JP6331831B2 - 車両用通信システム、車載機、携帯機及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
また、メカニカルキーを用いずに車両のエンジン始動を行う車両用通信システムも実用化されている。具体的には、携帯機を所持した使用者がエンジンスタートボタンを押すだけでエンジンの始動を行うスマートスタートシステムが実用化されている。
以上の通信システムにおいて車載機は、携帯機と無線信号により通信を行い、認証を行った後に解錠、施錠、エンジン始動等の所定の動作に関する制御を行うが、不正な操作を防止するため、当該動作を実施する前に携帯機が所定の位置に存在することを確認する。携帯機の位置の確認方法としては、特許文献1、2、3等に記載の方法が知られている。
携帯機は、キーレスエントリシステムの動作時において、前記複数の送信アンテナから送信された信号の受信信号強度を測定し、測定した受信信号強度を車載機へ送信する。車載機は携帯機から送信された受信信号強度を受信し、携帯機によって測定された受信信号強度が、車室内データ群と、車室外データ群とのいずれに近いかをマハラノビス距離によって判定する。受信信号強度が車室内データ群に近い場合、車載機は携帯機が車室内にあると判定し、車室外データ群に近い場合、携帯機が車室外にあると判定する。
キーレスエントリ装置が携帯機の位置を誤検出し、誤ってドアの施錠又は解錠が行われることを防止するためには、車室内用アンテナから車室外に漏れ出る信号を極力抑える必要がある。例えば、車両の盗難防止に関する評価を行う団体で定められた規格によれば、車両のドアが開いた状態と、閉じた状態との双方で所定の規格値を満たす必要があり、携帯機が車室内にあるか否かを精度良く判定することが求められる。しかし、車両のバックドアが開くと車室内用アンテナからの信号は車室外に漏れ出す傾向にあるため、前記調整は困難である。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
車載機の記憶部は、携帯機が車室内にあるか否かを判定するための情報として、携帯機が車室内にあるか否かを判定するための複数の車室内外判定情報それぞれを車両のドアの開閉状態毎に記憶する。
車載機の検知部はドアの開閉状態を検知し、選択部は検知部の検知結果に基づいて、複数の車室内外判定情報のいずれか一つを選択する。そして、車載機の車室内外判定部は、車載受信部が受信した応答信号に含まれる受信信号強度と、選択部が選択した車室内外判定情報とに基づいて、携帯機が、車室内にあるか否かを判定する。なお、車室内外判定部による携帯機の位置の判定を車室内外判定と言う。
従って、車載機は、車両のドアの開閉状態に応じた車室内外判定情報を選択することによって、車両のドアの開閉状態に拘わらず携帯機が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。
なお、車両のドアは一つである場合に限定されるものでは無く、複数のドアそれぞれの開閉状態に応じた車室内外判定情報を記憶部が記憶する構成も本態様に含まれる。検知部は、複数のドアの開閉状態を検知し、選択部は各ドアの開閉状態に係る検知結果に基づいて、前記記憶部が記憶する車室内外判定情報のいずれか一つを選択する。
従って、車両のドアの開度に拘わらず、携帯機が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。例えば、車両のドアが半分程開いているような場合であっても、車載機は、ドアの開度に応じた車室内外判定情報を選択するため、携帯機が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。
従って、ドアの開閉状態を検知するための開閉状態センサからの信号を用いずに、車室内外判定情報の選択を行い、携帯機が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。
なお、前記受信信号強度は、携帯機の位置判定用の信号の受信信号強度であっても良いし、別途車載機から送信された信号の受信信号強度であっても良い。
