実施の形態1.
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、基板上に形成されたパターンコイル及び同基板上につづら折状に形成されたパターン抵抗を含むLC発振回路を用いた透磁率センサにおけるそのパターンコイル及びパターン抵抗の保護態様について説明する。尚、本実施形態においては、磁性粒子であるキャリアと非磁性の顕色剤であるトナーとが混合された2成分現像剤を使用する電子写真方式の画像形成装置における現像器に取り付けられて、その現像器内部における2成分現像剤中のトナーの濃度を測定するトナー濃度検知器として上記透磁率センサが利用される場合を例としている。
まず、本実施形態に係る透磁率センサ100の回路構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る透磁率センサの回路構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る透磁率センサ100は、コルピッツ型のLC発振回路を基本とする発振回路であり、パターンコイル101、パターン抵抗102、第一コンデンサ103、第二コンデンサ104、フィードバック抵抗105、アンバッファIC106、107及び出力端子108を含む。
パターンコイル101は、透磁率センサ100を構成する基板上に平面上にパターニングされた信号線によって構成される平面上のコイルである。図1に示すように、パターンコイル101は、コイルによって得られるインダクタンスLを有する。パターンコイル101は、コイルが形成された平面に対抗する空間の透磁率によってインダクタンスLの値が変化する。その結果、本実施形態に係る透磁率センサ100は、パターンコイル101のコイル面が対向する空間の透磁率に応じた周波数の信号を発振する。
パターン抵抗102は、パターンコイル101と同様に基板上に形成された信号線のパターンによって構成される抵抗である。本実施形態に係るパターン抵抗102は、つづら折り状に形成されたパターンであり、これによって直線状のパターンよりも電流の流れにくい状態を作り出している。このパターン抵抗102がパターンコイル101と直列に接続されることで、本実施形態に係る透磁率センサ100は、後述するように、自身の発振周波数の温度特性が水晶発振回路70の発振周波数の温度特性と類似することにより発振周波数の算出誤差をキャンセルしかつ、温度に依存せずに安定して、コイルが形成された平面に対抗する空間の透磁率を検知することが可能となる。図1に示すように、パターン抵抗102は、抵抗値RPを有する。図1に示すように、パターンコイル101とパターン抵抗102とは直列に接続されている。
第一コンデンサ103及び第二コンデンサ104は、パターンコイル101と共にコルピッツ型LC発振回路を構成する容量である。従って、第一コンデンサ103及び第二コンデンサ104は、パターンコイル101及びパターン抵抗102と直列に接続されている。パターンコイル101、パターン抵抗102、第一コンデンサ103及び第二コンデンサ104によって構成されるループによって共振電流ループが構成される。
フィードバック抵抗105は、バイアス電圧を安定化させるために挿入される。アンバッファIC106及びアンバッファIC107の機能により、共振電流ループの一部の電位の変動が、共振周波数に応じた矩形波として出力端子108から出力される。このような構成により、本実施形態に係る透磁率センサ100は、インダクタンスL、抵抗値RP、第一コンデンサ103及び第二コンデンサ104の静電容量Cに応じた周波数で発振する。
そして、インダクタンスLは、パターンコイル101の近傍における磁性体の存在やその濃度によっても変化する。従って、透磁率センサ100の発振周波数により、パターンコイル101近傍の空間における透磁率を判断することが可能となる。また、図1に示すように、透磁率センサ100の発振周波数を高精度に設計する上では、回路を構成する信号線等によって生じる回路抵抗RLを無視することが出来ない。透磁率センサ100を構成する各部のパラメータ値に応じた周波数については後に詳述する。
次に、本実施形態に係る透磁率センサ100の概観について、図2及び図3(a)〜(f)を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る透磁率センサ100の概観を示す斜視図である。図3(a)〜(f)は、本実施形態に係る透磁率センサ100を示す6面図である。尚、図2においては、図1において説明したパターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されている面、即ち、透磁率を検知するべき空間に対向させる検知面が上面に向けられている。
図2及び図3(a)に示すように、パターンコイル101が形成された検知面においては、パターンコイル101と直列に接続されるパターン抵抗102がパターニングされている。図1において説明したように、パターンコイル101は平面上に螺旋状に形成された信号線のパターンである。また、パターン抵抗102は、平面上につづら折状に形成された信号のパターンであり、これらのパターンによって上述したような透磁率センサ100の機能が実現されると共に、図2及び図3(a)に示すように視覚的に興味深い模様となる。
このパターンコイル101及びパターン抵抗102によって形成される部分が、本実施形態に係る透磁率センサ100における透磁率の検知部である。透磁率センサ100を現像器212に取り付ける際には、この検知部が後述するトナー移動空間に対向するように取り付けられる。
また、図3(b)〜(f)に示すように、図1において説明した第一コンデンサ103、第二コンデンサ104、フィードバック抵抗105、アンバッファIC106、107及び出力端子108は、透磁率センサ100を構成する基板において、パターンコイル101及びパターン抵抗102が形成された面とは反対側の面に形成されている。
これにより、透磁率センサ100においてセンシング機能を発揮する部分であるパターンコイル101が形成された面が透磁率を検知する対象の空間に対向するように、その面を接触させて透磁率センサ100を配置することが可能となる。
また、それらの部品が実装されている面において、パターンコイル101及びパターン抵抗102が裏側に形成されている部分には電子部品や信号線が実装されていない。これにより、他の電子部品や信号線によって生じる磁束がパターンコイル101やパターン抵抗102に影響することを防ぎ、透磁率の検知精度を向上することができる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置200のコントローラ1の機能構成について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るコントローラ1の機能構成を模式的に示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係るコントローラ1は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係るコントローラ1は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)20、RAM(Random Access Memory)30、DMAC(Direct Memory Access Controller)40、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)50、入出力制御ASIC60及び水晶発振回路70を含む。
