本発明のマイクロカプセル剤は、第1の成分が配合される第1水相と、第2の成分および第1膜形成成分が配合される油相とを配合して、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製し、第1乳化液と、第1膜形成成分と反応する第2膜形成成分が配合される第2水相とを配合して、W/O/W型エマルジョンからなる第2乳化液を調製して、第1の成分を、第2の成分が第1の成分の表面に分布するように、マイクロカプセル化することにより得ることができる。
本発明において、第1の成分は、有害生物防除成分を含んでおり、有害生物防除成分としては、例えば、防蟻防虫剤(殺虫剤)、防腐防カビ防藻剤(殺菌剤)などが挙げられる。
防蟻防虫剤としては、例えば、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバメート系化合物、ピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、オキサジアジン系化合物、セミカルバゾン系化合物、昆虫成長制御剤(IGR)、生物農薬、エクジステロイド(ecdysteroid)、植物成分などが挙げられる。好ましくは、ネオニコチノイド系化合物が挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物は、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、(EZ)−3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデン(ニトロ)アミン(一般名:チアメトキサム)、(E)−N’−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N”−シアノ−N’−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)である。好ましくは、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)である。
ピレスロイド系化合物は、アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、フェンバレレートである。
有機塩素系化合物は、ケルセンである。
有機リン系化合物は、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスである。
カルバメート系化合物は、カルバリル、フェノブカルブ、プロポクスルである。
ピロール系化合物は、クロルフェナピルである。
フェニルピラゾール系化合物は、フィプロニルである。
オキサジアジン系化合物は、インドキサカルブである。
セミカルバゾン系化合物は、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トリニトリル−4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾンである。
昆虫成長制御剤(IGR)は、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、フルフェノクスロンなどのキチン合成阻害剤やメトプレン、ハイドロプレンなどの幼若ホルモン様化合物である。
生物農薬は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、メタルヒジウム・アニソプリアエ(Metarhizium anisopliae)である。
エクジステロイドは、エクジソン(ecdysone)およびその類似物質の総称であって、例えば、特開2007−70351号公報で例示される物質が挙げられる。エクジステロイドは、エクジソン(化合物名:2β,3β,14α,22,25−ペンタヒドロキシ−5β−コレスト−7−エン−6−オン、慣用名:α−エクジソン、エクジステロン;Z,P)、20−ヒドロキシエクジステロン(慣用名:β−エクジソン;Z,P)、ポリポジンB(Polypodine B;Z,P)、ポナステロンA(Z*,P)、イノコステロン(Z*,P)、20,26−ジヒドロキシエクジソン(Z)、シアステロン(P)、2−デオキシエクジソン(Z,P)、3−エポエクジソン(Z*)、3−エピ−20−ヒドロキシエクジソン(Z*)である。さらに、エクジステロイドは、Cyanotis arachnoideaより得られるエクジソン(β−エクジソン)でもある。
植物成分としては、例えば、特開2008-255092号公報に記載の植物またはその処理物である。具体的には、例えば、下記に記載される、植物やそれから採取された成分(処理物)である。
ヒバ:ヒバ、その処理物(抽出物、滲出物)、例えば、市販のヒバ油、ヒバ中性油、ヒバ酸性油、およびヒバ樹脂油。
パフィア属(Pfaffia)に属する植物:パフィア・イレジノイデス(Pfaffia iresinoides、別名:ブラジルニンジン)など、およびこれらの処理物、例えば、パフィアエキスなど。
カワ種に属する植物:コショウ属コショウ科のカワ種に属する、カワ(Kava; Piper methysticum、または野生種Piper wichmannii)など、およびこれらの処理物、例えば、カワ抽出エキス、カワの成分であるカワイン類(例えば、5,6−ジヒドロ−4−メトキシ−6−スチリル−2H−ピラン−2−オンなどのカワラクトン)およびその誘導体。なお、カワ種に属する植物、それらの処理物、およびそれらの誘導体についての詳細は、特開2002−307406号公報、特開2003−267802号公報、および特開2003−252708号公報に開示されている。
ヒカゲノカズラ属(Licopodium)に属する植物:リポコジウム・クラバツム(Licopodium clavatum、和名:ヒカゲノカズラ)、リポコジウム・セラツム(Licopodium serratum、和名:トウゲシバ)、リポコジウム・セルヌウム(Licopodium cernuum、和名:ミズスギ)、リポコジウム・オブスクルム(Licopodium obscurum、和名:マンネンスギ)、リポコジウム・コンプラナツム(Licopodium complanatum、和名:アスヒカズラ)、リポコジウム・クリプトメリヌム(Licopodium cryptomerinum、和名:スギラン)など、およびこれらの処理物、例えば、ヒカゲノカズラ抽出エキス(さらに具体的には、例えば、ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドなどを含む。)。
ウィタニア属(Withania)に属する植物:ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera、和名:インドニンジン、別名:アシュワガンダ)、ウィタニア・コアグランス(Withania coagulans)など、およびこれらの処理物、例えば、インドニンジン抽出エキス。
センニチコウ属(Gomphrena)に属する植物:キバナセンニチコウ(ゴムフレナ・ハーゲアナ(Gomphrena haageana))、センニチコウ(ゴムフレナ・グロボサ(Gomphrena globosa))、センニチノゲイトウ(ゴムフレナ・セロシオイデス(Gomphrena celosioides))など、およびこれらの処理物、例えば、キバナセンニチコウ抽出エキス。
イノコズチ属(Achyranthes)に属する植物:ヒナタイノコズチ(アキランテス・ファウリエイ(Achyranthes fauriei))、ケイノコズチ(アキランテス・アスペラ(Achyranthes aspera))、ヤナギイノコズチ(アキランテス・ロンギフォリア(Achyranthes longifolia))、中国産のアキランテス・ビデンタータ(Achyranthes bidentata)など、およびこれらの処理物、例えば、ヒナタイノコズチ抽出エキス、アキランテス・ビデンタータ抽出エキス。
ココヤシ属(Cocos)に属する植物:ココナッツ(ココス・ヌシフェラ(Cocos nucifera))など、およびこれらの処理物、例えば、ココナッツオイル、ヤシ油脂肪酸など。
アブラヤシ属(Elaeis)に属する植物:アブラヤシ(Elaeis)など、およびこれらの処理物、例えば、パーム油、ヤシ油脂肪酸。
サウスレア属(Saussurea)に属する植物:モッコウなど、およびこれらの処理物、例えば、モッコウ抽出エキス。
マグノリア属(Magnolia)に属する植物:コウボクなど、およびこれらの処理物、例えば、コウボク抽出エキス。
アトラクチロデス属(Atractylodes)に属する植物:ソウジュツなど、およびこれらの処理物、例えば、ソウジュツ抽出エキス。
レデボウリエア属(Ledebouriella)に属する植物:ボウフウなど、およびこれらの処理物、例えば、ボウフウ抽出エキス。
パエオニア属(Paeonia)に属する植物:ボタンピなど、およびこれらの処理物、例えば、ボタンピ抽出エキス。
プソラレア属(Psoralea)に属する植物:ハコシなど、およびこれらの処理物、例えば、ハコシ抽出エキス。
ミリスチカ属(Myristica)に属する植物:ニクズクなど、およびこれらの処理物、例えば、ニクズク抽出エキス。
クルクマ属(Curcuma)に属する植物:ウコンなど、およびこれらの処理物、例えば、ウコン抽出エキス。
フムルス属(Humulus)に属する植物:ホップなど、およびこれらの処理物、例えば、ホップ抽出エキス。
ソホラ属(Sophora)に属する植物:クジンなど、およびこれらの処理物、例えば、クジン抽出エキス。
マキ属(Podocarpus)に属する植物:ポドカルプス・ナカイイ(Podocarpus nakaii、和名:トガリバマキ)、ポドカルプス・マクロフィルス(Podocarpus macrophyllus、和名:イヌマキ)、およびこれらの処理物、例えば、トガリバマキ抽出エキス、イヌマキ抽出エキス。
特開平6−329514号公報に記載されたモリンガ(Moringa)属、マラー(Marah)属、モモルディカ(Momordica)属、ソホラ(Sophora)属、マーキア(Maackia)属、チノスポラ(Tinospora)属、ザントキシラム(Zantoxylum)属、ピクラスマ(Picrasma)属、ピパー(Piper)属、ストリキノス(Strychnos)属、スチラックス(Styrax)属、リキッドアンバー(Liquidambar)属の抽出物または処理物。
特開2000−63220号公報に記載されたゲラニウム(Geranium)属、モルス(Morus)属、アルテミシア(Artemisia)属、ディオスピロス(Diospyros)属、クラタエグス(Crataegus)属、クルクマ(Curcuma)属、ルビア(Rubia)属、ポリゴヌム(Polygonum)属、クリサンテムム(Chrysanthemum)属、ガルデニア(Gardenia)属、コルヌス(Cornus)属、ウンカリア(Uncaria)属、レウム(Rheum)属、シジギウム(Syzygium)属、テルミナリア(Terminalia)属、サウスレア(Saussurea)属の抽出物または処理物。
