JP6335521B2 - 送信装置及び伝送システム - Google Patents

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Description

本発明は、送信装置が有する複数の送信アンテナ及び受信装置が有する複数の受信アンテナを用いてデータの伝送を行うMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送方式が採用された伝送システム、及び、伝送システムで用いて好適な送信装置及び受信装置に関する。
従来、送信装置が有する複数の送信アンテナ及び受信装置が有する複数の受信アンテナを用いてデータの伝送を行うMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送方式が知られている。
また、同一のデータに基づいて生成される信号を複数の送信アンテナから送信することを前提として、各送信アンテナ用のデータに畳み込み符号を適用する符号化(時空間トレリス符号化)が提案されている。時空間トレリス符号化によって符号化されたデータは、ビタビ復号によって復号することができる。
このように、同一のデータに基づいて生成される信号を複数の送信アンテナから送信することによって、データの冗長性が向上し、畳み込み符号を用いることによって、送信装置と受信装置との間の無線回線の信頼性が向上する。また、各送信アンテナから信号を送信するチャネル(周波数)に相関があるケースやフェージングが生じるケース等において、時空間トレリス符号化は、良好な誤り率特性を得ることができ、信号の途切れを抑制することができる。従って、このような時空間トレリス符号化は、フィードバックを伴わない片方向のMIMO伝送に適している。片方向のMIMO伝送を用いるアプリケーションとしては、マラソンや駅伝等のロードレース中継で用いるFPU(Field Pickup Unit)等が考えられる。
また、時空間トレリス符号化が適用される際に用いる変調方式としては、QPSK、8PSK或いは16QAMが検討されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
特開2009−010939
B. Vucetic and J. Yuan:"SPACE−TIME CODING", John Wiley & Sons (2003)
ところで、変調多値数が増大すると、伝送容量が増大する一方で、誤り訂正後における疑似エラーフリーを実現する所要CNR(Carrier to Noise power Ratio)として、大きな所要CNRが必要である。一方で、映像データの圧縮技術の発達に伴い、送信装置から受信装置に送信すべきデータの伝送量が減少することが考えられる。
このような観点から、発明者らは、鋭意検討の結果、QPSK以上の変調方式の採用によって得られる伝送容量を犠牲にしてでも、所要CNRを下げる方が有効であることを見出した。
しかしながら、上述した技術では、QPSK以上の変調方式で用いる時空間トレリス符号化についてのみが検討されており、QPSKの変調方式で用いる時空間トレリス符号化と比べて所要CNRを下げる点については考慮されていない。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、QPSKの変調方式で用いる時空間トレリス符号化と比べて所要CNRを下げるために、適切な時空間トレリス符号化及び適切なビタビ復号を実現することを可能とする送信装置、受信装置及び伝送システムを提供することを目的とする。
第1の特徴は、入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備える送信装置であって、前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有することを要旨とする。
第2の特徴は、送信装置が有する2系統の送信アンテナから送信される信号を受信する2系統の受信アンテナと、前記2系統の受信アンテナのそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する2系統の復調部と、前記2系統の復調部のそれぞれから出力されるデータをビタビ復号によって復号する復号部とを備える受信装置であって、前記復号部は、前記2系統のデータのそれぞれについて、前記ビタビ復号で用いる状態として、前記送信装置において時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いることを要旨とする。
第3の特徴は、送信装置から受信装置に信号を送信する伝送システムであって、前記送信装置は、入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備え、前記受信装置は、前記2系統の送信アンテナから送信される信号を受信する2系統の受信アンテナと、前記2系統の受信アンテナのそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する2系統の復調部と、前記2系統の復調部のそれぞれから出力されるデータをビタビ復号によって復号する復号部とを備え、前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有しており、前記復号部は、前記2系統のデータのそれぞれについて、前記ビタビ復号で用いる状態として、前記時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いることを要旨とする。
本発明によれば、QPSKの変調方式で用いる時空間トレリス符号化と比べて所要CNRを下げるために、適切な時空間トレリス符号化及び適切なビタビ復号を実現することを可能とする送信装置、受信装置及び伝送システムを提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る伝送システム300を示す図である。 図2は、第1実施形態に係る送信装置100を示すブロック図である。 図3は、第1実施形態に係る受信装置200を示すブロック図である。 図4は、第1実施形態に係る畳み込み符号化部121の一例を示す図である。 図5は、第1実施形態に係る畳み込み符号化部121の一例を示す図である。 図6は、第1実施形態に係る畳み込み符号化部121の一例を示す図である。 図7は、第1実施形態に係る状態遷移図の一例を示す図である。 図8は、第1実施形態に係る受信信号のレプリカを作成する方法を示す図である。 図9は、変更例1に係る伝送システム300を示す図である。 図10は、変更例1に係る送信装置100を示すブロック図である。 図11は、変更例1に係る受信装置200を示すブロック図である。 図12は、実験結果を示す図である。
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[実施形態の概要]