CPU10は演算手段であり、コントローラ1全体の動作を制御する。ROM20は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。RAM30は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。DMAC40は、CPU10を介しないRAM30への直接のアクセスを制御する。
ASIC50は、CPU10やRAM30が接続されたシステムバスと他の機器との接続インタフェースとして機能する。入出力制御ASIC60は、透磁率センサ100が出力する検知信号を取得して、コントローラ1内部において処理可能な情報に変換する。即ち、透磁率センサ100が透磁率検知器として用いられる。水晶発振回路70は、コントローラ1内部の各デバイスを動作させるための基準クロックを発振する。
次に、本実施形態に係る画像形成装置200のコントローラ1において、入出力制御ASIC60の機能構成について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る入出力制御ASIC60の機能構成を模式的に示すブロック図である。図5に示すように本実施形態に係る入出力制御ASIC60は、カウンタ61、リード信号取得部62及びカウント値出力部63を含む。本実施形態に係る透磁率センサ100は、検知対象の空間における透磁率に応じた周波数の矩形波を出力する発振回路である。カウンタ61は、そのような透磁率センサ100が出力する矩形波に応じて値をインクリメントするカウンタである。
リード信号取得部62は、CPU10からのカウンタ61のカウント値の取得命令であるリード信号を、ASIC50を介して取得する。リード信号取得部62は、CPU10からのリード信号を取得すると、カウント値出力部63にカウント値を出力させるための信号を入力する。カウント値出力部63は、リード信号取得部62からの信号に応じて、カウンタ61のカウント値を出力する。
図5に示すように、コントローラ1はタイマ11を含む。タイマ11は、水晶発振回路70から入力される基準クロックのカウント値が所定の値になる度にCPU10に対して割込み信号を出力する。CPU10は、タイマ11から入力される割込み信号に応じて、上述したリード信号を出力する。
尚、入出力制御ASIC60へのCPU10からのアクセスは、例えばレジスタを介して行われる。そのため、上述したリード信号は、入出力制御ASIC60に含まれる所定のレジスタにCPU10によって値が書き込まれることによって行われる。また、カウント値出力部63によるカウント値の出力は、入出力制御ASIC60に含まれる所定のレジスタにカウント値が格納され、その値をCPU10が取得することによって行われる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置200に含まれる画像形成出力のための機構について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置200に含まれる画像形成出力のための機構を示す側面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置200は、無端状移動手段である搬送ベルト205に沿って各色の画像形成部206K〜206Yが並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ201から給紙ローラ202により分離給紙される用紙(記録媒体の一例)204に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト205に沿って、この搬送ベルト205の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)206Y、206M、206C、206K(以降、総じて画像形成部206とする)が配列されている。
また、給紙トレイ201から給紙された用紙204は、レジストローラ203によって一度止められ、画像形成部206における画像形成のタイミングに応じて搬送ベルト205からの画像の転写位置に送り出される。
複数の画像形成部206Y、206M、206C、206Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部206Kはブラックの画像を、画像形成部206Mはマゼンタの画像を、画像形成部206Cはシアンの画像を、画像形成部206Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部206Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部206M、206C、206Kは画像形成部206Yと同様であるので、その画像形成部206M、206C、206Kの各構成要素については、画像形成部206Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト205は、回転駆動される駆動ローラ207と従動ローラ208とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ207は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ207と、従動ローラ208とが、無端状移動手段である搬送ベルト205を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト205に対して、最初の画像形成部206Yが、イエローのトナー画像を転写する。画像形成部206Yは、感光体としての感光体ドラム209Y、この感光体ドラム209Yの周囲に配置された帯電器210Y、光書き込み装置211、現像器212Y、感光体クリーナ213Y、除電器(図示せず)等から構成されている。光書き込み装置211は、夫々の感光体ドラム209Y、209M、209C、209K(以降、総じて「感光体ドラム209」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム209Yの外周面は、暗中にて帯電器210Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置211からのイエロー画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器212Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化する現像装置であり、これにより感光体ドラム209Y上にイエローのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム209Yと搬送ベルト205とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器215Yの働きにより搬送ベルト205上に転写される。