁断面図にて示されている。図1及び図2に示されるように、この管継手10は、いわゆる迅速継手(カップラー)であり、雄型金具を構成する雄体としてのノーズ12と、雌型金具を構成する雌体としてのボディ14と、を備えている。図示を省略するが、ノーズ12は一方の配管に接続され、ボディ14は他方の配管に接続されている。
図2に示されるように、ノーズ12は、略筒状とされたノーズ本体18を備えている。ノーズ本体18の内部には、流体が通過可能な流路20が軸方向に沿って形成されている。ノーズ本体18の内部には、略L字状の係止部材22が嵌め込まれ、この係止部材22にスプリング24を介して雄体側バルブとしてのポペットバルブ26が軸方向に移動可能に装着されている。係止部材22は、ノーズ本体18の溝に嵌め込まれた2枚の止めリング28に係止されることで、ノーズ本体18内で固定されている。係止部材22には、スプリング24の一端部が支持されている。ポペットバルブ26は、略円柱状の本体部26Aと、本体部26Aの周縁部からスプリング24側に延びた略円筒状の規制部26Bと、を備えている。スプリング24の他端部側は、規制部26Bの内側に挿入され、本体部26Aの側壁に接触している。
ノーズ本体18の先端部(ポペットバルブ26が配置された側)には、内径が徐々に縮径された傾斜面18Aと、傾斜面18Aと隣接して先端側に延びると共に内径がほぼ均一に設定された内面部18Bとが設けられている。ノーズ本体18の内面部18Bには、半径方向外側に窪んだ環状の溝部30が形成されている。溝部30には、シール部材としてのゴム製のOリング32と、バックアップリング34とが嵌め込まれている。
ポペットバルブ26は、本体部26Aの外周面の先端側がノーズ本体18の傾斜面18A及び内面部18Bの形状に沿って徐々に縮径しており、スプリング24によって本体部26Aの外周面が傾斜面18A及び内面部18Bに押圧されるようになっている(図2参照)。この状態で、ポペットバルブ26は、ノーズ本体18の流路20を閉塞している。その際、本体部26Aの外周面がOリング32に接触することで、ポペットバルブ26とノーズ本体18とがシールされる。
本体部26Aの先端側の端面は、軸方向と直交する方向にほぼ平面状に形成されている。スプリング24によって本体部26Aの外周面が傾斜面18A及び内面部18Bに押圧された状態で、本体部26Aの先端側の端面は、ノーズ本体18の先端側の端面とほぼ面一となるように構成されている(図2参照)。
側断面視にて、本体部26Aの軸方向奥側の中心部には、略円錐状に窪んだ窪み部26Cが形成されている。本体部26Aには、軸方向に対して傾斜する方向に貫通する流路部36が形成されている。側断面視にて、流路部36は、ほぼ筒状の内周面とされており、流路部36の内周面が本体部26Aの先端側に向けて半径方向外側に傾斜している。流路部36の一端は、本体部26Aの窪み部26Cに開口し、流路部36の他端は、本体部26Aの傾斜面(傾斜面18Aと対応)を含んだ部位に開口している。流路部36は、ノーズ本体18の流路20と連通している。
また、ノーズ本体18の外周面は、軸方向の一端部側(ポペットバルブ26側)に向かうに従って外径が段階的に縮径する構成とされており、ノーズ本体18の先端側(ポペットバルブ26側)に小径部18Cが形成されている。本実施形態では、ノーズ本体18の外径は、3段階に変化している。小径部18Cには、ノーズ12がボディ14に挿入されたときに、後述するロック部材としての硬球76を受ける溝状の凹部38が形成されている(図1参照)。この凹部38内に硬球76が納まることによって、ノーズ12がボディ14の内部で固定される(図1参照)。また、ノーズ本体18のポペットバルブ26と反対側の内側面には、一方の配管を接続するための雌ねじ部40が設けられている。
また、ノーズ本体18の軸方向中間部の内周面には、半径方向外側に窪んだ窪み部19が形成されている。窪み部19は、ポペットバルブ26が開放されたときにポペットバルブ26の流路部36と対向することで、ポペットバルブ26の外周面との間隔が広くなり、流体の流れを妨げないようになっている(図1参照)。
一方、図2に示されるように、ボディ14は、芯部44Aを備えた第一ボディ本体44と、第一ボディ本体44に取り付けられると共に芯部44Aの外周側に配置される本体部としての第二ボディ本体46と、を備えている。第一ボディ本体44の芯部44Aと第二ボディ本体46との間には、軸方向に沿ってノーズ本体18が挿入される凹状挿入部48が形成されている。凹状挿入部48には、第一ボディ本体44に係止されるスプリング50を介して雌体側バルブとしてのポペットバルブ52が軸方向に移動可能に装着されている。第二ボディ本体46の軸方向の一端部側(ポペットバルブ52側)の外周面には、ノーズ12とボディ14とを結合(連結)するためのカラー54が外装されている。
