JP6335541B2 - 防振制御装置、光学機器および防振制御プログラム - Google Patents

防振制御装置、光学機器および防振制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、像振れを低減するための防振制御装置およびこれを搭載した撮像装置等の光学機器に関する。
デジタルカメラ等の光学機器に搭載される防振システムは、振れ検出器により検出された手振れ等の光学機器の振れに応じてレンズその他の光学素子や撮像素子等の可動素子を光軸に対してシフトさせることで、該振れに起因する像振れを低減する。特許文献1にて開示された防振システムは、固定部材を挟んだ光軸方向前後にそれぞれ、第1の光学素子を保持した第1の可動鏡筒と第2の光学素子を保持した第2の可動鏡筒とを配置し、それぞれの可動鏡筒を独立してシフト駆動できるように構成されている。これにより、補正可能な振れ量(角度)を増加させている。
また、従来、光学機器に作用する振れや重力による外乱を検出し、その外乱の検出値を用いて可動素子の駆動制御(防振制御)を行ったり光学機器の姿勢を検出したりする技術が開示されている。特許文献2には、可動素子を駆動する駆動部にて発生する駆動推力と可動部材の位置検出結果とを入力として外乱を推定するオブザーバを用いて光学機器の平行振れを推定し、該推定結果を用いて防振制御を行う技術が開示されている。さらに、特許文献3には、可動素子を駆動する駆動部から重力方向の信号を取り出すことで光学機器の重力方向(姿勢)を検出する技術が開示されている。これら特許文献2,3に開示された技術により、平行振れや重力方向を検出するための検出器を設ける必要をなくして、光学機器のコンパクト化や低コスト化を図ることが可能である。
特開2009−258389号公報 特開2013−003168号公報 特開平05−215992号公報
しかしながら、防振システムにおける外乱の推定には、以下の問題がある。防振システムは、ジャイロセンサ等の振れ検出器からの出力値に基づいて算出された振れ補正量に基づいて可動素子を駆動する。撮影時において詳細な構図の設定や正確なピント合わせを可能にするため、防振制御は常に有効にしておくことが望ましいので、外乱推定についても可動素子を駆動しながら行う必要がある。ただし、可動素子を駆動しながら外乱推定を行う場合、可動素子を駆動する駆動部のメカ的特性や電気的特性に非線形な特性の領域が含まれていると、その非線形特性領域での外乱推定は、推定値に大きな誤差を生じさせる可能性が高い。一般に可動素子の駆動量が大きいほど線形特性が損なわれて、誤差が大きくなることが多い。また、この非線形特性を補正するために、メカ的および電気的特性を考慮した外乱推定を行うと、推定処理の複雑化や処理時間の増大を招く。また、光学機器ごとの特性の個体ばらつきや経時変化によって推定結果の誤差が大きくなり、制御性能が悪化するおそれもある。
本発明は、外乱推定を精度良く行って、良好な防振制御や重力方向の検出等の処理を行えるようにした防振制御装置および光学機器を提供する。
本発明の一側面としての防振制御装置は、撮像光学系の光軸に対してそれぞれシフト可能な第1可動素子および第2可動素子のうち少なくとも一方の可動素子をシフト駆動して光学機器の振れに起因する像振れを低減する防振制御を行う。該防振制御装置は、振れを検出する振れ検出手段と、第1および第2可動素子の実シフト位置を検出する位置検出手段と、振れ検出手段により検出された振れに応じて第1および第2可動素子のそれぞれの目標シフト位置を算出し、上記少なくとも一方の可動素子を位置検出手段により検出される実シフト位置が目標シフト位置に近づくようにシフトさせる帰還制御を行う帰還制御手段と、帰還制御による第1可動素子のシフト駆動を指示する信号と位置検出手段により検出された第1可動素子の実シフト位置とを用いて光学機器に作用する外乱を推定する第1外乱推定処理、および帰還制御による第2可動素子のシフト駆動を指示する信号と位置検出手段により検出された第2可動素子の実シフト位置とを用いて上記外乱を推定する第2外乱推定処理を行う外乱推定手段と、第1および第2外乱推定処理のうち、選択した一方の外乱推定処理の結果を少なくとも用いる処理を行う処理手段とを有し、処理手段は、第1および第2外乱推定処理のうち、第1または第2可動素子であって防振制御によりシフト駆動されない可動素子に対応する外乱推定処理の結果を一方の外乱推定処理として選択する、または、第1および第2外乱推定処理のうち、第1および第2可動素子における防振制御での最大シフト駆動量がより小さい可動素子に対応する外乱推定処理の結果を一方の外乱推定処理として選択することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての制御プログラムは、撮像光学系の光軸に対してそれぞれシフト可能な第1可動素子および第2可動素子のうち少なくとも一方の可動素子をシフト駆動して光学機器の振れに起因する像振れを低減する防振制御をコンピュータに行わせるコンピュータプログラムである。該制御プログラムは、コンピュータに、振れを検出させ、第1および第2可動素子の実シフト位置を検出させ、検出された振れに応じて第1および第2可動素子のそれぞれの目標シフト位置を算出させ、上記少なくとも一方の可動素子を検出される実シフト位置が目標シフト位置に近づくようにシフトさせる帰還制御を行わせる。さらに、制御プログラムは、コンピュータに、帰還制御による第1可動素子のシフト駆動を指示する信号と検出された第1可動素子の実シフト位置とを用いて光学機器に作用する外乱を推定する第1外乱推定処理、および帰還制御による第2可動素子のシフト駆動を指示する信号と検出された第2可動素子の実シフト位置とを用いて上記外乱を推定する第2外乱推定処理を行わせ、第1および第2外乱推定処理のうち、選択した一方の外乱推定処理の結果を少なくとも用いる処理を行わせ、該選択した一方の外乱推定処理の結果を少なくとも用いる処理では、第1および第2外乱推定処理のうち、第1または第2可動素子であって防振制御によりシフト駆動されない可動素子に対応する外乱推定処理の結果を一方の外乱推定処理として選択する、または、第1および第2外乱推定処理のうち、第1および第2可動素子における防振制御での最大シフト駆動量がより小さい可動素子に対応する外乱推定処理の結果を一方の外乱推定処理として選択することを特徴とする。