検知部は、携帯機が前記所定範囲内にあると判定された場合、開閉するドアに設けられた前記一部のアンテナからの信号の受信信号強度に基づいて、ドアの開度を推定する。前記一部のアンテナは車両のドアに設けられているため、車両のドアの開閉状態に応じて、携帯機で測定される該アンテナからの信号の受信信号強度が大きく変化する。受信信号強度の変化は他のアンテナからの信号の受信信号強度に比べて大きい。従って、検知部は開閉するドアに設けられたアンテナからの信号の受信信号強度に基づいて、ドアの開度を精度良く検知することができる。
本願の判定部では、携帯機が全領域の内側にあるか否かを判定する。例えば携帯機が共通の車室内空間の内側にある場合、該携帯機は前記複数の領域での内外判定において全て内側にあると判定される。携帯機が共通の車室内空間の外側にある場合、該携帯機は前記複数の領域の内、少なくとも一つの領域の外側にあると判定される。前記複数の領域は、全てを組み合わせると、携帯機が車室の内側にあるか外側にあるかの判定を行いたい領域の境界に精度良く沿う様に作成されているため、当該判定を行いたい領域において、携帯機が内側又は外側のいずれに位置するかを精度良く判定することが可能となる。以下、判定部による携帯機の位置の判定を車室内外判定と言う。
なお、本願の車室内空間は車室の空間と完全に一致している必要は無く、車室全体を漏れなく包含している必要は無い。
また、車室内空間の内外境界の全てにおいて、精度良く携帯機の車室内外判定を行う必要は無く、問題が無ければ、前記内外境界の一部に車室内外判定精度が悪い部分が存在する実施態様も本願の実施態様に含まれる。
携帯機の検知部は、車両から送信される信号に基づいて、車両のドアの開閉状態を検知する。車両から送信される信号に、車両のドアの開閉状態を示す情報が含まれている場合、検知部は該信号に含まれる前記情報によって車両のドアの開閉状態を検知する。また、検知部は、車両から送信される信号の受信信号強度に基づいて、車両のドアの開閉状態を検知するように構成しても良い。
携帯機は、ドアの開閉状態を検知し、選択部は検知部の検知結果に基づいて、複数の車室内外判定情報のいずれか一つを選択する。そして、携帯機の車室内外判定部は、測定部が測定した受信信号強度と、選択部が選択した車室内外判定情報とに基づいて、携帯機が、車室内にあるか否かを判定する。
従って、本発明の一態様(1)と同様、携帯機は、車両のドアの開閉状態に応じた車室内外判定情報を選択することによって、車両のドアの開閉状態に拘わらず携帯機が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。
従って、本発明の一態様(1)と同様、車両のドアの開閉状態に応じた車室内外判定情報を選択することによって、車両のドアの開閉状態に拘わらず携帯機が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。
本発明の実施形態に係る車両用通信システム、車載機、携帯機及びコンピュータプログラムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る車両用通信システムの一構成例を示す模式図である。本実施形態1に係る車両用通信システムは、車両Cに設けられた複数の送信アンテナ(3)及び受信アンテナ4を用いて各種信号を送受信する車載機1と、該車載機1との間で信号を送受信する携帯機2とを備える。
複数の送信アンテナ(3)は、例えば、運転席側のピラーに設けられた第1送信アンテナ31、助手席側のピラーに設けられた第2送信アンテナ32、バックドアに設けられた第3送信アンテナ33、車両Cの前部に設けられた第4送信アンテナ34を含む。受信アンテナ4は車両Cの適宜箇所に設けられている。なお、本実施形態1においては車両Cの進行方向右側が運転席側、進行方向左側が助手席側である。
車載機1は、携帯機2の位置を判定するための信号を複数の送信アンテナ(3)から無線信号を用いて順次送信する。携帯機2は、各送信アンテナ(3)から送信された信号を受信し、受信した各信号の受信信号強度を測定する。携帯機2は、測定された受信信号強度を含む応答信号を無線信号を用いて車載機1へ送信する。車載機1は携帯機2から送信された応答信号を受信し、受信した応答信号に含まれる受信信号強度に基づいて、携帯機2の車室内外判定を行い、判定結果に応じた所定処理を実行する。例えば、車載機1は、車両Cのドア(以下、車両ドアと呼ぶ。)の施錠又は解錠、エンジン始動、車両ドアの施錠忘れの警告等の処理を実行する。