特開2001−158009号公報に記載された利尿作用成分を含有する植物もしくはベルベリス属(Berberis)、エピメディウム属(Epimedium)、ペラルゴニウム属(Pelargonium)、フムルス属(Humulus)、ラバンデュラ属(Lavandula)もしくはラファヌス属(Raphanus)に属する植物または処理物。
上記した利尿作用成分を含有する植物としては、クレマチス属(Clematis)、ジクラノプテニス属(Dicranoptenis)、アストロガルス属(Astrogarus)、リゴジウム属(Lygodium)、プルネラ属(Prunella)、シゾネペタ属(Scizonepeta)、マグノリア属(Magnolia)、アキランテス属(Achyranthes)、エヴォディア属(Evodia)、スミラックス属(Smilax)、プランタゴ属(Plantago)、アリスマ属(Alisma)、インペラタ属(Imperata)、アネマアレナ属(Anemarrhena)、ポリポラス属(Polyporus)、ジュンクス属(Juncus)、アンジェリカ属(Angelica)、ゼア属(Zea)、ロニセラ属(Lonicera)、アトラクチロデス属(Atractylodes)、ポリア属(Poria)、レデボウリエラ属(Ledebouriella)、サルガスム属(Sargassum)、アケビア属(Akebia)、カエノメレス属(Chaenomeles)、フォルシチア属(Forsythia)、ホウットウイニア属(Houttuynia)またはフラグミテス属(Phragmites)に属する植物またはその処理物。
特開2001−158008号公報に記載されたプルヌス属(Prunus)、ゲラニウム属(Geranium)、マグノリア属(Magnolia)、コルヌス属(Cornus)、アトラクチロデス属(Atractylodes)、クリサンテムム属(Chrysanthemum)、アルテミシア属(Artemicia)、ラファヌス属(Raphanus)、テルミナリア属(Terminalia)、ポリゴナム属(Polygonum)、クレマチス属(Clematis)、サウスレア属(Saussrea)、ジュンクス属(Juncus)、モルス属(Morus)、ルビア属(Rubia)、ベルベリス属(Berberis)、スミラックス属(Smilax)もしくはクルクマ属(Curcuma)に属する植物もしくはその処理物または没食子酸エステル。
特開2001−170908号公報に記載されたカスタネア(Castanea)属もしくはコミフォラ(Commiphora)属ウンカリア(Uncaria)属、ソホラ(Sophora)属もしくはスチラックス(Styrax)属、コフェア(Coffea)属に属する植物の抽出物または処理物。
特開2005−74776号公報に記載されたパエオニア(Paeonia)属、アンジェリカ・アクチロバ(Angelica acutiloba)、アンジェリカ・シネンシス(Angelica sinensis)、リグスチクム(Ligusticum)属、クニディウム(Cnidium)属、アカントパナクス(Acanthopanax)属、プルヌス(Prunus)属、プソラレア(Psoralea)属、プエラリア(Pueralia)属、グリチルリザ(Glycyrrhiza)属、プラチコドン(Platycodon)属、ミリスチカ(Myristica)属、ポリガラ(Polygala)属、コリダリス(Corydalis)属、ヒドランゲア(Hydrangea)属、ヤテオリザ(Jateorhiza)属、フリティラリア(Fritillaria)属、スキルプス(Scirpus)属、アルピニア・オキシフィラ(Alpinia oxyphylla)、アルピニア・インテルメディア(Alpinia intermedia)、アルピニア・ヤポニカ(Alpinia japonica)、アルピニア・カツマダイ(Alpinia katsumadai)、アルピニア・オフィキナルム(Alpinia officinarum)、アレカ(Areca)属に属する植物もしくはその処理物。
防腐防カビ防藻剤としては、例えば、有機ヨウ素系化合物、ハロアセトアミド系化合物、トリアゾール系化合物、有機窒素硫黄系化合物、有機窒素硫黄ハロゲン化合物、スルファミド系化合物、ビス四級アンモニウム塩系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、フタロニトリル系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、チオカルバメート系化合物、ニトリル系化合物、フタルイミド系化合物、ピリジン系化合物、ピリチオン系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、イミダゾール系化合物、イソチアゾリン系化合物、ニトロアルコール系化合物、アゾール系化合物などが挙げられる。好ましくは、有機ヨウ素系化合物が挙げられる。
有機ヨウ素系化合物は、IPBC(3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート)、サンプラス(3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロピニルエチルカルボナート)である。
ハロアセトアミド系化合物は、フルオロアセトアミド、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ヨードアセトアミドである。
トリアゾール系化合物は、シプロコナゾール((2RS,3RS;2RS,3SR)−2−(4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、アザコナゾール(1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、テブコナゾール(α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール)、プロピコナゾール(1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)である。
有機窒素硫黄系化合物は、チアベンダゾール(2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール)、イソチアゾリン(2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン)である。
有機窒素硫黄ハロゲン化合物は、ジクロフルアニド(N,N−ジメチル−N’−フェニル−(N’−フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド)である。
スルファミド系化合物は、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド(ジクロフルアニド、商品名:プリベントールA4/S、バイエル社製)、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−4−トリルスルファミド(トリルフルアニド、商品名:プリベントールA5、バイエル社製)である。
ビス四級アンモニウム塩系化合物は、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー38、イヌイ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー38A、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー136、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー136A、イヌイ社製)である。
四級アンモニウム塩系化合物は、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、コータミンD10EPR(花王社製)である。
フタロニトリル系化合物は、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(商品名:ノプコサイドN−96、サンノプコ社製)である。
ジチオール系化合物は、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンである。
チオフェン系化合物は、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド(TeCS、商品名:スラカーブ)である。
チオカルバメート系化合物は、テトラメチルチウラムジスルフィドである。
ニトリル系化合物は、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルである。
フタルイミド系化合物は、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)である。
ピリジン系化合物は、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンである。
ピリチオン系化合物は、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンである。
ベンゾチアゾール系化合物は、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールである。
トリアジン系化合物は、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンである。
グアニジン系化合物は、1,6−ジ−(4’−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩である。
尿素系化合物は、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアである。
イミダゾール系化合物は、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート(慣用名:MBC)、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート塩酸塩、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールである。
イソチアゾリン系化合物は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンである。