第一ボディ本体44は、内部に流体が流れる流路56を備えている。第一ボディ本体44は、軸方向の中間部から一端部側に芯部44Aが形成されており、芯部44Aから軸方向の他端部側に向かって外径が段階的に拡径されている。本実施形態では、第一ボディ本体44の外径は、約4段階に変化している。より具体的には、第一ボディ本体44は、芯部44Aの側から順に、芯部44Aと、芯部44Aよりも外径が拡大された外面部44Bと、外面部44Bよりも外径が拡大された外面部44Cと、外面部44Cよりも外径が拡大された大径部44Dと、を備えている。外面部44Bと外面部44Cとの間の壁部にスプリング50の一端部が支持されている。ポペットバルブ52の外周面には、スプリング50の他端部を支持する窪み部52Aが設けられている。
側断面視にて、芯部44Aの軸方向の一端部側(ポペットバルブ52側)は、略円柱状の壁部45とされている。本実施形態では、壁部45は、芯部44Aの一部を構成している。壁部45の軸方向奥側の中心部には、先端側に向かって略円錐状に窪んだ窪み部44Fが形成されている。壁部45には、軸方向に対して傾斜する方向に貫通する流路部58が形成されている。側断面視にて流路部58は、ほぼ筒状の内周面とされており、流路部58の内周面が壁部45の先端側に向けて半径方向外側に傾斜している。流路部58の一端は、壁部45の窪み部44Fに開口し、流路部58の他端は、壁部45の外周面に開口している。流路部58は、第一ボディ本体44の流路56と連通している。流路部58における壁部45の外周面との縁部には、半径方向内側に窪んだ切欠き部60が設けられている。この切欠き部60については、後に詳述する。
また、第一ボディ本体44の大径部44Dの内側面には、他の配管を接続するための雌ねじ部66が設けられている。
ポペットバルブ52の内周面には、軸方向の一端部側と他端部側に環状の溝部52B、52Cが形成されている。溝部52B、52Cには、それぞれゴム製のOリング62とバックアップリング64が嵌め込まれている。ポペットバルブ52の外周面の軸方向奥側には、窪み部52Aと隣接する位置(窪み部52Aの軸方向一端部側)に、半径方向外側に突出する凸部52Dが設けられている。
第二ボディ本体46は、略円筒状に形成されており、軸方向の一端部側に雌ねじ部68が設けられている。また、第一ボディ本体44の外面部44Cには、雄ねじ部69が設けられており、第二ボディ本体46の雌ねじ部68が雄ねじ部69に螺合されることで、第二ボディ本体46が第一ボディ本体44に取り付けられている。第二ボディ本体46の軸方向の他端部側(ポペットバルブ52側)には、内径が縮小された突出部46Aが形成されている。ポペットバルブ52は、スプリング50によって押圧されることで、ポペットバルブ52の凸部52Dが第二ボディ本体46の突出部46Aに接触している。この状態で、ポペットバルブ52は、第一ボディ本体44の流路部58を閉塞している。その際、ポペットバルブ52の溝部52B、52CのOリング62が、第一ボディ本体44の流路部58の軸方向の両側で、芯部44Aの外周面と接触することで、ポペットバルブ52と第一ボディ本体44とがシールされるようになっている。
カラー54は、略円筒状とされ、第二ボディ本体46のノーズ12との連結側に外装されている。カラー54の内側では、第二ボディ本体46の外周面に半径方向内側に縮径された段部46Bが形成されており、この段部46Bに半径方向外側へ向けて拡大する台形断面の孔72が形成されている。図示を省略するが、孔72は、段部46Bの同一周面上に複数形成されている。また、段部46Bの先端側には周溝78が形成されている。そして、段部46Bにコイルスプリング74が嵌められ、コイルスプリング74の一端が第二ボディ本体46によって支持されている。また、複数の孔72内にそれぞれロック部材としての硬球76が納められている。硬球76は、例えば、ステンレス鋼で形成することができる。
カラー54の内周側には、段部46Bに対向して半径方向外側に拡径された段部54Aが形成されており、段部54Aと隣接する位置に内径が小さい内周部54Bが形成されている。カラー54を第二ボディ本体46の外側に嵌め込んだ状態で、段部54Aに配置されたコイルスプリング74の他端が内周部54Bの側壁に接触している。これによって、カラー54を軸方向中間部側に移動するときに、内周部54Bの側壁によりコイルスプリング74を押圧することとなる。また、第二ボディ本体46の周溝78に係止リング80が嵌め込まれている。カラー54には、内周部54Bの軸方向の先端側に半径方向外側に窪んだ拡径部82が設けられている。
