JP6335698B2 - 配管用トンネルの施工方法と施工構造 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネルの掘削工事を行いながら、掘進の進捗に応じてトンネル内にガス管等の配管を敷設するようにした配管用トンネルの施工方法と施工構造に関する。
従来、シールド掘削機によるシールド掘進工法を用いてトンネルを形成してトンネル内に配管を設置するようにした長尺構造物の敷設装置として、例えば特許文献1及び2に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された坑内搬送方法によれば、トンネル坑内をシールドセグメントや搬送配管を支持部材で保持して台車本体でレール上を移動させている。そして、トンネル内で支持部材を上下動させることでシールド掘進に必要な材料や敷設すべき配管を支持または支持解除し、シールド掘進と同時にガス管などの配管を接続するようにしている。
また、特許文献2に記載された把持敷設装置によれば、シールド工法で施工されたシールドトンネル内に横枠を設けてトンネルを上段と下段とに分割し、上段の搬送路に設けた軌道を運搬機が走行して導水管を搬送路の前部側に搬送させて下段に仮置きする。
そして、トンネルの下段に設けた取り付け機構の把持アームで仮置きした導水管を把持して、後部側に予め敷設した導水管の前部まで移動させ、把持アームの水平アジャスト機構と昇降シリンダによって導水管の位置調整をし、予め敷設した導水管の前部に追加の導水管の後部を圧入して嵌合させる。このようにして導水管を順次連結していくようにしている。
特許第3466007号公報 特開平11−63296号公報
しかしながら、特許文献1に記載された坑内搬送方法では、トンネル内を走行する台車本体の支持部材によってシールドセグメントや搬送配管を選択的に搬送するため、搬送に手間がかかり工期が長くなるという欠点があった。
また、特許文献2に記載された長尺構造物の把持敷設装置では、先にシールド工法によってシールドトンネルを施工しておき、その後にトンネルの上下段を横枠で分割して上段の搬送路を走行する運搬機で導水管を前方に搬送して下段に仮置きした後、別の取り付け機構によって導水管を予め敷設した導水管の前部に圧入して嵌合させるものであった。そのため、シールド掘削機によるシールドトンネルの施工とその後の導水管の敷設とを個別に施工する必要があり、煩雑である上に工期が長くかかるという欠点があった。
しかも、特許文献1及び2に記載された方法や装置は、いずれもトンネル内で搬送配管や導水管等の配管を連結する方法であるため、トンネル内に大きな作業スペースが必要であり、小径のトンネル内では配管の連結作業を行うことが困難であった。そのため、これらの技術は内径の小さな小径トンネル等では採用できないという欠点もあった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、トンネルの掘進と配管の敷設とを同時に行えて施工工期を短縮できると共に、トンネルが小径であっても確実に配管を連結して敷設できるようにした配管用トンネルの施工方法と施工構造を提供することを目的とする。
本発明による配管用トンネルの施工方法は、トンネル内部を仕切り板によって上部空間と下部空間に分割し、上部空間でトンネル施工用の資材等を台車で搬送させると共に下部空間で配管を敷設するようにした配管用トンネルの施工方法であって、前記トンネルの上部空間の外側には前記配管の長手方向に交差する方向に移動可能なトラバーサと、該トラバーサに載置させた前記台車の軌道とを備え、前記トンネルの掘進と前記下部空間での配管の敷設を同時に行い、前記トンネルの立て坑で継ぎ足す追加の配管と先に敷設した配管との溶接工程において、前記台車の軌道をトラバーサによって前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接部から外し、前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接を行った後、前記配管を前記下部空間に押し込むようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、トンネルの立て坑で新たに継ぎ足す追加の配管と先に敷設した配管との溶接を行った後で、継ぎ足した配管をトンネルの掘進の進捗に応じて下部空間の前方に押し込むようにしたから、トンネルの掘進とトンネル内での配管の敷設とを同時に行えて工期を短縮できる。しかも、配管の溶接作業を立て坑で行うから、トンネル内に溶接スペースが不要であり、トンネルやその下部空間の空間が最小であっても配管の連結と敷設をスムーズに行うことができる。
