JP6331243B2 - ポリカーボネートジオールの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、現在広く市販されているポリカーボネートジオールは、1,6−ヘキサンジオールから合成されるポリカーボネートジオールが中心であり、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンは、ソフトセグメント部位が鎖状であることから柔軟で、表面が物理的に傷つきやすいと言う欠点があった。このため、得られたポリウレタンを塗料やコーティング剤として使用した場合、物理的な要因により簡単に傷ついてしまい外観が悪化してしまうという問題が生じていた。
しかしながら1,4−シクロヘキサンジメタノールは、その製法上の制約からシス体とトランス体の混合物であり、これらの混合比が変わると、合成されるポリカーボネートジオール自体、さらには誘導されるポリウレタンの物性が変わるため、品質の管理が難しいという問題がある。また、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールを組み合わせ用いて得られるポリカーボネートジオールは、その構造から疎水性が高いものとなるため、最近特に環境負荷低減という視点から注目されている水性ポリウレタンを製造する場合には、ポリウレタンを水溶性にするために水溶性構造をポリウレタン製造の際に導入しなければならず、このことがポリウレタンを設計する際において少なからずとも制約となっていた。また、1,4−シクロヘキサンジメタノールは、分子内に環構造としてシクロヘキサン環を有しているものの、シクロヘキサン環はフレキシビリティのある環構造であり、さらに水酸基がメチレン基を介してシクロヘキサン環に結合しているため分子構造としてはそれほど剛直なものではなく、得られるポリウレタンの硬さという
点においても必ずしも十分なものではなかった。さらに、1,4−シクロヘキサンジメタノールは化石資源由来であり、これを原料とした重合物を焼却すると地球温暖化を促進す
るという問題点もあった。
このような背景の中、植物由来であるソルビトールを脱水環化して得られるジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの利用も検討されている(例えば、特許文献3)。イソソルビドは植物由来であることから、焼却してもカーボンニュートラルであり、環境負荷の小さな化合物であるだけでなく、上述の1,6−ヘキサンジオールや1,4−シクロヘキサンジメタノールに比べ分子構造が剛直で、ポリウレタンとした際に、硬く、物理的に傷つきにくい特性が得られるという特徴がある。
し単位を含み、特定の金属を特定量含む、特定の数平均分子量のポリカーボネートジオー
ルが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記[1]〜[2]に存する。
[1]
原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触
媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られた数平均分子量が500以上5
000以下のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、前記ジヒドロキシ化合
物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位に下記式(1)で表されるエーテル性酸素原子
を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含み、前記エステル交換触媒が、長周期型周期
表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であり、前記ポリカ
ーボネートジオールに含まれる前記エステル交換触媒の量が、その金属原子の重量比とし
て、2ppm以上、48.3ppm以下であって、JIS K0071−1(1998)
に準拠して測定したハーゼン色数が、80以下であることを特徴とするポリカーボネート
ジオールの製造方法。
前記重縮合反応の最高温度が190℃以下である[1]に記載のポリカーボネートジオ
ールの製造方法。
本発明のポリカーボネートジオールは、原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られた数平均分子量が500以上5000以下のポリカーボネートジオールであって、前記ジヒドロキシ化合物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位またはγ位に下記式(1)で表されるエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含むことを特徴とする(以下、「本発明のジヒドロキシ化合物(A)」と称することがある)。
本発明のジヒドロキシ化合物(A)における2つのヒドロキシル基は、アルコール性のヒドロキシル基であり、ジヒドロキシ化合物の骨格に脂肪族炭化水素構造や芳香族環構造、ヘテロ原子を有していてもよい。また、「エーテル性酸素原子」とは、当該酸素原子が2つの炭素と単結合していることを意味し、ヒドロキシル基やカルボニル基を構成する酸素原子と区別される。
例えば、後述するイソソルビドの場合は、ヒドロキシ基が結合する炭素原子を基準にして、β位に相当する炭素原子がエーテル性酸素原子となっており、「ヒドロキシ基のβ位に下記式(1)で表されるエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物」に該当する。
5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記式(4)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられるが、中でも、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記式(4)で表される環状エーテル構造を有する化合物が好ましい。
これらは得られるポリカーボネートジオールの要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることがポリウレタンの耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、親水性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
、特開2009−161745号公報には、ポリカーボネートを製造する際に使用するイソソルビドなどのジヒドロキシ化合物中に含まれる好ましいギ酸の量が規定されており、規定量以下のジヒドロキシ化合物を用いると物性の良いポリカーボネートが得られるとしている。
また、本発明のジヒドロキシ化合物(A)は酸化的に劣化するとpHが下がることがある。本発明のジヒドロキシ化合物(A)の40%水溶液のpHの下限は、特に限定はされないが、通常3であり、好ましくはpH4、さらに好ましくはpH5であり、上限はpH11、好ましくはpH10である。pHは例えば、WO2009/057609号公報に記載の方法、すなわちジヒドロキシ化合物の40%水溶液としてpHメーターで測定する方法が採用できる。
ドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。
(式中Rは、炭素数2〜15の2価の炭化水素基を表す)
これらのジヒドロキシ化合物(B)を用いることにより、本発明のポリカーボネートジオールのハンドリング性が向上し、本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンの柔軟性の改善、耐熱性の向上、成形性の改善などの効果を得ることも可能であるが、ジヒドロキシ化合物(B)に由来する構成単位の含有割合が多過ぎると、ポリウレタンの硬度、機械的物性、耐熱性、親水性等の低下を招くことがあるため、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する本発明のジヒドロキシ化合物(A)に由来する構造単位の割合が、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上であり、ハンドリング性を考慮すると、90モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは75モル%以下である。