ニトロアルコール系化合物は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノールである。
アゾール系化合物は、特開2008−156279号公報に記載の化合物である。
また、第1の成分に、次に説明する補助成分、例えば、誘引剤(後述)、難燃剤(後述)などを含めることもできる。
これら有害生物防除成分は、単独で使用してもよく、また、2種類以上併用してもよい。
本発明において、第2の成分は、上記した有害生物防除成分の有害生物防除効果を補助する補助成分を含んでいる。
補助成分は、着色剤、保護剤、増大剤および誘引剤から選択される少なくともいずれか1種の補助剤である。
着色剤は、マイクロカプセル剤を着色する。着色剤としては、例えば、顔料、染料などが挙げられる。
顔料は、後述する有機溶剤(あるいは第1膜形成成分)に対して不溶性であって、公知の顔料であれば特に制限されず、例えば、「よくわかる顔料分散(中道敏彦著、日刊工業新聞社発行)」に例示される顔料が挙げられる。顔料として、具体的には、例えば、着色顔料、体質顔料、機能性顔料などが挙げられる。
着色顔料としては、無機顔料、有機顔料、フレーク顔料が挙げられる。
無機顔料は、酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛(亜鉛華)、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄(べんがら)、黒色酸化鉄(鉄黒)、酸化クロム(III)などの金属酸化物、クロムイエロー(黄鉛)、クロムバーミリオン(モリブデンレッド)などのクロム酸塩、リトボン、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物、紺青(プルシャンブルー)、群青(ウルトラマリンブルー)などの金属錯体、カーボンブラックなどの炭素である。
有機顔料は、ファーストイエローG(C.I.Pig Yellow1)、イソインドリノンイエローR(C.I.Pig Yellow110)、ピラゾロンオレンジ(C.I.Pig Orange13)、ナフトールカーミンFB(C.I.Pig Red5)、キナクリドンマゼンタ(C.I.Pig Red122)、キナクリドンレッド(C.I.Pig Violet19)、ジオキサジンバイオレット(C.I.Pig Violet23)、フタロシアニンブルーR(C.I.Pig Blue15)、フタロシアニングリーン(C.I.Pig Green7)、インダンスロンブルー(C.I.Pig Blue60)である。
フレーク顔料は、アルミニウムフレーク、マイカ、着色マイカ、シリカフレーク、ガラスフレークである。
体質顔料は、沈降性炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ(ホワイトカーボン)、焼成クレー、カオリンクレー、タルクである。
機能性顔料は、防錆顔料、蛍光顔料、示温顔料、導電性顔料、磁性顔料、耐熱性顔料、潤滑性顔料、光触媒顔料である。
染料は、後述する有機溶剤(あるいは第1膜形成成分)に対して可溶性であって、公知の染料であれば特に制限されない。染料は、油溶性染料、反応染料、分散染料、建築染料、塩基性染料、カチオン染料、直接染料、酸性染料、酸性含金染料、酸性媒染染料、硫化染料、ナフトール染顔料、蛍光染料である。
これら染料のうち、好ましくは、蛍光染料である。
蛍光染料は、光線(例えば、紫外線など)が照射されたときに発光することができ、具体的には、エオシン、ローズベンガル、フルオレセン、ネオスーパーHR−1(中央合成化学社製)、ネオスーパーHR−50(中央合成化学社製)である。
染料が、蛍光染料であれば、紫外線が照射されると、発光する。そのため、マイクロカプセル剤を床下などの暗い場所に散布しても、そのような場所に紫外線を照射して蛍光染料の発光を観察することにより、マイクロカプセル剤の散布状況を容易かつ確実に確認することができる。
これら着色剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
保護剤は、上記した有害生物防除成分を、紫外線、酸化、光、熱などの外的環境から保護する。保護剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤などが挙げられる。好ましくは、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤であれば特に制限されず、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤、天然系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(アデカスタブ1413、ADEKA社製)、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン(アデカスタブ LA−51、ADEKA社製)、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノンである。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、TINUVIN384−2(5% 2−メトキシ−1−メチルエチルアセテー、95% ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−9側鎖および直鎖アルキルエステル、チバ・ジャパン社製)、TINUVIN PS(2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、チバ・ジャパン社製)である。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤は、TINUVIN 400(85% 2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル、 とオキシラン[(C10−C16 主としてC12−C13アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、15% 1−メトキシ−2−プロパノール、チバ・ジャパン社製)、TINUVIN 460(2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、チバ・ジャパン社製)である。
天然系紫外線吸収剤は、ヤンゴニンである。
酸化防止剤は、公知の酸化防止剤であれば特に制限されず、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、オイゲノール、IRGANOX 1010(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX1076(オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などのフェノール系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フォスファイト、トリフェニルフォスファイトなどのリン系酸化防止剤、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類である。
光安定剤は、公知の光安定剤であれば特に制限されず、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)である。
ヒンダードアミン系光安定剤は、TINUVIN 123(デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物)、TINUVIN 144(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート)である。
難燃剤は、公知の難燃剤であれば特に制限されず、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤などが挙げられる。
臭素系難燃剤は、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテルである。
リン系難燃剤は、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、ブチル化フェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート(TBDP)プロピル化フェニルホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート(IPP)、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート(BIPP)、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート(TIPP)、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールA、ビス−ジフェニルホスフェート、赤リンである。
無機系難燃剤は、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウムである。
これら保護剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
増大剤は、第1の成分の効果と同様の効果を奏するとともに、第1の成分の効果を増大させる剤である。増大剤は、例えば、上記した有害生物防除成分と同様の有害生物防除成分である。なお、増大剤は、第1の成分に含まれる有害生物防除成分と同一種類または異なる種類であってもよい。具体的には、第1の成分に含まれる有害生物防除成分に基づいて選択される。
これら増大剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
誘引剤は、有害生物防除成分により防除される有害生物を誘引するために用いられ、例えば、フェロモンおよびフェロモン様物質や、アレロケミックス、有害防除生物の餌などが挙げられる。
フェロモンおよびフェロモン様物質は、同種の有害生物に作用する。
フェロモンとしては、性フェロモンが挙げられる。性フェロモンは、ボンビコールなどの炭素数12〜18の不飽和炭素鎖からなるアルコール、または、その炭化水素誘導体、アルデヒド誘導体もしくはカルボン酸誘導体であり、ワモンゴキブリのペリプラノンBなどのテルペン系化合物である。
フェロモン様物質は、道標フェロモン様物質、集合フェロモン、警報フェロモン、卵認識フェロモンである。