しかも、溶接部上に台車の軌道が設置された場合、溶接の障害となるため、トラバーサによって上部空間外側の台車の軌道を配管の溶接部上から外しておくことで、配管と追加の配管とを立て坑内で溶接して下部空間に挿入でき、溶接時に台車の軌道が邪魔にならない。これによって、トンネルや下部空間のスペースが小さくても、配管の溶接及び下部空間内への挿入と、台車によるセグメント等の資材の上部空間内への運搬を無理なく交互に行うことができる。
また、トンネルの上部空間の外側には配管の長手方向に交差する方向に移動可能なトラバーサと、該トラバーサに載置させた台車の軌道とを備え、台車で資材等をトンネルの上部空間に搬入する際に、配管の溶接を中断してトラバーサを移動させて台車の軌道を上部空間内の軌道と連続させることが好ましい。
台車でトンネルのセグメント等の資材を上部空間内のトンネル掘削領域に向けて搬送する際、配管の溶接を中断してトラバーサによって台車の軌道を上部空間内の軌道と連続するように移動させることで、台車によるセグメント等の資材を容易に運搬できる。
これによって配管の溶接及び下部空間内の挿入と、台車による資材の上部空間内の運搬を無理なく交互に行うことができる。
本発明による配管用トンネルの施工構造は、トンネル内部を仕切り板によって上部空間と下部空間とに分割させてなる配管用トンネルの施工構造であって、トンネルの上部空間に設置され立て坑からトンネルの掘削領域に延びていてトンネル施工用の資材等を運搬する台車の軌道と、トンネルの立て坑に設けられていてトンネルの下部空間に敷設した配管と継ぎ足す追加の配管とを溶接するための溶接治具と、溶接した追加の配管と先に敷設した配管を下部空間に押し込む押し込み手段と、上部に前記台車の軌道が設置されていると共に、前記トンネルの上部空間の外側に配設され前記配管の長手方向に交差する方向に移動可能なトラバーサとを備え、前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接時に、前記トラバーサによって前記台車の軌道を前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接部から外すようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、トンネルの立て坑で新たに継ぎ足す配管と先に敷設した配管との溶接を行って、溶接で継ぎ足した配管をトンネルの掘進の進捗に応じて下部空間の前方に押し込むようにしたから、トンネルの掘進とトンネル内での配管の敷設とを同時に行えて工期を短縮できる。
しかも、本発明によれば、追加の配管を先に下部空間に敷設した配管と溶接する際にはトラバーサによって台車の軌道を溶接部上から外れた位置に保持し、台車によるセグメント等の運搬時には軌道を溶接部上に重ねる位置に移動させて台車を上部空間内に搬送できる。そのため、配管の溶接及び下部空間内への挿入と、台車による資材の上部空間内への運搬を交互に行うことができる。
本発明による配管用トンネルの施工方法と施工構造によれば、トンネルの立て坑で新たに継ぎ足す配管と先に敷設した配管との溶接を行って、継ぎ足した配管をトンネルの掘進の進捗に応じて下部空間の前方に押し出すようにしたから、トンネルの掘進とトンネル内での配管の敷設とを同時に行えて施工工期を短縮できる。しかも、配管の溶接作業を立て坑で行いトンネル内では行わないから、トンネルやその下部空間の空間が最小であっても配管の連結と敷設をトンネルの掘進に応じてスムーズに行うことができて作業を効率的に行える。
また、本発明による配管用トンネルの施工方法と施工構造によれば、上部空間におけるトンネル施工用の資材等の台車による運搬と、下部空間における配管の溶接を同時に行えない程度にトンネルが小径であっても、台車の軌道をトラバーサによって配管の溶接部上から外れた位置にずらして、配管の溶接と下部空間内への押し込みを行うことができる。また、配管の溶接を中断することで、トラバーサによって軌道を上部空間の延長上に移動させて、トンネル施工用の資材等を搭載した台車を軌道によってトンネルの掘削領域に運搬できる。そのため、トンネルの上部空間や下部空間のスペースが最小であってもトラバーサで軌道の位置を切り替えることで、資材の運搬と配管の敷設を切り替えて交互に行うことができる。
