JP6328683B2 - 小型チラーが使用可能なレーザ装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、以上のような状況を鑑み、通常のレーザ加工条件では問題なく使用できる冷却能力の小さい小型チラーを、レーザ加工中にレーザ発振が停止する等のトラブル無しで使用可能なレーザ装置を提供することにある。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ装置の概念的な構成を示すブロック図である。第1実施形態のレーザ装置1は、循環式冷却液供給装置(チラー)2によりレーザ発振器3等で発生する熱を冷却するレーザ装置1であって、少なくとも1つのレーザ発振器3と、レーザ発振器3にレーザ発振のための電力を供給する電源部4と、レーザ発振器3からのレーザ光出力を検出する出力光検出部5と、レーザ光をレーザ装置1から出力するためのレーザ光学系12と、レーザ発振器3等による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度を検出する少なくとも1つ以上の温度検出部6と、入力部8と、表示部7と、レーザ発振器3の光出力特性を含むレーザ装置1の特性とチラー2の特性を記録する記録部10と、レーザ装置の状態を計算する計算部9と、レーザ装置の各部を制御する制御部11と、を備える。
計算部9と制御部11は、コンピュータの記憶部に格納された所定のソフトウェアが、CPUにより実行されることにより実現される。記録部10は、コンピュータの記憶部により実現しても良い。
また、入力部8と表示部7は一体化していても良く、表示部7のソフトキーで入力部8の機能の一部を代行するようにしても良い。
また、図1のチラー2の内部構造は例示であって、チラー2の内部構造は限定されない。水槽15や吐出ポンプ18は、チラー2の外部に備えても良い。
(1)チラー2の冷却能力(後述のP)
(2)チラー2の水槽容量
(3)レーザ発振器3等による発熱量(後述のQ1)
(4)冷却液で実効的に冷却されるレーザ装置1の被冷却部の熱容量(後述のHo)
(5)電源部4から供給される電流あるいは電圧に対するレーザ光出力の特性を表すレーザ装置1の光出力特性
(6)電源部4から供給される電流あるいは電圧に対するレーザ発振器3における発熱量を表すレーザ発振器3の発熱特性
(7)チラー2の冷却能力(P)の環境温度依存性データ
(8)レーザ装置1の被冷却部に外部から浸入する熱量(後述のQ1c(T’i,Tc))の環境温度依存性データ
(9)レーザ加工条件からレーザ発振器3等による発熱量(Q1)を計算するための計算式
(10)レーザ発振器3等による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇を計算する計算式(後述の式(3)、式(4)、式(8))
(11)レーザ発振器3の被冷却部分の温度とレーザ装置1の光出力特性との関係を示すデータ、および/または冷却液の温度とレーザ装置1の光出力特性との関係を示すデータ
この項番(9)と(10)の計算式を記録部10に記録していることが、第7の発明に相当する。
計算部9は、温度上昇計算部91を備えている。
この温度上昇計算部91は、記録部10に記録されている計算式(10)を使って、次の(1)〜(7)から、(8)または(9)を計算する。
(1)チラー2の冷却能力(P)
(2)チラー2の水槽容量
(3)レーザ発振器3等による発熱量(Q1)
(4)冷却液で実効的に冷却されるレーザ装置1の被冷却部の熱容量(Ho)
(5)各部の温度(後述のTs)
(6)レーザ発振器3への光出力指令データおよび電源部4への電力出力指令データの内の少なくとも一方の出力指令データを含むレーザ加工条件
(7)外部から侵入する熱量(Q1c(T’i,Tc))
(8)連続加工可能時間(後述のtmax)
(9)部品や冷却液の到達最大温度
ただし、項番(7)の外部から侵入する熱量(Q1c(T’i,Tc))については、これが項番(3)のレーザ発振器3等による発熱量(Q1)に比して小さくて無視できる場合には、無視して計算することも可能である。
ステップS101において、レーザ装置1を起動し、ワークをセットしてレーザ加工工程を開始する。
ステップS102において、入力部8からレーザ発振器3への光出力指令データおよび電源部4への電力出力指令データの内の少なくとも一方の出力指令データを含むレーザ加工条件を入力してレーザ加工条件を設定する。
ステップS104において、温度上昇計算部91は、各部の温度(Ts)と、レーザ加工条件と、記録部10に記録されている前記チラーの冷却能力(P)とチラーの水槽容量、前記レーザ発振器等による発熱量(Q1)と前記冷却液で実効的に冷却される前記レーザ装置の被冷却部の熱容量(Ho)等に基づいて計算式から連続加工可能時間(tmax)や各部の到達最大温度を計算する。
