JP2018104606A - 塗料組成物、塗膜および物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物を提供すること。塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗膜を提供すること。活性成分の放出制御性を有する物品を提供すること。【解決手段】マイクロカプセル粒子を含み、マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包し、樹脂層が、樹脂を含み、樹脂が、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせであり、樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、マイクロカプセル粒子は、前記樹脂層中に光触媒を含み、樹脂層が、光により部分的に分解することを特徴とする、塗料組成物。塗料組成物により形成された、塗膜。塗膜を表面に有する、物品。【選択図】なし
Description
本発明は、塗料組成物、塗膜および物品に関する。
蚊は、人間にとって最大の害虫であり、デング熱、マラリアなどの感染症を媒介することから、さまざまな駆除方法が検討されている。
塗料分野では、従来、塗膜に薬剤を含有させる技術が知られている。例えば、特許文献1では、殺生物剤を含むマイクロカプセルを含む塗膜が開示されている。
しかし、特許文献1の技術は、フジツボの付着を防止する船舶用塗料を意図しており、塗膜からの薬剤の放出については、マイクロカプセルを含む塗膜が水没した状態で薬剤が放出されることしか確認していない。そもそも、塗料は、塗料メーカーで調製されてから使用されるまで数か月以上などの長期間保管されることが通常である。このため、塗料に配合されるマイクロカプセルには、塗料の保管中は安定に存在しつつ、塗膜形成後は内容物を放出するという特性が必要となる。特許文献1のマイクロカプセルは、水性塗料として調製すると、塗料の保管中にマイクロカプセルに含まれる薬剤が塗料中に放出されてしまい、用途や使用態様が大きく限定される。また、特許文献1のマイクロカプセルでは船舶の船底や水中構造物など水没した状態の塗膜に用途が限定されるなどの問題がある。
そこで、本発明は、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗膜を提供することである。
本発明の別の目的は、活性成分の放出制御性を有する物品を提供することである。
本発明に係る塗料組成物は、
マイクロカプセル粒子を含み、
前記マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包し、
前記樹脂層が、樹脂を含み、前記樹脂が、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせであり、
前記樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、前記マイクロカプセル粒子は、前記樹脂層中に光触媒を含み、
前記樹脂層が、光により部分的に分解することを特徴とする。これにより、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物が得られる。
マイクロカプセル粒子を含み、
前記マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包し、
前記樹脂層が、樹脂を含み、前記樹脂が、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせであり、
前記樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、前記マイクロカプセル粒子は、前記樹脂層中に光触媒を含み、
前記樹脂層が、光により部分的に分解することを特徴とする。これにより、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物が得られる。
本発明に係る塗料組成物の一実施形態では、前記光触媒が、酸化チタンを含む。
本発明に係る塗料組成物の一実施形態では、前記樹脂層の樹脂が、前記芳香族基を有するシリコーン樹脂であり、前記マイクロカプセル粒子が、さらに触媒を含む。
本発明に係る塗膜は、上記いずれかの塗料組成物により形成された、塗膜である。これにより、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗膜が得られる。
本発明に係る物品は、上記塗膜を表面に有する、物品である。これにより、活性成分の放出制御性を有する物品が得られる。
本発明によれば、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物を提供することができる。また、本発明によれば、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗膜を提供することができる。また、本発明によれば、活性成分の放出制御性を有する物品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
本発明において、放出制御性とは、マイクロカプセル粒子が塗膜中にあり当該塗膜に光が照射された場合に、マイクロカプセル粒子の樹脂層が部分的に分解されて活性成分が放出され、一方、マイクロカプセル粒子が塗料組成物中にある場合およびマイクロカプセル粒子が塗膜中にあり当該塗膜に光が照射されていない場合にはマイクロカプセル粒子の樹脂層の分解が起こらず活性成分の放出が抑制される性質をいう。
本発明において、2以上の実施形態を任意に組み合わせることができる。
本発明において、「有機樹脂」には、シリコーン樹脂は含まれないものとする。
本発明において、塗料と塗料組成物は相互互換的に用いることができる。
(塗料組成物)
本発明に係る塗料組成物は、
マイクロカプセル粒子を含み、
前記マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包し、
前記樹脂層が、樹脂を含み、前記樹脂が、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせであり、
前記樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、前記マイクロカプセル粒子は、前記樹脂層中に光触媒を含み、
前記樹脂層が、光により部分的に分解することを特徴とする、塗料組成物である。これにより、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物が得られる。
本発明に係る塗料組成物は、
マイクロカプセル粒子を含み、
前記マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包し、
前記樹脂層が、樹脂を含み、前記樹脂が、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせであり、
前記樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、前記マイクロカプセル粒子は、前記樹脂層中に光触媒を含み、
前記樹脂層が、光により部分的に分解することを特徴とする、塗料組成物である。これにより、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物が得られる。
<マイクロカプセル粒子>
マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包する。以下、マイクロカプセル粒子を構成する樹脂層および活性成分を例示説明する。
マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包する。以下、マイクロカプセル粒子を構成する樹脂層および活性成分を例示説明する。
<樹脂層>
