JP6324773B2 - 発酵風味液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、サイレージ由来乳酸菌とパン酵母の共培養による発酵工程を含む、γ−アミノ酪酸、オルニチン、酢酸、エタノール等を豊富に含有する発酵風味液の製造方法等に関するものである。
食品業界においては、消費者の食嗜好の多様化が日々進んでおり、消費者はより美味しく且つ新しい風味・食味の食品を望んでいる。さらに、消費者の健康志向に対する関心の高まりも強く、消費者は単に美味しいだけ、新規な風味・食味だけの食品では飽き足らず、美味しく且つ機能性(健康維持に対する生理機能)も有する食品等を強く求めている。
このような消費者の期待に応えるべく、食品製造メーカー等は美味しく且つ機能性を有する食品の開発を日々追求しており、その一例としては、乳酸発酵を利用した食品が挙げられる。乳酸発酵食品は、チーズ、ヨーグルト、漬物といった伝統的な食品から、プロバイオティクス効果を得るための乳酸菌飲料などに至るまでその種類は多岐に渡っている。そして、乳酸発酵食品は、独特の味や香りを呈するため多くの消費者から好まれており、また、乳酸菌自体に健康的なイメージが定着しており、実際に乳酸菌の生産する機能性成分が豊富に含まれている乳酸発酵食品も多い。
パン業界の場合でも、風味・食味等を改良する手段の一つとして、乳酸菌を用いて発酵させた発酵液をパン生地に添加する方法があり、この発酵液は「発酵風味液」や「発酵風味料」などと呼ばれている。そして、製パンメーカー等は消費者の健康志向に応えるべく、乳酸菌の生産する機能性成分が蓄積した発酵風味液の開発を試みている。さらには、食品添加物を極力添加せずに高い防カビ効果を有するパンを製造するため、発酵風味液中にエタノールや酢酸などを高含有させることが望ましく、そのような発酵風味液の開発も進められている。なお、発酵風味液は食品添加物には該当しないため、酢酸ナトリウムやソルビン酸カリウムなどの食品添加物グレードの防カビ剤を嫌うパン製造・販売メーカー等にとって、このような発酵風味液は重宝されている。
機能性成分を蓄積させた発酵風味液等の一例として、ある種の乳酸菌は培地中のグルタミン酸を血圧降下作用のある機能性アミノ酸であるγ−アミノ酪酸に変換させることが知られており、この現象を利用して、γ−アミノ酪酸含有発酵風味液等を製造する技術が知られている(特許文献1〜2、非特許文献1)。また、乳酸菌の中には、成長ホルモンの分泌促進やアンモニア代謝の向上作用などが知られているオルニチンを生産する株も知られている(特許文献3)。一方、乳酸菌はエタノールを多量に生産しないため、発酵風味液中にエタノールを高含有させるためにはパン酵母などのアルコール生成菌を乳酸菌と併用することが考えられる。しかし、一般的にパン酵母はγ−アミノ酪酸を資化することが知られているため(非特許文献2)、当業界においては、乳酸菌とパン酵母の共培養はγ−アミノ酪酸を発酵風味液中に高含有させるためには好ましくないと考えられていた。
このような技術背景において、良好な風味・食味等を食品に付与でき、且つ、機能性成分、有機酸、エタノールなどをいずれも高含有するような発酵風味液の製造方法等が探られていた。
特開2011−217739号公報 特開2009−044966号公報 特開2007−068441号公報
フードスタイル21,Vol.7,No.3,p64−68(2003年3月) 日本政策金融公庫、技術の窓、No.1830(平成24年2月23日)
本発明は、良好な風味・食味等を食品に付与でき、且つ、γ−アミノ酪酸、オルニチン、酢酸、エタノールをいずれも高含有する発酵風味液の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、グルタミン酸を300mg/L以上の濃度となるように含有し、且つ、糖源を含有する液を、ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)とパン酵母によって共培養による発酵を行い、その後滅菌処理により該乳酸菌生菌と酵母生菌を死滅させ、その菌体を遠心分離等により除去することで、驚くべきことに、オルニチン、酢酸、エタノールを高含有するだけでなく、パン酵母に資化されてほとんど残存しないと思われたγ−アミノ酪酸をも高含有する新規発酵風味液を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)グルタミン酸を300mg/L以上(好ましくは400〜500mg/L以上)の濃度となるように含有し、且つ、糖源を含有する液を、ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)とパン酵母の共培養にて発酵させ、発酵後に該乳酸菌生菌及び酵母生菌を滅菌し、その菌体を除去することを特徴とする、γ−アミノ酪酸(以下、GABAと表記する場合もある)200mg/L以上(例えば300〜400mg/L以上)、オルニチン40mg/L以上(例えば50mg/以上)、酢酸0.5%以上、及び、エタノール5%以上を含む発酵風味液の製造方法。