ステップS105において、各部の到達最大温度が各部の許容最大温度より低いか否かを判断する。この判定がYESの場合、処理はステップS106へ移り、判定がNOの場合、処理はステップS116へ移る。
ステップS107において、レーザ装置1は、レーザ光を出射して、レーザ加工を行う。
ステップS108において、温度検出部6は、レーザ加工中も絶えず、各部の温度を検出する。
ステップS110において、レーザ光出力指令の実行が完了したか判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS111へ移り、判定がNOの場合、処理はステップS107へ移る。
ステップS111において、新規のレーザ加工条件の入力がある場合は、ステップS103に戻って、改めて、新規レーザ加工条件によって、各部の温度が所定の各許容最大温度より高温にならないかの判定で進むサイクルを繰り返す。
ステップS113において、レーザ装置特性更新部1105は、レーザ装置1の光出力特性やレーザ発振器3の発熱特性を測定する。
ステップS114において、レーザ装置特性更新部1105は、前記記録部10に記録されているレーザ装置1の光出力特性やレーザ発振器3の発熱特性を更新する。
ステップS115において、レーザ加工工程を終了して、ワークの取出しやレーザ装置の停止作業を行う。
ステップS116において、代替レーザ加工条件作成部1102は、代替レーザ加工条件を作成し、代替レーザ加工条件処理部1104は、「設定されたレーザ加工条件では、レーザ発振器の温度が許容最大温度を越える可能性があります。」等の警告を表示し、「連続加工時間を5分間以下に設定するか、冷却液の温度が下がる3分後に加工を開始して下さい。」等の代替レーザ加工条件を前記表示部7に表示する。
ステップS118において、必要チラー仕様作成部1103は、先に設定したレーザ加工条件を変更せずに、そのまま実行して各部の温度が所定の各許容最大温度を越えない必要チラー仕様を計算する。
ステップS119において、表示部7に、先に設定したレーザ加工条件でレーザ加工を行う条件に適合するチラーの仕様が表示される。
代替レーザ加工条件が入力あるいは選択された場合は、ステップS103に戻って、改めて、新規レーザ加工条件によって、各部の温度が所定の各許容最大温度より高温にならないかの判定で進むサイクルを繰り返す。
ステップS121において、レーザ発振低減停止部1106は、レーザ発振器等の損傷を回避するために、レーザ発振器を停止するか光出力を低下させる緊急処置を実施する。
ステップS122において、「レーザ発振器の温度が許容最大温度を越えたのでレーザ発振器を停止しました」等の停止理由を表示部に表示する。
ステップS123において、チラーの故障等の原因が考えられるので原因を調査し、原因を除去する。その後に、ステップS102に戻って、レーザ加工をやり直す。
記録部10に、計算に必要な数値情報に加えて、計算式を記録しておくことによって、部品や冷却液の温度上昇を容易に計算できる。
図4は、あるレーザ加工条件でレーザ光の出力を開始した時の、LDの最大温度と、LDの冷却する冷却板の(最大)温度、冷却板に流入する冷却液の温度の時間変化の例を示している。最初の立ち上りの期間を除くと、上記の3つの温度の時間に対する勾配は一致する。そして、この勾配、すなわち、温度の上昇速度(vup)は、下記の式(1)で表せる。
式(1)は、熱容量Htに対して熱量(Q1−P)を与えると、熱量/熱容量の速さで温度が上昇するという現象を表している。
ΔT(Q0)=最大定格光出力時のLD最大温度と流入冷却液との温度差、
Q0=最大定格出力時の発熱量(W)、
である。
式(2)は、LDから冷却液までの熱抵抗が決まっていると、両者の温度差ΔT(Q1)は、LDから冷却液に流れる熱量Q1に比例するという現象を表している。
なお、式(2)から式(8)における「デルタ」は「Δ」と同じ意味である。
例えば、図4の例では、Tmax=摂氏65.4度、Ts=摂氏25度であり、ΔT(Q0)=摂氏36.3度、Q0=2,518W、Q1=2,014W、P=604W,Hw=84,500J/Kで、Ho=14,700J/Kであり、式(3)で算出される連続加工可能時間は、tmax=800sになる。逆に、tmaxに任意の時間を代入して、Tmaxを算出すると、その任意の時間でLDの温度が何度まで上昇するかが計算できる。
図4に示したように、冷却液の温度が上昇してしまうと、レーザ光出力はできなくなり、冷却液の温度が低下するのを待つ必要がある。
図5は、図4のデータを取得したレーザ装置1と同じレーザ装置1で発熱量(Q1)も同じとしており、約825秒間連続でレーザ光を出力し、LDの温度が許容最大温度Tmax=摂氏65.4度になった時点からレーザ光出力を停止して、冷却液の温度が低下していく様子を示している。冷却液温度の加工速度(vdown)は、下記の式(5)で表せる。