本発明の実施形態によるトンネルの立て坑の側面図である。 本発明の実施形態によるトンネル内の上部空間と下部空間を示す長手方向に直交する断面図である。 本発明の実施形態によるトンネルの立て坑側部分の長手方向に直交する断面図である。 トンネルの立て坑側の止水機構を示す側面図である。 トンネルの掘削領域側部分における下部空間の止水板を示す正面図である。 ガス管を支える芯出し台車を示すものであり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 立て坑におけるトンネル入り口に配設されたガス管に新たなガス管を連結した状態と上部空間に設けたレール及びトラバーサとの位置関係を示す平面図である。 (a)〜(c)は立て坑で追加のガス管を先に敷設されたガス管に溶接する工程を示す図である。 (d)〜(e)は溶接したガス管をトンネルの下段内に送り込む工程を示す図である。
以下、添付の図1乃至図9を参照して、本発明の実施形態によるガス管用トンネルの施工方法と施工構造について説明する。
図1に示すガス管用トンネルの施工構造1は、立て坑2の壁面2bにシールドトンネル3(以下、単にトンネル3ということがある)が設置されている。シールドトンネル3はシールド工法によってトンネルを形成するものであり、図示しないシールド掘削機によって前方の土壁を掘削してトンネルの掘進を行うと共に、その後部における周囲の土壁にセグメント4を取り付けて円環状のシールドトンネル3の内壁を並行して施工するようにしている。
図2及び図3に示すシールド工法で構築されるシールドトンネル3は、断面円形のセグメント4を仕切り板である水平方向の枕木7によって分割し、それぞれ略半円状の上部空間5と下部空間6とを形成している。そして、上部空間5には搬送路を構成する枕木7上に例えば二組のレール8,9が軌道として設置されている。1組のレール8上を運搬台車10がセグメント4等の資材や作業員等を搭載して、トンネル3内の先端側のシールド掘進部に向けて搬送でき、他方の1組のレール9はシールド掘削機の油圧ユニット等を搭載した後続台車10を搬送させるようになっている。
また、図1から図3において、シールドトンネル3の下部空間6ではシールド掘進の進捗に応じて例えばFT工法によってガス管12の挿入を行うようになっている。そのため、トンネル3の下部空間6内には水Hが注入されて所定の水位に貯留され、その発進側端部は立て坑2内に突出して下部空間6が止水板13によって液密に封止されている(図3参照)。
図3及び図4において、発進側に設けた止水板13の中央にはガス管12の外径より大径をなす円筒状の止水機構14が立て坑2側に突出して配設され、止水機構14の先端面にはガス管12の外径より小径の挿入孔15aを形成したゴム製等の弾性体からなるリング状の止水部材15が取り付けられている。
なお、トンネル3内の下部空間6におけるシールド掘進部近傍では、図5に示すように掘進側止水板17が設置され、下部空間6内に貯留された水を液密に保持している。掘進側止水板17は下部止水版17aと上部止水板17bとをガイドプレート18によって液密に連結した状態で固定しているが、1枚の掘進側止水板17によって下部空間6を液密に仕切っていてもよい。
また、ガス管12の先端は水が浸入しないようにキャップ材で液密に封止して浮力を確保している。そして、下部空間6は発進側の止水板13と掘進側の止水板17とで仕切られた領域に水Hが満たされ、内部の水面にガス管12が浮遊している。
下部空間6内における水Hの水位は、図示しない給水ポンプと給水ホースによって立て坑2内を通して下部空間6内に給水すると共に、図示しない排水ホースによって排水する水量とによって調整し、水中のガス管12に浮力が十分働いて移動が容易なように調整する。
また、図2において、下部空間6内でガス管12の両側にはガイド板34が設置され、その内側に緩衝帯35が貼付され、更に枕木7の下面とトンネル3の下面にも緩衝帯35が貼付されている。これらガス管12の上下左右に配設された緩衝帯35によって、水に浮遊するガス管12が揺動して損傷することを防止できる。
そのため、FT工法では、発進側の止水部材15の挿入孔15aを通して水が満たされた下部空間6内に挿入されたガス管12は下部空間6内の水で浮遊しているため、ガス管12と下部空間6との摩擦抵抗がなく、小さな押し込み力でガス管12を挿入可能である。また、下部空間6内に挿入されたガス管12の後端部12aは止水部材15の挿入孔15aを通して立て坑2内に液密に突出しており、後端部12aは新たな追加のガス管12Aの先端部と溶接のために管仮固定治具22によって位置決めされて支持される。なお、管仮固定治具22や図示しない溶接手段等は溶接治具を構成する。また、図1において、追加のガス管12Aの先端部12bと先に敷設したガス管12の後端部12aとの溶接部を符号24で示すものとする。
