JP6331243B2 - ポリカーボネートジオールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は新規なポリカーボネートジオールに関する。詳しくは、物性バランスに優れた塗料、コーティング剤、合成・人工皮革、高機能エラストマー用途等に有用なポリカーボネート系ポリウレタンの原料となるポリカーボネートジオールに関するものである。
従来、工業規模で生産されているポリウレタン樹脂の主たるソフトセグメント部の原料は、ポリテトラメチレングリコールに代表されるエーテルタイプとアジペート系エステルに代表されるエステルタイプ、ポリカプロラクトンに代表されるポリラクトンタイプ、そしてポリカーボネートジオールに代表されるポリカーボネートタイプに分けられる(非特許文献1)。
このうちエーテルタイプは、耐加水分解性、柔軟性、伸縮性には優れるものの、耐熱性及び耐光性が劣るとされている。一方、エステルタイプは耐熱性、耐候性は改善されるもののエステル部の耐加水分解性が低く、用途によっては使用することができない。一方、ポリラクトンタイプは、エステルタイプと比較すると耐加水分解性に優れるグレードとされているが、同様にエステル基があるために加水分解を完全に抑制する事はできない。また、これらエステルタイプ、エーテルタイプ、ポリラクトンタイプを混合して使用する事も提案されているが、従来法ではそれぞれの欠点を完全に補う事は出来ていない。
これに対して、ポリカーボネートジオールを用いるポリカーボネートタイプのポリウレタンは、耐熱性、耐加水分解性において最良な耐久グレードとされており、耐久性フィルムや自動車や家具用の人工皮革、塗料(特に水系塗料)、コーティング剤、接着剤として広く利用されている。
しかしながら、現在広く市販されているポリカーボネートジオールは、1,6−ヘキサンジオールから合成されるポリカーボネートジオールが中心であり、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンは、ソフトセグメント部位が鎖状であることから柔軟で、表面が物理的に傷つきやすいと言う欠点があった。このため、得られたポリウレタンを塗料やコーティング剤として使用した場合、物理的な要因により簡単に傷ついてしまい外観が悪化してしまうという問題が生じていた。
これらの課題を解決すべく、より剛直性に富むポリウレタンを与えるポリカーボネートジオールとして、1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られるポリカーボネートジオール(特許文献1)が、また、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールから得られるポリカーボネートジオール(特許文献2)が提案されている。
しかしながら1,4−シクロヘキサンジメタノールは、その製法上の制約からシス体とトランス体の混合物であり、これらの混合比が変わると、合成されるポリカーボネートジオール自体、さらには誘導されるポリウレタンの物性が変わるため、品質の管理が難しいという問題がある。また、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールを組み合わせ用いて得られるポリカーボネートジオールは、その構造から疎水性が高いものとなるため、最近特に環境負荷低減という視点から注目されている水性ポリウレタンを製造する場合には、ポリウレタンを水溶性にするために水溶性構造をポリウレタン製造の際に導入しなければならず、このことがポリウレタンを設計する際において少なからずとも制約となっていた。また、1,4−シクロヘキサンジメタノールは、分子内に環構造としてシクロヘキサン環を有しているものの、シクロヘキサン環はフレキシビリティのある環構造であり、さらに水酸基がメチレン基を介してシクロヘキサン環に結合しているため分子構造としてはそれほど剛直なものではなく、得られるポリウレタンの硬さという
点においても必ずしも十分なものではなかった。さらに、1,4−シクロヘキサンジメタノールは化石資源由来であり、これを原料とした重合物を焼却すると地球温暖化を促進す
るという問題点もあった。
従って、これらの制約なく簡便に製造することができ、なお且つ環境負荷の小さなポリカーボネートジオールであって、ポリウレタンとした際に、硬く、物理的に傷つきにくい特性が得られるポリカーボネートジオールの開発が望まれていた。
このような背景の中、植物由来であるソルビトールを脱水環化して得られるジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの利用も検討されている(例えば、特許文献3)。イソソルビドは植物由来であることから、焼却してもカーボンニュートラルであり、環境負荷の小さな化合物であるだけでなく、上述の1,6−ヘキサンジオールや1,4−シクロヘキサンジメタノールに比べ分子構造が剛直で、ポリウレタンとした際に、硬く、物理的に傷つきにくい特性が得られるという特徴がある。
特開昭55−56124号公報 特開2002−69166号公報 国際公開第2009/033934号パンフレット
"ポリウレタンの基礎と応用"96頁〜松永勝治 監修、(株)シーエムシー出版、2006年11月発行
従前知られた技術では、イソソルビドは従来の石油由来のジヒドロキシ化合物に比べ熱安定性に劣るため、ポリカーボネートジオールの合成中や精製中に着色が起こりやすいという欠点があった。本発明は、硬く、物理的に傷つきにくく、色調および熱安定性に優れ、親水性に優れるポリウレタン製造に有用な原料ポリカーボネートジオールを設計、製造することを課題とする。本発明はまた、そのポリカーボネートジオールを工業的なスケールで製造する方法を確立することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、分子鎖に特定の繰り返
し単位を含み、特定の金属を特定量含む、特定の数平均分子量のポリカーボネートジオー
ルが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記[1]〜[2]に存する。
[1]
原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触
媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られた数平均分子量が500以上5
000以下のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、前記ジヒドロキシ化合
物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位に下記式(1)で表されるエーテル性酸素原子
を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含み、前記エステル交換触媒が、長周期型周期
表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であり、前記ポリカ
ーボネートジオールに含まれる前記エステル交換触媒の量が、その金属原子の重量比とし
て、2ppm以上、48.3ppm以下であって、JIS K0071−1(1998)
に準拠して測定したハーゼン色数が、80以下であることを特徴とするポリカーボネート
ジオールの製造方法
Figure 0006331243

前記重縮合反応の最高温度が190℃以下である[]に記載のポリカーボネートジオ
ールの製造方法。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンは、従来汎用とされている1,6−ヘキサンジオール由来のポリカーボネートジオールを原料としたポリウレタンと比較して、硬度及び耐擦性に優れるという特長を有し、塗料や、コーティング剤、接着剤など物理的な外因に対して耐久性が求められる用途に適しており、着色も抑制されていることから産業上極めて有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ポリカーボネートジオール]
本発明のポリカーボネートジオールは、原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られた数平均分子量が500以上5000以下のポリカーボネートジオールであって、前記ジヒドロキシ化合物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位またはγ位に下記式(1)で表されるエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含むことを特徴とする(以下、「本発明のジヒドロキシ化合物(A)」と称することがある)。
Figure 0006331243
<ジヒドロキシ化合物>
本発明のジヒドロキシ化合物(A)における2つのヒドロキシル基は、アルコール性のヒドロキシル基であり、ジヒドロキシ化合物の骨格に脂肪族炭化水素構造や芳香族環構造、ヘテロ原子を有していてもよい。また、「エーテル性酸素原子」とは、当該酸素原子が2つの炭素と単結合していることを意味し、ヒドロキシル基やカルボニル基を構成する酸素原子と区別される。
また、本発明の「ヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位またはγ位に式(1)で表されるエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物」において、β位、γ位とは、ジヒドロキシ化合物においてヒドロキシ基が結合する炭素原子を基準にして、隣接する炭素原子の位置をα位、更にその隣の炭素原子をβ位、更にその隣の炭素原子をγ位とすることを意味する。