(2)培地(グルタミン酸を300mg/L以上の濃度となるように含有し、且つ、糖源を含有する液)中のグルタミン酸の起源が、精製グルタミン酸及び/又はその塩、酵母エキス、砂糖製造工程汁から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)糖源が砂糖及び/又は糖蜜であり、発酵前の液の糖濃度が0.5〜50%(w/w)(好ましくは1〜40%(w/w))であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)砂糖製造工程汁が、ビート糖の製糖工程における温水浸出汁、カーボネーション後汁、貯蔵糖蜜、イオン交換樹脂再生廃液、クロマト廃液から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、(2)又は(3)に記載の方法。
(5)砂糖製造工程汁がイオン交換樹脂再生廃液、クロマト廃液から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、(4)に記載の方法。
(6)総アミノ酸含有量1500mg/L以上(例えば1800mg以上)を含む発酵風味液を製造することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の方法。
本発明によれば、乳酸菌CS−5株とパン酵母の共培養により、γ−アミノ酪酸(GABA)200mg/L以上(更には300〜400mg/L以上)、オルニチン40mg/L以上(更には50mg/以上)、酢酸0.5%以上、及び、エタノール5%以上を含む発酵風味液を製造することができる。また、総アミノ酸含有量を1500mg/L以上(更には1800mg以上)も含む発酵風味液の製造も可能である。そして、該発酵風味液は生菌体を含有せず透明であるため、幅広い種類の食品等にほぼ制約なく使用することができる。
本発明に係る発酵風味液と、食酢、本みりん、清酒中に含まれる糖及びエタノール含量の比較データを示す。黒が糖含量、白がエタノール含量であり、縦軸は濃度(%)を表す。 本発明に係る発酵風味液と、食酢、本みりん、清酒中に含まれる乳酸及び酢酸含量の比較データを示す。黒が乳酸含量、白が酢酸含量であり、縦軸は濃度(%)を表す。また、横軸下段は、各液のpHを示す。 本発明に係る発酵風味液と、食酢、本みりん、清酒中に含まれる総アミノ酸含量の比較データを示す。黒がオルニチン含量、斜線がγ−アミノ酪酸含量、白がα−アミノ酸含量であり、縦軸は含有量(mg/L)を表す。 乳酸菌NBRC3345株とCS−5株の、γ−アミノ酪酸生産量の比較データを示す。白がグルタミン酸量、斜線がγ−アミノ酪酸量であり、縦軸は培養液中の含有量(g/L)を表す。
本発明の発酵風味液を調製するために用いられる乳酸菌(乳酸生成菌)は、Lactobacillus buchneri CS−5株(ラクトバシラス・ブフネリ CS−5株)である。このCS−5株は、乳酸などの有機酸を多量に生産するサイレージ(乳牛の粗飼料の一種であり、牧草、トウモロコシ、作物茎葉類などの原料を空気を遮断するよう容器(サイロ)に埋蔵、又はフィルムなどでラッピングし、原料に付着している微生物により原料中に含有する糖分を分解して有機酸を生成させ、この有機酸によって貯蔵性を保持させた発酵飼料)から分離されたものである。
なお、Lactobacillus buchneri CS−5株(ラクトバシラス・ブフネリ CS−5株)は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(NITE−IPOD,〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1つくばセンター中央第6)に2010年(平成22年)12月1日付けでFERM P−22044として寄託されている。
ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)は、サイレージ以外にもサワー種、発酵乳、鮒寿司などからの分離が報告されており、食経験の豊富な安全性の高い乳酸菌である。本菌種は乳酸以外に酢酸などの有機酸を副生するヘテロ型の発酵形式を有する乳酸菌である。
また、本発明の発酵風味液を調製するために用いられるパン酵母としては、エタノールを発酵生産するパン酵母(サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する酵母)であれば特に限定されず、市販のパン酵母なども好適に用いることができる。特に、多くの市販パン酵母に見られるような、その発酵中においてエタノールを高生産する菌株が非常に好適であり、例えば、市販パン酵母としてはMPイースト(商品名:ニッテンMPイースト,日本甜菜製糖株式会社製)などが好適例として示される。
本発明の発酵風味液の調製は、まず、上述のサイレージ由来乳酸菌CS−5株とパン酵母について、別々に純粋培養(他の種類の菌を混在させない状態で、一種類の菌だけでの培養)を行った純粋培養液を用意する。この純粋培養において、培地は、糖源(培地作製の糖原料)として、例えば砂糖(本発明においてはショ糖シロップも含む)及び/又は糖蜜を含み、且つ、グルタミン酸の起源(培地作製のグルタミン酸原料)として、例えば精製グルタミン酸及び/又はその塩(グルタミン酸Naなど)、酵母エキス、砂糖製糖工程汁(ビート糖などの砂糖の製糖工程における温水浸出汁、カーボネーション後汁、貯蔵糖蜜、イオン交換樹脂再生廃液、クロマト廃液など)から選ばれる1以上等を使用し、グルタミン酸濃度を300mg/L以上(好ましくは400〜500mg/L以上)となるようにする。このような培地にCS−5株あるいはパン酵母を一定量植菌し、30〜40℃で1〜6日間程度培養する。その後、同様の組成の培地にそれぞれの純粋培養液を同時に、あるいは、時間差(例えば12時間以上の時間差)をおいて植菌し、30〜40℃で1〜15日間程度共培養して発酵を行い、その後滅菌処理をして遠心分離等により菌体残渣等を除去して発酵風味液を調製する。この発酵は、乳酸菌による発酵と酵母による発酵を別々に行うのではなく、生きた乳酸菌と生きた酵母が一つの培養槽で共存した状態の培養(共培養)により行うことが大きな特徴である。また、培地中の糖濃度は0.5〜50(好ましくは1〜40)%(w/w)が適当であり、必要に応じてビタミン類やミネラル類などを添加しても良い。
なお、本発明において、糖源のひとつとして示されている糖蜜とは、ビート、サトウキビなどの砂糖製造原料からの抽出液から不純物を除いた液体又はその濃縮物を意味し、ここから一番糖を取り出した後の残りの液体も包含する。また、グルタミン酸の起源のひとつとして示されている砂糖製造工程汁とは、ビート、サトウキビなどの砂糖製造工程から排出される液体を意味し、例えば、温水浸出汁(砂糖製造原料からの温水抽出液)、カーボネーション後汁(温水浸出汁を石灰処理及び炭酸ガス処理した後の液体)、イオン交換樹脂再生廃液(カーボネーション後汁などをイオン交換樹脂処理した後の樹脂再生廃液)、クロマト廃液(カーボネーション後汁等をクロマト処理した後の除去画分)、貯蔵糖蜜(カーボネーション後汁等を軟化・濃縮した液)などが例示される。
このようにして、発酵風味液中のγ−アミノ酪酸(GABA)含量が200mg/L以上、オルニチン含量が40mg/L以上、酢酸含量が酢酸0.5%以上、及び、エタノール含量が5%以上となるような発酵風味液を製造することができる。特に、本発明に係る発酵風味液は、添加剤等によりアルコールを添加していないにも関わらずエタノール高含有であること、パン酵母との共培養であるにもかかわらずGABA高含有であること、酢酸やオルニチンも非常に高含有であること、高濃度で含有する酢酸、エタノールなどの相乗効果によりパンなどの食品の防カビ効果を相乗的に高めていること、最終的な発酵風味液製品中において発酵に用いた乳酸菌とパン酵母がいずれも滅菌され完全に死滅しているタイプ(滅菌タイプ)であること(食品への添加時に含有する生菌の力を利用するものではないこと)、遠心分離等により菌体残渣等を除去しているため透明であること、などが大きな特徴である。
このようにして得られたγ−アミノ酪酸200mg/L以上、オルニチン40mg/L以上、酢酸0.5%以上、及び、エタノール5%以上を含む発酵風味液は、パン生地などの各種食品へ任意の配合率で添加できるだけでなく、これをそのまま、あるいは濃縮及び/又は粉末化して栄養剤やサプリメントなどとして用いることもできる。さらには、本発明の発酵風味液から更に精製を行い、γ−アミノ酪酸やオルニチンなどのアミノ酸精製品、粗製品などを取得することもできる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(発酵風味液の製造)