実施形態に係る送信装置は、入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備える。前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有する。
実施形態では、2系統の変調部は、BPSKによってデータを変調しており、かつ、符号化部は、2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有する。これによって、QPSKの変調方式で用いる時空間トレリス符号化と比べて所要CNRを下げるために、適切な時空間トレリス符号化を実現することができる。
ここで、発明者らは、鋭意検討の結果、QPSK以上の変調方式の採用によって得られる伝送容量を犠牲にしてでも、所要CNRを下げる方が有効であることを見出すことによって、BPSKで用いる適切な時空間トレリス符号化について検討したことに留意すべきである。
実施形態に係る受信装置は、送信装置が有する2系統の送信アンテナから送信される信号を受信する2系統の受信アンテナと、前記2系統の受信アンテナのそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する2系統の復調部と、前記2系統の復調部のそれぞれから出力されるデータをビタビ復号によって復号する復号部とを備える。前記復号部は、前記2系統のデータのそれぞれについて、前記ビタビ復号で用いる状態として、前記送信装置において時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いる。
実施形態では、2系統の復調部は、BPSKによって信号を変調しており、かつ、復号部は、2系統のデータのそれぞれについて、ビタビ復号で用いる状態として、送信装置において時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いる。これによって、QPSKの変調方式で用いる時空間トレリス符号化と比べて所要CNRを下げるために、適切なビタビ復号を実現することができる。
ここで、発明者らは、鋭意検討の結果、QPSK以上の変調方式の採用によって得られる伝送容量を犠牲にしてでも、所要CNRを下げる方が有効であることを見出すことによって、BPSKで用いる適切なビタビ復号について検討したことに留意すべきである。
[第1実施形態]
(伝送システム)
以下において、第1実施形態に係る伝送システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る伝送システム300を示す図である。図2は、第1実施形態に係る送信装置100を示すブロック図であり、図3は、第1実施形態に係る受信装置200を示すブロック図である。
図1に示すように、伝送システム300では、2×2のMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が適用される。また、第1実施形態では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術、時空間トレリス符号化(STTC;Space−Time Trellis Coding)が適用される。
(送信装置)
図1及び図2に示すように、送信装置100は、入力信号処理部110と、時空間トレリス符号化部120と、2系統のOFDM変調部130と、2系統の送信高周波部140と、2系統の送信アンテナ150とを有する。
入力信号処理部110は、入力データ(映像データや音声データ)を処理する。具体的には、入力信号処理部110は、図2に示すように、エネルギー拡散部111と、外符号部112と、外インタリーブ部113とを有する。
エネルギー拡散部111は、送信対象の入力データに対して、データビット0,1の偏りをなくすためのエネルギー拡散処理を施す。外符号部112は、エネルギー拡散部111によってエネルギー拡散処理が施された入力データに対して、リードソロモン符号等の誤り訂正処理を施す。外インタリーブ部113は、外符号部112によって誤り訂正処理が施されたデータの順序を並べ替える。
なお、図2に示す入力信号処理部110の構成は一例であり、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、入力信号処理部110は、パケット形式の入力データの同期処理及びスクランブル処理等を行ってもよい。
時空間トレリス符号化部120は、入力信号処理部110から出力される入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する。時空間トレリス符号化部120は、2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有する。ここで、時空間トレリス符号化部120としては、2系統の時空間トレリス符号化部120(時空間トレリス符号化部120A及び時空間トレリス符号化部120B)が設けられる。
2系統の時空間トレリス符号化部120のそれぞれは、図2に示すように、畳み込み符号化部121と、内インタリーブ部122と、マッピング部123とを有する。
畳み込み符号化部121は、入力信号処理部110から出力される入力データについて、時間軸方向における畳み込み符号化を施す。内インタリーブ部122は、周波数軸及び時間軸で定義される空間に畳み込み符号化部121によって畳込み符号化されたデータを配置するとともに、周波数軸方向における順序の並べ替え(周波数インタリーブ)及び時間軸方向における順序の並べ替え(時間インタリーブ)を行う。マッピング部123は、内インタリーブ部122から出力されるデータをI−Q平面上にマッピングする。詳細には、第1実施形態では、変調方式としてBPSKが用いられるため、マッピング部123は、I−Q平面上で定義される1シンボルに1bitのデータをマッピングする。なお、I−Q平面上で取り得るシンボルの位置は2点である。
なお、図2に示す時空間トレリス符号化部120では、マッピング部123が内インタリーブ部122の後段に設けられるが、マッピング部123は、内インタリーブ部122の前段に設けられてもよい。マッピング部123を内インタリーブ部122の後段に設けることによって、内インタリーブ部122に記憶されるメモリの容量を削減することができる。
OFDM変調部130は、時空間トレリス符号化部120から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する変調部の一例である。ここで、OFDM変調部130としては、2系統のOFDM変調部130(OFDM変調部130A及びOFDM変調部130B)が設けられる。
2系統のOFDM変調部130のそれぞれは、図2に示すように、OFDMフレーム構成部131と、IFFT部132と、GI付加部133と、直交変調部134とを有する。