式(7)は、図5から分かるように、レーザ光出力を行える時間の比率(長周期デューティ)を表している。式(7)から分かるように、チラーの冷却能力とレーザ光出力時の発熱量によって、長周期デューティの上限が決まり、この上限を上回る長周期デューティのレーザ加工条件を設定するといずれLD温度が許容最大温度Tmaxを越えることになる。
(1)レーザ加工を開始する前に、過昇温の警告を表示部7に表示する、および過昇温の警告を記録部10に記録するので、レーザ加工中にレーザ発振器3等の発熱部や冷却液が過剰に昇温する可能性があることに気付かずにレーザ加工を開始して、レーザ加工中にレーザ発振器3等の発熱部や冷却液が過剰に昇温したことを検出して、レーザ発振を停止あるいはレーザ光出力を低減したために、加工中のワークが不良になるという問題が解消できる。
第1実施形態の変形例1は、第2の発明において、レーザ加工条件を代替レーザ加工条件に自動的に置き換える場合に相当する。第1実施形態の変形例1の装置構成は、第1実施形態と同じである。第1実施形態の変形例1は、第1実施形態のフローチャートのステップS105において、各部の到達最大温度が各部の許容最大温度を越える場合の処理が、第1実施形態と異なっている。図6は、第1実施形態に係るレーザ装置の変形例1の動作を示すフローチャートであり、レーザ加工を実施するとLD温度が許容最大温度Tmaxを越えると予測された場合に、自動的にレーザ加工条件を代替レーザ加工条件に置換えてレーザ加工を実施するように設定した場合のフローチャートである。
ステップS201において、図1に示すレーザ装置を起動し、ワークをセットしてレーザ加工工程を開始する。
ステップS202において、入力部8からレーザ発振器3への光出力指令データおよび電源部4への電力出力指令データの内の少なくとも一方の出力指令データを含むレーザ加工条件を入力してレーザ加工条件を設定する。
ステップS204において、温度上昇計算部91は、各部の温度(Ts)と、レーザ加工条件と、記録部10に記録されているチラー2の冷却能力(P)とチラー2の水槽容量、レーザ発振器3等による発熱量(Q1)と冷却液で実効的に冷却されるレーザ装置1の被冷却部の熱容量(Ho)等に基づいて前述の計算式から各部の到達最大温度等を計算する。
ステップS205において、算出された各部の到達最大温度が各部の許容最大温度Tmaxより低いか否かを判断する。この判定がYESの場合、処理はステップS206へ移り、判定がNOの場合、処理はステップS216へ移る。
ステップS207において、レーザ装置1はレーザ光を出射して、レーザ加工を行う。
ステップS208において、温度検出部6は、レーザ加工中も絶えず、各部の温度を検出する。
ステップS209において、検出された各部の温度が、所定の各許容最大温度Tmaxを越えていないかを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS210へ移り、判定がNOの場合、処理はステップS221へ移る。
ステップS211において、新規のレーザ加工条件の入力があるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS203へ移り、判定がNOの場合、処理はステップS212へ移る。
新規のレーザ加工条件の入力がある場合は、ステップS203に戻って、改めて、新規レーザ加工条件によって、各部の温度が所定の各許容最大温度Tmaxより高温にならないかの判定で進むサイクルを繰り返す。
ステップS213において、レーザ装置特性更新部1105は、レーザ装置1の光出力特性やレーザ発振器3の発熱特性を測定する。
ステップS214において、レーザ装置特性更新部1105は、記録部10に記録されているレーザ装置1の光出力特性やレーザ発振器3の発熱特性を更新する。
ステップS215において、レーザ加工工程を終了して、ワークの取出しやレーザ装置の停止作業行う。
ステップS217において、代替レーザ加工条件作成部1102は、各部の温度(Ts)、記録部10に記録されているチラー2の冷却能力(P)とチラー2の水槽容量、レーザ発振器3等による発熱量(Q1)と冷却液で実効的に冷却されるレーザ装置1の被冷却部の熱容量(Ho)等に基づいて、前述の計算式を利用して代替レーザ加工条件を算出する。
ステップS218において、代替レーザ加工条件処理部1104は、設定されたレーザ加工条件を算出された代替レーザ加工条件に置換える。
ステップS220において、必要チラー仕様作成部1103は、レーザ加工条件に適合するチラー仕様を算出して、記録部10に記録する。その後に、ステップS206に進んでレーザ加工を実行する。
ステップS222において、「レーザ発振器の温度が許容最大温度を越えたのでレーザ発振器を停止しました」等の停止理由を表示部7に表示する。
ステップS223において、チラー2の故障等の原因が考えられるので原因を調査し、原因を除去する。その後に、ステップS202に戻って、レーザ加工をやり直す。