この転写により、搬送ベルト205上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム209Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナ213Yにより払拭された後、除電器により除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部206Yにより搬送ベルト205上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト205のローラ駆動により次の画像形成部206Mに搬送される。画像形成部206Mでは、画像形成部206Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム209M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト205上に転写されたイエロー、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部206C、206Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム209C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム209K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト205上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ201に収納された用紙204は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト205と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト205上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙204の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙204は更に搬送され、定着器216にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
また、搬送ベルト205に対してベルトクリーナ218が設けられている。ベルトクリーナ218は、図6に示すように、搬送ベルト205から用紙204への画像の転写位置の下流側であって、感光体ドラム209よりも上流側において搬送ベルト205に押し当てられたクリーニングブレードであり、搬送ベルト205の表面に付着したトナーを掻きとるトナー除去部である。
このような構成の画像形成装置200は、図4において説明したコントローラ1により制御されて駆動される。そして、図6に示す構成のうち、現像器212に本実施形態に係る透磁率センサ100が設けられている。
次に、本実施形態に係る現像器212の構成について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る現像器212の概観を示す斜視図である。尚、図7は、現像器212が画像形成装置200に搭載された状態、即ち、現像器212の使用時における状態とは上下を反転させて示している。図8は、本実施形態に係る現像器212の内部を示す斜視図である。尚、図7と図8とでは上下を反転させて示している。従って、図8には、現像器212が画像形成装置200に搭載された状態、即ち、現像器212の使用時における状態が示されている。また、図7及び図8に示す現像器212の長手方向は、図6の図面に垂直な方向、即ち、搬送ベルト205のベルト面と並行であってベルトの搬送方向と垂直な主走査方向である。
図7及び図8に示すように、現像器212には、内部に充填された非磁性の顕色剤であるトナー及び磁性粒子であるキャリア、即ち、現像剤を搬送する搬送スクリュー212b、212cが設けられている。この搬送スクリュー212b、212cが夫々反対の方向に回転することにより、内部に充填された現像剤が、現像器212の内部において上述した主走査方向の全体に行き渡るように構成されている。即ち、現像器212内部の全体が現像剤収容部として用いらえる。
図8に示すように、現像器212内部において搬送スクリュー212b、212cにより搬送される現像剤は、主走査方向の端部において搬送スクリュー212bによる搬送経路から搬送スクリュー212cによる搬送経路に受け渡される。従って、現像器212の主走査方向端部において夫々の搬送経路間を現像剤が移動する空間(以降、「トナー移動空間」とする)が、最も現像剤が密集する空間となる。本実施形態に係る透磁率センサ100は、このトナー移動空間に対向して配置されたセンサ取り付け位置212aに取り付けられることでトナー濃度検知器として用いられる。
このように、透磁率センサ100がトナー移動空間に対向する位置212aに取り付けられる理由について説明する。透磁率は、現像剤が密集しているほどその変化量が大きくなる。そのため、透磁率センサ100が、最も現像剤が密集するトナー移動空間に対向する位置に取り付けられることで現像器212内部の空間の透磁率をより好適に検知することが可能となるためである。
尚、透磁率の変化に大小はあるものの、現像剤が充填されている空間であればどの空間でも透磁率は発生するため、透磁率センサ100は必ずしも位置212aに取り付けられる必要はない。即ち、透磁率センサ100は、現像剤が充填されている空間に対向するように取り付けられていればどこに取り付けられても透磁率を検知することが可能である。
次に、本実施形態に係る透磁率センサ100の現像器212への取り付け態様について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る透磁率センサ100の現像器212への取り付け態様を示す図である。図9においては、現像器212を側断面図で示している。また、図9においては、図7の斜視図とは上下を反転させて示している。即ち、図9においては、図8の斜視図とは上下を一致させて示している。従って、図9には、現像器212が画像形成装置200に搭載された状態、即ち、現像器212の使用時における状態が示されている。図9に示すように、現像器212内部には搬送スクリュー212b、212cが配置されており、これにより主走査方向にトナーが搬送される。
センサ取り付け位置212aは、平面基板を基礎として構成されている透磁率センサ100の取り付けが容易なように平面状に形成されており、この平面に対して透磁率センサ100の検知面を対向させて取り付けることにより、透磁率センサ100が現像器212に取り付けられる。図9に示すように、現像器212の筐体は2つの搬送スクリュー212b、212cの形状に応じて形成されており、センサ取り付け位置212aを含む部分は搬送スクリュー212bの断面形状である円に合わせて弧状に形成されている。