また、本発明のポリカーボネートジオールは、該分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合が、前記分子鎖の全末端数に対して5%以下で、分子鎖の両末端の95%以上が水酸基であり、ポリウレタン化反応の際はこの水酸基がイソシアネート化合物と反応できる構造となっている。
本発明のポリカーボネートジオールは、後述するように、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを 原料として製造される。
使用可能な炭酸ジエステルとしては、本発明の効果を失わない限り限定されないが、アルキルカーボネート、アリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。このうちアリールカーボネートを使用すると速やかに反応が進行するという利点がある。しかしその一方で、アリールカーボネートを原料とすると沸点の高いフェノール類が副生するが、フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるため、本発明のポリカーボネートジオール中のフェノール類の残留量は、より少ない方が好ましい。
ルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートの具体例は以下の通りである。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートである。
さらにアルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、1,3−ペンチレンカーボネート、1,4−ペンチレンカーボネート、1,5−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、2,4−ペンチレンカーボネート、ネオペンチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはエチレンカーボネートである。
これらの中でもジアリールカーボネートが反応性に富み、工業的に製造する上で効率的であることから好ましく、中でも工業原料として容易にかつ安価に入手可能なジフェニルカーボネートがより好ましい。
本発明のジヒドロキシ化合物(A)中に塩化物イオンや臭化物イオンなどのハロゲン成分が含有されると、ポリカーボネート化反応の際、さらには得られたポリカーボネートジオールをポリウレタン化する際の反応に影響を与えたり、着色の原因となる場合があるため、その含有量は少ないほうが好ましい。通常、本発明のジヒドロキシ化合物(A)中のハロン成分の含有量の上限は、本発明のジヒドロキシ化合物(A)の重量に対してハロゲン重量として10ppm、好ましくは5ppm、より好ましくは1ppmである。
フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学製、商品名:Smi ize
r(登録商標)GS)などのフェノール系安定化剤、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(住友化学製、商品名Smi1izer(登録商標)GP)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系安定化剤が例として挙げられる。
本発明のポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn)の下限は500であり、好ましくは700、さらに好ましくは800である。一方、上限は5000であり、好ましくは3000、さらに好ましくは1500である。ポリカーボネートジオールの数平均分子量が前記下限未満では、ウレタンとした際に本発明の特徴である硬度が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過ではポリカーボネートジオールの粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングに支障が出る可能性がある。
分子量分布が上記範囲を超える場合、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンの物性が、低温で硬くなる、伸びが悪くなる等、悪化する傾向があり、分子量分布が上記範囲未満のポリカーボネートジオールを製造しようとすると、オリゴマーを除くなどの高度な精製操作が必要になる場合がある。
{分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合・水酸基価}
本発明のポリカーボネートジオールは基本的にポリマーの末端構造は水酸基である。しながら、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応で得られるポリカーボネートジオール生成物中には、不純物として一部ポリマー末端が水酸基ではない構造のものが存在する場合がある。その構造の具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くは炭酸ジエステル由来の構造である。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価は、特に限定されないが下限は通常10mg−KOH/g、好ましくは20mg−KOH/g、より好ましくは35mg−KOH/g、更に好ましくは80mg−KOH/gである。また、上限は通常230mg−KOH/g、好ましくは160mg−KOH/g、より好ましくは140mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリウレタンとした時に強度や硬度が不足する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールは、カーボネート基によりジヒドロキシ化合物が重合した構造が基本となっている。しかしながら、製造方法によっては、一部ジヒドロキシ化合物の脱水反応によりエーテル構造となったものが混入する場合があり、その存在量が多くなると耐候性や耐熱性が低下することがあるので、エーテル構造の割合が過度に多くならないように製造することが望ましい。ポリカーボネートジオール中のエーテル構造を
低減して、耐候性、耐熱性等の特性を確保する点において、本発明のポリカーボネートジオールの分子鎖中に含まれるエーテル結合とカーボネート結合の比は、特に限定されないが、通常モル比で2/98以下、好ましくは1/99以下、より好ましくは0.5/99.5以下である。 これらの値は、アルカリ加水分解して液体クロマトグラフィーを測定
したり、1H−NMRを測定したりすることで求めることができる。
本発明のポリカーボネートジオールは、室温付近で通常、液状からワックス状の白濁固体という性状を呈しているが、加温する事により粘度を低下させることができ、ハンドリングしやすくなる。また、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系の溶媒、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒に溶解させることも可能で、移送や反応が行いやすくなる場合もある。
本発明のポリカーボネートジオールの色は、得られるポリウレタンの色目に影響を与えない範囲が好ましく、着色の程度をハーゼン色数(JIS K0071−1に準拠)で表
した場合の値(以下「APHA値」と表記する。)は特に限定されないが、100以下が好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは50以下、中でも30以下が好適である。