本実施形態1に係るコンピュータプログラム10aは、記録媒体10にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でも良い。記憶部14は、図示しない読出装置によって記録媒体10から読み出されたコンピュータプログラム10aを記憶する。記録媒体10はCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本実施形態1に係るコンピュータプログラム10aをダウンロードし、記憶部14に記憶させても良い。
また、車両ドアの開度、例えば車両ドアが閉じた状態を基準にした角度を検知する開閉状態センサ5aを備え、ボディECU5は、検知して得た角度を示すドア開閉状態信号を制御部11に入力するように構成しても良い。車両ドアの開度を検知して携帯機2の車室内外判定を行う構成の詳細は実施形態2で説明する。
更に、送信アンテナ(3)から送信され、携帯機2が受信した信号の受信信号強度に基づいて、車両ドアの開度を推定するように車載機1を構成しても良い。特に、開閉する車両ドアに設けられた送信アンテナ(3)からの信号の受信信号強度を用いることによって、車両ドアの開度を精度良く推定することができる。送信アンテナ(3)からの信号の受信信号強度に基づいて、車両ドアの開度を推定し、携帯機2の車室内外判定を行う構成の詳細は実施形態3で説明する。
制御部11は、入力したドア開閉状態信号によって、車両ドアの開閉状態を認識することができる。また、制御部11には、図示しない車両ドアリクエストスイッチの操作状態に応じたリクエスト信号が入力する。制御部11は入力したリクエスト信号に基づいて、車両ドアリクエストスイッチの操作状態を認識することができる。車両ドアリクエストスイッチは、例えば、運手席側又は助手席側の車両ドアを施錠又は解錠するためのスイッチであり、運転席外側又は助手席外側のドアハンドルに設けられている。なお、押しボタンに代えて、ドアハンドルに対する使用者の手の接触を検出する接触センサを設けても良い。また、制御部11は、車両ドアリクエストスイッチの操作に対応したリクエスト信号を直接取得しても良いし、ドアECU、その他のECU等を介して取得しても良い。
制御部11は、車両ドアリクエストスイッチの操作状態、携帯機2が車室内にあるか否かと言った状況に応じて、車両ドアの解錠又は施錠を制御するための車両ドア制御指令を、図示しないドアECUへ出力する。ドアECUは、制御部11からの車両ドア制御指令に従って、車両ドアを施錠し又は解錠する。また、制御部11は、前記状況に応じて、必要があれば、警告指令を図示しない警告装置へ出力する。例えば、携帯機2が車室内にある状態で車両ドアリクエストスイッチが操作されたような場合、制御部11は警告指令を警告装置へ出力する。警告装置は、警告指令に従って、音又は光等を用いて車両Cの使用者に対して所定の警告を行う。
制御部21は車載機1から信号強度測定用の無線信号が送信されるタイミングに合わせて、3軸アンテナ23aからの3つの無線信号をそれぞれ選択し、選択された無線信号の受信信号強度を信号強度測定部23bによって測定する。つまり、制御部21は、車載機1から送信される無線信号の振幅方向における受信信号強度ではなく、3軸アンテナ23aの直交する3つの方向における該受信信号強度の成分を測定する。制御部21は、測定された受信信号強度の成分からベクトル計算を行い、車載機1から送信される無線信号の振幅方向における受信信号強度を算出する。従って、制御部21は、車両Cに対する携帯機2の向き又は姿勢に拘わらず一定の受信信号強度を得ることが可能となる。以下では、特に断らない限り、ベクトル計算によって算出された受信信号強度を、受信信号強度と呼ぶ。
なお、ここでは制御部21が受信信号強度を算出する例を説明したが、3軸アンテナ23aを通じて受信した各信号の受信信号強度を携帯機2から車載機1へ送信し、車載機1の制御部11が受信信号強度の算出を行っても良い。