OFDMフレーム構成部131は、時空間トレリス符号化部120から出力されるシンボル(以下、データシンボル)にパイロットシンボルを付加する。OFDMフレーム構成部131は、周波数軸上に設けられる複数のサブキャリアにデータシンボル及びパイロットシンボルを割り当てて、OFDMフレームを構成する。IFFT部132は、複数のサブキャリアに割り当てられたデータシンボル及びパイロットシンボルに対して、逆高速フーリエ変換(IFFT;Inverse Fast Fourier Transform)を施して、周波数軸方向の信号を時間軸方向の信号に変換する。GI付加部133は、IFFT部132から出力される時間軸方向の信号に対してガード期間(GI)を付加する。ガード期間には、IFFT部132から出力される時間軸方向の信号の一部(後半部分)がコピーされる。ガード期間は、IFFT部132から出力される時間軸方向の信号の先頭に付加される。直交変調部134は、GI付加部133によってガード期間が付加されたOFDMの複素ベースバンド信号をIF(Intermediate Frequency)信号に変調する。
送信高周波部140は、2系統のOFDM変調部130のそれぞれから出力される2系統のIF信号を無線周波数信号に変換し、2系統の無線周波数信号を規定の電力に増幅する。ここで、送信高周波部140としては、2系統の送信高周波部140(送信高周波部140A及び送信高周波部140B)が設けられる。
送信アンテナ150は、2系統の送信高周波部140のそれぞれから出力される2系統の無線周波数信号を送信する。ここで、送信アンテナ150としては、2系統の送信アンテナ150(送信アンテナ150A及び送信アンテナ150B)が設けられる。
(受信装置)
図1及び図3に示すように、受信装置200は、2系統の受信アンテナ210と、2系統の受信高周波部220と、2系統のOFDM復調部230と、ビタビ復号部240と、出力信号処理部250とを有する。
受信アンテナ210は、送信装置100が有する2系統の送信アンテナ150から送信される無線周波数信号を受信する。ここで、受信アンテナ210としては、2系統の受信アンテナ210(受信アンテナ210A及び受信アンテナ210B)が設けられる。また、受信アンテナ210Aが受信する無線周波数信号は、2系統の送信アンテナ150から送信される無線周波数信号が合成された信号である。同様に、受信アンテナ210Bが受信する無線周波数信号は、2系統の送信アンテナ150から送信される無線周波数信号が合成された信号である。
受信高周波部220は、2系統の受信アンテナ210のそれぞれによって受信された無線周波数信号をIF(Intermediate Frequency)信号に変換する。ここで、受信高周波部220としては、2系統の受信高周波部220(受信高周波部220A及び受信高周波部220B)が設けられる。
OFDM復調部230は、2系統の受信アンテナ210のそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する復調部の一例である。ここで、OFDM復調部230としては、2系統のOFDM復調部230(OFDM復調部230A及びOFDM復調部230B)が設けられる。
2系統のOFDM復調部230のそれぞれは、図3に示すように、直交復調部231と、シンボル同期部232と、FFT部233と、伝搬路推定部234と、内デインタリーブ部235とを有する。
直交復調部231は、受信高周波部220によって変換されたIF信号を複素ベースバンド信号に復調する。シンボル同期部232は、直交復調部231によって復調された複素ベースバンド信号から、OFDMシンボルの先頭を検出する。FFT部233は、シンボル同期部232から出力される複素ベースバンド信号からガード期間が除去された有効シンボルに対して、高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)を施して、時間軸方向の信号を周波数軸方向の信号に変換する。伝搬路推定部234は、FFT部233によって変換された周波数軸方向の信号に含まれるパイロットシンボル等に基づいて、送信アンテナ150と受信アンテナ210との間の伝搬路応答を推定する。内デインタリーブ部235は、送信装置100の内インタリーブ部122とは逆の手順で、データシンボル及び伝搬路応答の並べ替えを行う。
ビタビ復号部240は、2系統のOFDM復調部230のそれぞれから出力される2系統のデータから、送信側の時空間トレリス符号化部120に入力されたデータをビタビ復号法によって復号する。ビタビ復号部240は、2系統のデータのそれぞれについて、ビタビ復号で用いる状態として、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いる。
ビタビ復号部240は、図3に示すように、2系統のメトリック計算部241(メトリック計算部241A及びメトリック計算部241B)と、ブランチ選択部242と、トレースバック部243とを有する。
メトリック計算部241は、送信装置100のマッピング部123で用いたマッピング情報及び受信装置200の伝搬路推定部234で推定された伝搬路応答に基づいて、2系統の送信信号に対応するシンボルが取り得る組合せについて、受信信号のレプリカを作成する。メトリック計算部241は、実際の受信信号と受信信号のレプリカとの間の距離に基づいて、受信信号のレプリカ毎にメトリックを計算する。ブランチ選択部242は、メトリック計算部241によって計算されたメトリックに基づいて、状態遷移図のブランチを選択し、規定のパス数を含むトレリス線図を作成する。トレースバック部243は、ブランチ選択部242によって作成されたトレリス線図において、メトリックの和が最小となるパスをトレースバックして、2系統のOFDM復調部230のそれぞれから出力される2系統のデータから、送信側の時空間トレリス符号化部120に入力されたデータを復号する。
出力信号処理部250は、ビタビ復号部240から出力されたデータを処理する。具体的には、出力信号処理部250は、図3に示すように、外デインタリーブ部251と、外符号復号部252と、エネルギー逆拡散部253とを有する。
外デインタリーブ部251は、送信装置100の外インタリーブ部113と逆の手順で、ビタビ復号部240から出力されたデータの順序を並び変える。外符号復号部252は、送信装置100の外符号部112に応じた復号方法で、外インタリーブ部113から出力されたデータを復号する。エネルギー逆拡散部253は、送信装置100のエネルギー拡散部111と逆の手順で、外符号復号部252から出力されたデータに対して、逆エネルギー拡散処理を施す。
なお、図1において、h11は、送信アンテナ150Aと受信アンテナ210Aとの間の伝搬路応答であり、h21は、送信アンテナ150Aと受信アンテナ210Bとの間の伝搬路応答であり、h12は、送信アンテナ150Bと受信アンテナ210Aの間の伝搬路応答であり、h22は、送信アンテナ150Bと受信アンテナ210Bとの間の伝搬路応答である。