樹脂層は、樹脂を含む層である。そして樹脂層の樹脂は、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせである。これにより、マイクロカプセル粒子は塗料組成物中での安定性を有する。また、樹脂層は、光により部分的に分解する。これにより、マイクロカプセル粒子は、塗膜での活性成分の放出制御性を有する。
樹脂層は、樹脂を含む層である。そして樹脂層の樹脂は、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせである。これにより、マイクロカプセル粒子は塗料組成物中での安定性を有する。また、樹脂層は、光により部分的に分解する。これにより、マイクロカプセル粒子は、塗膜での活性成分の放出制御性を有する。
前記有機樹脂としては、特に限定されず、公知の有機樹脂を適宜選択して用いることができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。有機樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態では、前記有機樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエスエル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上である。
有機樹脂の分子量は、特に限定されず、適宜調節して用いることができる。例えば、重量平均分子量(Mw)は、2,000〜1,000,000であってもよい。
<光触媒>
樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、マイクロカプセル粒子は、樹脂層中に光触媒を含む。これにより、樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、樹脂層は光を受けた光触媒の作用により部分的に分解し、マイクロカプセル粒子が放出制御性を発現する。以下、説明の便宜上、光触媒を「第1触媒」ということがある。
樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、マイクロカプセル粒子は、樹脂層中に光触媒を含む。これにより、樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、樹脂層は光を受けた光触媒の作用により部分的に分解し、マイクロカプセル粒子が放出制御性を発現する。以下、説明の便宜上、光触媒を「第1触媒」ということがある。
光触媒としては、公知の光触媒を適宜選択して用いることができる。光触媒は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。光触媒としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、酸化タングステン、酸化錫および酸化セリウムなどが挙げられる。酸化チタンは、ルチル型とアナターゼ型のいずれでもよく、またはこれらの組み合わせでもよい。
光触媒の含有量は、適宜調節して用いればよく、特に限定されない。光触媒の含有量は、例えば、有機樹脂の質量に対して、0.01質量%以上、1質量%以上、または10質量%以上である。また、光触媒の含有量は、例えば、有機樹脂の質量に対して、30質量%以下、10質量%以下、または1質量%以下である。実施形態では、光触媒の含有量は、有機樹脂の質量に対して、0.01〜30質量%である。
一実施形態では、光触媒は、酸化チタンおよび酸化亜鉛からなる群より選択される1種以上を含む。別の実施形態では、光触媒は、酸化チタンである。
芳香族基を有するシリコーン樹脂としては、芳香族基を主鎖と側鎖のいずれかまたは両方に有するシリコーン樹脂であればよく、特に限定されない。芳香族基を有するシリコーン樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン樹脂が芳香族基を有することにより、樹脂層の樹脂がシリコーン樹脂である場合、またはシリコーン樹脂と有機樹脂との組み合わせである場合に、光により樹脂層が部分的に分解し得る。
理論に拘束されることを望むものではないが、この理由は、シリコーン樹脂が芳香族基を有することにより、芳香族基の立体障害によって樹脂層に硬化(縮合)反応の未反応部位が残り、マイクロカプセル粒子の形成後に、光によって当該未反応部位の硬化(縮合)反応が進み、樹脂層に歪みが生じて樹脂層が割れるなど部分的に分解するものと推測される。
また、樹脂層の樹脂がシリコーン樹脂またはシリコーン樹脂と有機樹脂との組み合わせの場合には、熱(乾燥)によっても樹脂層が部分的に分解し得る。
一実施形態では、芳香族基を有するシリコーン樹脂は、側鎖に芳香族基を有する。
芳香族基としては、置換または非置換の芳香族基であってもよい。芳香族基としては、例えば、フェニル基、スチリル(Ph−CH=CH−)基、トリル(MePh−)基、ベンジル(Ph−CH2−)基、トリチル(Ph3C−)基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フルオロフェニル(FPh−)基、クロロフェニル(ClPh−)基、ブロモフェニル(BrPh−)基およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。一実施形態では、芳香族基の炭素数は、6〜8である。
芳香族基を有するシリコーン樹脂は、少なくとも芳香族基を有すればよく、芳香族基に加えて、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基などの基を有していてもよい。アルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、例えば、1〜18、1〜12または1〜6である。
一実施形態では、芳香族基を有するシリコーン樹脂は、R2SiO2/2のシロキサン単位(D単位)とRSiO3/2のシロキサン単位(T単位)とを有するシリコーン樹脂であり、式中、Rは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基または炭素数6〜19の芳香族基を表し、Rの少なくとも1つは、芳香族基である。以下、このD単位とT単位を有し、芳香族基を有するシリコーン樹脂を「DTシリコーン樹脂」ということがある。DTシリコーン樹脂は、D単位とT単位に加えて、SiO4/2のシロキサン単位(Q単位)を有していてもよいし、有さなくてもよい。
一実施形態では、DTシリコーン樹脂中の、R基のうち、芳香族基の割合は、5〜60モル%であり、ヒドロキシ基とアルコキシ基のいずれか1種以上の基の割合は、1〜40モル%であり、水素とアルキル基のいずれか1種以上の基の割合は、0〜94モル%である。芳香族基の割合によって、樹脂層の分解速度(マイクロカプセル粒子の放出制御性)を調節することができる。芳香族基の割合が多いほど、樹脂層の分解を速くすることができる。
芳香族基を有するシリコーン樹脂中の芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基の割合(モル%)は、1H−NMRスペクトルにより求める。
この他、芳香族基を有するシリコーン樹脂としては、例えば、特開2014−009304号公報に記載のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
芳香族基を有するシリコーン樹脂は、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、信越シリコーン社製の商品名KR−112、KR−211、KR−212、KR−255、KR−271、KR−272、KR−282、KR−300、KR−311、X−40−2667A、X−40−2756、KR−480、KR−401N、X−40−9227、KR−510、KR−9218、KR−213、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の商品名YR−3187、YR−3204、YF−3804、TSR117、TSR144、XR31−B1763、XR31−B2230、XR31−B6667、XC56−C2814、東レ・ダウコーニング社製の商品名DOW CORNING(登録商標)3037 INTERMEDIATE、RSN−0804 RESIN、RSN−0805 RESIN、RSN−0806 RESIN、RSN−0808 RESIN、RSN−0233 FLAKE RESINなどのメチル/フェニル系シリコーン樹脂;信越シリコーン社製の商品名KR−216などのプロピル/フェニル系シリコーン樹脂などが挙げられる。