図4に示したグラフの横軸は車両Cの前後方向における位置を示し、縦軸は送信アンテナ(3)から送信された信号の電磁界強度を示している。車両ドアの一つであるバックドアに設けられた第3送信アンテナ33から送信された信号の具体的な電磁界強度は、破線で示した曲線によって示されている。図4Bは車両Cのラゲッジ床面付近の電磁界強度を示している。図4Cは車両Cのガラス面付近の電磁界強度を示している。
図5に示したグラフの横軸は車両Cの前後方向における位置を示し、縦軸はバックドアに設けられた第3送信アンテナ33から送信された信号の電磁界強度を示している。第3送信アンテナ33から送信された信号の具体的な電磁界強度は、破線で示した曲線によって示されている。図5Bはラゲッジ床面付近の電磁界強度を示しており、車両ドアが全開の状態では、全閉の状態の図4Bと比較して電磁界強度が低下しており、特に車室内で大きく低下する。図5Cはガラス面付近での電磁界強度を示しており、車両ドアが全開の状態では、全閉の状態図4Cと比較して車室外での電磁界強度が高くなる。車両ドアの開閉状態によって、携帯機2が測定する第3送信アンテナ33の受信信号強度は大きく変化する。携帯機2の車室内外判定に車両ドアに取り付けられた第3送信アンテナ33を用い、車両ドア全開時の車室内外判定に車両ドア全閉時と同一の車室内空間情報を用いた場合、ラゲッジ床面付近では携帯機2が車室内に存在しても車室外と誤判定する割合が増加し、ガラス面付近では携帯機2が車室外に存在しても車室内と誤判定する割合が増加する。前者の場合携帯機2が車室内にあるにも関わらずエンジンを始動しない不具合を生じ、後者の場合携帯機2が車室外にあるにも関わらずエンジンを始動する不具合を生じる。
同様に、記憶部14は、共通の第2車室内空間60bを包含する相異なる複数の領域を規定する統計値を第2車室内空間情報として記憶する。本実施形態1では、第2車室内空間情報は第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を規定する統計値を含む。第2車室内空間情報の内容は、第1車室内空間情報と同様であるため、以下では主に第1車室内空間情報について説明する。
第1領域61aの境界面と、車室Rの内側面とは完全には一致していないため、第1領域61aにおける携帯機2の内外判定を行っても、携帯機2の車室内外判定を精度良く行うことができない。しかし、少なくとも第1領域61aの境界面の一部は、車室Rの右内側面と略一致しているため、携帯機2が車両Cの右側壁近傍にある場合に限れば、携帯機2の車室内外判定を精度良く行うことができる。
本実施形態1における送信アンテナ(3)は4本であるため、1箇所で携帯機2が測定する受信信号強度は4つである。従って各箇所で得られる受信信号強度の標本はベクトル量であり、標本群はベクトルである標本の群である。4つの受信信号強度を成分として有するベクトルを受信信号強度ベクトルと呼ぶ。
ところで第1領域61aの内側を特徴付ける標本群であるにも拘わらず、図7Aに示すように該標本群の中に車室外で測定された受信信号強度の標本値が含まれている。これは第1領域61aが第1車室内空間60a全体を包含するようにするためである。標本群の中に、左側面の車室内側及び車室外側で測定される標本値が含まれていない場合、該標本群は車両Cの右側面で測定される受信信号強度の標本値に偏重してしまう。標本群が車両Cの右側面で測定される標本値に偏重していると、該標本群によって特徴付けられる第1領域61aの範囲から、第1車室内空間60aの左側部分が外れてしまう。そこで、本実施形態1では、図7Aに示すような箇所に携帯機2を配置し、受信信号強度の標本値を収集している。
携帯機2が前記一の領域の内側にあると判定した場合(ステップS117:YES)、制御部11は、全領域における携帯機2の内外判定を終了したか否かを判定する(ステップS119)。つまり、第1車室内空間情報に係る第1領域乃至第4領域61a、62a、63a、64a又は第2車室内空間情報に係る第1領域乃至第4領域における携帯機2の内外判定を全て終了したか否かを判定する。携帯機2の内外判定を終了していない領域があると判定した場合(ステップS119:NO)、制御部11は処理をステップS114へ戻し、内外判定が行われていない他の領域における携帯機2の内外判定処理を実行する。