そして、センサ取り付け位置212aは、弧状に形成された筐体の一部が平面上に成形されて構成されるため、現像器212におけるセンサ取り付け位置212aの表面と現像器212内部の空間との間隔が狭くなっている。これにより、センサ取り付け位置212aに取り付けられた透磁率センサ100によって、現像器212内部の空間の透磁率をより好適に検知することが可能となる。
このような構成において、電子写真方式の画像形成装置において用いられる現像剤は、感光体ドラム209上の静電潜像を現像器212により現像するために、発色用の粉末(トナー)と、その粉末を搬送するための粒状の磁性体であるキャリアとが混合されて構成される。従って、感光体ドラム209上の静電潜像が現像剤中のトナーにより現像されると、現像器212内部における現像剤中のトナーの濃度が変動し、センサ取り付け位置212aに対向する空間における透磁率が変化することとなる。その変化を透磁率センサ100によって検知することにより、現像器212内部のトナー濃度を検知することが可能となる。
次に、本実施形態に係る透磁率センサ100の現像器212への取り付け方法について、図10〜図13を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、その検知面から見た図である。図11は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、その検知面に水平な方向であって、パターンコイル101とパターン抵抗102との接続方向に垂直な方向から見た図である。即ち、図11は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、図10に示す破線の矢印の方向に向かって見た図である。
図12は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、現像器212に取り付けられている状態においてその検知面から見た図である。図13は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、現像器212に取り付けられている状態において、その検知面に水平な方向であって、パターンコイル101とパターン抵抗102との接続方向に垂直な方向から見た図である。即ち、図13は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、図12に示す破線の矢印の方向に向かって見た図である。
図10及び図11に示すように、本実施形態に係る透磁率センサ100は、その検知面の略全面に渡って両面テープや接着剤等の接着層109が接着されている。また、図10及び図11に示すように、本実施形態に係る透磁率センサ100は、接着層109の接着面がセロファン等のフィルム110により覆われている。
そして、このような透磁率センサ100を現像器212へ取り付ける際には、作業者は、まず、接着層109の接着面を覆っているフィルム110を剥がす。作業者は、フィルム110を剥がすと、図12及び図13に示すように、露出した接着層109の接着面を現像器212におけるセンサ取り付け位置212aに押し当てる。このようにして、本実施形態に係る透磁率センサ100は、接着層109の接着面における接着力により、現像器212におけるセンサ取り付け位置212aに取り付けられる。このように、本実施形態によれば、作業者は簡単に透磁率センサ100を現像器212に取り付けることができる。
また、図10及び図11を参照して説明したように、本実施形態に係る透磁率センサ100は、その検知面の略全面に渡って接着層109が接着され、その接着層109の接着面がフィルム110により覆われている。そのため、本実施形態に係る透磁率センサ100は、その検知面が上記接着層109及びフィルム110により保護されることになり、保管時や運搬時にパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷が付くといったことを防ぐことが可能となる。従って、本実施形態によれば、透磁率センサ100の保管時や運搬時に際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102を保護することが可能となる。
次に、本実施形態に係る透磁率センサ100の現像器212からの取り外し方法について、再び図12及び図13を参照して説明する。図12及び図13を参照して説明したように、本実施形態に係る透磁率センサ100は、接着層109の接着面における接着力により、現像器212におけるセンサ取り付け位置212aに取り付けられている。
そして、このようにして現像器212に取り付けられている透磁率センサ100を、修理や再利用のために取り外す際には、作業者はまず、取り外し用の工具である取外部材の先端を、図12及び図13に示す実線の矢印が指す位置、即ち、透磁率センサ100の検知面とセンサ取り付け位置212aとによりその端部に形成された隙間に挿入する。この隙間は、透磁率センサ100の検知面とセンサ取り付け位置212aとの間における接着層109の厚みにより形成された隙間であって、作業者が操作する工具を誘導するための誘導部として機能する。尚、本実施形態においては、取外部材として、精密ドライバーやマイナスドライバー等、先端にテーパーがつけられて構成されている工具が用いられる。
作業者は、このように構成された取り外し用の工具の先端を上記隙間に挿入すると、てこの原理を利用してセンサ取り付け位置212aから透磁率センサ100を取り外す。このように、本実施形態によれば、作業者は簡単に透磁率センサ100を現像器212から取り外すことができる。
また、図12及び図13を参照して説明したように、透磁率センサ100の検知面とセンサ取り付け位置212aとの間にはその端部において、接着層109の厚みにより誘導部としての隙間が形成されている。そのため、作業者は、パターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されている位置を正確に確認することができなくても、この隙間に誘導されることで、それらが形成されている位置を避けて工具の先端を挿入することが可能となる。そのため、作業者が取り外し作業中に誤って工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことを防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、透磁率センサ100の取り外しに際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102を保護することが可能となる。