芳香族基を有するシリコーン樹脂の分子量は、特に限定されず、適宜調節して用いることができる。例えば、重量平均分子量(Mw)は、500〜200,000であってもよい。
樹脂層の樹脂として、有機樹脂と芳香族基を有するシリコーン樹脂とを組み合わせて用いる場合、比率は特に限定されず、適宜調節すればよい。例えば、有機樹脂と芳香族基を有するシリコーン樹脂の合計に対する有機樹脂の割合を、0.01%以上、1%以上、10%以上、20%以上または50%以上、99.99%以下、99%以下、90%以下、80%以下または50%以下とすることができる。
一実施形態では、樹脂層の樹脂が、芳香族基を有するシリコーン樹脂であり、マイクロカプセル粒子が、さらに触媒を含む。当該触媒は、芳香族基を有するシリコーン樹脂の分解を促進する働きを有する。以下、当該触媒を説明の便宜上、「第2触媒」ということがある。
別の実施形態では、樹脂層の樹脂が、有機樹脂と芳香族基を有するシリコーン樹脂との組み合わせであり、マイクロカプセル粒子が、さらに触媒(第2触媒)を含む。この実施形態では、樹脂層の芳香族基を有するシリコーン樹脂部分が、触媒(第2触媒)によって分解されるため、樹脂層は、上記光触媒(第1触媒)を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
第2触媒としては、例えば、公知のシリコーン樹脂の硬化触媒を用いることができる。第2触媒としては、例えば、三級アミン化合物、スズ含有化合物などが挙げられる。
三級アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミンなどのアミン類;トリエタノールアミンなどのエタノールアミン類;2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−(メチル 2−ヒドロキシエチルアミノ)エタノールなどのアミノアルコール類;ピリジン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどのアミノ基を有するその他の有機化合物類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などが挙げられる。
スズ含有化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズ(トリエトキシシロキシ)スズジブチルスズビス(アセチルアセトネート)などが挙げられる。
マイクロカプセル粒子における第2触媒の含有量は、適宜調節すればよい。第2触媒の含有量は、例えば、芳香族基を有するシリコーン樹脂の質量に対して、0.01〜10質量%とすることができる。
第2触媒は、マイクロカプセル粒子の殻によって覆われる部分(以下、「コア」ということがある)に含まれていてもよいし、マイクロカプセル粒子の樹脂層に含まれていてもよいし、これらの組み合わせでもよい。一実施形態では、前記触媒(第2触媒)は、マイクロカプセル粒子の樹脂層に含まれている。
樹脂層の厚みは、所望の用途や放出制御性などに応じて適宜調節すればよい。例えば、0.1〜100μmとすることができる。
<活性成分>
マイクロカプセル粒子が内包する活性成分は、特に限定されず、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、殺蚊剤、殺虫剤などの殺生物剤、蚊誘引剤などの昆虫誘引剤、動物忌避剤、昆虫忌避剤、香料、抗菌剤、消毒剤、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、硬化触媒などが挙げられる。活性成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単一のマイクロカプセル粒子に複数の活性成分を一緒に内包させてもよいし、複数種のマイクロカプセル粒子にそれぞれ単一の活性成分を内包させてもよい。
マイクロカプセル粒子が内包する活性成分は、特に限定されず、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、殺蚊剤、殺虫剤などの殺生物剤、蚊誘引剤などの昆虫誘引剤、動物忌避剤、昆虫忌避剤、香料、抗菌剤、消毒剤、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、硬化触媒などが挙げられる。活性成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単一のマイクロカプセル粒子に複数の活性成分を一緒に内包させてもよいし、複数種のマイクロカプセル粒子にそれぞれ単一の活性成分を内包させてもよい。
一実施形態では、活性成分は、殺蚊剤および蚊誘引剤からなる群より選択される1種以上である。
殺蚊剤としては、特に限定されず、公知の殺蚊剤を用いることができる。殺蚊剤としては、例えば、プロポキスル(別名N−メチルカルバミン酸2−イソプロピルオキシフェニル)、バイゴン、セビン、オンコル、オリオン、インセガー、アクテリクなどのカーバメイト系薬剤;フィプロニルなどのフェニルピラゾール系殺虫剤;ニテンピラム、チアメトキサム、チアクロプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、アセタミプリド、ジノテフランなどのネオニコチノイド系殺虫剤;アレスリン、ピナミンフォルテ、バイオアレスリン、エキスリン、フタルスリン、d−T80−フタルスリン、レスメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、エンペントリン、フェンフルスリン、M−108C、エトック、ベンフルスリン、テフルスリン、サイフェノトリン、テラレスリン、エトフェンプロックスなどのピレスロイド系殺虫剤;ジクロルボス(DDVP)、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラチオン、アセフェートなどの有機リン系薬剤;メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブなどの昆虫成長調節剤;ジフルベンズロン、トリフルムロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルロン、シロマジンなどのキチン合成阻害型昆虫成長調節剤;5−メトキシ−3−(o−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(別名メトキサジアゾン)、ヒドラメチルノン、アドマイヤー、アバメクチン、ホウ酸、スルフルラミドなどのその他の殺虫剤などが挙げられる。
蚊誘引剤としては、特に限定されず、公知の蚊誘引剤を用いることができる。蚊誘引剤としては、例えば、L−乳酸、乳酸メチル、オクテノール、リシン、イソ吉草酸、アラニン、アンドロステノール、皮脂などが挙げられる。
この他、殺生物剤としては、例えば、特許文献1に記載の3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)などの殺生物剤が挙げられる。
香料としては、特に限定されず、公知の香料を用いることができる。香料としては、例えば、特開2016−084556号公報に記載の香料化合物などが挙げられる。