道標フェロモン様物質は、有害生物(具体的には、シロアリなど)の道標とされる物質であり、具体的には、シロアリにおいて観察される(Z、Z、E)−3,6,8,−ドデカトリエン−1−オールなどの直鎖化合物またはアミンであり、エチレングリコールモノフェニルエーテルやジエチレングリコールモノフェニルエーテルなどのアルキレングリコールモノフェニルエーテルであり、シロアリの1種Calothermes tlavicallisの幼虫が分泌するシス−3−ヘキセン−1−オールであり、キクイムシ科のIps confususが排出するイプセノールであり、フェニルジグリコールである。
集合フェロモンとは、(z)−ベルベノールやイプシジエノールである。
警報フェロモンは、アリ、シロアリ、ミツバチ、アブラムシなどから単離されているモノテルペン、セスキテルペン、鎖状化合物である。
卵認識フェロモンは、リゾチーム(特開2008−194007号公報に記載されるリゾチーム)、β−グルコシダーゼである。
アレロケミックスは、異種の有害生物に作用し、具体的には、アレロパシー、つまり、ある生物が物質を発散し、離れた距離にある他の生物(有害生物)に影響を与える現象を示す。
アレロケミックスとしては、例えば、アロモン、カイロモン、シノモンなどであって、具体的には、単純不飽和ラクトン類、長鎖脂肪酸類、ポリアセチレン類、キノン類、フェノールおよび安息香酸類、ケイ皮酸類、クマリン酸類、フラボノイド類、テルペノイドおよびステロイド類、アルカロイド類、スルフィドおよびカラシ油などが挙げられる。
単純不飽和ラクトン類は、パラソルビン酸、パツリン、ペニシリン酸である。
長鎖脂肪酸類は、デカン酸、ノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸である。
ポリアセチレン類は、cis−およびtrans−デヒドロマトリカリアエステル、α−テルチエニル、サフィノールである。
キノン類は、ナフトキノンまたはアントラキノンの誘導体であって、ユグロン、ノバルビン、ヘルミントスポリンである。
フェノールおよび安息香酸類は、フェノールまたは安息香酸の誘導体であって、没食子酸、プロトカテク酸、バニリン、p−ヒドロキシ安息香酸、シリンガ酸、アルブチン、チモールである。
ケイ皮酸類は、ケイ皮酸、フェルラ酸、p−クマル酸、クロロゲン酸である。
クマリン酸類は、クマリン、エスクリン、スコポリン、ウンベリフェロン、ソラーレンである。
フラボノイド類は、ルチン、ケルセチン、ミリセチン、カテキン、エピカテキンである。
テルペノイドおよびステロイド類は、α−およびβ−フェランドレン、リモネン、α−およびβ−ピネン、カンファー、カンフェン、1,8−シネオール、アルテルナル酸、ジギトキシゲニン、ストロファンチジンである。
アルカロイド類は、カフェイン、ベルベリン、エフェドリン、ピペリンである。
スルフィドおよびカラシ油類は、シニグリン、アリルイソチオシアネート、アリイン、アリシンである。
有害防除生物の餌としては、例えば、糖類などが挙げられ、好ましくは、葡萄糖、果糖である単糖類、ショ糖、乳糖である二糖類、デンプンである多糖類である。
これら誘引剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
第1膜形成成分は、油溶性化合物であり、次に説明する第2膜形成成分と反応して、膜形成する。第1膜形成成分としては、マイクロカプセル化のために通常用いられる公知のものでよく、例えば、ポリイソシアネート、ポリカルボン酸クロライド、ポリスルホン酸クロライドなどが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられ、さらに、これらの変性体、例えば、これらポリイソシアネートの誘導体であるダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボイミド、ウレットジオン、オキサジアジントリオンなどにより変性される誘導体変性ポリイソシアネートや、例えば、トリメチロールプロパンなどの低分子量ポリオールを予め反応させて得られるポリオール変性ポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、ポリカルボン酸クロライドとしては、例えば、セバシン酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、アゼライン酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、トリメシン酸ジクロライドなどが挙げられる。また、ポリスルホン酸クロライドとしては、例えば、ベンゼンスルホニルジクロライドなどが挙げられる。
これら第1膜形成成分は、単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。好ましくは、ポリイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、脂肪族および脂環族のポリイソシアネート、とりわけ好ましくは、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体が挙げられる。
第2膜形成成分は、水溶性化合物であり、マイクロカプセル化のために通常用いられる公知のものでよく、例えば、ポリアミン、ポリオール、水などの鎖伸長剤が挙げられる。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノトルエン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ピペラジンなどが挙げられる。
また、ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
これら第2膜形成成分は、単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。好ましくは、ポリアミンや水が用いられる。なかでも、ジエチレントリアミンが好ましく用いられる。
そして、本発明のマイクロカプセル剤を製造するには、まず、第1水相と油相とをそれぞれ調製する。
第1水相は、第1の成分と水とを配合することにより得られる。
水100重量部に対する第1の成分の配合割合は、例えば、1〜900重量部、好ましくは、1〜300重量部である。
また、第1水相の調製において、必要により、分散安定剤、界面活性剤、添加剤をさらに配合する。
分散安定剤としては、例えば、水溶性ポリマーが挙げられる。
水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリオール系高分子(例えば、アグリゾールFL−104FA:花王社製)、ポリアクリル酸ナトリウム(例えば、レオジック250H:日本純薬製)、ポリビニルアルコール(例えば、クラレポバール217(鹸化度:約87.0〜89.0mol%、重合度:1700):クラレ社製、クラレポバール224(鹸化度:約87.0〜89.0mol%、重合度:2400):クラレ社製、クラレポバール117(鹸化度:約98.0〜99.0mol%、重合度:1700):クラレ社製)、ポリサッカライド、アラビアガム、ゼラチン、グァーガム、キサンタンガム(例えば、ロードポル23:ローヌ・プーラン製)、デンプン、デンプン誘導体(例えば、デンプン加水分解物、可溶性デンプン(例えば、スタビローズS−10:松谷化学工業社製)、酵素変性デンプン(例えば、アミコール6L:日澱化学製)、α化デンプン(例えば、コーンアルファ:日澱化学製)など)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、メトローズ60SH−15、メトローズ90SH−100(信越化学工業社製)など)、デキストリン類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG6000:三洋化成社製)などが挙げられる。
また、分散安定剤として、例えば、リン酸塩などが挙げられる。
これら分散安定剤のうち、好ましくは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、芳香族スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
芳香族スルホン酸塩としては、例えば、アルキルフェニルスルホン酸塩(例:ドデシルジフェニルスルホン酸ジナトリウム)、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アラルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルアントラセンスルホン酸塩、アリールフェニルスルホン酸塩、アリールフェノールスルホン酸塩、ホルムアルデヒド縮合ナフタレンスルホン酸塩(例:ホルムアルデヒド縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ニューカルゲンFS−4(竹本油脂社製))、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩(例えば、ペレックスSS−L(花王社製))、ジアルキルスルホコハク酸塩(例:ネオコールP(第一工業製薬社製))、リグニンスルホン酸塩などが挙げられる。
アルキルスルホン酸塩としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、ポリナフチルメタンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸などが挙げられる。
カルボン酸塩としては、例えば、脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルカルボン酸塩などが挙げられる。
硫酸エステル塩としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩が挙げられる。
リン酸塩としては、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩などが挙げられる。
ホスホン酸塩としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルホスホン酸塩などが挙げられる。
アミノ酸塩としては、例えば、N−アシルサルコシン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン酸塩などが挙げられる。