本発明によれば、外乱を検出するための新たな検出器を追加することなく精度良く外乱を検出することができる。そして、その検出結果を用いれば、良好な防振制御や重力方向の検出等の処理を行うことができる。
本発明の実施例1であるカメラのレンズ鏡筒部の構成を示す分解斜視図。 実施例1のレンズ鏡筒部(望遠端)の構成を示す断面図。 実施例1のレンズ鏡筒部(広角端)の構成を示す断面図。 実施例1におけるカメラ振れの方向を示す図。 実施例1における防振制御装置の構成を示すブロック図。 実施例1における振れ補正ストロークの説明図。 実施例1における振れ補正ストロークの説明図。 実施例1における振れ補正ゲインの説明図。 実施例1における像振れ補正部の帰還制御を示すブロック図。 実施例1における像振れ補正部の被駆動部の振動を1自由度でモデル化した図。 実施例1における像振れ補正部の振動モデルを示す図。 実施例1における像振れ補正部の帰還制御を示すブロック図。 実施例1における電気的特性およびメカ的特性を示す図。 本発明の実施例2の防振制御装置の構成を示すブロック図。 実施例2における像振れ補正部の帰還制御を示すブロック図。 本発明の実施例3の防振制御装置の構成を示すブロック図。 実施例3における像振れ補正部の帰還制御を示すブロック図。 本発明の実施例4の防振制御装置の構成を示すブロック図。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施例1である光学機器としてのデジタルカメラ等の撮像装置(以下、カメラという)の構成部品について、図1から図3を用いて説明する。図1にはカメラのレンズ鏡筒部100を分解して示しており、図2および図3には組立て状態のレンズ鏡筒部100の光軸に平行な断面を示している。図2は後述する変倍(ズーム)可能な撮像光学系が望遠端にある状態を、図3は同撮像光学系が広角端にある状態をそれぞれ示している。
図3は、光学系を広角側に変倍した状態での、光軸と平行な断面で破断した断面図である。レンズ鏡筒部100は、撮像素子101、撮像素子ホルダ102、固定筒103、カム筒104、第1群110、第2群120、第3群130および第4群140によって構成されている。
第1群110は、1群レンズ111と1群レンズホルダ112により構成されている。第2群120は、2群レンズ121と2群レンズホルダ122を含み、光軸方向に移動して変倍を行うとともに、像振れを低減(補正)するために第1可動素子である2群レンズ121を光軸に直交する方向に移動(シフト)させる第1像振れ補正部でもある。第3群130は、3群レンズ131と3群レンズホルダ132を含み、光軸方向に移動して変倍を行うとともに、像振れを補正するために第2可動素子としての3群レンズ131を光軸に直交する方向にシフトさせる第2像振れ補正部でもある。
なお、本実施例では、可動素子としての2群レンズ121および3群レンズ131を光軸に直交する方向にシフトさせて像振れ補正を行う場合について説明する。しかし、可動素子は光軸に対してシフトすればよく、例えば光軸上の1点を中心として揺動するようにシフトしてもよい。
第4群140は、4群レンズ141、4群レンズホルダ142、メインバー143、サブバー144およびステッピングモータ145により構成されている。また、1群レンズ111、2群レンズ121、3群レンズ131および4群レンズ141によって、撮像光学系が構成されている。
撮像素子101は、撮像光学系によって形成された光学像(被写体像)を電気信号に変換する光電変換素子であり、CCDセンサやCMOSセンサにより構成されている。撮像素子ホルダ102は、撮像素子101を保持する円盤状の部材である。また、撮像素子ホルダ102は、メインバー142、サブバー143およびステッピングモータ144を保持する。
固定筒103は、円筒状に形成された部材であり、その光軸方向一端に撮像素子ホルダ102が固定され、光軸方向他端の内周部にて第1群110の1群レンズホルダ112を保持する。また、固定筒103は、その外周部にてカム筒104を回転可能に保持する。さらに、固定筒103の周壁部には、光軸方向に延びる第1直進溝部1031および第2直進溝部1032がそれぞれ周方向3箇所に形成されている。第1直進溝部1031は、2群固定地板123に設けられた2群フォロワー1231に係合して、第2群120を光軸方向にガイドする。第2直進溝部1032は、3群固定地板133に設けられた3群フォロワー1331に係合して、第3群130を光軸方向にガイドする。
カム筒104は、円筒状に形成された部材であり、固定筒103の外周にて光軸回りで回転可能に支持される。カム筒104の周壁部には、第1カム溝部1041および第2カム溝部1042が形成されている。第1カム溝部1041は、2群固定地板123に設けられた2群フォロワー1231と係合し、カム筒104の回転に伴って第2群120を光軸方向に移動させる。第2カム溝部1042は、3群固定地板133に設けられた3群フォロワー1331と係合し、カム筒104の回転に伴って第3群130を光軸方向に移動させる。また、図示しない検出器によって、カム筒104の回転位置(つまりはズーム位置)を検出することができる。
1群レンズホルダ112は、1群レンズ111を保持し、固定筒103に固定される。
4群レンズホルダ142は、4群レンズ141を保持し、スリーブ部1421、回転止め溝部1422およびラック部1423を有する。スリーブ部1421は、撮像素子ホルダ104に固定されて光軸方向に延びるメインバー143に係合する。これにより、4群レンズホルダ142は、光軸方向に移動可能に保持される。回転止め溝部1422は、撮像素子ホルダ104に固定されて光軸方向に延びるサブバー144と係合する。これにより、4群レンズホルダ142はメインバー143を中心として回転することが阻止される。ラック1423は、ステッピングモータ145の出力軸に設けられたリードスクリューに係合し、ステッピングモータ145の回転力を光軸方向への移動力に変換する。このため、ステッピングモータ145を回転させることで、4群レンズホルダ142を光軸方向に移動させることができる。