また、仮に、作業者が誤って上記隙間ではなく接着層109が接着されている領域に直接、工具を挿入してしまった場合であっても、接着層109の弾性力若しくは粘着力により、その工具の先端がパターンコイル101及びパターン抵抗102に達するといったことはない。そのため、このような場合であっても、作業者が取り外し作業中に誤って工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことを防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、透磁率センサ100の取り外しに際して、仮に、作業者が誤って上記隙間ではなく接着層109が接着されている領域に直接、工具を挿入してしまった場合であっても、パターンコイル101及びパターン抵抗102を保護することが可能となる。
尚、本実施形態においては、図10〜図13を参照して説明したように、透磁率センサ100は、その検知面の略全面に渡って接着層109が接着され、その接着層109の接着面における接着力により、現像器212におけるセンサ取り付け位置212aに取り付けられる例について説明した。この他、透磁率センサ100は、図14〜図17に示すように、その検知面の略全面ではなく、その検知面におけるパターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されている部位にのみ接着層109が接着され、その接着層109の接着面における接着力により、現像器212におけるセンサ取り付け位置212aに取り付けられるように構成されていても良い。
透磁率センサ100がこのように構成されると、本実施形態により得られる効果と同様の効果を得ることができるだけでなく、透磁率センサ100をより安価に製造することが可能となる。このように、パターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されている部位さえ接着層109により覆われていれば、本実施形態に係る効果を得るためには、即ち、作業者が取り外し作業中に誤って工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことを防ぐためには十分である。
このように構成された透磁率センサ100の構造を、図14〜図17に示す。図14は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、その検知面から見た図である。図15は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、その検知面に水平な方向であって、パターンコイル101とパターン抵抗102との接続方向に垂直な方向から見た図である。即ち、図15は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、図14に示す破線の矢印の方向に向かって見た図である。
図16は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、現像器212に取り付けられている状態においてその検知面から見た図である。図17は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、現像器212に取り付けられている状態において、その検知面に水平な方向であって、パターンコイル101とパターン抵抗102との接続方向に垂直な方向から見た図である。即ち、図17は、本実施形態に係る透磁率センサ100を、図16に示す破線の矢印の方向に向かって見た図である。
また、本実施形態においては、図12、図13若しくは図16、図17を参照して説明したように、接着層109の接着力により透磁率センサ100がセンサ取り付け位置212aに取り付けられる例について説明した。このとき、接着層109とセンサ取り付け位置212aとの接着面における接着力が、接着層109と透磁率センサ100との接着面における接着力と同等か若しくはより大きい場合、センサ取り付け位置212aから透磁率センサ100を取り外す際、接着層109とセンサ取り付け位置212aとは剥離し難く、接着層109と透磁率センサ100とは剥離し易くなる。
そして、接着層109と透磁率センサ100とが剥離すると、その接着力により、パターンコイル101及びパターン抵抗102が破損することがある。そこで、接着層109とセンサ取り付け位置212aとの接着面における接着力が、接着層109と透磁率センサ100との接着面における接着力より小さくなるように、センサ取り付け位置212aの表面にエンボス加工やシボ加工、ツヤ消し加工等を施すことで、上記問題を解消することが可能となる。
また、表面と裏面とで接着力が異なるような素材を接着層109として採用し、接着力が大きい面が透磁率センサ100の検知面側に、接着力が小さい接着面がセンサ取り付け位置212a側になるようにしても良い。また、接着面の素材に応じて接着力が変化するような素材を接着層109として採用し、透磁率センサ100の検知面を構成する素材と、センサ取り付け位置212aの表面を構成する素材とを考慮して接着層109の素材を選択するようにしても良い。
次に、本実施形態に係る透磁率センサ100の発振周波数のカウント方法について、図24を参照して説明する。図24は、本実施形態に係る入出力制御ASIC60の機能によってカウントされる透磁率センサ100のカウント値の態様を示す図である。透磁率センサ100周辺に存在する磁性体の濃度に変化がなければ、原則として透磁率センサ100は同一の周波数で発振を続ける。その結果、図24に示すように、時間経過に応じてカウンタ61のカウント値は一様に増加する。
また、CPU10に対してタイマ11から割込み信号が入力されると、CPU10が入出力制御ASIC60に対してリード信号を出力し、そのタイミングにおけるカウンタ61のカウント値がCPU10によって取得される。図24に示すように、t1、t2、t3、t4、t5夫々のタイミングにおいて、aaaah、bbbbh、cccch、ddddh、AAAAhといったカウント値が取得される。
CPU10は、夫々のタイミングにおいてカウント値を取得すると、図24に示すT1、T2、T3、T4夫々の期間における周波数を計算する。本実施形態に係るタイマ11は、2(msec)に相当する基準クロックをカウントすると割込み信号を出力する。従って、CPU10は、夫々の期間におけるカウンタ61のカウント値を2(msec)で割ることにより、図24に示すT1、T2、T3、T4夫々の期間における透磁率センサ100の発振周波数f(Hz)を算出する。
また、図24に示すように、本実施形態に係るカウンタ61のカウント値の上限はFFFFhである。従って、CPU10は、期間T4における周波数の算出に際して、FFFFhからddddhを引いた値と、AAAAhとの値の合計値を2(msec)で割ることにより発振周波数f(Hz)を算出する。
次に、本実施形態に係る透磁率センサ100の発振周波数の他のカウント方法について、図25を参照して説明する。図25は、本実施形態に係る入出力制御ASIC60の機能によってカウントされる透磁率センサ100のカウント値の他の態様を示す図である。図25の場合、入出力制御ASIC60において、カウンタ61はカウント値出力部63によってカウント値を読み出された後、カウント値をリセットする。このリセット処理は、カウント値出力部63がカウント値の読み出し後にカウンタ61にリセット信号を入力しても良いし、カウンタ61の仕様として、カウント値が一度読み出される度にリセットされるような機能を設けても良い。