これらアニオン性界面活性剤は、単独で使用してもよく、また、2種類以上併用してもよい。アニオン性界面活性剤としては、芳香族スルホン酸塩が好ましく、なかでも、ホルムアルデヒド縮合ナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩が好ましく用いられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、エマルゲン108(花王社製))などが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン950(花王社製))、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテルとしては。ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(例えば、ノイゲンEA−177(第一工業製薬社製))、ポリオキシエチレンモノスチレン化フェニルエーテルなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンブロックコポリマーとしては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(例えば、エパン485(第一工業製薬社製))などが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアリールエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアリールエーテルなどが挙げられる。
これらノニオン性界面活性剤は、単独で使用してもよく、また、2種類以上併用してもよい。ノニオン性界面活性剤としては、好ましくは、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
これら界面活性剤は、単独で使用してもよく、また、2種類以上併用してもよい。
添加剤としては、例えば、懸濁助剤、さらには、分散助剤、pH調整剤、pH緩衝剤、凍結防止剤、消泡剤などが挙げられる。
懸濁助剤としては、第1水相(あるいは、後述する水性懸濁液)における第1の成分の懸濁状態の安定化および粘度調節のために添加され、例えば、モンモリロナイト(例えば、クニピアF:クニミネ工業社製、ラポナイト:日新化成製)、コロイド性酸化珪素(例えば、アエロジル200などのアエロジル:日本アエロジル社製)、コロイド性酸化珪素−酸化アルミニウム混合物(例えば、アエロジルCOK84;SiO2/Al2O3=82〜86(%)/14〜18(%):日本アエロジル社製)、セピオライト(例えば、エードプラスML70DS−NV:水澤化学工業社製)などが挙げられる。好ましくは、コロイド性酸化珪素−酸化アルミニウム混合物が挙げられる。
分散助剤には、例えば、分子中の疎水性基によって、他の疎水性物質を吸着する保護コロイド剤が含まれる。
このような分散助剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、アルキル化ビニルピロリドン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン−不飽和炭化水素共重合体、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアミン塩、ポリ(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。好ましくは、アルキル化ビニルピロリドン共重合体およびビニルピロリドン−不飽和炭化水素共重合体が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸一水和物などが挙げられる。
pH緩衝剤としては、例えば、りん酸二水素ナトリウム二水和物およびりん酸水素二ナトリウムの組合せ、ほう酸、および、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの組合せなどが挙げられる。
凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤(例えば、アンチホームE−20(花王社製)、ノプコ 8034−L(サンノプコ社製)など)などが挙げられる。
各成分の配合割合は、第1の成分100重量部に対して、分散安定剤が、例えば、1〜1000重量部、好ましくは、10〜300重量部であり、界面活性剤が、例えば、1〜50重量部、好ましくは、5〜25重量部であり、懸濁助剤が、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部であり、分散助剤が、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部であり、pH調整剤が、例えば、20重量部以下、好ましくは、10重量部以下であり、pH緩衝剤が、例えば、5重量部以下、好ましくは、2.5重量部以下であり、凍結防止剤が、例えば、50重量部以下、好ましくは、30重量部以下であり、消泡剤が、例えば、5重量部以下、好ましくは、2.5重量部以下である。
そして、第1水相を調製するには、まず、必須成分として、上記の第1の成分、任意成分として、分散安定剤、界面活性剤、添加剤を、上記の配合割合で水に配合する。
水100重量部に対する必須成分および任意成分の配合割合は、例えば、1〜900重量部、好ましくは、1〜300重量部である。
詳しくは、次の(i)、(ii)または(iii)を実施する。
(i)第1の成分、界面活性剤および添加剤を水に配合して、水性懸濁液、乳化液または水溶液を調製する。乳化液または水溶液を調製した場合には、それらをそのまま第1水相として供する。水性懸濁液を調製した場合には、水性懸濁液の調製後、分散安定剤を配合して第1水相とする。
(ii)第1の成分、界面活性剤、添加剤および分散安定剤を水に配合して、水性懸濁液、乳化液または水溶液を調製する。乳化液または水溶液を調製した場合には、それらをそのまま第1水相として供する。水性懸濁液を調製した場合には、水性懸濁液の調製後、分散安定剤をさらに配合して第1水相とする。
(iii)上記した水性懸濁液、乳化液または水溶液を、寒天やゼラチンなどの固化剤で固化した後、粉砕し、必要により、水、界面活性剤、添加剤、分散安定剤などを配合して、第1水相とする。
好ましくは、寒天(固化剤)および水を加温し溶かした後、水性懸濁液、水溶液または乳化液を配合して固化物を得る。例えば、寒天濃度が、例えば、0.2〜2%となるように固化して、固化物を得る。上記では、固化物100重量部に対して、水が、例えば、1000重量部以下、好ましくは、300部重量部以下となるように、混合する。その後、混合物を、粉砕して、第1水相とする。
なお、水性懸濁液の調製では、第1の成分を、必要により、分散機などによって湿式粉砕してもよい。湿式粉砕後の第1の成分の平均粒子径は、好ましくは、10μm以下、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
油相は、例えば、第2の成分と第1膜形成成分と有機溶剤とを配合することにより得られる。
有機溶剤は、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチルなどのエステル類、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類、例えば、ペンタン、2−メチルブタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、3−クロロプロペン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、ブロモエタン、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、フルオロベンゼン、トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン、クロロブロモメタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
第2の成分の配合割合は、第1膜形成成分100重量部に対して、例えば、0.01〜10000重量部、好ましくは、0.1〜1000重量部である。
第1膜形成成分の配合割合は、有機溶剤100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは、30〜500重量部である。
また、油相が懸濁液(後述)の場合において、その調製において、第2の成分が有機溶剤に溶解していない(懸濁されている)場合には、分散安定のために、分散剤をさらに配合する。
分散剤としては、例えば、高分子量ブロック共重合体(DISPERBYK−164、ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。
分散剤の配合割合は、第2の成分100重量部に対して、例えば、100重量部以下、好ましくは、50重量部以下である。
そして、油相は、第2の成分が有機溶剤に懸濁された懸濁液(スラリー)、あるいは、第2の成分が有機溶剤に溶解された溶液として得ることができる。
次いで、第1水相と油相とを配合することにより、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製する。
第1乳化液の調製において、第1水相の配合割合は、油相100重量部に対して、例えば、30〜100重量部、好ましくは、50〜100重量部である。
第1乳化液の調製では、配合された第1水相と油相とを、常温で、ホモミキサーなどを用いて攪拌する。
この時、第1膜形成成分が第1水相の活性水素化合物(例えば、水やポリビニルアルコールなど)と反応して界面を安定化することもある。また、さらなる安定化のために、油相にHLB値の低い界面活性剤を加えることもできる。
次いで、第1乳化液と、第2水相とを配合して、W/O/W型エマルジョンからなる第2乳化液を調製する。
第2水相は、第2膜形成成分と水とを配合することにより調製される。
第2膜形成成分の配合割合は、例えば、第2膜形成成分が、第1膜形成成分に対してほぼ等しい当量(例えば、ポリイソシアネートとポリアミンとが用いられる場合では、イソシアネート基/1級アミノ基の当量比がほぼ1となる割合)となる配合である。
また、第2水相には、必要により、上記した分散安定剤をさらに配合することができる。分散安定剤の調製は、例えば、分散安定剤を水に、例えば、1〜30重量%、好ましくは、2.5〜15重量%の濃度となるように溶解する。
第2乳化液の調製において、第2水相の配合割合は、第1乳化液100重量部に対して、例えば、10〜200重量部、好ましくは、20〜100重量部である。
第2乳化液の調製では、第1乳化液と第2水相とを、常温で、ホモミキサーなどを用いて攪拌する。
なお、第2水相は、別途調製することなく、第1乳化液に直接、分散安定剤および水(または分散安定剤水溶液)を、上記した割合で配合することにより、第2水相を第1乳化液に配合することができる。
また、第1乳化液に水が配合された第2乳化液に、第2膜形成成分を添加することもできる。