図2に示されるように、ノーズ12とボディ14とが分離された状態では、硬球76がポペットバルブ52の外周面と接触し、硬球76が第二ボディ本体46の段部46Bよりも半径方向外側に突出している。これにより、硬球76がカラー54の拡径部82の軸方向中間部側の壁面に接触し、カラー54が第二ボディ本体46から抜けるのが防止されている。また、係止リング80がカラー54の拡径部82の軸方向先端部側の壁面に接触することで、カラー54が第二ボディ本体46の軸方向中間部側に移動するのが規制されている。
また、カラー54の硬球76と反対側の端面には、軸方向に切り欠かれた凹部54Cが形成されている。第二ボディ本体46の外周面には、半径方向外側に突出する突出部84が設けられている。ノーズ12とボディ14とが分離された状態では、第二ボディ本体46の突出部84は、カラー54の凹部54Cに挿入されている。本実施形態では、突出部84は球体とされており、第二ボディ本体46の外周面に設けられた凹溝に係止されている。
また、ノーズ12とボディ14とが分離された状態では、側断面視にて第二ボディ本体46の先端部(ノーズ12が挿入される側)に対して第一ボディ本体44の先端部が僅かに後退した位置に配置されている。また、カラー54の先端部は、ボディ14の軸方向における第二ボディ本体46の先端部と第一ボディ本体44の先端部との間に位置している。また、側断面視にて、ポペットバルブ52の先端部は、略平面状の端面とされており、第一ボディ本体44の先端部とほぼ面一となるように配置されている。
ノーズ12とボディ14とを結合する際には、ノーズ本体18をボディ14の第二ボディ本体46と芯部44Aとの間に挿入する(図1参照)。その際、ボディ14のポペットバルブ52は、ノーズ本体18の端面に押されて、ボディ14の軸方向中間部側(凹状挿入部48の奥側)に移動するようになっている。また、ノーズ12のポペットバルブ26は、第一ボディ本体44の芯部44A(壁部45)の端面に押されて、ノーズ12の軸方向中間部側に移動するようになっている。
図1に示されるように、ノーズ12とボディ14との結合時には、カラー54の内周部54Bが、硬球76の当たり面となる構成とされている。カラー54は、コイルスプリング74に押されてノーズ12側に移動し、係止リング80がカラー54の拡径部82の軸方向中間部側の壁面に接触している。硬球76が内周部54Bに当たっているときには、硬球76は第二ボディ本体46の半径方向内側へ押されて、第二ボディ本体46の内周面から内側へ突出している。
言い換えると、硬球76がノーズ12の凹部38に収まり、カラー54の内周部54Bに当接された状態になって半径方向外側への移動が阻止されることによって、ノーズ12がボディ14の凹状挿入部48内で固定される。これにより、ノーズ12とボディ14との結合状態(係合状態)が維持される。ノーズ12とボディ14との結合時には、図5中の領域90に示されるように、ノーズ本体18の流路20と、ポペットバルブ26の流路部36と、ノーズ本体18の内周面とポペットバルブ26及び芯部44A(壁部45)の外周面との間の空間と、芯部44A(壁部45)の流路部58及び流路56が連通されることで、これらの領域90に流体を流すことができる。
また、ノーズ12とボディ14とを分離する際には、カラー54をコイルスプリング74の力に抗してボディ14の軸方向中間部側(ノーズ12と反対方向)に移動させる。拡径部82が硬球76と対応する位置に移動すると、硬球76が半径方向外側へ移動可能となる。これにより、硬球76が凹部38から外れ、ノーズ12をボディ14から離脱させることができる。
図4(A)、(B)に示されるように、第一ボディ本体44の芯部44Aの先端部に位置する壁部45の外周面には、半径方向内側に僅かに窪んだ環状の凹部45Aが形成されており、凹部45Aに流路部58が設けられている。流路部58は、凹部45Aの周方向に複数設けられている。本実施形態では、流路部58は、凹部45Aの周方向にほぼ等間隔で4つ設けられているが、流路部58の数は変更可能である。