例えば、後述するイソソルビドの場合は、ヒドロキシ基が結合する炭素原子を基準にして、β位に相当する炭素原子がエーテル性酸素原子となっており、「ヒドロキシ基のβ位に下記式(1)で表されるエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物」に該当する。
本発明のジヒドロキシ化合物(A)としては、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,
5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記式(4)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられるが、中でも、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記式(4)で表される環状エーテル構造を有する化合物が好ましい。
これらは得られるポリカーボネートジオールの要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006331243
Figure 0006331243
上記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることがポリウレタンの耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、親水性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明のジヒドロキシ化合物(A)は、不安定な場合があり、保存や使用する際には注意を要する。例えば、イソソルビドは酸素が存在すると徐々に酸化されるので、保管や製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが肝要である。また、水分が混入しないようにすることも必要である。イソソルビドが酸化されると、ギ酸をはじめとする分解物が発生する。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネートジオールを製造すると、得られるポリカーボネートジオールに着色が発生したり、物性が著しく劣化したりする場合がある。また重合反応に影響を与え、目的の分子量の重合体が得られない場合がある。
これらの対策としては公知の文献に記載の方法を任意に採用することができる。例えば
、特開2009−161745号公報には、ポリカーボネートを製造する際に使用するイソソルビドなどのジヒドロキシ化合物中に含まれる好ましいギ酸の量が規定されており、規定量以下のジヒドロキシ化合物を用いると物性の良いポリカーボネートが得られるとしている。
本発明のポリカーボネートジオール製造する場合にも同様の事が言え、本発明のジヒドロキシ化合物(A)中に含まれるギ酸の量は、特に限定はされないが上限は通常20ppm、好ましくは10ppm、さらに好ましくは5ppmであり、特に好ましくは1ppmである。
また、本発明のジヒドロキシ化合物(A)は酸化的に劣化するとpHが下がることがある。本発明のジヒドロキシ化合物(A)の40%水溶液のpHの下限は、特に限定はされないが、通常3であり、好ましくはpH4、さらに好ましくはpH5であり、上限はpH11、好ましくはpH10である。pHは例えば、WO2009/057609号公報に記載の方法、すなわちジヒドロキシ化合物の40%水溶液としてpHメーターで測定する方法が採用できる。
本発明のジヒドロキシ化合物(A)が酸化劣化すると、過酸化物を生じる可能性がある。この過酸化物は、本発明のポリカーボネートジオールを製造する際や、ウレタン化反応の際の着色の原因になることがあるので、より少ない方が好ましい。本発明のジヒドロキシ化合物(A)中の過酸化物の量は、通常は本発明のジヒドロキシ化合物(A)の重量に対して10ppm以下、好ましくは5ppm以下、より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。下限は特に限定されないが、通常0.01ppm以上である。
本発明のジヒドロキシ化合物(A)中に、長周期型周期表第1族の金属および/又は2属の金属化合物が含有されると、ポリカーボネート化反応の際、さらには得られたポリカーボネートジオールをポリウレタン化する際の反応速度に影響を与えてしまう場合がある。そのため、本発明のジヒドロキシ化合物(A)中の長周期型周期表第1族の金属および/又は2属の金属化合物の含有量は、特に限定はされないが、少ないほうが好ましく、通常、上限は、本発明のジヒドロキシ化合物(A)に対しての金属の重量比率として10ppm、好ましくは5ppm、より好ましくは3ppm、さらに好ましくは1ppmである。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法においては、原料モノマーとして、上記本発明のジヒドロキシ化合物(A)以外のジヒドロキシ化合物(以下「ジヒドロキシ化合物(B)」と称する。)に由来する構成単位を含んでいてもよく、ジヒドロキシ化合物(B)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、等の脂環式ジヒドロキシ化合物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒ
ドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。
中でも、ウレタン樹脂の耐光性の観点からは、ジヒドロキシ化合物(B)が、下記式(3)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、特に1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましいが、色調および取扱の容易さの観点からは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
HO−R−OH ・・・(3)
(式中Rは、炭素数2〜15の2価の炭化水素基を表す)
これらのジヒドロキシ化合物(B)を用いることにより、本発明のポリカーボネートジオールのハンドリング性が向上し、本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンの柔軟性の改善、耐熱性の向上、成形性の改善などの効果を得ることも可能であるが、ジヒドロキシ化合物(B)に由来する構成単位の含有割合が多過ぎると、ポリウレタンの硬度、機械的物性、耐熱性、親水性等の低下を招くことがあるため、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する本発明のジヒドロキシ化合物(A)に由来する構造単位の割合が、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上であり、ハンドリング性を考慮すると、90モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは75モル%以下である。
また、本発明のポリカーボネートジオールは、該分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合が、前記分子鎖の全末端数に対して5%以下で、分子鎖の両末端の95%以上が水酸基であり、ポリウレタン化反応の際はこの水酸基がイソシアネート化合物と反応できる構造となっている。
{原料モノマー}
本発明のポリカーボネートジオールは、後述するように、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを 原料として製造される。
<炭酸ジエステル>
使用可能な炭酸ジエステルとしては、本発明の効果を失わない限り限定されないが、アルキルカーボネート、アリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。このうちアリールカーボネートを使用すると速やかに反応が進行するという利点がある。しかしその一方で、アリールカーボネートを原料とすると沸点の高いフェノール類が副生するが、フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるため、本発明のポリカーボネートジオール中のフェノール類の残留量は、より少ない方が好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの製造に用いることができる炭酸ジエステルのジア
ルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの具体例は以下の通りである。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートである。
ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジm−クレジルカーボネート等が挙げられ、好ましくはジフェニルカーボネートである。
さらにアルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、1,3−ペンチレンカーボネート、1,4−ペンチレンカーボネート、1,5−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、2,4−ペンチレンカーボネート、ネオペンチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはエチレンカーボネートである。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でもジアリールカーボネートが反応性に富み、工業的に製造する上で効率的であることから好ましく、中でも工業原料として容易にかつ安価に入手可能なジフェニルカーボネートがより好ましい。
本発明のジヒドロキシ化合物(A)中に塩化物イオンや臭化物イオンなどのハロゲン成分が含有されると、ポリカーボネート化反応の際、さらには得られたポリカーボネートジオールをポリウレタン化する際の反応に影響を与えたり、着色の原因となる場合があるため、その含有量は少ないほうが好ましい。通常、本発明のジヒドロキシ化合物(A)中のハロン成分の含有量の上限は、本発明のジヒドロキシ化合物(A)の重量に対してハロゲン重量として10ppm、好ましくは5ppm、より好ましくは1ppmである。
酸化等により劣化したり、あるいは上記不純物を含む本発明のジヒドロキシ化合物(A)は、蒸留等により精製することができる。蒸留後再び酸化劣化するのを防ぐためには安定剤を添加することも有効である。具体的な安定剤としては通常一般に有機化合物の酸化防止剤として使用されているものであれば制限なく使用することが可能であり、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学製、商品名:Smi ize
r(登録商標)GS)などのフェノール系安定化剤、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(住友化学製、商品名Smi1izer(登録商標)GP)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系安定化剤が例として挙げられる。
{分子量・分子量分布}
本発明のポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn)の下限は500であり、好ましくは700、さらに好ましくは800である。一方、上限は5000であり、好ましくは3000、さらに好ましくは1500である。ポリカーボネートジオールの数平均分子量が前記下限未満では、ウレタンとした際に本発明の特徴である硬度が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過ではポリカーボネートジオールの粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングに支障が出る可能性がある。
本発明のポリカーボネートジオールの分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、下限は通常1.5であり、好ましくは1.7であり、より好ましくは2.0である。上限は通常3.5であり、好ましくは3.0である。
分子量分布が上記範囲を超える場合、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンの物性が、低温で硬くなる、伸びが悪くなる等、悪化する傾向があり、分子量分布が上記範囲未満のポリカーボネートジオールを製造しようとすると、オリゴマーを除くなどの高度な精製操作が必要になる場合がある。
ここでMwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量であり、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定で求めることができる。
{分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合・水酸基価}
本発明のポリカーボネートジオールは基本的にポリマーの末端構造は水酸基である。しながら、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応で得られるポリカーボネートジオール生成物中には、不純物として一部ポリマー末端が水酸基ではない構造のものが存在する場合がある。その構造の具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くは炭酸ジエステル由来の構造である。
例えば、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用した場合はアリールオキシ基としてフェノキシ基(PhO−)、ジメチルカーボネートを使用した場合はアルキルオキシ基としてメトキシ基(MeO−)、ジエチルカーボネートを使用した場合はエトキシ基(EtO−)、エチレンカーボネートを使用した場合はヒドロキシエトキシ基(HOCH2CH2O−)が末端基として残存する場合がある(ここで、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す)。
本発明において、ポリカーボネートジオール生成物中に含まれる分子鎖末端がアルキルオキシ基ないしアリールオキシ基となっている構造の割合は、その末端基の数として全末端数の5モル%以下、好ましくは3モル%以下、より好ましくは1モル%以下である。この分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合の下限は特に制限はなく、通常は0.01モル%、好ましくは0.001モル%、最も好ましくは0モル%である。アルキルオキシないしアリールオキシ末端基の割合が大きいとポリウレタン化反応を行なう際に重合度が上がらないなどの問題が生じる場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールは、上述のように分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合が5%以下で、分子鎖の両末端基は基本的には水酸基であり、ポリウレタン化反応の際はこの水酸基がイソシアネートと反応できる構造となっている。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価は、特に限定されないが下限は通常10mg−KOH/g、好ましくは20mg−KOH/g、より好ましくは35mg−KOH/g、更に好ましくは80mg−KOH/gである。また、上限は通常230mg−KOH/g、好ましくは160mg−KOH/g、より好ましくは140mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリウレタンとした時に強度や硬度が不足する場合がある。
{エーテル構造}
本発明のポリカーボネートジオールは、カーボネート基によりジヒドロキシ化合物が重合した構造が基本となっている。しかしながら、製造方法によっては、一部ジヒドロキシ化合物の脱水反応によりエーテル構造となったものが混入する場合があり、その存在量が多くなると耐候性や耐熱性が低下することがあるので、エーテル構造の割合が過度に多くならないように製造することが望ましい。ポリカーボネートジオール中のエーテル構造を
低減して、耐候性、耐熱性等の特性を確保する点において、本発明のポリカーボネートジオールの分子鎖中に含まれるエーテル結合とカーボネート結合の比は、特に限定されないが、通常モル比で2/98以下、好ましくは1/99以下、より好ましくは0.5/99.5以下である。 これらの値は、アルカリ加水分解して液体クロマトグラフィーを測定
したり、1H−NMRを測定したりすることで求めることができる。
{粘度・溶媒溶解性}
本発明のポリカーボネートジオールは、室温付近で通常、液状からワックス状の白濁固体という性状を呈しているが、加温する事により粘度を低下させることができ、ハンドリングしやすくなる。また、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系の溶媒、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒に溶解させることも可能で、移送や反応が行いやすくなる場合もある。
本発明のポリカーボネートジオールの性状は上述したように通常室温で液状〜固体であり、温度によりその性状は異なる。例えば粘度で表すと、本発明のポリカーボネートジオールの60℃における粘度の下限は好ましくは0.01Pa・s、より好ましくは0.1Pa・s、さらに好ましくは1Pa・sであり、上限は好ましくは500Pa・s、より好ましくは300Pa・s、さらに好ましくは100Pa・sである。
{APHA値}
本発明のポリカーボネートジオールの色は、得られるポリウレタンの色目に影響を与えない範囲が好ましく、着色の程度をハーゼン色数(JIS K0071−1に準拠)で表
した場合の値(以下「APHA値」と表記する。)は特に限定されないが、100以下が好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下、中でも30以下が好適である。
{不純物含有量}
<フェノール類>
フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるため、本発明のポリカーボネートジオール中のフェノール類の残留量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として通常1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、後述するようにポリカーボネートジオールの重合反応時に絶対圧力として1kPa以下の高真空にしたり、ポリカーボネートジオールの合成後に薄膜蒸留を行ったりすることが有効である。