なお、ここでは2次元グラフを用いて説明を簡単化するために、第1車室内空間60aに係る第1領域61a及び第2領域62aの内側及び外側で得られた標本が2つの受信信号強度、つまり運転席側の第1送信アンテナ31からの受信信号強度と、助手席側の第2送信アンテナ32からの受信信号強度を含むものとして説明するが、本発明の態様は言うまでもなく、2つの受信信号強度を用いた処理に限定されるものでは無い。
G2outは、助手席側の車室外に配された携帯機2が測定し得る受信信号強度の範囲を示し、G2inは、助手席側の車室内に配された携帯機2が測定し得る受信信号強度の範囲を示している。
上下に凸の破線は、第1車室内空間60aに係る第1領域61aの内側の標本群と、外側の標本群との統計距離が等しくなる受信信号強度の集合であり、携帯機2が第1領域61aの内側及び外側のいずれに位置するかは当該集合により区別される。第1車室内空間60aに係る上に凸の破線と、下に凸の破線とで挟まれた範囲は第1車室内空間60aに係る第1領域61aの内側に対応している。
図15に示すように第1車室内空間60aに係る破線によって、運転席側の車室外で測定される受信信号強度の範囲G1outは漏れなく第1領域61aの外側(図15中、下側)にあると判定されることになる。ただし、内側(図15中、中央側)としては、助手席側の車室内で測定されるG2inと、助手席側の車室外で測定されるG2outとが含まれている。つまり、第1領域61aは共通の第1車室内空間60aを包含しており、図6A及び図6Bに示す様に内外を区別している。
左右に凸の点線は、第1車室内空間60aに係る第2領域62aの内側の標本群と、外側の標本群との統計距離が等しくなる受信信号強度の集合であり、携帯機2が第2領域62aの内側及び外側のいずれに位置するかは当該集合により区別される。第1車室内空間60aに係る右側へ凸の点線と、左側へ凸の点線とで挟まれた範囲は、第1車室内空間60aに係る第2領域62aの内側に対応している。
図15に示すように第1車室内空間60aに係る点線によって、助手席側の車室外で測定される受信信号強度の範囲G2outは漏れなく第2領域62aの外側(図15中、左側)にあると判定されることになる。ただし、内側(図15中、中央側)としては、運転席側の車室内で測定されるG1inと、運転席側の車室外で測定されるG1outとが含まれている。つまり、第2領域62aは共通の第1車室内空間60aを包含しており、図8A及び図8Bに示す様に内外を区別している。
ステップS119及びステップS120において携帯機2が共通の第1車室内空間60aの内側に存在すると判定されるためには、第1領域61aでの内外判定と第2領域62aでの内外判定で内側と判定される必要がある。従って、ステップS119及びステップS120によって、携帯機2が第1車室内空間60aの内側及び外側のいずれにあるかの車室内外判定を、運転席側側面境界及び助手席側側面境界において精度良く実現することが可能である。
上記により、第1車室内空間60aの運転席側側面と助手席側側面の境界において携帯機21の車室内外判定を精度良く行えることを説明したが、必要があれば同様の手法で他の境界における内外判定を加えることも可能である。例えば第1車室内空間60aの車両後方境界及び車両前方境界に倣う第3領域63a及び第4領域64aを加えて、第1領域乃至第4領域61a、62a、63a、64aにおける携帯機2の内外判定を行うように構成しても良い。この場合、携帯機2が第1車室内空間60aの内側及び外側のいずれにあるかの車室内外判定を、運転席側側面境界、助手席側側面境界、車両後方境界、車両前方境界において精度良く実現することが可能である。
以上の車室内外判定の詳細を第1車室内空間60aについて説明したが、第2車室内空間60bにおける車室内外判定も同様の作用効果を有する。
もちろん、車両Cの複数のドアの開閉状態の各組み合わせに応じた車室内空間情報を記憶部14に記憶させるように構成しても良い。
このようにして得られた第1統計値及び第2統計値を用いた場合も、上述の車両用通信システムと同様の効果を奏する。
本実施形態2に係る車両用通信システム、車載機1、携帯機2及びコンピュータプログラムは、記憶部14が記憶する車室内空間情報、及び車室内空間情報の選択処理が実施形態1と異なるため、以下、主にかかる相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