カム筒104を回転させ、2群レンズ121および3群レンズ131を光軸方向に移動させることで、撮像光学系の変倍を行われることができる。カム筒104は、ユーザによる手動操作により回転させてもよいし、ステッピングモータや振動型モータ等のアクチュエータの駆動力によって回転させてもよい。また、ステッピングモータ145を回転させて4群レンズ141を光軸方向に移動させることで、撮像光学系の焦点調節を行うことができる。
第2群120である第1像振れ補正部と第3群130である第2像振れ補正部はそれぞれ、駆動源としてボイスコイルモータを備えている。ボイスコイルモータのコイル1252,1352に通電することで、マグネット1251,1351との間にローレンツ力を発生させ、可動素子である2群レンズ121および3群レンズ131を光軸に直交する方向にシフト駆動することができる。また、2群レンズ121および3群レンズ131の光軸に直交する方向での位置を検出する位置検出手段(位置センサ)としてのホール素子128,138がマグネット1251,1351に近接して配置されている。ホール素子128,138はそれぞれ、マグネット1251,1351の移動(シフト)に伴う磁界の変化を電気信号に変換する。これにより、撮像光学系の光軸の位置(基準位置)に対する2群レンズ121および3群レンズ131の実際のシフト量(シフト位置)、つまりは実シフト位置の検出を可能とする。
次に、本実施例のカメラの振れ(以下、カメラ振れという)の検出と防振制御(像振れ補正制御:以下、像振れ補正という)を行うために該カメラに搭載された防振制御装置について説明する。図4には、カメラ振れの方向を示している。本実施例において防振制御装置が像振れ補正を行うカメラ振れには、撮像光学系の光軸402に対して矢印403p,403yで示す角度振れと、矢印404p,404yで示す平行振れがある。角度振れは、光軸402に直交する水平軸回りでのピッチ振れと、光軸402に直交する垂直軸回りでのヨー振れを含む。また、平行振れは、光軸402に直交する水平軸に平行な方向への水平振れと光軸402に直交する垂直軸に平行な垂直振れを含む。
図5には、防振制御装置の構成を示している。なお、図5には上述したピッチ振れ403pと垂直振れ404pに関する構成のみを示しているが、実際にはヨー振れ403yと水平振れ404yに関する同様の構成も設けられている。以下では、ピッチ振れ403pと垂直振れ404pに対する像振れ補正に関してのみ説明するが、ヨー振れ403yと水平振れ404yに対する像振れ補正に関しても同様である。
角速度計により構成される振れセンサ(振れ検出手段)501は、ピッチ振れの角速度に応じた電気信号を出力する。振れセンサ501の出力である角速度信号は、カメラCPU502に入力される。カメラCPU502は、角速度信号からピッチ振れ量を算出するとともに、後述するように平行振れ量を算出する。そして、ピッチ振れ量と平行振れ量に応じた像振れを補正するために第1および第2像振れ補正部516,517にて必要な可動素子のシフト量である振れ補正量を算出する。カメラCPU502は、算出した振れ補正量に基づいて第1および第2像振れ補正部516,517のコイル1252,1352への通電を制御する。これにより、2群および3群レンズ(以下、シフトレンズともいう)121,131がシフト駆動され、像振れ補正が行われる。
引き続き、図5を用いて、カメラCPU502により行われる演算や制御等の処理について説明する。なお、図5では、説明のためにカメラCPU502の内部を算出部、制御部、推定器等のブロックに分けて記載しているが、実際にはコンピュータであるカメラCPU502は各ブロックが行う処理をコンピュータプログラムである制御プログラムに従って実行する。
振れセンサ501からの角速度信号は、カメラCPU502内の角度振れ量算出部503に入力されて積分され、角度信号に変換される。また、後に詳しく説明するように算出される平行振れ量を示す平行振れ信号は、カメラCPU502内の平行振れ量算出部504に入力される。
撮像光学系の主点位置における平行振れ量をYとし、撮像光学系の角度振れ量(角度)をθとし、撮像光学系の焦点距離をfとし、撮影倍率をβとすると、撮像素子101の撮像面にて生ずる像振れ量δは、以下の式(1)で求められる。
δ=(1+β)fθ+βY ・・・(1)
焦点距離fや撮影倍率βは、撮像光学系の変倍状態(ズーム位置)およびフォーカス状態(4群レンズ141の位置)から求めることができ、振れ角度θは角速度信号の積分により求めることができる。
Tをシフトレンズのシフト量(振れ補正ストローク)に対する撮像面上での像変位量を示す像振れ補正敏感度(防振敏感度)とすると、シフトレンズの振れ補正量δaは式(2)で示すようになる。よって、これらの情報に応じて、角度振れと平行振れに対する像振れ補正を行うことができる。
δa=((1+β)fθ+βY)/T ・・・(2)
角度振れ量算出部503の出力は、敏感度調整部505に入力される。敏感度調整部505は、ズーム位置とフォーカス位置の情報506およびそれらにより求まる撮影倍率に基づいて角度振れ量算出部503の出力を増幅し、角度振れ補正目標値にする。これは、撮像光学系のズーム状態やフォーカス状態等の光学状態の変化による第1像振れ補正部516の像振れ補正敏感度の変化を補正するためである。
平行振れ量算出部504の出力に対しては、敏感度調整部507が、ズーム位置とフォーカス位置の情報506および撮影倍率に基づいて増幅し、平行振れ補正目標値にする。そして、角度振れ補正目標値と平行振れ補正目標値を加算器508で加算し、第1振れ補正目標値とする。
また、角度振れ量算出部503の出力は、敏感度調整部509にも入力される。敏感度調整部509は、ズーム位置とフォーカス位置の情報506および撮影倍率に基づいて角度振れ量算出部503の出力を増幅し、角度振れ補正目標値にする。これも、撮像光学系のズーム状態やフォーカス状態等の光学状態の変化による第2像振れ補正部517の像振れ補正敏感度の変化を補正するためである。平行振れ量算出部504の出力に対しても敏感度調整部510で、ズーム位置とフォーカス位置の情報506および撮影倍率に基づいて増幅し、平行振れ補正目標値にする。そして、角度振れ補正目標値と平行振れ補正目標値を加算器511で加算し、第2振れ補正目標値とする。
このようにして、カメラCPU502は、第1像振れ補正部516に対して算出された第1振れ補正目標値と第2像振れ補正部517に対して算出された第2振れ補正目標値とを求める。