低価格で占有面積の小さい小型チラーを選択しても、レーザ発振器3や冷却液の温度が所定の各許容温度を越える可能性がある場合は、代替レーザ加工条件処理部1104が自動的に代替レーザ加工条件に置換えてレーザ加工を実行するので、チラー2の故障等の不測の事態が発生しない限り、レーザ加工中にレーザ発振器3等の発熱部や冷却液が過剰に昇温したことを検出して、レーザ発振を停止あるいはレーザ光出力を低減したために、加工中のワークが不良になるという問題が解消できる。また、人間が介在しないでも、加工が停止してしまうことなしに、レーザ加工を完遂することができる。
第1実施形態の変形例2は、第4の発明に相当する。第1実施形態の変形例2の装置構成およびフローチャートは、第1実施形態または第1実施形態の変形例1と同様である。第1実施形態の変形例2は、各部の到達最大温度を求める計算式が、第1実施形態の計算式を修正したものとなっている。第4の発明において、温度検出部6の内、少なくとも1つの温度検出部6はレーザ装置1およびチラー2の内の少なくとも一方の装置が設置された環境の温度を検出する温度検出部6である。第4の発明では、記録部10に記録されているチラー2の冷却能力の環境温度依存性データおよびレーザ装置1の被冷却部に外部から浸入する熱量の環境温度依存性データの内の少なくとも一方のデータを使用して、温度上昇計算部91が、部品や冷却液の到達最大温度を計算し、設定されたレーザ加工条件で、レーザ発振器3等が所定許容最大温度Tmaxを越えないか等を判断するとしている。具体的にどのようにして計算するのかを簡単に述べる。
一方、レーザ装置1の被冷却部に外部から浸入する熱量(Q1c(T’i,Tc))はレーザ発振器3等における発熱量に比べて小さいことが多く、被冷却部に外部から浸入する熱量(Q1c(T’i,Tc))の考慮は必ずしも必要ではないが、考慮する場合は以下のような方法がある。
ここで、T(ti+1),T(ti)はLD温度であり、T(ti+1)−T(ti)=ΔT=一定の微小温度差、ti+1−tiはΔTだけ昇温するのに要する時間、Q1HはLDの発熱量であり、Q1には、外部から被冷却部への浸入熱量を考慮した式(9)を使用する。
環境温度が変化したことによるチラー2の冷却能力の変化や、レーザ装置1の被冷却部に外部から浸入する熱量の変化を考慮して、レーザ発振器3等の部品や冷却液の温度上昇が所定の各許容温度を越える可能性があるか否かを判断するので、環境温度が高い場合にも正確な判断ができる。
本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、第8の発明に相当する。第2実施形態の装置構成およびフローチャートは、第1実施形態または第1実施形態の変形例1と同様である。レーザ装置1は、温度検出部6がレーザ発振器3の被冷却部分の温度および冷却液の温度の内の少なくとも一方の温度を検出する位置に少なくとも1台設置されており、また、記録部10にはレーザ発振器3の被冷却部分の温度および冷却液の温度の内の少なくとも一方の温度を検出する温度検出部6によって検出された温度とレーザ装置1の光出力特性との関係を示すデータが記録されている。前記光出力指定調整部1107は、記録部10に記録されているレーザ発振器3の被冷却部分の温度および冷却液の温度の内の少なくとも一方の温度とレーザ装置の光出力特性との関係を示すデータを参照して、レーザ発振器3等による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度の変化に応じて、レーザ出力が安定するように、光出力指令を調整することができる。
チラー2の冷却能力が小さいために、レーザ発振器3や冷却液の温度が変化するが、温度が変化しても、レーザ出力を安定させることができる。
記録部10に記録されているレーザ発振器3の被冷却部分の温度および冷却液の温度の内の少なくとも一方の温度とレーザ装置の光出力特性との関係を示すデータを参照して、レーザ発振器3等による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度の変化に応じて、レーザ出力が安定するように、光出力指令を調整するので、チラー2の冷却能力が小さいために、レーザ発振器3や冷却液の温度が変化しても、レーザ出力を安定させることができる。
本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、第9の発明に相当する。第3実施形態の装置構成およびフローチャートは、第1実施形態または第1実施形態の変形例1と同様である。レーザ装置1は、制御部11を数値制御装置とすることができる。数値制御装置であれば、計算部9や記録部10の機能を併せ持つことが可能であり、レーザ装置1を制御するための数値制御装置に、レーザ発振器3等による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇が所定の各許容温度Tmaxを越える可能性があるか否かを計算させて判断させることによって、新たな部品等の追加が不要である。数値制御装置への負荷も少なく、レーザ加工前に行う計算なので、他の制御に影響を与えない。