送信信号xは、送信アンテナ150Aから送信される信号であり、送信信号xは、送信アンテナ150Bから送信される信号である。受信信号yは、送信信号xと送信信号xとが伝搬路上で合成され、受信アンテナ210Aを介して受信した信号である。受信信号yは、送信信号xと送信信号xとが伝搬路上で合成され、受信アンテナ210Bを介して受信した信号である。
(時間軸方向における畳み込み符号)
以下において、上述した畳み込み符号化部121の構成について、図4〜図6を参照しながら説明する。図4〜図6は、畳み込み符号化部121を示す図である。
畳み込み符号化部121は、図4に示すように、入力ビットbを格納するレジスタとして、2つのレジスタを有しており、各入力ビットに重み付け係数gを乗算する乗算器として、3つの乗算器を有しており、重み付け係数gで重み付けされた結果を加算する1つの加算器を有する。なお、重み付け係数gは、入力データの系統毎に異なる。
レジスタは、現在の入力ビットがb(t)である場合に、b(t−1)及びb(t−2)を格納する。各乗算器は、b(t)にgを乗算し、b(t−1)にgを乗算し、b(t−2)にgを乗算する。加算器は、mod2加算器であり、gがb(t)に乗算された結果、gがb(t−1)に乗算された結果及びgがb(t−2)に乗算された結果を加算して、加算結果を2で割った剰余を出力する。すなわち、加算器の出力c(t)は、以下の式(1)によって表される。
Figure 0006335521
ここで、2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表し、方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1)であることが好ましい。このような重み付け係数を採用することによって、他の重み付け係数を用いるケースと比べて、各系統間の加算結果によって定まるシンボル位置(マッピング出力点)の間隔(符号語間2乗ユーグリッド距離)の最小値を最大化することができる。
或いは、畳み込み符号化部121は、図5に示すように、入力ビットbを格納するレジスタとして、3つのレジスタを有しており、各入力ビットに重み付け係数gを乗算する乗算器として、4つの乗算器を有しており、重み付け係数gで重み付けされた結果を加算する1つの加算器を有する。なお、重み付け係数gは、入力データの系統毎に異なる。
レジスタは、現在の入力ビットがb(t)である場合に、b(t−1)、b(t−2)及びb(t−3)を格納する。各乗算器は、b(t)にgを乗算し、b(t−1)にgを乗算し、b(t−2)にgを乗算し、b(t−3)にgを乗算する。加算器は、mod2加算器であり、gがb(t)に乗算された結果、gがb(t−1)に乗算された結果、gがb(t−2)に乗算された結果及びgがb(t−3)に乗算された結果を加算して、加算結果を2で割った剰余を出力する。すなわち、加算器の出力c(t)は、以下の式(2)によって表される。
Figure 0006335521
ここで、2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,0,1,1,1,1,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,1),(0,1,1,1,1,1,0,1)又は(1,0,1,1,1,1,0,1)であることが好ましい。このような重み付け係数を採用することによって、他の重み付け係数を用いるケースと比べて、各系統間の加算結果によって定まるシンボル位置(マッピング出力点)の間隔(符号語間2乗ユーグリッド距離)の最小値を最大化することができる。
或いは、畳み込み符号化部121は、図6に示すように、入力ビットbを格納するレジスタとして、5つのレジスタを有しており、各入力ビットに重み付け係数gを乗算する乗算器として、6つの乗算器を有しており、重み付け係数gで重み付けされた結果を加算する1つの加算器を有する。なお、重み付け係数gは、入力データの系統毎に異なる。
レジスタは、現在の入力ビットがb(t)である場合に、b(t−1)、b(t−2)、(t−3)、(t−4)、(t−5)を格納する。各乗算器は、b(t)にgを乗算し、b(t−1)にgを乗算し、b(t−2)にgを乗算し、b(t−3)にgを乗算し、b(t−4)にgを乗算し、b(t−5)にgを乗算する。加算器は、mod2加算器であり、gがb(t)に乗算された結果、gがb(t−1)に乗算された結果、gがb(t−2)に乗算された結果、gがb(t−3)に乗算された結果、gがb(t−4)に乗算された結果及びgがb(t−5)に乗算された結果を加算して、加算結果を2で割った剰余を出力する。すなわち、加算器の出力c(t)は、以下の式(3)によって表される。
Figure 0006335521
同様に、32状態(レジスタ×5)では、2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用するつの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用するつの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1,1,1,0,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,0,1,1),(1,1,1,1,0,1,1,1,1,0,1,1),(1,1,1,1,0,1,1,1,0,0,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,1,0,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,0,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,0,1,1,0,0,1),(1,1,1,1,0,1,0,0,1,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,0,0,1,0,1,1),(1,1,1,0,1,1,1,1,0,0,0,1),(1,1,1,0,1,1,1,0,1,0,0,1),(1,1,1,0,1,1,1,0,0,0,1,1),(1,1,1,0,1,1,0,1,1,0,0,1),(1,1,1,0,1,1,0,1,0,0,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,1,0,0,0,1),(1,1,0,1,1,1,1,0,1,1,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,0,0,1,0,1),(1,1,0,1,1,1,1,0,0,0,1,1),(1,1,0,1,1,1,0,1,0,1,0,1),(1,1,0,1,1,1,0,1,0,0,1,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,0,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,0,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,0,0,1,1),(1,0,1,1,1,1,0,0,1,1,0,1)又は(1,0,1,1,1,1,0,0,1,0,1,1)であることが好ましいことが確認された。