<炭酸ジエステル>
本発明のポリカーボネートジオール中には、製造時の原料として使用した炭酸ジエステルが残存することがある。本発明のポリカーボネートジオール中の炭酸ジエステルの残存量は限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、通常上限が5重量%、好ましくは3重量%、さらに好ましくは1重量%である。ポリカーボネートジオールの炭酸ジエステル含有量が多すぎるとポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限は特に制限はなく0.1重量%、好ましくは0.01重量%、さらに好ましくは0重量%である。
<ジヒドロキシ化合物>
本発明のポリカーボネートジオールには、製造時に使用したジヒドロキシ化合物が残存する場合がある。本発明のポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物の残存量は、限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、通常1重量%以下であり、好まし
くは0.1重量%以下であり、より好ましくは0.05重量%以下である。ポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物の残存量が多いと、ポリウレタンとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足し、所望の物性が得られない場合がある。
<環状カーボネート>
ポリカーボネートジオール中には、製造の際に副生した環状のカーボネートが含まれることがある。例えばジヒドロキシ化合物に1,3−プロパンジオールを用いた場合、1,3−ジオキサン−2−オンもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったものなどが環状化合物として生成してポリカーボネートジオール中に含まれる場合がある。これらの化合物は、ポリウレタン化反応においては副反応をもたらす可能性のある不純物であるので製造の段階でなるべく除去しておくのが望ましい。本発明のポリカーボネートジオール中に含まれるこれら不純物環状カーボネートの含有量は、限定されるものではないが、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
<エステル交換触媒>
本発明のポリカーボネートジオールを製造する場合には、長周期型周期表における2族(以下、単に「2族」と表記することがある。)の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物をエステル交換触媒(以下、単に「触媒」と称することがある。)を存在させる。また、2族金属化合物と共に、補助的に遷移金属化合物や、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カル・BR>Vウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、重合活性と得られるポリカーボネートジオールの色相の観点から、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物が更に好ましく、最も好ましくはマグネシウム化合物である。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
遷移金属化合物の例としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなどのチタンアルコキシド;四塩化チタンなどのチタンのハロゲン化物;酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛の塩;塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシドなどのスズ化合物;ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシドなどのジルコニウム化合物;酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)、塩化鉛(IV)等の鉛化合物等が挙げられる。
本発明における触媒の使用量は、通常、用いた全ジヒドロキシ化合物1mol当たりの2族金属の量として、通常1μmol〜200μmol、好ましくは5μmol〜100μmol、更に好ましくは10μmol〜70μmol、特に好ましくは15μmol〜50μmolである。触媒の使用量が少なすぎると、十分な重合活性が得られず重合反応の進行が遅くなるため、所望の分子量のポリカーボネートジオールが得られにくく、生産効率が低下するだけでなく、原料モノマーが重合反応の間、未反応のまま系中に存在する時間が長くなるため、色調の悪化を招く場合がある。また、副生するモノヒドロキシ化合物とともに留出するモノマー量が増加し、結果的に原料原単位の悪化や、その回収のため余分なエネルギーが必要となる可能性があり、更には、複数のジヒドロキシ化合物を用いた共重合の場合には、原料として用いたモノマーの組成比と製品ポリカーボネートジオール中の構成モノマー単位の組成比が変わってしまう原因となることがある。
一方、触媒の使用量が多すぎると、上記のような未反応モノマーの留出は改善される方向にはなるが、その一方で得られるポリカーボネートジオールの色相や耐光性、熱安定性等の悪化を招く可能性があるだけでなく、ポリウレタン化反応の際に異常反応を引き起こすことがある。
触媒は、重合反応槽に直接添加してもよいし、予めジヒドロキシ化合物に添加したり、炭酸ジエステルに添加したりすることもできる。また、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを予め混合する原料調整槽に添加し、その後、重合反応槽に存在させる方法を取ってもよいし、原料反応槽に原料が供給される配管内で添加しても良い。何れにしても、本発明のジヒドロキシ化合物(A)が固体である場合には、50℃以上の温度で溶融状態にした後、添加することが、触媒とジヒドロキシ化合物の均一性が増して重合反応が安定するため好ましい。
2族の触媒は、通常揮発せずポリカーボネートジオール中に残存するが、過度に多くの触媒が残存するとポリウレタン化反応の際に反応の制御が困難となり、ポリウレタン化反応を想定以上に促進したり、異常反応を引き起こしたり、色調を悪化させたりする場合が
あるため、その残存量は、ポリカーボネートジオールに対する2族の金属の重量比として、50ppm以下であることが必要で、好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下、特に好ましくは15ppm以下である。一方、触媒が少ないと上記のような不具合を招くことがあるため1ppm以上であることが必要で、好ましくは2ppm以上、特に好ましくは3ppm以上である。
{製造方法}
本発明のポリカーボネートジオールは、本発明のジヒドロキシ化合物(A)と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、前述の炭酸ジエステルとを、触媒を用いてエステル交換させることにより製造することができる。 以下にその製造方法につい
て述べる。
<原料等の使用割合>
本発明のポリカーボネートジオールの製造において、炭酸ジエステルの使用量は目的分子量により適宜変更する必要があり、特に限定されないが、通常ジヒドロキシ化合物類の合計1モルに対するモル比で下限が通常0.50、好ましくは0.70、より好ましくは0.80、さらに好ましくは0.90、特に好ましくは0.95、最も好ましくは0.98であり、上限は通常1.20、好ましくは1.15、より好ましくは1.10である。炭酸ジエステルの使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加する、又は、分子量が所定の範囲とならず本発明のポリカーボネートジオールを製造できない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
<反応条件等>
反応原料の仕込み方法は、特に制限はなく、本発明のジヒドロキシ化合物(A)と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと触媒の全量を同時に仕込み反応に供する方法や、炭酸ジエステルが固体の場合まず炭酸ジエステルを仕込んで加温、溶融させておき後からジヒドロキシ化合物と触媒を添加する方法、逆にジヒドロキシ化合物を先に仕込んでおいて溶融させ、ここへ炭酸ジエステルと触媒を投入する方法、など自由にその方法は選択できる。本発明の分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合を5%以下とするために、使用するジヒドロキシ化合物の一部を反応の最後に添加する方法を採用することも可能である。
エステル交換反応の際の反応温度は、実用的な反応速度が得られる温度であれば任意に採用する事が出来る。その温度は特に限定されないが、下限は通常70℃、好ましくは100℃、より好ましくは130℃である。また反応温度の上限は、通常250℃、好ましくは200℃、より好ましくは190℃、さらに好ましくは180℃、特に好ましくは170℃である。前記下限を下回るとエステル交換反応が実用的な速度では進行しない場合がある。また、前記上限超過では得られるポリカーボネートジオールが着色したり、エーテル構造が生成するなどの品質上の問題が生じる場合がある。