本発明に係る発酵風味液を、下記のように製造した。
培地中のグルタミン酸の起源としては、酵母エキスを培地組成に使用した。BCP加プレートカウントアガール上で培養された乳酸菌CS−5株を一白金耳取り、風味液培地(培地量6mL、試験管)に植菌し、35℃で3日間静置培養を行い、乳酸菌種菌前培養液とした。培養後の培養液を風味液培地(培地量60mL、メジューム瓶)に植菌し、35℃で3日間静置培養を行い、乳酸菌種菌培養液とした。一方酵母の培養については、市販パン酵母(MPイースト、日本甜菜製糖株式会社製)一白金耳を風味液培地(培地量6mL、試験管)に植菌したのち、30℃・150rpmで12時間振盪培養を行い、酵母種菌前培養液とした。培養後の培養液を風味液培地(培地量60mL、三角フラスコ)に植菌し、30℃・110rpmで12時間振盪培養を行い、酵母種菌培養液とした。10L容ジャーファーメンターに風味液培地6Lを張り、乳酸菌種菌培養液を植菌し、80rpm、35℃で12時間培養を行った。液のpHが5.0まで低下した段階で酵母種菌培養液を植菌し、80rpm・35℃で4日間培養を継続した。培養終了後、80℃で1時間加熱処理し乳酸菌および酵母を死滅させると同時に、培養液1Lあたり15gの白塩添加を行った。その後、遠心分離し菌体残渣を除去した上清を発酵風味液とした。
なお、使用した風味液培地は次の組成とした。
グラニュー糖(日本甜菜製糖株式会社製) 200g/L
酵母エキス(レバパン株式会社製) 25g/L
*pHは6.5〜6.8に調整し、グルタミン酸濃度は300mg/L以上であった。
得られた発酵風味液中の主な成分含量について、下記の測定条件によって定量分析を行った。また、市販の食酢、本みりん、清酒についても同様に測定を実施し、発酵風味液との成分比較を行った。
<糖・エタノール>
カラム ;Shodex SUGAR KS−801
カラム温度;80℃
溶離液 ;0.05mM 水酸化ナトリウム
流速 ;1.0ml/min
検出器 ;RID−10A
<有機酸(乳酸・酢酸)>
カラム ;Shodex Ionpak KC−811×2
カラム温度;45℃
溶離液 ;2mM 過塩素酸溶液
反応液 ;0.2mM ブロモチモールブルー、15mM リン酸水素二ナトリウム・12水和物、2mM 水酸化ナトリウムの混合溶液
流速 ;溶離液:1.0ml/min、反応液:0.5ml/min
検出器 ;L−7400(445nm)
<アミノ酸>
カラム ;トーソーODS−80Ts250mm+150mm
カラム温度;40℃
移動相A ;アセトニトリル:60mM 酢酸ナトリウム=6:94(pH5.60)
移動相B ;アセトニトリル:60mM 酢酸ナトリウム=60:40(pH6.95)
流速 ;1.0ml/min
検出器 ;UV−VIS(254nm)
この結果を図1〜3に示した。本発明に係る発酵風味液は、5%(w/w)以上の濃度で糖及びエタノールを含有し(図1)、0.5%(w/w)以上の濃度の酢酸及び1.0(w/w)%以上の乳酸も含有していた(図2)。なお、エタノールは主に酵母によって、酢酸及び乳酸は主に乳酸菌によって生成されたと推察された。また、本発明に係る発酵風味液は、総アミノ酸含量について、食酢(100mg/L程度)、本みりん(750mg/L程度)、清酒(400mg/L程度)のいずれと比較しても顕著な量であった(1800mg/L以上、図3)。特に、血圧降下作用として知られるγ−アミノ酪酸が多く含まれていた(400mg/L以上、図3)。一般的に、パン酵母はγ−アミノ酪酸を資化することが知られているが、本発明に係る方法により発酵風味液の製造を行うと、CS−5株によって生産されたγ−アミノ酪酸が発酵風味液製品中にかなり残存することが特徴である。さらに、本発明に係る発酵風味液には、肝機能改善効果があるとされるオルニチンも一定量含まれていた(50mg/以上、図3)。また、発酵風味液に含まれるα−アミノ酸(20種類アミノ酸)のうち、最も含有量が多かった種類はアラニンであった。このような、本発明に係る発酵風味液が糖、エタノール、乳酸、酢酸をバランスよく含み且つγ−アミノ酪酸やオルニチン、α−アミノ酸などの各種アミノ酸を高濃度で含むことは、他の公知の発酵風味液等には認められない大きな特徴である。