例えば、開度が0度〜30度の状態で携帯機2の車室内外判定を行うための車室内空間情報を作成するための標本値は、車両ドアの開度を0度〜30度の間、例えば15度にして測定すれば良い。同様にして、開度が30度〜60度の車室内外判定を行うための車室内空間情報を作成するための標本値は、車両ドアの開度を45度にして測定すれば良い。その他の開度についても同様にして、標本値を測定すれば良い。
上述の実施形態2では開閉状態センサ5aが30度刻みで車両ドアの開度を検出する例を説明したが、より細かい角度刻みで車両ドアの開度を正確に検出することができる開閉状態センサ5aを備え、予め設定された閾値と、検出された開度とを比較することによって、車室内空間情報を選択するように構成しても良い。例えば、開閉状態センサ5aは1度刻みで車両ドアの開度を検出することができ、車載機1の記憶部14は閾値として45度を記憶している。また記憶部14は、45度未満の開度に応じた第1の車室内空間情報と、45度以上の開度に応じた第2車室内空間情報とを記憶している。制御部11は、開閉状態センサ5aが検出した開度と、前記閾値とを比較し、検出した開度が45度未満である場合、第1の車室内空間情報を選択し、検出した開度が45度以上である場合、第2の車室内空間情報を選択する。
このように構成された変形例にあっては、上述の実施形態2と同様、車両ドアの開度に拘わらず、携帯機2が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。
本実施形態3に係る車両用通信システム、車載機1、携帯機2及びコンピュータプログラムは、開閉状態センサ5aを廃し、車両ドアの開度を、携帯機2が測定する受信信号強度によって推定する点が実施形態2と異なるため、以下、主にかかる相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態2と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
また、車両ドアの開度を検出するための開閉状態センサが不要であり、安価に本願の車両用通信システムを構成することができる。
送信アンテナ(3)からの信号の受信信号強度に基づいて車両ドアの開度を検知する車両用通信システム、車載機1、携帯機2及びコンピュータプログラムの変形例1を説明する。
例えば、車両ドアの一つであるバックドアに第3送信アンテナ33が設けられ、他の第1送信アンテナ31、第2送信アンテナ32、第4送信アンテナ34は車両Cの非可動部に設けられている場合を考える。この場合、制御部11は、バックドアが開状態にあると検知されたとき、他の第1送信アンテナ31、第2送信アンテナ32、第4送信アンテナ34からの信号の受信信号強度に基づいて、携帯機2の車室内外判定を行う。もちろん、バックドアが開状態にあるときに携帯機2の車室内外判定を行うための車室内空間情報は、車両Cの非可動部に設けられた送信アンテナ(3)からの信号の受信信号強度に基づいて作成されたものであり、記憶部14が該車室内空間情報を記憶している。
また、上述の例では、応答信号に含まれる受信信号強度の中から、車両Cの非可動部に設けられた送信アンテナ(3)からの信号の受信信号強度を抽出する例を説明したが、車両ドアが開いた場合、車載機1は、車両Cの非可動部に設けられた送信アンテナ(3)のみから信号を送信し、各信号の受信信号強度を得るように構成しても良い。
送信アンテナ(3)からの信号の受信信号強度に基づいて車両ドアの開度を検知する車両用通信システム、車載機1、携帯機2及びコンピュータプログラムの変形例2を説明する。
変形例2における開閉状態センサ5aは、車両ドアの開閉によってオンオフするスイッチ、例えばカーテシースイッチである。
このように、変形例2によれば、車両ドアの開閉状態を検知するための開閉状態センサからの信号を用いずに、車両ドアの開度を精度良く推定し、車室内空間情報の選択を行い、携帯機2が車室内にあるか否かを精度良く判定することができる。
また、車両ドアの開度を検出するための開閉状態センサが不要であり、安価に本願の車両用通信システムを構成することができる。
