JP6333335B2 - タンニンによる木材表面の変色防止剤 - Google Patents

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本発明は、タンニンによる木材表面の変色防止剤に関し、より詳しくは、(A)親水性イソシアネート化合物、又は(B)疎水性イソシアネート化合物、又は(C)親水性イソシアネート化合物及び疎水性イソシアネート化合物の混合物を(D)有機溶剤に溶解させてなるタンニンによる木材表面の変色防止剤であって、木材の表面に塗布することで、水分の放出及び吸収を繰り返すことによって、あるいは金属に接触することによって、表面に発生する黒色の変色を防止するタンニンによる木材表面の変色防止剤を提供することに関する。
日本は国土の約3分の2が森林で覆われている、世界有数の豊かな木質資源を擁する国であり、木材は建築物や家具、食器や農具などの日用品に使用されてきた。
その中でも白木や無垢材といった、皮を削っただけで塗装を施していない木材は、木本来の色、質感、木目や自然な風合いを生かすことができることから、古くから家具等の木工品に使用されている。
しかし、塗装を施していないため、外部環境の変化や刺激に弱いという問題点を有する。
ナラ、スギ、ヒノキ、ケヤキ、クリ、マツ、ヒバ、ウオルナット、オークなどの白木は、ポリフェノール成分(主にタンニン、以下タンニンと言う)を多量に含有している。このタンニンは白アリや腐食に対する抵抗力があるため、木の耐久性を高める効果を持っている。
その反面、木の表面に水滴がつくと乾燥後タンニンの染み出しにより輪染みができ(本願図2(A)参照)、白木の美しさが大いに損なわれる。長期間では水分(湿気)を吸収、放出を繰り返す間に白木表面にタンニンが浮き出し徐々に黒ずんで変色する。その後、降雨などにより表面のタンニンが洗い流されると、部分的に脱色され白く斑点状にマダラになる。
また、鉄や銅などの金属のイオンと接触すると、タンニン鉄やタンニン銅が生成され金属汚染と言われる黒色の変色が生じる(図1参照)。
木工品を白木のまま使用する場合、上記のような変色により美観が著しく損なわれる結果、白木の木工品の普及を阻害しているのが実情である。そこで木工品を白木のまま使用する場合でも、タンニンの浮き出しによる輪染み、黒ずみや脱色によるマダラ、タンニン鉄やタンニン銅による黒変を防止できる製剤の開発が強く望まれていた。
木材保護剤としては、防腐、防蟻、防カビ等の作用を有するものが従来より知られているものの(例えば特許文献1及び2参照)、木材の変色を防止することを目的とした木材保護剤はほとんど知られていない。
例えば、鉄汚染等を防ぐには、ロータリーレースやスライサーの切削刃の切れ味を良くするあるいは刃物と被削材との温度差を小さくする方法等、物理的な方法を用いることが知られている。このような方法は手間がかかる上、変色を確実に防ぐことは難しいという問題点を有する。
化学的な方法としては、合成樹脂の塗料やニスを塗装することにより、白木表面に水を透過させない塗膜(10〜100μm)を生成し変色を防止する方法が挙げられるが、白木の質感や風合いは無くなってしまう欠点があった。
特許文献3には、フッ素系撥水撥油剤及び溶剤を含有していることで、木材表面に被膜を形成し、長期にわたり木材(白木)独特の質感及び/又は色調などを損なうことのない木材用コーティング組成物が記載されている。
特許文献3記載の発明は、白木表面に撥水性及び撥油性を発現させることができるものの、水の浸透を防ぐには不十分であった。ましてや湿気の透過防止やタンニンの浮き出しによる黒ずみやマダラ、タンニン鉄やタンニン銅による黒変を防止することはできないという問題点を有する。
よって、黒色への変色を防止するためのタンニンによる木材表面の変色防止剤が強く求められている。
特開平6−8210号公報 特開2006−89404号公報 特開2008−31256号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、(A)親水性イソシアネート化合物、又は(B)疎水性イソシアネート化合物、又は(C)親水性イソシアネート化合物及び疎水性イソシアネート化合物の混合物を(D)有機溶剤に溶解させてなるタンニンによる木材表面の変色防止剤とし、前記イソシアネート化合物を1−30重量%、前記(D)有機溶剤を70−99重量%の範囲内で含むものとすることで、水分の放出及び吸収を繰り返すことによってあるいは金属に接触することによって木材表面に発生するタンニンによる黒色の変色を防止するタンニンによる木材表面の変色防止剤を提供するものである。
請求項1に係る発明は、イソシアネート化合物を(D)有機溶剤に溶解させてなるタンニンによる木材表面の変色防止剤であって、前記イソシアネート化合物は、(A)親水性イソシアネート化合物、又は
(B)疎水性イソシアネート化合物、又は(C)親水性イソシアネート化合物及び疎水性イソシアネート化合物の混合物であり、前記イソシアネート化合物を1−30重量%、前記有機溶剤を70−99重量%の範囲内で含み、
前記(D)有機溶剤が前記イソシアネート化合物と反応性がなく、前記イソシアネート化合物と混合して相溶するものであることを特徴とする、タンニンによる木材表面の変色防止剤に関する。
請求項2に係る発明は、前記イソシアネート化合物は、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、芳香脂肪族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物から選択されることを特徴とする、請求項1記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤に関する。
請求項3に係る発明は、前記タンニンによる木材表面の変色防止剤において木材が白木である場合、前記イソシアネート化合物は、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、及び芳香脂肪族イソシアネート化合物から選択されることを特徴とする、請求項1記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤に関する。
