JP6327158B2 - 電力変換回路 - Google Patents
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Description
ここで、非特許文献1に開示されたコイルは、回路基板上に設けられている。その他、特許文献1に開示されたコモンモードチョークコイルは、回路基板に接続される端子を有するベースプレート上に設けられている。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コイルと導体部との間の磁界結合を効果的に低減する電力変換回路を提供することにある。
第一の態様では、コイルは、一本のコイル軸の周りに導線が巻回された単軸型コイルであり、導体部は、コイル軸と同一平面上に配置されている。第二の態様では、コイルは、周囲に発生する漏れ磁束が所定の対称軸に対して対称となるように配置された複数の独立した要素コイルを有する複合型コイルであり、導体部は、対称軸と同一平面上に配置されている。なお、「単軸型コイル」及び「複合型コイル」は、本明細書において独自に定義した用語である。
最初に、一般的な電力変換回路の概略構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、電力変換回路10は電源8と負荷9との間に接続され、トランジスタ6やダイオード7等の半導体素子や、それらの入力側に設けられる平滑コンデンサ5等を備える。これらの回路部品は、例えば基板に形成された基板パターンに電気的に接続される。
例えば三相インバータでは、三相の上下アームのトランジスタがブリッジ接続され、PWM制御等の駆動制御によってトランジスタがスイッチング動作する。これにより、三相インバータは、例えばバッテリから入力された直流電力を三相交流電力に変換し、三相モータに出力する。
その方法の一部を、図9、図10に示す。図9は、非特許文献1のFig.3、図10は、非特許文献1のFig.11の右図にそれぞれ対応する。
Lp1、Lp2:評価対象とするトレースループインダクタンス
ESL、ESR、C:容量モデルパラメータ
EPC、EPR:ディファレンシャルモード誘導モデルパラメータ
M1、M2:LdmとESL1、ESL2との相互インダクタンス
M3:ESL1とESL2との相互インダクタンス
M4、M5:LdmとLp1、Lp2との相互インダクタンス
M6:Lp1とLp2との相互インダクタンス
非特許文献1では、このモデルにおいて、M1〜M6の寄生磁界結合に着目し、各寄生磁界結合がフィルタ特性に与える影響について、理論及び実験の観点から言及している。
その他、コイル間の寄生磁界結合に関しては、二つのコイルの巻線方向を変更する方法が提案されている。
本発明の第1実施形態によるコイルと導体部との配置について、図2〜図4を参照して説明する。図2〜図4では、基板20については、電力変換回路10全体の構成要素のうち、本発明の要旨の説明に用いる部分のみを抜き出し、「コイル3」及び「基板20」として模式的に示す。
第1実施形態では、一本のコイル軸Acの周りに導線が巻回されたコイル3が用いられる。本明細書では、このようなコイルを「単軸型コイル」と呼ぶ。コイル3の導線の一端37及び他端38は、例えば回路の高電位ラインに接続されている(図1参照)。
図3は、基板パターン21から発生する放射磁界分布のシミュレーション結果を示す図である。図3の例では、磁束は、基板パターン21の内側において、基板20の上側から下側に向かってループ面を貫通し、基板パターン21の外側では、ループ面の下側から楕円経路を描いてループ面の上側に戻る。
まず、図4(c)を参照すると、単軸型コイル3が基板20上に設けられる従来技術では、コイル軸Acと基板パターン21とが離れている。ここで、コイル軸Acと基板パターン21との距離Δについて、当該技術分野の技術常識に照らし、コイル軸Acと基板パターン21とが「離れている」と認識される最小距離をαとする。図4(c)に示す状態では、「Δ≧α」である。この場合、単軸型コイル3から発生した漏れ磁束は、基板パターン21のループ面を鎖交する。
要するに、本発明の特許請求の範囲に記載の「同一平面上」とは、厳密な意味でなく、漏れ磁束による影響を考慮した実質的な意味で解釈されるべきである。
本発明の第2実施形態によるコイルと導体部との配置について、図5〜図7を参照して説明する。