また、上部空間5内に設けた風管には、地上のターボブロア20から給気ホース21によって空気が供給されている。
なお、図7及び図8において、立て坑2の壁面2aに電動ウインチ28が固定され、電動ウインチ28から延びるワイヤー29は対向する壁面2bに設置した滑車30と引き込みピース31を介して例えばV字状に折り曲げられ、更にワイヤー29の先端の引き込みフック32を追加のガス管12Aの後端に連結する。これらは押し込み手段26を構成する。
そして、電動ウインチ28でワイヤー29を引っ張ることで、溶接後の追加のガス管12Aと先に敷設されたガス管12を下部空間6内に押し込むことができる。
次に図1及び図6、図7により、立て坑2におけるセグメント4等の資材の搬入とガス管12の供給機構について説明する。図1において、追加のガス管12Aは図示しないクレーンまたはウインチ等によって垂直に吊り下げ、立て坑2の底部で水平状態にして複数の芯出し台車23上に載置する。追加のガス管12Aを支持する芯出し台車23は、図6(a)、(b)に示すように、ガス管12Aを支持する略凹部状の受け部23aを備え、更に管仮固定治具22で支持されたガス管12の後端部12aと同芯になるように高さ調整機構23bと横調整機構23cを備えている。
また、図1及び図7において、シールドトンネル3の上部空間5の外側、即ち立て坑2側には公知のトラバーサ25が配設され、トラバーサ25の上部には上部空間5内に敷設されたレール8と外側レール8aとの間を連結させる着脱レール8bが配設されている。なお、外側レール8aはレール8に含まれている。
トラバーサ25の下部には、トラバーサ25がガス管12の長手方向に対して直交する方向に往復移動可能な案内軌道と駆動モータ(図示せず)が設置され、トラバーサ25の往復移動によって上部空間5内のレール8と外側レール8aとの間のトラバーサ25上の着脱レール8bが、これらのレール8と外側レール8aを分断する位置、即ち追加のガス管12A及び先に敷設したガス管12の溶接部24上から外れた位置と、上部空間5内のレール8と外側レール8aの間を連結させる位置とを選択的にとることができるようになっている。
また、立て坑2内には、クレーン等によってセグメント4等の資材を外側レール8aに設置した運搬台車10上に載置可能であり、これらの運搬台車10は外側レール8aと上部空間5内のレール8とが着脱レール8bを介して連続したときにレール8に沿ってシールドトンネル3の上部空間5内に搬送可能とされている。
また、立て坑2内で着脱レール8bをトラバーサ25で溶接部24から外れた位置に移動させた状態で、追加のガス管12Aを下部空間6内に設けたガス管12の後端部12aと溶接部24で突き合わせて溶接可能とされている。
本実施形態によるガス管用シールドトンネル3の施工構造1は上述の構成を備えており、次にガス管用シールドトンネル3の施工方法について図8及び図9を中心に説明する。
図1に示すガス管12のシールドトンネル3において、トラバーサ25の駆動によって、図7に二点鎖線で示すように、ガス管12の長手方向に対して、トラバース25上の着脱レール8bが上部空間5内のレール8と外側レール8aから外側に外れた移動位置に保持されている。
この状態で、立て坑2内に追加のガス管12Aをクレーン等で例えば垂直に吊り下げて降下させ、ガス管12Aを垂直状態から水平姿勢に傾斜させていき、図8(a)に示すように、立て坑2の底部で水平状態にして複数台の芯出し台車23上に載置させる。そして、立て坑2の壁面2aに固定した押し込み手段26の電動ウインチ28のワイヤー29を滑車30と引き込みピース31を介してU字状に折り曲げて、先端の引き込みフック32を追加のガス管12Aの後端に連結する。
そして、電動ウインチ28及び人力により追加のガス管12Aを先に敷設されたガス管12の後端部12aとの溶接位置まで移動させる。なお、ガス管12の後端部12aは止水部材15の挿入孔15aから所定距離だけ外側に突出する位置に保持されている。
そして、図8(b)に示すように、各芯出し台車23における高さ調整機構23bと横調整機構23cによって追加のガス管12Aの先端部12bを先に敷設したガス管12の後端部12aに突き合わせ、溶接治具によって溶接部24で溶接して一体化する。ガス管12と追加のガス管12Aは溶接後にX線装置で溶接不良の有無を検査し、塗装する。
次に、図8(c)、図9(d)に示すように、電動ウインチ28を巻き込んで追加のガス管12Aを押し込むことで、先に敷設されたガス管12は止水部材15の挿入孔15aから下部空間6内に押し込まれる。FT工法により下部空間6内は水で満たされているために、押し込まれたガス管12は浮力によって水面に浮かんだ状態で小さい抵抗でスムーズに進む。そのため、シールド掘削機によるトンネル3の掘進の進行に応じて互いに溶接したガス管12と追加のガス管12A(以下、これらを単にガス管12という)を下部空間6内で進行させることができる。