請求項に係る発明は、前記(D)有機溶剤の沸点が100−250℃の範囲内であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤に関する。
請求項に係る発明は、木材の質感を保持し、木材表面のタンニンによる変色を防ぐための、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤の使用に関する。
請求項1に係る発明によれば、イソシアネート化合物を(D)有機溶剤に溶解させてなるタンニンによる木材表面の変色防止剤であって、前記イソシアネート化合物は、(A)親水性イソシアネート化合物、又は(B)疎水性イソシアネート化合物、又は(C)親水性イソシアネート化合物及び疎水性イソシアネート化合物の混合物であるタンニンによる木材表面の変色防止剤を表面に塗布することで、木材中のタンニンと本発明中のイソシアネート化合物が反応硬化する。
これにより、スギ、ヒノキ、ケヤキ、クリ、ウオルナット、オークなどタンニン成分を多く含む木材が、室内で水滴がついて水にぬれても輪染みができず、屋外で長期間風雨などにさらされても、タンニンなどによる黒変や脱色によるマダラになることもなく、きれいな状態で白木の風合いを維持できる。
また、鉄や銅のイオンと接触しても、タンニン鉄やタンニン銅が生成せず、金属汚染と言われる黒色の変色が生じない。
前記イソシアネート化合物が1重量%より少ないとタンニンの浮き出しを防止できず、30重量%を超えると過剰なイソシアネート化合物が木材の表面に残留し、木の風合いを著しく損なうため、本発明におけるイソシアネート化合物の含有量は1−30重量%であることが好ましい。
有機溶剤を含むことで、タンニンによる木材表面の変色防止剤が木材の深部まで均一に浸透する効果及びイソシアネート化合物とタンニンの反応を速める効果を奏する。
さらに、請求項1に係る発明によれば、前記(D)有機溶剤が前記イソシアネート化合物と反応性がなく、前記イソシアネート化合物と混合して相溶するものであることで、イソシアネート化合物と木材中のタンニンとの反応が効率よく進むという効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、イソシアネート化合物は、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、芳香脂肪族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物から選択されることで、木材中のタンニンと反応硬化し、タンニンによる黒色が木材表面に表れるのを防ぐことができる。
請求項3に係る発明によれば、木材が白木である場合、前記イソシアネート化合物は、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、及び芳香脂肪族イソシアネート化合物から選択される、即ち芳香族イソシアネート化合物を使用しないことで、紫外線によって黄変することを防ぐことができる。
請求項に係る発明によれば、前記(D)有機溶剤の沸点が100−250℃の範囲内であることで、木材表面保護材を木の表面に塗布する際、木の奥まで浸透するとともに比較的短時間に変色防止効果が発揮される。(D)有機溶剤の沸点が100℃未満であると蒸発が早いため作業性が悪く、変色防止の効果が不十分である。(D)有機溶剤の沸点が250℃を超えると蒸発が遅いため乾燥時間が長くなり作業効率が低下する。
請求項に係る発明によれば、木材の質感を保持し、木材表面のタンニンによる変色を防ぐために、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤を使用する、つまり木材表面に本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤を塗布することによって、木材中の奥までイソシアネート化合物が有機溶剤と共に浸透し、タンニン中の−OH基とイソシアネートが反応硬化し、水不溶性反応硬化物として白木中に固定化され、かつ、木質中の含水分とイソシアネートが反応硬化することにより木質内でバリア層を形成することで、タンニンの浮き出しによる黒ずみやマダラ、タンニン鉄やタンニン銅による黒変を防止できる。
木材中のタンニンが木材表面で金属イオンと反応することによる黒色の変色を示す図である。 本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤を塗布しなかった場合(A)と、塗布した場合(B)の、水スポット試験の結果の比較を示す。
1.タンニンによる木材表面の変色防止剤に含まれる成分
以下、本発明に係るタンニンによる木材表面の変色防止剤について詳細に説明する。
本発明の目的は、本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤を木材の表面に塗布することで、水分の放出及び吸収を繰り返すことによって、あるいは金属に接触することによって、表面に発生するタンニンによる黒色の変色を防止するタンニンによる木材表面の変色防止剤を提供することにある。
本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤は、イソシアネート化合物を有機溶剤に溶解させてなる。
<イソシアネート化合物>
イソシアネート化合物として、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族又は芳香族ポリイソシアネート化合物、及びその他の従来公知の分子内に複数個のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。ただし、芳香族イソシアネート化合物は紫外線によって黄変しやすいので、白木用には使用が制限される。以下にイソシアネート化合物の具体例を挙げる。以下の中でも脂肪族系ポリイソシアネート化合物を用いると、可使時間が長く、変色の少ないタンニンによる木材表面の変色防止剤を得ることができる。