流路部58における凹部45Aの外周面との縁部には、半径方向内側に窪んだ切欠き部60が設けられている。切欠き部60は、ノーズ12が挿入される芯部44A(壁部45)の軸方向の先端側に設けられている。切欠き部60は、芯部44A(壁部45)の軸方向に沿って形成されている。ノーズ12とボディ14との分離後に残圧が残っている場合(特にノーズ12側に残圧が残っている場合)、ノーズ12がボディ14に挿入されるときに、ノーズ本体18の溝部30のOリング32付近がボディ14の芯部44A(壁部45)の切欠き部60に対向することで、溝部30を通じて切欠き部60から残圧が抜ける(残圧を逃がす)ようになっている。
本実施形態では、切欠き部60の軸方向の長さが、切欠き部60の周方向の幅よりも長く設定されている。側断面視にて切欠き部60は、底部側の長さが開口側の長さよりも長い略台形状に形成されている。より具体的には、側断面視にて切欠き部60は、凹部45Aの外周面から斜め方向に配置された傾斜部60Aと、傾斜部60Aの端部から半径方向内側に配置された壁部60Bと、壁部60Bの端部から軸方向に配置された壁部60Cと、を備えている。壁部60Bと壁部60Cとの間はR状に湾曲している。流路部58の面からの切欠き部60の深さは、Oリング32の直径より小さく設定されている。より具体的には、流路部58の面の延長線から切欠き部60の凹部45Aに開口する部位との間隔Aが、Oリング32の直径よりも小さく設定されている。また、凹部45Aの外周面からの切欠き部60の深さは、Oリング32の直径より小さく設定されている。これにより、ノーズ本体18の溝部30のOリング32付近が芯部44A(壁部45)の切欠き部60に対向したときに、圧力(残圧)によりOリング32が溝部30から外れる(脱落する)ことが阻止されるようになっている。切欠き部60は、例えば、エンドミルやドリル等で流路部58に切り込みを入れることで、形成することができる。
次に、本実施形態の管継手10の作用並びに効果について説明する。
ノーズ12とボディ14を結合する際には、図2に示す状態からノーズ12をボディ14の第二ボディ本体46の内側に挿入する。これにより、図3に示されるように、ノーズ本体18の端面がポペットバルブ52の端面を押し、ポペットバルブ52がボディ14の軸方向奥側(凹状挿入部48の奥側)に移動する。これと共に、第一ボディ本体44の芯部44A(壁部45)の端面がポペットバルブ26の端面を押し、ポペットバルブ26がノーズ12の軸方向奥側に移動する。
その際、図3及び図4(A)に示されるように、ノーズ本体18がポペットバルブ52を移動させる途中で、ノーズ本体18の溝部30のOリング32付近がボディ14の芯部44A(壁部45)の切欠き部60に対向する。ノーズ12とボディ14とが分離されたときに残圧が残っている場合(特にノーズ12側に残圧が残っている場合)、ノーズ本体18の溝部30のOリング32付近が切欠き部60に対向することで、溝部30を通じて切欠き部60から残圧が抜ける(切欠き部60から残圧を逃がす)。これにより、ノーズ12をボディ14に挿入する際に、ポペットバルブ26、52を容易に押し込むことができる。
また、流路部58の面からの切欠き部60の深さが、Oリング32の直径より小さいため、圧力(残圧)によりOリング32が溝部30から切欠き部60側に外れる(脱落する)ことを阻止することができる。その際、Oリング32の脱落を防止するためには、切欠き部60の周方向の幅が、Oリング32の弾性に比較して十分に小さいことが好ましい。さらに、切欠き部60から残圧が抜けることで、ノーズ12をさらにボディ14の軸方向奥側に挿入し、ノーズ本体18の溝部30のOリング32が芯部44A(壁部45)の流路部58に対向しても、Oリング32が溝部30から流路部58側に外れる(脱落する)ことを防止することができる。
さらに、ノーズ12をボディ14の軸方向奥側に挿入すると、図1に示すようにノーズ本体18の凹部38がボディ14の硬球76と対向することで、硬球76が凹部38内に納まり、これと共に、カラー54がコイルスプリング74の力によりボディ14の軸方向先端側(係止リング80側)に移動し、カラー54の内周部54Bが硬球76を押す。カラー54は、拡径部82の軸方向奥側の壁面が係止リング80に当たるまで移動する。カラー54の内周部54Bにより、硬球76が凹部38から外れることが阻止され、ノーズ12とボディ14とが結合(連結)される。ノーズ12とボディ14とが結合された状態では、ポペットバルブ26、52が開放されている(図5参照)。
その後、カラー54を周方向に回転させて、凹部54Cを突出部84と対向しないように位置させる。これにより、カラー54の端面が突出部84に当たることで、カラー54が外力によりボディ14の軸方向中間部側に移動しないようになり、ノーズ12とボディ14とが不用意に分離されるのを阻止することができる。