なお、変形例2においては、バックドアに送信アンテナ(3)を設ける例を説明したが、複数の車両ドアそれぞれに送信アンテナ(3)が設けるように構成しても良い。この場合も、制御部11は同様にして、開状態にある車両ドアを特定し、携帯機が開状態にある車両ドアの所定範囲内にあるか否かを判定する。該所定範囲内にあると判定された場合、該所定範囲に係る車両ドアに設けられた送信アンテナ(3)からの信号の受信信号強度に基づいて、該車両ドアの開度を推定すれば良い。
本実施形態4に係る車両用通信システム、車載機1、携帯機2及びコンピュータプログラムは、第1及び第2車室内空間60bにおける内外判定を、統計値に代えて判別式を用いて行うものである。実施形態4に係る車両用通信システム及びコンピュータプログラム10aは、車載機1の記憶部14が記憶している第1車室内空間情報及び第2車室内空間情報の内容と、制御部11の処理手順が実施形態1と異なるため、以下、主にかかる相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
言い換えると、記憶部14は、運転席側の車室外で測定される受信信号強度と、それ以外の箇所で測定される受信信号強度とを判別する判別式を記憶している。判別式は、例えば、第1領域61aの内側を特徴付ける標本群と、第1領域61aの外側を特徴付ける標本群とのマハラノビス距離が等しくなる受信信号強度を結ぶ曲線の近似式である。第1領域61aにおける携帯機2の内外判定を行う場合の判別式は下記式(7)によって表される。
なお、本実施形態4に係る判別式の次元及び形式は特に限定されるものでは無い。また、本実施形態4では、実施形態1の第1及び第2車室内空間情報を判別式とする例を説明したが、実施形態2〜3に係る車室内空間情報を判別式に代えることもできる。
本実施形態1〜4では、車載機1が携帯機2の車室内外判定を行う例を説明したが、携帯機2自身が車室内外判定を行うように構成しても良い。実施形態5に係る車両用通信システムの構成は、実施形態1〜4の構成と同様であり、車載機1及び携帯機2を備える。実施形態5の携帯機2は、車両ドアの開閉状態に応じた複数の車室内空間情報及び本願のコンピュータプログラムを記憶部24に記憶している。
実施形態5の車両用通信システムでは、図11で説明したステップS111〜ステップS120の処理又は図19で説明したステップS411〜ステップS418の処理を携帯機2の制御部21が実行し、車室内外判定結果を車載機1へ送信する。具体的な処理手順は以下の通りである。
車載機1は携帯機2から送信された応答信号を受信し、受信した応答信号に含まれる車室内外判定結果に応じて、所定処理を実行する。例えば、車載機1は車両ドアの施錠又は解錠処理を実行する。
2 携帯機
3 送信アンテナ
4 受信アンテナ
5 ボディECU
5a 開閉状態センサ
10 記録媒体
10a コンピュータプログラム
11 制御部
12 車載受信部
13 車載送信部
13a 切替器
14 記憶部
21 制御部
22 送信部
22a 送信アンテナ
23 受信部
23a 3軸アンテナ
23b 信号強度測定部
23c 切替器
24 記憶部
31 第1送信アンテナ
32 第2送信アンテナ
33 第3送信アンテナ
34 第4送信アンテナ
60a 第1車室内空間
60b 第2車室内空間
61a 第1領域
62a 第2領域
63a 第3領域
64a 第4領域
C 車両
R 車室
Claims (9)
- 車両に設けられた複数のアンテナから信号を送信する車載機と、該車載機から送信された信号を受信し、受信した信号に応じた応答信号を送信する携帯機とを備える車両用通信システムであって、
前記携帯機は、
前記複数のアンテナからそれぞれ送信された信号の受信信号強度を測定する測定部と、
該測定部が測定した各信号の受信信号強度を含む応答信号を送信する送信部と
を備え、
前記車載機は、
前記携帯機から送信された応答信号を受信する車載受信部と、
該車載受信部が受信した応答信号に含まれる受信信号強度に基づいて、前記携帯機が車室内にあるか否かを判定するための複数の車室内外判定情報それぞれを前記車両のドアの開閉状態毎に記憶する記憶部と、
前記ドアの開閉状態を検知する検知部と、
該検知部の検知結果に基づいて、前記記憶部が記憶する前記車室内外判定情報のいずれか一つを選択する選択部と、