(脂肪族イソシアネート化合物)
脂肪族イソシアネート化合物として、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等又はこれらの組合せが挙げられる。
(脂環式イソシアネート化合物)
脂環式イソシアネート化合物として、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、3−イソシアネート−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等又はこれらの組合せが挙げられる。
(芳香脂肪族イソシアネート化合物)
芳香脂肪族イソシアネート化合物として、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等又はこれらの組合せが挙げられる。
(芳香族イソシアネート化合物)
芳香族イソシアネート化合物として、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等又はこれらの組合せが挙げられる。
(その他のイソシアネート化合物)
本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤に含まれるイソシアネート化合物として使用することができるその他のイソシアネート化合物として、フェニルジイソチオシアネート等の硫黄原子を含むイソシアネート類、イソシアネート化合物をビュレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレタン結合、アロファネート結合、ウレトジオン結合等によりオリゴマー化した多官能ポリイソシアネート等、及びこれらの組合せが挙げられる。
本発明のイソシアネート化合物としては、低粘度タイプのイソシアネート化合物が木の深部まで浸透するので好ましく使用できる。
親水性イソシアネート化合物(A)、疎水性イソシアネート化合物(B)は上記の各種類のイソシアネート化合物をそれぞれ水系組成物用、溶剤系組成物用として好適に使用できるよう親水性加工、疎水性加工したイソシアネート化合物である。
(親水性イソシアネート化合物)
親水性イソシアネート化合物(A)は、例えば、アクアネート100、アクアネート110、アクアネート200及びアクアネート210(いずれも商品名、日本ポリウレタン工業社製);バイヒジュールTPLS−2032、SUV−イソシアネートL801、バイヒジュールVPLS−2319、バイヒジュール3100、VPLS−2336及びVPLS−2150/1(いずれも商品名、住化バイエルウレタン社製);タケネートWD−720、タケネートWD−725及びタケネートWD−220(いずれも商品名、三井武田ケミカル社製);レザミンD−56(商品名、大日精化工業社製)等の1種又は2種以上を用いることができる。
(疎水性イソシアネート化合物)
疎水性イソシアネート化合物(B)は通常溶剤系においてハイソリッドタイプとして使用されるものが好ましく、例えば、デスモジュールN3400、デスモジュールN3600、デスモジュールVPLS2294(いずれも商品名、住化バイエルウレタン社製);タケネートD−170HN(商品名、三井武田ケミカル社製)等の1種又は2種以上を用いることができる。
イソシアネート化合物として、親水性イソシアネート化合物(A)のみ、あるいは疎水性イソシアネート化合物(B)のみから構成されていても良く、親水性イソシアネート化合物及び疎水性イソシアネート化合物の混合物(C)であっても良い。
イソシアネート化合物を含む本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤を木材表面に塗布することで、タンニンによる木材表面の変色防止剤が木材中に浸透し、木材中のタンニンと本発明中のイソシアネート化合物が反応硬化する。これにより、タンニンが木材表面に表出するのを防ぐことができる。
つまり、スギ、ヒノキ、ケヤキ、クリ、ウオルナット、オークなどタンニン成分を多く含む木材等が、室内で水滴がついて水にぬれても輪染みができず、屋外で長期間風雨などにさらされても、タンニンなどによる黒変や脱色によるマダラになることもなく、きれいな状態で白木の風合いを維持できる。
また、鉄や銅のイオンと接触しても、タンニン鉄やタンニン銅が生成せず、金属汚染と言われる黒色の変色が生じない。
<有機溶剤>
有機溶剤(D)としては、イソシアネートと反応性がなく、混合して良好に相溶するものであれば非水溶性であっても水溶性であってもよい。また、2種以上の有機溶剤を混合しても使用できる。かかる有機溶剤としては、沸点が50℃以上、好ましくは100−250℃の範囲のものが使用できる。(D)有機溶剤の沸点が100℃未満であると蒸発が早いため作業性が悪く、変色防止の効果が不十分である。(D)有機溶剤の沸点が250℃を超えると蒸発が遅いため乾燥時間が長くなり作業効率が低下する。
例えばトルエン、キシレン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルメトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、ニトロプロパン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、オキソヘキシルアセテート、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチルなどがあげられる。
本発明が有機溶剤を含むことで、タンニンによる木材表面の変色防止剤が木材の深部まで均一に浸透する効果及びイソシアネート化合物とタンニンの反応を速める効果を奏する。
<イソシアネート化合物と有機溶剤の比率>
本発明におけるイソシアネート化合物と有機溶剤の固型分重量比率は、イソシアネート化合物1〜30%、有機溶剤99〜70%。好ましくはイソシアネート化合物5〜15%、有機溶剤95〜80%である。