そして、図9(e)に示すように、ガス管12はその後端部12aが止水部材15の挿入孔15aから所定距離だけ外側に突出した位置で1スパンのガス管12の押し込みが終了し、ここで管仮固定治具22を設置してガス管12を支持する。
一方、セグメント4等の資材をシールドトンネル3の先端の掘進領域に搬入する場合、トラバーサ25をガス管12の長手方向に直交する方向に移動させて、トラバーサ25上の着脱レール8bを、外側レール8aと上部空間5内のレール8とをつなぐ位置に移動させる。この状態で、立て坑2内でクレーン等によってセグメント4等の資材を運搬台車10上に吊り下げて外側レール8a上に載置させ、図示しない駆動モータ等によって運搬台車10を走行させて外側レール8aから上部空間5内のレール8に送り込み、トンネル3内の先端におけるシールド掘削機で掘削する掘進領域にセグメント4等の資材を搬出させる。
そして、運搬台車10が外側レール8aを通過して上部空間5内のレール8に移動した後、トラバーサ25を駆動させて着脱レール8bを外側レール8a及び上部空間5内のレール8の間から外れる位置に移動させる。すると、トラバーサ25上の着脱レール8bは図7に示すように上部空間5内のレール8に対してガス管12から離れる方向に移動し、新たな追加のガス管12Aを敷設のガス管12の後端部12aに溶接できるスペースが確保される。そして追加のガス管12Aをクレーン等で降下させて水平移動させ、ガス管12の後端部12aとの溶接部24で両者をつき合わせて溶接が行われる。
このような作業を繰り返すことにより、通常状態において、シールド掘削機によってシールドトンネル3の先端を掘削しながら、ガス管12に追加のガス管12Aを突き合わせて溶接し、ガス管12を下部空間6内の水中に押し込んでガス管12を敷設することができる。これと同時に、セグメント4等を搭載した運搬台車10を上部空間5内のレール8を通してトンネル3先端の掘進領域に搬送する。
なお、シールド掘削機によるトンネル3の掘進に応じて下部空間6内でガス管12を水中に浮遊させて前進させる際、トンネル3の前方で下部空間6に設けた掘進側止水板17の前方に新たな掘進側止水板17を設置する。そして、後方の掘進側止水板17を取り払い、給水ホースによって下部空間6内に新たな水を供給することで、トンネル3の掘進に応じてガス管12を更に下部空間6内で敷設することができる。その際、トンネル3内に枕木7を追加してレール8,9も敷設する。このような工程を繰り返すことで、シールドトンネル3内の下部空間6内にガス管12を敷設することができる。
上述のように本実施形態によるガス管12用のシールドトンネル施工構造1と施工方法によれば、シールドトンネル3のシールド掘削機による掘進と、立て坑2内でガス管12の溶接を行って下部空間6内でのガス管12の挿入・敷設とを同時に行うことができ、しかも、上部空間5内での運搬台車10によるセグメント4等の資材や作業員等の掘削領域への搬送を同時に行うことができる。
また、シールドトンネル3がガス管12等のパイプライン専用の小径のトンネル3であっても、通常時にはセグメント4等の資材を搬送する外側レール8aとレール8との間の着脱レール8bをトラバーサ25でガス管12の搬送路と溶接部24上から外してガス管12Aの溶接と搬送を容易に行え、しかもセグメント4等の資材の搬送時には、トラバーサ25の移動により、外側レール8aと上部空間5内のレール8との間を着脱レール8bで連続させることで、シールドトンネル3の掘進とガス管12の敷設・搬送とセグメント4等の資材の運搬とを同時に行うことができる。
なお、本発明による配管用トンネルの施工構造と施工方法は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で上述した実施形態の構成を適宜置換することや変更することができる。
例えば、上述した実施形態では、ガス管12をトンネル3の下部空間6内に挿入して敷設する手段として、下部空間6に水を供給して水中に浮遊させるFT工法を用いたが、本発明はこのようなガス管12の挿入・配設方法や構造に限定されるものではない。例えば、トンネル3の下部空間6内に複数のローラを所定間隔で配設して、これらローラにガイドされてガス管12が挿入・配設されるようにしてもよい。