第2実施形態では、複数の独立した要素コイル31、32を有するコイル30が用いられる。本明細書では、このようなコイルを「複合型コイル」と呼ぶ。図5〜図7に示す具体例では、独立した導線が共通のコア35に巻回されてなる二つの要素コイル31、32が、複合型コイル30としてのコモンモードチョークコイルを構成している。
基板パターン21をこのように配置することで、複合型コイル30から周囲に発生する漏れ磁束がループ面を鎖交することを回避可能である。したがって、複合型コイル30と基板パターン21との間の磁界結合を効果的に低減することができる。
図8に示す第3実施形態では、第1実施形態の基板パターン21に代えて、ループ状に形成されたバスバー26が「導体部」として設けられている。バスバー26の一端27及び他端28は、図示しない回路の接続点につながっている。バスバー26は、トランジスタ6やダイオード7等の能動素子のうち少なくとも一部を含む回路部品を電気的に接続する。
これにより、第3実施形態は、第1実施形態と同様に、単軸型コイル3とバスバー26との間の磁界結合を効果的に低減することができる。なお、複合型コイル30とバスバー26との組合せとしても同様の効果が得られる。
(電力変換に寄与する能動素子)
電力変換回路が「電力を変換する」という基本機能を実現するものであれば、能動素子は、トランジスタやダイオードに限らずどのような素子でもよい。また、それらの能動素子は、複数の基板やバスバーに分割されて接続されてもよい。その場合、能動素子が接続された基板やバスバーのうち少なくとも一つが「導体部」として、本発明で特定するコイルとの位置関係に関する要件を満足すればよい。
第1、第3実施形態に対し、単軸型コイル3は、一つに限らず、コイル軸Acに沿って複数が同軸に並ぶように配置されてもよい。
第2実施形態に対し、複合型コイル30を構成する要素コイルの数は、二つに限らず、三つ以上としてもよい。
また、電力変換回路が複数の用途の複数のコイルを含む場合、そのうち着目した「一つ以上のコイル」について、本発明で特定する導体部との位置関係に関する要件を満足すればよく、着目しないコイルに関する構成は問わない。
導体部を構成する基板パターンやバスバーについて、導電体の材質、配線の幅や長さ、ループの形状等を問わない。例えばループの形状は、図2、図8等に示すような単純な形状に限らず、折れ曲がりや分岐を含む形状であってもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
21・・・基板パターン(導体部)、 26・・・バスバー(導体部)、
3 ・・・単軸型コイル(コイル)、
30・・・複合型コイル(コイル)、 31、32・・・要素コイル、
4 ・・・コンデンサ、
40・・・ノイズフィルタ、
6 ・・・トランジスタ(能動素子)、
7 ・・・ダイオード(能動素子)、
8 ・・・電源、
9 ・・・負荷。
Claims (5)
- 電源(8)と負荷(9)との間に接続され、電力を変換する電力変換回路であって、
電力変換に寄与する少なくとも一つの能動素子(7、8)と、
一つ以上のコイル(3、30)と、
前記コイルと共にノイズフィルタ(40)を構成するコンデンサ(4)と、
一平面上にループ面を形成し、前記能動素子のうち少なくとも一部を含む回路部品を電気的に接続する導体部(21、26)と、
を備え、
前記導体部は、前記コイルに対し、前記コイルから周囲に発生する漏れ磁束が前記ループ面を鎖交することを回避可能な位置に配置されていることを特徴とする電力変換回路。 - 前記コイルは、一本のコイル軸(Ac)の周りに導線が巻回された単軸型コイル(3)であり、
前記導体部は、前記コイル軸と同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換回路。 - 前記コイルは、周囲に発生する漏れ磁束が所定の対称軸(As)に対して対称となるように配置された複数の独立した要素コイル(31、32)を有する複合型コイル(30)であり、
前記導体部は、前記対称軸と同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換回路。 - 前記導体部は、基板(20)上に形成された基板パターン(21)により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換回路。
- 前記導体部は、バスバー(26)により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換回路。
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