一方、ノーズ12とボディ14とを分離する際には、図1に示すように、カラー54を周方向に回転させて凹部54Cを突出部84に対向させ、カラー54をコイルスプリング74の力に抗してボディ14の軸方向中間部側に移動させる。これにより、硬球76が拡径部82内に退避可能となり、硬球76を凹部38から離脱させて、ノーズ12をボディ14から引き抜くことができる。図2に示されるように、ノーズ12とボディ14が分離されると、ポペットバルブ52がスプリング50によりボディ14の軸方向先端側に戻る。さらに、硬球76がポペットバルブ52の外周面に押されることで、第二ボディ本体46の外周面から半径方向外側に突出し、硬球76がカラー54の拡径部82の軸方向中間部側の壁面に接触する。
このような管継手10では、ボディ14の流路部58における芯部44A(壁部45)の外周面との縁部に切欠き部60を設けることで、構造を複雑化させることなく、溝部30を通じて切欠き部60から残圧を抜くことができる。また、切欠き部60は、芯部44A(壁部45)における流路部58の軸方向先端部側(ノーズ12の挿入される側)に設けられているため、Oリング32が流路部58と対向する前に、Oリング32の溝部30付近が切欠き部60に対向して切欠き部60から残圧を抜くことができる。また、流路部58の面からの切欠き部60の深さは、Oリング32の直径より小さいため、Oリング32が溝部30から切欠き部60の方向に外れる(脱落する)ことを抑制することができる。
例えば、図7に示す比較例の管継手200では、ボディ202の芯部44A(壁部45)に流路部58が設けられているが、流路部58における壁部45の外周面との縁部に切欠き部が設けられていない。この管継手200では、図7(B)に示されるように、ノーズ12に残圧が残っている場合、ノーズ12をボディ202に挿入するときに、Oリング32が流路部58と対向すると、圧力によりOリング32が溝部30から外れる(脱落する)可能性がある。Oリング32が溝部30から外れると、流体洩れなどが発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態の管継手10では、Oリング32が流路部58と対向する前に、Oリング32の溝部30付近が切欠き部60に対向することで、溝部30を通じて切欠き部60から残圧が抜けるため、Oリング32が溝部30から外れる(脱落する)ことを抑制することができる。このため、管継手10では、Oリング32の脱落による流体洩れの発生を抑制することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図6を用いて、本発明の第2実施形態である管継手について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図6(A)、(B)に示されるように、管継手100では、ボディ102の芯部44A(壁部45)に形成された環状の凹部45Aに流路部58が設けられており、流路部58における凹部45Aの外周面との縁部には、半径方向内側に窪んだ切欠き部104が設けられている。切欠き部104は、ノーズ12が挿入される芯部44A(壁部45)の軸方向の先端側に設けられている。切欠き部104は、芯部44A(壁部45)の軸方向に沿って形成されており、切欠き部104の軸方向の長さが、切欠き部104の周方向の幅よりも長く設定されている。側断面視にて切欠き部104は、流路部58の面に沿って流路部58の面からほぼ同じ深さで形成されている。流路部58の面からの切欠き部104の深さは、Oリング32の直径より小さく設定されており、また、凹部45Aの外周面からの切欠き部60の深さは、Oリング32の直径より小さく設定されている。
このような管継手100では、ノーズ本体18の溝部30のOリング32付近が芯部44A(壁部45)の切欠き部104に対向したときに、溝部30を通じて切欠き部104から残圧を抜くことができると共に、Oリング32が溝部30から切欠き部104側に外れることを阻止することができる。
なお、第1及び第2実施形態では、切欠き部は、4つの流路部58にそれぞれ形成されているが、切欠き部の数は、変更可能である。例えば、4つの流路部58のうちの少なくとも1つに切欠き部を設けてもよい。これにより、切欠き部から残圧を抜くことができる。
また、本発明の切欠き部は、第1実施形態と第2実施形態の切欠き部の形状に限定されるものではなく、他の形状に変更可能である。その際、流路部58の面からの切欠き部の深さは、Oリング32の直径より小さく設定されていることが好ましい。