(状態遷移図)
以下において、状態遷移図について、図7を参照しながら説明する。第1実施形態において、レジスタに格納されたビットの集合の値を10進数で表したものを「状態」と称する。従って、図4に示すように、レジスタの数が2である場合には、状態の数は、2=4である。図5に示すように、レジスタの数が3である場合には、状態の数は、2=8である。図6に示すように、レジスタの数が5である場合には、状態の数は、2=32である。
このようなケースにおいて、レジスタに格納されたビットの状態は、入力データに応じて、一の状態から他の状態に遷移する。第1実施形態では、レジスタに格納されたビットの状態の遷移を「状態遷移」と称する。各状態間の枝を「ブランチ」と称する。
図7に示す状態遷移図は、図5に示すようにレジスタの数が3であり、変調方式がBPSKであるケースの状態遷移図を示している。図7に示すように、レジスタの数が3である場合には、ある時点の状態の数は、2=8である。また、入力データが1ビットであるため、ある状態から延びるブランチの数は2である。上述したように、重み付け係数gが入力データの系統毎に異なるため、加算器の出力も入力データの系統毎に異なる。
上述した受信装置200のビタビ復号部240は、2系統の送信信号に対応するシンボルが取り得る組合せついて、受信信号のレプリカ毎にメトリックを計算する。続いて、ビタビ復号部240は、計算されたメトリックに基づいて、図7に示すような状態遷移図においてブランチを選択してトレリス線図を作成する。
このように、ビタビ復号で用いる状態遷移図に含まれる状態は、送信装置100において時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応する。上述したように、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数が2以上であるため、ビタビ復号部240は、ビタビ復号のメトリック計算等で用いる状態として、4以上の状態を用いる。
例えば、図4に示す畳み込み符号化部121が用いられる場合には、ビタビ復号部240は、ビタビ復号で用いる状態として、4の状態を用いる。図5に示す畳み込み符号化部121が用いられる場合には、ビタビ復号部240は、ビタビ復号で用いる状態として、8の状態を用いる。図6に示す畳み込み符号化部121が用いられる場合には、ビタビ復号部240は、ビタビ復号で用いる状態として、32の状態を用いる。
(受信信号のレプリカ)
以下において、上述したメトリック計算部241が受信信号のレプリカを作成する方法について、図8を参照しながら説明する。
図8に示すように、送信信号1及び送信信号2は、I−Q平面上において、2つのシンボル位置(信号配置点)のいずれかの組合せである。メトリック計算部241は、送信信号1及び送信信号2が取り得る全ての候補について伝搬路応答を乗算して、送信信号1及び送信信号2の乗算結果を加算することによって受信信号のレプリカを作成する。
詳細には、メトリック計算部241は、送信信号1の信号配置点の候補としてαを選択して、送信信号1の信号配置点の候補としてβを選択した場合に、以下の式に従って受信信号のレプリカy’1及びy’2を生成する。
y’1=α×h11+β×h12
y’2=α×h21+β×h22
メトリック計算部241(メトリック計算部241A)は、受信信号レプリカy’と実際の受信信号yとの間の距離等からメトリックを計算する。同様に、メトリック計算部241(メトリック計算部241B)は、受信信号レプリカy’と実際の受信信号yとの間の距離等からメトリックを計算する。
(作用及び効果)
第1実施形態では、2系統のOFDM変調部130は、BPSKによってデータを変調しており、かつ、時空間トレリス符号化部120は、2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有する。これによって、QPSKの変調方式で用いる時空間トレリス符号化と比べて所要CNRを下げるために、適切な時空間トレリス符号化を実現することができる。
第1実施形態では、2系統のOFDM復調部230は、BPSKによって信号を変調しており、かつ、ビタビ復号部240は、2系統のデータのそれぞれについて、ビタビ復号で用いる状態として、送信装置において時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いる。これによって、QPSKの変調方式で用いる時空間トレリス符号化と比べて所要CNRを下げるために、適切なビタビ復号を実現することができる。
ここで、発明者らは、鋭意検討の結果、QPSK以上の変調方式の採用によって得られる伝送容量を犠牲にしてでも、所要CNRを下げる方が有効であることを見出すことによって、BPSKで用いる適切な時空間トレリス符号化及びビタビ復号について検討したことに留意すべきである。
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
具体的には、第1実施形態では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術を適用するケースについて説明した。これに対して、変更例1では、SC(Single−Carrier)技術が適用される。
(伝送システム)
以下において、変更例1に係る伝送システムについて説明する。図9は、変更例1に係る伝送システム300を示す図である。図10は、変更例1に係る送信装置100を示すブロック図であり、図11は、変更例1に係る受信装置200を示すブロック図である。
変更例1において、送信装置100は、図9及び図10に示すように、OFDM変調部130に代えて、SC変調部180を有する。但し、時空間トレリス符号化部120の内インタリーブ部122は、周波数軸方向のインタリーブを行わないことに留意すべきである。
SC変調部180は、時空間トレリス符号化部120から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する変調部の一例である。ここで、SC変調部180としては、2系統のSC変調部180(SC変調部180A及びSC変調部180B)が設けられる。
2系統のSC変調部180のぞれぞれは、図10に示すように、基準信号挿入部181と、波形整形部182と、直交変調部183とを有する。