なお、上述した実施形態では、ガス管12の接続と敷設を行う場合には、上部空間5内におけるレール8と外側レール8aとの間の着脱レール8bをトラバーサ25によってガス管12の溶接部24から外し、セグメント4等の資材を運搬台車10で搬送する場合には、トラバーサ25で着脱レール8bを外側レール8aと上部空間5内のレール8を連続する位置に移動させるようにしたが、トラバーサ25上の着脱レール8bで外側レール8aとレール8を連続させたままで、運搬台車10によって資材を上部空間5内に搬送するようにしてもよい。このような構成を採用すれば、トラバーサ25が不要になる。
また、シールドトンネル3の内径が十分大きい場合には、追加のガス管12Aと先に敷設されたガス管12との溶接部24の上部に設置された着脱レール8bとの間に溶接に必要な空間が確保できる。その場合には、トラバーサ25を省略して、軌道の外側レール8aを上部空間5内のレール8の延長上に設置してもよい。
なお、上述した実施形態では、トラバーサ25で移動させる着脱レール8bとは別に立て坑2内に外側レール8aを設置するようにしたが、外側レール8aは省略して着脱レール8bだけを上部空間5の外側に配設してもよい。あるいは、上部空間5の外側に配置される外側レール8a及び着脱レール8bを一体化してトラバーサ25に載置し、トラバーサ25によってガス管12の溶接部24に対して外れた位置と重なる位置とに移動可能としてもよい。
また、上述した実施形態では、ガス管12の敷設用のシールドトンネル3について説明したが、本発明はガス管12の敷設に限定されるものではなく、その他の気体や上水道や下水道等の各種の流体用の管等のパイプラインを敷設するための、配管用トンネルの施工構造と施工方法として採用できる。
1 ガス管用トンネルの施工構造
2 立て坑
3 シールドトンネル、トンネル
4 セグメント
5 上部空間
6 下部空間
7 枕木
8,9 レール(軌道)
8a 外側レール(軌道)
8b 着脱レール(軌道)
10 運搬台車
12 ガス管
12A 追加のガス管
13 発進側止水板
14 止水機構
15 止水部材
15a 挿入孔
17 掘進側止水板
23 芯出し装置
24 溶接部
25 トラバーサ
26 押し込み手段
28 電動ウインチ
29 ワイヤ
32 引き込みフック
35 緩衝帯

Claims (3)

  1. トンネル内部を仕切り板によって上部空間と下部空間に分割し、上部空間でトンネル施工用の資材等を台車で搬送させると共に下部空間で配管を敷設するようにした配管用トンネルの施工方法であって、
    前記トンネルの上部空間の外側には前記配管の長手方向に交差する方向に移動可能なトラバーサと、該トラバーサに載置させた前記台車の軌道とを備え、
    前記トンネルの掘進と前記下部空間での配管の敷設を同時に行い、
    前記トンネルの立て坑で継ぎ足す追加の配管と先に敷設した配管との溶接工程において、前記台車の軌道をトラバーサによって前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接部から外し、
    前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接を行った後、前記配管を前記下部空間に押し込むようにしたことを特徴とする配管用トンネルの施工方法。
  2. 前記台車で資材等を前記トンネルの上部空間に搬入する際に、前記配管の溶接を中断して前記トラバーサを移動させて前記台車の軌道を上部空間内の軌道と連続させるようにした請求項1に記載された配管用トンネルの施工方法。
  3. トンネル内部を仕切り板によって上部空間と下部空間とに分割させてなる配管用トンネルの施工構造であって、
    前記トンネルの上部空間に設置され前記立て坑から前記トンネルの掘削領域に延びていてトンネル施工用の資材等を運搬する台車の軌道と、
    前記トンネルの立て坑に設けられていて前記トンネルの下部空間に敷設した配管と継ぎ足す追加の配管とを溶接するための溶接治具と、
    溶接した前記追加の配管と先に敷設した前記配管を前記下部空間に押し込む押し込み手段と
    上部に前記台車の軌道が設置されていると共に、前記トンネルの上部空間の外側に配設され前記配管の長手方向に交差する方向に移動可能なトラバーサとを備え、
    前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接時に、前記トラバーサによって前記台車の軌道を前記追加の配管と先に敷設した配管との溶接部から外すようにしたことを特徴とする配管用トンネルの施工構造。
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