図25の態様の場合、夫々のタイミングにおいて取得されるカウント値は、夫々の期間T1、T2、T3、T4内にカウントされた値である。従って、CPU10は、夫々のタイミングにおいて取得したカウント値を2(msec)で割ることにより、発振周波数f(Hz)を算出する。
このように、本実施形態に係るコントローラ1においては、透磁率センサ100が発振する信号の周波数を取得し、その取得結果に基づいて透磁率センサ100の発振周波数に対応する事象を判断することができる。そして、本実施形態に係る透磁率センサ100においては、パターンコイル101のコイル面が対向する空間に存在する磁性体の濃度に応じてインダクタンスLが変化し、結果として出力端子108から出力される信号の周波数が変化する。その結果、コントローラ1においては、パターンコイル101のコイル面が対向する空間に存在する磁性体の濃度を検知することが可能となる。
このような透磁率センサ100は、上述したように所定の空間における磁性体の濃度に応じた周波数で発振する。また、水晶発振回路70は、予め定められた周波数で発振する。しかしながら、それらはいずれも、使用環境の温度に応じて発振周波数が変動する温度特性を有する。
ここで、本実施形態に係る水晶発振回路70の発振周波数の温度特性について、図26を参照して説明する。図26は、水晶発振回路70の温度特性グラフを示す図である。図26に示すように、水晶発振回路70は、ある温度をピークとした放物線状の温度特性を有する。
コントローラ1において、透磁率センサ100が発振する信号の周波数に基づいて所定空間における磁性体の濃度を高精度に検知するためには、温度変動に応じた発振周波数の変化は可能な限り小さいことが好ましい。また、上述したようにコントローラ1における発振周波数の算出は、タイマ11によってカウントされる2(msec)毎にカウント値を取得し、そのカウント値を2(msec)で割ることにより行われる。
ここで、タイマ11は、水晶発振回路70から入力される基準クロックに基づいて2(msec)をカウントするため、図26に示すような温度特性によって水晶発振回路70の発振周波数が変動すると、2(msec)分のカウント値が同一である限り、2(msec)分のカウント期間が変動してしまう。その結果、CPU10によって算出される透磁率センサ100の発振周波数に誤差が生じる。
これに対して、透磁率センサ100の温度特性が、図26に示すような水晶発振回路70の温度特性と類似していれば、上述したような発振周波数の算出誤差をキャンセルすることが可能である。即ち、温度変動によって水晶発振回路70の発振周波数が変動したとしても、透磁率センサ100の発振周波数も同様に変動していれば、2(msec)分のカウント期間においてカウンタ61によりカウントされるカウント値の変動が少なくなるため、最終的に算出される透磁率センサ100の発振周波数の誤差を小さくすることができる。
このような趣旨により、透磁率センサ100の発振周波数の温度特性を、任意に調整することが求められる。ここで、LC発振回路の発振周波数について説明する。図1に示すLC発振回路からパターン抵抗102を除いた従来のLC発振回路の発振周波数は、以下の式(1)により表される。
従って、透磁率センサ100の発振周波数の温度特性を調整するためには、上記式(1)に含まれる夫々のパラメータ“L”、“C”、“RL”を調整することとなる。ここで、本実施形態に係るパターンコイル101のインダクタンスLの温度特性について、図27を参照して説明し、本実施形態に係る第一コンデンサ103、第二コンデンサ104の静電容量Cの温度特性について、図28を参照して説明し、本実施形態に係る回路抵抗RLの温度特性について、図29を参照して説明する。
図27は、本実施形態に係るパターンコイル101のインダクタンスLの温度特性グラフを示す図である。図28は、本実施形態に係る第一コンデンサ103、第二コンデンサ104の静電容量Cの温度特性グラフを示す図である。図29は、本実施形態に係る回路抵抗RLの温度特性グラフを示す図である。
図27に示すように、パターンコイル101のインダクタンスLは、温度上昇に応じて増大する特性を有する。また、図28に示すように、第一コンデンサ103、第二コンデンサ104の静電容量Cは、温度上昇に応じて減少する特性を有する。また、図29に示すように、回路抵抗RLは、温度上昇に応じて増大する特性を有する。
このような温度特性に基づき、夫々のパラメータを調整することが出来れば、透磁率センサ100の温度特性を良好に、即ち、温度変化に対する発振周波数の変動を少なくすることが出来ると共に、図26において説明したような水晶発振回路70の温度特性に合わせることが可能となる。
しかしながら、上記式(1)に含まれる各パラメータのうち、“RL”は独立して調整することが困難なパラメータである。また、“RL”の値は“L”の影響を受けるため、“RL”と“L”とを独立して調整することも難しい。また、透磁率センサ100の発振周波数を考慮すると、“C”の値も他のパラメータと独立して調整することが難しい。
これに対して、本実施形態に係る透磁率センサ100においては、共振電流ループにおいて直列にパターン抵抗102を挿入し、このパターン抵抗102の抵抗値RPを調整することによって透磁率センサ100の発振周波数の温度特性を調整する。抵抗値RPは上述したような制約を受けることなく独立して調整することが可能なパラメータであるため、このような温度特性の調整が可能となる。
まず、パターン抵抗102の抵抗値RPを調整することにより透磁率センサ100の温度特性を調整可能であることの原理について説明する。上記式(1)は、共振電流ループにおける回路のインピーダンスが最少となる条件において、共振電流ループにおける回路のインピーダンスを示す式の一部を角速度ωについて解いた式である。従って、式(1)を共振電流ループにおける回路のインピーダンスが最少となる条件を示す式に変形すると、下記の式(2)のようになる。
上記式(2)は、パターン抵抗102が含まれない場合の式であるため、上記式(2)に基づき、パターン抵抗102の抵抗値RPを含み、共振電流ループのインピーダンスを示す式は以下の式(3)のようになる。
ここで、本実施形態に係るパターン抵抗102のインダクタンスの周波数特性について、図30を参照して説明する。図30は、周波数を変化させてパターン抵抗102のインダクタンスを測定した結果のグラフを示す図である。図30に示すように、パターン抵抗102はつづら折状のパターンによって発生する磁束によるインダクタンス成分を有し、そのインダクタンスは、例えば3×106(Hz)前後では13(nH)程度の値である。従って、上記式(3)のZRPは、パターン抵抗102のインダクタンス成分をLRPとして以下の式(4)によってあらわされる。
すると、上記式(3)に基づき、インピーダンスZが最少になる条件において、以下の式(5)の関係が成り立つ。
上記式(5)に基づいて図1に示す回路の発振周波数f0を求めると、以下の式(6)のようになる。