(乳酸菌CS−5株のγ−アミノ酪酸生産能確認試験I)
乳酸菌CS−5株のγ−アミノ酪酸生産能を確認するため、以下の試験を実施した。
BCP加プレートカウントアガール上で培養された乳酸菌CS−5株を一白金耳取り、実施例1で示した風味液培地(培地量10mL、試験管)に植菌し、35℃で1日間静置培養を行い、乳酸菌前培養液とした。グルタミン酸Na50g/Lを添加した風味液培地(培地量10mL、試験管)に培養後の前培養液0.5mlを植菌し、35℃で5日間静置培養を行った。得られた培養液について、実施例1に記載の方法と同様の条件でグルタミン酸およびγ―アミノ酪酸の定量を行った。CS−5株の他に、γ−アミノ酪酸高生産株として知られるL.brevis NBRC3345株についても同様の試験を行った。
この結果を図4に示した。CS−5株は、NBRC3345株と比較して高濃度のγ−アミノ酪酸を生産することが確認された。また、γ−アミノ酪酸の前駆体であるグルタミン酸については、CS−5株の培養液中の濃度が顕著に減少することも確認された。
(乳酸菌CS−5株のγ−アミノ酪酸生産能確認試験II)
乳酸菌CS−5株のγ−アミノ酪酸生産能をさらに確認するため、以下の試験を実施した。
BCP加プレートカウントアガール上で培養された乳酸菌CS−5株を一白金耳取り、実施例1で示した風味液培地(培地量10mL、試験管)に植菌し、35℃で1日間静置培養を行い、乳酸菌前培養液とした。グルタミン酸Naを豊富に含む砂糖製造工程汁(イオン交換樹脂再生廃液)を一定量添加した風味液培地(培地量10ml、グルタミン酸濃度400mg/L以上、試験管)に培養後の前培養液0.5mlを植菌し、35℃で5日間静置培養を行った。得られた培養液について、定法によりγ―アミノ酪酸の検出(定性分析)を行った。また、NBRC3345株についても同様の試験を行った。
この結果を表1に示した。砂糖製造工程汁を培地中のグルタミン酸の起源とした場合においても、CS−5株はNBRC3345株と比較し高濃度のγ−アミノ酪酸を生成することが確認された。
Figure 0006324773
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、良好な風味・食味等を食品に付与でき、且つ、γ−アミノ酪酸、オルニチン、酢酸、エタノールをいずれも高含有する発酵風味液の製造方法を提供することを目的とする。
そして、グルタミン酸を300mg/L以上の濃度となるように含有し、且つ、糖源を含有する液を、ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)とパン酵母の共培養にて発酵させ、発酵後に該乳酸菌生菌及び酵母生菌を滅菌し、その菌体を除去する方法により、良好な風味・食味等を食品に付与でき、且つ、γ−アミノ酪酸、オルニチン、酢酸、エタノールをいずれも高含有する発酵風味液を製造することができる。
本発明において寄託されている微生物の受託番号を下記に示す。
(1)ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)。

Claims (3)

  1. 酵母エキス及び/又は砂糖製造工程汁を使用してグルタミン酸を300mg/L以上の濃度となるように含有してなり、且つ、糖源として砂糖及び/又は糖蜜を含有する液で、ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)CS−5株(FERM P−22044)を純粋培養して液のpHを5.0以下とし、その後、同じ組成の液で純粋培養したパン酵母との共培養により発酵を行い、発酵後に該乳酸菌生菌及び酵母生菌を滅菌し、その菌体を除去することを特徴とする、γ−アミノ酪酸200mg/L以上、オルニチン40mg/L以上、総アミノ酸含有量1500mg/L以上、酢酸0.5%以上、及び、エタノール5%以上を含む発酵風味液の製造方法。
  2. 糖源が砂糖及び/又は糖蜜であり、発酵前の液の糖濃度が0.5〜50%(w/w)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 砂糖製造工程汁が、ビート糖の製糖工程における温水浸出汁、カーボネーション後汁、貯蔵糖蜜、イオン交換樹脂再生廃液、クロマト廃液から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
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