ここで、第1像振れ補正部516と第2像振れ補正部517はそれぞれ、撮像光学系の焦点距離に応じて像振れ補正敏感度が異なる。このため、焦点距離に応じて、図6または図7に示すように、第1像振れ補正部516の最大の振れ補正ストローク(最大シフト駆動量:以下、最大駆動ストロークという)と第2像振れ補正部517の最大駆動ストロークを設定する。
図6では、撮像光学系の焦点距離が所定焦点距離faより長い(以上の)場合は第1像振れ補正部516のみを駆動する(すなわち、第2像振れ補正部517の最大駆動ストロークを0とする)。また、焦点距離が所定焦点距離faより短い場合は第2像振れ補正部517のみを駆動する(すなわち、第2像振れ補正部517の最大駆動ストロークを0とする)。第1像振れ補正部516のみを駆動する場合は、カメラCPU502内のゲイン512の倍率を1倍とし、ゲイン513の倍率を0倍とする。また、第2像振れ補正部517のみを駆動する場合は、ゲイン512の倍率を0倍とし、ゲイン513の倍率を1倍とする。
図7では、撮像光学系の焦点距離が長くなるほど第1像振れ補正部516の最大駆動ストロークを増加させ、第2像振れ補正部517の最大駆動ストロークを減少させる。言い換えれば、撮像光学系の焦点距離が短くなるほど第1像振れ補正部516の最大駆動ストロークを減少させ、第2像振れ補正部517の最大駆動ストロークを増加させる。ただし、焦点距離が望遠端付近であるときには第1像振れ補正部516のみを駆動し、焦点距離が広角端付近であるときには第2像振れ補正部517のみを駆動する。この場合は、図8に示すようにゲイン512,513の倍率を設定して、望遠端付近および広角端付近以外の焦点距離では第1像振れ補正部516と第2像振れ補正部とを同時に駆動することで像振れ補正を行う。
なお、図6および図7では焦点距離(ズーム位置)に応じて第1および第2像振れ補正部516,517の最大駆動ストロークを変化させる場合を示したが、像振れ補正敏感度によって最大駆動ストロークを設定してもよい。
次に、カメラCPU502内の帰還制御手段である第1および第2帰還制御部514,515における第1および第2像振れ補正部516,517の制御方法について説明する。図9には、第1帰還制御部514と第2帰還制御部515で共通して行われる演算処理を示している。
偏差算出部901は、像振れ補正のためのシフトレンズの目標位置(以下、目標シフト位置という)と、位置センサ(ホール素子)905から出力された実シフト位置を示す信号をAD変換して得られるデジタル信号である実シフト位置との差分を計算する。ここで実シフト位置には観測ノイズが含まれている。観測ノイズとは、位置センサ905自体が持つノイズや外部からの電気的な誘導ノイズ等を含むノイズ成分である。位置センサ905の出力には、本来の実シフト位置を示す出力成分にこの観測ノイズが加わる。
偏差算出部901で算出された偏差はフィードバックコントローラ902に入力される。フィードバックコントローラ902は、偏差をゼロに近づけるように、すなわち位置センサ905により検出された実シフト位置が目標シフト位置に近づく(追従する)ように帰還制御を行う。しかし、フィードバックコントローラ902からの出力は、プラント904(第1および第2像振れ補正部516,517)までの中間システム903にてシステムノイズが加わった後でプラント904に駆動推力を与えることになる。本実施例にいう主なシステムノイズは、手振れ等のカメラ振れによる振動加速度の影響やカメラの姿勢の変化による重力加速度の影響による力外乱である。このように、各像振れ補正部のシフトレンズは目標位置とコントローラ902の特性、プラント904の特性、システムノイズおよび観測ノイズの影響を受けて駆動される。
次に、カメラに作用する外乱としての平行振れの検出方法について説明する。平行振れの検出は、図5に示すように第1像振れ補正部516および第2像振れ補正部517のそれぞれに対して設けられた外乱推定手段としての第1推定器518および第2推定器519が用いられる。ただし、第1推定器518で行う推定処理(第1外乱推定処理)および第2推定器519で行う推定処理(第2外乱推定処理)は同じであるので、ここでは第1推定器518で行う推定処理のみについて説明する。
第1推定器518は、第1像振れ補正部516について、図10に示すように、光軸に直交し、かつ互いに直交する2軸(A軸とB軸)においてプラントのモデル化を行う。図11には、該2軸のうち一方の軸のモデル例として、第1像振れ補正部516のシフトレンズ(2群レンズ121)およびこれを保持する2群レンズホルダ122等からなる被駆動部の振動を1自由度でモデル化した像振れ補正部振動モデルを示す。1001は像振れ補正部の被駆動部であり、1101は像振れ補正部のうち被駆動部の支持ベースとなる固定部(2群および3群固定地板123,133、さらにはカメラ本体)である。図11では、被駆動部1001の絶対変位をzbとし、固定部1101の絶対変位をzwとし、ばね定数をkとし、減衰係数をcとしている。また、像振れ補正部のコイルに電力を供給することにより被駆動部1001に加わる駆動推力(以下、単に推力という)をfとし、被駆動部1001の質量をmとしている。このとき、モデル系での運動方程式は式(3)に示される。
ここで、被駆動部1001と固定部1101との相対変位は、第1像振れ補正部516に設けられた位置センサ(ホール素子)によって検出される。このため、図5に示すように、第1推定器518には、第1像振れ補正部516から位置センサにより検出されたシフトレンズの実シフト位置を示す信号が入力される。また、被駆動部1001と固定部1101との相対変位を可観測出力とするため、状態変数として、被駆動部1001と固定部1101との相対変位z0、被駆動部1001の絶対変位zbおよび固定部1101の絶対変位zwを用いる。これらは、式(4)の関係を有する。
ここで、状態変数を、
とおき、出力を相対変位y=z0とし、入力を被駆動部1001に加わる推力u=fとし、外乱によるカメラの絶対速度を、
として、以下の状態方程式(5)に当てはめる。推力uは、図5に示した第1帰還制御部514から第1像振れ補正部に対して帰還制御によるシフト駆動を指示する駆動指示信号に含まれるコイルに流す電流値の指令値から算出される。
ただし、w(t),v(t)は観測雑音であり、これらはGauss性白色雑音で、いずれもその平均値と共分散は既知であり、式(6)のように表されるものとする。