上記式(6)において、“RL”、“L”、“C”の値の調整は困難であるが、LRPは他のパラメータとは独立して調整することが可能である。図27において説明したように、一般的に、温度変動に対するインダクタンスの応答は比例関係にある。結果的に、LRPの値は、発振周波数に対しては、温度の上昇に対して周波数を下げる方向に作用する。従って、式(6)においてLRP以外の部分によって決まる温度特性を温度の上昇に対して周波数を上げる方向に作用させることにより、広範な温度領域に対して温度特性を安定化させることが可能となる。
ここで、図30及び上記式(4)に示すように、パターン抵抗102はインダクタンス成分を有するため、パターンコイル101と同様に、周囲の透磁率の変化によってインダクタンス値LRPが変化してしまうことが考えられる。その結果、パターンコイル101によるセンシング部の範囲がパターン抵抗102の実装範囲によって拡大されたことと同義にもなることも考えられる。その点について図31(a)〜(c)を参照して説明する。
図31(a)はパターン抵抗102の形成態様を示す図であり、図31(b)、(c)は、図31(a)の切断線AAにおける断面図である。図31(b)に示すように、パターン抵抗102に電流が流れることにより、図中の破線で示すような磁束が発生する。その結果、隣接するパターン間の磁束は強められ、結果的に図31(b)に示すように、つづら折状のパターンにおいて、隣接するパターン間に互い違いの方向に磁束が発生することとなる。この磁束がパターン抵抗102のインダクタンス値LRPを生成することとなる。
ここで、図31(b)に示すように発生する磁束の影響範囲における透磁率に変化が生じると、夫々のパターン間に発生している磁束によるインダクタンス成分にも変化が生じることとなる。しかしながら、図31(c)に示すように、夫々のパターン間に発生する磁束のうち、一方向の磁束における透磁率変化の成分と、反対方向の磁束における透磁率変化の成分との符号は、磁束の方向が異なるために正負が反対でキャンセルされる。
結果としてパターン抵抗102全体におけるインダクタンス成分は、周囲の透磁率が変化したとしても変化しないこととなる。即ち、パターン抵抗102は、周囲の透磁率に影響を受けず、透磁率に対するセンシング機能のないインダクタとして用いることが可能である。尚、本実施形態に係る透磁率センサ100は、共振電流ループにおいてパターンコイル101と直列にパターン抵抗102を挿入し、そのパターン抵抗102の抵抗値を調整することによって発振周波数の温度特性の調整を容易に行うものであり、仮にパターン抵抗102が、周囲の透磁率に対するセンシング機能を有したとしても問題ない。
従って、図1に示すように共振電流ループ中にパターン抵抗102を設けることは、パターンコイル101によるセンシング部の範囲がパターン抵抗102の実装範囲によって拡大されたことにはならない。換言すると、つづら折状のパターン抵抗102を設けることにより、透磁率センサとして用いるLC発振回路において、透磁率のセンシング機能とは無関係なインダクタンス成分を設けることが可能となる。
ここで、図1に示す回路においてパターン抵抗102のインダクタンス値LRPの値を諸々に変化させ、温度変動に対する周波数の変化を測定した結果を図32(a)〜(d)に示す。尚、図32(a)〜(d)において、LRP1<LRP2<LRP3<LRP4である。図32(a)〜(d)に示すように、パターン抵抗102のインダクタンス値が大きいほど、温度変動に対して放物線状に変化する周波数において、ピーク、即ち極値となる温度が下がっていることがわかる。従って、パターン抵抗102のインダクタンス値LRPを調整することにより、透磁率センサ100の発振周波数の温度特性の調整が可能であることがわかる。
ここで、パターン抵抗102のインダクタンス成分の調整方法の例について、図33を参照して説明する。図33(a)〜(d)は、図32(a)〜(d)に示すLRP1〜LRP4に対応するパターン抵抗102の形成態様を示す図である。図33(a)〜(d)に示すように、パターン抵抗102の形状であるつづら折の折数を増やすことにより、インダクタンス値を大きくすることができる。このように、つづら折状のパターン抵抗102を用いることにより、図32(a)〜(d)に示すような温度特性の調整が可能であるという効果に加えて、温度特性を調整するためのインダクタンス値の調整を、つづら折の折数を変更するだけで容易に実現可能であるという効果もある。
また、実験結果においては、図32(a)〜(d)に示すような温度特性において放物線のピークにおける温度が図26に示す水晶発振回路70の温度特性における放物線のピークに合致するようにパターン抵抗102を形成すると、そのパターン抵抗の抵抗値は0.3(Ω)であった。その場合において、想定される使用環境の温度範囲である10〜50(℃)の範囲における周波数の変動は、±37(ppm:part per million)という結果となり、従来技術に対して良好な温度変動が得られると共に、水晶発振回路70の周波数の変動範囲である±10〜40(ppm)に概ね合致する結果となった。
このように、本実施形態においては、共振電流ループにおいて直列にパターン抵抗102を挿入することにより、発振周波数の温度特性の調整が容易なLC発振回路を用いた透磁率センサを提供することができる。
尚、本実施形態においては、パターンコイル101及びパターン抵抗102を用いることにより、所定空間の透磁率を検知する透磁率センサ100について説明した。これに対して、図2に示すセンサのパターンコイル101のインダクタンスに影響する範囲の透磁率が一定であることを前提とすると、図1に示す回路の発振周波数変動は、図32(a)〜(d)において説明したような温度に対する変動成分のみとなる。
従って、本実施形態において説明した透磁率センサ100は、透磁率センサとしてのみでなく、温度センサとしても用いることが可能である。この場合、図32(a)〜(d)において説明した温度特性としては、検知対象とするべき温度範囲においては、単純上昇または単純下降となるような温度特性を選択することが好ましい。これにより、センサの発振周波数に基づく単純な計算で、センサが設置された部分の温度を検知することが可能となる。このような観点からも、上述したようにパターン抵抗102を調整することによって、回路の発振周波数の温度特性を調整可能であることは有意義である。
また、本実施形態においては、図33(a)〜(d)において説明したように、直線及び直角のみで構成されたつづら折のパターンをパターン抵抗102として用いる場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、つづら折のパターンとしてはさまざまなパターンが考えられる。例えば、図34(a)に示すように、曲線で構成されたつづら折のパターンや、図34(b)に示すように直線と鋭角で構成されたつづら折のパターンを用いることが出来る。また、図34(c)、(d)に示すように、図34(a)、(b)のつづら折パターンを構成する山の角度が傾いたパターンを用いることが出来る。
実施の形態2.