活性成分は、それ自体がマイクロカプセル粒子の殻内に直接内包されていてもよいし、多孔質粒子、オイルなどに含有された状態で殻内に内包されていてもよい。活性成分を多孔質粒子に含有させることで、活性成分の放出をより遅くすることができることに加えて、塗料組成物の調製時の撹拌に対するマイクロカプセル粒子の耐久性も向上させることができる。このような多孔質粒子とオイルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多孔質粒子の材料としては、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、ゼオライト、ガラス、セラミック、アパタイトの粒子などが挙げられる。この他、特開2009−012996号公報に記載のケイ酸塩、リン酸塩などを用いてもよい。
多孔質粒子の平均粒子径は、適宜調節すればよい。例えば、0.01〜1,000μm、0.1〜100μmまたは1〜10μmであってもよい。
多孔質粒子の比表面積は、適宜調節すればよい。例えば、10〜1,000m2/gであってもよい。
多孔質粒子は、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、AGCエスアイテック社製の商品名サンスフェア(登録商標)L31、L51などのLシリーズなどが挙げられる。
活性成分を保持することができるオイルとしては、例えば、トウモロコシ油、オクタデカン、ドデカン、ヘキサデカン、菜種油、ヒマワリ油、大豆油およびパーム油などが挙げられる。
マイクロカプセル粒子は、活性成分に加えて、その他の成分を含んでいてもよい。例えば、マイクロカプセル粒子は、活性成分の放出速度の制御などの目的で、樹脂、油固化材、ワックス、パラフィン、ゲル化剤、炭化水素などを含んでいてもよい。
マイクロカプセル粒子のコアの平均粒子径は、活性成分がマイクロカプセル粒子内に直接内包されている場合、または上述したように多孔質粒子などと共に内包されている場合のいずれでも、適宜調節すればよい。コアの平均粒子径は、例えば、0.01〜1,000μm、0.1〜100μmまたは1〜10μmであってもよい。
活性成分の内包されている態様に関わらず、マイクロカプセル粒子のコアの質量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
<マイクロカプセル粒子の調製方法>
マイクロカプセル粒子の調製方法は、特に限定されず、上述した活性成分を樹脂層の殻によって内包し得る公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、特開2016−084556号公報に記載の界面重合法、in situ重合法、オリフィス法などの化学的製法;コアセルベーション法などの物理化学的方法;気中懸濁被覆法、噴霧乾燥法、高速気流中衝撃法などの機械的・物理的方法などが挙げられる。
マイクロカプセル粒子の調製方法は、特に限定されず、上述した活性成分を樹脂層の殻によって内包し得る公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、特開2016−084556号公報に記載の界面重合法、in situ重合法、オリフィス法などの化学的製法;コアセルベーション法などの物理化学的方法;気中懸濁被覆法、噴霧乾燥法、高速気流中衝撃法などの機械的・物理的方法などが挙げられる。
この他、例えば、特開2009−012996号公報に記載の調製方法を用いることができる。この方法は、以下に例示するような多孔質粒子に活性成分を含有させたマイクロカプセル粒子の調製方法である。
まず、多孔質粒子、活性成分または活性成分の溶液および樹脂(樹脂層となる樹脂)の溶液を用意する。次いで、真空チャンバー内に多孔質粒子を投入し、減圧する。減圧下の真空チャンバー内に、活性成分または活性成分の溶液を添加し、多孔質粒子に活性成分または活性成分の溶液を浸透させ、任意に撹拌を行う。次いで、真空チャンバー内を大気圧に戻す。次いで、活性成分の溶液を用いた場合は、真空チャンバー内を加熱しながら減圧し、溶媒を蒸発させ、分離する。これにより、活性成分を含有する多孔質粒子が得られる。活性成分に加えて、触媒などをコアに含める場合は、活性成分の溶液に触媒を添加してもよいし、活性成分を含有させる前または含有させた後に、触媒溶液を活性成分の溶液と同様に処理し、多孔質粒子に含有させればよい。
活性成分などを含有する多孔質粒子が得られた後、樹脂の溶液を真空チャンバー内に添加し、減圧下で撹拌しながら浸透させる。次いで、大気圧下でさらに樹脂溶液を加えて撹拌しながら加熱および減圧し、樹脂の溶液の溶媒を蒸発させて除去する。これによって、樹脂層の殻によって、活性成分などを含む多孔質粒子を内包するマイクロカプセル粒子を得る。光触媒などを樹脂層に含める場合は、上記樹脂の溶液に光触媒などを添加して、上述した処理を行い、樹脂層に光触媒などを含有させればよい。
<バインダー>
塗料組成物には、塗膜形成成分として機能するバインダーを配合する。バインダーとしては、公知の塗料組成物のバインダーを用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、イソシアネート樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィンや、これらの共重合体などが挙げられる。
塗料組成物には、塗膜形成成分として機能するバインダーを配合する。バインダーとしては、公知の塗料組成物のバインダーを用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、イソシアネート樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィンや、これらの共重合体などが挙げられる。
塗料組成物には、上述したマイクロカプセル粒子に加えて、適宜、塗料組成物の配合剤として公知の成分を添加してもよい。このような成分としては、例えば、溶剤;界面活性剤;光増感剤;整泡剤;起泡剤(泡立て剤);発泡助剤;泡安定剤;泡止め剤(抑泡剤、破泡剤);乳化剤;顔料分散剤;湿潤剤;噴射剤;増粘剤;硬化剤;重合開始剤;顔料;可塑剤;粘着剤;充填剤;防汚剤;防さび剤;スリップ剤;ドライヤー;安定剤;紫外線吸収剤;防菌・防かび剤;難燃剤などが挙げられる。
<塗料組成物の調製方法>
塗料組成物の調製方法は、特に限定されず、例えば、公知の塗料組成物に、マイクロカプセル粒子を添加して調製することもできる。また、塗料組成物は、例えば、水または溶剤に溶解または分散されたバインダーと、マイクロカプセル粒子とを混合することで調製することもできる。塗料組成物は、水性塗料であってもよいし、溶剤系塗料であってもよい。上述したように、本発明のマイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、水中においても安定性を有するため、水性塗料にも好適に使用することができる。
塗料組成物の調製方法は、特に限定されず、例えば、公知の塗料組成物に、マイクロカプセル粒子を添加して調製することもできる。また、塗料組成物は、例えば、水または溶剤に溶解または分散されたバインダーと、マイクロカプセル粒子とを混合することで調製することもできる。塗料組成物は、水性塗料であってもよいし、溶剤系塗料であってもよい。上述したように、本発明のマイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、水中においても安定性を有するため、水性塗料にも好適に使用することができる。
(塗膜)
本発明に係る塗膜は、上記いずれかの塗料組成物により形成された、塗膜である。これにより、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗膜が得られる。
本発明に係る塗膜は、上記いずれかの塗料組成物により形成された、塗膜である。これにより、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗膜が得られる。
塗膜の形成方法は特に限定されず、公知の塗料組成物の塗布方法を適宜選択して用いることができる。塗布方法としては、例えば、スプレー(エアゾール)法、浸漬法、刷毛塗り、カーテン塗り、ローラ塗り、静電塗装;凸版印刷、フレキソ印刷、平版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法などが挙げられる。