何故なら、イソシアネート化合物が1%より少ないとタンニンの浮き出しを防止できず、イソシアネート化合物が30%を超えると過剰のイソシアネート化合物が木の表面に残留し、木の風合いを著しく損なうからである。
<その他に含み得る任意の成分>
本発明は、イソシアネート化合物及び有機溶剤の他に、以下の成分を含み得る。
(消泡剤)
本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤を白木表面に塗布し、木の中まで浸透させた際、泡立ちを起こすことがあるので、一般的に使用されるシリコン系消泡剤、鉱物油系消泡剤を配合することができる。
消泡剤の濃度は、イソシアネート化合物と有機溶剤の混合物に対して0.05−0.9重量%含み得る。
本発明では、上記成分の他、必要に応じて通常の木部用防腐剤、木部用防虫剤、木部用防かび剤、艶消し剤等を配合することができる。
2.本発明の使用形態
本発明を木材に塗付し、タンニンの染み出しを防止したのみの状態で使用しても良く、木材に本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤を塗付し、タンニンの染み出しを防止した後、含浸タイプの合成樹脂ステイン塗料又は含浸タイプの無機系シリコン樹脂塗料を塗装し、木肌感を有した仕上げを行うことも可能である。
さらに、含浸タイプの合成樹脂ステイン塗料又は含浸タイプの無機系シリコン樹脂塗料に、本発明のタンニンによる木材表面の変色防止剤を混合して、タンニンの染み出しの防止と含浸タイプの合成樹脂ステイン塗料又は含浸タイプの無機系シリコン樹脂塗料の塗装を同時に行うこともできる。
以下、本発明に係るタンニンによる木材表面の変色防止剤に関する実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
タンニンによる木材表面の変色防止剤の製造
(実施例1)
25重量%のデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)を、有機溶剤(35重量%のキシレン、20重量%の酢酸ブチル及び20重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例1とした。
(実施例2)
15重量%のデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)を、有機溶剤(40重量%のキシレン、20重量%の酢酸ブチル及び25重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例2とした。
(実施例3)
5重量%のデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)を、有機溶剤(45重量%のキシレン、25重量%の酢酸ブチル及び25重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例3とした。
(実施例4)
1重量%のデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)を、有機溶剤(49重量%のキシレン、25重量%の酢酸ブチル及び25重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例4とした。
(実施例5)
3重量%のデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)、3重量%のタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)、3重量%のアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)、及び3重量%のバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)の混合物を、有機溶剤(38重量%のキシレン、25重量%の酢酸ブチル及び25重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例5とした。
(実施例6)
2重量%のデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)、1重量%のタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)、2重量%のアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)、及び1重量%のバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)の混合物を、有機溶剤(44重量%のキシレン、25重量%の酢酸ブチル及び25重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例6とした。
(実施例7)
10重量%のタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)、及び2重量%のアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)の混合物を、有機溶剤(38重量%のキシレン、25重量%の酢酸ブチル及び25重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例7とした。
(実施例8)
2重量%のタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)、及び10重量%のアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)の混合物を、有機溶剤(38重量%のキシレン、25重量%の酢酸ブチル及び25重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを実施例8とした。