実施の形態1においては、図12、図13若しくは図16、図17を参照して説明したように、接着層109の接着力により透磁率センサ100がセンサ取り付け位置212aに取り付けられることで、作業者を透磁率センサ100の検知面とセンサ取り付け位置212aとの間に形成された誘導部としての隙間に誘導する例について説明した。
この場合、作業者は、パターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されている位置を正確に確認することができなくても、それらが形成されている位置をより避けて工具を挿入することが可能となる。そのため、作業者が取り外し作業中に誤って工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことを防ぐことができる。従って、実施の形態1によれば、透磁率センサ100の取り外しに際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102を保護することが可能となる。
一方、本実施形態においては、透磁率センサ100の検知面の角に誘導部として面取りが施され若しくは凹部が設けられることで、透磁率センサ100の取り外しに際して、作業者をパターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されていない位置に明示的に誘導する例について説明する。
この場合、作業者は、パターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されている位置を正確に確認することができなくても、それらが形成されている位置をより確実に避けて工具を挿入することが可能となる。そのため、作業者が取り外し作業中に誤って工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことをより確実に防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、透磁率センサ100の取り外しに際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102をより確実に保護することが可能となる。以下、詳細に説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については、同一または相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
まず、本実施形態に係る透磁率センサ100の構造を、図18〜図21に示す。図18〜図21は、本実施形態に係る透磁率センサ100において、実施の形態1における図10〜13に夫々対応する図である。図18〜図21に示すように、本実施形態に係る透磁率センサ100は、接着層109が接着されていない領域若しくはパターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されていない領域(図中の位置111a〜111f)の角に誘導部として面取りが施され若しくは凹部が設けられて構成されている。このような構成とすることにより、作業者は、透磁率センサ100の取り外しに際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されていない位置に明示的に誘導されることになる。
そのため、作業者は、パターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されている位置を正確に確認することができなくても、それらが形成されている位置をより確実に避けて工具を挿入することが可能となる。そのため、作業者が取り外し作業中に誤って工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことをより確実に防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、透磁率センサ100の取り外しに際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102をより確実に保護することが可能となる。
尚、本実施形態において示した誘導部の設置位置は一例であって、パターンコイル101及びパターン抵抗102の形成や各電子部品の取り付けの障害とならない位置であればどこに設けられていても良い。
実施の形態3.
実施の形態2においては、透磁率センサ100の検知面の角に誘導部として面取りが施され若しくは凹部が設けられることで、透磁率センサ100の取り外しに際して、作業者をパターンコイル101及びパターン抵抗102が形成されていない位置に明示的に誘導する例について説明した。この場合、作業者が取り外し作業中に誤って工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことをより確実に防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、透磁率センサ100の取り外しに際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102をより確実に保護することが可能となる。
一方、本実施形態においては、透磁率センサ100ではなく、センサ取り付け位置212aにおける透磁率センサ100の取り付け面の角に誘導部として面取りが施され若しくは凹部が設けられる等の加工が施されている例について説明する。この場合、実施の形態2と同様の効果を得ることが可能となる。以下、詳細に説明する。尚、実施の形態1及び2と同様の符号を付す構成については、同一または相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
まず、本実施形態に係る現像器212の構成について、図22を参照して説明する。図22は、本実施形態に係る現像器212の概観を示す斜視図である。尚、図22は、現像器212が画像形成装置200に搭載された状態、即ち、現像器212の使用時における状態とは上下を反転させて示している。図22に示すように、本実施形態に係る現像器212には、そのセンサ取り付け位置212aにおける透磁率センサ100の取り付け面の角に誘導部として面取りが施され若しくは凹部が設けられている。本実施形態に係る現像器212がこのように構成されることにより実施の形態2と同様の効果を得ることが可能となる。
尚、本実施形態においては、図22を参照して説明したように、センサ取り付け位置212aにおける透磁率センサ100の取り付け面の角に誘導部として面取りが施され若しくは凹部が設けられている例について説明した。この他、現像器212は、図23に示すように、そのセンサ取り付け位置212aにおける透磁率センサ100の取り付け面を囲むように壁が設けられ、その壁に誘導部としての切り込みが設けられて構成されていても良い。図23は、本実施形態に係る現像器212の概観を示す斜視図である。尚、図23は、図22と同様に、現像器212が画像形成装置200に搭載された状態、即ち、現像器212の使用時における状態とは上下を反転させて示している。
現像器212がこのように構成されることで、実施の形態2と同様の効果を得ることが可能となるだけでなく、作業者が誤ってその切り込み以外の部分に工具を挿入することができなくなるので、パターンコイル101及びパターン抵抗102に傷を付けてしまうといったことを更により確実に防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、透磁率センサ100の取り外しに際して、パターンコイル101及びパターン抵抗102を更により確実に保護することが可能となる。尚、図23に示す誘導部としての切り込みに、図22に示すように面取りが施され若しくは凹部が設けられていても良い。
尚、本実施形態において示した誘導部の設置位置は一例であって、透磁率センサ100の取り外しの際に工具でパターンコイル101及びパターン抵抗102を傷つけないような位置であればどこに設けられていても良い。
以上、実施の形態1〜3において説明したように、本発明の要旨は、パターンコイル101及びパターン抵抗102を含むLC発振回路を用いた透磁率センサ100の保管時や運搬時及び現像器212からの取り外しに際して、そのパターンコイル101及びパターン抵抗102を保護することにある。
尚、実施の形態1〜3においては、透磁率センサ100が、磁性粒子であるキャリアと非磁性の顕色剤であるトナーとが混合された2成分現像剤を使用する電子写真方式の画像形成装置200における現像器212に取り付けられて、その現像器212内部における2成分現像剤中のトナーの濃度を測定するトナー濃度検知器として利用される場合を例として説明したが、これに限らず、パターンコイル101及びパターン抵抗102を含むLC発振回路を用いて、それらが形成された平面に対向する所定空間の透磁率を検知する透磁率検知器であれば同様に適用可能である。
また、実施の形態1〜3においては、パターンコイル101及びパターン抵抗102を含むLC回路を利用した透磁率センサ100について説明したが、パターン抵抗102は必須の構成ではなく、パターン抵抗102を含まずパターンコイル101のみを含むLC回路を利用した透磁率センサであれば適用可能である。
また、実施の形態1〜3はそれぞれが独立して実施されるだけではなく、例えば、実施の形態1と2とが組み合わされて実施され、若しくは、実施の形態1と3とが組み合わされて実施され、さらには、実施の形態1〜3が組み合わされて実施される等、その実施態様は多様であるが、このような場合であっても、実施の形態1〜3において説明した効果が得られることに変わりはない。