式(3)〜(6)より、A,B,C,Dは式(7)のように表される。
よって、像振れ補正部の被駆動部1001と固定部1101との相対変位が測定可能であると考えると、式(5)より、外乱オブザーバ(以下、単にオブザーバという)は、式(8)に示すように構成される。
ここで、Lはオブザーバゲインである。このオブザーバゲインLは、式(9)で示されるRiccati方程式を解くことにより予め求められるカルマンフィルタゲインである。
AP+PA−PC−1CP+Q=0 ・・・(9)
すなわち、Riccati方程式の正定対称な解Pより、式(10)に示されるように決定される。
L=PC−1 ・・・(10)
このオブザーバを用いると、状態変数である像振れ補正部の被駆動部1001の絶対速度の推定と、被駆動部1001と固定部1101との相対変位の推定とが可能となる。推定された相対変位z0を1階微分し、被駆動部1001の絶対速度に加算することで、固定部1101の絶対速度を検出することができる。なお、相対変位z0の1階微分値が被駆動部1001の絶対速度に対して非常に小さい値となる場合には、相対変位z0の1階微分を加算せずに、推定された被駆動部1001の絶対速度を固定部1101の絶対速度として平行振れによる像振れ補正に用いてもよい。
このようにして、第1推定器518において平行振れ量が算出(推定)されるとともに、同様にして第2推定器519でも平行振れ量が算出(推定)される。
ここで、上述したオブザーバによる平行振れ量の推定には、以下の問題がある。オブザーバはメカ的な特性がシフトレンズの位置によらず線形であるとみなして演算される。よって、メカ的特性が想定された線形特性から乖離すると、推定結果に誤差が生じることになる。また、コイル通電時におけるコイルに流す電流値の指令値(電流指令値)に対するコイルに実際に流れる電流値(実電流値)の特性である電気的特性も同様に線形であるとみなして演算される。よって、電気的特性が想定された線形特性から乖離すると、同様に推定結果に誤差が生じることになる。
図12には、図9に示した第1および第2帰還制御部514,515の演算処理に、電気的特性1201が加味された場合の演算処理を示している。図9にて説明したように、偏差算出部901で算出された偏差はフィードバックコントローラ902に入力され、フィードバックコントローラ902は偏差をゼロに近づけるように制御を行う。ただし、図12では、フィードバックコントローラ902からの指令値は電気的特性1201を通った後に中間システム903にてシステムノイズ成分が加わった後、プラント904である像振れ補正部に推力を与えることになる。
上述したように電気的特性1201とプラント904のメカ的特性1202が線形であるとみなしてオブザーバ(推定器)1203が構成されている。よって、電気的特性1201とメカ的特性1202が非線形要素を有していると、オブザーバ1203からの出力が誤差を含むことになる。
図13(a)には、非線形特性を有する電気的特性1201を、図13(b)には非線形特性を有するメカ的特性1202を示す。電気特性1201とメカ特性1202はともに、指令中心やシフトレンズの可動中心(光軸)から離れて端に近づくにつれて線形特性からの乖離が大きくなる。このため、図中の線形特性領域T1においてはオブザーバにより算出される平行振れ量の推定値の精度は高いが、非線形特性領域T2においては推定値は大きな誤差を含む。
電気的特性1201には、例えばPWM方式を用いたHブリッジによるシフトレンズの駆動においては、Hブリッジ回路の特性に伴うスイッチング遅れやデッドタイムが存在する場合が多い。図13(a)は、横軸にコイルに対する電流指令値(PWM方式の信号に変換した際のPWM値)を、縦軸にコイルに流れる実電流値をとり、それらの関係を示している。理論的には、電流指令値(PWM値)と実電流量とが全領域で比例関係にあるはずである。しかし、実際には、上述したスイッチング遅れやデッドタイムによる影響により、Duty比が0%および100%に近い領域にて実電流値が理論値に対して少なくなる非線形領域が存在する。このため、指令中心から離れた非線形特性領域T2においては、電気的特性1201の線形性が失われる。
一方、メカ的特性1202には、例えば図13(b)に点線で示すように、電流指令値に対してシフトレンズの実シフト位置が線形の特性を有することが望ましい。しかし、シフトレンズをメカ端付近まで駆動した際には、図11に示したばね定数kが可動中心から離れるにつれて線形特性を持たなくなる非線形の弾性特性を有する場合には、メカ端付近で弾性反力が大きくなるので、より多くの推力が必要となる。このため、可動中心から離れた非線形特性領域T2においては、メカ的特性1202の線形性が失われる。
これらの電気的およびメカ的特性を考慮すると、平行振れ量は線形特性領域T1にて推定することが望ましい。このため、本実施例では、第1および第2推定器518,519による推定結果(出力)を平行振れ量を算出(検出)する平行振れ算出部504に選択的に入力する信号選択器520が設けられている。信号選択器520、平行振れ量算出部504、敏感度調整部507および加算器508は、第1および第2帰還制御部514,515とともに処理手段を構成する。
図6に示すように所定焦点距離faを境に第1および第2像振れ補正部のうち一方を選択して防振制御を行う場合は、第1および第2推定器518,519のうち像振れ補正を行っていない像振れ補正部に対応する推定器からの出力を信号選択器520にて選択する。また、図7に示すように焦点距離に応じて第1および第2像振れ補正部の最大駆動ストロークを変化させる場合は、最大駆動ストロークの比較結果に応じて第1および第2推定器518,519のうち一方からの出力を信号選択器520にて選択する。具体的には、最大駆動ストロークが線形特性領域T1にあり、かつより小さい最大駆動ストロークが設定されている像振れ補正部に対応する推定器からの出力を選択する。これらをまとめて言えば、最大駆動ストロークが小さい方の像振れ補正部(像振れ補正のために駆動されていない像振れ補正部を含む)に対応する推定器からの出力を選択する。
なお、信号選択器520による選択は、上述したように最大駆動ストロークの比較結果に応じて行う以外に、撮像光学系の焦点距離(ズーム位置)に応じて行ってもよいし、第1おび第2像振れ補正部の像振れ補正敏感度の比較結果に応じて行ってもよい。