(比較例1)
40重量%のタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)を、有機溶剤(30重量%のキシレン、15重量%の酢酸ブチル及び15重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを比較例1とした。
(比較例2)
8重量%のデスモジュールN3400(疎水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)、8重量%のタケネートD170 HN(疎水性イソシアネート化合物、三井武田ケミカル株式会社製)、8重量%のアクアネート130(親水性イソシアネート化合物、日本ポリウレタン工業株式会社製)、及び8重量%のバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)の混合物を、有機溶剤(40重量%のキシレン、14重量%の酢酸ブチル及び14重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを比較例2とした。
(比較例3)
0.5重量%のバイヒジュール3100(親水性イソシアネート化合物、住化バイエルウレタン株式会社製)の混合物を、有機溶剤(50重量%のキシレン、25重量%の酢酸ブチル及び24.5重量%のブチルセロソルブアセテート)に溶解した。これを比較例3とした。
実施例1−8及び比較例1−3の組成(重量%)を、以下の表1−3にまとめた。
2.タンニンによる木材表面の変色防止剤の性能試験
次に、タンニンによる木材表面の変色防止剤の性能試験を説明する。
<水スポット試験>
無垢ウオルナット材に実施例1−8及び比較例1−3の保護剤を刷毛に含ませて1m当たり70gになるように塗布含浸させた。5時間乾燥後、スポイトにて清水を1ヶ所0.5ccずつ滴下させた。滴下時間帯は直ちに、24時間後、5日後,1ケ月後、3ケ月経過後にそれぞれ滴下させ、翌日に輪染み(脱色)跡の有無を目視観察した。
水滴部分に輪染み(脱色)跡が確認できない場合は○、水滴滴下部分に輪染み(脱色)跡が明確に確認できる場合は×と評価した。○の場合の一例を図2(B)に、×の場合の一例を図2(A)に示す。
<白木の風合い試験>
無垢ウオルナット材に実施例1−8及び比較例1−3の変色防止剤を刷毛に含ませて1m当たり70gになるように塗布含浸させた。5時間乾燥後、以下の表4のイ、ロ、ハを目視で観察した。
以上の実施例及び比較例における性能試験の結果を表5−7に示す。
<評価>
上記表5−7の結果は、実施例1−8は、水を滴下させても水滴部分に輪染みができず、白木の自然な風合いを損なわないことを示す。
これに対し、イソシアネート化合物の含有量が30重量%よりも多い比較例1及び2は、水滴部分の跡形は確認できないものの、自然な白木の風合いが損なわれ、塗料を塗ったような違和感があった。
イソシアネート化合物の含有量が1重量%よりも少ない比較例3は、自然な白木感は損なわれないものの、水滴部分の跡形が確認され、水スポット試験で異常が見られた。
上記の実施例及び比較例の性能試験結果の比較は、本発明においてイソシアネート化合物の含有量は1−30重量%程度が好ましいことを示している。
上記の結果から、本発明である実施例1−8のタンニンによる木材表面の変色防止剤は比較例1−3に比べて、いずれも水滴がついて水にぬれても輪染みができにくく、タンニンなどによる黒変や脱色によるマダラになることもなく、きれいな状態で白木の風合いを維持できる点で優れていることがわかる。
本発明であるタンニンによる木材表面の変色防止剤は、木工品や家具等様々な用途で使用される白木や無垢材等の木材表面上に塗布されるタンニンによる木材表面の変色防止剤として好適に利用される。
1 黒色の変色
2 輪染み

Claims (5)

  1. イソシアネート化合物を(D)有機溶剤に溶解させてなるタンニンによる木材表面の変色防止剤であって、
    前記イソシアネート化合物は、
    (A)親水性イソシアネート化合物、又は
    (B)疎水性イソシアネート化合物、又は
    (C)親水性イソシアネート化合物及び疎水性イソシアネート化合物の混合物であり、
    前記イソシアネート化合物を1−30重量%、前記有機溶剤を70−99重量%の範囲内で含み、
    前記(D)有機溶剤が前記イソシアネート化合物と反応性がなく、前記イソシアネート化合物と混合して相溶するものであることを特徴とする、タンニンによる木材表面の変色防止剤
  2. 前記イソシアネート化合物は、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、芳香脂肪族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物から選択されることを特徴とする、請求項1記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤
  3. 前記タンニンによる木材表面の変色防止剤において木材が白木である場合、前記イソシアネート化合物は、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、及び芳香脂肪族イソシアネート化合物から選択されることを特徴とする、請求項1記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤
  4. 前記(D)有機溶剤の沸点が100−250℃の範囲内であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤
  5. 木材の質感を保持し、木材表面のタンニンによる変色を防ぐための、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のタンニンによる木材表面の変色防止剤の使用。
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