基準信号挿入部181は、時空間トレリス符号化部120から出力される2系統のシンボルに対して、同期及び伝搬路応答を推定するための既知信号等の基準信号を挿入する。波形整形部182は、基準信号挿入部181によって基準信号が挿入された信号に対し、ルートロールオフフィルタによるフィルタ処理及びアパーチャ補正を施して波形整形する。直交変調部183は、基準信号挿入部181によって波形整形されたシングルキャリアの複素ベースバンド信号をIF(Intermediate Frequency)信号に変調する。
変更例1において、受信装置200は、図9及び図11に示すように、OFDM復調部230に代えて、SC復調部280を有する。
SC復調部280は、2系統の受信アンテナ210のそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する復調部の一例である。ここで、SC復調部280としては、2系統のSC復調部280(SC復調部280A及びSC復調部280B)が設けられる。
2系統のSC復調部280のぞれぞれは、図11に示すように、直交復調部281と、波形整形部282と、同期部283と、伝搬路推定部284と、内デインタリーブ部285とを有する。
直交復調部281は、受信高周波部220によって変換されたIF信号を複素ベースバンド信号に復調する。波形整形部282は、直交復調部281によって復調された複素ベースバンド信号に対して、ルートロールオフフィルタによるフィルタ処理を施して波形整形する。同期部283は、波形整形部282によって波形整形された信号に対して、シングルキャリアのブロックの先頭を検出する。伝搬路推定部284は、同期部283によって先頭が検出されたシングルキャリアのブロックに対して、基準信号から伝搬路応答を推定する。内デインタリーブ部285は、送信装置100の内インタリーブ部122とは逆の手順で、データシンボル及び伝搬路応答の並べ替えを行う。
[実験結果]
以下において、実験結果について説明する。実験では、実施例として、4状態(レジスタ×2)のBPSK、8状態(レジスタ×3)のBPSK、16状態(レジスタ×4)のBPSK、32状態(レジスタ×5)のBPSK、64状態(レジスタ×6)のBPSKについて、ビタビ復号後BER(Block Error Rate)及び平均受信CNRの関係を調べた。また、比較例として、2状態(レジスタ×1)のBPSK、既知の16状態(レジスタ×4)のQPSKについて、ビタビ復号後BER及び平均受信CNRの関係を調べた。実験結果は、図12に示す通りである。
ここで、外符号復号(例えば、リードソロモン符号復号)の後において、疑似エラーフリーを実現するために要求されるビタビ復号後BERが1.0×10−4であると仮定する。ビタビ復号後BERが1.0×10−4であるケースの平均受信CNRを比較すると、従来の16状態(レジスタ×4)のQPSKと比べて、2状態(レジスタ×1)のBPSKでは、平均受信CNRが改善しないことが確認された。一方で、従来の16状態(レジスタ×4)のQPSKと比べて、4状態(レジスタ×4)のBPSK、8状態(レジスタ×3)のBPSK、16状態(レジスタ×4)のBPSK、32状態(レジスタ×5)のBPSK、64状態(レジスタ×6)のBPSKでは、平均受信CNRが改善することが確認された。このように、変調方式としてBPSKを採用する場合に、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数が2以上であることが好ましいことが確認された。
さらに、ビタビ復号後BERが1.0×10−4であるケースの平均受信CNRを比較すると、従来の16状態(レジスタ×4)のQPSKと比べて、8状態(レジスタ×3)のBPSKでは、平均受信CNRが約3.5dB改善するが、約3.5dBの改善は、16状態(レジスタ×4)のBPSKと同様である。従って、8状態(レジスタ×3)のBPSK及び16状態(レジスタ×4)のBPSKの中からレジスタ数を選択するのであれば、処理負荷等の関係から、8状態(レジスタ×3)のBPSKを選択することが好ましいことが確認された。
また、ビタビ復号後BERが1.0×10−4であるケースの平均受信CNRを比較すると、従来の16状態(レジスタ×4)のQPSKと比べて、32状態(レジスタ×5)のBPSKでは、平均受信CNRが約4.0dB改善するが、約4.0dBの改善は、64状態(レジスタ×6)のBPSKと同様である。従って、32状態(レジスタ×5)のBPSK及び64状態(レジスタ×6)のBPSKの中からレジスタ数を選択するのであれば、処理負荷等の関係から、32状態(レジスタ×5)のBPSKを選択することが好ましいことが確認された。
(重み付け係数)
4状態(レジスタ×2)のBPSK、8状態(レジスタ×3)のBPSK、32状態(レジスタ×5)のBPSKで用いる重み付け係数については、以下の手順によって特定した。
第1に、符号語間2乗ユークリッド距離について説明する。ここで、時刻tの送信シンボルx(t)がx(t)=[x(t) x(t)]である。但し、x(t)は、送信信号1の送信シンボルであり、x(t)は、送信信号2の送信シンボルである。送信シンボルのフレーム長がL(t=1〜L)である場合に、L行×2列の符号語行列は、以下の式(4)によって表すことができる。
Figure 0006335521
受信側で最尤系列推定(ビタビ復号)により復号される符号語行列
Figure 0006335521
は、以下の式(5)によって表すことができる。
Figure 0006335521
ここで、X及び
Figure 0006335521
から、符号語差行列
Figure 0006335521
及び、符号語距離行列A=BBを求めることができる。但し、Bは、Bの複素共役転置を表している。
ここで、符号語間2乗ユークリッド距離は、送信シンボルと復号された送信シンボルとの2乗ユークリッド距離の総和を表し、符号語距離行列Aのトレースであり、Aの固有値の和である(式(6)を参照)。ただし、式(6)でλは、Aの固有値であり、rは、Aの階数(ランク)である。
Figure 0006335521
符号語間2乗ユークリッド距離が大きいほど、異なる符号語を区別しやすくなり、復号で誤り難くなる。時空間トレリス符号の重み付け係数は、あらゆる入力信号系列に対する符号語間2乗ユークリッド距離の最小値が最大になるものを選択する。
符号語間2乗ユークリッド距離の最小値は、トレリス線図で異なる経路が少ない符号語の組合せで発生すると考えられる。フルランク(ランク=送信系統数)の時空間トレリス符号では、Lが拘束長(レジスタ数+1)よりも少ない場合は、トレリス線図が枝分かれして再度合流することはない。そこで、Lを符号化器の拘束長(レジスタ数+1)+2、つまり、4状態数(レジスタ×2)ではL=5まで考慮し、8状態(レジスタ×3)では、L=6まで考慮し、32状態2(レジスタ×5)ではL=8まで考慮して、トレリス線図が枝分かれして再度合流する場合の符号語差行列について符号語間2乗ユークリッド間距離の最小値の計算を行った。