前記車載受信部が受信した応答信号に含まれる受信信号強度及び前記選択部が選択した車室内外判定情報に基づいて、前記携帯機が、車室内にあるか否かを判定する車室内外判定部と
を備える車両用通信システム。 - 前記検知部は前記ドアの開度を検知するようにしてあり、
前記選択部は、
前記検知部が検知した開度に応じた車室内外判定情報を選択する
請求項1に記載の車両用通信システム。 - 一部の前記アンテナは前記車両のドアに設けられ、他の前記アンテナは前記車両の非可動部に設けられており、
前記車室内外判定部は、
前記検知部が前記ドアの開状態を検知した場合、前記他のアンテナから送信された信号の受信信号強度に基づいて、前記携帯機が、車室内にあるか否かを判定する
請求項2に記載の車両用通信システム。 - 前記検知部は、
前記車載受信部が受信した応答信号に含まれる受信信号強度に基づいて、前記ドアの開閉状態を推定する
請求項1〜請求項3までのいずれか一つに記載の車両用通信システム。 - 一部の前記アンテナは前記車両のドアに設けられ、他の前記アンテナは前記車両の非可動部に設けられ、前記検知部は前記ドアの開閉を検知するようにしてあり、
更に、前記検知部が前記ドアの開状態を検知した場合、前記他のアンテナから送信された信号の受信信号強度に基づいて、開状態にある前記ドアの所定範囲内に前記携帯機があるか否かを判定する位置判定部を備え、
前記検知部は、
前記位置判定部により前記携帯機が前記所定範囲内にあると判定された場合、開状態にある前記ドアに設けられた前記一部のアンテナから送信された信号の受信信号強度に基づいて、前記ドアの開度を推定する
請求項2に記載の車両用通信システム。 - 前記車室内外判定部は、
前記車室内外判定情報に係る車室内空間を共通に包含する相異なる複数の領域それぞれの内側にあるか否かを領域毎に判定する領域内外判定部と、
前記携帯機が全領域の内側にあるか否かを判定する判定部と
を備える請求項1〜請求項5までのいずれか一つに記載の車両用通信システム。 - 車両に設けられた複数のアンテナから信号を送信し、該信号に応じて携帯機から送信された応答信号を受信する車載機であって、
前記複数のアンテナからそれぞれ送信された信号の前記携帯機における受信信号強度を含む応答信号を受信する車載受信部と、
該車載受信部が受信した応答信号に含まれる受信信号強度に基づいて、前記携帯機が車室内にあるか否かを判定するための複数の車室内外判定情報それぞれを前記車両のドアの開閉状態毎に記憶する記憶部と、
前記ドアの開閉状態を検知する検知部と、
該検知部の検知結果に基づいて、前記記憶部が記憶する前記車室内外判定情報のいずれか一つを選択する選択部と、
前記車載受信部が受信した応答信号に含まれる受信信号強度及び前記選択部が選択した車室内外判定情報に基づいて、前記携帯機が、車室内にあるか否かを判定する車室内外判定部と
を備える車載機。 - 車両から送信される複数の信号を受信し、受信した信号に応じた応答信号を送信する携帯機であって、
前記複数の信号の受信信号強度を測定する測定部と、
自身が車室内にあるか否かを判定するための複数の車室内外判定情報それぞれを前記車両のドアの開閉状態毎に記憶する記憶部と、
前記車両から送信される信号に基づいて、前記ドアの開閉状態を検知する検知部と、
該検知部の検知結果に基づいて、前記記憶部が記憶する前記車室内外判定情報のいずれか一つを選択する選択部と、
前記測定部が測定した受信信号強度及び前記選択部が選択した車室内外判定情報に基づいて、自身が、車室内にあるか否かを判定する車室内外判定部と
を備える携帯機。 - 車両に設けられた複数のアンテナから送信され、携帯機が受信した信号の受信信号強度に基づいて、該携帯機が車室内にあるか否かをコンピュータに判定させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記車両のドアの開閉状態毎に用意された複数の車室内外判定情報のいずれか一つを、ドアの開閉状態に基づいて選択する選択部と、
前記受信信号強度及び前記選択部が選択した車室内外判定情報に基づいて、前記携帯機が車室内にあるか否かを判定する車室内外判定部と
して機能させるためのコンピュータプログラム。
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