塗料組成物の塗布量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
上述したように、マイクロカプセル粒子の樹脂層が光により部分的に分解するため、本発明に係る塗膜では、塗膜中のマイクロカプセル粒子から活性成分を徐々に放出させることができる。樹脂層を部分的に分解するための光は、例えば、紫外光、可視光などの活性エネルギー線が挙げられる。
また、マイクロカプセル粒子の樹脂層の樹脂が、芳香族基を有するシリコーン樹脂である場合、または有機樹脂と芳香族基を有するシリコーン樹脂との組み合わせである場合は、加熱または乾燥によっても、樹脂層が部分的に分解するため、塗膜中のマイクロカプセル粒子から活性成分を徐々に放出させることができる。加熱する場合は、例えば、40〜300℃で10秒〜60分加熱すればよい。
(物品)
本発明に係る物品は、上記塗膜を表面に有する、物品である。これにより、活性成分の放出制御性を有する物品が得られる。
本発明に係る物品は、上記塗膜を表面に有する、物品である。これにより、活性成分の放出制御性を有する物品が得られる。
本発明に係る物品としては、特に限定されず、用途などに応じて適宜選択すればよい。物品としては、例えば、自動車、鉄道車両などの車両、航空機、船舶、建築物、家具、建具、窓ガラス、透明体、電化製品などが挙げられる。
本発明に係る物品は、上述した建築物、車両などの被塗物の表面に、任意の塗布方法で塗料組成物を塗布して塗膜を形成することで得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のアクリル樹脂、商品名アクリディック(登録商標)WYL−588、固形分量55%、Mw=32,000
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のエポキシ樹脂、商品名EPICLON(登録商標)NK59―60MS、Mw=36,000
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のウレタン樹脂、商品名ハイドラン(登録商標)WLS―210、Mw=58,000
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のポリエステル樹脂、商品名FINEDIC(登録商標)M−8021、Mw=16,000
樹脂層の樹脂(芳香族基を有するシリコーン樹脂、表2中ではフェニルシリコーン樹脂と表記):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のシリコーン樹脂、商品名YR−3187、フェニル基の量=12%
樹脂層の樹脂(比較シリコーン樹脂、表2中ではメチルシリコーン樹脂と表記):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のメチルシリコーン樹脂、商品名YR−3370、フェニル基の量=0%
多孔質粒子:AGCエスアイテック社製の商品名サンスフェア L31(多孔質シリカ粒子)、平均粒子径=3μm、比表面積=300m2/g
活性成分の溶液:プロポキスル溶液(プロポキスル12質量部をメチルエチルケトン100質量部に溶解した溶液)
光触媒:酸化チタン(アナターゼ型)、堺化学工業社製の商品名SSP−25
光触媒:酸化亜鉛、堺化学工業社製の商品名NANOFINE(登録商標)50
触媒:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)
紫外可視分光光度計:島津製作所社製の商品名UV−1600
超促進耐候性試験機:岩崎電気社製の商品名アイスーパーUVテスター(登録商標)
ケージ:寸法22cm×22cm×32cmの透明プラスチックケースの上面と各側面に直径5mmの穴を各100個ずつ開けたもの
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のアクリル樹脂、商品名アクリディック(登録商標)WYL−588、固形分量55%、Mw=32,000
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のエポキシ樹脂、商品名EPICLON(登録商標)NK59―60MS、Mw=36,000
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のウレタン樹脂、商品名ハイドラン(登録商標)WLS―210、Mw=58,000
樹脂層の樹脂(有機樹脂):DIC社製のポリエステル樹脂、商品名FINEDIC(登録商標)M−8021、Mw=16,000
樹脂層の樹脂(芳香族基を有するシリコーン樹脂、表2中ではフェニルシリコーン樹脂と表記):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のシリコーン樹脂、商品名YR−3187、フェニル基の量=12%
樹脂層の樹脂(比較シリコーン樹脂、表2中ではメチルシリコーン樹脂と表記):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のメチルシリコーン樹脂、商品名YR−3370、フェニル基の量=0%
多孔質粒子:AGCエスアイテック社製の商品名サンスフェア L31(多孔質シリカ粒子)、平均粒子径=3μm、比表面積=300m2/g
活性成分の溶液:プロポキスル溶液(プロポキスル12質量部をメチルエチルケトン100質量部に溶解した溶液)
光触媒:酸化チタン(アナターゼ型)、堺化学工業社製の商品名SSP−25
光触媒:酸化亜鉛、堺化学工業社製の商品名NANOFINE(登録商標)50
触媒:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)
紫外可視分光光度計:島津製作所社製の商品名UV−1600
超促進耐候性試験機:岩崎電気社製の商品名アイスーパーUVテスター(登録商標)
ケージ:寸法22cm×22cm×32cmの透明プラスチックケースの上面と各側面に直径5mmの穴を各100個ずつ開けたもの
(マイクロカプセル粒子1の調製)
真空チャンバー内に多孔質シリカ粒子40質量部を投入し、10Torrに減圧した。減圧下の真空チャンバー内に、プロポキスル溶液を添加し、多孔質シリカ粒子に十分浸透させた。次いで、30分間撹拌した。次いで、真空チャンバー内を大気圧に戻した。真空チャンバー内を100℃に加熱しながら、10Torrに減圧し、プロポキスル溶液のメチルエチルケトンを蒸発させ、分離して、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子を得た。次いで、アクリル樹脂30質量部をメチルエチルケトン100質量部に溶解し、さらに光触媒としての酸化チタン0.3質量部を添加した溶液を真空チャンバー内に投入し、10Torrに減圧した。次いで、減圧下、10分間撹拌して、浸透させた。次いで、真空チャンバー内を100℃に加熱しながら、10Torrに減圧し、樹脂の溶液のメチルエチルケトンを蒸発させ、分離した。これによって、マイクロカプセル粒子1を得た。マイクロカプセル粒子1の殻は、アクリル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子1のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