そして、第2膜形成成分の配合により、第1膜形成成分と第2膜形成成分とが、油相と第1水相との界面で反応(界面重合)することにより、上記第1の成分がマイクロカプセル化されるとともに、第2の成分が第1の成分の表面に分布するマイクロカプセル剤の水分散液が得られる。
この反応を促進するために、好ましくは、第2膜形成成分の添加後に、約50〜150℃、さらに好ましくは、約50〜100℃で、好ましくは、約30分〜5時間、さらに好ましくは、約1〜3時間攪拌しつつ加熱する。
また、上記した界面重合反応(鎖伸長反応)を加速するため、ジブチルチンジラウレートなどのジブチル錫などの触媒が系内に配合してもよい。
そして、このようにして得られたマイクロカプセル剤を含有する水分散液に、必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐防カビ防藻剤、懸濁助剤、水などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
防腐防カビ防藻剤としては、上記第1の成分として例示した化合物と同様の化合物が挙げられ、さらに、ブチルパラベン(n−ブチルパラヒドロキシベンゾエート)、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸なども挙げられる。好ましくは、IPBC、ヨードアセトアミドが挙げられる。
懸濁助剤としては、上記第1水相の調製において例示した化合物と同様の化合物が挙げられ、好ましくは、モンモリロナイトが挙げられる。
その後、マイクロカプセル剤を含有する水分散液から、油相に配合した有機溶剤を除去する。
有機溶剤を除去する方法としては、例えば、加熱、減圧蒸留などが挙げられ、好ましくは、減圧蒸留が挙げられる。
減圧蒸留は、系内を、例えば、130〜75000Pa、好ましくは、130〜55000Paに減圧しながら、例えば、30〜130℃、好ましくは、40〜130℃に加熱し、蒸留する。
これにより、マイクロカプセル剤を得る。
このようにして得られた本発明のマイクロカプセル剤は、例えば、粉剤、粒剤、ムース剤、さらには、塗料組成物、硬化性組成物、樹脂成形体などの公知の剤型に製剤化することができる。
また、本発明のマイクロカプセル剤は、第1の成分を、例えば、0.01〜90重量%、好ましくは、1〜50重量%含有するとともに、第2の成分を、例えば、0.0001〜20重量%、好ましくは、0.001〜15重量%含有する。
そして、本発明のマイクロカプセル剤の製造方法およびそれにより得られるマイクロカプセル剤は、第1水相に配合される有害生物防除成分によって、有害生物防除効果を発現させながら、油相に配合される補助成分によって、有害生物防除成分の有害生物防除効果を補助することができる。
具体的には、補助成分が着色剤であれば、所望の位置に、着色剤により着色されたマイクロカプセル剤を確実に処方することができ、有害生物に対してより確実に有害生物防除成分を発現させることができる。
また、補助成分が保護剤であれば、有害生物防除成分の表面に分布する保護剤によって、有害生物防除成分の耐候性を向上させることができ、有害生物に対して長期にわたって有害生物防除成分を発現させることができる。
また、補助成分が増大剤であれば、有害生物防除成分の表面に分布する増大剤によって、それに内包される有害生物防除成分の有害生物に対する有害生物防除効果を増大させることができる。
また、補助成分が誘引剤であれば、有害生物防除成分の表面に分布する誘引剤によって、有害生物を誘引し、それを有害生物防除成分によって確実に殺虫(殺菌)することができる。
なお、上記したマイクロカプセル剤の製造方法では、油相に有機溶剤を配合したが、例えば、油相に有機溶剤を配合することなく、油相を調製することもできる。
この場合には、油相は、第2の成分と第1膜形成成分とを必須成分として含んでいる。
油相が、有機溶剤を含んでいない場合には、有機溶剤を除去する工程を不要とすることができる。そのため、製造工程数を低減でき、製造コストを低減することができる。
このマイクロカプセル剤の使用方法は、特に制限されないが、例えば、防蟻防虫剤または防腐防カビ防藻剤を内包した場合、公知の散布方法によって木部や土壌に散布すればよく、より具体的には、例えば、防蟻防虫剤または防腐防カビ防藻剤の濃度が0.01〜5重量%として調製されるマイクロカプセル剤を、動力噴射器、手動噴射器を用いて、木部や土壌表面に対して、3〜5L/m2で散布すればよい。
さらに、このマイクロカプセル剤の使用方法としては、例えば、防蟻剤(防蟻防虫剤)を内包した場合、マイクロカプセル剤を粉剤とし、次いで、その粉剤と熱可塑性樹脂とを成形して樹脂成形体とし、防蟻性シートなどとして、電線ケーブルに被覆することにより防蟻(防蟻防虫)効果を奏するものとして使用することができる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂など)、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など)、アクリル系樹脂(例えば、アクリル樹脂など)などが挙げられる。この成形体中の防蟻剤(防蟻防虫剤)の量としては、樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.01〜10重量部、さらに好ましくは、0.05〜1重量部となるようにすればよい。
製造例1
(クロチアニジン含有水性懸濁液の調製)
第1の成分としてのクロチアニジン(クロチアニジン原体:住友化学社製)200重量部、界面活性剤としてのニューカルゲンFS−4(ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物:竹本油脂社製)20重量部、消泡剤としてのアンチホームE−20(変性シリコーンエマルジョン:花王社製)2重量部、懸濁助剤としてのアエロジルCOK84(コロイド性酸化珪素−酸化アルミニウム混合物:日本アエロジル社製)10重量部、および、蒸留水768重量部を、高速攪拌機を用いて混合した後、DISPERMAT(0.85−1mm径ジルコニア製ビーズ:充填率80%:周速15.7m/s:VMA−GETZMANN GMBH社製)を用いて湿式粉砕(2パス)することにより、クロチアニジン20重量%含有水性懸濁液を得た。
製造例2
(顔料含有酢酸ブチルスラリーの調製)
顔料(TAROX R−516−L、赤色酸化鉄、チタン工業社製)20重量部、分散剤(高分子量ブロック共重合体の溶液、ビックケミー・ジャパン社製)10重量部、および、酢酸ブチル70重量部を、高速攪拌機を用いて混合した後、DISPERMAT(1mm径チタニア製ビーズ:充填率85%:流速5mL/s:VMA−GETZMANN GMBH社製)を用いて湿式粉砕(2パス)し、顔料20重量%含有酢酸ブチルスラリーを得た。
製造例3
(IPBC含有水性懸濁液の調製)
蒸留水653重量部に、界面活性剤としてのドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウム(ペレックスSS−L、花王社製)6重量部およびショ糖脂肪酸エステル(DKエステル F−160、第一工業製薬社製)15重量部と、第1の成分としての3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC、殺菌剤)(MP−100、バイエル社製)304重量部、消泡剤としてのシリコーン系消泡剤(ノプコ 8034−L、鉱油・疎水性シリカ・ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤などの混合物、サンノプコ社製)2重量部を順次加え、さらに攪拌しながら分散安定剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ 90SH−100、信越化学工業社製)10重量部を加えて、予備分散を行い、DYNOMILL(2mm径ガラス製ビーズ:流速5〜6L/min シンマルエンタープライゼス社製)で湿式粉砕(2パス)し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ 90SH−100、信越化学工業社製)10重量部を加えて2時間以上攪拌し、30メッシュの濾布で濾過し、IPBC30重量%含有水性懸濁液を得た。
製造例4
(イミダクロプリド含有水性懸濁液の調製)
第1の成分として、クロチアニジンに代えて、イミダクロプリド(イミダクロプリド原体:丸善薬品社製)を配合した以外は、製造例1と同様に処理して、イミダクロプリド20重量%含有水性懸濁液を得た。
実施例1
(油相の調製)
第1膜形成成分としてのタケネートD−140N(イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体:三井化学社製)24.7gに対し、酢酸エチル4.1g、第2の成分としてのフェニルジグリコール(誘引剤)28.8gを添加して攪拌することにより、油相を調製した。
(第1水相の調製)
10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217、分散安定剤、クラレ社製)水溶液10.3gに対し、製造例1で得られたクロチアニジン含有水性懸濁液32.7gを添加して攪拌することにより、第1水相を調製した。
(第1乳化液の調製)
次いで、油相と第1水相とを混合し、常温下で、T.K.ホモミキサーMARKII(プライミクス社製)を用いて数分間攪拌(回転数1500rpm)することにより、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製した。
(第2乳化液の調製)
第1乳化液に、第2水相としての10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217:分散安定剤:クラレ社製)水溶液42.9gおよび水14.4gを添加し、常温下で、T.K.ホモミキサーMARKIIを用いて数分間攪拌(回転数1500rpm)することにより、W/O/W型エマルジョンからなる第2乳化液を調製した。
(マイクロカプセル化)
第2乳化液を緩やかに攪拌しながら、第2膜形成成分としてのジエチレントリアミン(和光純薬工業社製)1.7gと水14.8gとを滴下し、75℃の恒温槽中で3時間反応させることにより、クロチアニジンがマイクロカプセル化されたマイクロカプセルの水分散液を得た。
その後、得られたマイクロカプセルの水分散液にプロピレングリコール(凍結防止剤:旭硝子製)16.7g、MP−100(防腐防カビ防藻剤:3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート:バイエル社製)0.5gおよびデルトップ(防腐防カビ防藻剤:ヨードアセトアミド:日本エンバイロケミカルズ社製)0.8gを配合し、混合した。