反応は常圧で行なうこともできるが、エステル交換反応は平衡反応であり、生成するモノヒドロキシ化合物を系外に留去する事で反応を生成系に偏らせる事ができる。従って、通常、反応後半には減圧条件を採用してモノヒドロキシ化合物を留去しながら反応することが好ましい。あるいは反応の途中から徐々に圧力を下げて生成するモノヒドロキシ化合物を留去しながら反応させていくことも可能である。
特に反応の終期において減圧度を高めて反応を行うと、副生したフェノール類等のモノヒドロキシ化合物やジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル等の残存モノマー、さらには環状カーボネートなどを留去することができるので好ましい。
この際の反応終了時の反応圧力は、特に限定はされないが、通常上限が、10kPa、好ましくは5kPa、より好ましくは1kPaである。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを少量通じながら該反応を行うこともできる。
エステル交換反応の際に沸点が低い炭酸ジエステルやジヒドロキシ化合物を使用する場合は、反応初期は炭酸ジエステルやジヒドロキシ化合物の沸点近辺で反応を行い、反応が進行するにつれて、徐々に温度を上げて、更に反応を進行させる、という方法も採用可能である。この場合、反応初期に未反応の炭酸ジエステルやジヒドロキシ化合物の留去を防ぐことができるので好ましい。さらにこれら反応初期における原料の留去を防ぐ意味で反応器に還流管をつけて、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物を還流させながら、モノヒドロキシ化合物を留去させエステル交換反応を行うことも可能である。この場合、仕込んだ原料モノマーが失われず試剤の量比を正確に合わせることが出来るので好ましい。
エステル交換反応に必要な時間は、使用するジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル、触媒の使用の有無、種類により大きく異なるので一概に規定することは出来ないが、通常所定の分子量に達するのに必要な反応時間は50時間以下、好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
前述の如く、エステル交換反応の際に触媒を用いた場合、通常得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、金属触媒の残存で、ポリウレタン化反応を行う際に反応の制御が出来なくなる場合がある。この残存触媒の影響を抑制するために、使用された触媒とほぼ等モルの触媒失活剤、例えば酸性あるいは分解して酸性化合物になるリン系、イオウ系等の化合物を添加してもよい。さらには添加後、後述のように加熱処理すると、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。
エステル交換触媒の不活性化に使用される化合物(以下、触媒失活剤と称することがある)としては、例えば、リン酸、亜リン酸などの無機リン酸や、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記触媒失活剤の使用量は、特に限定はされないが、前述したように、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して上限が好ましくは5モル、より好ましくは2モルであり、下限が好ましくは0.8モル、より好ましくは1.0モルである。これより少ない量のリン系化合物を使用した場合は、前記反応生成物中のエステル交換触媒の失活が十分でなく、得られたポリカーボネートジオールを例えばポリウレタン製造用原料として使用する時、該ポリカーボネートジオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができない場合がある。また、この範囲を超える触媒失活剤を使用すると得られたポリカーボネートジオールが着色してしまう可能性がある。
触媒失活剤を添加することによるエステル交換触媒の不活性化は、室温でも行う事ができるが、加温処理するとより効率的である。この加熱処理の温度は、特に限定はされないが、上限が好ましくは150℃、より好ましくは120℃、さらに好ましくは100℃であり、下限は、好ましくは50℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは70℃である。これより低い温度の場合は、エステル交換触媒の失活に時間がかかり効率的でなく、また失活の程度も不十分な場合がある。一方、150℃を超える温度では、得られたポリカーボネートジオールが着色することがある。
触媒失活剤と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常1〜5時間である。
<精製>
反応後は、前記のポリカーボネートジオール中の末端構造がアルキルオキシ基である不純物、アリールオキシ基である不純物、フェノール類、ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル、副生する環状カーボネート、さらには添加した触媒などを除去する目的で精製を行うことができる。その際の精製は軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては減圧蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留など特にその形態に制限はなく、任意の方法を採用することが可能である。また、水溶性の不純物を除くために水、アルカリ性水、酸性水、キレート剤溶解溶液などで洗浄してもよい。その場合、水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
[ポリウレタン]
上述の本発明のポリカーボネートジオールはポリウレタンの原料として用いられる。
本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、本発明のポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、多様な特性を発現させることができ、フォーム、エラストマー、塗料、繊維、接着剤、床材、シーラント、医療用材料、人工皮革、コーティング剤、水系ポリウレタン塗料等に広く用いることができる。特に、人工皮革、合成皮革、水系ポリウレタン、接着剤、医療用材料、床材、コーティング剤等の用途に、本発明の高剛性ポリウレタンを用いると、耐摩擦性、耐ブロッキング性に優れるため、引っ掻きなどによる傷がつきにくく、摩擦による劣化の少ないという良好な表面特性を付与することができる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、注型ポリウレタンエラストマーに使用できる。その具体的用途として、圧延ロール、製紙ロール、事務機器、プレテンションロール等のロール類、フォークリフト、自動車車両ニュートラム、台車、運搬車等のソリッドタイヤ、キャスター等、工業製品として、コンベアベルトアイドラー、ガイドロール、プーリー、鋼管ライニング、鉱石用ラバースクリーン、ギア類、コネクションリング、ライナー、ポンプのインペラー、サイクロンコーン、サイクロンライナー等がある。また、OA機器のベルト、紙送りロール、複写用クリーニングブレード、スノープラウ、歯付ベルト、サーフローラー等にも使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、また、熱可塑性エラストマーとしての用途にも適用される。例えば、食品、医療分野で用いる空圧機器、塗装装置、分析機器、理化学機器、定量ポンプ、水処理機器、産業用ロボット等におけるチューブやホース類、スパイラルチューブ、消防ホース等に使用できる。また、丸ベルト、Vべルト、平ベルト等のベルトとして、各種伝動機構、紡績機械、荷造り機器、印刷機械等に用いられる。また、履物のヒールトップや靴底、カップリング、パッキング、ポールジョイント、ブッシュ、歯車、ロール等の機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、時計のベルト等に使用できる。さらに自動車部品としては、オイルストッパー、ギアボックス、スペーサー、シャーシー部品、内装品、タイヤチェーン代替品等が挙げられる。また、キーボードフィルム、自動車用フィルム等 のフィルム、カールコード、ケーブルシース、
ベロー、搬送ベルト、フレキシブルコンテナー、バインダー、合成皮革、ディピンイング製品、接着剤等に使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とする本ポリウレタンは、溶剤系二液型塗料
としての用途にも適用可能であり、楽器、仏壇、家具、化粧合板、スポーツ用品等の木材製品に適用できる。また、タールエポキシウレタンとして自動車補修用にも使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、水系ウレタン塗料等の成分として使用可能であり、例えば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルム等のオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコート等に適用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、また、接着剤として、食品包装、靴、履物、磁気テープバインダー、化粧紙、木材、構造部材等に適用でき、また、低温用接着剤、ホットメルトの成分としても用いることができる。