数値制御装置であれば、計算部9や記録部10の機能も併せ持つことが可能であり、レーザ装置1を制御するための数値制御装置に、新たな部品等の追加無しに、上記のような制御部11の機能を有することが可能になる。
本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、第10の発明に相当する。図1では、1台のレーザ装置1に1つの制御部11が設けられているように記載しているが、レーザ装置1は、制御部11を複数の前記レーザ装置1で共有することもできる。これ以外の装置構成およびフローチャートについては、第1実施形態または第1実施形態の変形例1と同様である。複数のレーザ装置1に対して、 1台の制御部11あるいは、数値制御装置で、レーザ発振器3等による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇が所定の各許容温度Tmaxを越える可能性があるか否かを計算して判断させることによって、コスト低減が図れる。
複数のレーザ装置1で、1台の制御部11あるいは数値制御装置を共有することにより、コスト低減が図れる。
2 循環式冷却液供給装置(チラー)
3 レーザ発振器
4 電源部
5 出力光検出部
6 温度検出部
7 表示部
8 入力部
9 計算部
10 記録部
11 制御部
12 レーザ光学系
13 冷却液配管
14 レーザ光
15 水槽
16 冷却機
17 熱交換器
18 吐出ポンプ
91 温度上昇計算部
1101 発熱量取得部
1102 代替レーザ加工条件作成部
1103 必要チラー仕様作成部
1104 代替レーザ加工条件処理部
1105 レーザ装置特性更新部
1106 レーザ発振低減停止部
1107 光出力指定調整部
Claims (10)
- チラーにより少なくともレーザ発振器で発生する熱を冷却するレーザ装置であって、
少なくとも1つのレーザ発振器と、
前記レーザ発振器にレーザ発振のための電力を供給する電源部と、
前記レーザ発振器からのレーザ光出力を検出する出力光検出部と、
レーザ光を前記レーザ装置から出力するためのレーザ光学系と、
少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度を検出する少なくとも1つ以上の温度検出部と、
入力部と、
表示部と、
前記レーザ発振器の光出力特性を含む前記レーザ装置の特性と前記チラーの特性を記録する記録部と、
前記レーザ装置の状態を計算する計算部と、
前記レーザ装置の各部を制御する制御部と、を備え、
前記計算部は、前記制御部からの指令によって、前記入力部を通じて入力あるいは設定された前記レーザ発振器への光出力指令データおよび前記電源部への前記レーザ発振器への電力出力指令データの内の少なくとも一方の出力指令データを含むレーザ加工条件に対して、前記記録部に記録されている、前記チラーの冷却能力と前記チラーの水槽容量、少なくとも前記レーザ発振器による発熱量と前記冷却液で実効的に冷却される前記レーザ装置の被冷却部の熱容量に基づいて前記レーザ装置の状態を計算し、
前記制御部は、前記計算部により計算された前記レーザ装置の状態の計算結果を参照して、前記入力あるいは設定された前記レーザ加工条件で、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度が所定の各許容温度を越える可能性があると判断した場合に、レーザ加工を開始する前に、過昇温の警告を前記表示部に表示する機能および過昇温の警告を前記記録部に記録する機能の内の少なくとも一方の機能を有する
レーザ装置。 - 前記制御部は、さらに、
前記入力部を通じて入力あるいは設定された前記レーザ加工条件で、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇が前記所定の各許容温度を越える可能性があると判断した場合に、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度が前記所定の各許容温度を越えない代替レーザ加工条件を前記表示部に表示する機能、前記代替レーザ加工条件を前記記録部に記録する機能および前記レーザ加工条件を前記代替レーザ加工条件に自動的に置換えてレーザ加工を実行する機能の内の少なくとも1つの機能を有する請求項1に記載のレーザ装置。 - 前記制御部は、さらに、
設定された所定のスケジュールに沿って、前記電源部に少なくとも1つ以上の所定の値の電流あるいは電圧を前記レーザ発振器に供給するように指令を出すと共に、