<フェノール類>
フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるため、本発明のポリカーボネートジオール中のフェノール類の残留量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として通常1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、後述するようにポリカーボネートジオールの重合反応時に絶対圧力として1kPa以下の高真空にしたり、ポリカーボネートジオールの合成後に薄膜蒸留を行ったりすることが有効である。
本発明のポリカーボネートジオール中には、製造時の原料として使用した炭酸ジエステルが残存することがある。本発明のポリカーボネートジオール中の炭酸ジエステルの残存量は限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、通常上限が5重量%、好ましくは3重量%、さらに好ましくは1重量%である。ポリカーボネートジオールの炭酸ジエステル含有量が多すぎるとポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限は特に制限はなく0.1重量%、好ましくは0.01重量%、さらに好ましくは0重量%である。
本発明のポリカーボネートジオールには、製造時に使用したジヒドロキシ化合物が残存する場合がある。本発明のポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物の残存量は、限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、通常1重量%以下であり、好まし
くは0.1重量%以下であり、より好ましくは0.05重量%以下である。ポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物の残存量が多いと、ポリウレタンとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足し、所望の物性が得られない場合がある。
ポリカーボネートジオール中には、製造の際に副生した環状のカーボネートが含まれることがある。例えばジヒドロキシ化合物に1,3−プロパンジオールを用いた場合、1,3−ジオキサン−2−オンもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったものなどが環状化合物として生成してポリカーボネートジオール中に含まれる場合がある。これらの化合物は、ポリウレタン化反応においては副反応をもたらす可能性のある不純物であるので製造の段階でなるべく除去しておくのが望ましい。本発明のポリカーボネートジオール中に含まれるこれら不純物環状カーボネートの含有量は、限定されるものではないが、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
本発明のポリカーボネートジオールを製造する場合には、長周期型周期表における2族(以下、単に「2族」と表記することがある。)の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物をエステル交換触媒(以下、単に「触媒」と称することがある。)を存在させる。また、2族金属化合物と共に、補助的に遷移金属化合物や、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
触媒は、重合反応槽に直接添加してもよいし、予めジヒドロキシ化合物に添加したり、炭酸ジエステルに添加したりすることもできる。また、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを予め混合する原料調整槽に添加し、その後、重合反応槽に存在させる方法を取ってもよいし、原料反応槽に原料が供給される配管内で添加しても良い。何れにしても、本発明のジヒドロキシ化合物(A)が固体である場合には、50℃以上の温度で溶融状態にした後、添加することが、触媒とジヒドロキシ化合物の均一性が増して重合反応が安定するため好ましい。
あるため、その残存量は、ポリカーボネートジオールに対する2族の金属の重量比として、50ppm以下であることが必要で、好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下、特に好ましくは15ppm以下である。一方、触媒が少ないと上記のような不具合を招くことがあるため1ppm以上であることが必要で、好ましくは2ppm以上、特に好ましくは3ppm以上である。
本発明のポリカーボネートジオールは、本発明のジヒドロキシ化合物(A)と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、前述の炭酸ジエステルとを、触媒を用いてエステル交換させることにより製造することができる。 以下にその製造方法につい
て述べる。
本発明のポリカーボネートジオールの製造において、炭酸ジエステルの使用量は目的分子量により適宜変更する必要があり、特に限定されないが、通常ジヒドロキシ化合物類の合計1モルに対するモル比で下限が通常0.50、好ましくは0.70、より好ましくは0.80、さらに好ましくは0.90、特に好ましくは0.95、最も好ましくは0.98であり、上限は通常1.20、好ましくは1.15、より好ましくは1.10である。炭酸ジエステルの使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加する、又は、分子量が所定の範囲とならず本発明のポリカーボネートジオールを製造できない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
反応原料の仕込み方法は、特に制限はなく、本発明のジヒドロキシ化合物(A)と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと触媒の全量を同時に仕込み反応に供する方法や、炭酸ジエステルが固体の場合まず炭酸ジエステルを仕込んで加温、溶融させておき後からジヒドロキシ化合物と触媒を添加する方法、逆にジヒドロキシ化合物を先に仕込んでおいて溶融させ、ここへ炭酸ジエステルと触媒を投入する方法、など自由にその方法は選択できる。本発明の分子鎖の末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である数の割合を5%以下とするために、使用するジヒドロキシ化合物の一部を反応の最後に添加する方法を採用することも可能である。
この際の反応終了時の反応圧力は、特に限定はされないが、通常上限が、10kPa、好ましくは5kPa、より好ましくは1kPaである。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを少量通じながら該反応を行うこともできる。
前述の如く、エステル交換反応の際に触媒を用いた場合、通常得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、金属触媒の残存で、ポリウレタン化反応を行う際に反応の制御が出来なくなる場合がある。この残存触媒の影響を抑制するために、使用された触媒とほぼ等モルの触媒失活剤、例えば酸性あるいは分解して酸性化合物になるリン系、イオウ系等の化合物を添加してもよい。さらには添加後、後述のように加熱処理すると、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。
触媒失活剤と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常1〜5時間である。