本発明のポリウレタンを接着剤として使用する場合の形態としては、特に制限はなく、得られたポリウレタンを溶剤に溶解して溶剤型接着剤として使用することも、溶剤を用いずにホットメルト型接着剤として使用する事も可能である。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジング等に使用可能である。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、繊維加工剤の成分として、防縮加工、防皺加工、撥水加工等に使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、シーラント・コーキングとして、コンクリート打ち壁、誘発目地、サッシ周り、壁式PC目地、ALC目地、ボード類目地、複合ガラス用シーラント、断熱サッシシーラント、自動車用シーラント等に使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、医療用材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、また、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、末端を変性させることによりUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物等の原料として用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ポリカーボネートジオール]
<数平均分子量Mn>
数平均分子量Mnは下記条件によるGPC測定によるポリスチレン換算Mnより求めた。
装置 :東ソー社製 Tosoh 8020
カラム :PLgel 3um MIXED−E(7.5mmI.D.×30cmL ×2本)
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
流速 :0.5ml/min
カラム温度:40℃
RI検出器:RI(装置 Tosoh 8020内蔵)
<フェノキシド末端量、エーテル結合量、ジフェニルカーボネート量、イソソルビド量、フェノール量>
生成物をCDClに溶解して400MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製AL
−400)を測定し、各成分のシグナルの積分値より算出した。
<APHA値>
JIS K0071−1に準拠して、比色管に入れた標準液と比較して測定した。
<粘度>
生成物を50℃に加熱した後、E型粘度計(BROOKFIELD製DV−II+Pro、コーン:CPE−52)を用いて測定した。
<水酸基価>
JISK1557−1に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にて測定した。
<触媒量>
ポリカーボネートジオール生成物を約0.1g測り取り、4mLのアセトニトリルに溶解した後、20mLの純水を加えてポリカーボネートジオールを析出させ、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。そしてろ過後の溶液を純水で所定濃度まで希釈し、金属イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで分析した。なお、溶媒として使用するアセトニトリルの金属イオン濃度をブランク値として測定し、溶媒分の金属イオン濃度を差し引いた値をポリカーボネートジオール生成物の金属イオン濃度とした。
測定条件は以下の表1に示す通りである。分析結果と予め作成した検量線を使用し、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンの各濃度を求めた。
Figure 0006331243
<薄膜蒸留装置>
直径50mm、高さ200mm、面積0.0314m2の内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS−300特型を使用した。
[実施例1]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール(16HD):404.3g、イソソルビド(ISB):500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:0.87mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:7.3mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を4.67kPaまで下げ、130℃、4.67kPaで20分間反応した。そして、260分かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、80分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。さらに160℃、0.40kPaで40分間反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は805.0gであった。
さらに、得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は0.14重量%、フェノール含有量は0.23重量%で、フェノキシド末端が全末端の9%を占めていた。イソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[実施例2]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:4.4mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:37mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで180分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、100分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、100分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は967.8gであった。
反応後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は3.60重量%、フェノール含有量は1.06重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[実施例3]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:73mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで180分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、120分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、70分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は970.0gであった。
さらに得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(
ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は0.60重量%、フェノール含有量は0.04重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[実施例4]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:17.5mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:147mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで150分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、110分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、60分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は972.5gであった。