前記電源部から前記レーザ発振器に供給された電力データと、前記出力光検出部からの光出力データを受取り、
前記記録部に記録されている、前記電源部から供給される電流あるいは電圧に対するレーザ光出力の特性を表す前記レーザ装置の光出力特性および前記電源部から供給される電流あるいは電圧に対する前記レーザ発振器における発熱量を表す前記レーザ発振器の発熱特性の内の少なくとも一方の特性を更新する請求項1または請求項2に記載のレーザ装置。 - 前記温度検出部の内の少なくとも1つの温度検出部は前記レーザ装置および前記チラーの内の少なくとも一方の装置が設置された環境の温度を検出する温度検出部であり、
前記記録部に、前記チラーの冷却能力の環境温度依存性データおよび前記レーザ装置の前記被冷却部に外部から浸入する熱量の環境温度依存性データの内の少なくとも一方のデータが記録されており、
前記計算部は、さらに、
前記温度検出部で検出された環境温度における前記チラーの冷却能力のデータおよび前記被冷却部に外部から浸入する熱量のデータの内の少なくとも一方のデータを使用して、前記レーザ装置の状態を計算し、
前記制御部は、さらに、
前記計算部により計算された前記レーザ装置の状態の計算結果を参照して、前記入力あるいは設定された前記レーザ加工条件で、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇が所定の各許容温度を越える可能性があるか否かを判断する請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレーザ装置。 - 前記制御部は、さらに、
少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇が前記所定の各許容温度を越えた場合に、レーザ発振を停止するあるいはレーザ光出力を低減する機能を有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載のレーザ装置。 - 前記制御部は、さらに、
前記入力部から入力あるいは設定された前記レーザ加工条件に対して、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇が所定の各許容温度を越える可能性があると判断した場合に、
前記入力部から入力された要請あるいは設定により、前記計算部により計算された前記レーザ装置の状態の計算結果を参照して、前記レーザ加工条件を変更しないで加工するために必要なチラーの仕様を前記表示部に表示する機能および前記記録部に記録する機能の内の少なくとも一方の機能を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載のレーザ装置。 - 前記計算部が、前記制御部からの指令により、前記チラーの冷却能力と前記チラーの水槽容量、少なくとも前記レーザ発振器による発熱量と前記冷却液で実効的に冷却される前記レーザ装置の被冷却部の熱容量から、設定されたレーザ加工条件で、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇が所定の各許容温度を越える可能性があるか否かを計算するために、
前記記録部に、少なくとも前記チラーの冷却能力と前記チラーの水槽容量と、前記冷却液で実効的に冷却される前記レーザ装置の被冷却部の熱容量を予め記録していることに加えて、少なくとも、前記レーザ加工条件から少なくとも前記レーザ発振器による発熱量を計算するための計算式と、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度上昇を計算する計算式を予め記録している請求項1から請求項6のいずれかに記載のレーザ装置。 - 前記温度検出部が前記レーザ発振器の被冷却部分の温度および冷却液の温度の内の少なくとも一方の温度を検出する位置に少なくとも1台設置されており、また、前記記録部には前記レーザ発振器の被冷却部分の温度および冷却液の温度の内の少なくとも一方の温度を検出する温度検出部によって検出された温度と前記レーザ装置の前記光出力特性との関係を示すデータが記録されており、
前記制御部は、さらに、
前記記録部に記録されている前記レーザ発振器の被冷却部分の温度および冷却液の温度の内の少なくとも一方の温度と前記レーザ装置の前記光出力特性との関係を示すデータを参照して、少なくとも前記レーザ発振器による発熱で温度が上昇する部品や冷却液の温度の変化に応じて、レーザ出力が安定するように、光出力指令を調整する機能を有する請求項1から請求項7のいずれかに記載のレーザ装置。 - 前記制御部は数値制御装置である請求項1から請求8のいずれかに記載のレーザ装置。
- 前記制御部を複数の前記レーザ装置で共有する請求項1から請求項9のいずれかに記載のレーザ装置。
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