反応後は、前記のポリカーボネートジオール中の末端構造がアルキルオキシ基である不純物、アリールオキシ基である不純物、フェノール類、ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル、副生する環状カーボネート、さらには添加した触媒などを除去する目的で精製を行うことができる。その際の精製は軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては減圧蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留など特にその形態に制限はなく、任意の方法を採用することが可能である。また、水溶性の不純物を除くために水、アルカリ性水、酸性水、キレート剤溶解溶液などで洗浄してもよい。その場合、水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
上述の本発明のポリカーボネートジオールはポリウレタンの原料として用いられる。
本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、本発明のポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
ベロー、搬送ベルト、フレキシブルコンテナー、バインダー、合成皮革、ディピンイング製品、接着剤等に使用できる。
としての用途にも適用可能であり、楽器、仏壇、家具、化粧合板、スポーツ用品等の木材製品に適用できる。また、タールエポキシウレタンとして自動車補修用にも使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、水系ウレタン塗料等の成分として使用可能であり、例えば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルム等のオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコート等に適用できる。
本発明のポリウレタンを接着剤として使用する場合の形態としては、特に制限はなく、得られたポリウレタンを溶剤に溶解して溶剤型接着剤として使用することも、溶剤を用いずにホットメルト型接着剤として使用する事も可能である。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、繊維加工剤の成分として、防縮加工、防皺加工、撥水加工等に使用できる。
本発明のポリカーボネートジオールを原料とするポリウレタンは、医療用材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、また、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ポリカーボネートジオール]
数平均分子量Mnは下記条件によるGPC測定によるポリスチレン換算Mnより求めた。
装置 :東ソー社製 Tosoh 8020
カラム :PLgel 3um MIXED−E(7.5mmI.D.×30cmL ×2本)
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
流速 :0.5ml/min
カラム温度:40℃
RI検出器:RI(装置 Tosoh 8020内蔵)
生成物をCDCl3に溶解して400MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製AL
−400)を測定し、各成分のシグナルの積分値より算出した。
JIS K0071−1に準拠して、比色管に入れた標準液と比較して測定した。
<粘度>
生成物を50℃に加熱した後、E型粘度計(BROOKFIELD製DV−II+Pro、コーン:CPE−52)を用いて測定した。
JISK1557−1に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にて測定した。
<触媒量>
ポリカーボネートジオール生成物を約0.1g測り取り、4mLのアセトニトリルに溶解した後、20mLの純水を加えてポリカーボネートジオールを析出させ、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。そしてろ過後の溶液を純水で所定濃度まで希釈し、金属イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで分析した。なお、溶媒として使用するアセトニトリルの金属イオン濃度をブランク値として測定し、溶媒分の金属イオン濃度を差し引いた値をポリカーボネートジオール生成物の金属イオン濃度とした。
直径50mm、高さ200mm、面積0.0314m2の内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS−300特型を使用した。
[実施例1]
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール(16HD):404.3g、イソソルビド(ISB):500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:0.87mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:7.3mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を4.67kPaまで下げ、130℃、4.67kPaで20分間反応した。そして、260分かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、80分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。さらに160℃、0.40kPaで40分間反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は805.0gであった。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は0.14重量%、フェノール含有量は0.23重量%で、フェノキシド末端が全末端の9%を占めていた。イソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:4.4mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:37mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで180分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、100分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、100分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は967.8gであった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:73mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで180分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、120分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、70分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は970.0gであった。
ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表2に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は0.60重量%、フェノール含有量は0.04重量%で、フェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:17.5mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:147mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで150分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、110分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、60分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は972.5gであった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸カルシウム水溶液:7.2mL(濃度:8.4g/L、酢酸カルシウム:60mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を4.67kPaまで下げ、130℃、4.67kPaで140分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、80分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、120分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は926.4gであった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸バリウム水溶液:10.4mL(濃度:8.4g/L、酢酸バリウム:87mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで180分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、100分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、80分間かけて温度を1
60℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は964.8gであった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた1Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:293.9g、イソソルビド:121.2g、ジフェニルカーボネート:658.2g、酢酸マグネシウム4水和物:4.3mgを入れ、窒素ガスで置換した。内温160℃まで昇温して内容物を加熱溶解し、60分間反応させた。その後、2時間かけて圧力を0.27kPaまで下げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。次に180℃、2.7kPaで15分間窒素ガスバブリングを行い、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。更にo−ジクロロベンゼンを400g加えた後、130℃で圧力を0.27kPaに保持したまま5時間反応させ、その後2.7kPaに保持したまま窒素ガスにて13時間バブリングし、フェノールを除きながらポリカーボネートジオールの重合度を上げる反応を行った。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は454.2gであった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:202.4g、イソソルビド:750.9g、ジフェニルカーボネート:1046.8g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:73mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで240分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、120分かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、80分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。最後に160℃、0.40kPaで40分間、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除去した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は989.2gであった。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表3に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は2.5重量%、フェノール含有量やフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
攪拌機、還流器、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにイソソルビド:400.3g、ジフェニルカーボネート:349.7g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:3.5mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:39mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温160℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を22.7kPaまで下げ、115分かけて180℃まで上げながら、13.3kPaまで下げた後、180℃、13.3kPaで270分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、120分かけて圧力を0.40kPaまで下げ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。最後に180℃、0.40kPaで60分間、フェノール及び未反応の
ジヒドロキシ化合物を留出させ除去した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は440.0gであった。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表3に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は2.2重量%、フェノール含有量は0.016重量%で、フェノキシド末端が全末端の3.4%を占めていた、イソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:0.17mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:1.4mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで120分間反応した。そして、150分間かけて圧力を2.67kPaまで下げた後、130℃、2.67kPaで400分間反応させた。留出物は約5mLであり、系中にはほとんどフェノールの生成が確認されなかったため反応を中断した。反応終了後の混合物は加えた原料と重量変化が殆どないことから、含まれるMg量は0.08ppmと考えられる(理論値)。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:42.0g/L、酢酸マグネシウム4水和物:365mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで150分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、210分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた
後、100分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は987.0gであった。また、含有されるマグネシウムの量は65.9重量ppmであった。なお、得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温では透明固体であり、白色のMg塩凝集体を含んでいた。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は1.66重量%、フェノールやフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:100.8g/L、酢酸マグネシウム4水和物:877mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで150分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、180分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、100分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は986.9gであった。また、含有されるマグネシウムの量は113重量ppmであった。なお、得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温では透明固体であり、白色のMg塩凝集体を含んでいた。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は1.47重量%、フェノールやフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド骨格以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:8.7mL(濃度:336.0g/L、酢酸マグネシウム4水和物:2,923mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、5.33〜8.00kPaで190分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、100分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、60分間かけて温度を150℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は990.0gであった。また、含有されるマグネシウムの量は315重量ppmであった。なお、得られたポリカーボネートジオール生成物の性状は常温では透明固体であり、白色のMg塩凝集体を含んでいた。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は2.97重量%、フェノールやフェノキシド末端となったポリマーやイソソルビド構造以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸ナトリウム:3.3mL(濃度:8.4g/L、酢酸ナトリウム:28mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げ、130℃、5.33kPaで280分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。そして、240分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、60分間かけて温度を160℃まで上げ、さらに160℃、0.40kPaにて30分間、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は957.0gであった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸亜鉛:62.8mgを入れ、窒素ガス置換した。内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。溶解後、5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130℃、6.67kPaで210分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。次に、390分間かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、90分間かけて温度を160℃まで上げ、さらに160℃、0.40kPaにて50分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は943.4gであった。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール:404.3g、イソソルビド:500.1g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸亜鉛:345mgを入れ、窒素ガス置換した。内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。溶解後、5分間で圧力を6.67kPaまで下げ、130〜140℃、6.67kPaで330分間、フェノールを留出させ除きながら反応した。次に、圧力4.67〜8.67kPaで210分間かけて温度を165
℃まで上げ、フェノールを留出させ除きながら反応した。その後、圧力を30分間で0.40kPaまで下げながら120分間かけて温度を190℃まで上げ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。さらに190℃、0.40kPaで120分間反応した。得られたポリカーボネートジオール生成物の収量は922.2gであった。
薄膜蒸留後のポリカーボネートジオール生成物の物性を表4に記載した。またジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は0.30重量%で、フェノールやフェノキシド末端となったポリマー、イソソルビド構造以外のエーテル結合を含むポリマーは検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。
Claims (2)
- 原料モノマーとしてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触
媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られた数平均分子量が500以上5
000以下のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
前記ジヒドロキシ化合物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位に下記式(1)で表さ
れるエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含み、前記エステル交
換触媒が、長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化
合物であり、
前記ポリカーボネートジオールに含まれる前記エステル交換触媒の量が、その金属原子
の重量比として、2ppm以上、48.3ppm以下であって、
JIS K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、80以下で
あることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
- 前記重縮合反応の最高温度が190℃以下である請求項1に記載のポリカーボネートジ
オールの製造方法。
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