反応後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は3.91重量%、フェノール含有量は1.17重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[実施例5]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸カルシウム水溶液:7.2mL(濃度:8.4g/L、酢酸カルシウム:60mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を4.67kPaまで下げ、130℃、4.67kPaで140分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、80分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、120分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は926.4gであった。
反応後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は4.29重量%、フェノール含有量は0.23重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[実施例6]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸バリウム水溶液:10.4mL(濃度:8.4g/L、酢酸バリウム:87mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで180分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、100分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、80分間かけて温度を1
60℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は964.8gであった。
反応後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は5.68重量%、フェノール含有量は0.70重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
Figure 0006331243
[実施例7]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:293.9g、イソソルビド:121.2g、ジフェニルカーボネート:658.2g、酢酸マグネシウム4水和物:4.3mgを入れ、窒素ガスで置換した。内温160℃まで昇温して内容物を加熱溶解し、60分間反応させた。その後、2時間かけて圧力を0.27kPaまで下げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。次に180℃、2.7kPaで15分間窒素ガスバブリングを行い、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。更にo−ジクロロベンゼンを400g加えた後、130℃で圧力を0.27kPaに保持したまま5時間反応させ、その後2.7kPaに保持したまま窒素ガスにて13時間バブリングし、フェノールを除きながらポリカーボネートジオールの重合度を上げる反応を行った。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は454.2gであった。
反応後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表3に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は0.5重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマー、フェノール及びo−ジクロロベンゼンは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[実施例8]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:202.4g、イソソルビド:750.9g、ジフェニルカーボネート:1046.8g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:73mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで240分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、120分かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、80分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。最後に160℃、0.40kPaで40分間、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除去した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は989.2gであった。
さらに得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表3に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は2.5重量%、フェノール含有量やフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[実施例9]
攪拌機、還流器、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにイソソルビド:400.3g、ジフェニルカーボネート:349.7g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:3.5mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:39mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温160℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を22.7kPaまで下げ、115分かけて180℃まで上げながら、13.3kPaまで下げた後、180℃、13.3kPaで270分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、120分かけて圧力を0.40kPaまで下げ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。最後に180℃、0.40kPaで60分間、フェノール及び未反応の
ジヒドロキシ化合物を留出させ除去した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は440.0gであった。
さらに得られたポリカーボネートジオール生成物を10g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.033kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表3に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は2.2重量%、フェノール含有量は0.016重量%で、フェノキシド末端が全末端の3.4%を占めていた、イソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
Figure 0006331243
[比較例1]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:0.17mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:1.4mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで120分間反応した。そして、150分間かけて圧力を2.67kPaまで下げた後、130℃、2.67kPaで400分間反応させた。留出物は約5mLであり、系中にはほとんどフェノールの生成が確認されなかったため反応を中断した。反応終了後の混合物は加えた原料と重量変化が殆どないことから、含まれるMg量は0.08ppmと考えられる(理論値)。
[比較例2]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:42.0g/L、酢酸マグネシウム4水和物:365mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで150分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、210分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた
後、100分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は987.0gであった。また、含有されるマグネシウムの量は65.9重量ppmであった。なお、得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温では透明固体であり、白色のMg塩凝集体を含んでいた。