真空チャンバー内に多孔質シリカ粒子40質量部を投入し、10Torrに減圧した。減圧下の真空チャンバー内に、プロポキスル溶液を添加し、多孔質シリカ粒子に十分浸透させた。次いで、30分間撹拌した。次いで、真空チャンバー内を大気圧に戻した。真空チャンバー内を100℃に加熱しながら、10Torrに減圧し、プロポキスル溶液のメチルエチルケトンを蒸発させ、分離して、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子を得た。次いで、アクリル樹脂30質量部をメチルエチルケトン100質量部に溶解し、さらに光触媒としての酸化チタン0.3質量部を添加した溶液を真空チャンバー内に投入し、10Torrに減圧した。次いで、減圧下、10分間撹拌して、浸透させた。次いで、真空チャンバー内を100℃に加熱しながら、10Torrに減圧し、樹脂の溶液のメチルエチルケトンを蒸発させ、分離した。これによって、マイクロカプセル粒子1を得た。マイクロカプセル粒子1の殻は、アクリル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子1のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子2の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、酸化チタンの添加量を0.03質量部に変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子2を得た。マイクロカプセル粒子2の殻は、アクリル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子2のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、酸化チタンの添加量を0.03質量部に変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子2を得た。マイクロカプセル粒子2の殻は、アクリル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子2のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子3の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、酸化チタンの添加量を3質量部に変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子3を得た。マイクロカプセル粒子3の殻は、アクリル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子3のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、酸化チタンの添加量を3質量部に変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子3を得た。マイクロカプセル粒子3の殻は、アクリル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子3のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子4の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、酸化チタンに代えて酸化亜鉛を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子4を得た。マイクロカプセル粒子4の殻は、アクリル樹脂と酸化亜鉛とを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子4のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、酸化チタンに代えて酸化亜鉛を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子4を得た。マイクロカプセル粒子4の殻は、アクリル樹脂と酸化亜鉛とを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子4のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子5の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えてエポキシ樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子5を得た。マイクロカプセル粒子5の殻は、エポキシ樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子5のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えてエポキシ樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子5を得た。マイクロカプセル粒子5の殻は、エポキシ樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子5のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子6の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えてウレタン樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子6を得た。マイクロカプセル粒子6の殻は、ウレタン樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子6のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えてウレタン樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子6を得た。マイクロカプセル粒子6の殻は、ウレタン樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子6のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子7の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えてポリエステル樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子7を得た。マイクロカプセル粒子7の殻は、ポリエステル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子7のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えてポリエステル樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子7を得た。マイクロカプセル粒子7の殻は、ポリエステル樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子7のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(比較粒子1の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、樹脂層の殻を形成する工程を行わずに、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子を得る工程までを行い、樹脂層の殻のない比較粒子1(プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子)を得た。
マイクロカプセル粒子1の調製において、樹脂層の殻を形成する工程を行わずに、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子を得る工程までを行い、樹脂層の殻のない比較粒子1(プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子)を得た。