このような計算結果に基づいて、4状態(レジスタ×2)では、2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表し、一方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1)であることが好ましいことが確認された。
同様に、8状態(レジスタ×3)では、2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,0,1,1,1,1,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,1),(0,1,1,1,1,1,0,1)又は(1,0,1,1,1,1,0,1)であることが好ましいことが確認された。
同様に、32状態(レジスタ×5)では、2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する5つの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用する5つの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1,1,1,0,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,0,1,1),(1,1,1,1,0,1,1,1,1,0,1,1),(1,1,1,1,0,1,1,1,0,0,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,1,0,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,0,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,0,1,1,0,0,1),(1,1,1,1,0,1,0,0,1,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,0,0,1,0,1,1),(1,1,1,0,1,1,1,1,0,0,0,1),(1,1,1,0,1,1,1,0,1,0,0,1),(1,1,1,0,1,1,1,0,0,0,1,1),(1,1,1,0,1,1,0,1,1,0,0,1),(1,1,1,0,1,1,0,1,0,0,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,1,0,0,0,1),(1,1,0,1,1,1,1,0,1,1,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,0,0,1,0,1),(1,1,0,1,1,1,1,0,0,0,1,1),(1,1,0,1,1,1,0,1,0,1,0,1),(1,1,0,1,1,1,0,1,0,0,1,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,0,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,0,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,0,0,1,1),(1,0,1,1,1,1,0,0,1,1,0,1)又は(1,0,1,1,1,1,0,0,1,0,1,1)であることが好ましいことが確認された。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
100…送信装置、110…入力信号処理部、111…エネルギー拡散部、112…外符号部、113…外インタリーブ部、120…時空間トレリス符号化部、121…畳み込み符号化部、122…内インタリーブ部、123…マッピング部、130…OFDM変調部、131…OFDMフレーム構成部、132…IFFT部、133…GI付加部、134…直交変調部、140…送信高周波部、150…送信アンテナ、180…SC変調部、181…基準信号挿入部、182…波形整形部、183…直交変調部、200…受信装置、210…受信アンテナ、220…受信高周波部、230…OFDM復調部、231…直交復調部、232…シンボル同期部、233…FFT部、234…伝搬路推定部、235…内デインタリーブ部、240…ビタビ復号部、241…メトリック計算部、242…ブランチ選択部、243…トレースバック部、250…出力信号処理部、251…外デインタリーブ部、252…外符号復号部、253…エネルギー逆拡散部、280…SC復調部、281…直交復調部、282…波形整形部、283…同期部、284…伝搬路推定部、285…内デインタリーブ部、300…伝送システム

Claims (6)

  1. 入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、
    前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、
    前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備え、
    前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2つのレジスタを有し、
    前記2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表し、方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1)であることを特徴とする送信装置。
  2. 入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、
    前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、
    前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備え、
    前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、3つのレジスタを有し、
    前記2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,0,1,1,1,1,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,1),(0,1,1,1,1,1,0,1)又は(1,0,1,1,1,1,0,1)であることを特徴とする送信装置。
  3. 入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、
    前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、
    前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備え、