次いで、クニピアF(懸濁助剤:モンモリロナイト:クニミネ工業社製)0.6g、レオジック250H(増粘剤:ポリアクリル酸ナトリウム:日本純薬製)0.2g、および、水69gを配合して混合した。その後、減圧蒸留し、油相の酢酸エチルを除去することにより、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面にフェニルジグリコール約11.4重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約9.7μmであった。
実施例2
酢酸エチルの配合量を4.1gから27.1gに変更し、フェニルジグリコールの配合量を28.8gから5.8gに変更し、水の配合量を69gから92gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面にフェニルジグリコール約2.3重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約7.7μmであった。
実施例3
酢酸エチルの配合量を4.1gから32.6gに変更し、水の配合量を69gから97.6gに変更し、フェニルジグリコール28.8gに代えて、OIL BROWN BB(油溶性染料、オリエント化学工業社製)0.2gを用いた以外は実施例1と同様の方法で、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面にOIL BROWN BB約0.08重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約3.5μmであった。
実施例4
酢酸エチルの配合量を4.1gから32.6gに変更し、水の配合量を69gから97.6gに変更し、フェニルジグリコール28.8gに代えて製造例2により得られた顔料含有酢酸ブチルスラリー0.2gを用いた以外は実施例1と同様の方法で、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面に顔料約0.02重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約6.7μmであった。
実施例5
酢酸エチルの配合量を4.1gから32.8gに変更し、水の配合量を69gから97.6gに変更し、フェニルジグリコール28.8gに代えてTINUVIN400(紫外線吸収剤、チバ・ジャパン社製)0.8gおよびTINUVIN123(光安定剤、チバ・ジャパン社製)0.8gを用いた以外は実施例1と同様の方法で、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面にTINUVIN400約0.3重量%およびTINUVIN123約0.3重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約7.1μmであった。
実施例6
酢酸エチルの配合量を4.1gから32.8gに変更し、水の配合量を69gから97.6gに変更し、フェニルジグリコール28.8gに代えてアデカスタブ1413(2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、紫外線吸収剤、ADEKA社製)0.8gおよびTINUVIN123(光安定剤、チバ・ジャパン社製)0.5gを用いた以外は実施例1と同様の方法で、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面にアデカスタブ1413約0.3重量%およびTINUVIN123約0.2重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は9.5μmであった。
実施例7
酢酸エチルの配合量を4.1gから32.8gに変更し、水の配合量を69gから97.6gに変更し、フェニルジグリコール28.8gに代えて、アデカスタブ384−2(紫外線吸収剤、ADEKA社製)0.5gおよびTINUVIN123(光安定剤、チバ・ジャパン社製)0.8gを用いた以外は実施例1と同様の方法で、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面にアデカスタブ384−2約0.2重量%およびTINUVIN123約0.3重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約5.4μmであった。
実施例8
(第1水相の調製)
10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217:分散安定剤:クラレ社製)水溶液24.0gに対し、製造例3で得られたIPBC含有水性懸濁液16.0g、蒸留水8.0gを添加し、攪拌して第1水相を調製した。
(油相の調製)
タケネートD−178N(ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体:三井化学社製)60.0gに、第2の成分としてのアデカスタブ1413(2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ADEKA社製)0.4gを溶解して油相を調製した。
(第1乳化液の調製)
油相と第1水相とを混合して、常温下で、T.K.ホモミキサーMARKII(プライミクス社製)を用いて数分間攪拌(回転数1500rpm)することにより、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製した。
(第2乳化液の調製)
10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217:分散安定剤:クラレ社製)水溶液49.4gと水16.5gとを添加し、攪拌して第2水相を調製した。得られた第2水相に、第1乳化液52.7gを混合し、常温下で、TKホモディスパー(プライミクス社製)を用いて数分間攪拌(回転数300rpm)することにより、W/O/W型エマルジョンからなる第2乳化液を調製した。
(マイクロカプセル化)
第2乳化液を常温で72時間反応させることにより、IPBCが内包され、アデカスタブ1413がIPBCの表面に分布するマイクロカプセルの水分散液を得た。
このマイクロカプセル剤では、IPBC約2.0重量%を内包し、IPBCの表面にアデカスタブ1413約0.2重量%が分布している。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約20μmであった。
実施例9
(油相の調製)
第1膜形成成分としてのタケネートD−140N(イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体:三井化学社製)24.7gに対し、酢酸エチル32.7g、および、第2の成分としてのネオスーパーHR−50(蛍光染料:中央合成化学社製)0.12gを添加して攪拌することにより、油相を調製した。
(第1水相の調製)
10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217:分散安定剤:クラレ社製)水溶液10.3gに対し、製造例1で得られたクロチアニジン含有水性懸濁液32.7gを添加して攪拌することにより、第1水相を調製した。
(第1乳化液の調製)
次いで、油相と第1水相とを混合し、常温下で、T.K.ホモミキサーMARKII(プライミクス社製)を用いて数分間攪拌(回転数1500rpm)することにより、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製した。
(第2乳化液の調製)
第1乳化液に、第2水相としての10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217:分散安定剤:クラレ社製)水溶液42.9gおよび水14.4gを添加し、常温下で、T.K.ホモミキサーMARKIIを用いて数分間攪拌(回転数1500rpm)することにより、W/O/W型エマルジョンからなる第2乳化液を調製した。
(マイクロカプセル化)
第2乳化液を緩やかに攪拌しながら、第2膜形成成分としてのジエチレントリアミン(和光純薬工業社製)1.7gと水14.8gとを滴下し、75℃の恒温槽中で3時間反応させることにより、クロチアニジンがマイクロカプセル化されたマイクロカプセルの水分散液を得た。
その後、得られたマイクロカプセルの水分散液にプロピレングリコール(凍結防止剤:旭硝子製)16.7g、MP−100(防腐防カビ防藻剤:3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート:バイエル社製)0.5gおよびデルトップ(防腐防カビ防藻剤:ヨードアセトアミド:日本エンバイロケミカルズ社製)0.8gを配合し、混合した。
次いで、クニピアF(懸濁助剤:モンモリロナイト:クニミネ工業社製)0.6g、レオジック250H(増粘剤:ポリアクリル酸ナトリウム:日本純薬製)0.2g、および、水69gを配合して混合した。その後、減圧蒸留し、油相の酢酸エチルを除去することにより、クロチアニジン約2.6重量%を内包し、クロチアニジンの表面にネオスーパーHR−50約11.4重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約4.3μmであった。
実施例10
第1水相の調製において、製造例1で得られたクロチアニジン含有水性懸濁液に代えて、製造例4で得られたイミダクロプリド含有水性懸濁液を添加した以外は、実施例9と同様にして、第2乳化液を調製し、続いて、イミダクロプリドをマイクロカプセル化し、次いで、各添加剤を添加し、その後、油相の酢酸エチルを除去することにより、イミダクロプリド約2.6重量%を内包し、イミダクロプリドの表面にネオスーパーHR−50約11.4重量%が分布したマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は約2.1μmであった。
実施例11
<粒剤の調製>
(架橋ポリスチレン粒子の分散液の調製)
スチレン99.6重量部、ジビニルベンゼン(純度58%品)0.4重量部およびベンゾイルパーオキシド0.5重量部を含有する混合溶液に、水150重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部を加えて、撹拌下、さらに、リン酸三カルシウム10重量部を加えた。次に、得られた混合物をホモミキサー(特殊機化工業社製)にて、毎分6000回転で20分間攪拌し、モノマー滴を水相中に分散させることにより、モノマー分散液を調製した。このモノマー分散液を、撹拌器と還流冷却器を備えた反応器に移し、窒素気流下にて撹拌しながら、90℃に昇温して重合を開始した。5時間の反応後、40℃に冷却した(特開平7−292231号公報の比較例1参照)。
(粒剤の調製)