さらに得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は1.66重量%、フェノールやフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[比較例3]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:100.8g/L、酢酸マグネシウム4水和物:877mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで150分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、180分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、100分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は986.9gであった。また、含有されるマグネシウムの量は113重量ppmであった。なお、得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温では透明固体であり、白色のMg塩凝集体を含んでいた。
さらに得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は1.47重量%、フェノールやフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[比較例4]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:336.0g/L、酢酸マグネシウム4水和物:2,923mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、5.33〜8.00kPaで190分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、100分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、60分間かけて温度を150℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は990.0gであった。また、含有されるマグネシウムの量は315重量ppmであった。なお、得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温では透明固体であり、白色のMg塩凝集体を含んでいた。
さらに得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は2.97重量%、フェノールやフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド構造以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[比較例5]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸ナトリウム:3.3mL(濃度:8.4g/L、酢酸ナトリウム:28mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで280分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、240分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、60分間かけて温度を160℃まで上げ、さらに160℃、0.40kPaにて30分間、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は957.0gであった。
反応後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は5.25重量%、フェノール含有量は0.43重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド構造以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[比較例6]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸亜鉛:62.8mgを入れ、窒素ガス置換した。内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。溶解後、5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで210分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。次に、390分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、90分間かけて温度を160℃まで上げ、さらに160℃、0.40kPaにて50分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は943.4gであった。
反応後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は重量4.77%、フェノール含有量は重量0.41%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド構造以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
[比較例7]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸亜鉛:345mgを入れ、窒素ガス置換した。内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。溶解後、5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130〜140℃、6.67kPaで330分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。次に、圧力4.67〜8.67kPaで210分間かけて温度を165
℃まで上げ、フェノールを留出させ除きながら反応した。その後、圧力を30分間で0.40kPaまで下げながら120分間かけて温度を190℃まで上げ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。さらに190℃、0.40kPaで120分間反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は922.2gであった。
さらに得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/minの流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は0.30重量%で、フェノールやフェノキシド末端となったポリマー、イソソルビド構造以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
Figure 0006331243
本発明のポリカーボネートジオールは、分子鎖中に剛直な構造(A)を有していることから、これを用いて製造されたポリウレタンは、高硬度で耐擦性に優れ、表面の性状が長期間維持されるため、例えば、コーティング剤、水系塗料、接着剤、合成皮革、人工皮革への利用が好適である。また、構造(A)は、親水性が高いという特徴を有していることから、本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンは、水に対する親和性が要求される用途、例えば慣用負荷の小さな水系塗料を製造する際にも好適に用いることができ、産業上極めて有用なものである。

Claims (2)

  1. 原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触
    媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られた数平均分子量が500以上5
    000以下のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
    前記ジヒドロキシ化合物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位に下記式(1)で表さ
    れるエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含み、前記エステル交
    換触媒が、長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化
    合物であり、
    前記ポリカーボネートジオールに含まれる前記エステル交換触媒の量が、その金属原子
    の重量比として、2ppm以上、48.3ppm以下であって、
    JIS K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、80以下で
    あることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
    Figure 0006331243
  2. 前記重縮合反応の最高温度が190℃以下である請求項に記載のポリカーボネートジ
    オールの製造方法。
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