(比較粒子2の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、比較粒子2を得た。比較粒子2の殻は、アクリル樹脂を含むが酸化チタンを含まない樹脂層であり、比較粒子2のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、比較粒子2を得た。比較粒子2の殻は、アクリル樹脂を含むが酸化チタンを含まない樹脂層であり、比較粒子2のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子8の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えて芳香族基を有するシリコーン樹脂を用いたことと、シリコーン樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子8を得た。マイクロカプセル粒子8の殻は、芳香族基を有するシリコーン樹脂を含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子8のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えて芳香族基を有するシリコーン樹脂を用いたことと、シリコーン樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子8を得た。マイクロカプセル粒子8の殻は、芳香族基を有するシリコーン樹脂を含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子8のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子9の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えて芳香族基を有するシリコーン樹脂を用いたことと、酸化チタンに代えてDBU0.3質量部をシリコーン樹脂の溶液に添加したこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子9を得た。マイクロカプセル粒子9の殻は、芳香族基を有するシリコーン樹脂とDBUとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子9のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えて芳香族基を有するシリコーン樹脂を用いたことと、酸化チタンに代えてDBU0.3質量部をシリコーン樹脂の溶液に添加したこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子9を得た。マイクロカプセル粒子9の殻は、芳香族基を有するシリコーン樹脂とDBUとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子9のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子10の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、プロポキスル溶液にDBU0.3質量部を添加したことと、アクリル樹脂に代えて芳香族基を有するシリコーン樹脂を用いたことと、シリコーン樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子10を得た。マイクロカプセル粒子10の殻は、芳香族基を有するシリコーン樹脂を含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子10のコアは、プロポキスルとDBUとを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、プロポキスル溶液にDBU0.3質量部を添加したことと、アクリル樹脂に代えて芳香族基を有するシリコーン樹脂を用いたことと、シリコーン樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子10を得た。マイクロカプセル粒子10の殻は、芳香族基を有するシリコーン樹脂を含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子10のコアは、プロポキスルとDBUとを含有する多孔質シリカ粒子である。
(マイクロカプセル粒子11の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂30質量部に代えてアクリル樹脂6質量部と芳香族基を有するシリコーン樹脂24質量部とを混合した樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子11を得た。マイクロカプセル粒子11の殻は、アクリル樹脂と芳香族基を有するシリコーン樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子11のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂30質量部に代えてアクリル樹脂6質量部と芳香族基を有するシリコーン樹脂24質量部とを混合した樹脂を用いたこと以外は同様にして、マイクロカプセル粒子11を得た。マイクロカプセル粒子11の殻は、アクリル樹脂と芳香族基を有するシリコーン樹脂と酸化チタンとを含む樹脂層であり、マイクロカプセル粒子11のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(比較粒子3の調製)
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えて比較メチルシリコーン樹脂を用いたことと、シリコーン樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、比較粒子3を得た。比較粒子3の殻は、比較メチルシリコーン樹脂を含む樹脂層であり、比較粒子3のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
マイクロカプセル粒子1の調製において、アクリル樹脂に代えて比較メチルシリコーン樹脂を用いたことと、シリコーン樹脂の溶液に酸化チタンを添加しなかったこと以外は同様にして、比較粒子3を得た。比較粒子3の殻は、比較メチルシリコーン樹脂を含む樹脂層であり、比較粒子3のコアは、プロポキスルを含有する多孔質シリカ粒子である。
(実施例1〜11および比較例1〜3)
上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3に対して、以下の安定性試験を行い、塗料中での安定性を評価した。また、上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3を用いて塗料組成物を調製した。その塗料組成物を用いて、塗膜を調製した。そして、以下の蚊のノックダウン試験を行い、活性成分の放出制御性を評価した。
上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3に対して、以下の安定性試験を行い、塗料中での安定性を評価した。また、上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3を用いて塗料組成物を調製した。その塗料組成物を用いて、塗膜を調製した。そして、以下の蚊のノックダウン試験を行い、活性成分の放出制御性を評価した。
<安定性試験>
上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3に対して、以下の安定性試験を行った。
上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3に対して、以下の安定性試験を行った。
イオン交換水100mLを入れたビーカー1gのマイクロカプセル粒子または比較粒子を、ビーカー内に添加した。次いで、そのビーカーを暗室内に、温度23℃で240時間静置した。次いで、マイクロカプセル粒子の分散液を10,000rpm、10分間、遠心分離にかけ、上清を分離した。上清の280nmにおける吸光度を分光光度計にて測定した。このとき、吸光度は水に溶出した薬剤濃度に比例するため、定量的に放出量を算出できる。そして、マイクロカプセル粒子の安定性を以下の基準で評価した。評価結果を表1および2に示す。