    前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、5つのレジスタを有し、
    前記2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用するつの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用するつの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1,1,1,0,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,0,1,1),(1,1,1,1,0,1,1,1,1,0,1,1)又は(1,1,1,1,0,1,1,1,0,0,0,1)を含むことを特徴とする送信装置。
  4. 送信装置から受信装置に信号を送信する伝送システムであって、
    前記送信装置は、
    入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、
    前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、
    前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備え、
    前記受信装置は、
    前記2系統の送信アンテナから送信される信号を受信する2系統の受信アンテナと、
    前記2系統の受信アンテナのそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する2系統の復調部と、
    前記2系統の復調部のそれぞれから出力されるデータをビタビ復号によって復号する復号部とを備え、
    前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有しており、
    前記レジスタの数が2つである場合において、2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表し、他方の入力データに適用する3つの重み付け係数をg 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1)であり、
    前記復号部は、2系統のデータのそれぞれについて、前記ビタビ復号で用いる状態として、前記時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いることを特徴とする伝送システム。
  5. 送信装置から受信装置に信号を送信する伝送システムであって、
    前記送信装置は、
    入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、
    前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、
    前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備え、
    前記受信装置は、
    前記2系統の送信アンテナから送信される信号を受信する2系統の受信アンテナと、
    前記2系統の受信アンテナのそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する2系統の復調部と、
    前記2系統の復調部のそれぞれから出力されるデータをビタビ復号によって復号する復号部とを備え、
    前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有しており、
    前記レジスタの数が3つである場合において、前記2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用する4つの重み付け係数をg 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,0,1,1,1,1,1,1),(1,1,0,1,1,1,1,1),(0,1,1,1,1,1,0,1)又は(1,0,1,1,1,1,0,1)であり、
    前記復号部は、2系統のデータのそれぞれについて、前記ビタビ復号で用いる状態として、前記時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いることを特徴とする伝送システム。
  6. 送信装置から受信装置に信号を送信する伝送システムであって、
    前記送信装置は、
    入力データを複製して2系統の入力データを生成し、2系統の入力データのそれぞれを時空間トレリス符号化によって符号化する符号化部と、
    前記符号化部から出力される2系統のシンボルをBPSKによって変調する2系統の変調部と、
    前記2系統の変調部のそれぞれから出力される信号を送信する2系統の送信アンテナとを備え、
    前記受信装置は、
    前記2系統の送信アンテナから送信される信号を受信する2系統の受信アンテナと、
    前記2系統の受信アンテナのそれぞれで受信される信号をBPSKによって復調する2系統の復調部と、
    前記2系統の復調部のそれぞれから出力されるデータをビタビ復号によって復号する復号部とを備え、
    前記符号化部は、前記2系統の入力データのそれぞれについて、時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタとして、2以上のレジスタを有しており、
    前記レジスタの数が5つである場合において、前記2系統の入力データのうち、一方の入力データに適用する6つの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表し、他方の入力データに適用する6つの重み付け係数をg 、g 、g 、g 、g 、g で表した場合に、(g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g ,g )は、(1,1,1,1,0,1,1,1,0,1,0,1),(1,1,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,1,0,1),(1,0,1,1,1,1,1,0,1,0,1,1),(1,1,1,1,0,1,1,1,1,0,1,1)又は(1,1,1,1,0,1,1,1,0,0,0,1)を含み、
    前記復号部は、2系統のデータのそれぞれについて、前記ビタビ復号で用いる状態として、前記時間軸方向における畳み込み符号に用いるレジスタの数に対応しており、かつ、4以上の状態を用いることを特徴とする伝送システム。
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