このように、本実施例では、第1および第2推定器のうち、より精度の高い外乱推定が可能な一方の推定器からの出力を用いて外乱としての平行振れ(の量)を検出する。そして、該平行振れを含めたカメラ振れに対する像振れ補正を行う。これにより、電気的特性やメカ的特性の非線形要素の影響による平行振れの推定精度の低下を抑え、良好な防振性能を確保することができる。
なお、本実施例では、2つの可動素子として2つのシフトレンズを用いる場合について説明したが、撮像素子を光軸に対してシフト可能とすることで可動素子として用いてもよい。すなわち、2つの可動素子として1つのシフトレンズと1つの撮像素子を用いてもよい。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
図14には、本発明の実施例2である防振制御装置の構成を示している。図14において、実施例1の図5に示した防振制御装置の構成要素と共通する構成要素には、図5と同符号を付している。本実施例では、実施例1に対して以下の点で異なる。
(1)カメラに作用する外乱としての重力加速度を推定する第1重力加速度推定器1401と第2重力加速度推定器1402が設けられている点。
(2)第1および第2重力加速度推定器1401,1402に対して信号選択器1403が設けられている点。
(3)カメラの傾き角度(重力方向)を検出する傾き算出器1404が設けられている点。
以下、第1および第2重力加速度推定器1401,1402にて行われる重力加速度の推定方法について説明する。ここでは、実施例1で説明したカルマンフィルタによるオブザーバを用いて加速度を推定し、その加速度に被駆動部の質量を乗算することで力外乱を推定する方法を用いることができる。また、図15に示すようにノミナルモデルの伝達関数を用いて力外乱を推定する方法を用いることもできる。
図15において、実施例1にて図9を用いて説明した各帰還制御部と同じ部分には図9と同符号を付している。アクチュエータ(ボイスコイルモータ)のノミナル数学モデルであるノミナルモデルPn(s)と高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタQ(s)とを用いてオブザーバが構成される。該オブザーバには、位置センサ905からの実シフト位置(観測ノイズを含む)とフィードバックコントローラ902からの出力とが入力される。
フィードバックコントローラ902からの出力は、プラント904に推力を与えるのと同時にローパスフィルタQ(s)1501にも入力される。また、ノミナルモデルPn(s)とローパスフィルタQ(s)により表現される伝達特性1502の出力から、減算器1503によって、ローパスフィルタQ(s)1501の出力を減算することで力外乱を推定することができる。
本実施例で算出する力外乱は重力加速度のような極低周波帯域の外乱成分のみではなく、高周波の外乱成分も含んでいる。そこで、算出した力外乱を、例えば0.5Hz以下のカットオフ周波数に設定されたローパスフィルタQ(s)1501を通すことで、重力加速度成分のみを抽出することが可能である。
次に、カメラの傾き角度の検出について説明する。信号選択器1403は、実施例1での信号選択器520についての説明と同様に、第1おび第2像振れ補正部(被駆動部)の最大駆動ストロークの比較結果に応じて、第1および第2重力加速度推定器1401,1402のうち一方による推定結果(出力)を選択する。なお、信号選択器1403による選択は、実施例1でも述べたように、撮像光学系の焦点距離(ズーム位置)に応じて行ってもよいし、第1おび第2像振れ補正部の像振れ補正敏感度の比較結果に応じて行ってもよい。
推定された重力加速度は傾き算出器1404に入力される。図14にはピッチ方向での推定重力加速度の演算のための構成を詳しく示したが、ヨー方向でも推定重力加速度1405が同様に演算され、その推定重力加速度1405も傾き算出器1404に入力される。そして、傾き演算部1404は、ピッチ方向およびヨー方向の推定重力加速度からカメラの傾き角度を算出(検出)する。信号選択器1403および傾き算出器1404は、処理手段を構成する。
例えば、ヨー方向の推定重力加速度は撮像素子の長辺方向(X軸方向)において算出され、ピッチ方向の推定重力加速度は撮像素子の短辺方向(Y軸方向)において算出される。X軸方向の推定重力加速度とY軸方向の推定重力加速度から、式(11)を用いて、撮像光学系の光軸周りでの傾斜角度であるロール角度が傾き角度として検出される。
傾き角度[deg]
=arctan(Y軸加速度/X軸加速度)×180/π ・・・(11)
算出された傾き角度を用いれば、カメラに対する重力方向を検出することができ、例えば撮像時のカメラの姿勢(ユーザがカメラを横位置に構えているか縦位置に構えているか等)を判定することができる。撮像時のカメラの姿勢を撮影画像とともに記録しておけば、撮影時のカメラの姿勢を考慮して撮影画像を表示させることができる。また、撮像前のカメラの姿勢を考慮して被写体(人物の顔)の検知を行うことで、被写体検知をより正確に行うこともできる。
本実施例でも、第1および第2重力加速度推定器1401,1402のうち、より精度の高い外乱推定が可能な一方の推定器からの出力を用いて外乱としての重力加速度(の変化)を検出する。そして、該重力加速度を用いてカメラの傾き角度を検出する。これにより、電気的特性やメカ的特性の非線形要素の影響による傾き角度の検出精度の低下を抑え、良好な傾き角度(重力方向)の検出を行うことができる。
図16には、本発明の実施例3である防振制御装置の構成を示している。図16において、実施例1の図5に示した防振制御装置の構成要素と共通する構成要素には、図5と同符号を付している。本実施例では、実施例1に対して、以下の点で異なる。
(1)第1外乱力推定器1601と第2外乱力推定器1602が設けられている点。
(2)第1および第2外乱力推定器1601,1602に対して信号選択器1603が設けられている点。
(3)第1帰還制御部514と第2帰還制御部515の代わりに、第1帰還制御部1604と第2帰還制御部1605が設けられている点。
(4)第1帰還制御部1604と第2帰還制御部1605には信号選択器1603の出力が入力される点。