架橋ポリスチレン粒子の分散液100gと、実施例1により得られたクロチアニジンが内包されたマイクロカプセル剤2.6gとを配合して、撹拌、混合した後、スプレードライヤー(L−8型、大川原化工業社製、温度110℃、アトマイザ調速50Hz、投入速度1L/時間)にてスプレードライした。これにより、マイクロカプセルに架橋ポリスチレンの粉体が付着された、クロチアニジン濃度約0.1重量%の粒剤を得た。
得られた粒剤の平均粒子径は、40μmであった。
実施例12
<塗料組成物の調製>
アクリル変性シリコーン樹脂エマルション(不揮発分48%、商品名「塗料用モビニール(登録商標)7220」、ニチゴー・モビニール社製)15重量部と、アクリル樹脂エマルション(不揮発分47%、商品名「塗料用モビニール(登録商標)LDM7156」、ニチゴー・モビニール社製)11重量部と、炭酸カルシウム12重量部と、保存剤、増粘剤および消泡剤の混合物1重量部と、水23重量部と、分散剤および保湿剤の混合物3重量部とを配合し、攪拌混合して、塗料組成物を調製した。
上記各成分の固形分の重量割合は、次のとおりである。アクリル変性シリコーン樹脂エマルション11.9重量%、アクリル樹脂エマルション8.6重量%、炭酸カルシウム58.1重量部、保存剤、増粘剤および消泡剤の混合物1.1重量%、分散剤および保湿剤の混合物0.4重量%。
次いで、実施例5で得られたクロチアニジンが内包されたマイクロカプセル剤1重量部を、上記塗料組成物25重量部で希釈し、攪拌、混合することにより、クロチアニジンのマイクカプセル剤を含む塗料組成物を得た。クロチアニジン濃度は約0.1%であった。
実施例13
<塗料組成物の調製>
(プロピコナゾールのプレ製剤化)
プロピコナゾール500g、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)500gを配合し、これらを50℃に加熱し、その後、ホモディスパー(T.K.オートホモディスパー、特殊機化工業社製)で均一に混合することにより、プロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物(プレ製剤化物)1000gを得た。
(混合塗膜形成成分の調製)
ウォーターゾールBCD−3040(アルキド樹脂、DIC社製)500gおよび水460gを秤量し、それらを容器に投入してホモディスパーで攪拌しながら、さらに、BYK−021(BYKシリーズ、ビックケミー社製)5g、DICNATE1000W(乾燥促進剤(ドライヤー)、DIC社製)4g、PSMエロー#85(黄色酸化鉄の水分散体、顔料分濃度40〜50重量%、御国色素社製)25g、PSMブラウン#95(赤色酸化鉄(酸化第2鉄)の水分散体、顔料分濃度40〜50重量%、御国色素社製)4g、PSMブラックC(カーボンブラックの水分散体、顔料分濃度20〜30重量%、御国色素社製)2gを順次投入して、ホモディスパーで常温下にて30分攪拌した。これにより、アルキド樹脂を主成分とする混合塗膜形成成分1000gを調製した。
(塗料組成物の調製)
混合塗膜形成成分95gをホモミキサーで攪拌しながら、実施例6で得られたクロチアニジンが内包されたマイクロカプセル剤3.8g、実施例8で得られたIPBCが内包されたマイクロカプセル剤14.2g、プロピコナゾールのプレ製剤化物2gを加え、さらに、常温下で、30分間、攪拌して混合することにより、クロチアニジンのマイクロカプセル剤、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する塗料組成物を得た。
実施例14
<粒剤の調製>
カガライト2号(カガライト工業社製、軽石の細粒)100重量部に対し、実施例6で得られたクロチアニジンが内包されたマイクロカプセル剤3.8重量部を配合し、乾燥することにより、ネオニコチノイドのマイクロカプセル剤の粒状物(粒剤)を得た。
実施例15
<ムース剤の調製>
実施例6で得られたクロチアニジンのマイクロカプセル剤を水で26倍に希釈したマイクロカプセル剤の水分散液100gに対し、発泡剤としてエマールD−3−D(花王社製、陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)3重量部を配合して、クロチアニジンのマイクロカプセル剤のムース剤を得た。
実施例16
<硬化性防除組成物の調製>
カガライト4M号(カガライト工業社製、軽石の細粒)を篩に通して、粒径0.15mm以下の担体Aを得た。得られた担体A100重量部に対し、実施例6で得られたクロチアニジンが内包されたマイクロカプセル剤38重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物を得た。
得られた混合物を、粒径0.15mm以下の土砂(真砂土)で約4倍に希釈し、シロアリ防除成分を得た。
次いで、得られたシロアリ防除成分50重量部と、乾燥土砂A(粒径が0.5mmを上回り1.5mm以下である土砂(真砂土)7重量部と、粒径が0.25mmを上回り0.5mm以下である土砂(真砂土)10重量部と、粒径0.15以上0.25mm以下の土砂(真砂土)15重量部と、粒径0.15mm未満の土砂(真砂土)68重量部とを配合し、攪拌混合したもの。)50重量部とを配合し、均一に混合して、混合物を得た。
さらに、得られた混合物90重量部と、硬石こう(商品名「ニュープラストーン」、ジーシー社製)10重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性シロアリ防除組成物を得た。得られた硬化性シロアリ防除組成物中のクロチアニジン濃度は、0.1重量%であった。
また、得られた硬化性シロアリ防除組成物100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mm2であった。
実施例17
<殺虫剤含有樹脂成形体の作成>
実施例5で得られたクロチアニジンが内包されたマイクロカプセル剤7.5重量部に、ステアリン酸カルシウム8.5重量部を配合し、攪拌混合後、乾燥させて、クロチアニジン濃度が2.0重量%のマイクロカプセルを含有する粉状物を得た。
次に、重合度1300の塩化ビニル樹脂(品名「TS−1300」、販売元「日本塩ビ販売社」)100重量部と、可塑剤としてフタル酸ジオクチル50重量部と、充填剤として軽質炭酸カルシウム10重量部と、クレー10重量部と、熱安定剤としてステアリン酸バリウム1.5重量部と、ステアリン酸亜鉛1.5重量部と、滑剤としてステアリルアルコール0.5重量部と、上記粉状物9.2重量部とを、スーパーミキサー(カワタ社製)で、120℃を超えないようにドライブレンドして、塩化ビニル樹脂混合物を得た。次いで、得られた塩化ビニル樹脂混合物を室温まで冷却後、ミキシングロールで150〜160℃、3分間溶融混練しつつ、シートペレタイザーで塩化ビニル樹脂組成物のペレットを成形した。さらに、30cm角の加熱プレスの金型を160度で1分間予熱後、上記ペレットを上記金型内に投入し、100kg/cm2で3分間プレスすることにより、厚さ0.16cmの塩化ビニル樹脂(PVC)シートを得た。このPVCシートにおけるクロチアニジンの含有割合は、0.1重量%であった。
参考例1
<IPBCが内包されたマイクロカプセル剤の調製>
(第1水相の調製)
10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217:分散安定剤:クラレ社製)水溶液10.8gに対し、製造例3で得られたIPBC含有水性懸濁液5.4g、蒸留水5.4gを添加し、攪拌して第1水相を調製した。
(油相の調製)
次いで、タケネートD−178N(ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体:三井化学社製)60.0gを油相として用意した。
(第1乳化液の調製)
油相と第1水相とを混合し、常温下で、T.K.ホモミキサーMARKII(プライミクス社製)を用いて数分間攪拌(回転数1500rpm)し、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製した。
(第2乳化液の調製)
10重量%ポリビニルアルコール(クラレポバール217:分散安定剤:クラレ社製)水溶液49.4gと水16.5gとを添加し、攪拌して第2水相を調製した。得られた第2水相に、第1乳化液12.7gを混合し、常温下で、TKホモディスパー(プライミクス社製)を用いて数分間攪拌(回転数300rpm)し、第2乳化液を調製した。
(マイクロカプセル化)
第2乳化液を常温で72時間反応させ、IPBC0.6重量%が内包されたマイクロカプセル剤を得た。
なお、マイクロカプセル剤のメジアン径は20μmであった。
なお、上記した参考例1は、本発明の範囲外であるが、油相が有機溶剤を含まない態様、より具体的には、油相が有機溶剤および有害生物防除成分の両方を含まない態様を例示している。
一方、実施例8は、本発明の範囲内であって、油相が、補助剤を含み、有機溶剤を含まない態様を例示している。
上記した参考例1および実施例8で例示される態様に対応する発明を以下に記載する。
(1) 第1の成分が配合される第1水相と、第1膜形成成分を含む油相とを配合して、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製し、前記第1乳化液と、前記第1膜形成成分と反応する第2膜形成成分が配合される第2水相とを配合して、W/O/W型エマルジョンからなる第2乳化液を調製して、前記第1の成分がマイクロカプセル化されるマイクロカプセル剤であって、
前記第1の成分が、有害生物防除成分を含み、
前記油相が、有機溶剤を含んでいないことを特徴とする、マイクロカプセル剤。
(2) 油相が、第2の成分をさらに含み、
前記第2の成分が、前記第1の成分の表面に分布しており、
前記第2の成分が、前記有害生物防除成分の有害生物防除効果を補助する補助成分を含んでいることを特徴とする、前記(1)に記載のマイクロカプセル剤。
(3) 前記補助成分が、
マイクロカプセル剤を着色する着色剤、
前記有害生物防除成分を保護する保護剤、
前記有害生物防除成分の有害生物防除効果を増大させる増大剤、および、
前記有害生物防除成分により防除される有害生物を誘引するための誘引剤
から選択される少なくともいずれか1種であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のマイクロカプセル剤。
(4) 第1の成分が配合される第1水相と、第1膜形成成分を含む油相とを配合して、W/O型エマルジョンからなる第1乳化液を調製する工程、
前記第1乳化液と、前記第1膜形成成分と反応する第2膜形成成分が配合される第2水相とを配合して、W/O/W型エマルジョンからなる第2乳化液を調製する工程、
前記第1の成分をマイクロカプセル化する工程を備え、
前記第1の成分が、有害生物防除成分を含み、
前記油相が、有機溶剤を含んでいないことを特徴とする、マイクロカプセル剤の製造方法。