<基準>
合格:プロポキスルの放出量が、含有量の2質量%未満である
不合格:プロポキスルの放出量が、含有量の2質量%以上である
<基準>
合格:プロポキスルの放出量が、含有量の2質量%未満である
不合格:プロポキスルの放出量が、含有量の2質量%以上である
(塗料組成物の調製)
日本ペイント社製の塗料、商品名オーデフレッシュ(登録商標)U100II(1液水性反応硬化形ウレタン樹脂塗料)に、上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3をそれぞれ、3質量%の割合で添加し、撹拌して、塗料組成物を調製した。
日本ペイント社製の塗料、商品名オーデフレッシュ(登録商標)U100II(1液水性反応硬化形ウレタン樹脂塗料)に、上記マイクロカプセル粒子1〜11および比較粒子1〜3をそれぞれ、3質量%の割合で添加し、撹拌して、塗料組成物を調製した。
(塗膜の調製)
上記のように調製した各塗料組成物を、基板上に、それぞれ、10cm四方、厚み100μmとなるように塗布して塗膜を得た。その塗膜を有する基板を温度23℃の暗室に静置し、7日間または3か月間乾燥させた。
上記のように調製した各塗料組成物を、基板上に、それぞれ、10cm四方、厚み100μmとなるように塗布して塗膜を得た。その塗膜を有する基板を温度23℃の暗室に静置し、7日間または3か月間乾燥させた。
得られた塗膜(7日間乾燥および3か月乾燥)各1枚に、超促進耐候性試験機を用いて、65℃の環境下で240時間光(紫外線)を照射した。7日間乾燥した他の1枚には光(紫外線)を照射しなかった。光を照射した塗膜と光を照射しなかった塗膜のそれぞれに対して、以下の蚊のノックダウン試験を行った。
<蚊のノックダウン試験>
ケージ内に、アカイエカの雌の成虫10匹と、光を照射した塗膜または光を照射しなかった塗膜を入れた。その24時間後のアカイエカの致死数を測定し、殺蚊性を以下の基準で評価した。そして、それら殺蚊性の結果に基づき、活性成分(プロポキスル)の放出制御性を以下の基準で評価した。評価結果を表1および2に示す。
<基準>
〔殺蚊性〕
A:アカイエカの致死数が7匹以上である
B:アカイエカの致死数が2〜6匹である
C:アカイエカの致死数が0または1匹である
〔放出制御性〕
合格;光を照射しなかった塗膜の殺蚊性がCであり、かつ、光を照射した、7日間乾燥後の塗膜と3か月間乾燥後の塗膜の両方の塗膜の殺蚊性がAまたはBである
不合格;光を照射しなかった塗膜の殺蚊性がAまたはBである、または、光を照射した、7日間乾燥後の塗膜と3か月間乾燥後の塗膜のいずれかの塗膜の殺蚊性がCである
ケージ内に、アカイエカの雌の成虫10匹と、光を照射した塗膜または光を照射しなかった塗膜を入れた。その24時間後のアカイエカの致死数を測定し、殺蚊性を以下の基準で評価した。そして、それら殺蚊性の結果に基づき、活性成分(プロポキスル)の放出制御性を以下の基準で評価した。評価結果を表1および2に示す。
<基準>
〔殺蚊性〕
A:アカイエカの致死数が7匹以上である
B:アカイエカの致死数が2〜6匹である
C:アカイエカの致死数が0または1匹である
〔放出制御性〕
合格;光を照射しなかった塗膜の殺蚊性がCであり、かつ、光を照射した、7日間乾燥後の塗膜と3か月間乾燥後の塗膜の両方の塗膜の殺蚊性がAまたはBである
不合格;光を照射しなかった塗膜の殺蚊性がAまたはBである、または、光を照射した、7日間乾燥後の塗膜と3か月間乾燥後の塗膜のいずれかの塗膜の殺蚊性がCである
表1から、樹脂層の殻の無い比較粒子1を用いた比較例1では、暗室内に240時間静置しただけで比較粒子1から殺蚊剤が水中に放出されてしまい、安定性が不合格であった。比較例1では、放出制御性が不合格だった。すなわち、比較例1では、塗膜に光を照射しない場合でも殺蚊性の評価がAであり、殺蚊剤が放出されてしまっていた。そのため、比較例1では、7日間までは殺蚊性が高かったが、3か月後には塗膜から殺蚊剤がなくなり、塗膜に光を照射しても殺蚊剤を放出できず、放出制御性が不合格だった。
表1から、有機樹脂の樹脂層の殻があるが、樹脂層に光触媒を含まず、樹脂層を分解することができない比較粒子2を用いた比較例2では、安定性は合格だったが、7日間後または3か月後に光を照射しても樹脂層を分解できないため、塗膜中の比較粒子2から殺蚊剤を放出できず、殺蚊性が低いままで放出制御性が不合格だった。
これに対して、表1の実施例1〜7では、マイクロカプセル粒子に樹脂層の殻があるため、安定性が合格だった。加えて、樹脂層に光触媒を含むことにより、塗膜に光を照射しない場合は、殺蚊性の評価がCであり、塗膜中のマイクロカプセル粒子からの殺蚊剤の放出を抑制し、かつ、塗膜に光を照射した場合に殺蚊性の評価がAであり、塗膜中のマイクロカプセル粒子から殺蚊剤を放出させて、高い殺蚊性が得られ、放出制御性が合格だった。
表2から、シリコーン樹脂の樹脂層の殻があるが、シリコーン樹脂が芳香族基を有さず、樹脂層を分解することができない比較粒子3を用いた比較例3も、比較例2と同様に、安定性は合格だったが、放出制御性が不合格だった。
これに対して、表2の実施例8〜10では、マイクロカプセル粒子に樹脂層の殻があるため、安定性が合格だった。加えて、樹脂層の樹脂が芳香族基を有するシリコーン樹脂であることにより、実施例1などと同様に、放出制御性が合格だった。実施例11では、樹脂層の樹脂が有機樹脂と芳香族基を有するシリコーン樹脂の組み合わせであり、実施例1および実施例8と同様に、安定性と放出制御性が合格だった。
本発明によれば、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗料組成物を提供することができる。また、本発明によれば、塗料組成物中での安定性と塗膜での活性成分の放出制御性とを有するマイクロカプセル粒子を含む塗膜を提供することができる。また、本発明によれば、活性成分の放出制御性を有する物品を提供することができる。
Claims (5)
- マイクロカプセル粒子を含み、
前記マイクロカプセル粒子は、樹脂層の殻を有し、かつ、当該殻によって、活性成分を内包し、
前記樹脂層が、樹脂を含み、前記樹脂が、有機樹脂、芳香族基を有するシリコーン樹脂またはこれらの組み合わせであり、
前記樹脂層の樹脂が、有機樹脂である場合、前記マイクロカプセル粒子は、前記樹脂層中に光触媒を含み、
前記樹脂層が、光により部分的に分解することを特徴とする、塗料組成物。 - 前記光触媒が、酸化チタンおよび酸化亜鉛からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の塗料組成物。
- 前記樹脂層の樹脂が、前記芳香族基を有するシリコーン樹脂であり、前記マイクロカプセル粒子が、さらに触媒を含む、請求項1に記載の塗料組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物により形成された、塗膜。
- 請求項4に記載の塗膜を表面に有する、物品。
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JP2016253962A JP2018104606A (ja) | 2016-12-27 | 2016-12-27 | 塗料組成物、塗膜および物品 |
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CN110358428A (zh) * | 2019-07-17 | 2019-10-22 | 江西省颐冠涂料有限公司 | 一种防蚊涂料 |
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- 2016-12-27 JP JP2016253962A patent/JP2018104606A/ja active Pending
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