帰還制御においては、図9を用いて実施例1にて説明したように、手振れ等のカメラ振れに起因する振動加速度の影響やカメラの姿勢変化よる重力加速度の影響等による力外乱が主であるシステムノイズが加わる。そして、この力外乱の影響が大きいと、目標値に対する応答特性が悪くなり、防振性能にも悪影響を与えることになる。この帰還制御に与える外乱力(外乱値)を予め演算することができれば、その外乱値を振れ補正量から予め減算することで、外乱をキャンセルし、耐外乱性能を改善させることができる。
次に、本実施例における外乱力の推定方法について説明する。第1外乱力推定器1601と第2外乱力推定器1602は、実施例1で説明したカルマンフィルタを用いたオブザーバによって加速度を推定し、該加速度に被駆動部の質量を乗算することで外乱力を推定する。また、実施例2で説明したノミナルモデルの伝達関数を用いて力外乱を推定してもよい。
信号選択器1603は、実施例1での信号選択器520についての説明と同様に、第1おび第2像振れ補正部(被駆動部)の最大駆動ストロークの比較結果に応じて、第1および第2外乱力推定器1601,1602のうち一方による推定結果(出力)を選択する。なお、信号選択器1603による選択は、実施例1でも述べたように、撮像光学系の焦点距離(ズーム位置)に応じて行ってもよいし、第1おび第2像振れ補正部の像振れ補正敏感度の比較結果に応じて行ってもよい。
選択された推定外乱力は、第1帰還制御部1604と第2帰還制御部1605のそれぞれに入力される。図17には、第1帰還制御部1604と第2帰還制御部1605とで共通して行われる演算処理を示している。なお、図17において、図9を用いて説明した帰還制御部と同じ部分には同符号を付している。信号選択器1603は、第1および第2帰還制御部1604,1605とともに処理手段を構成する。
推定外乱力はローパスフィルタ1701に入力され、ここで高周波成分が除去された後、減算器1702に入力される。減算器1702は、フィードバックコントローラ902からの出力を減算して、プラント904である像振れ補正部に推力を与える。
減算器1702を設けているのは、以下の理由による。本実施例では、手振れ等のカメラ振れによる振動加速度の影響やカメラの姿勢変化による重力加速度の影響による力外乱が主であるシステムノイズを推定外乱力として算出している。このため、システムノイズである力外乱と逆方向の力をプラントに加えれば、外乱の影響を低減することができ、応答性が良く、外乱の影響を受けにくい帰還制御を行うことができる。そして、これにより、シフトレンズを目標シフト位置に駆動する際の応答特性が向上し、外乱の影響による防振性能の低下を抑えることができる。
本実施例でも、第1および第2外乱力推定器1601,1602のうち、より精度の高い外乱力推定が可能な一方の推定器からの出力を用いて外乱力を推定し、帰還制御を行う。これにより、電気的特性やメカ的特性の非線形要素の影響による外乱力の推定精度の低下を抑え、良好に外乱力を補正して帰還制御の精度を確保することができる。
図18には、本発明の実施例4である防振制御装置の構成を示している。図18において、実施例1の図5に示した防振制御装置の構成要素と共通する構成要素には、図5と同符号を付している。本実施例では、実施例1に対して、以下の点で異なる。
(1)図5で設けられていた信号選択器520が削除されている点。
(2)ゲイン1801とゲイン1802が設けられている点。
(3)加算器1803が設けられている点。
(4)加算器1803でゲイン1801とゲイン1802の出力が加算された後、平行振れ量算出部504に入力されている。
実施例1では、信号選択器520で第1および第2推定器518の出力のうち一方を選択して平行振れ量算出部504に入力した。これに対して、本実施例では、第1推定器518の出力はゲイン1801に入力され、第2推定器519の出力はゲイン1802に入力される。そして、これらゲイン1801,1080によって重み付けされた後の出力を加算器1803で加算した値を平行振れ量の推定値として平行振れ量算出部504に入力する。ゲイン1801,1080、加算器1803、平行振れ量算出部504、敏感度調整部507および加算器508は、第1および第2帰還制御部514,515とともにに処理手段を構成する。
本実施例におけるゲイン1801,1802(つまりは重み付け)の設定方法について説明する。本実施例では、実施例1において図7を用いて説明したように、撮像光学系の焦点距離に応じて第1および第2像振れ補正部の最大駆動ストロークを設定する。ゲイン512およびゲイン513では図8に示したようにゲインが設定され、第1像振れ補正部516と第2像振れ補正部517とが同時に駆動されて像振れ補正を行う。
ここで、ゲイン1801はゲイン513と同じ倍率が設定され、ゲイン1802はゲイン512と同じ倍率が設定される。第1推定器518と第2推定器519でそれぞれ推定された平行振れ量は、ゲイン1801とゲイン1802を通過した後に加算される。この加算においては、対応する像振れ補正部の最大駆動ストローク量が小さい方として選択された推定器の出力の重み付けを大きくし、対応する像ぶれ補正部の最大駆動ストローク量が大きい方の推定器の出力の重み付けを小さくする。こうして重み付け加算された平行振れ量は、平行振れ量算出部504に入力され、像振れ補正に用いられる。
なお、第1および第2推定器518,519のうち重み付けを重くする推定器の選択は、上記のように第1おび第2像振れ補正部の最大駆動ストロークの比較結果に応じて行う以外に、撮像光学系の焦点距離(ズーム位置)に応じて行ってもよい。また、第1おび第2像振れ補正部の像振れ補正敏感度の比較結果に応じて行ってもよい。
本実施例では、第1および第2推定器518,519のうち、より精度の高い平行振れ量の推定が可能な一方の推定器からの出力に対する重み付けを他方の推定器よりも重くしつつ該一方と他方の推定器による推定結果の加算値を用いて平行振れ量を検出する。これにより、重み付けが軽い推定器の推定結果が大きな誤差を含んでいても、重み付けが重い推定器の推定結果を主として用いて推定結果の信頼度を向上させることができる。これにより、電気的特性やメカ的特性の非線形要素の影響による平行振れ推定の精度低下を抑え、良好な防振性能を確保することができる。
なお、本実施例のような2つの推定器による推定結果の重み付け加算値を用いる方法は、実施例2で説明した重力加速度の検出や実施例3で説明した外乱力の検出においても用いることができる。
また、上記各実施例では、撮像光学系(レンズ)が一体的に設けられたカメラに防振制御装置を搭載した場合について説明したが、レンズが交換可能なカメラに防振制御装置を搭載してもよい。また、カメラには、各実施例で説明したデジタルカメラだけでなく、監視カメラ、Webカメラおよび携帯電話等のモバイル端末に搭載されるカメラも含まれる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
401 カメラ
402 光軸
501 振れセンサ
502 カメラCPU

Claims (9)

  1. 撮像光学系の光軸に対してそれぞれシフト可能な第1可動素子および第2可動素子のうち少なくとも一方の可動素子をシフト駆動して光学機器の振れに起因する像振れを低減する防振制御を行う防振制御装置であって、
    前記振れを検出する振れ検出手段と、
    前記第1および第2可動素子の実シフト位置を検出する位置検出手段と、
    前記振れ検出手段により検出された前記振れに応じて前記第1および第2可動素子のそれぞれの目標シフト位置を算出し、前記少なくとも一方の可動素子を前記位置検出手段により検出される前記実シフト位置が前記目標シフト位置に近づくようにシフトさせる帰還制御を行う帰還制御手段と、
    前記帰還制御による前記第1可動素子のシフト駆動を指示する信号と前記位置検出手段により検出された前記第1可動素子の前記実シフト位置とを用いて前記光学機器に作用する外乱を推定する第1外乱推定処理、および前記帰還制御による前記第2可動素子のシフト駆動を指示する信号と前記位置検出手段により検出された前記第2可動素子の前記実シフト位置とを用いて前記外乱を推定する第2外乱推定処理を行う外乱推定手段と、
    前記第1および第2外乱推定処理のうち、選択した一方の外乱推定処理の結果を少なくとも用いる処理を行う処理手段とを有し、
    前記処理手段は、
    前記第1および第2外乱推定処理のうち、前記第1または第2可動素子であって前記防振制御によりシフト駆動されない可動素子に対応する外乱推定処理の結果を前記一方の外乱推定処理として選択する、または、
    前記第1および第2外乱推定処理のうち、前記第1および第2可動素子における前記防振制御での最大シフト駆動量がより小さい可動素子に対応する外乱推定処理の結果を前記一方の外乱推定処理として選択することを特徴とする防振制御装置。
  2. 前記処理手段は、前記第1および第2外乱推定処理のうち、選択した前記一方の外乱推定処理の結果に対する重み付けを他方の外乱推定処理の結果より重くして該第1および第2外乱推定処理の結果を加算した値を用いて前記処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の防振制御装置。
  3. 前記外乱推定手段は、前記光軸に直交する方向への前記光学機器の平行振れを前記外乱して検出し、
    前記処理手段は、前記帰還制御手段に、前記平行振れを含む前記光学機器の振れに応じた前記帰還制御を行わせることを特徴とする請求項1または2に記載の防振制御装置。
  4. 前記外乱推定手段は、前記光学機器に作用する重力加速度を前記外乱として検出し、
    前記処理手段は、該重力加速度を用いて前記光学機器の傾き角度または重力方向を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の防振制御装置。
  5. 前記外乱推定手段は、前記光学機器に作用する外乱力を前記外乱として検出し、
    前記処理手段は、前記帰還制御手段に前記外乱力に応じた前記帰還制御を行わせることを特徴とする請求項1または2に記載の防振制御装置。
  6. 前記最大シフト駆動量は、前記撮像光学系の焦点距離またはズーム位置に応じて変化することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の防振制御装置。
  7. 前記最大シフト駆動量は、前記第1および第2可動素子のそれぞれの防振敏感度に応じて変化することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の防振制御装置。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載の防振制御装置を備えたことを特徴とする光学機器。
  9. 撮像光学系の光軸に対してそれぞれシフト可能な第1可動素子および第2可動素子のうち少なくとも一方の可動素子をシフト駆動して光学機器の振れに起因する像振れを低減する防振制御をコンピュータに行わせるコンピュータプログラムとしての制御プログラムであって、
    前記コンピュータに、
    前記振れを検出させ、
    前記第1および第2可動素子の実シフト位置を検出させ、
    検出された前記振れに応じて前記第1および第2可動素子のそれぞれの目標シフト位置を算出させ、前記少なくとも一方の可動素子を検出される前記実シフト位置が前記目標シフト位置に近づくようにシフトさせる帰還制御を行わせ、
    さらに、
    前記帰還制御による前記第1可動素子のシフト駆動を指示する信号と検出された前記第1可動素子の前記実シフト位置とを用いて前記光学機器に作用する外乱を推定する第1外乱推定処理、および前記帰還制御による前記第2可動素子のシフト駆動を指示する信号と検出された前記第2可動素子の前記実シフト位置とを用いて前記外乱を推定する第2外乱推定処理を行わせ、
    前記第1および第2外乱推定処理のうち、選択した一方の外乱推定処理の結果を少なくとも用いる処理を行わせ
    前記選択した一方の外乱推定処理の結果を少なくとも用いる処理では、
    前記第1および第2外乱推定処理のうち、前記第1または第2可動素子であって前記防振制御によりシフト駆動されない可動素子に対応する外乱推定処理の結果を前記一方の外乱推定処理として選択する、または、
    前記第1および第2外乱推定処理のうち、前記第1および第2可動素子における前記防振制御での最大シフト駆動量がより小さい可動素子に対応する外乱推定処理の結果を前記一方の外乱推定処理として選択することを特徴とする制御プログラム。
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